説明

光学効果の印刷のための磁性板

【課題】塗料またはインク中のフレークまたは粒子を整列させるために使用される印刷版または印刷用ヘッドとして使用するための磁石を提供する。
【解決手段】磁化可能材料の複合材シートまたはブロックは、所定の画像、ロゴ、または、証印の形状を有するシートまたはブロック内に磁石が形成されるように、選択的に磁化される。ダイは、磁化可能材料を磁化するために使用され、かつ、好ましくは、ダイは磁化される材料に接触している。冷蔵庫磁石などの磁化前シートは、印刷版として使用するために磁性画像がその内部に符号化されるように異なって再磁化することができる。好ましくは、印刷版は、印刷版が印刷のためにシリンダまたはドラムの湾曲表面に対して形成できるように柔軟である。便利なことに、これらの柔軟な磁石は他のデザインへ変更でき、かつ、印刷で使用するための同じドラム上に定置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気的に整列可能な粒子またはフレークを含む印刷用インクおよび塗料における使用のための磁石に関し、より詳細には、印加された磁界に従い複数の異なった方向に整列された磁性材料を有する磁石の形成、および、印刷版としてのこの磁石の使用に関する。
【0002】
用語「シート」は、本明細書の以下で、平坦な薄いシートを意味して使用され、かつ、好ましい実施形態においては柔軟なシートとして使用されているが、用語「シート」はそれらに限定されない。
【0003】
本明細書を通じて使用されている用語「板」は、堅固または柔軟な板を意味し、かつ、複合材料磁化可能シートなど、または、磁化されたときに「冷蔵庫」磁石(“fridge”magnet)としてより一般的に知られている磁性ゴム・シートなどの薄い平坦な柔軟シートを含む。
【0004】
用語「印刷版」は、本明細書の以下で、磁気的に整列可能なフレークのインクまたは塗料中で画像、証印(indicia)、または、ロゴを形成する板として使用されている。印刷版は、それ自体はインクまたは塗料を転写しないが、識別可能な印刷物を形成するように印刷用インクまたは塗料中のフレークまたは粒子を移動させる能力を有する。
【背景技術】
【0005】
本明細書の以下で述べられている特許および出願の全ては、全ての目的のために参照により組み込まれる。
【0006】
液体のインク媒介物または塗料媒介物中に分散された磁性小板を含むインクまたは塗料を使用した印刷が知られている。このような応用例においては、基板上のインクまたは塗料を磁界に露出することにより小板が磁気的に整列させられる。そのような印刷の現在の例は、米国特許出願第2006/0198998号明細書、同第20060194040号明細書、同第2006/0097515号明細書、同第2005/0123755号明細書、および、同第2005/0106367号明細書においてRaksha他により記載されている。
【0007】
米国特許第6808806号明細書、同第6759097号明細書、同第6818299号明細書、および、同第6838166号明細書は、磁気的に整列可能なフレークおよび印刷された画像においてフレークを整列させるための磁石の利用を開示している。より詳細には、米国特許第6808806号明細書は、「F」字型の切欠きを有し、印刷に使用される柔軟な磁石の使用を開示している。この実施形態において、切欠き「F」を取り囲む領域から発出する磁界は、均一かつ「F」の表面に垂直な方向であった。磁界のない切欠け部分の上方を覆うフレークは実質的に平坦に定置していた。この実施形態は興味深い画像を提供しているが、この発明は、均一な磁界を有する磁石を使用しては達成不可能なさらに多くの特徴を提供している。
【0008】
磁性粉で塗装することは、仕上げおよび化粧コーティングのためにいくつかの業界で採用されていた。製品上に磁気的に形成されたパターンを作成するための方法は、米国特許第5630877号明細書の主題となっている。製品は、磁性非球形粒子が混合された塗料媒体から塗料層を形成し、形成されるべき所望のパターンに対応した形状に磁界を印加することにより作製される。磁界は、水気のある塗料が塗られた基板の下に搭載された磁石から発出する。磁界が粒子を整列させた後、粒子は塗料媒介物中で硬化される。
【0009】
米国特許第6103361号明細書は、フッ化ポリマと磁気的フレークの混合物からなるベースで基板をコーティングすること、および、ポリマ・コーティング構成物内に画像を磁気的に誘導することにより形成される化粧調理器具を生産する際に有用なパターン形成された基板を開示している。このパターンは、画像効果を誘導するために、コーティングされたベースの下に定置された磁化可能なダイの辺縁部を介して磁力を印加することにより形成される。
【0010】
