説明

光学的にアドレス指定可能なマトリックスディスプレイ

マトリックスディスプレイデバイスは、光感応素子(LSij)と画素光発生素子(LGij)とを有する光学的にアドレス指定可能な画素(Pij)のマトリックスを具えており、光感応素子(LSij)はデータ光(Lj)を受光して、このデータ光(Lj)に応じて当該光感応素子(LSij)の状態を制御し、画素光発生素子(LGij)は光感応素子(LSij)の状態に依存する量の画素光を発生する。選択ドライバ(SD)は画素のライン(LRi)に選択電圧(SVi)を供給し、この選択電圧(SVi)は、画素光発生素子(LGij)の画素光(LMij)の光量を、非選択ライン(LRi)に対しては実質上変化させないレベルを有し、また、選択電圧(SVi)は、画素光発生素子(LGij)の画素光(LMij)の光量を、ライン(LRi)のうち、選択されたラインに対しは変化させるレベルを有するようにする。少なくとも1つのデータ光発生デバイス(ALj;LAS)は、データ光(Lj)を光感応素子(LSij)へ向ける。データドライバ(DD)は画像を表す入力データを受信し、且つ少なくとも1つのデータ光発生素子を制御して、入力データに応じた光量の光を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリックスディスプレイ及びマトリックスディスプレイを具えるディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許明細書第6,215,462号には複数の画素行を有するマトリックスディスプレイ装置が開示されている。マトリックスディスプレイの行は1つずつ選択される。各行は、選択発光素子が発生する光を当該行の画素に転送する光導波伝送路に関連付けられる。この関連した選択発光素子が光を発生する場合に、特定の行が選択され、他の全ての行は、それらの関連する選択発光素子が光を発生しないので、選択されない。
【0003】
各々の画素は、光感応素子と画素発光素子との直列配置を具えている。この直列配置には、表示すべき画像データに基づくデータ電圧が列導体を経て供給される。選択された行の画素においては、この選択された行に関連する選択発光素子によって発生された光が、関連する光導波伝送路を経て、選択された行の画素に達する。その結果、選択された行の画素の光感応素子が低インピーダンスを呈し、この選択された行におけるそれぞれの画素の画素発光素子にはデータ電圧が実質上生じる。こうして、選択された行の画素は、画素の列にそれぞれ接続された列導体上に与えられる画像データに基づく量の光を発生する。選択されない行においては、選択発光素子は光を発生せず、従って、選択されない画素の光感応素子のインピーダンスは高くなる。これらの画素に対しては、高インピーダンスの光感応素子間にデータ電圧が実質上生じ、その結果、画素発光素子間の電圧がしきい値以下となり、画素発光素子は光を発生しなくなる。
【0004】
本発明の目的は、輝度を増大させたマトリックスディスプレイを提供することにある。
【0005】
本発明の第1の特徴は、請求項1に係るマトリックスディスプレイの提供にある。本発明の第2の特徴は、請求項14に係るディスプレイ装置の提供にある。有利な実施例は従属請求項に規定した通りである。
【0006】
本発明の第1の特徴によるマトリックスディスプレイ装置は、光学的にアドレス指定可能な画素のマトリックスを具えている。画素は光感応素子及び画素光発生素子を具えている。特定の画素に対し、画素光発生素子は、関連する光感応素子の状態に依存する輝度を有する画素光を発生する。光感応素子の状態は、この素子に当たる光の量に依存する。マトリックスディスプレイはさらに、入力データに基づいて光感応素子に向けるべき光を発生する少なくとも1個のデータ光発生素子を具えている。
【0007】
マトリックスディスプレイの画素は、画素のラインに適切な選択電圧を供給することによって1行づつ選択、即ちアドレス指定される。選択されないラインに対して、選択電圧は、光感応素子に光が当たるか、否かに無関係に、光発生素子の状態を変えることができないレベルを有する。選択されるラインに対しては、選択電圧は、光感応素子に光が当たるか、否かに応じて、光発生素子の状態を変えることができるレベルを有する。
【0008】
表示すべき像に基づいて、入力データはデータ光発生素子を制御して、光を発生させる選択されたラインの画素には第1輝度レベルでデータ光を供給し、光を発生させない選択されたラインの画素には第2輝度レベルのデータ光を供給する。
【0009】
このようなマトリックスディスプレイの動作につき以下説明する。例えば、1つの画素行だけが選択電圧を受電し、この選択された行の画素がデータ光の影響を受け、他の非選択行は、これらの非選択行の画素がデータ光による影響を受けない選択電圧を受電する。同時に2つ以上の行を選択して、これらの行の画素に同じデータを供給することができる。さらに、例えば画素の構成は、或る特定画素の光感応素子が或る特定のゼロでない輝度のデータ光を受光する場合に、この特定画素の画素光発生素子が光を発生し、関連する光感応素子がほぼゼロの輝度値のデータ光を受光する場合には、画素光発生素子が光を発生しないような構成とする。
【0010】
従って、選択されたラインの画素だけがデータ光発生素子によって発生されるデータ光に感応し、これらの画素は、輝度がゼロでないデータ光が当たる場合に光を発生する。選択されないラインの画素は、データ光発生素子が発生する光に感応しないため、これらの画素の光学的状態は不変のままである。
【0011】
これに対し、従来の米国特許第6,215,462号による光学的にアドレス指定可能なディスプレイでは、画素の光感応素子に当たる光は、データ電圧が当該光感応素子間に十分に与えられるように、この光感応素子のインピーダンスを低くすることによって画素のラインを選択している。選択されないラインの画素に対しては、光発生素子に比べてインピーダンスが比較的大きな光感応素子には光が当たらない。従って、光発生素子間には実質上電圧が生じないため、選択されていない行の画素は光を発生することができない。これは、或る特定行の各画素が単一の行選択期間中にアドレス指定されるだけで、従って、これらの画素はこの単一の行選択期間中にだけデータ電圧に基づく光を発生するだけであると云う欠点を有する。全ての他の行が選択された後には、特定行の画素は、単一の行選択期間中にだけデータ電圧に基づく光を再び発生するようになる。
