説明

光学式位置検出装置及び再帰性反射板ユニット

【課題】検出面のサイズは、予め用意されたサイズに限られる。
【解決手段】光学式位置検出装置として、(1) 2つのイメージセンサと、(2) 2つのイメージセンサの各近傍位置に配置され、少なくとも撮像範囲を照明範囲に含む光源ユニットと、(3) 2つのイメージセンサの撮像画像に基づいて、検出面を遮る物体の座標位置を三角測量の手法により計算する演算装置と、(4) 装置本体を被取付面に対して着脱可能に取り付ける取付手段とを有するものを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標入力装置を構成する光学式位置検出装置及び再帰性反射板ユニットに関する。特に、任意の被取付面に対して着脱可能な光学式位置検出装置及び再帰性反射板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子黒板(IWB:Interactive White Board)の普及が進行している。IWBでは、指や電子ペン等を入力物体に用い、チョークで文字等を黒板に描画するのと同様の結果を画面上に表示させることができる。また、IWBは、入力物体による操作入力をマウス入力として検出することもできる。
【0003】
IWBは、表示装置と座標入力装置を組み合わせて構成される。入力物体には、例えば指、スタイラスペン、電子ペン等が用いられる。表示装置には、PDP(Plasma Display Panel)、LCD(Liquid Crystal Display)、プロジェクター等が用いられる。座標入力装置には、例えばタブレット式、タッチパネル式、電磁誘導式、超音波式、光学式等の位置検出装置が用いられる。なお、いずれの座標入力装置でも、入力物体の座標計算に、コンピュータ等の演算装置が用いられる。
【0004】
本明細書では、入力物体の像をイメージセンサによって撮像する光学式の位置検出技術を採用する座標入力装置について着目する。イメージセンサを採用する座標入力装置は、描画応答性の良さ、赤外線、太陽光線、温度変化等の外部ノイズに対する耐性の強さから採用数が年々増加している。
【0005】
イメージセンサを利用する座標入力装置を採用する電子黒板に関する特許には、特許文献1及び2がある。この種の座標入力装置は、位置検出装置と再帰性の反射板との組み合わせで構成される。
【0006】
ここで、位置検出装置は、イメージセンサ、光源ユニット、制御基板(演算装置)で構成される。
【0007】
イメージセンサは、検出面の周囲に取り付けられる。イメージセンサを2つ以上設置することにより、検出面上の入力物体を複数の視点位置より撮像することができる。制御基板は、これら複数のイメージセンサから撮像画像を入力し、三角測量の原理により入力物体の位置を計算する。
【0008】
光源ユニットは、LED等の複数の光源の集合体として構成され、各イメージセンサの近傍位置に配置される。各LEDは、検出面を取り囲むように配置された再帰性の反射板に光線を照射する。ここで、再帰性の反射板には、コーナーキューブリフレクタなどの再帰反射性を有する微小構造体を表面に配置した反射テープが一般に使用される。LEDから照射された光線は、再帰性を有する反射テープにより入射方向と同じ方向に反射される。イメージセンサは、この反射光を受光する。すなわち、反射テープの全長を撮像する。なお、検出面に入力物体が接近すると、入力物体が照射光を遮断する。この遮光は、撮像画像上の影として検出される。
【0009】
制御基板(演算装置)は、複数の撮像画像に出現した影の位置を基に、検出面上における入力物体の位置を算出する。
【0010】
ところで、従来型の位置検出装置は、イメージセンサの撮像範囲内に反射テープの全長を収めるために受光面にレンズを設置するのが一般的である。これは、イメージセンサを構成する個々の受光素子の撮像角が数ミリ〜10数ミリ角程度の大きさしかないためである。なお、レンズもそれに見合った大きさとする必要がある。以前は、小さいサイズの広角レンズが存在しなかった。このため、位置検出装置用の撮像レンズには、入手が容易である、画角が90度程度のものを用いることが多かった。
【0011】
このため、イメージセンサを、検出面の左右両端に設置する必要があった。実際、左上隅に設置されたイメージセンサは、検出面の右辺及び下辺に設置された反射テープ面を撮像することができるが、左辺の反射テープ面は画角外となるため撮像することができなかった。同様に、右上隅に設置されたイメージセンサは、検出面の左辺及び下辺に設置された反射テープ面を撮像することができるが、右辺の反射テープ面は画角外となるため撮像することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3931030号公報
【特許文献2】特許第3986710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、従来装置の場合、検出面の面積が大きくなると、左上隅に設置されるイメージセンサと右上隅に設置されるイメージセンサの間の距離が大きくなる。このため、位置検出装置(2つのイメージセンサ、2つの光源ユニット、制御基板(演算装置)の筺体サイズが大型化する問題があった。また、検出面の大きさに応じて、専用の位置検出装置を用意する必要があった。
