説明

光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体、その調製方法及び医薬の製造におけるその使用

式Iで示されるような、光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体及びその薬学的に許容される塩、その調製方法並びに医薬の製造における使用を開示する。薬力学的実験の結果は、本発明の式Iの化合物が血小板凝集を阻害するために有用であることを示す。薬物動態学的実験の結果は、本発明の式Iの化合物は体内で薬理活性代謝物に転換され、血小板凝集を阻害するために有用であることを示す。従って、本発明の化合物は血栓症と塞栓症関連疾患を予防する又は治療するための医薬の調製に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬化学分野、具体的には、光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体、その調製方法及び医薬、特に血栓症と塞栓症関連疾患を予防する又は治療するための医薬の調製におけるその使用に関する。
【0002】
本出願は中国特許出願(出願番号201010104091.5、出願日:2010年02月02日、発明・創作名称:2−ヒドロキシチエノピリジン誘導体、その調製方法及びその医薬用途)の優先権を主張するものである。
【0003】
本出願は中国特許出願(出願番号201010624329.7、出願日:2010年12月30日、発明・創作名称:光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体、その調製方法及び医薬の製造におけるその使用)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0004】
クロピドグレル(Clopidogrel)は現在世界で最も広く適用されている抗血小板凝集薬であり、臨床的には、アテローム性動脈硬化疾患、急性冠不全症候群、血栓性合併症及び他の疾患の治療に用いられている。クロピドグレルの血栓性心・脳血管疾患に関する治療効果と安全性がすでに多年の臨床試験により実証された(Lancet,1996,348:1329)。クロピドグレルは、体内で肝臓のP450酵素系による2段階酸化を経て代謝され、活性代謝物を生成し、それが血小板表面のP2Y12受容体と共有結合を形成して、P2Y12受容体拮抗作用によって血小板の凝集を阻害するプロドラッグである(Thromb Haemost,2000,84:891)。しかしながら、クロピドグレルの体内における代謝過程における研究が、85%の原型薬が肝臓内のヒト肝カルポキシルエステラーゼ1(hCEl)により非活性のクロピドグレルカルボン酸誘導体に加水分解されてしまい(J Pharmacol Exp Ther,2006,319:1467)、クロピドグレルの経口生物学的利用能を大きく低下させてしまい、臨床使用高投与量(負荷投与量:300mgクロピドグレル)、遅い作用発現及び血小板の阻害の遅延をもたらす(Cardiovascular Drug Reviews,1993,11:180)。さらに、異なる個体の肝臓におけるP450酵素系の表現の相違によって、P450酵素系による代謝により作用するクロピドグレルが臨床治療効果において大きな個体差、例えば「クロピドグレル抵抗」の存在及びステント血栓症を含む心血管イベントの発生等を有する(Circulation,2004,109:166)。
【0005】
日本三共社と米国イーライリリー社とによって、プラスグレル(Prasugrel)という新規な抗血小板薬が開発された。プラスグレルはクロピドグレルと比較してより速くて効果的に血小板凝集を阻害できるものの、より大きな出血リスクを有する。急性冠不全症候群治療の選択的経皮冠状動脈インターベンション(PCI)において、プラスグレルがクロピドグレルに比べ、より虚血イベント(ステント血栓症を含む)の発生率を顕著に減少できるが、その出血の危険性が増加する(N Engl J Med,2007,357:2001)。プラスグレルのその他の不良効果は例えば、血小板減少と好中球減少等である。
【0006】
特許US5190938、US5874581とWO9749397には抗血小板凝集作用を有する2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体がいくつか開示されている。しかし、これらの化合物のいずれもラセミ体混合物であり、かつこれらの化合物のラセミ体と鏡像異性体が治療効果と安全性に差があるかどうかを証明する研究は今までなかった。中国特許出願200810097756.7には、プラスグレルとクロピドグレルの芳香族ヘテロ環カルボン酸エステル誘導体、特にプラスグレルのラセミ体誘導体がいくつか開示されているが、光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジンのアルキルカルボン酸エステル誘導体およびその他の関連誘導体には触れていない。
【0007】
したがって、臨床には作用の現れが速く、治療効果が高く、また出血の副作用も避けられる抗血小板凝集の新薬の開発が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の解決しようとする技術的問題は上記した不利なところを克服して、新規な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジンの種々のエステル類誘導体を設計し合成して、治療効果が良く、副作用の小さい抗血小板凝集薬を開発するようにすることにある。
【0009】
本発明は光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体、例えば一般式Iの化合物あるいはその薬学的に許容される塩又は水和物を開示する:
【0010】
【化1】

【0011】
ここで、Rは無置換またはX置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1−10アルキル基、OR、NR、フェニル基、Y置換フェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基、3−ピリジニル基、アルケニル基又はアルキニル基であり;ここで、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリールオキシ基、フェニル基又はY置換フェニル基であり;Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基であり、かつY基がフェニル環の2、3又は4位にあり;
はH、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、かつR基がフェニル環の2、3又は4位にあり、ただし、Rは2−クロロである場合には、Rはフェニル基ではなく、Rは2−ハロである場合には、Rは3−ピリジニル基ではなく;
は直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基またはC1−6シクロアルキル基であり;
は直鎖もしくは分岐鎖のC1−10アルキル基又はベンジル基であり;R及びRは各々直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基であり、あるいはNR
【化2】


である。
【0012】
本発明の式Iの化合物において、Rは、好ましくは、無置換またはX置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基、OR、NR、フェニル基、Y置換フェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基又は3−ピリジニル基であり;ここで、Xはアミノ基、アミド基、スルホアミド基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリールオキシ基、フェニル基又はY置換フェニル基であり;Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基であり、かつY基がフェニル環の2、3又は4位にあり;Rは直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基又はベンジル基であり;R及びRは直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基であり、あるいはNR
【化3】


である。
【0013】
本発明の式Iの化合物において、Rは、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、tert−ペンチル、フェノキシメチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、ベンジルオキシ基、−N(CH、−N(CHCH、−N(CH)(CHCH)、
【化4】


フェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−アセトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基又は3−ピリジニル基である。
【0014】
本発明の式Iの化合物において、Rは、好ましくは、2−フルオロ、2−クロロ、2−ブロモ、2−シアノ基又は2−トリフルオロメチル基であり、かつRが2−クロロである場合には、Rはフェニル基ではなく、Rが2−ハロである場合には、Rは3−ピリジニル基ではない。
【0015】
本発明の式Iの化合物において、Rは、好ましくは、2−フルオロ又は2−クロロである。
【0016】
本発明の式Iの化合物において、Rは、より好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0017】
本発明の好ましい化合物は以下である:
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−2;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−3;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−4;
メチル(S)−2−(2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−5;
メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−7;
メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−8;
メチル(S)−2−(2−シンナモイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−9;
メチル(S)−2−(2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−11;
メチル(S)−2−(2−フェニルアセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−12;
メチル(S)−2−(2−(フェノキシアセトキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−13;
メチル(S)−2−(2−(エトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−14;
メチル(S)−2−(2−(イソブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−15;
メチル(S)−2−(2−(イソプロポキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−16;
メチル(S)−2−(2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−17;
メチル(S)−2−(2−(N,N−ジメチルアミノカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−18;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−19;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート I−20;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−フェニルアセテート I−21;
メチル(S)−2−(2−(ピロリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−22;
メチル(S)−2−(2−(メトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−23;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−24;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−25;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−26;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−27;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−28;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−29;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−30;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−31;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−32;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−33;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−34;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−35;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−36;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−37;
エチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−38;
エチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−39;
メチル(S)−2−(2−フェルロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−40;
メチル(S)−2−(2−ベンゾイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−41;
メチル(S)−2−(2−ニコチノイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート I−42;
メチル(S)−2−(2−(2−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−43;
メチル(S)−2−2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−44;
メチル(S)−2−(2−(N,N−ジエチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−45;及び
メチル(S)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−46。
【0018】
本発明の式Iの化合物は70〜100%、好ましくは、90〜100%、より好ましくは、95〜100%、最も好ましくは、98〜100%の光学純度を有する。
【0019】
本発明の誘導体は、また、式Iの化合物の鏡像異性体とラセミ体を含む。
【0020】
本発明の誘導体は、また、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を含み、この塩は本発明の化合物と下記の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、パモン酸(pamoic acid)、シュウ酸又はコハク酸により形成される酸付加塩を非限定的に含む。
【0021】
本発明の別の目的は以下の反応式に示される、式Iで表わされる、光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体を調製する方法を提供することである:
【0022】
方法(1)
【化5】

