説明

光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法

【課題】
光学純度の高い光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン類を得ることにある。
【解決手段】
以下の工程を含む、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法。
(1)粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン(アルコキシカルボニル基の炭素数は2〜6)を含む溶液からN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を析出させる工程
(2)析出させた前記ラセミ混合物を除去する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンは、ペプチド系医薬品、農薬、機能性材料等の重要な中間体として知られている。
光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造法としては、多くの合成方法が知られている(特許文献1〜3、非特許文献1及び2)。しかしながら、これら文献に記載された方法では、得られるN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの光学純度が高いとはいえない。
N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを、特に医薬品の中間体として使用する場合には、光学純度が非常に高いものが望まれている。しかしながら、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの光学純度をさらに向上させる方法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−511177号公報
【特許文献2】特表平11−514996号公報
【特許文献3】特開平6−206857号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Med.Chem.,41,3387−3401(1998)
【非特許文献2】Org.Process Res.Dev.,6,323−328(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の主な目的は、光学純度の高い光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン類を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意研究を重ねた結果、特定の光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンにおいて、N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を析出させてから除去することにより、光学純度の高い光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の工程を含む光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法に関する。(1)粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン(アルコキシカルボニル基の炭素数は2〜6)を含む溶液からN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を析出させる工程、および(2)析出させた前記ラセミ混合物を除去する工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡便な操作により、光学純度の非常に高い光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(イ)光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン
本発明における光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンは、下記一般式(1)で示される光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンである。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、RはC2〜6のアルコキシカルボニル基を示し、*は不斉炭素を表す。)
2〜6のアルコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−ペンチロキシカルボニル、n−ヘキシロキシカルボニル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいのは、tert−ブトキシカルボニルである。
N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンとしては、N−エトキシカルボニル−tert−ロイシン、N−n−プロポキシカルボニル−tert−ロイシン、N−イソプロポキシカルボニル−tert−ロイシン、N−n−ブトキシカルボニル−tert−ロイシン、N−i−ブトキシカルボニル−tert−ロイシン、N−sec−ブトキシカルボニル−tert−ロイシン、N−tert−ブトキシカルボニル−tert−ロイシン、N−n−ペンチロキシカルボニル−tert−ロイシン、N−n−ヘキシロキシカルボニル−tert−ロイシン等を挙げることができる。この中でも特に好ましいのは、N−tert−ブトキシカルボニル−tert−ロイシンである。
また、上記一般式(1)で示される光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンにおける「*」は不斉炭素を表し、その立体化学にはD体またはL体がある。本発明で使用される光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンは、一方の光学異性体を過剰に含有していればよい。
なお、本発明において精製によって光学純度が上昇する前の光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを、粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンということがある。
また、前出の光学純度はエナンチオマー過剰率(%ee)で表し、エナンチオマー過剰率は、公知の方法、例えば光学分割カラムを用いた液体クロマトグラフィー等によって決定することができる。
その過剰割合は特に限定されないが、過剰割合の高い粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを使用する程、精製後に得られる光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの光学純度が高くなるので、過剰割合のより高いものを使用するのが好ましい。
例えば、本発明においては、50%ee以上の粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを使用するのが好ましく、70%ee以上のものがより好ましく、90%ee以上のものがさらに好ましい。精製後の光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの光学純度は96%ee以上であり、好ましくは96.5%ee以上、より好ましくは97%ee以上である。
【0011】
本発明で使用する粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンは、天然物であっても非天然物であってもよい。また、市販のものを使用することもできるし、製造(合成)したものを使用することもできる。
粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法は特に限定されず、例えば、光学活性tert−ロイシンとN−アルコキシカルボニル剤とを、水中又は水と水溶性有機溶媒との混合溶剤中、塩基性化合物存在下に反応させる方法等を挙げることができる。
(ロ)ラセミ混合物の析出
本発明では、まず、粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンに含まれるラセミ混合物を析出させ、それを除去する。
N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物とは、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンとそのエナンチオマーを含む混合物のことを指す。当該混合物における光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンとそのエナンチオマーの質量比は特に限定されないが、当該混合物の光学純度が90%ee以下のものである。
【0012】
一般的には、光学活性体の溶解度はラセミ混合物の溶解度よりも低いため、晶析を行うとまず光学活性体が析出する。しかしながら、本発明者はアルコキシカルボニル基の炭素数が2〜6のN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン、特にN−ブトキシカルボニル−tert−ロイシンにおいて、ラセミ混合物の溶解度が光学活性体の溶解度よりも低いことを見出した。
【0013】
従って、本発明では、まず粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶媒に溶解させた後、結晶を析出させる。このとき析出する結晶が、N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物である。
本発明において粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶解させるために使用する溶媒は、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、石油エーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール系、水等が挙げられる。
その中でも、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン及びクロロホルムからなる群から選ばれる少なくとも一種が、N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を優先的に析出させることができるので好ましい。
【0014】
上記溶媒の使用量は、粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンが十分に溶解し、ラセミ混合物を析出させることができれば、特に限定されない。例えば、粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン1質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.3〜200質量部、より好ましくは0.3〜100質量部である。
【0015】
粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶媒に溶解させる際の溶媒の温度は、30℃〜溶媒の沸点以下の温度がよく、40℃〜溶媒の沸点以下がより好ましく、50℃〜溶媒の沸点以下が更に好ましい。30℃以上とすることにより、また、粗N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶媒に溶解させるときには、攪拌する等して溶解を促進させることも可能である。
【0016】
粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶媒に溶解させた後、N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を析出させる方法は限定されず、溶液を冷却する方法、溶液を濃縮する方法等、公知の方法を使用することができる。
【0017】
本発明では溶液を冷却する方法が好ましい。当該方法が簡便であるからである。冷却する際の溶液の温度は限定されず、製造する光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンや使用する溶媒の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、上記の粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを溶解する際の溶媒の温度から、30℃以上冷却すればよく、40℃以上冷却するのが好ましく、50〜60℃程度冷却するのがさらに好ましい。30℃以上冷却することにより、より迅速に光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの結晶を得ることができるからである。
(ハ)ラセミ混合物の除去
このようにして溶媒中に析出したラセミ混合物は、固液分離に用いる公知の方法を用いて除去することができる。例えば、自然濾過、加圧濾過、吸引濾過、遠心分離などを用いることができ、ラセミ混合物が十分に分離できれば特に限定されない。
【0018】
この操作によりラセミ混合物を除去することにより、光学純度の非常に高い光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンが溶解した溶液を得ることができる。
(ニ)晶析
本発明においては、さらに、(ハ)で得られた溶液から光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを晶析させることができる。晶析させる方法は限定されず、例えば、溶媒を濃縮する方法、溶液を冷却する方法、N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンに対して難溶性の有機溶媒を添加する方法、種晶を添加する方法等の公知の方法が使用できる。また、これらの方法を組み合わせて使用することができる。
種晶を添加することにより光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの結晶を析出させる場合、目的とする光学異性体の化合物を使用すればよい。また、添加する種晶の量としては、溶液中のN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン1質量部に対して、1/10〜1/10000質量部、好ましくは1/20〜1/5000質量部とすればよい。
このようにして晶析させた光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンは、固液分離に用いる公知の方法を用いて除去することができる。例えば、自然濾過、加圧濾過、吸引濾過、遠心分離などを用いることができる。
【実施例】
【0019】
N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの定量分析条件
N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの定量分析は、HPLC分析により行った。カラムはイナートシルODS−3V(4.6φ×250mm)を用い、移動相は0.1質量%のリン酸水溶液とアセトニトリルを質量比で60:40に混合した溶液を用いた。流速は1.0mL/minとし、検出器として、UV(210nm)検出器を用いてカラム温度40℃で分析を行なった。
