説明

光学式入力装置

【課題】情報の種別に適合した入力形態を適宜選択して情報入力することの可能な光学式入力装置を提供する。
【解決手段】基板上に設定した情報入力領域(A)内に、入力情報を個別に特定する特定情報入力領域(B)と情報入力形態の変更に用いる入力形態切替領域(C)とを設定し、これらの各領域を視認可能に表示すると共に、前記情報入力領域上のタッチ操作された位置を光学センサにて検出する。そして前記光学センサの出力から前記入力形態切替領域(C)のタッチ操作を検出して情報の入力形態を、キーボード入力、ペン・タブレット入力、およびマウス入力の間で選択的に切り替え、設定された入力形態に従って前記光学センサの出力を解析してタッチ操作により入力された情報を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、異なる情報種別の情報を切り換え入力可能な光学式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置に対して情報を入力する入力装置として、代表的には文字情報入力用のキーボード(キーパッド)や画像情報入力用のペン・タブレット、更には位置情報入力用のマウス等がある。そしてこれらの入力装置は、その目的に応じて適宜使い分けて用いられている。具体的には、その都度、入力目的とする情報の種別に適合した入力装置をPCに選択的に接続し、或いはPCに接続された複数種の入力装置を選択的に切り替えることで、その情報入力を行っている。
【0003】
一方、上面にキーボードとマウスを形成し、裏面にタブレットを形成した着脱可能な入力ユニットを用い、この入力ユニットを適宜裏返して用いることで、その目的に適合した形態での情報入力を可能とすることが提唱されている(例えば特許文献1を参照)。またタッチスクリーンディスプレイにおける表示を変更することで、タッチスクリーン(タッチパネル)における入力機能を選択的に切り替えることも提唱されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−282607号公報
【特許文献2】特開2006−1278516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した従来技術においては、各種入力情報の種別に適した複数種の入力装置を準備する必要があるので設備コストが嵩むことが否めない。しかもこれらの入力装置をPCの近傍に配置しておく必要があるので、その設置スペースの点で問題がある。更にはどの入力装置を使用するかにより、使用すべき入力装置とPCとの接続切替が必要となるので、その取り扱いが煩雑である。
【0006】
本実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、入力すべき情報の種別に適合した入力形態を適宜選択して情報入力することを可能とする多機能化した光学式入力装置を提供することにある。
【0007】
即ち、本実施形態に係る光学式入力装置は、入力形態の切替機能を備え、単独の入力デバイスでありながら簡単な操作でその情報入力形態を、キーボード入力動作、ペン・タブレット入力動作、およびマウス入力動作に選択的に切り替え、これによって情報種別に適した形態での情報入力を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本実施形態に係る光学式入力装置は、
タッチ操作による情報入力領域を規定する基板と、
前記情報入力領域を光学的に走査し、前記基板上の選択的にタッチ操作された位置を検出する光学センサと、
入力情報を個別に特定する特定情報入力領域と情報入力形態の変更に用いる入力形態切替領域とを前記情報入力領域内にそれぞれ設定し、これらの各領域を視認可能に表示する領域設定手段と、
前記光学センサの出力から前記入力形態切替領域のタッチ操作を検出して前記情報入力領域を介する情報の入力形態を、予め設定されている複数の入力形態の中から選択設定する入力形態切替処理部と、
この入力形態切替処理部にて設定された入力形態に従って前記光学センサの出力を解析して前記情報入力領域のタッチ操作により入力された情報を求める入力処理部と、
を備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学式入力装置の全体的な概略構成を示す図。
【図2】図1に示す光学式入力装置におけるタッチパネル部の分解斜視図。
【図3】図1に示す光学式入力装置の全体的な構成を示す図。