【0023】



又は


前記反応式において、R、R及びRは上記式Iの化合物において定義した通りであり;RはC1−6アルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、フェニル基又はZ置換フェニル基であり、ここで、ZはC1−3アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基であり、かつZ基はフェニル環の2、3又は4位にある。
【0024】
本方法は、具体的には以下の工程を含む:
(1)式IIの化合物((R)−2−(Rスルホニルオキシ)−2−(R置換フェニル)アセテート)を、式IIIの化合物(5,6,7,7a−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−2(4H)−オン)又はその塩と(これらのモル比は1:2〜2:1である)と、塩基(式IIの化合物の1〜10当量)の存在下反応させて、式IVの化合物((2S)−2−(2−オキシ−7,7a−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)−2−(R置換フェニル)アセテート)又はその塩を得、ここで、使用される溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はジクロロメタンであり;使用される塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトリウムであってもよく;反応温度は−20℃〜100℃であり、好ましくは10℃〜60℃であり;式IIIの化合物の塩は塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれ;そして
(2)式IVの化合物又はその塩を、式Vの化合物(酸無水物)又は式VIの化合物(Rカルボニルクロリド)と(モル比、1:1〜1:10で)、塩基(式IVの化合物の1〜10当量で)存在下反応させて、式Iの化合物((S)−2−(2−R−カルボニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(R置換フェニル)アセテート)を得、ここで使用される反応溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり、好ましくはテトラヒドロフラン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドであり;使用される塩基はトリエチルアミン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミノリチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、カリウムt−ブトキシド又はナトリウムt−ブトキシドから選ばれ;反応温度は−20℃〜100℃であり、好ましくは、0℃〜50℃である。
【0025】
方法(2)
【化6】

【0026】
前記反応式において、R、R、R及びRは上記式I及び式IIの化合物において定義した通りである。
【0027】
本方法は、具体的には以下の工程を含む:
【0028】
式IIの化合物を式VIIの化合物(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−2−イルカルボキシレート)又はその塩と塩基の存在下反応させて、式Iの化合物を得、ここで、使用される溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はジクロロメタンであり;使用される塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれ;反応温度は−20℃〜100℃であり、好ましくは、10℃〜60℃であり;式VIIの化合物の塩は、塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれる。
【0029】
式VIIの化合物又はその塩は特許US5190938に記載の方法に従って、調製されうる。
【0030】
本発明の一般式Iの化合物の鏡像異性体は、式IIの化合物の鏡像異性体を出発原料として使用することだけを除いて、前記した方法(1)と方法(2)に従って、調製されうる。
【0031】
本発明の一般式Iの化合物のラセミ体は、式IIの化合物のラセミ体を出発原料として使用することだけを除いて、前記した方法(1)と方法(2)に従って、調製されうる。
【0032】
本発明のさらなる目的は式Iで表される光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体の医薬の調製における使用を提供することである。
【0033】
薬力学的実験の結果は、本発明における一般式Iの化合物が著しい血小板凝集阻害効果を有し、一部の化合物の抗血小板凝集効果はクロピドグレルよりも明らかに優れていることを示す。また、式Iの化合物(S配置)はその対応する鏡像異性体(R配置)とラセミ体混合物より強い血小板凝集阻害を示す。薬物動態学的実験の結果は、本発明の式Iの化合物が体内で薬理活性代謝物に効果的に転換されてその血小板凝集阻害を発揮することができ、かつ活性代謝物が形成される中間代謝生成物の生物学的利用能がクロピドグレルよりも明らかに高いことを示す。前記した実験結果は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩が血栓症と塞栓症関連疾患を予防する又は治療する医薬の調製に有用であり、特にアテローム性動脈硬化疾患、心筋梗塞、卒中、虚血性脳血栓、末梢動脈疾患、急性冠不全症候群又は経皮冠状動脈インターベンション(PCI)後の血栓症を予防する又は治療する医薬の調製に有用であることを示唆する。
【0034】
本発明は、活性成分としての式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量及び薬学的に許容されるキャリアを含有する、血栓症と塞栓症関連疾患を予防する又は治療する医薬組成物をまた提供する。前記医薬組成物は普通の錠剤又はカプセル剤、徐放性の錠剤又はカプセル剤、放出制御性の錠剤又はカプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、経口液剤、注射剤などの通常の医薬投与形態であってもよい。
【0035】
本発明の医薬組成物における式Iの化合物の投与量は症状や年齢などにより異なる。成人については、投与量あたり、下限、0.1mg(好ましくは1mg)及び上限、1000mg(好ましくは500mg)で経口投与され、投与量あたり、下限、0.01mg(好ましくは0.1mg)及び上限、500mg(好ましくは250mg)で、静脈内投与される。疾患の重篤度や投与形態によって、投与量は上記の範囲を脱しうる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】化合物I−2のH-NMRスペクトルである。
【図2】化合物I−2のキラルHPLC分析である。
【図3】化合物I−2’(I−2の鏡像異性体)のキラルHPLC分析である。
【図4】化合物I−2”(I−2のラセミ体混合物)のキラルHPLC分析である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。実施例は例示的な目的のみのため供与され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
実施例1
メチル(R)−o−クロロマンデレート
【化7】

【0039】
(R)−o−クロロマンデル酸(5.6g)をメタノール23.1mlに溶解し、触媒量の濃硫酸(0.12ml)を加え、2時間加熱還流した。冷却した後メタノールを減圧で蒸発して、残留物をジクロロメタンにて溶解させ、10%炭酸カリウム水溶液及び水で順次に洗浄した。ジクロロメタン溶液を乾燥させ、蒸発乾固して、無色透明の油状物としてメチル(R)−o−クロロマンデレート5.79gを得た。収率:96%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.52 (d, 1 H, J= 4.8 Hz), 3.78 (s, 3 H), 5.57 (d, 1 H, J = 4.5 Hz), 7.26-7.31 (m, 2 H), 7.37-7.41 (m, 2 H); ESI-MS m/z 222.9 [M+Na]+
【0040】
実施例2
メチル(R)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)アセテート(II−1)
【化8】

【0041】
メチル(R)−o−クロロマンデレート(98.4g、0.49mol、ee=99%)を無水ジクロロメタン500mlに溶解させ、トリエチルアミン91ml(0.65mol)と触媒量のDMAPを加えた。p−ニトロベンゼンスルホニルクロリド120g(0.54mol)を無水ジクロロメタン500mlに溶解させ、0℃で反応液に滴下して、0℃で4〜5時間反応させた。反応液に水(500ml)を添加して分液した。水相をジクロロメタン(150ml×3)で抽出して、有機相を合わせた後乾燥させ、ジクロロメタンを減圧で蒸発して、暗赤色の油状粗生成物206.5gを得て、メタノール中で再結晶して、固体生成物(II−1)154.5gを得た。収率:82%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.57 (s, 3 H), 6.39 (s, 1 H), 7.21-7.39 (m, 4 H), 8.07 (d, 2 H, J = 8.9 Hz), 8.30 (d, 2 H, J = 8.9 Hz); ESI-MS m/z 408.0 [M+Na]+
【0042】
実施例3
メチル(2S)−2−(2−オキシ−7,7a−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(IV−1)
【化9】

【0043】
メチル(R)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)アセテート(II−1)58.1g(0.15mol)、5,6,7,7a−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−2(4H)−オン塩酸塩(III−1)32.3g(0.17mol)及び炭酸水素カリウム37.8g(0.38mol)をアセトニトリル500mlに加えた。反応物を窒素雰囲気下、室温で26時間攪拌した。反応液を放置し、不溶物を濾過して、暗赤色の母液を得た。減圧で溶媒を蒸発し、フラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)による精製後、油状生成物35.4gを得た。収率:70%。エタノールから再結晶して、白色固体の純粋な生成物(IV−1)18.1gを得た。融点:146〜148℃、ee=97.5%、[α]D19 = +114.0° (c= 0.5, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.79-1.93 (m, 1 H), 2.30-2.40 (m, 1 H), 2.56-2.70 (m, 1 H), 3.00-3.27 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 3.79-3.93 (m, 1 H), 4.12-4.19 (m, 1 H), 4.89 (d, 1 H, J= 5.6 Hz), 6.00 (d, 1 H, J = 5.2 Hz), 7.26-7.50 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 33.9, 34.0, 49.0, 49.7, 51.1, 51.6, 52.2, 52.4, 67.3, 76.6, 77.0, 77.4, 126.6, 126.8, 127.2, 129.8, 130.1, 132.7, 134.8, 167.2, 167.4, 170.8, 198.6; ESI-MS m/z 338.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C16H17NO3SClとして[M+H]+ m/z338.0618, 実測値:338.0626。
【0044】
実施例4
メチル(S)−2−(2−ベンゾイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−1)
【化10】

