説明

光学的可変画像担持シムの製造方法

本発明は、複製シムの製造方法およびこの方法によって得られる複製シムに関する。複製(UV硬化)シムは、運搬装置(シリンダーまたはベルトなど)と関係なく、従来のニッケルシムと同様の方法で転写ローラーの表面に直接適用することができる(そして表面OVD構造をクリア・ラッカーに付与することができる)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複製シムの製造方法およびこの方法によって得られる複製シムに関する。複製(UV硬化)シムは、運搬装置(シリンダーまたはベルトなど)と関係なく、従来のニッケルシムと同様の方法で転写ローラーの表面に直接適用することができる(そして表面OVD構造をクリア・ラッカーに付与することができる)。
【0002】
ホログラフィックシムを含む表面レリーフOVD(光学的可変デバイス)は、通常、電鋳法によって製造される。電鋳法とは、金属、特にニッケルを導電性マンドレル上に、特にホログラム等であるがこれに限定されないOVD超顕微鏡的構造を含むフォトレジストでコーティングされたプレート上に蒸着させることによって達成される電気化学的金属製作法である。
【0003】
電鋳法は、1850年代から製造に用いられている。基本的に、メッキされた基材がメッキ部分から分離される電気メッキ法では、基材またはマンドレルは再使用できるか、または廃棄できるかのいずれかである。
【0004】
その最も基本的な形態では、電鋳法は、スルファミン酸塩ニッケルメッキ溶液(電解液)で満たされたタンク中で行われる。タンク中には、最低限2つの要素、すなわちカソードおよびアノードがある。タンクの外側には、タンク中のアノードに接続された正電流出力およびカソード(加工)位置に接続された負端子を有する直流源がある。整流器は、作動させると、直流源を供給する。電流は、正のリード線に沿って、アノードを通り、溶液を通ってカソードへ、その後、供給源へと戻る。この流れは、顕微鏡学的に微小な粒子からなり、マンドレル上に蓄積したメッキ層を生じさせ、これは、型と鋳片との間に存在するのと同じオス/メス関係のカソードである。要求生産量に応じて、マンドレルを、完成部品を直接製造するために用い得、または中間マンドレルを製造するために用いてもよい。
【0005】
細部でも優れた再現性を有することから、表音文字記録、OVDホログラフィックシム、ビデオディスクなどの製造に電鋳法を用いる。これは間違いなく、ホログラム、キネグラム、直接描画イメージング、ドットマトリックス、三次元映像等のOVD(光学的可変デバイス)を始めとする多くの精密用途に利用可能な最も精密な複製法である。
【0006】
OVDの製造において、フォトレジストマスター製造の最後に、脆弱な正のリーディングフォトレジストコーティングの表面上にエッチングされた超顕微鏡的画像を有するガラスプレートとともに、ホログラファーが残る。このコーティングされたガラスは、明らかに、エンボス加工によってコードされた画像を転写するため、または他の基材中に光学的に転写するために使用することができない。
【0007】
電鋳法を用いて、大量生産のために、フォトレジストマスターからニッケルプレートへ、そして続くシムへの変換を実施する。
【0008】
全ての電鋳法は、マンドレルから始める。このマンドレルから、電着によって電鋳を行う。このシナリオでマンドレルを作製するために、レジストでコーティングされたガラス製マスターを、薄い銀層で被覆して、これを導電性にし、これからニッケルコピーを製造する。形成されたニッケルプレートを銀でコーティングされたフォトレジストプレートから分離した後、ニッケルマスターを不動態化し、さらなるコピーを電鋳する。
【0009】
本出願の目的は、UV硬化プロセスによってOVDシムを製造することである。
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、オリジナルシムならびにホログラムのプリントに用いられるワニスから容易に離型することができる複製シムを提供することである。
【0011】
プリントにおける光学的可変デバイスおよびパターンの製造ならびに使用のためのシームフリートランスファーシリンダーを製造するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
前記目的は、複製シムの製造における使用に十分な濃度のUV反応性官能基を有するUV硬化性組成物(ここで、複製シムは、一旦硬化すると、十分な架橋密度および95%超の重合度(1410cm-1でのアクリレートバンドの消失を追跡することによりATR分光法によって測定)を示す)、ならびに以下の工程:
(a)(フィルム)基材の少なくとも一部を、請求項1〜4のいずれか1項に記載のUV硬化性組成物(紫外線硬化性ラッカー)でその上面上をコーティングする、特にフィルム様基材をUV硬化性組成物でその上面上をプリントする工程、
(b)その上に光学的可変画像を有するオリジナルシムを用いて、UV硬化性組成物の表面の少なくとも一部に光学的可変画像をキャスト(転写)する工程、
(c)光学的可変画像をUV硬化性組成物中に付与し、直ちに;例えばUVランプ、または電子ビーム放射によって硬化させて、複製シムを製造する工程;
(d)複製シムをオリジナルシムから分離し、これによって、基材がシリンダーである場合、複製シムを得;基材が(プラスチック)材料のシートである場合、(プラスチック)材料のシートを加工して、複製シムにする工程
を含む複製シムの製造方法によって解決された。
【0013】
前記方法によって得られる複製シムは、本発明のさらなる主題を形成する。
【0014】
本発明の方法において、UV硬化性配合物を基材上に適用し、同時にUV光に露光しつつ、オリジナルシムと接触させて、高い機械抵抗および耐溶剤性を示す複製シムを生成させる。この方法は、シムをニッケルハードまたはソフトエンボス加工する必要がない。国際特許出願WO05/051675および国際特許出願WO08/061930に記載されているようにOVDをプリントするために複製シムをさらに使用することができる。UV光は電子ビームと置換できる。
【0015】
複製(UV硬化)シムは、運搬装置(シリンダーもしくはベルトなど)と関係なく、従来型ニッケルシムと同様に、転写ローラーの表面に直接適用することができる(そして、表面OVD構造をクリア・ラッカーに付与することができる)。言い換えると、消費者には、ニッケルシムまたはUV硬化シムの選択肢があり、UV硬化シムの経済的利点は多大である。
【0016】
シムを製造するために使用されるUV硬化性組成物は、適切に硬化した時点で硬質物質を提供するために十分高い架橋密度を有しているべきである。硬化条件および配合組成物は、少なくとも95%の重合度および十分な架橋密度が得られるように調整しなければならない。一例として、アクリレート配合物の場合、典型的には5モル/kgの二重結合濃度が、架橋密度を満たすために十分である。