米国特許第6759097号明細書は、コーティングされた表面上に画像を作成するための方法およびデバイスを開示している。この方法は、液体の形態の磁化可能な顔料コーティングの層を基板に塗布すること、選択された磁性粒子または磁性フレークの向きを変えるために顔料コーティングの選択された領域に磁界を印加すること、および、コーティングの表面上に三次元状画像などの画像を作成するために顔料コーティングの表面に非平行な位置に再配向された粒子またはフレークを固化することを含んでいる。
【0011】
顔料コーティングは、磁性色シフト顔料などの様々な干渉または非干渉磁性粒子またはフレークを含むことができる。
【0012】
米国特許第3853676号明細書は、磁界において配向される磁性配向可能顔料を含むフィルム状材料を含む顔料入りフィルムを請求している。
【0013】
EP第0710508A1号明細書は、磁性小板の整列を介して三次元の効果を示す層の作成のための方法を開示している。
【0014】
EP第1493590A1号明細書は、磁気光学的に可変なインクで印刷された文書上に所定の磁性デザインを転写するためのデバイスおよび方法を記載している。このデバイスは、所望の証印のパターンに対応したパターンが彫り込まれた表面を有する複合永久磁石材料の本体を含む。磁性材料は表面に垂直な方向に磁化される。彫り込みで作られた表面の不規則性が、結果として得られる磁界の方向および強度の変化を作り出している。これらの変化は、彫り込みの形状に対応した形状を持つ画像の形成を可能にする水気のあるインクの異なった部分における磁性粒子の異なった整列を引き起こす。
【0015】
本発明の発明者らは、EP第1493590A1号明細書の教示に従った印刷が特定の限界を有することを見出した。例えば、色シフト・インクを使用した場合、非常に貧弱な色シフト効果がもたらされた。文書の表面に実質的に垂直な方向の磁界の線に沿った水気のあるインクの層中の磁性顔料粒子の再定置に伴って、印刷された層の色シフト特性の消失が発生する。
【0016】
これにもかかわらず、色シフトの影響は、粒子が基板の表面に平行またはほぼ平行であるときに最善の出現を有する(大きな色移動および高い色値)。EP第1493590号明細書に記載されているデバイスで印刷された画像による色シフト特性は、保管文書の印刷のための磁性色シフト・インクの利用を、基本的に無用にしている。
【特許文献1】米国特許出願第2006/0198998号明細書
【特許文献2】米国特許出願第20060194040号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2006/0097515号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2005/0123755号明細書
【特許文献5】米国特許出願第2005/0106367号明細書
【特許文献6】米国特許第6808806号明細書
【特許文献7】米国特許第6759097号明細書
【特許文献8】米国特許第6818299号明細書
【特許文献9】米国特許第6838166号明細書
【特許文献10】米国特許第5630877号明細書
【特許文献11】米国特許第6103361号明細書
【特許文献12】米国特許第3853676号明細書
【特許文献13】EP第0710508A1号明細書
【特許文献14】EP第1493590A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、製造するのにより単純な磁石であって、この磁石により発生される磁界に関して高度な柔軟性を提示する磁石を提供することである。
【0018】
この磁石は、磁界を変化させるための多額のコスト、および、材料の困難な彫り込みまたは除去を必要としない。
【0019】
対象物の画像において、ロゴまたは証印はブロックまたはシートの磁性材料内に作成され、そのため、磁界が塗料またはインク内のフレークを整列させるために使用されているときに、磁石は対象物、ロゴ、または、証印に対応する磁界を提供する。
磁性材料中の画像は肉眼には見えないが、磁性材料を「符号化」するために使用される対象物のロゴまたは証印に対応する磁界を発生させるために、磁性材料中に符号化されている。
【0020】
有利には、磁石内に符号化された対象物、ロゴ、または、証印は見ることができないが、存在し、対象物、ロゴ、または、証印を複製するために磁界中の基板上に定置されたフレークを整列させる磁界を発生する。
【0021】
有利には、一般的な「冷蔵庫」磁石は、画像を形成するために自身の磁界の方向を変化させるために、磁気的な情報で符号化され得る。
【0022】
有利には、この符号化された磁石は、柔軟な磁性材料のものであってもよく、および、ドラム上に定置され得て、および、符号化された磁気的情報を反映する形で粒子を整列させることにより、水気のあるインクまたは塗料の塗布された基板内に画像を「印刷」するために使用され得る。
【0023】