【0045】
メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−5,6,7,7a−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジニル)アセテート(IV−1)(113mg)をアセトニトリル(10ml)に溶解させ、トリエチルアミン0.10mlを加え、0℃で無水安息香酸151mgを滴下して、次に、混合物を室温まで温め、2時間反応させた。反応液を水(30ml)に注ぎ込み、水相を酢酸エチルで抽出し(50ml×3)、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、粗生成物を得、これをフラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:3)に付し、メチル(S)−2−(2−ベンゾイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−1)(77mg)を得た。収率:52%、融点:84〜86℃、ee=93.5%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:90%n−ヘキサン/10%イソプロパノール/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/min;検出波長:UV254nm、UV 254 nm)、[α]D20= +34.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.82-2.93 (m, 4 H), 3.57-3.68 (m, 2 H), 3.73 (s, 3 H), 4.95 (s, 1 H), 6.42 (s, 1 H), 7.26-8.17 (m, 9 H); 13C-NMR (75 MHz CDCl3) δ 25.0, 48.2, 50.4, 52.2, 67.8, 112.1, 125.9, 127.2, 128.5, 128.6, 129.5, 129.8, 130.0, 130.2, 133.9, 134,7, 149.9, 163.5; ESI-MS m/z 442.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C23H21NO4SClとして、[M+H]+ m/z 442.0891, 実測値:442.0880。
【0046】
実施例5
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2)
【化11】

【0047】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−5,6,7,7a−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジニル)アセテート(IV−1)(6.5g)を酢酸無水物(3.6ml)と反応させて、メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2)(6.8g)を調製した。収率:93%。エタノールから再結晶して、白色固体を得た。融点:73〜75℃、ee=98.9%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:92%n−ヘキサン/8%テトラヒドロフラン/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/min;検出波長:UV254nm)、[α]D23 = +45.00°(c = 1.0, CH3OH);1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.26 (s, 3 H), 2.65-2.90 (m, 4 H), 3.47-3.69 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 4.92 (s, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 7.24-7.70 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 20.2, 24.5, 47.6, 49.8, 51.6, 67.3, 111.5, 125.3, 126.6, 128.8, 128.9, 129.3, 129.4, 133.3, 134.2, 149.1, 167.2, 170.7; ESI-MS m/z 380.0 [M+H]+; HRMS 計算値:C18H19NO4SClとして、[M+H]+ m/z 380.0723, 実測値:380.0737。
【0048】
実施例6
メチル(R)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2’)
【化12】

【0049】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2R)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1’)(実施例1〜3に従って調製された)を酢酸無水物と反応させて、メチル(R)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2’)を調製した。ee=98.2%(キラルHPLC分析条件は実施例5と同じであった)、[α]D23 =-44.00° (c= 1.0, CH3OH)。
【0050】
実施例7
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−3)
【化13】

【0051】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)をプロピオン酸無水物(0.27ml)と反応させ、メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−3)(267mg)を調製した。収率:66%、ee=96.5%(キラルHPLC分析条件は実施例4のものと同じであった)、[α]D20 = + 36.00°(c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.23 (t, 3 H, J = 7.4 Hz), 2.55 (q, 2 H, J= 7.7 Hz), 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.87-2.88 (m, 2 H), 3.53 (d, 1 H, J= 14.2 Hz), 3.65 (d, 1 H, J = 13.6 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.91 (s, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 7.26-7.69 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 8.8, 21.1, 25.0, 27.4, 48.2, 50.3, 52.2, 67.8, 106.2, 111.7, 125.6, 127.2, 129.1, 129.5, 129.8, 130.0, 123.7, 149.8, 171.2; ESI-MS m/z 394.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C19H21NO4SClとして、[M+H]+ m/z 394.0883, 実測値:394.0880。
【0052】
実施例8
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−4)
【化14】

【0053】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(86mg)を酪酸無水物(90μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−4)(51mg)を調製した。収率:49%、ee=96.3%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = + 32.00° (c=0.50,MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.00 (t, 3 H, J= 5.2 Hz), 1.74 (q, 2 H, J= 5.2 Hz), 2.47-2.52 (m, 2 H), 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.89 (m, 2 H), 3.53 (d, 1H, J= 14.3 Hz), 3.65 (d, 1 H, J = 14.2 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 6.25 (s, 1 H), 7.24-7.69 (m, 4 H); 13C-NMR (75MHz, CDCl3) δ 13.5, 18.2, 25.0, 35.8, 48.2, 50.3, 52.1, 67.9, 111.8, 125.7, 127.1, 129.2, 129.4, 129.8, 130.0, 133.8, 134.7, 149.7, 170.4, 171.2; ESI-MS m/z 408.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C20H23NO4SClとして、[M+H]+ m/z 408.1035, 実測値:408.1036。
【0054】
実施例9
メチル(S)−2−(2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−5)
【化15】

【0055】
メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)338mgをテトラヒドロフラン15mlに溶解させ、トリエチルアミン0.83mlを滴下し、10分間攪拌し、次に、アセチルサリチロイルクロリド600mgを加え、室温で24時間攪拌した。反応液を飽和NaHCO溶液(20ml)に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出し(50ml×3)、濃縮し、蒸発して、フラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)に付し、メチル(S)−2−(2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−5)(280mg)を得た。収率:56%、ee=96.1%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:85%n−ヘキサン/15%テトラヒドロフラン/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/分;検出波長:UV254nm)、[α]D20 = + 14.00°(c= 0.50, CHCl3); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.34 (s, 3 H), 2.79-2.81 (m, 2 H), 2.90-2.93 (m, 2 H), 3.54-3.66 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 4.93 (s, 1 H), 6.37 (s, 1 H), 7.14-7.36 (m, 4 H), 7.39-8.15 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 20.93, 24.93, 48.04, 50.12, 52.12, 67.65, 112.61, 117.34, 118.97, 121.66, 124.09, 126.14, 127.12, 129.35, 129.45, 129.79, 129.92, 130.71, 132.12, 133.54, 134.71, 135.73, 149.32, 151.12, 161.32, 169.47, 171.17; ESI-MS m/z 500 [M+H]+, 522 [M+Na]+; HRMS 計算値:C25H23NO6SClとして、[M+H]+ m/z 500.0931, 実測値:500.0935。
【0056】
実施例10
メチル(S)−2−(2−ニコチノイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−6)
【化16】

【0057】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)をニコチノイルクロリド(512mg)と反応させて、メチル(S)−2−(2−ニコチノイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−6)(173mg)を調製した。収率:39%、融点:92〜94℃、ee=97.7%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:50%n−ヘキサン/50%イソプロパノール/0.1%ジエチルアミン;流速:0.8ml/分;検出波長:UV254nm)、[α]D20 = + 34.00° (c=0.50, MeOH); 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.80-2.82 (m, 2 H), 2.91-2.93 (m, 2 H), 3.58 (d, 1 H, J= 14.3 Hz), 3.69 (d, 1H, J= 14.3 Hz), 3.71 (s, 3 H), 4.93 (s, 1 H), 6.45 (s, 1H), 7.25-7.45 (m, 4 H), 7.69 (m, 1 H), 8.38-8.41 (m, 1H), 8.83-8.84 (m, 1 H), 9.34 (m, 1 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.93, 48.05, 50.24, 52.11, 67.73, 112.43, 123.47, 124.66, 126.33, 127.11, 129.32, 129.43, 129.78, 129.89, 133.59, 134.68, 137.54, 149.18, 151.19, 154.07, 162.17, 171.16; ESI-MS m/z 443.1 [M+H]+, 465.1 [M+Na]+; HRMS 計算値:C22H20N2O4SClとして、[M+H]+ m/z 443.0839, 実測値:443.0832。
【0058】
実施例11
メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−7)
調製方法(1)
【化17】

