説明

光学材料用高屈折組成物、及びその硬化物

【課題】 光学材料として利用可能な高屈折率の組成物、及び高屈折率の硬化物を提供する。
【解決手段】 フェニルベンジルアクリレートの異性体であるo−フェニルベンジルアクリレート(OPBA)とp−フェニルベンジルアクリレート(PPBA)を特定の比率で混合することによって、光学材料として好適な高屈折率かつ低粘度の組成物を提供する。なおかつ、更にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを配合することにより、低粘度かつより高屈折率であって、さらに、その硬化物が高屈折率であって透明に優れ、耐光性、金型との離型性がよい組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学材料として利用が可能な高屈折組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラム等の光学部品には、近年、加工・生産性に優れる点から樹脂材料が広く用いられており、また、光学部品の小型化、薄型化といった傾向、或いは、反射防止性の調整といった観点から屈折率の高い樹脂材料が求められている。特に、近年、液晶テレビ、ノートパソコン、携帯ゲーム機、携帯電話等の表示に使用される液晶表示素子において、小型化、高抵抗性、高輝度化の要求が高くなっており、この実現にはプリズムシートの高屈折率化が不可欠である。
【0003】
プリズムシートのような賦形材料を製造するには、高屈折率かつ粘度の低い光学材料が求められている。しかし、従来の樹脂材料は高屈折率化すると粘度が向上し、更には結晶化するという課題があった。
【0004】
また、近年屈折率の高い光学材料として、屈折率の高い材料を提供するため、フルオレン骨格を持つ化合物が提案されている。例えば、アクリロイル基がアルキレンオキシ基を介してフルオレン骨格に結合した2官能型化合物や(下記特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、フルオレン骨格を含有するジグリシジルエーテルとアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させて得られる化合物(下記特許文献4参照)が知られており、これらは耐熱性が高く高屈折率であるとして注目されている。然しながら、前記したフルオレンの誘導体は一般に固形または常温で数十Pa・s以上の高粘度液体であるため、プリズムシートなどの賦形材料に用いる場合には、適当な粘度になるよう反応性希釈剤等を多量に用いて希釈する必要があり、そのため得られる硬化物の屈折率が低くなってしまうという課題があった。
【0005】
現在使用されている反応性希釈剤としては、フェニルチオエチルアクリレート(PTEA)、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEA)、ナフチルチオエチルアクリレート(NTEA)がある。PTEAは高屈折率かつ低粘度ではあるが、硫黄を含有しているため、耐光性が悪く、臭気が強いため、作業性が悪く好ましくない。一方、NTEAはナフタレン環を有することから耐光性に難があるため、現在はOPPEAが選択されることが多い。
光学材料用の組成物として、フルオレン骨格を有する二官能(メタ)アクリレート化合物と、OPPEAの組み合わせが提案されている(特許文献5参照)。しかし、OPPEAは屈折率は1.576と比較的高い反応性希釈剤であるが、単独ではフルオレン骨格を有する二官能(メタ)アクリレートの粘度を十分に下げられるものではなく、実施例でも第3成分の反応性希釈剤を使用している。そのため、屈折率が高い上、組成物の粘度が賦形材料用途として十分低い反応性希釈剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−325508号公報
【特許文献2】特開2007−84815号公報
【特許文献3】国際公開番号WO2005/033061
【特許文献4】特開平03−106918号公報
【特許文献5】特開2008−94987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、光学材料として利用可能な高屈折率の組成物、及び高屈折率の硬化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、フェニルベンジルアクリレートの異性体であるo−フェニルベンジルアクリレート(OPBA)とp−フェニルベンジルアクリレート(PPBA)を特定の比率で混合することによって、光学材料として好適な高屈折率かつ低粘度の組成物を提供できることを見出した。なおかつ、更にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを配合することにより、低粘度かつより高屈折率であって、さらに、その硬化物が高屈折率であって透明に優れ、耐光性、金型との離型性がよいため光学材料へ適用可能であることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち本発明では、 一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(ここで式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される単官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含有する組成物において、
前記単官能(メタ)アクリレート化合物(A)における、o−フェニルベンジル(メタ)アクリレートとのp−フェニルベンジル(メタ)アクリレートのモル比率が、o−フェニルベンジル(メタ)アクリレート/p−フェニルベンジル(メタ)アクリレート=50/50から10/90である、組成物(X)に関する。
【0012】
即ち本発明では、低粘度かつ高屈折率な組成物(X)を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記組成物(X)と、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(Y)を含有する組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、前記組成物(X)と、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート(Y)と、更に一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)以外の(メタ)アクリレート化合物(Z)を含有する組成物に関する。
【0015】
本発明は、更に、プラスチックレンズ用組成物に関する。
【0016】
本発明は、更に、前記プラスチック用組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、紫外線を照射することにより容易に硬化物を得ることができる、低粘度かつ光学材料として利用可能な高屈折率の組成物、及び高屈折率であって透明に優れ、耐光性、金型との離型性がよい硬化物を提供することで、光学材料として利用可能な高屈折の硬化物を提供することができる。
【0018】
従って、本発明の組成物は、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズム等の光学部品に広く適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔単官能(メタ)アクリレート化合物(A)〕
本発明で提供される組成物(X)は、下記一般式(1)
【0020】
【化2】

