説明

光学媒体の情報アクセス制御

【課題】 光学媒体に記憶されている情報へのアクセスを制御する。
【解決手段】 ドライブ100は、ドライブコントローラ102、フォトセンサアレイ1
04、対物レンズ106、および光ディスク媒体108を備える。レンズは、光ディスク
の表面から反射したレーザ光をフォトセンサアレイ上に合焦させる。ドライブコントロー
ラはフォトセンサアレイから信号を受け取り、レンズ106の焦点を制御する。ホスト1
16はデータをドライブコントローラに送ると共に、ドライブコントローラからデータを
受け取る。ドライブは、ホストの一部、たとえばコンピュータシステムやエンターテイメ
ントシステムの内部ドライブであることができる。別法として、ドライブはホストの周辺
にあり、ケーブル、ネットワークを介して、またはワイヤレスに情報を転送することがで
きる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、情報の記憶に使用される光学媒体および情報の記憶に使用され
る光学媒体を読み出すドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
状況によっては、光学媒体(たとえば、光ディスクや光カード)のドライブは、普通な
らば互換性のある光学媒体上のデータへのアクセスを拒絶するように設計することができ
る。
たとえば、エンターテイメントコンテンツを有する光ディスクによっては地理的制限が
あるものがあり、特定の地理的領域において販売されるドライブが、その特定の地理的領
域内での流通が意図されていない媒体の読み出しを拒絶する場合がある。
別の例として、コピープロテクションのために、ドライブは不適切な媒体上にあるデー
タの読み出しを拒絶する場合がある。
たとえば、何らかのタイプのデータは読み取り専用媒体上にのみ合法的に存在すること
ができ、ドライブは、そのデータが書き込み可能媒体上にある場合にアクセスを拒絶する
ことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学媒体に記憶されている情報へのアクセスを制御する継続したニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ドライブは、光学媒体上の第1の表面からの情報の転送を、必要とされる情報が媒体の
第2の表面上に存在しない場合に拒絶する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1および図2では、光ディスクを例として使用する。
本発明は、光カード等、他の光学媒体にも同等に適用することが可能である。
図1では、ドライブ100は、ドライブコントローラ102、フォトセンサアレイ10
4、対物レンズ106、および光ディスク媒体108を備える。
レンズは、光ディスクの表面から反射したレーザ光をフォトセンサアレイ上に合焦させ
る。
ドライブコントローラはフォトセンサアレイから信号を受け取り、レンズ106の焦点
を制御する。
ホスト116はデータをドライブコントローラに送ると共に、ドライブコントローラか
らデータを受け取る。
ドライブは、ホストの一部、たとえばコンピュータシステムやエンターテイメントシス
テムの内部ドライブであることができる。
別法として、ドライブはホストの周辺にあり、ケーブル、ネットワークを介して、また
はワイヤレスに情報を転送することができる。
【0006】
図1における光ディスク媒体は、外部表面110を備えた保護外層および少なくとも1
つの内部データ表面112、114を有する。
複数のデータ表面がある場合、レンズに最も近い内部データ表面は部分的に反射性を有
する。
図1では、レンズ106は内部データ表面112に焦点を有するものとして示されてい
る。
参照番号106Aおよび106Bは、焦点が内部データ表面114または(任意選択で
)外部表面110のそれぞれに位置決めされることになる2つの代替の位置に位置決めさ
れたレンズ106を示す。
【0007】
媒体によっては、少なくとも1つのデータ表面上のデータを媒体から読み出してホスト
に送るために、補助的な情報が存在し、ドライブにより可読である必要がある。
ホスト116が、補助的な情報の存在を必要とする光ディスク媒体の内部データ表面1
12、114のうちの少なくとも一方からのデータを必要とする場合、ドライブコントロ
ーラ102は、ドライブが別の表面110、112、114上の必要とされる補助的な情
報を読み出すことができない場合は、必要なデータをホストに提供することを拒絶する。
たとえば、ドライブは、必要とされる情報がデータ表面112上に存在し可読であるの
でない場合はデータ表面114からのデータの外部転送を拒絶することができる。
【0008】
ドライブは、補助的な情報が必要とされることを先験的に知ることができ、または補助
的な情報が必要とされるか否かを媒体から判断することができる。
たとえば、補助的な情報の必要条件(requirement)は規格の一部として指定する、ド
ライブコントローラにおけるファームウェアによって判断する、または媒体の少なくとも
1つの表面上の情報により指定することができる。
1つの代替として、ドライブは、特定の媒体が読み出し中であるときに、必要とされる
情報を常にチェックするようにプログラムすることができる。
たとえば、書き込み可能媒体が読み出し中であるときは常に、ドライブは、必要とされ
る補助的な情報が存在するか否かを自動的に判断することができる。
別法として、少なくとも1つの内部データ表面112、114上の情報は、補助的な情
報が少なくとも1つの他の表面上に存在する必要があり、かつ補助的な情報がドライブに
より可読でなければならないという指示を含むことができる。
たとえば、内部データ表面112上の情報は、補助的な情報が外部表面110に存在す
る必要があり、かつ外部表面上の補助的な情報がドライブにより可読でなければならない
ことを示すことができる。
別法として、たとえば、内部データ表面112上の情報は、補助的な情報が内部データ
表面114上に存在する必要があり、かつ内部データ表面114上の補助的な情報がドラ
イブにより可読でなければならないことを示すことができる。
【0009】
補助的な情報は、単一のシンボル、複数のシンボル、またはデータであることができる