【0017】
UV硬化性配合物は、フリーラジカル硬化性配合物もしくはカチオン性硬化性配合物であり得る。離型を簡単にするために、例えば、シリコーン化合物もしくはフルオロ化合物などの表面張力を修飾する添加剤を配合物中に添加することによって、シムの表面張力を修飾することができる。
【0018】
全ての場合において、UV硬化をEB硬化と置換することができ、したがって光開始剤の必要性がなくなる。しかし、UV硬化の場合、UV硬化工程を実施するために、フィルム様基材はUV放射に対して透明でなければならない。
【0019】
フリーラジカルUV硬化性組成物中の不飽和化合物は、1以上のオレフィン性二重結合を含み得る。これらは、低分子量(モノマー)もしくは高分子量(オリゴマー)のものであり得る。二重結合を含有するモノマーの例は、アルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノアクリレート、またはアルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノメタクリレート、例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシルもしくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレートもしくはエチルメタクリレートである。シリコーンアクリレートも有利である。他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレンおよびハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンである。
【0020】
2以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコールのジアクリレートまたはビスフェノールAのジアクリレート、および4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレートもしくはテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレートまたはトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0021】
比較的高分子量(オリゴマー)の多不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリレート基、ビニルエーテル基、もしくはエポキシ基を含有するポリエステル、ならびにポリウレタンおよびポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、通常、マレイン酸、フタル酸および1以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。加えて、ビニルエーテルモノマーおよびオリゴマーも使用でき、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテルおよびエポキシ主鎖を有するマレエート末端オリゴマーも使用可能である。ビニルエーテル基を有するオリゴマーおよび国際特許出願WO90/01512に記載されているようなポリマーの組み合わせが特に適している。しかし、ビニルエーテルおよびマレイン酸官能化モノマーのコポリマーも好適である。この種類の不飽和オリゴマーは、プレポリマーと呼ぶこともできる。
【0022】
特に好適な例は、エチレン性不飽和カルボン酸およびポリオールまたはポリエポキシドのエステル、ならびに鎖および側基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタンならびにそのコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル基を含有するポリマーおよびコポリマー、ならびに1以上のかかるポリマーの混合物である。
【0023】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、および不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸またはオレイン酸である。アクリルおよびメタクリル酸が好適である。
【0024】
好適なポリオールは、芳香族ならびに、特に脂肪族および脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ならびにノボラックおよびレゾールである。ポリエポキシドの例は、前記ポリオール、特に芳香族ポリオール、およびエピクロロヒドリンベースのものである。他の好適なポリオールは、ポリマー鎖または側基中にヒドロキシル基を含有するポリマーおよびコポリマーであり、例は、ポリビニルアルコールおよびそのコポリマーまたはポリヒドロキシアルキルメタクリレートまたはそのコポリマーである。好適なさらなるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0025】
脂肪族および脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12のC原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−もしくは1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよびソルビトールである。
【0026】
ポリオールを1つのカルボン酸または異なる不飽和カルボン酸で部分的もしくは完全にエステル化することができ、部分エステルにおいて、フリーなヒドロキシル基を修飾することができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化もしくはエステル化することができる。
【0027】
エステルの例は:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリス−イタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール修飾トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールジアクリレートおよびトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、またはその混合物である。
【0028】