【0021】
(ここで式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される単官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含有する組成物であって、
前記単官能(メタ)アクリレート化合物(A)におけるOPBAとPPBAのモル比率が、OPBA/PPBA=50/50から10/90であり、さらに好ましくは40/60から15/85である。
【0022】
OPBAのモル比率が10%より少ない場合、組成物(X)の結晶が析出する為賦形材料用途としては好ましくなく、50%より多い場合は屈折率が低下する。すなわち、上記のモル比率とすることで、特異的に、PPBAと同じ屈折率を有しつつ、OPBA同等の粘度を維持することが可能となるものであり、賦形材料用として好ましい組成物(X)を得ることができる。
【0023】
また、MPBAは単独で高屈折率で低粘度な液状であり、上記組成物(X)に任意の割合で混合することが可能である。
【0024】
〔組成物(X)〕
組成物(X)は、反応性希釈剤として用いることができるほか、組成物(X)を含有する組成物自体を光学材料用として利用することができる。
【0025】
組成物(X)を光学材料用組成物及び反応性希釈剤として用いる場合、低粘度でありかつ高屈折率であることが必要である。25℃における粘度は低ければ低いほどよいが、好ましくは200mPa・s以下であり、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下である。粘度が200mPa・s以下であれば、固形または粘調な高屈折材料の希釈効果が高く屈折率の高い組成物を得ることができる。また、組成物(X)の好ましい屈折率は1.570以上であり、より好ましくは1.580以上であり、さらに好ましくは1.590以上である。
【0026】
〔組成物(X)の合成〕
組成物(X)は、単官能(メタ)アクリレート(A)におけるOPPA及びPPBA、をそれぞれ合成し、所定の割合で混合することで得ることができる。下記に、合成法を示すが、これらの合成法に限定されるものではない。
【0027】
本発明の光学材料用組成物に用いられる単官能(メタ)アクリレート(A)は、それぞれ対応する、下記一般式(4)
【0028】
【化3】

【0029】
で表されるアルコール化合物に(メタ)アクリル酸を適当な有機溶媒を用いて公知の方法でエステル化することによって得ることができる。
【0030】
また、単官能(メタ)アクリレート(A)は、それぞれ対応する、下記一般式(6)
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、RはCl、Br、Iのいずれかのハロゲン原子を示す)で表されるハロゲン化合物に(メタ)アクリル酸のカリウム、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩を適当な有機溶媒を用いて公知の方法でエステル化することでも得ることができる。
【0033】
〔フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)〕
本発明における、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)(以下、フルオレンアクリレート(Y)と称する)は、フルオレン骨格またはジフェニルフルオレン骨格を有し、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を持つ化合物である。また、フルオレン骨格またはジフェニルフルオレン骨格が複数あってもかまわない。好ましくは、ジフェニルフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であり、より好ましくは1つのジフェニルフルオレン骨格を持つ(メタ)アクリレート化合物である。
【0034】
具体的には、下記一般式(8)
【0035】
【化5】