同様に、補助的な情報の必要条件が媒体の表面上の情報により判断される場合、補助的
な情報の必要条件を示す情報もまた単一のシンボル、複数のシンボル、またはデータであ
ることができる。
補助的な情報はたとえば、地理的領域を表すシンボル、またはたとえば、コピーコント
ロール情報を示すデータであることができる。
補助的な情報はディスクのすべてのコピーで同一であっても、または可変であってもよ
い。
たとえば、補助的な情報は、個々の媒体毎に一意のシリアルナンバーであることができ
る。
補助的な情報が必要なことを示す情報は、補助的な情報のいくつかの特徴を指定しても
、またはしなくてもよい。
たとえば、1つの表面上のシンボルの存在により、不特定の情報が別の表面上に存在し
なければならないことを示すことができる。
たとえば、シンボルの存在により、ドライブコントローラファームウェアをトリガして
、ドライブコントローラファームウェアに指定されたフォーマットおよびロケーションを
有する補助的な情報を探すことができる。
別法として、たとえば、内部表面上の情報が、特定のシンボル(たとえば、商標または
企業ロゴ)が存在しなければならないことを指定する、または特定の特徴を有するデータ
(たとえば、指定数のビットまたは桁を有するシリアルナンバー、またはデータ表面上の
データの特定のチェックサム)が存在しなければならないことを指定することができる。
【0010】
図2は、図1に示す光ディスク108をさらに示すと共に、外部表面110上に補助的
な情報の2つの例を示す。
ディスクは、取付穴200および外縁202を有する。
内部表面上のデータ(図1、112、114)は、内径204と外径206の間のエリ
アに存在する。
図2は、外部表面110上のバーコードデータ208、210の形態の補助的な情報の
2つの例を示す。
バーコードデータ208は、内部表面上のデータの外径206外にある。
バーコードデータ210は、内部表面上のデータの内径204内にある。
バーコードデータ208、210のフォーマットは重要ではない。
バーコードデータ208は、バーの幅にエンコードされた情報の例を示す。バーコード
データ210は、バーの間隔にエンコードされた情報の例を示す。
【0011】
図2はバーコードにエンコードされる補助的な情報を示すが、一般に、唯一の必要条件
はドライブにより可読な情報であることである。
光学的に検出可能なマークまたはシンボルは多くの異なる方法で実施することができる

たとえば、外部表面の場合、マークまたはシンボルはラベルにより外部表面に貼り付け
ても、外部表面上に直接プリントしても(たとえば、インクジェットプリンタを使用して
、またはシルクスクリーニングにより)、または外部表面にエッチングしても(化学的に
、または高出力レーザの使用により)よく、または外部表面の一部を感光材料で被覆して
、次いで、マークまたはシンボルを画定するパターンに露出した後に感光材料を化学的に
現像しても、不透明または反射性材料で被覆して、被覆を部分的に除去してもよい(たと
えば、化学的に、または高出力レーザを使用してアブレーションにより)。
2003年7月10日出願の米国特許出願第10/618,115号には、光記憶媒体
上の光学的に検出可能なマークについての様々な代替が開示されている。
【0012】
外部表面上の補助的な情報を読み出すには、レンズを外部表面上に焦点合わせする必要
がない場合があることに留意する。
外部表面上の補助的な情報(シンボルまたはデータマーク)は、内部データ表面上のデ
ータマークよりもはるかに大きい場合があり、したがって焦点合わせされていない場合で
あっても外部表面上の情報を読み出すことが可能な場合がある。
【0013】
補助的な情報、または補助的な情報の必要条件を指定するデータは、内部データ表面上
に存在してもよい。
補助的な情報、または補助的な情報の必要条件を指定するデータは、記録または型押し
されたユーザデータの一部であっても、記録または型押しされたユーザデータ内にエンコ
ードされても、制御データ構造に存在しても、またはグルーブウォブル等、媒体の内部表
面の物理的な属性にエンコードされてもよい。
たとえば、第1のデータを第2のデータ内にエンコードすることができる1つの方法は
、データを誤り修正ブロックの属性内にエンコードするというものである。
たとえば、参照により本明細書に援用される米国特許第6,064,748号および同
第6,278,386号を参照のこと。
データが制御データ構造に存在することができる方法の1つの例は、制御ブロック内の
データである。
たとえば、米国特許第6,330,210号を参照のこと。
制御ブロック内の2ビットフィールドを使用して、補助的データ必要条件およびどの表
面かを指定することができる。
別法として、たとえば、光ディスク媒体によってはグルーブおよびランドを有するもの
があり、データはグルーブ内の正弦波半径方向の変動(variation)にエンコードされる