【図4】図1に示す光学式入力装置の全体的な処理動作の流れを示す図。
【図5】本発明の別の実施形態に係る光学式入力装置の要部概略構成を示す図。
【図6】本発明の更に別の実施形態に係る光学式入力装置の要部概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る光学式入力装置は、上述したように、タッチ操作による情報入力領域を規定する基板と、前記情報入力領域を光学的に走査し、前記基板上の選択的にタッチ操作された位置を検出する光学センサと、入力情報を個別に特定する特定情報入力領域と情報入力形態の変更に用いる入力形態切替領域とを前記情報入力領域内にそれぞれ設定し、これらの各領域を視認可能に表示する領域設定手段と、前記光学センサの出力から前記入力形態切替領域のタッチ操作を検出して前記情報入力領域を介する情報の入力形態を、予め設定されている複数の入力形態の中から選択設定する入力形態切替処理部と、この入力形態切替処理部にて設定された入力形態に従って前記光学センサの出力を解析して前記情報入力領域のタッチ操作により入力された情報を求める入力処理部と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
ここで、前記複数の入力形態は、前記特定情報入力領域内に設定した複数の小領域を複数種の文字・記号にそれぞれ対応付けたキーボード領域として用いるキーボード入力動作、前記特定情報入力領域内に設定した複数の小領域を複数種の線・図形にそれぞれ対応付けたパターン領域として用いるペン・タブレット入力動作、および前記情報入力領域を座標面として用いるマウス入力動作からなる。
【0012】
また前記情報入力領域のタッチ操作は、指またはペンにより行われるものであって、 前記光学センサは、前記指またはペンによる前記情報入力領域のタッチ位置を検出するように構成される。また前記領域設定手段は、前記基板上の情報入力領域に、若しくは該情報入力領域に載置されるシート体に前記特定情報入力領域および前記入力形態切替領域をそれぞれ描画して表示するように構成される。なお、前記基板については、好ましくは前記情報入力領域に敷設されて該情報入力領域内の選択的なタッチ操作に伴う押圧力を検出する圧電素子を備え、前記入力処理部は、前記圧電素子により検出された押圧力を筆圧情報として求める機能を備えるように構成することが望ましい。
【0013】
上記構成の光学式入力装置によれば、情報入力領域を規定する基板上に設定された入力形態切替領域をタッチ操作すると言う簡単な操作だけで、前記情報入力領域をキーボード入力動作用の領域、ペン・タブレット入力動作用の領域、およびマウス入力動作用の領域として選択的に切り替えることができる。この結果、基板上に設定された情報入力領域の役割を変更して、入力情報の種別に適した形態での情報入力が可能となる。特に情報入力領域内におけるタッチ位置を光学センサにより検出するだけなので、その構成が簡単であり、また設備コストを低減することができる。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る光学式入力装置について説明する。
【0015】
図1において、1はタッチ操作による情報入力領域(タッチパネル)Aを規定する矩形型の基板である。この基板1の情報入力領域Aに対するタッチ操作は、該入力装置を使用してパーソナルコンピュータ(PC)10に情報入力するオペレータの指、またはオペレータが把持したペンにより行われる。特にこの基板1の四辺部には前記情報入力領域Aを光学的に走査し、指やペン等により選択的にタッチ操作された前記基板1上の位置、特に前記情報入力領域(タッチパネル)A内のタッチ位置を検出する光学センサ2が設けられている。
【0016】
ここで、光学センサ2は、例えば近赤外線光を発するライン型の光源aと、この光源2aに対向して配置されて該光源2aから発せられた光を受光するライン型の受光素子(1次元センサ)2bとからなる。これらの光源2aと受光素子(1次元センサ)2bとは、前記基板1の相対向する長辺部と短辺部にそれぞれ対峙させて設けられる。この光学センサ2は、前記基板1の情報入力領域Aをタッチした指またはペンにより、前記光源2aから発せられた光が部分的に遮られることを利用して前記受光素子(1次元センサ)2bの出力から前記情報入力領域A内の前記指またはペンによりタッチ操作された位置を検出する役割を担う。そして上記光学センサ2を備えた基板1は、情報入力デバイスとしての、いわゆるタッチパネルとして機能する。
【0017】