【0036】
(式中、Lは置換基を有していてもよい芳香族基であり、存在していてもよく、しなくてもよい、RはHまたはOHであり、RはHまたはアルキル基であり、nおよびmは0〜3の整数を示す)で表されるフルオレン骨格を有する化合物が挙げられる。
【0037】
また、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)としては、
具体的には、特開2009−173647号公報に記載の下記一般式(9)
【0038】
【化6】

【0039】
(式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、Rは分岐アルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアリール基などの炭化水素環基を示し、kは0〜4の整数、nは1以上の整数である。)
【0040】
及び、特開2009−173646公報に記載の下記一般式(10)
【0041】
【化7】

【0042】
(式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、Rは分岐アルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキル基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数、nは2〜4の整数である。)
【0043】
及び、特開2009−173645公報に記載の下記一般式(11)
【0044】
【化8】

【0045】
(式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、Rはプロピレン基などの分岐アルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキル基を示し、kは0〜4の整数、mは1以上の整数である。)
【0046】
及び、特開2009−079013号公報に記載の下記一般式(12)
【0047】
【化9】

【0048】
(式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは直接結合、アルキリデン基又はアルキレン基を示し、Rは置換基を示す。kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0又は1である。)
【0049】
及び、特開2002−293762号公報に記載の下記一般式(13)
【0050】
【化10】

【0051】
(式中、R及びR’は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは0〜10の整数である。)
【0052】
及び、WO05/033061号公報に記載の下記一般式(14)
【0053】
【化11】

【0054】
(式中、R1a、R1b、R2aおよびR2bは置換基を示し、R3aおよびR3bはアルキレン基を示し、R4aおよびR4bは水素原子又はメチル基を示す。k1及びk2は0〜4の整数を示し、m1及びm2は0〜3の整数を示し、n1およびn2は0又は1以上の整数を示し、p1およびp2は2〜4の整数を示す。ただし、m1+p1及びm2+p2は、2〜5の整数である)
【0055】
及び、特開2008−094987号公報に記載の下記一般式(15)
【0056】
【化12】

【0057】
(式中、RおよびRはそれぞれ水素原子又はメチル基であり、aおよびbは相互に独立して1〜4の整数である。)
【0058】
及び、特開平04−325508号公報に記載の下記一般式(16)
【0059】
【化13】

【0060】
(式中、R,Rは水素又はメチル基を、m、nは0〜5の整数を示す。)
【0061】
及び、特開平07−002939号公報に記載の下記一般式(17)
【0062】
【化14】

【0063】
(式中、R=Hまたはアルキル、好ましくはCH、R=Hまたはアルキル、好ましくはCH、X=HまたはOH、mおよびnは、m+nの合計が0〜4であることを条件として整数である)
【0064】
及び、特開平03−106918号公報に記載の下記一般式(18)
【0065】
【化15】