【0014】
この技術的課題を解決するため、本願出願人は、検出面の大きさによらない位置検出装置を提案している(特願2010−125813号)。すなわち、位置検出装置の水平方向長が、検出面の水平方向サイズに対して短く済む位置検出装置を提案している。
【0015】
この位置検出装置の実現により、1つの位置検出装置を任意の検出面サイズの座標入力装置に使用することが可能になった。ただし、その後も、位置検出装置と再帰性の反射板とを枠体に固定して座標入力装置を構成点には変わりはない。
【0016】
一方で、ユーザーのニーズは多様化しており、必ずしも予め用意された検出面サイズだけでは、ユーザーの使用環境に適さない場合がある。このため、座標入力装置の設置上の制約が少なく、検出面サイズについても自由度の高い構成が求められている。例えば任意の壁面を座標入力装置として利用できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる技術的課題を鋭意検討した結果、発明者らは、以下に示すような光学式位置検出装置及び再帰性反射板ユニットを発明するに至った。
【0018】
すなわち、発明者らは、光学式位置検出装置として、(1) 2つのイメージセンサと、(2) 2つのイメージセンサの各近傍位置に配置され、少なくとも撮像範囲を照明範囲に含む光源ユニットと、(3) 2つのイメージセンサの撮像画像に基づいて、検出面上の照明光を遮る物体の座標位置を三角測量の手法により計算する演算装置と、(4) 装置本体を被取付面に対して着脱可能に取り付ける取付手段とを有するものを発明した。
【0019】
また、発明者らは、光学式位置検出装置と共に座標入力装置を構成する再帰性反射板ユニットとして、(1) 光学式位置検出装置から射出された照明光を再帰性反射する再帰反射性の反射面と、(2) 筺体本体を被取付面に対して着脱可能に取り付ける取付手段とを有するものを発明した。
【0020】
このように、発明者らは、任意の壁面に取り付け可能な光学式位置検出装置と再帰性反射板ユニットを提供する。
【0021】
ここでの再帰性反射板ユニットは、複数本を組み合わせて使用することを想定する。複数本の再帰性反射板ユニットを組み合わせることで、検出面の水平方向サイズと垂直方向サイズの自由度を高めることができる。なお、再帰性反射ユニットにおける反射面の長さは固定長に限られる場合だけでなく、可変長機構を通じて可変できるものであっても良い。
【0022】
さらに、任意の壁面は必ずしも平面度が保たれるとは限らない。そこで、発明者らは、着脱可能に取り付け可能な光学式位置検出装置と再帰性反射板ユニットに、被取付面に対して垂直方向に取り付け高さを調整する調整機構を搭載することを提案する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、任意の壁面を座標入力装置として使用することが可能になる。すなわち、着脱可能な再帰性反射ユニットを自由に組み合わせにより、任意の壁面に、任意サイズの検出面を形成することができる。これにより、設置場所に制約があっても、柔軟に対応することが可能になる。更に、被取付面に対する高さ調整機構を追加した場合には、壁面の凹凸と光学的に実現される検出面とが交差しないように調整できる。かくして、座標入力装置の取り付け範囲を更に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来型の座標入力装置のシステム構成を説明する図。
【図2】従来型の座標入力装置を構成する撮像ユニット、反射テープ、制御デバイスの取付関係を説明する図。
【図3】従来型の座標入力装置による位置検出方法を説明する図。
【図4】形態例に係る座標入力装置による位置検出方法を説明する図。
【図5】位置検出装置の背面構造例を示す図。
【図6】複数の反射板ユニットの壁面への取付例を説明する図。
【図7】反射板ユニットの背面構造例を示す図。
【図8】反射板ユニットの組み合わせによる検出面の構成例を示す図。
【図9】反射テープ長さの調整機構を有する反射板ユニットの概略構成を示す図。
【図10】高さ調整機構による位置検出装置と反射板ユニットの高さ調整による効果を説明する図
【図11】高さ調整機構の例を示す図。
【図12】高さ調整機構の例を示す図。
【図13】高さ調整機構の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明に係る位置検出装置と反射板ユニットを組み合わせて構成する座標入力装置の形態例を説明する。なお、以下に説明する形態例は発明の説明のみに用いるものであり、発明の実施に際しては、周知若しくは公知の技術や機能を組み合わせた様々な形態が考えられる。
【0026】
(電子黒板システムの全体構成)
まず、電子黒板システムの全体構成を説明する。ここでは、形態例に係る電子黒板システムとの違いを明確にするため、最初に従来型の電子黒板システムについて説明する。
【0027】
