説明

光学用積層フィルム

【課題】光拡散フィルムとして用いたときに、撓みやカールが抑制されることで輝度斑が少なく、かつ、バックライトの輝線を隠蔽することができる、優れた光拡散性を備える光学用積層フィルムを提供する。
【解決手段】支持層およびその両側に設けられた光拡散層からなる光学用積層フィルムであって、支持層は、ポリエステルおよびフィラーからなる二軸配向した層であり、光拡散層は、支持層のポリエステルより融点が5〜50℃低いポリエステルおよび光拡散成分からなり実質的にボイドを含有しない層であることを特徴とする、光学用積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の光学部材のベースフィルムとして用いられる、光学用積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、液晶表示装置の光学部材であるプリズムレンズシート等のベースフィルムとして用いられている。
近年、液晶表示装置の薄型化が進んでおり、液晶表示措置を構成する光学部材には薄膜化と枚数の削減が求められている。このなか、ベースフィルムとしてそれ自体が光拡散性を備えるポリエステルフィルムが提案されている。
【0003】
例えば特開2001−272508号公報や特開2001−272511号公報では、フィルムの内部に光拡散成分を含有させることで、ベースフィルム自体に光拡散性を付与している。また、特開2002−178472号公報では、フィルムの内部に球状または凸レンズ状の粒子を含有させることで、ベースフィルム自体に光拡散性を付与している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−272508号公報
【特許文献2】特開2001−272511号公報
【特許文献3】特開2002−178472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置の光学部材は、液晶表示装置に組み込んで用いられる。しかし、従来の技術によるベースフィルムでは、液晶表示装置の使用環境における熱や湿度によって光学部材の寸法が大きく変化し、光学部材が撓み、あるいはカールし、その結果光拡散フィルムとして用いたときに液晶表示装置に輝度斑を発生させることがある。
【0006】
本発明は、光拡散フィルムとして用いたときに撓みやカールが抑制されることで輝度斑が少なく、かつ、バックライトの輝線を隠蔽することができる、優れた光拡散性を備える光学用積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、支持層およびその両側に設けられた光拡散層からなる光学用積層フィルムであって、支持層は、ポリエステルおよびフィラーからなる二軸配向した層であり、光拡散層は、支持層のポリエステルより融点が5〜50℃低いポリエステルおよび光拡散成分からなり実質的にボイドを含有しない層であることを特徴とする、光学用積層フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光拡散フィルムとして用いたときに撓みやカールが抑制されることで輝度斑が少なく、かつ、バックライトの輝線を隠蔽することができる、優れた光拡散性を備える光学用積層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の光学用積層フィルムは支持層およびその両側に設けられた光拡散層からなる。
【0010】
[支持層]
支持層は、ポリエステルおよびフィラーからなる二軸配向した層である。二軸配向した層でないと熱収縮率が高くなり、液晶表示装置のバックライトユニットの光源からの熱によって、フィルムが変形したり、バックライトユニットの輝度斑が発生することがある。
【0011】
支持層は実質的にボイドを含有しないことが好ましい。本発明において実質的にボイドを含有しないとは、ボイドを含有しないか、または支持層の全光線透過率を低下させない程度のボイドを含有することをいい、例えば、支持層をフィルム面に垂直に切断したときのボイドの断面積がフィラーの断面積の好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であることをいい、フィラーがない場合は、ボイドを含有しないことをいう。
【0012】
支持層がボイドを実質的に含有すると、ボイド界面での光の反射が多くなり、フィルムの全光線透過率が低下して、輝度が劣ることになる。支持層がボイドを含有しないことは、フィルムの断面を走査型顕微鏡(SEM)または透過型顕微鏡(TEM)で500倍〜20000倍の倍率で観察することによって確認することができる。
【0013】
支持層に用いるポリエステルは、芳香族飽和ポリエステルである。これは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とからなるポリエステルである。このポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを例示することができる。これらは共重合ポリマーであってもよいが、ホモポリマーであることが好ましい。最も好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーである。
【0014】
高い光拡散性を得るためには、支持層はフィラーを含有することが好ましい。支持層のフィラーとしては、無機物質からなるフィラーを用いる。無機物質からなるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子を用いることができる。