なお、ここでは検出領域(情報入力領域A)を間にして光源2aと受光素子(1次元センサ)2bとを対峙させて配置した透過型の光センサについて示すが、光源2aから発した光の前記基板1の情報入力領域Aをタッチした指またはペンによる反射光を前記受光素子(1次元センサ)2により検出して、前記情報入力領域A内の前記指またはペンによりタッチ操作された位置を検出する反射型の光センサを用いることも勿論可能である。この場合、光源2aとその反射光を検出する受光素子(1次元センサ)2とを前記基板1の一辺部に並べて配置することは言うまでもない。
【0018】
さて前記基板1上の前記情報入力領域A内には、入力情報を個別に特定する特定情報入力領域Bと、情報入力形態の変更に用いられる入力形態切替領域Cとが、該入力装置の使用者に視認可能に設定されている。これらの特定情報入力領域Bおよび入力形態切替領域Cは、これらの各領域B,Cをそれぞれ特定する図形パターンを前記基板1上に描画(印刷)することによって表示される。或いは前記特定情報入力領域Bおよび入力形態切替領域Cは、例えば図2に示すように前記各領域B,Cをそれぞれ特定する図形パターンを描画(印刷)したシート体3を、前記情報入力領域Aに重ね合わせて前記基板1上に載置することによって表示される。
【0019】
ここで、入力情報を個別に特定する特定情報入力領域Bとは、予め複数種の文字・記号にそれぞれ対応付けた複数の小領域を配列した領域からなる。これらの複数の小領域を規定する配列領域とは、具体的には、例えば文字・記号入力用のキーボードを構成する複数のキーボタン(小領域)を配列したキー配列パターン(キーボード面)や、後述する線・図形入力用のペン・タブレットを構成する複数のシンボルマーク(小領域)を配列したシンボル配列パターン(ペン・タブレット面)からなる。
【0020】
ここで上記キー配列パターンおよびシンボル配列パターンについては、前記情報入力領域A内に前記特定情報入力領域Bを区分して並列的に表示しても良いが、前記情報入力領域A内に選択的に表示することが望ましい。具体的には、例えば基板1上に前記キー配列パターンを印刷形成しておくことで常時は情報入力領域Aにキー配列パターンを表示し、一方、シンボル配列パターンを印刷したシート体3を前記基板1上に裁置することで、前記基板1上に印刷したキー配列パターンに代えて当該シンボル配列パターンを前記情報入力領域Aに表示するようにしても良い。またその関係を逆にしても良い。或いはキー配列パターン(キーボード)を印刷したシート体3と、シンボル配列パターン(ペン・タブレット)を印刷したシート体3とを別々に準備し、これらを選択的に前記基板1上に載置することで、上記配列パターンの一方を前記情報入力領域Aに表示するようにしても良い。
【0021】
なお、前述した文字・記号入力用のキーボードを構成するキー配列パターンは、QWERTY式におけるJIS規格配列であっても良いが、五十音順やアルファベット順等の配列パターンであっても良い。勿論、日本語や英語の文字入力に限られるものではなく、様々な言語に対応するものであれば良い。またこれらの仕様の異なるキー配列パターンを印刷したシート体3を準備しておき、これらを選択的に用いることも可能である。
【0022】
ところで前記特定情報入力領域(キーボード面/ペン・タブレット面)Bは、前記情報入力領域(タブレット面)Aの略全域に及ぶ広い領域に亘って設定されているが、これに対して前記入力形態切替領域Cは前記情報入力領域Aの隅部に、この例では右下の小領域として固定的に設定されている。この入力形態切替領域Cは、前記特定情報入力領域Bの使用形態を選択的に特定することで、前記情報入力領域Aを介する情報の入力形態を、予め設定されている複数の入力形態の中の1つとして選択設定する役割を担う専用領域として定められている。この入力形態切替領域Cについては、複数の入力形態にそれぞれ対応し、択一的にタッチ操作される複数の小領域を予め区画設定したものであっても良いが、タッチ操作回数から複数の入力形態を選択するような場合には、1つの領域であっても良い。
【0023】
なお、予め設定されている複数の入力形態とは、具体的には、(1)前記特定情報入力領域Bに前述したキー配列パターンを表示し、該特定情報入力領域Bをキーボード領域として用いて文字・記号を直接入力するキーボード入力動作、(2)前記特定情報入力領域Bに前述したシンボル配列パターンを表示し、該特定情報入力領域Bを線・図形を選択指定するためのパターン領域として用いて線・図形を直接入力するペン・タブレット入力動作、そして(3)前記情報入力領域Aの全体を座標面として用いて位置情報や位置変位の情報を入力するマウス入力動作からなる。