【0059】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)をピバロイルクロリド(738μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−7)(360mg)を調製した。収率:85%、融点:105〜107℃、ee=99.1%(キラルHPLC分析条件は実施例5と同じであった)、[α]D20 = + 38.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.30 (s, 9 H), 2.77-2.79 (m, 2 H), 2.87-2.88 (m, 2 H), 3.53 (d, 1 H, J = 14.2 Hz), 3.65 (d, 1 H, J= 14.2 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 7.23-7.69 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.93, 26.95, 39.09, 48.12, 50.29, 52.09, 67.77, 111.39, 125.53, 127.10, 129.01, 129.38, 129.76, 129.92, 133.73, 134.68, 150.08, 171.20, 175.17; ESI-MS m/z 422.2 [M+H]+; HRMS 計算値:C21H25NO4SClとして、[M+H]+ m/z 422.1198, 実測値:422.1193。
【0060】
調製方法(2)
【化18】

【0061】
メチル(R)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)アセテート(II−1)58.1mg(0.15mmol)、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−2−イルピバレート塩酸塩(VII−1)(特許US5190938に記載の方法に従って調製された)47mg(0.17mmol)及び炭酸水素カリウム38mg(0.38mmol)をアセトニトリル5mlに加えた。反応物を窒素雰囲気下、室温で終夜攪拌した。反応液を放置し、不溶物を濾過し、減圧で溶媒を蒸発した。フラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)の後、メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−7)(43mg)を得た。収率:69%。
【0062】
実施例12
メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−8)
【化19】

【0063】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキシ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)を、2,2−ジメチルブチリルクロリド(824μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−8)(326mg)を調製した。収率:75%、融点:98〜100℃、ee=99.5%(キラルHPLC分析条件は実施例5と同じであった)、[α]D20 =+36.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 3 H, J= 7.4 Hz), 1.26 (s, 6 H), 1.64 (q, 2 H, J= 7.3 Hz), 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.87-2.88 (m, 2 H), 3.53 (d, 1 H, J = 14.3 Hz), 3.65 (d, 1 H, J= 14.3 Hz), 3.71 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 6.25 (s, 1 H), 7.22-7.69 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 9.2, 24.47, 24.99, 33.32, 43.11, 48.16, 50.31, 52.11, 67.82, 111.49, 125.59, 127.11, 129.10, 129.40, 129.78, 129.95, 133.78, 134.70, 150.03, 171.24, 174.73; ESI-MS m/z 436.2 [M+H]+; HRMS 計算値:C22H27NO4SClとして、[M+H]+, m/z 436.1352, 実測値:436.1349。
【0064】
実施例13
メチル(S)−2−(2−シンナモイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−9)
【化20】

【0065】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)を、シンナモイルクロリド(1.0g)と反応させて、メチル(S)−2−(2−シンナモイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−9)(162mg)を調製した。収率:35%、融点:122〜124℃、ee=98.7%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:90%n−ヘキサン/10%テトラヒドロフラン/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/分;検出波長:UV254nm)、[α]D20 = + 14.00° (c= 0.50, CHCl3); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.79-2.81 (m, 2 H), 2.89-2.90 (m, 2 H), 3.51 (d, 1H, J= 18.3 Hz), 3.63 (d,1H, J= 20.3 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.92 (s, 1H), 6.35 (s,1 H), 6.56 (d, 1 H, J= 15.9 Hz), 7.24-7.32 (m, 2 H), 7.39-7.42 (m, 4 H), 7.55-7.58 (m, 2 H), 7.69-7.71 (m, 1 H), 7.85 (d, 1H, J = 15.9 Hz); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 25.01, 48.17, 50.36, 52.15, 67.83, 111.78, 116.04, 125.84, 127.15, 128.36, 128.66, 128.99, 129.44, 129.81, 130.90, 133.98, 134.72, 147.39, 163.69, 171.20; ESI-MS m/z 468.2 [M+H]+, 490.2 [M+Na]+; HRMS 計算値:C25H23NO4SClとして、[M+H]+ m/z 468.1032, 実測値:468.1036。
【0066】
実施例14
メチル(S)−2−(2−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−10)
【化21】

【0067】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)を、p−ニトロベンゾイルクロリド(1.13g)とを反応させ、メチル(S)−2−(2−(4−ニトロベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−10)(125mg)を調製した。収率:26%、融点:100〜102℃、ee=100%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:50%n−ヘキサン/50%イソプロパノール/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/分;検出波長:UV254nm)、[α]D20 =+ 30.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.82-2.84 (m, 2 H), 2.91-2.95 (m, 2 H), 3.59 (d, 1 H, J= 14.3 Hz), 3.69 (d, 1H, J= 14.3 Hz), 3.73 (s, 3 H), 4.95 (s, 1 H), 6.47 (s, 1 H), 7.26-7.70 (m, 4 H), 8.18 (s, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3)δ 25.14, 29.76, 48.17, 49.76, 50.38, 51.15, 51.69, 52.28, 67.37, 67.86, 112.66, 123.86, 126.68, 127.26, 129.53, 129.85, 130.00, 131.39, 133.69, 133.98, 134.84, 149.27, 151.08, 161.75, 171.35; ESI-MS m/z 487.0 [M+H]+; HRMS 計算値:C23H20N2O6SClとして、[M+H]+ m/z 487.0736, 実測値:487.0731。
【0068】
実施例15
メチル(S)−2−(2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−11)
【化22】

【0069】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)を、p−メトキシベンゾイルクロリド(1.02g)と反応させて、メチル(S)−2−(2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−11)(142mg)を調製した。収率:30%、ee=96.9%(キラルHPLC分析条件は実施例14と同じであった)、[α]D20 =+26.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.79-2.90 (m, 4 H), 3.59-3.66 (m, 2 H), 3.71 (s, 3 H), 3.85 (s, 3 H), 4.92 (s, 1H), 6.38 (s, 1 H), 6.92-6.95 (m, 2 H), 7.26-7.68 (m, 4 H), 8.06-8.09 (m, 2 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 25.05, 48.15, 50.36, 52.09, 55.49, 67.85, 111.86, 113.62, 114.14, 120.66, 121.24, 125.79, 127.13, 129.43, 129.79, 129.95, 132.31, 132.77, 133.78, 134.69, 149.95, 163.17, 164.58, 171.22; ESI-MS m/z 472.2 [M+H]+, 494.2 [M+Na]+; HRMS 計算値:C24H23NO5SClとして、[M+H]+ m/z 472.0993, 実測値:472.0985。
【0070】
実施例16
メチル(S)−2−(2−フェニルアセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−12)
【化23】

【0071】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(338mg)を、フェニルアセチルクロリド(796μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−フェニルアセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−12)(210mg)を調製した。収率:46%、ee=93.5%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]20 = + 14.00° (c= 0.50, MeOH) ; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.75-2.77 (m, 2 H), 2.86-2.88 (m, 2 H), 3.52 (d, 1H, J = 14.3 Hz), 3.63 (d, 1 H, J = 14.3 Hz), 3.71 (s, 3 H), 3.82 (s, 2 H), 4.89 (s, 1 H), 6.26 (s,1 H), 7.23-7.41 (m, 8 H), 7.64-7.68 (m, 1 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.98, 29.69, 40.87, 48.13, 50.29, 52.13, 67.80, 111.90, 125.81, 127.13, 127.45, 128.72, 129.14, 129.26, 129.43, 129.80, 129.92, 132.75, 133.70, 134.71, 149.62, 168.30, 171.25; ESI-MS m/z 456.2 [M+H]+, 478.2 [M+Na]+; HRMS 計算値:C24H23NO4SClとして、[M+H]+ m/z 456.1041, 実測値:456.1036。
【0072】
実施例17
メチル(S)−2−(2−(フェノキシアセトキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−13)
【化24】