以下に説明されるように、整列可能なフレークを有するインクおよび/または塗料に磁界を印加する従来技術の方法は、窪みをつけた、または、浮き彫りにされた磁性領域の使用を含む。対照的に、本発明は平坦な表面を有する磁石を利用し、磁性、および非磁性または異なって磁化された領域が、フレークの整列を引き起こし、磁界整列可能なフレークを有する液体中に画像を形成する単一のモノリシック磁石内にもたらされる。有利には、内部で磁化された平坦なダイまたは磁性印刷用のヘッドもしくは板は、三次元の磁化形態を作成および使用することに関連した問題を排除する。平坦なダイは基板と緊密に接触させることができ、および、圧力がかけられても、結果は実質的に同じである。このことは、三次元で浮き彫りにされた、または、彫り込まれた磁性印刷版には成り立たない。同様に、印刷された画像内の境界は、浮き彫りにされた、または、窪みをつけた磁性印刷版の場合よりも、容易に鋭くされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0024】
表面に沿って複数の領域を有する磁化可能複合材料を含む印刷版であって、1つまたは複数の第1の領域における前記磁化可能複合材料が、選択的に磁化され、それによりシート表面を横切る前記1つまたは複数の第1の領域が所定の方向をもつ第1の磁界を提供し、および、前記1つまたは複数の第1の領域がロゴ、証印、または、対象物の画像を形成し、および、1つまたは複数の他の第2の領域における磁性材料が、磁界において差異を提供するために、磁化されていないか、あるいは、前記1つまたは複数の第1の領域とは異なって磁化される、印刷版が提供される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、以下のステップを含む磁石を形成する方法が提供される。
【0026】
磁化可能な材料の本体を設けるステップ、
【0027】
磁化可能材料のシートまたはブロックの一面に隣接した磁化用ダイの外向きに向いている磁気的に伝導性の表面を露出させるステップ、および、磁化用ダイの外向きに向いている金属表面の表面形状(feature)に従う磁化可能材料内に磁石を形成するために磁化用ダイを介して磁荷を印加するステップ。
【0028】
追加の実施形態において、本発明は印刷版を提供するものであり、ここで
【0029】
複合材料は材料のシートまたはブロックである。
【0030】
ここで、1つまたは複数の第1の領域は記号または識別可能な証印の形で磁化されている。
【0031】
ここで、1つまたは複数の第2の領域は、1つまたは複数の第2の領域に隣接した印刷用インクまたは塗料中のフレークが平坦に定置されるか、または、コーティングされているシート上に直立することを可能にするために、実質的に均一な形で磁化されている。
【0032】
ここで、シートは複合材料の柔軟なシートである。
【0033】
ここで、複合材料は、硬化された樹脂バインダ内にRe−Fe−Bの磁性粉を含む等方性または異方性の柔軟な材料である。
【0034】
ここで、複合材料のシートは、シートの作用部分に沿って、および、これの内部に均一に分布された磁化可能材料を含み、第1の領域が、シートの表面に沿った他の領域にはないか、または、シートの表面に沿った他の領域から発出する磁界とは強度または方向が異なる第1の領域から発出する第1の磁界を形成するように、シートの1つまたは複数の第1の領域の1つの第1の領域は、第1の領域内の複合材料を介した磁界の印加により所定の方法で磁化される一方、シートに沿った一部の他の領域を介して磁界を印加することを排除している。
【0035】
ここで、1つまたは複数の第2の領域は第2の磁界を有し、第2の磁界の磁力線は第1の磁界の磁力線とは異なって配向されている。
【0036】
ここで、印刷版は液体または粘性の塗料またはインク中の磁界整列可能フレークを整列させる際に使用するためのものであり、印刷版の作用部分は、印刷版の第2の領域を覆う基板上のフレークとは対照されて見られる記号または識別可能な図形の形態になった証印を形成するためにフレークを整列させるような形で、第1の領域を覆う基板上に第1の磁界がフレークを整列させるように使用される。
【0037】
ここで、第1の領域は、第1の領域の周辺でシートの表面を、所定の形状を有し、および、磁荷を有する外部表面を有する金属ダイと接触させることにより磁化されている。
【0038】
ここで、ダイの外部表面上の金属の形状は、複合シート材料中の磁性材料中に画像形成される。
【0039】
ここで、ダイから発出する磁界は磁性材料の第1の領域内に複製される。
【0040】
ここで、ダイの外面はシートの表面に接触している第1の金属領域を有し、ダイの外面上の他の領域はシートの表面から間隔を空けられている一方、第1の金属領域はシートと接触している。
【0041】
印刷版は、第1の金属領域が記号、ロゴ、または、識別可能な文もしくは文字を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の例示的実施形態は、図面を参照して説明される。