【0015】
支持層がフィラーを含有する場合、フィラーの含有量は、支持層の重量を基準として、好ましくは0.05〜10重量%である。0.05重量%未満であると支持層の光拡散率が低下し、10重量%を超えると延伸時にボイドが多発し、全光線透過率が劣る。フィラーの平均粒径は、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1〜8μmである。1μm未満であると光拡散層を支持する機能が不足し、10μmを超えると延伸時にフィラーの周辺にボイドが発生しやすい。
【0016】
[光拡散層]
光拡散層は、ポリエステルと光拡散成分とからなり実質的にボイドを含有しない層である。本発明において実質的にボイドを含有しないとは、ボイドを含有しないか、または光拡散層の全光線透過率を低下させない程度のボイドを含有することをいい、例えば、光拡散層をフィルム面に垂直に切断したときのボイドの断面積が光拡散成分の断面積の好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であることをいう。
【0017】
光拡散層がボイドを含有すると、ボイド界面での光の反射が多くなり、フィルムの全光線透過率が低下して、輝度が劣ることになる。光拡散層がボイドを含有しないことは、フィルムの断面を走査型顕微鏡(SEM)または透過型顕微鏡(TEM)で500倍〜20000倍の倍率で観察することによって確認することができる。
【0018】
光拡散層のポリエステルとして、支持層のポリエステルより融点が5〜50℃低いポリエステル、好ましくは20〜50℃低いポリエステルを用いる。本発明においては、フィルムの延伸により発生した光拡散層のボイドを、フィルムを熱処理することで消滅させて、ボイドのない光拡散層を得る。融点差が5℃未満であるとフィルムの機械的強度を保ったまま光拡散層のポリエステルを再融解させることができず、延伸時に光拡散成分の周辺に発生するボイドをフィルムの熱処理によっても十分に消滅させることができず、融点差が50℃を超えると耐熱性が不足する。
【0019】
光拡散層に用いる融点の低いポリエステルとして、共重合ポリエステルを用いることができる。例えば、支持層のポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いる場合には、光拡散層のポリエステルとして、共重合ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。共重合成分として、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を例示することができる。ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールを例示することができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。例えば、支持層のポリエステルとして、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを用いる場合には、光拡散層のポリエステルとして、共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを用いることが好ましい。共重合成分として、ジカルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を例示することができる。ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールを挙げることができる。これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0020】
光拡散層の光拡散成分としては、好ましくは球状粒子を用いる。球状粒子は真球度の高いものほど好ましく、アスペクト比が1.1以下のものが特に好ましい。球状粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。平均粒径が0.5μm未満であると光拡散性が不足し、他方、平均粒径が30μmを超えると光拡散性は十分だが、全光線透過率が不足して輝度が劣るうえ、粒子の粒径が大きいために、粒子の界面で発生するボイドが大きくなり、熱処理によってボイドを消滅させることが困難となる。なお、球状粒子は、無色透明な粒子であることが好ましい。
【0021】
光拡散成分として、例えば、シリカ、アクリル、ポリスチレン、シリコーンの粒子を用いることができる。光拡散成分の屈折率と光拡散層のポリエステルとの屈折率の差と、粒子径との積(屈折率差×粒子径(μm))は0.1〜0.5[μm]であることが好ましい。この範囲であると、とても良好な光拡散性を得ることができる。
【0022】
光拡散層は二軸延伸後に、光拡散層のポリエステルの融点より高い温度で熱処理されることによって、配向が緩和もしくは配向が無くされていることが好ましい。光拡散層に配向が残っていると光拡散粒子との界面で延伸時に発生するボイドを十分に消失させることができず、光線透過率の低下を招くことになり好ましくない。
【0023】
[層構成]
本発明の光学用積層フィルムは、支持層およびその両側に設けられた光拡散層からなることで、拡散フィルムの使用環境でのフィルムのカールを抑制することができ、輝度斑を小さく抑えることができる。
【0024】