【0012】
本発明による光学的にアドレス指定可能なマトリックスディスプレイでは、非選択ラインの画素が、これらのラインの選択期間中に決定された量の光を発生する。従って、画素の輝度は、その画素が光を発生する期間が単一の行選択期間よりも遥かに長くなるために、高くなる。
【0013】
請求項2に規定した本発明による例では、複数のデータ光発生素子が発生する光が、対応する複数の光導波伝送路を経て対応する複数の画素ラインに転送されるようにする。1つの光導波伝送路に関連付けられる各画素ラインに対しては、1つのデータ光発生素子が用いられるだけである。1つのデータ光発生素子に関連する画素のラインは、同じ選択電圧が供給される画素ラインが延在している方向に対して垂直の方向に延在させるのが好適である。通常、選択電圧を供給する導体は行方向に延在し、光導波伝送路は列方向に延在するが、ディスプレイの構成は転置させることができる。
【0014】
完成マトリックス画素のアドレス指定につき以下説明する。例えば、説明を簡単にするために、光導波伝送路は列方向に延在し、且つマトリックスディスプレイの行が選択電圧で1行づつ選択されるものとする。また、一例に過ぎないが、行はその行の画素間に高レベルの電圧を供給することにより選択され、他の行は、それらの画素に低い電圧が供給されるために選択されない。高いレベルの電圧は、輝度がゼロでないデータ光を受光する画素の画素光発生素子は光を放射するも、輝度がほぼゼロのデータ光を受光する画素の画素光発生素子は光を放射しなくなるように選択される。低い電圧は、先に光を発生すべくアドレス指定された画素は光を依然発生しているも、先にアドレス指定されていない画素が光を発生し始めないようなレベルに選択される。従って、選択された行の画素は、光導波伝送路によって転送されるデータ光によってオン又はオフ状態に切り換えることができ、また、選択されていない画素の状態は不変である。行及び列は入れ替えることができる。
【0015】
請求項3に規定した本発明の例では、データ光発生デバイスが、画素の光感応素子に沿って走査するレーザを具えている。レーザは、他の例で必要とした複数の光発生素子及び光導波伝送路を不要にする。
【0016】
請求項4に規定した本発明の例では、データ光発生デバイスは、そのデバイスの光出力対駆動電圧の直線性が重要ではないので、簡単且つ安価な構成とすることができる。グレイスケールは、従来のサブフィールドドライブのような2レベルのディスプレイのように生成することができる。
【0017】
請求項6に規定した本発明の例では、各画素内に画素光発生素子と直列にインピーダンス素子を配置する。このインピーダンス素子のインピーダンスは光感応素子に当たる光の輝度に依存する。インピーダンス素子を光感応素子とする場合、このことは、画素に用いられる素子数が最少になり、マトリックスディスプレイが簡単になると云う利点がある。光感応素子がトランジスタのような他のインピーダンス素子を制御するようにすることもできる。
【0018】
選択電圧は画素光発生素子とインピーダンス素子との直列配置間に供給される。画素が選択行にある場合、選択電圧は十分高いレベルを有する。さらに、光感応素子にデータ光が当たることにより、インピーダンス素子のインピーダンスが低くなる場合には、画素光発生素子は、この画素光発生素子間に選択電圧が十分に存在するために、光を発生するようになる。或いはまた、光感応素子にデータ光が当たらないために、インピーダンス素子のインピーダンスが高い場合には、画素光発生素子は、光感応素子間に十分に存在するようになるため、選択電圧は光を発生しなくなる。
【0019】
請求項7に規定した本発明による例では、画素内において、画素光発生素子が発生した画素光の一部が当該画素の関連する光感応素子に達するように、それぞれの画素を構成する。光感応素子は、画素光の一部が光感応素子に帰還されるようにして画素光に感応する。この帰還作用は、画素のメモリ特性を得るため又は画素のメモリ特性を制御するのに用いることができる。
【0020】
従来の米国特許第6,215,461号のものに比べて、画素のメモリ特性は、選択期間中にオン状態に切り換えられた画素を、その選択期間後もオン状態に留める。画素は選択期間中だけでなく、ほぼ全フレーム期間中光を発生し、従って、輝度が増加する。
【0021】
斯かる帰還作用は、画素のキャパシタンスによってもたらされる画素の真性メモリ特性に影響を与えるのに用いることもできる。光感応素子に当たる光の一部は、請求項10の本発明の例にて規定しているように、キャパシタンスを放電させるのに用いられる。
【0022】
画素の行が選択電圧によって選択され、この選択電圧が十分に高くて、画素の状態をデータ光によって変えることのできる場合には、光感応素子のインピーダンスは、データ光を受光する場合に画素光発生素子のインピーダンスに比べて低くなり、データ光を受光しない場合には、比較的低くなる。光感応素子のインピーダンスが低い場合には、光感応素子と画素光発生素子との直列配置間に供給される選択電圧が、画素光発生素子間に十分に生じるようになる。画素光発生素子は画素光を発生し、その一部は光感応素子によって受光される。この一部の光は光感応素子のインピーダンスを低く保つのに十分であるので、画素のメモリ特性が得られる。従って、画素光発生素子が一旦光を発生すると、光感応素子の状態は、データ光をもはや受光しなくても、画素光発生素子を光放射状態のままとする状態に保たれる。
【0023】