図1に、光学式の位置検出装置を使用する従来型の電子黒板システムの概要を示す。図1に示す電子黒板システム10は、座標入力装置11と、指示物体12と、演算装置14と、表示装置16とを有している。
【0028】
座標入力装置11は、位置検出装置13と反射テープ15で構成される。前述したように、従来構成の場合、位置検出装置13と反射テープ15は不図示の枠体に固定されている。反射テープ15は検出面の右辺、左辺、下辺の外縁を規定する。
【0029】
位置検出装置13は、制御デバイス131と、撮像ユニット(左)132と、撮像ユニット(右)133とを有している。なお、撮像ユニット132,133は、イメージセンサと光源ユニットで構成される。撮像ユニット(左)132の画角は約90度であり、検出面の右辺と下辺を規定する反射テープ15を撮像範囲とする。一方の撮像ユニット(右)133の画角も約90度であり、検出面の左辺と下辺を規定する反射テープ15を撮像範囲とする。なお、不図示の光源ユニットからは対応する撮像ユニット132及び133の撮像範囲と同じ範囲に赤外線を照射している。
【0030】
反射テープ15は再帰反射性のテープである。従って、反射テープ15に入射した赤外線は、入射方向に反射される。撮像ユニット132及び133は、赤外光のみを受光する。従って、赤外線の入射及び射出光路によって形成される検出面を横切る物体が存在しない場合、撮像ユニット132及び133は、撮像範囲にある反射テープ面のみを撮像する。一方、指や棒等の物体が検出面を横切る場合、物体は撮像画面上の影として撮像ユニット132及び133に撮像される。
【0031】
制御デバイス131は、撮像ユニット132及び133の撮像画像に出現した影の位置に基づいて三角測量の原理に基づいて検出面を横切った物体の座標(X,Y)を計算する。計算された座標(X,Y)は、コンピュータその他の演算装置14に座標情報として送信される。演算装置14は、受信した座標情報に基づいて、描画情報(文字、線、図形等)を生成し、表示装置16に出力する。表示装置16は、図1に示すようにプロジェクターを用いても良いし、PDPやLCD等のフラットディスプレイを用いることも可能である。
【0032】
図2に、撮像ユニット132及び133、反射テープ15及び制御デバイス131の詳細な取付関係を示す。また、図3に、撮像ユニットの機能を示す。図2に示すように、撮像ユニット132及び133は、イメージセンサ134と複数個のLED135とで構成される。LED135は、照射方向が広角になるように複数配置されている。イメージセンサ134にはCCDセンサ、CMOSセンサその他の撮像素子を用い、撮像レンズを通して画像を取得する。
【0033】
イメージセンサ134の近傍位置には、赤外線光源としてのLED135が設置されている。LED135から照射された光は、再帰性の反射テープ15によって入射方向と同じ方向に反射され、反射光がイメージセンサ134により受光される。図3の下段に、検出面の右上隅に配置されるイメージセンサ134の撮像画面例と、検出面の左上隅に配置されるイメージセンサ134の撮像画面例を示す。図3に示すように、撮像画面には物体12(この場合は、先が円錐形状のペン)が影として撮像される。
【0034】
なお、座標読み取りの精度の向上には、イメージセンサ134の光軸とLED135の光軸を一致させる又は近づける必要がある。図2の例では、イメージセンサ134とLED135の取付位置を近接させている。
【0035】
(形態例1)
以下では、形態例に係る電子黒板システムの構成例を示す。形態例に係る電子黒板システムも、座標入力装置201と、指示物体12と、演算装置14と、表示装置15とで構成される。図4に、この形態例に係る電子黒板システムに特有の構成部分である座標入力装置201の構成を示す。
【0036】
形態例に係る座標入力装置201は、任意の壁面141に、位置検出装置230と反射テープ15を着脱可能に取り付けることで構成される。なお、位置検出装置230は、独立した筺体内に、制御デバイス231と、撮像ユニット(左)232と、撮像ユニット(右)233の全てを内蔵した構成を有している。ここで、制御デバイス231の機能は図1の制御デバイス131に対応し、撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233は図1の撮像ユニット(左)132と撮像ユニット(右)133に対応する。
【0037】
ただし、この形態例で使用する撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233の画角は、いずれもほぼ180度である。また、撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233が照明する角度も、いずれもほぼ180度である。なお、撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233は、イメージセンサ134とLED135で構成される。各撮像ユニットは、撮像角度と照射角度の違いを除き、図2に示す構造と同様の構成を有している。
【0038】