支持層と光拡散層との厚み比率は、支持層の厚み1に対して、光拡散層の厚みが好ましくは両層それぞれ0.05〜2.5、さらに好ましくは0.1〜2.5である。この範囲の厚み比率であることによって、機械的強度を維持しながら、優れた光拡散性を得ることができる。
【0025】
本発明の光学用積層フィルムの総厚みは、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは10〜400μmである。この範囲の総厚みであることによって、優れた光拡散性を備えるとともに、延伸性が良好であり、生産性のよい光学用積層フィルムを得ることができる。
【0026】
本発明の光学用積層フィルムの表面には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、プライマー層を塗設したり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施してもよい。これらの処理は、フィルムの製造後に施しても、フィルム製造工程内で施してもよい。光拡散層のうえには、さらに密着防止層を備えてもよい。
【0027】
[製造方法]
以下、融点をTm、ガラス転移温度をTgと表記する。また、「Tg(支持層)」は支持層のポリエステルのTg、「Tg(光拡散層)」は光拡散層のポリエステルのTg、「Tm(支持層)」は支持層のポリエステルのTm、「Tm(光拡散層)」は光拡散層のポリエステルのTmを意味する。
【0028】
本発明において、光拡散層と支持層は、共押出法により積層される。本発明の光学用積層フィルムは、例えば以下のようにして製造することができる。
すなわち、光拡散層を構成するポリエステル組成物と、支持層を構成するポリエステル組成物とを、両方のポリエステルが溶融した状態で、例えばTm〜(Tm+70)℃の温度で、両者が接するようにダイから押出して未延伸積層フィルムとする。未延伸積層フィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg(支持層)−10)〜(Tg(支持層)+70)℃の温度で3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg(支持層)〜(Tg(支持層)+70)℃の温度で3倍以上の倍率で延伸する。延伸により得られた二軸配向フィルムを、光拡散層のポリエステルが非晶性である場合には、(Tg(支持層)+70)℃〜(Tm(支持層)−10)℃の温度範囲で、光拡散層のポリエステルが結晶性である場合には、(Tm(光拡散層)+5)℃〜(Tm(支持層)−10)℃の温度範囲で熱固定する。この熱固定工程によって、二軸延伸による光拡散層のポリエステルの配向が解消し、光拡散成分とポリエステルとの界面に発生していたボイドを消滅させることができる。
逐次二軸延伸法にかえて、同時二軸延伸法で延伸してもよい。同時二軸延伸法で延伸すると、延伸が二軸方向に同時に行われるためボイドが発生しにくく好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、物性は以下の方法で測定、評価した。
【0030】
(1)平均粒径
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノールで溶解して粒子を分離し、得られた粒子を測定に用いた。平均粒径の測定は島津製作所製「CP−50型Centrifugal Particle Size Analyzer」を用いて行った。この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50mass percentに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とした(参照「粒度測定技術」、242〜247頁、日刊工業新聞社、1975年発行)。
【0031】
(2)屈折率
・光拡散層のポリエステル
溶融押出しする前のポリエステルを板状に成型して、アッベ屈折率計(D線589nm)で測定した。
・光拡散成分(粒子)
光拡散成分の粒子を、屈折率の異なる種々の25℃の液に懸濁させ、懸濁液が最も透明に見える液の屈折率をアッベの屈折率計(D線589nm)によって測定した。
【0032】
(3)アスペクト比
フィルムを走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてシート表面に、1×10−3torrの真空下で、0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施した。(株)日立製走査型電子顕微鏡S−4700にて、100個の粒子について長径と短径を測定してアスペクト比を算出し、その平均値をアスペクト比とした。
【0033】
(4)ボイド
フィルムを厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を(株)日立製走査型電子顕微鏡S−4700にて観察し、粒子もしくは非相溶樹脂の断面積に対するボイド断面積の割合を計算した。少なくとも10点について粒子もしくは非相溶樹脂の断面積に対するボイド断面積の割合を算出してその平均により、下記の評価基準でボイドを評価した。
○: ボイド断面積が30%以下
△: ボイド断面積が30%超、50%以下
×: ボイド断面積が50%超
【0034】
(5)融点・ガラス転移温度