【0066】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基または水素、nは0〜20の整数である。)
から導かれるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0067】
〔その他の(メタ)アクリレート化合物(Z)〕
本発明の組成物には、上記単官能(メタ)アクリレート化合物(A)及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)以外の(メタ)アクリレート化合物(Z)を使用してもかまわない。
【0068】
その他の(メタ)アクリレート化合物(Z)としては、単官能アクリレート化合物及び多官能(メタ)アクリレート化合物があり、単官能アクリレートの例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0069】
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性したジペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
これらの(メタ)アクリレート化合物(Z)は、単独で用いても複数組み合わせて用いても、どちらでもかまわない。
【0071】
〔組成物(X)、及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)を含有する組成物における各成分の使用割合〕
本発明の組成物(X)及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)を含有する組成物において、前記単官能(メタ)アクリレート(A)と前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)との合計を100質量%としたときに、前記単官能(メタ)アクリレート(A)が30〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜70質量%である。単官能(メタ)アクリレート(A)の使用割合が30質量%以下の場合には、硬化性組成物の粘度が高くなり、精密賦形の用途には適さない。
また、(メタ)アクリレート化合物(Z)を混合することにより、粘度や屈折率の調整及び反応性の調整を行うことができる。
【0072】
〔組成物(X)及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)を含有する組成物の液屈折率及び粘度〕
本発明の組成物(X)及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)を含有する組成物は、25℃における屈折率が1.595以上であることが好ましく、より好ましくは1.600以上である。また、組成物(X)及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)を含有する組成物の好ましい粘度としては、25℃において5000mPa・s以下、より好ましくは3500mPa・s以下である。
【0073】
〔光重合開始剤〕
本発明の組成物に紫外線を照射して硬化する場合、光重合開始剤を使用するのが好ましい。光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があげられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
〔その他の配合成分〕
本発明の組成物は、前記成分以外に離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、重合禁止剤、帯電防止剤、着色剤(例えば染料、顔料等)、無機フィラー、有機フィラー等を併用することができる。
【0075】
〔組成物の硬化〕
本発明の組成物を硬化させる方法としては、該組成物を目的・用途に応じて基材へ塗布或いは成型した後、活性エネルギー線を照射するか、或いは、加熱する方法が挙げられる。
【0076】
ここで、活性エネルギー線の照射によって硬化させる場合、かかる活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。活性エネルギー線として、電子線を用いる場合には、コックロフトワルトン型加速器、バンデグラフ型電子加速器、共振変圧器型加速器、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、リニアフィラメント型および高周波型などの電子線発生装置を用いて本発明の硬化性組成物を硬化させることができる。また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯等の水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハイトランプ、高出力のLED−UVランプ等により照射し、硬化させることができる。この際の紫外線の露光量は0.1〜1000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
【0077】
一方、加熱によって硬化させる場合は、60〜250℃の温度領域に加熱することによって硬化させることができる。