この形態例の場合、画角の例として180度を挙げているが、例えば160度以上でも良いし、その他の画角でも良い。いずれにしても、撮像ユニット232及び233は、それぞれの取り付け位置に対して左右両方向を撮像範囲に含み、2つの撮像範囲が重複する領域部分を検出面として使用する。なお、三角測量が可能であれば、例えば180度を超える画角を有していても良い。
【0039】
図4の下段には、検出面の左上隅に配置したイメージセンサ134の撮像画面例と、検出面の右上隅に配置したイメージセンサ134の撮像画面例を示している。この形態例の場合、各イメージセンサ134の撮像角はほぼ180度であるので、検出面の右辺、下辺、左辺に取り付けられた反射テープ15を同時に撮像することができる。図4には、検出面を構成する3辺のうち下辺の反射テープ15を撮像する撮像画面内に物体12の先端が影として撮像された様子を表している。
【0040】
座標入力装置230の背面、すなわち壁面141との対向面には、筺体本体を着脱可能に取り付けるための取付具を配置する。図5に、座標入力装置230の背面構造例を示す。この形態例の場合、座標入力装置230の背面は平坦であり、その背面表面上の3か所に磁石234が配置されている。この背面構造は、壁面141が鉄その他の磁性材を含む場合に適している。なお、取付具には、壁面側に配置した係止具に筺体本体を引っ掛けるタイプのものやネジや釘を用いて壁面に取り付けるものも含むものとする。
【0041】
図5の場合、磁石234は、筺体中央上部の1点と、筺体の左右下段両端の2点に配置する。この際、筺体中央上部に配置する磁石234と、筺体の左右両端に配置する磁石234とでは、取り付け高さをオフセットすることが望ましい。取付高さをオフセットすることにより、取付時の安定性を高めることができる。
【0042】
次に、検出面の左辺、右辺及び下辺を構成する反射面について説明する。具体的には、独立した筺体を有する固定長の複数の反射板ユニット151を直線状に隙間なく並べ、各辺に対応する反射面を構成する。反射板ユニット151は、例えば30cmの固定長を有している。図4の例では、検出面の右辺及び左辺の反射面を4個の反射板ユニット151で構成し、下辺の反射面を5個の反射板ユニット151で構成する場合を表している。
【0043】
図6に、反射板ユニット151の取付例を示す。図6の場合、断面L字形状の本体153に反射テープ152を張り付けた反射板ユニット151を使用する。なお、反射テープ152は壁面141に対して垂直に配置される筺体面に張り付けられている。さらに、図6の場合、壁面側に反射テープ152を配置する。この形態例の場合も、反射板ユニット151の壁面141への取付には磁石を使用する。また、図6は、検出面の下辺を3個の反射板ユニット151で構成し、検出面の右辺と左辺をそれぞれ2個の反射板ユニット151で構成する例を表している。
【0044】
図7に、反射板ユニット151の背面構造例を示す。反射板ユニット151の場合も背面は平坦であり、その背面表面上の2か所に磁石154が配置されている。反射板ユニット151の取付具にも、磁石の他、壁面側に配置した係止具に筺体本体を引っ掛けるタイプのものやネジや釘を用いて壁面に取り付けるものを用いることができる。
【0045】
図7の場合、磁石154は、筺体の左右両端の2点に配置する。この場合も、筺体の中央上部の1点と筺体の左右下段両端の2点に磁石154を配置しても良い。
【0046】
このように、位置検出装置230及び反射板ユニット151をそれぞれユニット構成化したことにより、固定サイズの位置検出装置230を任意の個数の反射板ユニット151と組み合わせて用いることができる。また、任意の壁面141を任意サイズの検出面を有する座標入力装置として用いることができる。
【0047】
図8に、使用例を示す。図8の上段は、検出面の下面を3個の反射板ユニット151で構成し、検出面の右辺と左辺を各2個の反射板ユニット151で構成した座標入力装置を壁面141に形成した例である。図8の中段は、検出面の下面を4個の反射板ユニット151で構成し、検出面の右辺と左辺を各3個の反射板ユニット151で構成した座標入力装置を壁面141に形成した例である。図8の下段は、検出面の下面を8個の反射板ユニット151で構成し、検出面の右辺と左辺を各5個の反射板ユニット151で構成した座標入力装置を壁面141に形成した例である。
【0048】
このように、本形態例の場合には、従来品のように座標入力装置のサイズごとに用意された枠体に位置検出装置を固定する必要がなく、入力エリアのサイズによらず共通の位置検出装置230を使用することが可能となる。また、着脱可能な反射板ユニット151の組み合わせ数を変更すれば、反射板ユニット151の長さ単位で検出面サイズを任意に調整可能な座標入力装置を壁面141に構成することができる。なお、調整単位を小さくしたい場合には、反射板ユニット151の長さが短いものを用意すれば良い。また、位置検出装置230や反射板ユニット151はいずれも壁面141に対して着脱可能であるため、これらを持ち運ぶことで、任意の壁面141を必要に応じて座標入力装置として用いることが可能になる。なお、本形態例では壁面141への取付例を説明しているが、設置環境に応じて任意に作成した枠体に、位置検出装置と複数の反射板ユニット151を取り付けても良い。