【0043】
図1aから1fの従来技術を参照すると、図1aに彫り込まれた磁石が示されており、この磁石は、磁気的に整列可能な粒子またはフレークを含む水気のあるインクまたは塗料でコーティングされた基板内に印刷物を形成するために使用される。基板がインクまたは塗料でコーティングされた後、基板の下方に磁石10が定置され、インクまたは塗料中のフレークは磁力線に沿って整列し、数字「20」を形成する。図1cにおいて、青い担体媒介物中の銀のような外観を有する反射性フレーク、例えば、Niが、数字「20」を形成するために整列させられる。フレークはダイの色に染まったように見え、「20」の背景内および数字自体の中のフレークは暗い外観を有する。これは、フレークが直立していて、見られ得るものは直立しているフレークの間の空間内の暗い青色担体媒介物だけであるためである。同様の効果は図1dにも示されており、同図では、色シフト・フレークが使用されている。彫り込まれた磁石から、紙製基板を介して発している図1fの磁界は、紙面にほぼ垂直である。そのため、「20」の輪郭に沿ったものを除くほとんどのフレークは直立している。彫り込みの周辺の磁力線は曲げられており、フレークは、識別可能な「20」を作り出すためにこの曲がった磁界において整列する。反射性フレークは、基板に沿って平坦に定置すると、光を反射しやすく、かつ、明るく見えやすい。反射性フレークは、基板上で直立すると、自身に入射した光を反射できない。なぜなら、反射するように定置されているのはフレークの辺縁部だけであり、フレークの平坦な反射性表面ではないからである。これは、本実施形態の短所である。図1cおよび1dの色シフト性かつ反射性のフレークのほとんどは暗い背景として姿を見せている。
【0044】
磁石を物理的に彫り込むことは費用のかかる活動であり、これまで述べたように、磁界に対する制御は限られている。例えば、図1aから1dにおいて、彫り込まれた部分を除き磁界が均一であり、かつ、直立していることが理解できる。このことはしばしば望ましくない。図1eに示された磁性シートの彫り込みでさえ、作成するためには費用がかかり、かつ、時間もかかる。さらに、誤差も制御され得ない。一旦材料が除去されれば、除去は永久のものとなる。
【0045】
図2aから2dの従来技術にあるシート磁石20を使用することにより形成された印刷画像は、図1aから1dにおける画像から反転されたものである。彫り込まれた磁性シートは彫り込まれているというよりも、磁性シートは、磁石内の低い窪みから突出しているように見える数字「20」の周囲が浮き彫りになっている。図2eにおける磁界のシミュレーションは、磁力線が「20」および背景領域において垂直であることを示している。磁力線は窪みの辺縁部周辺で湾曲している。その結果、磁性粒子は「20」の頂部上でこれらの特定の領域内では基板に垂直となり、かつ、印刷物の底部および頂部において暗い線となっている。しかし、紙と窪み内の磁石の頂部との間の距離のせいで、窪みの上方の水気のあるインクの領域における磁界は非常に弱い。このような弱い磁界は粒子を整列させず、粒子は水気のあるインク媒介物の層内で非配向されたまま留まる。発生される光学効果は、非均一な明るい背景および暗い「20」を示す。
【0046】
本発明の実施形態は図3aから3dに示されている。図1aから2dに示された磁石およびサンプルに対する大幅な改良があると確信される。図3aにおいて、磁石30bが示され、同図において、数字「20」の形状を有する領域に閉じ込められた磁荷は、ダイ32aから磁石30bに転送され、磁性材料自体中に形成された数字「20」の形状に閉じ込められた領域内に磁石を形成する。軟鋼製の2つのダイ32aおよび32bは、1つのダイ32aが突き出した数字「20」を有し、かつ、他の1つが数字「20」の鏡像を有するように組み立てられている。双方のダイは、図3fに示されるように、ダイの間に配置された非磁化シート30aと接触させられる。シート30aは、強力な磁界または磁荷に露出されれば、磁化され得る非磁化の柔軟で平坦な磁性複合体である。
【0047】
図3fにおいて、ダイ32a、32bは、磁化が印加される前の柔軟磁性複合体30aとの定位置に示されている。
【0048】