【0078】
〔硬化物の屈折率〕
本発明の硬化物の屈折率は1.610以上であり、好ましくは1.620以上である。屈折率が1.610より小さい場合、光学材料用途として用いるのに屈折率が十分でない。
【0079】
〔用途〕
以上詳述した本発明の組成物は、眼鏡レンズ、デジタルカメラ用レンズ、フレネルレンズ、及びプリズムレンズ等のプラスチックレンズ、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズムレンズ、LED封止材料、太陽光電池用コーティング材等の各種光学材料に好適に使用することができる。
【0080】
これらのなかでも特に、硬化物における屈折率が高く、かつ、硬化物の耐熱性及び耐湿性にも優れるという特性からプラスチックレンズに好ましく適用でき、特に液晶基板用プリズムレンズとして有用である。
【0081】
ここで液晶基板用プリズムレンズとは、シート状成形体の片面に微細なプリズム形状部を複数有するものであって、通常、液晶表示素子の背面(光源側)に、該素子側にプリズム面が向くように配設され、更に、その背面に導光シートが配設されるように用いられるシート状レンズ、或いは前記プリズムレンズがこの導光シートの機能を兼ねているシート状レンズである。
【0082】
ここで該プリズムレンズのプリズム部の形状は、プリズム頂角の角度θが70〜110°の範囲であることが、集光性に優れ輝度が向上する点から好ましく、特に75〜100°の範囲、中でも80〜95°の範囲であることが特に好ましい。
【0083】
また、プリズムのピッチは、100μm以下であることが好ましく、特に70μm以下の範囲であることが、画面のモアレ模様の発生防止や、画面の精細度がより向上する点から好ましい。また、プリズムの凹凸の高さは、プリズム頂角の角度θとプリズムのピッチの値によって決定されるが、好ましくは50μm以下の範囲であることが好ましい。さらに、プリズムレンズのシート厚さは、強度面からは厚い方が好ましいが、光学的には光の吸収を抑えるため薄い方が好ましく、これらのバランスの点から50μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0084】
本発明の組成物から前記したプリズムレンズを製造するには、例えば、該組成物をプリズムパターンが形成された金型あるいは樹脂型等の成形型に塗布し、組成物の表面を平滑化した後、透明基材を重ね合わせ活性エネルギー線を照射、硬化させることによって製造する方法が挙げられる。
【0085】
ここで、透明基材としては透明性の高いものであれば、活性エネルギー線の透過性や取扱性等を考慮した場合には、厚さ3mm以下のものが好ましい。また、透明基材の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、これらポリマーの混合物等の合成樹脂あるいはガラス等が挙げられる。
【0086】
このようにして得られる透明基材上に形成されたプリズムシートは、そのまま使用することもできるが、透明基材を剥離してプリズム部単独の状態として使用してもよい。透明基材上にプリズム部を形成したまま使用する場合には、その界面の接着が十分であることが耐候性および耐久性の点で重要であり、透明基材にプライマー処理等の接着性向上処理を施すことが好ましい。
【0087】
一方、透明基材を剥離して使用する場合、比較的容易に剥離できるようにすることが好ましく、透明基材の表面をシリコーンやフッ素系の剥離剤で表面処理を施すことが好ましい。
【実施例】
【0088】
以下本発明の態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に言及がない場合、単位は質量換算である。
1)粘度:25℃にてE型粘度計(東機産業(株)製「TV−20形」コーンプレートタイプを使用して測定した。
2)H−NMR:日本電子株式会社製NMR「GSX270」、300MHz、重クロロホルム溶媒
【0089】
(合成例1)o−フェニルベンジルアクリレートの合成
攪拌機、温度計、冷却管、塩化カルシウム管を具備した200mL3つ口フラスコに、o−フェニルベンジルアルコール20.0g、脱水トルエン100.0g、トリエチルアミン13.2g、メトキノン7.8mgを仕込み、氷浴で10℃以下に冷却した。ここに、アクリル酸クロライド11.8gを30分間かけて滴下し、室温に戻し2時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、5%NaOH水溶液、食塩水で洗浄後、溶媒留去することにより、得た橙色液体をシリカゲルカラムで精製を行い、20.44gの透明液体を得た。この得られた反応物の25℃における屈折率は1.5776であり、粘度27mPa・sの無色透明の液体であった。H−NMRでの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,300MHz): 7.53−7.49 (m, 1H of Ph), 7.48−7.28 (m, 8H of Ph), 6.41−6.34 (q, 1H of CH=CH), 6.34−6.07 (q, 1H of CH=CH), 5.82−5.77 (q, 1H of CH=CH), 5.13 (s, 2H of CH−Ph).
【0090】
(合成例2)m−フェニルベンジルアクリレートの合成