【0073】
実施例9に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(169mg)を、フェノキシアセチルクロリド(456mg)と反応させ、メチル(S)−2−(2−(フェノキシアセトキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−13)(85mg)を調製した。収率:36%、融点:104〜106℃、ee=89%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = + 32.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz,CDCl3) δ 2.77-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.90 (m, 2 H), 3.53 (d, 1 H, J = 14.3 Hz ), 3.65 (d, 1 H, J= 14.3 Hz), 3.71 (s, 3 H), 4.82 (s, 2 H), 4.90 (s,1 H), 6.32 (s, 1H), 6.92-6.95 (m, 2 H), 6.99-7.04 (m, 1 H), 7.24-7.42 (m, 5 H), 7.65-7.68 (m, 1 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.95, 48.07, 50.23, 52.15, 65.14, 67.72, 112.41, 114.80, 122.13, 126.14, 127.15, 129.29, 129.48, 129.65, 129.83, 129.93, 133.58, 134.73, 148.79, 157.56, 165.88, 171.17; ESI-MS m/z 472.2 [M+H]+, 494.2 [M+Na]+; HRMS 計算値:C24H23NO5SClとして、[M+H]+ m/z 472.0993, 実測値:472.0985.
【0074】
実施例18
メチル(S)−2−(2−(エトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−14)
【化25】

【0075】
メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキシ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(85mg)を無水テトラヒドロフラン10mlに溶解させ、室温でトリエチルアミン0.141mlを加えて10分間攪拌した。次に、0℃でクロロギ酸エチル0.167mlを滴下した。滴下後、反応液が暗赤色の透明状から淡黄色の混濁状になった。氷浴を取り外し、反応物を、1時間で10℃まで昇温させた。次に、0℃の氷浴下でトリエチルアミン0.07ml及びクロロギ酸エチル0.1mlを追加添加した。氷浴を取り外し、反応物を1時間で10℃まで昇温させ、ここで原料がだいたい消えた。反応液に水(20ml)を加え、反応液を酢酸エチルで抽出し(30ml×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発し、粗生成物を与え、これをフラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:3)に付し、メチル(S)−2−(2−(エトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−14)(77mg)を得た。収率:75%、融点:42〜44℃、ee=97.3%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = + 40.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.37 (t, 3 H, J= 7.2 Hz), 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.90 (m, 2 H), 3.52 (d, 1 H, J= 14.2 Hz), 3.64 (d, 1H, J = 14.3 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.32 (q, 2 H, J= 7.1, 14.3 Hz), 4.90 (s, 1 H), 6.30 (s, 1 H), 7.24-7.68 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 14.4, 25.4, 48.4, 50.5, 52.4, 65.7, 68.1, 112.7, 126.2, 127.4, 129.7, 129.8, 130.1, 130.2, 134.0, 135.0, 152.9, 157.3, 171.5; ESI-MS m/z 410.1 [M+H]+, 432.1 [M+Na]+; HRMS 計算値:C19H21NO5SClとして、[M+H]+ m/z 410.0836, 実測値:410.0829。
【0076】
実施例19
メチル(S)−2−(2−(イソブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−15)
【化26】

【0077】
実施例18に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(85mg)を、クロロギ酸イソブチル(0.229ml)と反応させ、メチル(S)−2−(2−(イソブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−15)(75mg)を調製した。収率:69%、ee=95.5%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = +16.00° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.98 (d, 6 H, J = 6.7 Hz), 2.01 -2.05 (m, 1 H), 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.90 (m, 2 H), 3.52 (d, 1 H, J = 14.3 Hz), 3.64 (d, 1 H, J = 14.4 Hz), 3.72 (s, 3H), 4.25 (d, 2 H, J = 6.6 Hz), 4.90 (s, 1H), 6.29 (s, l H), 7.26-7.42 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 19.1, 25.4, 28.0, 48.4, 50.5, 52.4, 68.1, 75.6, 112.6, 126.1, 127.4, 129.7, 129.8, 130.1, 130.2, 134.0, 135.0, 150.8, 153.0, 171.5; ESI-MS m/z 460.3 [M+Na]+; HRMS 計算値:C21H25NO5SClとして、[M+H]+ m/z438.1150, 実測値:438.1142。
【0078】
実施例20
メチル(S)−2−(2−(イソプロポキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−16)
【化27】

【0079】
実施例18に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(85mg)を、クロロギ酸イソプロピル(0.23ml)と反応させ、メチル(S)−2−(2−(イソブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−15)(100mg)を調製した。収率:94%、ee=97.5%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]20=+34.00°(c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.36 (d, 6 H, J= 6.2 Hz), 2.77-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.89 (m, 2 H), 3.52 (d, 1H, J= 14.2 Hz), 3.64 (d, 1 H, J = 14.3 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 4.93-5.01 (m, 1 H), 6.30 (s, 1 H), 7.24-7.68 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 21.6, 25.4, 48.1, 50.3, 52.1, 67.8, 73.9, 112.2, 125.7, 127.1, 129.4, 129.8, 129.9, 130.3, 133.7, 134.7, 150.5, 152.0, 171.2; ESI-MS m/z 424.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C20H23NO5SClとして、[M+H]+ m/z 424.0989, 実測値:424.0985。
【0080】
実施例21
メチル(S)−2−(2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−17)
【化28】

【0081】
実施例18に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(85mg)を、クロロギ酸ベンジル(0.25ml)と反応させ、メチル(S)−2−(2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−17)(97mg)を調製した。収率:82%、ee=93.7%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = + 12.00° (c= 0.50, CHCl3); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.76-2.78 (m, 2 H), 2.86-2.90 (m, 2 H), 3.52 (d, 1 H, J= 14.4 Hz), 3.63 (d, 1H, J= 14.4 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.90 (s, 1H), 5.26 (s, 2 H), 6.30 (s, 1 H), 7.24-7.42 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 25.1, 48.1, 50.3, 52.1, 67.8, 70.9, 112.5, 126.0, 127.0, 127.1, 128.6, 128.7, 128.9, 129.4, 129.5, 129.8, 129.9, 133.7, 134.3, 134.7, 150.4, 152.6, 171.2; ESI-MS m/z 472.1 [M+H]+, 494.1 [M+Na]+; HRMS 計算値:C24H23NO5SClとして、[M+H]+ m/z 472.0996, 実測値:472.0985。
【0082】
実施例22
メチル(S)−2−(2−(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−18)
【化29】

【0083】
氷浴下で、水素化ナトリウム(20mg、60%)を無水N,N−ジメチルホルムアミド6mlに加え、それに、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)169mgを添加した。反応物を自然的に室温まで昇温させ、1時間攪拌し、次に、0℃に冷却した。N,N−ジメチルカルバモイルクロリド200μlをゆっくりと滴下した。反応物を自然的に室温まで昇温させ、3時間攪拌し、この時点でTLCが原料のほとんどが消えたことを示した。反応液を水(30ml)に注ぎ込み、水相を酢酸エチルで抽出し(50ml×3)、有機相を乾燥させ、粗生成物を得、これをフラッシュ・クロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:3)に付し、メチル(S)−2−(2−(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−18)(95mg)を得た。収率:45%、融点:96〜98℃、ee=93.5%(キラルHPLC分析条件は実施例10と同じであった)、[α]D20 = + 34° (c= 0.50, MeOH); 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.73-2.76 (m, 2 H), 2.85-2.89 (m, 2 H), 2.99 (s, 3 H), 3.03 (s, 3 H), 3.52 (d, 1H, J=14.3 Hz), 3.63 (d, 1H, J= 14.3 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.91 (s, 1 H), 6.19 (s, 1H), 7.26-7.69 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 25.03, 36.37, 36.88, 48.18, 50.40, 52.12, 67.87, 111.48, 125.38, 127.12, 129.09, 129.37, 129.76, 129.95, 130.56, 133.80, 134.34, 134.68, 151.04, 171.27; ESI-MS m/z 409.2 [M+H]+; HRMS 計算値:C19H22N2O4SClとして、[M+H]+ m/z 409.0992, 実測値:409.0989。
【0084】
実施例23
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート(I−19)
【化30】

【0085】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−フルオロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−2)(100mg)を、酢酸無水物(63μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート(I−19)(98.0mg)を調製した。収率:86%、1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.26 (s, 3 H), 2.47-2.97 (m, 4 H), 3.64 (s, 2 H), 3.74 (s, 3 H), 4.80 (s, 1 H), 6.27 (s, 1 H), 7.07-7.59 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 20.7, 24.9, 48.0, 50.0, 52.2, 64.3, 111.9, 115.5, 115.8, 124.4, 124.5, 125.6, 129.0, 130.0, 130.1, 130.2, 130.3, 149.6, 159.3, 162.6, 167.7, 171.0; ESI-MS m/z 364.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C18H19NO4SFとして、[M+H]+ m/z 364.1019, 実測値:364.1029。
【0086】
実施例24
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート(I−20)
【化31】