図4を参照すると、磁化領域が示されている。磁性領域109の線形アレイは板またはシート104上に示されている。各磁性領域はシート104に接触しているダイ105および106の形状に対応した形状の内部磁性構造体を有している。この領域の磁化は、図4に示された双極磁化器または図5および図6に示された単極磁化器のいずれかにより行なわれ得る。磁化器101のN極シュー(shoe)102およびS極シュー103は、非磁化柔軟材料104のシートに沿ってXY座標上を、かつ、上下に移動できる。別法として、シート104は磁石のシュー間を移動してもよい。この実施形態においては、柔軟材料104とシュー102および103との間に相対的な運動が必要となる。別法として、シート104が瞬間的に停止し、ダイ105および106がシート104に対して軽く押圧され、約1秒後に除去される往復ホットスタンプ加工の様な形で、磁極が機能することもできる。整形されたダイ105および106は柔らかい磁性材料から作製される。ダイ106は、図3のダイ32aおよび32bと同様の形でダイ105の鏡像とされている。ダイはシューに装着され、シュー102および103の間の距離の調整により、柔軟な磁石と接触させられ得る。板104の磁化の処理において、ダイを備えたシューは磁化されることが必要な場所に板に沿って移動し、ダイを備えたシューは板104を介して互いと密に接触させられる。磁化器101のパワーはダイ間に磁界を生成するように入れられる。生成された磁界は、板の表面に垂直な磁化方向において領域107内で板104を磁化する。このような単一の磁化処理の典型的な時間はほぼ1秒間である。磁化領域107の形状はダイの形状を有している。特定の領域の磁化の完了後、シューは広がり離れて、板の他の位置に移動し、磁化領域109間に非磁化区域108を残す。ほとんどの場合、ダイは板と接触する浮き出し構造体、すなわち、数字「20」を有している。ダイの彫り込まれた領域は、磁界の発生源と板の間により近い、または、より遠い距離をもたらす。このことは、板を介した傾きのある磁界を使用する磁化の生成を可能にする。
【0049】
図4に示された双極磁化器の代わりに、図5に示された2つの単極電磁石が同じ磁化効果をもたらすことができる。
【0050】
図5を参照すると、一連の支援電磁石201および202が電源装置203および204ならびにコンピュータ205への回路に接続されており、コンピュータ205は板206に沿った磁石の位置決めおよびスイッチの入り切りをもたらす。整形されたダイ206および207は磁石201の底部および磁石202の頂部に装着されている。磁石201および202は、各自の軸が一致して板203の両面に整列されている。磁石は板205に沿ってX−Y座標上を移動する。磁化が必要とする場所において、両磁石は、両磁石が板205の厚さのみによって隔てられるほどに近く、互いに向かって近寄る。通電され、磁石は、板の選択的領域を1秒間で磁化する磁界を発生する。この処理の完了の後、磁化領域208を残して磁石は別の位置に移動する。
【0051】
単極磁石も板を磁化できる。そのようなシステムのレイアウトが図6に示されており、同図において、電磁石201は電源装置203およびコンピュータ205に接続されている。基板205はダイ207の形状を繰り返している磁化領域208を有している。
【0052】
N極およびS極の磁化器が、両者の間に挟まれた平坦な磁化可能材料を有して設けられている図3および図4を再び参照すると、図7はそのような構造を介した磁界のコンピュータ・シミュレーションのシミュレーションを示し、磁気チャージャー(磁化器)の内部に定置されたそのような構造が、「非磁化磁性複合材の磁化処理中の磁界」に関係して示されている。磁界が磁気伝導体として機能するダイの中へ、かつ、これを介して流れ、かつ、平坦なシートの周囲の領域を実質的には磁気充填せずにダイ間に囲い込まれている平坦な磁性材料の領域を介してほとんど流れることが絵から明らかである。シート全体に沿った磁束密度の大きさは図の下方に示されている。
【0053】
図8は、図3fの金属シューまたはダイを備えた図7において作製されたシート30から発出する磁界を示している。磁性粒子を含む水気のあるインクを備えた基板が、磁性ゴムのシートにおいて選択的に磁化された数字「20」を備えた磁石30の頂部上の基板上に定置されると、背景は明るく、かつ、滑らかとなり、上記20は暗く、かつ、高度に目視可能となる。このことは、浮き彫りされた、または、彫り込まれた磁石を使用して作成されたこれまでに示された従来技術の工作物の大きな長所である。シート81の磁化された部分はほとんどが垂直の磁力線を備えて示されている。磁力線82は磁石30の上方の空気中の空間83内のシートから発出する。シート84の非磁化部分は磁力線がなく示されている。
【0054】
図9aから9fを参照すると、代替の構成および印刷方法が示されており、これらによれば、2段階の工程が適用されている。図9aにおいて、シート磁石93は内部に磁気的に符号化された数字20を有して示されている。フレークをシート磁石93に整列させた後、利用される磁化シート91aが示されている。結果として得られる画像は図9cおよび9dに示されている。工程の2つのステップは、図9eおよび9fにより明確に示されている。図9eにおいて、浮き彫りされた数字20を備えたダイ90aおよび90bは、数字20の符号化を使用してシートを磁化するために使用される。その後、同じ磁性シートは2つの磁石91aおよび91bにより磁化される。結果として得られる磁化シート磁石は、図9cおよび9dに示されたサンプルの双方においてフレークを整列するために使用された。理解の容易さおよび簡略化のために、磁荷源は示されず、90a、90b、または、91aもしくは91bに接続されているが、これは必要である。別法として、シート93を磁化するために90a、90b、91a、および、91bの形態になった非常に強力な永久磁石を使用することができる。