攪拌機、温度計、冷却管を具備した200mL4つ口フラスコに、3−(ブロモメチル)ビフェニル20.0g、脱水ジメチルホルムアミド39.3g、無水炭酸カリウム13.4g、メトキノン6.2mgを仕込み、室温でアクリル酸を添加した。炭酸ガスの発泡が収まった後、反応温度90℃に加熱し2時間反応を行った。室温に冷却後水120mLで希釈し、トルエン100gで抽出を行い、水洗を行った。得られた粗反応物をシリカゲルカラムで精製し、16.1gの透明液体である反応物を得た。この得られた反応物の25℃における屈折率は1.5888であり、粘度24mPa・sの無色透明の液体であった。H−NMRでの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,300MHz): 7.60−7.32 (m, 9H of Ph), 6.50−6.42 (q, 1H of CH=CH), 6.22−6.12 (q, 1H of CH=CH), 5.87−5.82 (q, 1H of CH=CH), 5.26 (s, 2H of CH−Ph).
【0091】
(合成例3)p−フェニルベンジルアクリレートの合成
合成例1のo−フェニルベンジルアルコールをp−フェニルベンジルアルコールに代え、同様の手順で、22.4gの透明液体である反応物を得た。この得られた反応物は室温では固形であり、融点32℃であった。この、40℃における屈折率は1.5920であった。H−NMRでの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,300MHz): 7.62−7.32 (m, 9H of Ph), 6.50−6.43 (q, 1H of CH=CH), 6.23−6.12 (q, 1H of CH=CH), 5.88−5.84 (q, 1H of CH=CH), 5.27 (s, 2H of CH−Ph).
【0092】
(実施例1及び2)組成物(X)の調製
合成例1で得られたOPBA、合成例3で得られたPPBAを下記表1の配合率で混合し、サンプルを得た。
・サンプルの分析
得られたサンプルについて、25℃における液屈折率及び粘度を測定した。更に、0℃にて2日間保管後の結晶析出の有無を観察した。
[液屈折率]
アッベ屈折計のプリズムに直接塗布し、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
[粘度]
E型回転粘度計にて25℃での粘度測定を行った。
【0093】
(比較例1〜3)
合成例1で得られたOPBA、合成例2で得られたMPBA、合成例3で得られたPPBAを下記表1の配合率で混合し、サンプルを得た。得られたサンプルについて、結晶析出の観察と25℃における液屈折率及び粘度を測定した。
【0094】
実施例1〜2、及び比較例1〜3の配合率と物性を、表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
液屈折率:アッペ屈折率計による25℃での屈折率。但し、比較例2は40℃、比較例4は70℃。
粘度:E型粘度計による25℃での粘度。
結晶析出:0℃で2日間保管後の結晶析出の有無
【0097】
(実施例3及び4、比較例4及び5)組成物(X)の硬化物評価
実施例1及び2、比較例1及び3で得られたサンプルについて、硬化物の作成と評価を行った。
(硬化物の耐熱性)
光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を4部、実施例1〜11、比較例1及び3で得られたサンプルを各100部配合した組成物を、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、500mJ/cmの照射量で照射し、硬化塗膜を得た。
塗膜作製で得られた塗膜を125℃の乾燥機に入れ150時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察し、耐熱性の評価を行った。評価は以下のように判断した。
評価
◎:変化なし
○:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
【0098】
[硬化物屈折率]
実施例1及び2、比較例1及び3で得られたサンプル各100部に対し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を4部配合した組成物を調整した。該クロムメッキ処理金属板と透明表面密着処理PETフィルムとの間に、調整した組成物を入れた後に厚さを50μmに調整し、高圧水銀灯により、500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板及び透明機材から硬化フィルムを剥離し、硬化フィルム(以下、これを「硬化フィルムA」と略記する。)を得た。得られた硬化フィルムAを、1−ブロモナフタレンにより、アッベ屈折計のプリズムに密着させ、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
【0099】
[指触試験]
上記で得られた「硬化フィルムA」について、フィルム表面を指触し、ベタつきが無いものを○、ベタつきがあるものを×とした。
【0100】
実施例3〜4、比較例4及び5の結果を表2に示す。
【0101】
【表2】