【0087】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(4−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−3)(100mg)を、酢酸無水物(63μl)と反応させ、メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート(I−20)(110mg)を調製した。収率:97%、1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.27 (s, 3 H), 2.65-2.78 (m, 4 H), 3.53 (s, 2 H), 3.73 (s, 3 H), 4.30 (s, 1 H), 6.25 (s, 1 H), 7.33-7.46 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 20.7, 24.7, 48.1, 50.4, 52.2, 71.9, 111.9, 125.7, 128.9, 130.1, 134.3, 134.4, 149.6, 167.7, 171.4; ESI-MS m/z 380.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C18H19NO4SClとして[M+H]+ m/z 380.0723, 実測値:380.0735。
【0088】
実施例25
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−フェニルアセテート(I−21)
【化32】

【0089】
実施例4に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−フェニル−2−(2−オキシ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−4)(100mg)を、酢酸無水物(63μl)と反応させ、メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−フェニルアセテート(I−21)(108mg)を調製した。収率:93%、1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.26(s, 3 H), 2.47-2.91 (m, 4 H), 3.54 (s, 2 H), 3,72 (s, 3 H), 4.32 (s, 1 H), 6.25 (s, 1 H), 7.25-7.69 (m, 5 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 20.7, 24:4, 48.1, 50.3, 52.2, 72.5, 111.9, 128.7, 128.9, 167.7; ESI-MS m/z 346.1 [M+H]+; HRMS 計算値:C18H20NO4Sとして、[M+H]+ m/z 346.1113, 実測値:346.1125。
【0090】
実施例26
メチル(S)−2−(2−(ピロリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−22)
【化33】

【0091】
実施例22に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(84mg)を、1−ピロリジンカルボン酸クロリド(70μl)と反応させて、メチル(S)−2−(2−(ピロリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−22)(50mg)を調製した。収率:46%、ee=80.1%(キラルHPLC分析条件:Chiralpak IC 4.6mm×250mm;カラム温度:25℃;移動相:50%n−ヘキサン/50%イソプロパノール/0.1%ジエチルアミン;流速:0.5ml/分;検出波長:UV254nm)、[α]D22 = + 19.0° (c= 1.0, MeOH); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.87-2.04 (m, 4 H), 2.62-2.75 (m, 2 H), 2.77-2.89 (m, 2 H), 3.44-3.54 (m, 5 H), 3.61 -3.76 (m, 4 H), 4.89 (s, 1 H), 6.20 (s, 1 H), 7.22-7.40 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.9, 25.1, 25.7, 29.7, 46.3, 46.6, 48.2, 50.4, 52.1, 67.9, 111.5, 125.2, 127.1, 128.6, 129.1, 129.3, 129.7, 130.0, 133.9, 134.7, 151.0, 151.8, 171.3; ESI-MS m/z 435.1 [M+H]+ ; HRMS 計算値:C21IH24N2O4SClとして、[M+H]+ m/z 435.1145, 実測値:435.1148。
【0092】
実施例27
メチル(S)−2−(2−(メトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−23)
【化34】

【0093】
実施例18に記載された方法に従い、メチル(2S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1)(108.5mg)を、クロロギ酸メチル0.1mlと反応させて、メチル(S)−2−(2−(メトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−23)(86mg)を調製した。収率:68%、ee=97.0%(キラルHPLC分析条件は実施例4と同じであった)、[α]D20 = + 24.00°(c= 0.50, CHCl3); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.75-2.78 (m, 2 H), 2.83-2.90 (m, 2 H), 3.47-3.68 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 3.90 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 6.29 (s, 1 H), 7.23-7.68 (m, 4 H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ 25.1, 48.1, 50.3, 52.1, 55.8, 67.8, 112.6, 126.0, 127.1, 129.4, 129.6, 129.8, 129.9, 133.7, 134.7, 150.4, 153.3, 171.2; ESI-MS m/z 396.1 [M+H]+. HRMS 計算値:C18H19NO5SClとして、[M+H]+ m/z396.0672, 実測値:396.0675。
【0094】
実施例28
メチル(R,S)−2−(2−(N,N−ジメチルアミノカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−18’)
【化35】

【0095】
実施例22に記載された方法に従い、メチル2−(R,S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7α−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−5)(169mg)を、N,N−ジメチルカルバモイルクロリド(200μl)と反応させ、メチル(R,S)−2−(2−(N,Nージメチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−18)(185mg)を調製した。収率:87%、1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.73-2.76 (m, 2 H), 2.85-2.90 (m, 2 H), 2.98 (s, 3 H), 3.02 (s, 3 H), 3.52 (d, 1H, J = 14.3 Hz), 3.62 (d, 1 H, J= 14.3 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.91 (s, 1 H), 6.19 (s, 1 H), 7.26-7.69 (m, 4 H); ESI-MS m/z 409 [M+H]+
【0096】
実施例29
メチル(R,S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2”)
【化36】

【0097】
実施例4に記載された方法に従い、メチル2−(R,S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3.2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)アセテート(IV−1”)(650mg)を、酢酸無水物(1ml)と反応させて、メチル(R,S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2”)(670mg)を調製した。収率:92%、1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.26 (s, 3 H), 2.76 (d, 2 H, J= 5.4 Hz), 2.90 (d, 2 H, J= 5.0 Hz), 3.55 (d, 1 H, J= 14.2 Hz), 3.64 (d, 1 H, J= 14.2 Hz), 3.72 (s, 3 H), 4.90 (s, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 7.25-7.68 (m, 4 H); ESI-MS m/z 380.0 [M+H]+
【0098】
実施例30
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート塩酸塩(I−2塩酸塩)
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−2)103mgをエチルエーテル6mlに溶解させ、−10℃の氷塩浴下に攪拌した。塩化水素により飽和されたエタノール溶液(0.2ml)を反応液系がpH2程度まで、ゆっくりと滴下し、この時点で直ちに白色の固体が沈殿した。5分間攪拌し、放置し、窒素雰囲気ですばやく濾過し、適量なエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を真空で乾燥させて、I−2塩酸塩(101mg、白色固体)を得た。収率:90%、融解範囲:100〜120℃。
【0099】
実施例31
メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート塩酸塩(I−7塩酸塩)
メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−7)65mgをエチルエーテル4mlに溶解させ、−10℃の氷塩浴下、攪拌した。塩化水素により飽和されたエタノール溶液(0.2ml)を、反応液系がpH2程度までゆっくりと滴下し、この時点で直ちに固体が沈殿した。5分間攪拌し、放置し、窒素雰囲気ですばやく濾過し、適量なエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を真空で乾燥させて、I−7塩酸塩(65mg、粒状固体)を得た。収率:92%、融点:135〜137℃;1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.33 (s, 9 H), 3.08 (s, 2 H), 3.44-3.51 (m, 2 H), 3.82 (s, 4 H), 4.34 (s, 1 H), 5.59 (s, 1H), 6.39 (s, 1H), 7.44-7.50 (m, 3 H), 8.36 (d, 1H, J= 7.2 Hz)。
【0100】
実施例32
メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート塩酸塩(I−8塩酸塩)
メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(I−8)63mgをエチルエーテル4mlに溶解させ、−10℃の氷塩浴下、攪拌した。塩化水素により飽和されたエタノール溶液(0.2ml)を、反応液系がpH2程度までゆっくりと滴下し、この時点で直ちに固体が沈殿した。5分間攪拌し、次に放置し、窒素雰囲気ですばやく濾過し、適量なエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を真空で乾燥させて、I−8塩酸塩(60mg、白色の粒状固体)を得た。収率:88%、融点:133〜135℃;1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.91 (t, 3 H, J = 7.6 Hz), 1.29 (s, 6 H), 1.69 (q, 2 H, J = 7.4 Hz), 3.08 (s, 1 H), 3.48 (m, 2 H), 3.83 (s, 4 H), 4.35 (s, 1 H), 5.59 (s, 1H), 6.37 (s, 1 H), 7.44-7.50 (m, 3 H), 8.36 (d, 1 H, J= 6.84 Hz)。
【0101】
実施例33
抗血小板凝集活性試験
薬剤と調製:陽性対照として、クロピドグレル硫酸塩を使用した。陽性対照と被験化合物(上記した実施例で調製した)を、動物投与用に、0.5%CMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)で懸濁液剤に処方した。
動物:雄性SDラット、体重約250g、B&K Laboratory Animal Corp. Lmd.により供給。動物証明証番号:2008001605451 ライセンス番号(SCXK(Hu)):SCXK(Hu)2008−0016。
機器:遠心分離機(80−2デスクトップ型低速遠心分離機)と全自動血小板凝集測定機(STELLEX LG−PAPER−l血小板凝固凝集アナライザー)など。
方法:BORN比濁法(Nature,1962,194(4832):927)に従い、抗血小板凝集について、本発明の化合物の薬理活性試験を行った。血小板を豊富に含む血漿(PRP)に、凝集促進物アデノシン二リン酸(ADP)を加え、攪拌して、血小板を凝集させた。血小板の凝集が光学密度の変化を起こさせ、これを分光光度計で検出できた。この実験が、体内又は体外に投与される。被験化合物により誘導される血小板凝集効果を評価するのに用いられた。
抗血小板凝集活性試験:体重約250gの雄性SDラットに、クロピドグレル硫酸塩及び被験薬物(1mg/mlの0.5%CMC−Na中の均一な懸濁液)を、10mg/kg又は3mg/kgの投与量で、経口胃内により与え、ブランク対照群に同体積の0.5%CMC−Naを経口胃内投与した。2時間後、ラットの眼窩から採血し、全血と抗凝固剤との比が9:1になるように3.8%のクエン酸ナトリウムを抗凝固剤として用い、1000rpmで7分間遠心分離させ、多血小板血漿(PRP)を調製した。少血小板血漿(PPP)で、血小板数を2×10個/mlに保つように、PRPを調節した。PRPを試験カップに取って、37℃で10分間インキュベートした。各測定について、光透過を、PRPで0%に、PPPで100%に調節した。ADP(最終濃度5μM)を誘導剤として用い、比濁法に従って、血小板凝集テスターを用いて、血小板凝集パーセントを測定し、t−検定で統計的な比較を行った。血小板凝集阻害を次の式:血小板凝集阻害率(%)=[1−(投薬チューブ中の凝集パーセント/対照チューブ中の凝集パーセント)]×100%により計算した。
結果:比濁法によってラットに被験化合物を経口投与させた後の血小板凝集阻害を決定し、一部の実験結果を表1に示す。この結果から、被験化合物のほとんどはクロピドグレルよりもより強い抗血小板凝集活性を示し、(S)−配置の化合物(例えばI−2、実施例5)はその対応する(R)−配置の鏡像異性体(I−2’、実施例6)及びラセミ体混合物(I−2”、実施例29)よりもより強い血小板凝集阻害を示す。
【0102】
【表1】