【0049】
(形態例2)
形態例1の電子黒板システムでは、固定長の反射板ユニット151を組み合わせて検出面を構成する場合について説明した。
【0050】
この形態例では、反射テープ152を張り付けた筺体の長さを長手方向にスライドできる機構を有する反射板ユニットについて説明する。図9に、反射テープ152の長さを調整可能な反射板ユニット155の構造例を説明する。
【0051】
この形態例に係る反射板ユニット155は、長手方向に断面コ字状(U形状)の外側本体153Aと、その内側に収納され、必要に応じて出し入れ可能な内側本体153Bとで構成される。勿論、外側本体153Aと内側本体153Bの表面には、長手方向に沿って反射テープ152が張り付けられている。また、外側本体153Aと内側本体153Bの取付面には、それぞれ取付具が配置されている。取付具には、例えば磁石を配置する。
【0052】
例えば外側本体153Aの長さが30cmの場合、内側本体153Bは最長で25cmほど引き出すことが可能である。すなわち、反射板ユニット155は、30cmから55cmの範囲で反射テープ152の長さを調整することができる。
【0053】
形態例1でも説明したように、任意の壁面141を座標入力装置として用いようとする場合、設置場所の制約により位置検出装置230や反射板ユニット151の設置条件に制限がある場合がある。しかし、図9に示したように、反射テープ152の長さを任意に調整できる機構を反射板ユニット155に採用することにより、設置場所の制約に柔軟に対応することができる。これにより、形態例1に比して設置場所の制約を少なくすることができる。
【0054】
(形態例3)
形態例1及び2で説明したように、発明者らの提案する位置検出装置230及び反射板ユニット151(155)を用いれば、任意の壁面141に任意のサイズの検出面を有する座標入力装置を形成することができる。ただし、壁面141の平面度は必ずしも理想的な場合ばかりではない。
【0055】
例えば図10に示すように、壁面141に比較的大きな凹凸が存在する場合がある。図10の左図は、撮像ユニット233(LED135)から射出された赤外線が凸部で遮られる場合を表している。光学式の位置検出装置230においては、物体が赤外線を遮光することで発生する影の位置を三角測量の原理を用いて計算するが、左図に示すように赤外線を遮光する凸部があると、算出される座標情報が指示物体の座標情報として誤認識されてしまう。すなわち、座標の位置ズレ等の誤検出が発生する。
【0056】
そこで、この形態例では、壁面141の平面度が保証されていない場合でも、正確な位置検出が可能な座標入力装置を形成することができる位置検出装置230と反射板ユニット151(155)を提案する。
【0057】
具体的には、図10の右図に示すように、位置検出装置230と反射板ユニット151(155)の背面側に壁面141に対して垂直方向に取り付け高さを調整することができる調整機構300を搭載する。この種の調整機構300を位置検出装置230と反射板ユニット151(155)に設けることで、壁面141の凸部が赤外線を遮光するのを避けることが可能になる。
【0058】
最適な高さ調整の後、位置検出装置230は、壁面141の表面状態にかかわらず、指示物体の位置を正確に算出することができる。
【0059】
なお、調整機構には、高さの調整を無段階に実現できる機構やステップ式に実現できる機構を採用することができる。高さは、例えば10mmから15mm程度まで調整できるものとする。
【0060】
例えば図11は、スプリング機構を内蔵する高さ調整機構300の例を示す。この調整機構は、ステップ式の調整機構の例である。図11の高さ調整機構300は、取付具(磁石234)の裏面に一端が固定された外側筒状部材301と、その内部に沿ってスライド可能であり一端が位置検出装置230又は反射板ユニット151(155)に固定された内側筒状部材302と、外側円筒部材301の内側に収容され、ばね力により内側筒状部材302の端面に反発力を作用させるスプリング303と、取付具と位置検出装置230又は反射板ユニット151(155)の間の長さを調整する一対の調整ピン304とで構成される。
【0061】
外側円筒部材301と内側円筒部材302には、それぞれ調整ピン304を出し入れ可能な大きさの穴が形成されている。因みに、内側円筒部材302には、軸方向に互いにオフセットした複数個の穴が形成されている。この例の場合、2つの調整ピン304を外側に引き出すとロック機構が外れ、軸方向に外側筒状部材301をスライドすることが可能になる。調整ピン304を差し込む内側円筒部材302の穴を変えることにより取付高さの調整が可能になる。
【0062】