【0055】
図10は、シート内の磁石が双極配向を持つ磁化シート93内の磁界を示している。
【0056】
図12は本発明の代案実施形態であり、同図において、「冷蔵庫磁石」または磁化前磁石は再磁化され、所望の領域となる。「20」の画像および磁化の線は実際には見られないが、図12は、磁石が示されたブロックまたはシート内のどこにあるかを示している。図13は、図10に示された磁石を使用して印刷された画像の図である。「冷蔵庫」磁石内に示された磁化の線は、画像内のフレークが磁界の線に沿って整列されるに従い図13の画像に複製されている。
【0057】
数字20は、非常に強力な永久磁石を使用して、あるいは、1つまたは複数のダイを介して磁荷を誘導することにより冷蔵庫磁石中に磁化され得る。「冷蔵庫」磁石が、一般に、同じモノリシック磁石のブロックまたはシート内にある磁石の間隔を空けられた列を有して磁化されていることに注意されたい。示されたように、これらの磁石は、同磁石が、数字もしくは文字もしくはロゴ、または画像などの証印を使用して磁気的に符号化されるように、再磁化することができる。
【0058】
対照的に、従来技術の図11は、硬い磁性ブロックを形成する数字「1」を作成する複雑な作業を示している。この事例において、ダイは硬いブロックから切り出されなければならない。もしダイが不正確に切り出されたなら、または、もし磁石が慎重に扱われないなら、ダイは破損またはひび割れし得る。
【0059】
対照的に、柔軟な磁石内に形成された磁石は、非常に堅牢であり、かつ、製造が容易である。磁性形状は磁界を使用して作成され、磁石は柔軟である。
【0060】
当然、多数の他の実施形態が、本発明の精神および範囲から逸脱せずに考えられ得る。
【0061】
これまでに説明された実施形態において、磁性シートまたはブロックが磁気的に整列可能なフレークを整列させるために使用されている印刷が説明された。様々な種類のフレーク、例えば、反射性フレーク、多層フレーク、色シフト・フレーク、回折性フレーク、隠れた特徴を有するフレーク、高度に吸収性のフレーク、および、磁界において整列され得るいかなる他の形態のフレークが使用できることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1aは彫り込まれた数字「20」の画像中のフレークを整列させる際に使用するためのその数字「20」を有する彫り込まれた磁性印刷版の従来技術を示す図である。図1bは図1aに示された磁石の側断面図である。図1cは「20」の周辺の実質的に直立している粒子の結果として背景が暗くなっている青インクの担体中の磁界整列可能反射性フレークと共に印刷用磁石を使用することにより作成された画像「20」を示す図である。図1dは「20」の周辺の実質的に直立している粒子の結果として背景が暗くなっている図1cの画像と同様の画像を示す図である。図1eは図1cおよび1dに示された画像などの画像を作成するためのシートの形態になった彫り込まれた磁性板の図である。図1fは図1eに示された彫り込まれた磁石から出現する磁界の断面図である。
【図2】図2aは彫り込まれた数字「20」の画像中のフレークを整列させる際に使用するためのその数字「20」を有する浮き彫りされた印刷用磁石の従来技術を示す図である。図2bは図2aのダッシュ線に沿って取られた図2に示された磁石の側断面図である。図2cは青インクの担体中の磁界整列可能反射性フレークと共に印刷用磁石を使用することにより作成された画像「20」を示す図である。図2dは「20」の周辺の実質的に直立している粒子の結果として背景が暗くなっている、図2cの画像と同様の画像を示す図である。図2eは図2cおよび2dに示された画像などの画像を作成するための彫り込まれた磁性シートから出現する磁界の断面図である。図2fは図2aに示されたものと同様の浮き彫りされた磁性印刷版の詳細図である。
【図3】図3aは金属ダイおよび磁化可能シートを示す本発明の実施形態を示す図である。図3bは図3aに示された磁石およびその磁石の2つの側面上の2つのダイの側断面図である。図3cは背景が高度に反射性であり、かつ、数字「20」に対して高度に対照的になっている、青インクの担体中の磁界整列可能反射性フレークと共に印刷用磁石を使用することにより作成された画像「20」を示す図である。図3dは「20」の領域の外の粒子の多くが実質的に平坦である結果として背景が明るい、図3cの画像と同様の画像を示す図である。図3eは図3cおよび3dに示された画像などの画像を形成するために磁化されたシートが使用され得るように、図3aに示された磁化可能シートを磁化するために使用される2つのダイを示す図である。図3fはダイを充電するために必要な電子回路が示されていない磁化の準備ができた磁性シート材料のいずれかの側面上に定置された1対のダイを示す図である。