たとえば、型押しされたDVD媒体は、データブロックアドレスをグルーブウォブルに
エンコードするものもあり、これはADIP(Address In Pre-groove)と呼ばれる。
1つの内部データ表面のデータが、異なる内部データ表面のグルーブウォブルにエンコ
ードされた補助的なデータを指定することができる。
たとえば、内部データ表面上のデータは、エンターテイメントコンテンツ提供業者から
の型押しデータ層においてのみ存在するであろうグルーブウォブルにエンコードされた補
助的なデータを指定することができる。
書き込み可能媒体は、グルーブウォブルにエンコードされた必要な補助的なデータを有
さず、したがって、エンターテイメントデータを書き込み可能媒体から読み出すことがで
きない。
【0014】
図3は方法の例を示す。
ステップ300において、ドライブは、指定の表面からの情報を転送することができる
ようになる前に、補助的な情報が必要であるか否かを判断する。
補助的な情報の必要条件は媒体以外の何らかのものから得ることができるため、ステッ
プ300は別個の明示的な方法ステップとして必要ない場合がある。
たとえば、補助的な情報の必要条件は、すべての媒体の規格の一部として指定すること
ができる。
ステップ302において必要とされる補助的な情報がドライブにより可読である場合、
ステップ304において、ドライブはデータをディスク表面からドライブ外部に転送する

ステップ302において必要とされる補助的な情報がドライブにより可読ではない場合
、ステップ306において、ドライブはデータをディスク表面からドライブ外部に転送す
ることを拒絶する。
【0015】
ドライブから外部に転送されるデータはアナログ情報であってもよいことに留意する。
たとえば、消費者エンターテイメント媒体の場合、ドライブ出力信号はアナログのオー
ディオまたはビデオであり得る。
このような媒体の場合、ドライブは、必要とされる補助的な情報を媒体の1つの表面か
ら読み出すことができない場合にアナログ出力信号の提供を拒絶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施することができるシステムの例を示す。
【図2】2例の情報がディスクの外部表面にある、図1に示す光ディスクの平面図である。
【図3】方法の例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
100・・・ドライブ、
102・・・ドライブコントローラ、
104・・・フォトセンサアレイ、
106・・・対物レンズ、
108・・・光ディスク媒体、
110・・・外部表面、
112,114・・・内部データ表面、
116・・・ホスト、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学媒体(118)であって、
第2のデータ表面のコンテンツにアクセスすることを許可するために第2の表面(110、112、114)上の情報が必要であるという指示(indication)を有する第1のデータ表面であって、前記第1のデータ表面と前記第2の表面とは、異なった交わらない面を占める、第1のデータ表面と、
該第1のデータ表面上の前記指示に対応する前記第2の表面上の情報であって、この情報が読み出され得ない場合に前記第2のデータ表面のコンテンツの提供が拒絶される、前記第2の表面上の情報と
を備える光学媒体。
【請求項2】
前記第1のデータ表面は前記第2の表面と同じ面にある
請求項1記載の光学媒体。
【請求項3】
前記指示は、
制御ブロック内のデータ
を含む
請求項1記載の光学媒体。
【請求項4】
前記指示は、
グルーブウォブルにエンコードされたデータ
を含む
請求項1記載の光学媒体。
【請求項5】
前記指示は、
他のデータ内に埋め込まれたデータ
を含む
請求項1記載の光学媒体。
【請求項6】
前記第2の表面上の前記情報は、
可変情報
を含む
請求項1記載の光学媒体。
【請求項7】
前記第2の表面上の前記情報は、
この光学媒体の一意の識別子
を含む
請求項6記載の光学媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−26455(P2009−26455A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250078(P2008−250078)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【分割の表示】特願2005−40032(P2005−40032)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【出願人】(500391866)デル・プロダクツ・エル・ピー (46)
【氏名又は名称原語表記】Dell Products, L.P.
【Fターム(参考)】