図12は、ギア式の高さ調整機構300の例を示す。この調整機構は、無段階調整機構の例である。図12の調整機構300は、取付具(磁石234)の裏面に一端が固定され、他端側にネジ山を刻んだロッド311と、ロッド311に対して同軸に固定されたギヤ312と、ギヤ311と噛み合い、ギヤ311の回転を通じて位置検出装置230又は反射板ユニット151(155)に対するロッド311の高さを調整する調整つまみ313と、位置検出装置230又は反射板ユニット151(155)に形成され、ロッド311のネジ山と勘合するネジ溝315で構成される。この例の場合、調整つまみ313の時計周り又は反時計回りに回転させることで、ネジ溝315内のロッド311の長さが調整され、取付高さの調整が可能になる。
【0063】
図13は、ネジ式の高さ調整機構300の例を示す。この調整機構も、無段階調整機構の例である。図13の調整機構300は、取付具(磁石234)の裏面に一端が固定され、他端側にネジ山を刻んだロッド321と、位置検出装置230又は反射板ユニット151(155)に形成され、ロッド321のネジ山と勘合するネジ溝322で構成される。この例の場合、取付具(磁石234)そのものをロッド321を中心に対して回転させることで高さの調整を可能とする。
【符号の説明】
【0064】
12…物体
134…イメージセンサ
135…LED
141…壁面
151…反射板ユニット
152…反射テープ
153…本体
153A…外側本体
153B…内側本体
154…磁石
201…座標入力装置
230…位置検出装置
231…制御デバイス
232…撮像ユニット(左上隅)
233…撮像ユニット(右上隅)
234…磁石
300…高さ調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式位置検出装置において、
2つのイメージセンサと、
前記2つのイメージセンサの各近傍位置に配置され、少なくとも撮像範囲を照明範囲に含む光源ユニットと、
前記2つのイメージセンサの撮像画像に基づいて、前記検出面上の照明光を遮る物体の座標位置を三角測量の手法により計算する演算装置と、
装置本体を被取付面に対して着脱可能に取り付ける取付手段と
を有することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、
被取付面に対して垂直方向に装置本体の取り付け高さを調整する調整機構を有する
ことを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学式位置検出装置において、
前記取付手段は磁石である
ことを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光学式位置検出装置において、
前記調整機構は、所定の範囲内で無段階に高さの調整が可能である
ことを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光学式位置検出装置において、
前記調整機構は、所定の範囲内でステップ式に高さの調整が可能である
ことを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項6】
光学式位置検出装置と共に座標入力装置を構成する再帰性反射板ユニットにおいて、
前記光学式位置検出装置から射出された照明光を再帰性反射する再帰反射性の反射面と、
筺体本体を被取付面に対して着脱可能に取り付ける取付手段と
を有する再帰性反射板ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
被取付面に対して垂直方向に装置本体の取り付け高さを調整する調整機構を有する
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
前記取付手段は磁石である
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。
【請求項9】
請求項7に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
前記調整機構は、所定の範囲内で無段階に高さの調整が可能である
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。
【請求項10】
請求項7に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
前記調整機構は、所定の範囲内でステップ式に高さの調整が可能である
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。
【請求項11】
請求項6に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
前記反射面の長手方向の長さは固定長である
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。
【請求項12】
請求項6に記載の再帰性反射板ユニットにおいて、
前記反射面の長手方向の長さを可変できる可変長機構を有する
ことを特徴とする再帰性反射板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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