【図4】磁化可能材料のシートがシートに沿った所定の位置で磁化され、磁化された領域間に未磁化領域を有する双極磁化ステーションを示す図である。
【図5】磁化可能材料のシートを磁化するための単極磁化器を有する磁化ステーションの代案実施形態を示す図である。
【図6】磁化可能材料のシートを磁化するための単一のダイを有する磁化ステーションの代案実施形態を示す図である。
【図7】ダイおよびシート磁化可能材料を介して伝播する磁力線を示し、かつ、磁化可能シートに沿った磁束密度の大きさをさらに示す図である。
【図8】磁化されているシートから伝播する磁力線を示し、かつ、磁化された領域の周囲の領域における磁界の不在を示す図である。
【図9】図9aはインクおよび塗料で画像を印刷する際に使用するための2つの異なった磁性ダイおよび磁化可能シートを示す図である。図9bは断面図である。図9cは図9aの磁化シートおよびシートを磁化するための2つの異なったダイを使用して印刷された画像を示す図である。図9dは図9aの磁化シートおよびシートを磁化するための2つの異なったダイを使用して印刷された画像を示す図である。図9eは端面から突き出している数字「20」を有する2つのダイで磁化された後の複合材シート・ゴム磁石を示す図である。図9fは図9eの磁化シートの選択的磁化を示す図である。
【図10】図9cおよび9dの画像を印刷するために使用された双極配向を有する磁化シートからの磁界を示す図である。
【図11】ダイを数字「1」の形状に切削するための磁性ブロックの従来技術を示す図である。
【図12】再磁化されたシート磁石の図である。
【図13】図12の再磁化されたシート磁石で形成された画像を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10、30b、91a、91b 磁石
20、30、30a シート磁石
32a、32b、90a、90b、105、106、206、207 ダイ
81、84 シート
82 磁力線
83 空間
91 磁化シート
93 シート磁石
101 磁化器
102、103 シュー
104 板またはシート
107 領域
108 非磁化区域
109 磁性領域
201、202 電磁石
203、204 電源装置
205 コンピュータ
208 磁化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に沿って複数の領域を有する磁化可能複合材料を含む印刷版であって、1つまたは複数の第1の領域における前記磁化可能複合材料が、選択的に磁化され、それによりシート表面を横切る前記1つまたは複数の第1の領域が所定の方向をもつ第1の磁界を提供し、および、前記1つまたは複数の第1の領域がロゴ、証印、または、対象物の画像を形成し、および、前記第1の領域を取り囲む1つまたは複数の他の第2の領域における磁性材料が、磁界において差異を提供するために、磁化されていないか、あるいは、前記1つまたは複数の第1の領域とは異なって磁化される、印刷版。
【請求項2】
前記複合材料が連続した滑らかな上部表面を有する材料の平坦なシートであり、および、前記第1の磁界が前記滑らかな上部表面から発出する請求項1に記載の印刷版。
【請求項3】
前記1つまたは複数の第1の領域は記号、または、識別可能な証印の形態に磁化されている請求項2に記載の印刷版。
【請求項4】
前記1つまたは複数の第2の領域は、前記1つまたは複数の第2の領域に隣接した印刷用インクまたは塗料中のフレークが平坦に定置するか、あるいは、それらがコーティングされているシート上に直立することを可能にするために、実質的に均一な形で磁化されており、および、前記記号または識別可能なロゴは前記1つまたは複数の領域を画定する1つまたは複数の曲線を有する請求項3に記載の印刷版。
【請求項5】
前記シートは複合材料の柔軟なシートであり、および、前記第2の領域内の磁界は、前記滑らかな上部表面から発出する請求項4に記載の印刷版。
【請求項6】
前記複合材料は前記シート全体に実質的に均一に分布された磁性の磁化可能材料を含む請求項2に記載の印刷版。
【請求項7】
複合材料の前記シートは、前記シートの作用部分に沿って、および、これの内部に均一に分布された磁化可能材料を含み、前記シートの前記1つまたは複数の第1の領域の第1の領域は、前記第1の領域が、前記シートの前記表面に沿った他の領域にはないか、または、前記シートの前記表面に沿った他の領域から発出する磁界とは強度もしくは方向が異なる前記第1の領域から発出する第1の磁界を形成するように、前記第1の領域内の前記複合材料を介した磁界の印加により所定の方法で磁化される一方、前記シートに沿った一部の他の領域を介して前記磁界を印加することを排除する請求項1に記載の印刷版。
【請求項8】