このことは選択電圧のレベルに課せられる制約を緩和する。選択電圧は、選択期間中にデータ光が選択画素の光学的状態を変えられる十分な大きさとしなければならず、また、選択電圧は、非選択画素に対しては、これらの画素の光学的状態がデータ光によって変えられないような低い値にしなければならない。非選択画素に対する選択電圧を十分に高くして、これらの画素の光学的状態を不変に保たなければならないと云う必要性ももはやなくなる。画素のメモリ特性はこの最後の制約に対処することになる。しかしながら、選択電圧のレベルは、画素のメモリ特性が失われたり、画素光発生素子が光を発生できなったりするほどに低くならないようにすべきである。
【0024】
請求項8に規定した本発明の例では、光感応素子そのものを画素光発生素子に直列に配置する。これによる利点は、マトリックスディスプレイの構成が簡単になることにある。
【0025】
本発明の請求項9に規定した例では、スイッチング素子の主電極を画素光発生素子と直列に配置し、制御電極を光感応素子に結合させる。このようにすることの利点は、光感応素子のインピーダンスがさほど重要でなくなることにある。データ光又は画素光発生素子によって発生される光の一部によって生じる光感応素子のインピーダンスの変更はトランジスタによって増幅される。
【0026】
本発明の請求項10に規定した例では、データ光発生デバイスがデータ光を別の光感応素子の方へと向ける。データ光発生デバイスからの短い光パルスは、別のスイッチング素子を経てキャパシタを充電するのに十分である。キャパシタは、画素光発生素子からの画素光の一部を受光する光感応素子によって放電する。
【0027】
このようにして、陰極線管のけい光体の特性に似たものとなり、データ光に応答して、画素は高輝度で光を発生し、その輝度は徐々に低下する。キャパシタの値は、輝度がゼロに低下するまでの時間を決定する。輝度及び/又はデータ光パルスの持続時間は画素のピーク輝度を決定する。
【0028】
さらに、画素の輝度が、画素光発生素子を(ポリ)LED(発光ダイオード)とする場合には、この画素光発生素子の品質にほぼ無関係となる利点がある。(ポリ)LEDが首尾よく機能しなくても、キャパシタの放電に多少時間がかかるだけで、画素光発生素子が発生する正味の光量は実質上同じである。
【0029】
従って、画素の真性メモリ特性は、光感応素子に当たる画素光発生素子が発生した光の一部の帰還によって影響される。
【0030】
本発明の請求項12に規定した例では、2つのデータ光発生素子が、複数あるデータ光導波伝送路のうちの、単一の光導波伝送路に関連付けられるようにする。これらのデータ光発生素子は、波長範囲がそれぞれ異なる第1及び第2のデータ光を発生する。画素はサブグループに分けられ、第1カラーフィルタが第1サブグループの画素に関連付けられて、第1のデータ光がこれらの画素に到達して、この第1サブグループに属している選択された画素の画素光発生素子の状態を変え、第2のデータ光は阻止されるようにする。第2カラーフィルタは画素の第2サブグループに関連付けられて、第1のデータ光は阻止されて、第2のデータ光が第2サブグループの選択された画素の画素光発生素子の状態を変えられるようにする。単一の光導波伝送路に2つ以上のデータ光発生素子を関連付け、2つ以上のカラーフィルタを用いて、画素を2つ以上の分離グループに分けることもできる。
【0031】
単一のデータ光導波伝送路に数個のデータ光発生素子を関連付けることの利点は、アドレス指定すべき画素グループ(通常、画素行)の画素に適切な選択電圧を供給することにより、画素グループの画素を同時にアドレス指定し得ることにある。データ光発生素子は、種々のグループの選択された画素の各々に必要なデータを同時に与える。
【0032】
例えば、データ光導波伝送路の各々が2つのデータ光発生素子の光を転送する場合には、第1カラーフィルタを奇数行の画素に関連付け、第2カラーフィルタを偶数行の画素に関連付ける。一方のデータ光発生素子は第1カラーフィルタを通過し得る光を発生するも、この光は第2カラーフィルタによっては十分に阻止される。他方のデータ光発生素子は第2カラーフィルタを通過し得る光を発生するも、この光は第1カラーフィルタによっては阻止される。そこで、奇数行の1つと、偶数行の1つを同時に選択して、同じデータ光導波伝送路を経てこれらの選択行の画素に必要なデータを同時に供給することができる。その理由は、カラーフィルタは正しいデータ光しか通さないからである。
【0033】
双方のサブグループの画素を同時に選択できることは、発光用に利用できる時間が増えることになり、また、マトリックスディスプレイの画素を同じ時間内でもっと頻繁にアドレス指定することができ、これによりサブフィールドを増やすことができるので、より良好なグレイレベルを生成でき、また、ノイズアーチファクトを減らすことができる。
【0034】
請求項11に規定した本発明の例では、カラーフィルタの代わりに、異なる波長範囲の光に感応する光感応素子を用いる。
【0035】
請求項13に規定した本発明の例では、2つのデータ光発生素子をデータ光導波伝送路の両端に位置させる。このようにすることの利点は、データ光導波伝送路の寸法を大きくしなくて済むことにある。
【0036】
本発明のこれら及び他の要点を以下説明する実施例を参照して明らかにする。
【0037】
異なる図面における同じ参照符号は、同じ信号、又は同じ機能を果たす同じ要素を示すものとする。
【0038】
図1は、光学的にアドレス指定されるディスプレイセル、即ち画素を有するマトリックスディスプレイ装置の実施例を示す。
【0039】
マトリックスディスプレイは、光導波伝送路LWj(LW1〜LWn)と2つの行電極REi1,REi2の組との交点に関連付けられる画素Pij(P11〜Pmn)のマトリックスを具えている。指数iはマトリックスディスプレイの行番号を示し、指数jは列番号を示す。行電極REi1及びREi2はx方向に延在し、光導波伝送路LWjはy方向に延在している。転置マトリックスディスプレイでは、x及びyの方向が入れ替わる。
【0040】
選択ドライバSDは、第1の行電極REi1に第1の行電圧Vi1を、第2の行電極REi2に第2の行電圧Vi2を供給する。選択電圧SViは、i番目の行における第1の行電極REi1と第2の行電極REi2との間に存在する。
【0041】