【0024】
さて上述したように光学センサ2を備えて基板1上に情報入力領域Aを設定したタッチパネルは、前述したようにパーソナルコンピュータ(PC)10に接続されて該パーソナルコンピュータ(PC)10への情報入力デバイスとして用いられる。このタッチパネルが接続されたPC10は、前記光学センサ2の出力から前記情報入力領域A内のタッチ操作位置を、入力位置情報として検出する機能を備える。
【0025】
具体的には前記PC10は、前記入力形態切替領域Cのタッチ操作を検出して前記情報入力領域Aを介する情報の入力形態を、予め設定されている複数の入力形態の中から選択設定する入力形態切替処理部と、この入力形態切替処理部にて設定された入力形態に従って前記検出位置情報から前記情報入力領域Aのタッチ操作により入力された情報を求める入力処理部とが組み込まれる。これらの入力形態切替処理部および入力処理部は、PC10に組み込まれるソフトウェアプログラムとして提供されるものであって、これらのソフトウェアプログラムは該PC10の演算部11において実行されることで上記各機能が実現される。
【0026】
具体的には前述した構成の入力装置(タッチパネル)を接続したPC10は、図3に示すようにその演算部11において前記光学センサ2の出力を解析することで前記情報入力領域A内におけるタッチ操作位置を検出し、設定された入力形態に応じてその入力情報を求めて取り込む処理機能を備える。そしてPC10は、図4を参照して後述するようにその検出位置(タッチ操作位置)に応じて、当該検出位置が前述した入力形態切替領域Cであるか否かを判定し、その検出位置が入力形態切替領域Cである場合には前述した情報入力形態を選択的に切り替える(入力形態切替処理部)。また検出位置が入力形態切替領域Cでない場合には、前記PC10は前記情報入力領域A内におけるタッチ操作位置を、そのときに選択設定されている情報入力形態に応じて解析し、当該情報入力形態に応じた情報を入力する(入力処理部)。このようにして入力された情報は、該PC10が備える表示部12に順次表示され、またその表示制御に用いられる。
【0027】
このような情報の入力処理をより詳細に説明すると、図4にその概略的な手順を示すように、タッチパネル上でのタッチ操作を検出し〈ステップS1〉、前記光学センサ2の出力からそのタッチ操作位置の情報(座標)を取得する〈ステップS2〉。そして取得した検出位置が前記入力形態切替領域Cであるならば〈ステップS3〉、そのときの入力情報に従って情報入力形態を選択的に切り替え設定する〈ステップS4〉。この情報入力形態の選択設定は、前記入力形態切替領域Cが複数の情報入力形態に対応付けて複数の小領域に区画されている場合には、そのタッチ操作位置がどの領域に含まれるかを判定して情報入力形態を設定する。
【0028】
なお、入力形態切替領域Cが上述したように区画されておらず、その制御プログラムがタッチ操作回数に基づいて情報入力形態を選択設定するように構成されている場合には、例えば所定時間内における連続的なタッチ操作回数を計数し、予めタッチ操作回数に応じて定められている情報入力形態を設定する〈ステップS4〉。
【0029】
しかして情報入力形態としてキーボード入力動作が設定された場合には、前記光学センサ2の出力がら検出される前記特定情報入力領域B内の位置座標から、その位置座標を含む小領域(キーボタン)を特定し〈ステップS11〉、該小領域(キーボタン)に予め対応付けて設定されている文字・記号情報を求める。そして日本語入力の場合には、例えば連続して入力された文字を、若しくは或るまとまりをなす入力文字列をかな漢字変換する等してその入力文字情報または文字列情報を確定する〈ステップS12〉。なお、同音意義語の存在により入力文字情報を確定することができない場合には、いわゆる日本語ワードプロセッサに見られるような文字選択処理を適宜実行して、その入力文字を確定する〈ステップS13〉。
【0030】
このようにしてキーボード入力動作による文字・記号情報の入力を終えたならば、再度、前記タッチパネル上でのタッチ操作を検出する〈ステップS14〉。そしてその検出位置が前記入力形態切替領域Cであるか否かを調べ、入力形態切替領域Cが指定されていないならば、つまり情報入力形態の変更が指示されていないならば〈ステップS15〉、前述したステップS11からの処理を繰り返し実行する。つまり前記特定情報入力領域Bに設定されたキーボード領域を用いて文字・記号の入力を繰り返し実行する。なお、タッチパネル上での検出位置が前記入力形態切替領域Cである場合には、前述したステップS4の処理に戻って情報入力形態の変更処理を実行する。