前記1つまたは複数の第2の領域は第2の磁界を有し、および、前記第2の磁界の磁力線は前記第1の磁界の磁力線とは異なって配向される請求項7に記載の印刷版。
【請求項9】
前記印刷版は液体または粘性のある塗料またはインク中の磁界整列可能フレークを整列させる際に使用するためのものであり、および、前記印刷版の前記作用部分は、前記印刷版の前記第2の領域を覆う基板上のフレークとは対照されて見られる記号または識別可能な図形の形態になった証印を形成するために前記フレークが整列するような形で、前記第1の領域を覆う前記基板上に前記第1の磁界が前記フレークを整列させるように使用される請求項8に記載の印刷版。
【請求項10】
前記第1の領域は、前記第1の領域の周辺で前記シートの表面を、所定の形状を有し、および、磁荷を有する外部表面を有する金属ダイと接触させることにより磁化される請求項7に記載の印刷版。
【請求項11】
前記ダイの前記外部表面上の前記金属の形状は、前記複合シート材料内の前記磁性材料内に画像形成される請求項7に記載の印刷版。
【請求項12】
前記ダイから発出する磁界は前記磁性材料の前記第1の領域内に複製される請求項8に記載の印刷版。
【請求項13】
前記ダイの前記外部面は前記シートの前記表面に接触している第1の金属領域を有し、および、前記ダイの前記外部面上の他の領域は前記シートの前記表面から間隔を空けられている一方、前記第1の金属領域は前記シートと接触している請求項8に記載の印刷版。
【請求項14】
前記第1の金属領域は記号、ロゴ、または、識別可能な文もしくは文字を形成する請求項11に記載の印刷版。
【請求項15】
前記第1および第2の領域は視覚的には区別可能ではなく、および、これらの領域における前記シートの前記上部表面は同じに見える請求項5に記載の印刷版。
【請求項16】
a)磁化可能な材料の本体を設けるステップと、
b)磁化可能材料のシートまたはブロックの一面に隣接した磁化用ダイの外向きに向いている磁気的に伝導性の表面を露出させ、および、前記磁化用ダイの前記外向きに向いている金属表面の表面形状に従う前記磁化可能材料内に磁石を形成するために前記磁化用ダイを介して磁荷または磁界を印加するステップと、を含む磁石を形成する方法。
【請求項17】
前記材料の本体はシートまたはブロックであり、および、前記ステップb)は前記磁化用ダイの前記外向きに向いている金属表面の最外表面を前記磁化用材料のシートまたはブロックの前記面と接触させるステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記磁化用ヘッドの前記外向きに向いている表面は非平面であり、および、前記ステップb)は前記非平面表面を前記磁化可能材料の本体の前記面と接触させるステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記磁化用ヘッドの前記外向きに向いている表面は画像、ロゴ、または、証印を形成する請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記画像、ロゴ、または、証印は、前記シート内の前記磁石が前記画像、ロゴ、または、証印への対応を有する磁界をもたらすように、前記シートの一部内に画像形成される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記画像、ロゴ、または、証印は、前記シート内に形成された前記磁石が前記画像、ロゴ、または、証印に対応する形状に、基板上でその上に定置された磁界整列可能なフレークを整列させる磁界をもたらすように、前記シートの一部内に画像形成される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
同じ方向に整列された40%を超える磁力線を有する磁化シート磁石を設けるステップと、
ロゴ、証印を画定する非平面外部金属表面を有する磁化用ダイを設け、外部金属表面の最外部分を前記磁化シート磁石の領域に接触させる一方、前記領域内の磁界を変化させるために前記ダイを介して、および、前記磁化シートの前記領域内に磁荷を印加するステップと、を含む柔軟な磁性印刷版を形成する方法。
【請求項23】
前記材料の本体はシートまたはブロックであり、および、ステップb)は、前記磁化用ダイの前記外向きに向いている金属表面の最外表面を前記磁化用材料のシートまたはブロックの前記面と接触させ、および、同時に、シートまたはブロックの向かい合う面を前記磁化用ダイの鏡像である第2の磁化用ダイと接触させるステップを含む請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−176155(P2007−176155A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−310355(P2006−310355)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】