データドライバDDは、表示すべき入力データIDを受信して、この入力データIDに依存する輝度を有するデータ光Ljを発生するデータ光発生素子ALjを駆動する。データ光発生素子ALjは光導波伝送路LWjと協働して、画素Pijの光感応素子LSij,FLSij(図2〜図4参照)にデータ光Ljを供給する。
【0042】
制御回路COは同期情報SYを受信して、制御信号CS1を選択ドライバSDに供給し、画素Pijの行LRiを1つずつ選択すると共に、選択された行LRiにデータを供給するためにデータドライバDDに制御信号CS2を供給する。
【0043】
マトリックスディスプレイの画素Pijは、画素Pijの行LRiに適切な選択電圧SViを供給することにより行毎に選択、即ちアドレス指定される。選択されない行LRiに対して、選択電圧SViは、データ光Ljが光感応素子LSijに当たるか、否かに関係なく、光発生素子LGijの状態を変えられないレベルを有する。しかしながら、選択電圧SViのレベルは、最終選択期間中に得られた光発生素子LGijの状態をほぼ維持すべく選定する必要がある。選択された行LRiに対しては、選択電圧SViは、データ光Ljが光感応素子LSijに当たるか、否かに応じて、光発生素子LGijの状態を変化させることができるレベルを有する。
【0044】
表示すべき像に応じて、入力データIDはデータ光発生素子ALjを制御し、光を発生すべく選択された行LRiの画素Pijにデータ光Ljを供給し、且つ選択された行LRiの、光を発生させない画素Pijにはデータ光Ljを供給しないようにする。これは画素Pijの構成によっては逆になる。
【0045】
選択された行LRiの画素Pijは、データ光発生素子ALjが発生するデータ光Ljに感応し、選択されない行LRiの画素Pijは、データ光発生素子ALjが発生するデータ光に感応しないため、選択されない行LRiの画素Pijは、それらの光学状態を維持する。従って、選択された行LRiの画素Pijの光学状態を、表示すべき入力データIDに応じて変えることができ、一方これらの画素Pijの光学状態は、他の行LRiが選択されている間は不変である。
【0046】
画素Pijは基板(図示せず)内に形成することができ、行電極REi1及び行電極REi2は基板のそれぞれ反対側に設けることができる。行電極REi1又はREi2の一方は、行方向に延在する分離した電極の代わりに1つの電極プレートとして構成することができる。
【0047】
図2は本発明による表示セルの実施例を示す。図2の表示セル、即ち画素Pijは画素光発生素子LGijと光感応素子LSijとの直列配置を具えており、光感応素子LSijのインピーダンスはこれが受光する光の量に依存する。画素光発生素子LGijと光感応素子LSijとの直列配置は、選択電圧SViを受電すべく第1の行電極REi1と第2の行電極REi2との間に配置される。第1の行電極REi1の電圧をVi1で示し、第2の行電極REi2の電圧をVi2で示してあり、選択電圧SViは電圧Vi1とVi2との差である。
【0048】
選択された行LRiに対しては、選択電圧SViは十分に高く、データ光Ljが光感応素子LSijに当たり、この光感応素子LSijのインピーダンスが光発生素子LGijのインピーダンスに対して低くなるため、光発生素子LGij間には選択電圧SViが十分に存在するようになる。従って、画素Pijは光を発生するようになる。データ光Ljが光感応素子LSijに当たらない場合には、この光感応素子のインピーダンスが光発生素子LGijのインピーダンスに対して高くなり、選択電圧SViは実質上光感応素子LSij間には存在することになる。従って、画素Pijは光を発生しなくなる。
【0049】
選択されない行LRiに対しては、選択電圧SViは適度な低い電圧レベルを有し、光感応素子LSijに当たるデータ光Ljの輝度は問題にならない。選択電圧SViのレベルが低いため、オフとなっていた(光を発生していない)画素Pijは光を発生し始めることができず、そしてオンとなっていた(光を発生している)画素Pijは光の発生を停止することができない。しかしながら、選択電圧SViのレベルは、全ての画素Pijがオフに切り換わるのを防ぐのに十分な高さとすべきである。選択電圧SViの適切なレベルについては図7につき後に説明する。
【0050】
画素Pijは数多くの構成が可能であり、例えば、図3に示すような画素の構成を使用することも可能であり、この構成においては、主電流通路が画素光発生素子LGijに直列に配置されたトランジスタTR1ijを切り換えるために光感応素子LSijを用いている。画素光発生素子LGijと直列に配置される素子のインピーダンス値が、画素にデータ光が供給されるか否かに依存する、画素Pijの他の任意構成のものも同じように動作する。
【0051】
光学帰還を用いる本発明による実施例においては、画素光発生素子LGijにより発生される画素光の一部PLMijが光感応素子LSijに達するようになる。
【0052】
画素Pijの動作について以下に説明する。光感応素子LSijに当たる光の総輝度は、画素光発生素子LGijが発生する画素光の一部PLMijと、画素Pijがアドレス指定されるアドレス指定期間(選択期間)中のデータ光Ljとを合成したものである。
【0053】
最初は、直列配置間にかなりの選択電圧SViが存在する場合であっても、画素Pijはオフ状態にある。光感応素子LSijの高インピーダンスは、選択電圧SViを光感応素子LSijに十分に与えるため、画素光発生素子LGij間の電圧はほぼゼロである。
【0054】
画素の行をアドレス指定するアドレス指定期間中に、特定の画素Pijが光を発生するようにする場合には、アドレス光(データ光)発生素子ALjが光感応素子LSijに達するデータ光を放射する。光感応素子LSijのインピーダンスは、画素光発生素子LGijのインピーダンスに対して低くなり、選択電圧SViは、実質上画素光発生素子LGij間に存在するようになる。そこで、画素光発生素子LGijは画素光LMijを放射し始める。データ光Ljをオフに切り換えても、画素光発生素子LGijが発生する光一部PLMijが光感応素子LSijにより捕えられ、これを低インピーダンスに維持するために、画素Pijはオン状態のままである。画素Pijは、選択電圧SViをしきい値以下に低下させることによりオフ状態に切り換えられる。従って、画素Pijは光感応素子LSijへの光学帰還光させることで得られる内蔵メモリを有することになる。