【0103】
実施例34
化合物I−2の、ラットにおける薬物動態学及び生物学的利用能についての研究
研究の背景:クロピドグレルは体内において肝臓のP450酵素系による酸化的代謝が、まず代謝中間体、メチル(2S)−2−(2−オキソ−7,7a−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(2H,4H,6H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート(チオラクトン化合物IV−1、その調製については実施例3を参照)を生成し、次に、化合物IV−1がすばやく薬理活性代謝物に代謝されることが報告されている(Thromb Haemost,2000,84:891;Drug Metab Rev2005,37(Suppl 2):99)。従って、化合物IV−1がクロピドグレルの活性代謝物の生成量の指標として有用である(Drug Metab Disp 2002,30:1288)。
実験目的:(1)ラットに化合物I−2及びクロピドグレルをそれぞれ経口胃内投与した後、化合物I−2、クロピドグレル及びそれらの代謝物IV−1の血漿中濃度の経時曲線を検討し、対応する薬物動態学パラメーターを評価し、化合物I−2及びクロピドグレルの、ラットにおける薬物動態学的特徴を評価し、化合物I−2の代謝物IV−1への転換及びその転換程度を決定し、及び化合物I−2及びクロピドグレルそれぞれの代謝物IV−1への転換を比較すること;(2)ラットに静脈注射により投与した後、化合物IV−1のプラズマ濃度の経時カーブを検討し、対応する薬物動態学パラメーターを評価し、化合物I−2及びクロピドグレルそれぞれの代謝生成により代謝物IV−1のラットにおける絶対生物学的利用能を評価すること。
方法:体重210〜230gの雄性SDラットをランダムに3群、化合物I−2群、クロピドグレル硫酸塩群及び化合物IV−1群に分けた。ラットを水を自由に飲まさせながら終夜絶食させた。10時間の後、(1)化合物I−2群に、化合物I−2を投与量24μmol/kg、投与濃度1.14mg/ml、投与体積8ml/kgで経口胃内により投与し、投与前(0時間)及び投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間にラットの後眼窩叢から採血した;(2)クロピドグレル硫酸塩群に、クロピドグレル硫酸塩を投与量24μmol/kg、投与濃度1.26mg/ml、投与体積8ml/kgで経口胃内により投与し、投与前(0時間)及び投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間にラットの後眼窩叢から採血した;(3)化合物IV−1群に、化合物IV−1を投与量8μmol/kg、投与濃度0.54mg/ml、投与体積5ml/kgで静脈注射により投与し、投与前(0時間)及び投与後0.083、0.167、0.5、1、2、4、6、8、24時間にラットの後眼窩叢から採血した。抗凝固剤と安定剤にて処理された後、血漿を分離し、血漿サンプルを加工し、LC−MS/MS法により血漿における化合物I−2、クロピドグレル及び化合物IV−1の濃度を測定した。クロマトグラフィー及びMSの条件を表2及び3に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
結果:SDラットに試験薬を投与した後の血漿中濃度−時間のデータを表4、5、6(備考:NAはデータ欠損)に示す。この結果が、(1)3匹のSDラットに化合物I−2を24μmol/kgを経口胃内投与した後、代謝により生成した化合物IV−1は排出半減期t1/2=2.19±1.68時間、血漿中濃度−時間曲線下の面積AUC0−t=197±124μg・時間/L、プラズマ濃度−時間曲線下の面積AUC0−∞=211±119μg・時間/L、ピークタイムTmax=1.17±0.764時間、ピーク濃度Cmax=67.2±42.3μg/L及び絶対生物学的利用能=24.6%を有し;(2)3匹のSDラットにクロピドグレル硫酸塩24μmol/kgを経口胃内により投与した後、代謝により生成した化合物IV−1は、排出半減期t1/2=2.48±0.466時間、プラズマ濃度−時間曲線下の面積AUC0−t=29.0±11.5μg・時間/L、プラズマ濃度−時間曲線下の面積AUC0−∞=32.2±109μg・時間/L、ピークタイムTmax=0.583±0.382時間、ピーク濃度Cmax=6.93±3.36μg/L及び絶対生物学的利用能=3.63%を有し;(3)3匹のSDラットに化合物IV−18μmol/kgを静脈注射により投与した後、化合物IV−1は、排出半減期t1/2=1.06±0.364時間、プラズマ濃度−時間曲線下の面積AUC0−t=266±37.6μg・時間/L、プラズマ濃度−時間曲線下の面積AUC0−∞=268±38.3μg・時間/L、ピークタイムTmax=0.0830時間及び、ピーク濃度Cmax=671±128μg/Lを有することを示す。
【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
SDラットに試験薬を投与した後推算された薬物動態学パラメーターを表7、8及び9(備考:表7、8及び9では、化合物IV−1のクリアランスCLtotと見かけの分布容積Vの計算において、化合物I−2及びクロピドグレルが完全に化合物IV−1に転換できると仮定し、よって、計算式においての投与量が化合物I−2又は化合物IV−1に相当するクロピドグレルの投与量である。)に示す。
【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
【表9】