【0031】
これに対して情報入力形態としてペン・タブレット入力動作が設定された場合には、前記光学センサ2の出力から検出される前記特定情報入力領域B内の位置座標から、その位置座標を含む小領域(シンボルマーク)を特定し〈ステップS21〉、該小領域(シンボルマーク)に予め対応付けて設定されている線・図形情報を求める。そして入力すべき線・図形が確定されたか否かを判定する〈ステップS22〉。この際、入力情報不足等に起因して線・図形が確定しない場合には、例えば別の選択情報を入力する等して入力すべき線・図形を確定する〈ステップS23〉。
【0032】
このようにしてペン・タブレット入力動作による線・図形情報の入力を終えたならば、前述したキーボート入力動作の場合と同様に、再度、前記タッチパネル上でのタッチ操作を検出する〈ステップS24〉。そしてその検出位置が前記入力形態切替領域Cであるか否かを調べ、入力形態切替領域Cが指定されていないならば、つまり情報入力形態の変更が指示されていないならば〈ステップS25〉、前述したステップS21からの処理を再度実行する。そして前記特定情報入力領域Bに設定されたシンボルマーク領域を用いて線・図形の入力を繰り返し実行する。なお、タッチパネル上での検出位置が前記入力形態切替領域Cである場合には、前述したステップS4の処理に戻って情報入力形態の変更処理を実行する。
【0033】
なお、前述した情報入力形態の設定処理においてマウス入力動作が設定された場合には、前記光学センサ2の出力から前記情報入力領域Aにおけるタッチ操作位置の情報(座標)を検出すると共に、位置情報の変位等を検出する。同時にマウス動作に伴う移動・確定・取消等の指示情報を取得するする〈ステップS31〉。そしてマウス操作により得られた位置情報および移動・確定・取消等の指示情報をPC10に直接入力する。
【0034】
このようにしてマウス入力動作による移動・確定・取消情報等の入力を終えたならば、前述したキーボート入力動作やペン・タブレット入力動作の場合と同様に、再度、前記タッチパネル上でのタッチ操作を検出する〈ステップS32〉。そしてその検出位置が前記入力形態切替領域Cであるか否かを調べ、入力形態切替領域Cが指定されていないならば、つまり情報入力形態の変更が指示されていないならば〈ステップS33〉、前述したステップS31からの処理を繰り返し実行してマウス入力処理を繰り返し実行する。なお、タッチパネル上での検出位置が前記入力形態切替領域Cである場合には、前述したステップS4の処理に戻って情報入力形態の変更処理を実行する。
【0035】
以上のように本装置によれば、前記基板1上に定められた入力形態切替領域Cのタッチ操作により基板1上の情報入力領域Bに設定する情報入力機能としての役割を、PC10に入力すべき情報の種別に応じて選択的に設定し、該情報入力領域Bをキーボード領域、ペン・タブレット領域、或いはマウス領域として選択的に用いることができる。従って前記情報入力領域Bを有効に活用し、入力情報の種別に応じた適切な入力形態にて情報入力することができる。つまり物理的には変わることのない1つの情報入力領域Bを共通に使用しながら、文字・記号についてはキーボード入力し、線・図形についてペン・タブレット入力し、更にマウス情報を簡易に入力することができる。
【0036】
特に本装置においては情報入力領域A内におけるタッチ位置を光学センサ2により検出するだけなので、その構成が簡単である上、設備コストを低減することができる。またキーボード装置、ペン・タブレット装置、およびマウスを個別に準備する必要がないので、その接続切替が不要であり、また設置空間を確保する上でも有利である。しかもキーボード操作面を構成する複数のキー配列パターンと文字・記号との対応関係や、ペン・タブレット操作面を形成する複数のシンボル配列パターンと線・図形との対応関係ついては、その入力制御プログラム上で適宜変更可能なので、種々の情報入力の仕様に容易に対処することができる。
【0037】