【0055】
特定の画素Pijが、画素の行をアドレス指定するアドレス指定期間中に光を発生しない場合には、データ光発生素子ALjはデータ光Ljを放射せず、光感応素子LSijのインピーダンスは高いままである。
【0056】
ビデオ信号で完成マトリックスディスプレイを駆動させるためには、フィールド期間中に全ての画素Pijをアドレス指定して、このフィールド期間中に入力ビデオデータIDのフィールドを画素Pijに供給しなければならない。次のフィールドの入力データIDは、次のフィールド期間中に画素Pijに供給される。フィールド期間中に、マトリックスディスプレイの行が1つずつ選択される。
【0057】
画素Pijに最初にデータを書き込む前に、全ての画素Pijは、光を発生しないようにリセットする必要がある。これは、全ての行LRiに対して選択電圧SViをしきい値以下に低下させることにより可能である。そして、特定の行は、行選択期間中にこの行に十分高い選択電圧SViが供給されることにより選択される。これと同時にアドレス光発生素子ALjが起動されて、画素光発生素子LGijが光を放出するオン状態に切り換えるのに必要とされるアドレス指定された行内の画素位置に対応する列にデータ光を発生する。次に、ライン(行)選択期間の終了時には、選択電圧SViは、この行内の画素Pijをそのままの状態に維持するのには十分ではあるが、その画素Pijを再びアドレス指定するには低すぎる値にまで下げられる。従って、選択されていない行の選択電圧SViは非常に低く、画素Pijの状態を変化させることができないが、画素Pijをリセットさせるほど低くはない。
【0058】
更なるグレイスケールが要求される場合には、周知のサブフィールド駆動法を用いることができる。フィールド期間の各サブフィールドは、フィールド期間につき上述した方法と同じ方法によりアドレス指定することができる。
【0059】
画素光発生素子LGij及びアドレス光発生素子ALjは、例えば、小形レーザ、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、ポリLED、小形白熱ランプ又は蛍光灯、あるいはプラズマディスプレイに用いられているような光発生素子で構成することができる。光感応素子は、例えば、LDR(光依存抵抗)、又はLAS(光駆動サイリスタ又は他の光駆動電子スイッチ)で構成することができる。
【0060】
このような光学的にアドレス指定するディスプレイは、LCDに比べ安価で、製造が比較的容易である。寸法は容易に拡大縮小可能であり、簡単な2端子メモリ素子を要するだけで、しかも高いルーメン効率を達成可能である。
【0061】
図3は、本発明によるディスプレイセルの他の実施例を示す。画素光発生素子LGijは、第1の行電極RE1iと第2の行電極RE2iとの間に、トランジスタTR1ijの主電流通路と直列に配置されている。第1の行電極RE1iにかかる電圧をVi1により示し、第2の行電極RE2iにかかる電圧をVi2により示してあり、選択電圧SViは電圧Vi1とVi2との差である。光感応素子LSijは、トランジスタTR1ijの制御電極と第1の行電極RE1iとの間に配置されている。トランジスタTR1ijの制御電極と第2の行電極RE2iとの間には、オプショナルのキャパシタC1ijが配置される。トランジスタTR1ijの制御電極と第2の行電極RE2iとの間にもオプショナルの漏洩抵抗RLijが配置される。
【0062】
データ光Ljが光感応素子LSijに当たる場合には、トランジスタTR1ijが低オームとなり、かつ画素光発生素子LGij間に選択電圧VSiが十分にかかり、当該画素光発生素子LGijは画素光LMijを放射し始める。画素光の一部PLMijは光感応素子LSijに当たるため、この光感応素子は、データ光Ljが供給されなくなっても画素をオン状態に維持することになる。選択電圧SViがある特定値以下に低下すると、画素光発生素子LGijは光を放射しなくなる。画素光発生素子LGijは、電圧Vi3でオフ(又はオン)に切り換えることもできる。
【0063】
キャパシタC1ijはトランジスタTR1ijの制御電極にかかる電圧をバッファし、メモリ特性を提供する。抵抗RLijはキャパシタを放電させ、従ってこの抵抗はメモリの時定数を決定する。
【0064】
図4は本発明によるディスプレイセルの他の実施例を示す。画素光発生素子LGijは行電極RE1iと行電極RE2iとの間に、トランジスタTR1ijの主電流通路と直列に配置されている。行電極RE1iにかかる電圧はVi1により示し、行電極RE2iにかかる電圧はVi2により示してあり、選択電圧SViは電圧Vi1とVi2との差である。光感応素子LSijはトランジスタTR1ijの制御電極と行電極RE1iとの間に配置されている。トランジスタTR1ijの制御電極と行電極RE1iとの間には、オプショナルのキャパシタC2ijが配置されている。トランジスタTR1ijの制御電極と第2の行電極RE2iとの間には、トランジスタTR2ijの主電流通路が配置されている。トランジスタTR2ijの制御電極と行電極RE1iとの間には、光感応素子FLSijが配置されている。
【0065】
短いデータ光パルスLjが光感応素子FLSijに当たる場合には、トランジスタTR2ijが低オームとなり、かつキャパシタC2ijが選択電圧VSiにまで充電される。トランジスタTR1ijは導通し始め、そして画素光発生素子LGijが画素光LMijを放射し始める。キャパシタC2ijの電荷はトランジスタTR1ijを導通状態に維持する。画素光の一部PLMijは光感応素子LSijに当たり、この光感応素子はキャパシタC2ijを放電させる。トランジスタTR1ijのインピーダンスは徐々に増大する。このようにして、陰極線管の蛍光体の特性に似たものとなる。データ光パルスLjに応答して、画素Pijは高輝度で光を放射し始め、この輝度は次第に低下する。キャパシタC2ijの値は、輝度がゼロに低下するまでの時間を決定する。データ光パルスLjの輝度及び/又は持続時間は、画素Pijのピーク輝度値を決定する。