N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度分析条件
N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度分析は、HPLC分析により行った。カラムはキラルパックAS(4.6φ×250mm)を用い、移動層としては、ヘキサンとエタノールとトリフルオロ酢酸を質量比で99:1:0.1に混合した溶液を用いた。流速は1.0mL/minとし、検出器として、UV(210nm)検出器を用いてカラム温度25℃で分析を行なった。
N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度計算方法
光学純度は、HPLCによるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンとN−tert−ブトキシカルボニル−D−tert−ロイシンの各ピーク面積から、以下の式によって算出した。
L体の光学純度(%ee)=((L−D)/(L+D))×100
L:N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシン
D:N−tert−ブトキシカルボニル−D−tert−ロイシン。
実施例1
(イ)ラセミ混合物の除去工程
光学純度がL体95%eeであるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシン5gをトルエン13.5gに溶解させ、70℃で30分間攪拌した。2時間かけて10℃まで徐冷し、さらに、10℃で1時間攪拌した。析出した結晶を減圧濾過(4.00hPa、使用した濾紙は、桐山ロート用濾紙No.5A)で除去した。この時、析出した結晶は、1.86gのN−tert−ブトキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物とL体のN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンであった(88.7%ee)。
(ロ)晶析工程
次いで、上記析出した結晶を除去した後の溶液から溶媒6.5gを減圧留去(40℃、2.67hPa)し、この溶液を70℃で30分間攪拌した。2時間かけて10℃まで徐冷し、さらに10℃で1時間攪拌した。析出した結晶を減圧濾過し、N−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの結晶1.44g(回収率30%)を得た。得られたN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度は、L体>99.5%eeであった。結果は表1に示す。
【0020】
実施例2
溶媒をエタノール6.0g、溶解温度を60℃とした以外は実施例1のラセミ混合物除去工程と同様の方法でN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの結晶1.09g(光学純度82.9%ee)を得た。
次いで、上記析出した結晶を除去した後の溶液に含まれるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学活性を測定したところ、98.4%eeであり、精製前のN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度よりも高い結果となった。結果は表1に示す。
【0021】
実施例3
溶媒をテトラヒドロフラン5.96g、溶解後に溶液重量8.01gになるまで減圧濃縮をしたこと、溶解温度を60℃とした以外は実施例1のラセミ混合物除去工程と同様の方法でN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの結晶1.15g(光学純度78.2%ee)を得た。
次いで、上記析出した結晶を除去した後の溶液に含まれるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学活性を測定したところ、L体>99.5%eeであり、精製前のN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度よりも高い結果となった。結果は表1に示す。
【0022】
実施例4
溶媒をtert−ブチルメチルエーテル11.8g、溶解温度を50℃とした以外は実施例1のラセミ混合物除去工程と同様の方法でN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの結晶0.67g(光学純度78.8%ee)を得た。
次いで、上記析出した結晶を除去した後の溶液に含まれるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学活性を測定したところ、97.4%eeであり、精製前のN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度よりも高い結果となった。結果は表1に示す。
【0023】
実施例5
溶媒を酢酸エチル20.0g、溶解温度を70℃とした以外は実施例1のラセミ混合物除去工程と同様の方法でN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの結晶0.58g(光学純度70.0%ee)を得た。
次いで、上記析出した結晶を除去した後の溶液に含まれるN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学活性を測定したところ、98.2%eeであり、精製前のN−tert−ブトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度よりも高い結果となった。結果は表1に示す。
比較例1
光学純度がL体95%eeであるN−メトキシカルボニル−L−tert−ロイシン5gをトルエン13.5gに溶解させ、70℃で30分間攪拌した。2時間かけて10℃まで徐冷し、さらに、10℃で1時間攪拌した。析出した結晶を減圧濾過で除去した。
次いで、濾液中のN−メトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学活性を測定したところ、75.8%eeであり、精製前のN−メトキシカルボニル−L−tert−ロイシンの光学純度よりも低い結果となった。結果は表1に示す。
【0024】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造方法。
(1)粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン(アルコキシカルボニル基の炭素数は2〜6)を含む溶液からN−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンのラセミ混合物を析出させる工程
(2)析出させた前記ラセミ混合物を除去する工程
【請求項2】
前記工程(1)において、粗光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシン溶液の溶媒が、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン及びクロロホルムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラセミ混合物を除去した溶液から、光学活性N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンを晶析させる工程を更に含む、請求項1又は2記載の方法。

【公開番号】特開2010−132646(P2010−132646A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245235(P2009−245235)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】