更にはPC10の表示部(ディスプレイ)12面に光学式または静電容量式のタッチセンサを組み込んだものとは異なるので、前記表示部(ディスプレイ)12面に表示された情報を指等にて覆い隠してしまうような不具合もなく、表示部(ディスプレイ)12の汚れや損傷を招来することもない。またタッチ位置を光学的に検出するので、静電容量式のパネル基板を用いたときのように、その情報入力を素手で行うことが好ましいと言うような制約がなく、例えば各種作業現場においてグローブを着用した状態で、或いは汎用の筆記具(ペン)を用いてタッチ操作することが可能である等の利点がある。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば基板1の情報入力領域Aにシート状の圧電素子5を敷設しておき、図5に示すように入力領域Aをタッチ操作する指やペンの押圧力(筆圧)を、前述したタッチ位置と共に検出するように構成することも可能である。この場合、検出した筆圧情報を用いて、例えばキーボード入力された文字・記号であって、特に毛筆体における線の太さを変え、或いはペン・タブレット入力された線・図形の太さを変えることが可能となる。
【0039】
また前述した1次元のライン型光学センサ2に代えて、2次元のエリア型光学センサ6を用いて情報入力領域A上のタッチ位置を検出するようにしても良い。この場合、上記エリア型光学センサ6については、図6に示すようにPC10に組み込まれた表示部(ディスプレイ)12の上部に、前記情報入力領域Aの全体を視野(俯瞰)するように設ければ良い。この際、前述した圧電素子5を併用して、指またはペンによる前記情報入力領域Aのタッチ(当接;押圧)を検出し、これによってタッチ操作自体を確実に検出するようにすることが望ましい。
【0040】
また前記基板1の構成材料としては、例えば低コストでその表面に印刷が可能なプラスチック素材を用いることが好ましいが、その他の素材を用いることも勿論可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 基板
2 光学センサ
2a 光源
2b 受光素子(ラインセンサ)
3 シート体
5 圧電素子
6 エリア型光学センサ
10 パーソナルコンピュータ(PC)
11 演算部
12 表示部(ディスプレイ)
A 情報入力領域(タッチパネル)
B 特定情報入力領域(キーボード面,ペン・タブレット面)
C 入力形態切替領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作による情報入力領域を規定する基板と、
前記情報入力領域を光学的に走査し、前記基板上の選択的にタッチ操作された位置を検出する光学センサと、
入力情報を個別に特定する特定情報入力領域と情報入力形態の変更に用いる入力形態切替領域とを前記情報入力領域内にそれぞれ設定し、これらの各領域を視認可能に表示する領域設定手段と、
前記光学センサの出力から前記入力形態切替領域のタッチ操作を検出して前記情報入力領域を介する情報の入力形態を、予め設定されている複数の入力形態の中から選択設定する入力形態切替処理部と、
この入力形態切替処理部にて設定された入力形態に従って前記光学センサの出力を解析して前記情報入力領域のタッチ操作により入力された情報を求める入力処理部と、
を具備したことを特徴とする光学式入力装置。
【請求項2】
前記複数の入力形態は、前記特定情報入力領域内に設定した複数の小領域を複数種の文字・記号にそれぞれ対応付けたキーボード領域として用いるキーボード入力動作、前記特定情報入力領域内に設定した複数の小領域を複数種の線・図形にそれぞれ対応付けたパターン領域として用いるペン・タブレット入力動作、および前記情報入力領域を座標面として用いるマウス入力動作からなる請求項1に記載の光学式入力装置。
【請求項3】
前記情報入力領域のタッチ操作は、指またはペンにより行われるものであって、
前記光学センサは、前記指またはペンによる前記情報入力領域のタッチ位置を検出するものである請求項1に記載の光学式入力装置。
【請求項4】
前記領域設定手段は、前記基板上の情報入力領域に、若しくは該情報入力領域に載置されるシート体に前記特定情報入力領域および前記入力形態切替領域をそれぞれ描画して表示するものである請求項1に記載の光学式入力装置。
【請求項5】
前記基板は、前記情報入力領域に敷設されて該情報入力領域内の選択的なタッチ操作に伴う押圧力を検出する圧電素子を備え、
前記入力処理部は、前記圧電素子により検出された押圧力を筆圧情報として求める機能を備える請求項1に記載の光学式入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−41504(P2013−41504A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179100(P2011−179100)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】