【0066】
なお、画素光発生素子を(ポリ)LED(発光ダイオード)とする場合には、画素Pijの輝度が、画素光発生素子の品質にほぼ無関係となるという利点がある。(ポリ)LEDが首尾よく機能しなくても、キャパシタC2ijの放電により時間がかかるのであって、発生する正味の光量はほぼ等しい。
【0067】
トランジスタTR2ijの制御電極における電圧Vi3で画素Pijをオフに切り換えることが可能である。
【0068】
図5は、ディスプレイセルをレーザでアドレス指定する本発明によるディスプレイ装置を示す。光学的にアドレス指定可能なディスプレイデバイスODAは、図1に示したような画素Pij及び行電極LRiを具えている。光導波伝送路LWjは存在しない。
【0069】
図1に示したような本発明による実施例において、画素Pijの光学的な状態は、アドレス光発生素子ALjによって発生される光により制御されるのであって、その光は光導波伝送路LWjを経て図2の光感応素子LSij又は図4の光感応素子FLijに転送される。
【0070】
図5に示したような本発明による実施例においては、レーザLASは、図2の光感応素子LSij又は図4の光感応素子FLijに当てなければならない制御光Ljを発生する。レーザLASによって発生されるレーザビームLBの走査は、x/yスキャナSCAで制御することができる。このx/yスキャナSCAは、レーザビームLBをディスプレイOADの光感応素子LSij又はFLSijに沿って走査すべく機械的に可動自在である。レーザビームLBは画素Pijの行LRiを1行づつ走査するのが好適である。1つ以上のレーザビームを用いることもできる。
【0071】
レーザ走査法は、光導波伝送路LWj及び多数の制御光発生素子を必要としないため、ディスプレイの構成を簡単にする。さらに、データドライバDDも、各制御光発生素子ALj用に1つずつの、多量の駆動信号の代わりに、単一レーザLAS用の単一駆動信号を発生させるだけで済むので、その構成が複雑でなくなる。好適実施例では、レーザLASは画素Pijをアドレス指定するためにのみ用い、グレイスケールの生成には用いないようにする。従って、簡単なダイオードレーザで十分である。
【0072】
ディスプレイOADは構成が簡単であるため、容易かつ安価に生産することができる。ディスプレイOADは箔とすることもできる。レーザLASはディスプレイOADの背面又は前面を走査することができる。背面投射は、周囲光が光感応素子LSij又はFLSijに達するのを簡単に防げると云う利点がある。前面投射では、ディスプレイODAにおけるフィルタ層によって光感応素子LSij又はFLSijを覆って、周囲光を十分に阻止して、画素の状態に影響を及ぼさないようにしなければならないが、レーザビームはフィルタを十分に通過可能であり、画素Pijの状態を制御することができる。レーザ光に感応するが、周囲光には感応しない光感応素子LSijを用いることもできる。
【0073】
カラーディスプレイでは、ディスプレイスクリーン上のレーザビームLBの位置を知って、ビデオ情報に対応するレーザビームLBの強度をディスプレイOADの赤、緑及び青画素の位置と同期させる必要がある。
【0074】
図6は、2つ以上のデータ光発生素子を同じ光導波伝送路に関連付ける本発明によるディスプレイ装置を示す。例えば、図示のマトリックスディスプレイは、4行LR1〜LR4で、n列の画素Pijを具えている。指数iは行番号を示し、この例では1から4までであり、jは、1からnまでの列番号を示している。図6には、最初の列を形成する4つの行における4つの最初の画素P11〜P41だけを示してある。各画素Pij は、画素光発生素子LGij(LG11〜LG41を図示)と、光感応素子LSij(LSij〜LSijを図示)と、カラーフィルタF1又はF2との直列配置を具えている。カラーフィルタF1は奇数行LR1,LR3の画素Pijに関連付けられ、カラーフィルタF2は偶数行LR2,LR4の画素にPijに関連付けられている。奇数行LR1,LR3の画素Pijは画素Pijの第1グループを成し、偶数行LR2,LR4の画素Pijは画素Pijの第2グループを成す。
【0075】
光導波伝送路LWj(LW1〜LWn)は列方向に延在している。データ光発生素子ALj及びAL2jの双方は、それらの各データ光Lj及びL2jを同じ光導波伝送路LWjを経て転送する。
【0076】
マトリックスディスプレイの動作につき以下説明する。データ光発生素子ALjは、第1カラーフィルタF1を通過し得るも、第2カラーフィルタF2によっては殆ど阻止されるデータ光Ljを発生する。別のデータ光発生素子AL2jは、第2カラーフィルタF1を通過し得るも、第1カラーフィルタF2によって殆ど阻止されるデータ光L2jを発生する。そこで、選択電圧Vi(V1〜V4を図示)を用いることで、奇数行LR1,LR3の1つと、偶数行LR2,LR4の1つを同時に選択して、これら選択した双方の行の画素に必要なデータを同じ光導波伝送路LWjを経て与えることが可能になる。カラーフィルタF1及びF2は、光導波伝送路LWj内のデータ光Lj及びL2jに選択的に作動する。データ光Ljは実質上、奇数行LR1,LR3の画素Pijにのみ達し、データ光L2jは実質上、偶数行LR2,LR4の画素Pijにだけ到達する。
【0077】
双方のサブグループSG1,SG2の画素Pijを同時に選択できることにより、発光に利用できる時間が増大する。また、マトリックスディスプレイの画素Pijを同じ期間内にもっと頻繁にアドレス指定することができ、このことは良好なグレイスケールを生成するのに利用することができ、また、サブフィールドを増やすことができるので、ノイズアーチファクトを減らすことができる。
【0078】
画素Pijは2つのグループSG1とSG2に別のやり方で分離させることができ、この場合には、カラーフィルタF1及びF2の位置をそれ相当に適合させなければならない。カラーフィルタF1及びF2を用いる代わりに、波長範囲が異なる照射光に応答する2つの異なるグループの光感応素子LSijを用いることもできる。一方のグループの