各層をそれぞれ分離して得たサンプル10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、融点を測定し、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度、示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて、ガラス転移温度を測定した。
【0035】
(6)表面粗さ
小坂研究所社製の表面粗さ測定器SE−3FATを用い、JIS B0601の測定法により、フィルム表面の十点平均粗さRzを求めた。
【0036】
(7)全光線透過率
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムの全光線透過率を測定した。
【0037】
(8)ヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘーズ値を測定した。
【0038】
(9)光拡散性
DIN5036に準じ、(株)村上色彩技術研究所製 自動変角計GP−200を使用し、受光角度5度、20度および70度での輝度値を測定し、下記式より光拡散率を算出して、光拡散性の評価とした。
光拡散率(%)
=(20度での輝度値+70度での輝度値)×100/(5度での輝度値×2)
【0039】
(10)輝度斑
ソニー(株)製液晶テレビKDL−32V2500からバックライトユニットを取出して、光拡散ボード上に評価対象のフィルムを載せ、大塚電子(株)製輝度計MC−940で、中心点左右にある蛍光管上(a)と、さらに隣接する蛍光管の間の上(b)をそれぞれ3箇所ずつについて輝度(cd/m)を測定した。輝度相対値を下記式で算出して、輝度斑の評価とした。なお、蛍光管同士の間隔が23mmであった。
輝度相対値=輝度(a)/輝度(b)
○: 相対輝度値が1.1以下
△: 相対輝度値が1.1を超え1.2以下
×: 相対輝度値が1.2を超え1.3以下
【0040】
(11)各層厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0041】
(12)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
【0042】
[実施例1]
層構成は、光拡散層/支持層/光拡散層とした。支持層として、平均粒子径1.7μmの塊状シリカフィラーをポリエチレンテレフタレートに、両者の合計量を基準に0.1重量%になるように配合し、光拡散層として、平均粒子径2.3μmの真球状シリカを、全ジカルボン酸成分を基準にイソフタル酸10モル%が共重合されたポリエチレンテレフタレートに、光拡散層の合計重量を基準に2重量%になるように配合して溶融し、共押出法によってダイから押出してキャスティングドラム上で急冷し、シートを得た。その後75℃で余熱し、延伸温度110℃で縦方向に3.3倍に延伸した。その後、110℃で余熱し、延伸温度130℃にて横方向に3.6倍に延伸した。その後、結晶化ゾーンにて235℃にて熱処理した。熱処理する際に、縦方向1.5%および横方向2.0%に弛緩を入れて、熱収縮率を調整した。評価結果を表1に示す。
【0043】
[実施例2および3]
支持層および光拡散層について、フィラー種類、平均粒子径およびその添加量、光拡散成分の種類、平均粒子径および添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様に製膜して光学用積層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0044】
[実施例4]
実施例2と同等の構成で、ただし製膜方法を次のように同時二軸延伸法に変更して光学用積層フィルムを得た。まず共押出法によってダイから押出してキャスティングドラム上で急冷し、未延伸積層シートを得て、80℃で余熱し、その後、延伸温度100℃で縦方向3.3倍、横方向3.6倍に同時に延伸した。その後、結晶化ゾーンにて235℃にて熱処理して光学用積層フィルムを得た。なお、熱処理する際に、縦方向1.5%および横方向2.0%に弛緩を入れて、熱収縮率を調整した。評価結果を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
光拡散層を設けない以外は実施例1と同様に製膜してフィルムを得た。光拡散性が劣るため、輝度斑が発生した。評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表中、「PET」はポリエチレンテレフタレートを、「IA10mol%CoPET」は、イソフタル酸を10モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の光学用積層フィルムは、液晶表示装置の光学部材のベースフィルムとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層およびその両側に設けられた光拡散層からなる光学用積層フィルムであって、支持層は、ポリエステルおよびフィラーからなる二軸配向した層であり、光拡散層は、支持層のポリエステルより融点が5〜50℃低いポリエステルおよび光拡散成分からなり実質的にボイドを含有しない層であることを特徴とする、光学用積層フィルム。

【公開番号】特開2010−107764(P2010−107764A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280254(P2008−280254)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】