【0114】
結論:(1)経口胃内投与によりラットに投与された後、化合物I−2はクロピドグレルの主な中間代謝生成物(化合物IV−1)に転換される;(2)経口胃内投与された後、化合物I−2の代謝物IV−1に転換する程度はクロピドグレル硫酸塩の代謝物IV−1に転換する程度より5倍以上高く、化合物I−2の代謝により生成された代謝物IV−1の絶対生物学的利用能もクロピドグレル硫酸塩の代謝により生成された代謝物IV−1の絶対生物学的利用能より5倍以上高い。
【0115】
以上の研究結果は、化合物I−2の中間代謝生成物の生物学的利用能はクロピドグレルより著しく高く、それにより、活性代謝生成物の生成量もクロピドグレルより著しく高く、よって、薬物投与量を顕著に低減させることによって、作用の早い発現及び高い効果が達成される一方で、抗血小板凝集剤の出血などの副作用の危険が減少されることが期待できることを示唆する。
【0116】
実施例35
錠剤
実施例5で調製された化合物I−2(50g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE(150g)、でんぷん(200g)、適量なポビドンK30及びステアリン酸マグネシウム(1g)を混合し、造粒し、打錠した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導体が式Iの化合物あるいはその薬学的に許容される塩又は水和物である、光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体:
【化37】


ここで、Rは無置換またはX置換の直鎖もしくは分岐鎖のC1−10アルキル基、OR、NR、フェニル基、Y置換フェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基、3−ピリジニル基、アルケニル基又はアルキニル基であり;ここで、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリールオキシ基、フェニル基又はY置換フェニル基であり;Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基であり、かつY基がフェニル環の2、3又は4位にあり;
は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、かつR基がフェニル環の2、3又は4位にあり、ただし、Rは2−クロロである場合には、Rはフェニル基ではなく、Rは2−ハロである場合には、Rは3−ピリジニル基ではなく;
は直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基またはC1−6シクロアルキル基であり;
は直鎖もしくは分岐鎖のC1−10アルキル基又はベンジル基であり;R及びRは各々、直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基であり、あるいはNR
【化38】


である。
【請求項2】
前記式Iの化合物において、Rは無置換またはX置換のC1−6直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、OR、NR、フェニル基、Y置換フェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基又は3−ピリジニル基であり;ここで、Xはアミノ基、アミド基、スルホアミド基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリールオキシ基、フェニル基又はY置換フェニル基であり;Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホアミド基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基であり、かつY基はフェニル環の2、3又は4位にあり;Rは2−フルオロ、2−クロロ、2−ブロモ、2−シアノ基又は2−トリフルオロメチル基であり、ただしRは2−クロロである場合には、Rはフェニル基ではなく、Rは2−ハロである場合には、Rは3−ピリジニル基ではなく;Rはメチル基又はエチル基であり;Rは直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基又はベンジル基であり;R及びRは各々、直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキル基であり、あるいはNR
【化39】


である、請求項1に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体。
【請求項3】
前記式Iの化合物において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、tert−ペンチル、フェノキシメチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、ベンジルオキシ基、−N(CH、−N(CHCH、−N(CH)(CHCH)、
【化40】


フェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−アセトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、スチリル基、4−ヒドロキシスチリル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル基又は3−ピリジニル基であり;Rは2−フルオロ又は2−クロロであり;Rはメチル基又はエチル基である、請求項1に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体。
【請求項4】
前記誘導体が、前記式Iの化合物と塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、パモン酸、シュウ酸又は琥珀酸とにより形成される酸付加塩を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体。
【請求項5】
前記誘導体が、
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−2;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−3;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−4;
メチル(S)−2−(2−(2−アセトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−5;
メチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−7;
メチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−8;
メチル(S)−2−(2−シンナモイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−9;
メチル(S)−2−(2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−11;
メチル(S)−2−(2−フェニルアセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−12;
メチル(S)−2−(2−(フェノキシアセトキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−13;
メチル(S)−2−(2−(エトキシホルミルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−14;
メチル(S)−2−(2−(イソブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−15;
メチル(S)−2−(2−(イソプロポキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−16;
メチル(S)−2−(2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−17;
メチル(S)−2−(2−(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−18;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−19;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート I−20;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−フェニルアセテート I−21;
メチル(S)−2−(2−(ピロリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−22;
メチル(S)−2−(2−(メトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−23;
メチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−24;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−25;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−26;
エチル(S)−2−(2−アセトキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−27;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−28;
メチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−29;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−30;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−31;
エチル(S)−2−(2−プロピオニルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−32;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−33;
メチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−34;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−35;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−36;
エチル(S)−2−(2−ブチリルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−ブロモフェニル)アセテート I−37;
エチル(S)−2−(2−ピバロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−38;
エチル(S)−2−(2−(2,2−ジメチルブチリルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−39;
メチル(S)−2−(2−フェルロイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−40;
メチル(S)−2−(2−ベンゾイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−フルオロフェニル)アセテート I−41;
メチル(S)−2−(2−ニコチノイルオキシ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(4−クロロフェニル)アセテート I−42;
メチル(S)−2−(2−(2−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−43;
メチル(S)−2−(2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−44;
メチル(S)−2−(2−(N,N−ジエチルカルバモイルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−45;及び
メチル(S)−2−(2−(ピペリジン−1−カルボニルオキシ)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−イル)−2−(2−クロロフェニル)アセテート I−46
を含む、請求項1に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体。
【請求項6】
以下の反応:
【化41】


ここで、R、R及びRは前記式Iの化合物において定義した通りであり;RはC1−6アルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、フェニル基又はZ置換フェニル基であり、ここで、ZはC1−3アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基であり、かつ前記Z基はフェニル環の2、3又は4位にあり;
具体的には以下の工程:
(1)式IIの化合物を式IIIの化合物又はその塩と、塩基の存在下反応させて、式IVの化合物又はその塩を得、ここで使用される溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり;使用される塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれ;反応温度は−20℃〜100℃であり;式IIIの化合物の塩はその塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれ;及び
(2)式IVの化合物又はその塩を式Vの化合物又は式VIの化合物と、塩基の存在下反応させて、式Iの化合物を得、ここで使用される反応溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり;使用される塩基はトリエチルアミン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミノリチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、カリウムt−ブトキシド又はナトリウムt−ブトキシドから選ばれ;反応温度は−20℃〜100℃である、
を含む、請求項1に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体の調製方法。
【請求項7】
前記工程(1)において、反応溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はジクロロメタンから選ばれる1種以上であり;反応温度が10℃〜60℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(2)において、反応溶媒がテトラヒドロフラン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドから選ばれる1種以上であり;反応温度が0℃〜50℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
以下の反応:
【化42】


ここで、R、R、R及びRは上記式I及び式IIの化合物において定義した通りであり;
具体的には以下の工程:
式IIの化合物を式VIIの化合物又はその塩と塩基の存在下反応させて、式Iの化合物を得、ここで使用される溶媒はベンゼン、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルt−ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上であり;使用される塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトリウムから選ばれ;反応温度は−20℃〜100℃であり;式VIIの化合物の塩は塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又は臭化水素酸塩から選ばれる、
を含む、請求項1に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体の調製方法。
【請求項10】
前記溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はジクロロメタンから選ばれる1種以上であり;反応温度が10℃〜60℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体の、血栓症及び塞栓症関連疾患を予防する又は治療するための医薬の調製における使用。
【請求項12】
前記光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体をアテローム性動脈硬化疾患、心筋梗塞、卒中、虚血性脳血栓、末梢動脈疾患、急性冠不全症候群又は経皮的冠状動脈インターベンション(PCI)後の血栓症を予防する又は治療するための医薬の調製に用いる、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
活性成分としての光学活性な2−ヒドロキシテトラヒドロチエノピリジン誘導体、すなわち、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩及び、薬学的に許容されるキャリアを含有する、血栓症及び塞栓症関連疾患を予防する又は治療するための医薬組成物。
【請求項14】
前記式Iの化合物が、成人について、1回の投与あたり、0.1mg〜1000mgで経口投与され、1回の投与あたり、0.01mg〜500mgで、静脈投与される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記式Iの化合物が、成人について、1回の投与あたり、1mg〜500mgで経口投与され、1回の投与あたり、0.1mg〜250mgで静脈投与される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記薬物組成物が錠剤、カプセル剤、徐放性錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、経口液剤又は注射剤の形態である、請求項13に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518825(P2013−518825A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551470(P2012−551470)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/CN2011/000138
【国際公開番号】WO2011/095049
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512202727)江蘇威凱爾医薬科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】