光感応素子LSijはデータ光Ljに応答し、データ光L2jには応答せず、他方のグループの光感応素子LSijはデータ光L2jに応答し、データ光Ljには応答しないようにする。
【0079】
図7は、選択電圧の適切なレベルを示している。選択電圧VSiを水平軸に沿って示し、画素Pijの輝度Brを縦軸に沿って示している。画素Pijが選択電圧VSi(VSi<VSia)の低い値においてオフ状態にあり、従って輝度Brが極めて低いか、ゼロであり、そして選択電圧VSiを増大させる場合に、画素Pijは、曲線UEに従って光を放射し始める。こうして値VSic以上では、画素Pijが光を放射し始め、そして値VSid以上の選択電圧では、最大輝度Brmが得られる。引き続き選択電圧VSiを低下させると、画素の輝度は曲線DEをたどる。このように輝度はレベルVSibにおいて低下し始め、レベルVSia以下では低くなる。画素Pijのヒステリシス特性のため、3つの領域が得られる。画素の輝度BrはレベルVSia以下では低く、従って選択電圧VSiをレベルVSia以下に低下させることにより、画素Pijをオフ状態に切り換えることができる。領域RA内では、オン状態にある(高輝度レベルBrmを有する)画素Pijはオン状態のままとなり、オフ状態にある(低輝度レベルを有する)画素はオフ状態のままとなる。領域RB内では、選択電圧SViは、光が画素Pijに当たる際に、画素Pijをオンに切り換えるのに十分な大きさである。
【0080】
実際の実施例においては、電圧レベルは次のようになる。VSib=4ボルト、VSic=5ボルト、VSid=7ボルト。これらのレベルは単なる目安であり、異なるディスプレイや異なる画素Pijの形態に対しては、異なる電圧レベルとなり得る。
【0081】
なお、上述した実施例は発明を限定するものではなく、当業者であれば、添付した請求の範囲から逸脱することなく幾多の変更を加え得ること明らかである。
【0082】
例えば、MOSFETとして示したトランジスタは、バイポーラトランジスタとすることもできる。全てのトランジスタは反対導電型のものとすることもでき、この場合、回路は当業者に周知の方法で適合させる必要がある。
【0083】
「具える」という語は、請求項中に列挙したもの以外の要素又はステップを除外するものではない。本発明は、幾つかの個別の要素を具えるハードウェアの手段によっても、また適切にプログラムしたコンピュータによっても実現することができる。幾つかの手段を列挙している装置の請求項においても、これらの手段のうち幾つかを、同一アイテムのハードウェアによって具体化することができる。所定の手法を、互いに異なる従属請求項に引用していても、そのことによりこれらの手法の組合せを有利に使用することができない、ということを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】光学的にアドレス指定されるディスプレイセルを有するマトリックスディスプレイ装置の実施例を示す図である。
【図2】本発明によるディスプレイセルの実施例を示す図である。
【図3】本発明によるディスプレイセルの他の実施例を示す図である。
【図4】本発明によるディスプレイセルのさらに他の実施例を示す図である。
【図5】ディスプレイセルをレーザでアドレス指定する本発明によるディスプレイ装置を示す図である。
【図6】光導波伝送路に2つ以上のデータ光発生素子を関連付けた本発明によるディスプレイ装置を示す図である。
【図7】選択電圧の適切なレベルを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的にアドレス指定可能な画素のマトリックスを有するマトリックスディスプレイデバイスであって、それぞれの画素が:
データ光によって制御され得る状態を有する光感応素子と、
前記光感応素子の状態に依存する輝度を有する画素光を発生するための画素光発生素子と、
を具えているマトリックスディスプレイデバイスにおいて、当該マトリックスディスプレイデバイスが:
データ光を発生するためのデータ光発生デバイスと、
画像を表す入力データを受信し、且つ前記データ光発生デバイスを制御して、入力データに従う輝度のデータ光を発生するためのデータドライバと、
画素のラインに選択電圧を供給するための選択ドライバと、
を具え、前記選択電圧が、選択されていない画素のラインにおける画素の画素光の輝度を十分には変化させないレベルを有し、且つ前記選択電圧が、選択された画素のラインにおける画素の画素光の輝度を変化させることができるレベルを有するようにしたことを特徴とするマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記画素のラインが第1方向に延在し、且つ前記データ光発生デバイスが、複数のデータ光発生素子と、複数の関連する画素のラインにおける、前記第1方向に対してほぼ垂直の第2方向に延在する複数の画素に複数のデータ光を転送するための同じ複数個の関連する光導波伝送路とを具え、前記データドライバが、前記複数のデータ光発生素子を制御して、入力データに応じた輝度のデータ光を発生すべく構成されることを特徴とする請求項1記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記データ光発生デバイスが、レーザビーム発生用のレーザと、レーザビームを前記画素の光感応素子に沿って走査するための走査手段とを具え、前記データドライバが、入力データに応じた輝度を発生すべくレーザを制御するように構成されることを特徴とする請求項1記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記データドライバが、2つの輝度レベルのみを発生すべく前記データ光発生デバイスを制御するように構成されることを特徴とする請求項2又は3記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記光感応素子を光依存抵抗又は光起動スイッチとしたことを特徴とする請求項1記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