【0102】
(合成例4)フルオレンアクリレートの合成
攪拌機、温度計、コンデンサーを具備した200mL四つ口フラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(和光純薬製)400.0g、脱水トルエン1000g、トリエチルアミン185g、メトキノン1.0gを仕込み、氷浴で10℃以下に冷却した。ここに、アクリル酸クロライド124gを30分間かけて滴下し、室温に戻し2時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、5%NaOH水溶液、食塩水で洗浄後、トルエンを留去することにより反応組成物497gを得た。これを、シリカゲルカラムで精製することにより、下記式(19)で表される反応物を465g得た。25℃における屈折率は1.617であり、外観は無色〜微黄色の固体であった。
【0103】
【化16】

【0104】
(実施例5〜7、及び比較例6〜7)
組成物(X)として実施例1及び2で得られたサンプル又は比較例1で得られたサンプルと、フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂(Y)として、上記式(19)で表されるフルオレン型アクリレート(大阪ガスケミカル社製「オグゾールEA−0200」)、ならびに合成例4で得た化合物を、その他の(メタ)アクリレート(Z)としてOPPEAを用いて、下記表3の配合に従い、組成物を調整し、該組成物の液屈折率及び粘度を上記の方法にて測定した。
【0105】
【表3】

【0106】
(実施例8〜10、及び比較例8)
また、実施例5〜7、及び比較例7で得られた組成物100部に、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を4部配合した硬化性組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、500mJ/cmの照射量で照射し、硬化塗膜を得た。この耐溶剤性、耐熱性、耐湿性を下記の方法で測定した。
【0107】
(耐溶剤性)
硬化塗膜作製で得られた塗膜をメチルエチルケトンを含ませた綿棒(ジョンソン社製)で50往復擦った後に塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
×:曇り、剥がれなどの変化あり
(耐熱性)
硬化塗膜作製で得られた塗膜を125℃の乾燥機に入れ150時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
(耐湿性)
硬化塗膜作製で得られた塗膜を85℃、湿度85%の恒温恒湿機に入れ300時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
【0108】
〔硬化フィルムAの製造〕
実施例5〜7、及び比較例7で得られた組成物100部に、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を4部配合した硬化性組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面密着処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを50μmに調整し、高圧水銀灯により、500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板及び透明機材から硬化フィルムを剥離し、硬化フィルム(以下、これを「硬化フィルムA」と略記する。)を得た。
【0109】
〔硬化フィルム付き基盤Bの製造〕
前記硬化性組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面密着処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを50μmに調整し、高圧水銀灯により、500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板のみを剥離し、硬化フィルム付基板(以下、これを「硬化フィルム付き基板B」と略記する。)を得た。
【0110】
[硬化物屈折率]
硬化フィルムAを、1−ブロモナフタレンにより、アッベ屈折計のプリズムに密着させ、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
[透明性]
硬化フィルムAを用い、400〜900nmの波長領域の光透過率を測定し、全領域で85%以上の透過率を示すものを○とし、透過率がそれ未満のものを×とした。
[密着性]
硬化フィルム付き基板Bを用い、基材と硬化フィルム層との密着性をJIS K5400に準拠して測定し、升目が全て残存する時を○、それ以外を×とした。
[離型性]
クロムメッキ処理したプリズム金型と透明表面密着処理PETフィルムとの間に下記表5の配合に従って調整した組成物を入れた後に厚さを50μmに調整し、高圧水銀灯により500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金型から離型する際、金型に組成物が残らないものを○、残るものを×とした。
【0111】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の組成物は、プリズムシートをはじめとしたプラスチックレンズ等の光学部品の作製に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(ここで式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。)で表される単官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含有する組成物(X)であって、
前記単官能(メタ)アクリレート化合物(A)における、o−フェニルベンジル(メタ)アクリレートとのp−フェニルベンジル(メタ)アクリレートのモル比率が、o−フェニルベンジル(メタ)アクリレート/p−フェニルベンジル(メタ)アクリレート=50/50から10/90であることを特徴とする、
組成物(X)。
【請求項2】
前記組成物(X)と、更にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)とを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更に一般式1及び2で表される(メタ)アクリレート化合物及びフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)以外の(メタ)アクリレート化合物(Z)を含有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記単官能(メタ)アクリレート(A)と前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(Y)との合計を100質量%としたときに、
前記単官能(メタ)アクリレート(A)が30〜80質量%である請求項2または3記載の組成物。
【請求項5】
25℃における屈折率が1.570以上である、請求項1から4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
硬化後の屈折率が1.610以上である、請求項1から5のいずれか一つに記載の組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のプラスチックレンズ用組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物を硬化させてなるプラスチックレンズ。

【公開番号】特開2012−82387(P2012−82387A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78625(P2011−78625)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】