記画素光発生素子及びインピーダンス素子が直列に配置され、この直列配置が、関連する選択電圧の1つを受電するために選択ドライバに結合され、前記インピーダンス素子のインピーダンスが前記光感応素子の状態に依存するようにしたことを特徴とする請求項1記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記光感応素子及び画素光発生素子が、画素光発生素子によって発生された画素光の一部を光感応素子に光学帰還させるように互いに位置付けられることを特徴とする請求項1記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記画素の光感応素子及び画素光発生素子が直列に配置され、且つ光感応素子に達する画素光の一部の光量が、当該光感応素子のインピーダンスを画素光発生素子のインピーダンスに比べて比較的低く維持するのに十分となるようにしたことを特徴とする請求項7記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記画素がスイッチング素子も具え、このスイッチング素子の制御電極が光感応素子に結合され、前記スイッチング素子の主電流通路が画素光発生素子に直列に配置され、この直列配置が、関連する1つの選択電圧の1つを受電するために前記選択ドライバに結合され、且つ光感応素子に達する画素光の一部の光量が、スイッチング素子の主電流通路のインピーダンスを画素光発生素子のインピーダンスに比べて比較的低くするのに十分となるようにしたことを特徴とする請求項7記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記画素がさらに:
前記最初に記述したスイッチング素子の制御電極に結合されたキャパシタと、
前記データ光を受光する別の光感応素子と、
制御電極が前記別の光感応素子に結合され、且つ主電流通路が前記最初に記述したスイッチング素子の制御電極に結合された別のスイッチング素子と、
を具えていることを特徴とする請求項請求項9記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記マトリックスディスプレイデバイスが:
さらに別の複数のデータ光を発生するためのさらなる複数のデータ光発生素子であって、前記複数の光導波伝送路の各々に、前記最初に記述した複数のデータ光発生素子のうちの、1つのデータ光発生素子と、前記さらなる複数のデータ光発生素子のうちの、1つのデータ光発生素子とが関連付けられ、且つ前記最初に記述した複数のデータ光の第1波長範囲と、前記さらなる複数のデータ光の第2波長範囲とが異なるようにした、前記さらなる複数のデータ光発生素子と、
前記第1方向に延在する第1サブグループの画素ラインにおける画素に関連する第1グループの光感応素子であって、前記第1波長範囲内の光には応答し、前記第2波長範囲内の光には実質上応答しない第1グループの光感応素子と、
前記第1方向に延在する第2サブグループの画素ラインにおける画素に関連する第2グループの光感応素子であって、前記第2波長範囲内の光には応答し、前記第1波長範囲内の光には実質上応答しない第2グループの光感応素子と、
を具えていることを特徴とする請求項請求項2記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記マトリックスディスプレイデバイスが:
さらに別の複数のデータ光を発生するためのさらなる複数のデータ光発生素子であって、前記複数の光導波伝送路の各々に、前記最初に記述した複数のデータ光発生素子のうちの1つのデータ光発生素子と、前記さらなる複数のデータ光発生素子のうちの1つのデータ光発生素子とが関連付けられ、且つ前記最初に記述した複数のデータ光の第1波長範囲と、前記さらなる複数のデータ光の第2波長範囲とが異なるようにした、前記さらなる複数のデータ光発生素子と、
前記第1方向に延在する第1サブグループの画素ラインの画素に関連付けられ、前記第1波長範囲内の光は転送し、前記第2波長範囲内の光はほぼ阻止する第1カラーフィルタと、
前記第1方向に延在する第2サブグループの画素ラインの画素に関連付けられ、前記第2波長範囲内の光は転送し、前記第1波長範囲内の光はほぼ阻止する第2カラーフィルタと、
を具え、前記第1サブグループと第2サブグループを分離させたことを特徴とする請求項2記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記最初に記述した複数のデータ光発生素子及び前記さらなる複数のデータ光発生素子を光導波伝送路の反対側に位置付けたことを特徴とする請求項11又は12記載のマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項14】
請求項2記載のマトリックスディスプレイデバイスを具えているディスプレイ装置。
【請求項15】
第1方向に延在するラインのうち、選択された1つのラインに関連する選択電圧の1つが、十分高い値に選択されて、前記さらなる光発生素子の光が関連する光感応素子に達する際に、画素光発生素子が光を発生し、前記さらなる光発生素子から光を受光しない時には、光を発生せず、また、選択されていないラインに関連する選択電圧は、関連する画素光発生素子の状態を変更するのに十分な高さでなく、また低くもないレベルを有するようにしたことを特徴とする請求項13記載のマトリックスディスプレイデバイス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−517682(P2006−517682A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502553(P2006−502553)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050066
【国際公開番号】WO2004/072940
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】