同一または異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6、特に2〜4のアミノ基を有する芳香族、脂環式および脂肪族ポリアミンとのアミドも、重合性成分として好適である。このようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−もしくはジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。他の好適なポリアミンは、好ましくは側鎖中に追加のアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、ならびにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。かかる不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミド−プロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0029】
好適な不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えば、マレイン酸およびジオールまたはジアミン由来である。いくつかのマレイン酸は他のジカルボン酸と置換可能である。これらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンとともに用いることができる。ポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸およびエチレン性不飽和ジオールまたはジアミン由来でもあり得、特に、例えば6〜20のC原子を有する比較的長い鎖を有するもの由来であり得る。ポリウレタンの例は、飽和もしくは不飽和ジイソシアネートおよび不飽和もしくは、それぞれ飽和ジオールから構成されるものである。
【0030】
側鎖中に(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に既知である。これらは、例えば、ノボラック系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるか、または(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコールもしくはそのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマーもしくはコポリマーであるか、あるいはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマーであってよい。
【0031】
側鎖中にアクリレートもしくはメタクリレート基を有する他の好適なポリマーは、例えば、溶媒可溶性もしくはアルカリ可溶性ポリイミド前駆体,例えば、分子中の骨格もしくはエステル基のいずれかに結合した光重合性側基を有するポリ(アミド酸エステル)化合物、すなわちEP624826の化合物である。このようなオリゴマーもしくはポリマーは、場合により、高感受性ポリイミド前駆体レジストを製造するために、多官能性(メタ)アクリレートなどの反応性希釈剤と配合することができる。
【0032】
分子構造内に少なくとも2つのエチレン性不飽和基および少なくとも1つのカルボキシル官能基を有するポリマーもしくはオリゴマー、例えば、飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ化合物および不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂、例えば、日本国特許第10−301276号に記載の感光性化合物およびEB9696(UCB Chemicals);KAYARAD TCR1025(Nippon Kayaku Co., LTD.)、NK OLIGO EA−6340、EA−7440(Shin−Nakamura Chemical Co., Ltd.)などの商品、またはカルボキシル基含有樹脂とα,β−不飽和二重結合およびエポキシ基を有する不飽和化合物との間に形成される付加生成物(例えば、ACA200M, Daicel Industries, Ltd.)も、重合成分の例である。重合性成分の例としてのさらなる商品は、Daicel Chemical Industries, Ltd.から得られるACA200、ACA210P、ACA230AA、ACA250、ACA300、ACA320である。
【0033】
光重合性化合物は、単独または任意の所望の混合物で用いられる。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用することが好ましい。
【0034】
好適な組成物は、少なくとも1つの遊離カルボキシル基を有する少なくとも1つの化合物を含み、前記化合物は、成分(a)の対象もしくはバインダーポリマーの対象のいずれかである。
【0035】
希釈剤として、一官能性もしくは多官能性エチレン性不飽和化合物、またはいくつかの前記化合物の混合物を、組成物の固体部分基準で70質量%までの量で前記組成物中に含めることができる。
【0036】
本発明は、重合性成分として、水中に乳化もしくは溶解した少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物も提供する。
【0037】
不飽和重合性成分は、非光重合性フィルム形成成分との混合物で使用することもできる。これらは、例えば、物理的乾性ポリマーまたは、例えばニトロセルロースもしくはセルロースアセトブチレートなどの有機溶媒中のその溶液であってよい。しかし、これらはまた、化学的および/または熱的硬化性(熱硬化性)樹脂であってもよく、その例は、ポリイソシアネート、ポリエポキシドおよびメラミン樹脂、ならびにポリイミド前駆体である。熱硬化性樹脂を同時に使用することが、ハイブリッドシステムとして既知のシステムにおける使用に重要であり、このシステムを、第一段階で光重合させ、第二段階で、熱後処理によって架橋させる。
【0038】
光開始剤を配合物中に組み入れて、UV硬化プロセスを開始する。光開始剤化合物は、例えば、Kurt Dietlikerによって、"A compilation of photoinitiators commercially available for UV today", Sita Technology Ltd., Edinburgh and London, 2002、ならびにJ.V. CrivelloおよびK Dietlikerによって"Chemistry &Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Ink and Paints;Photoinitiators for Free Radical, Cationic & Anionic Photopolymerization, Ed. 2, Vol. III, 1998, Sita Technology Ltd., Londonに記載されている。
【0039】
場合により、2以上の光開始剤の混合物、例えば、カンファーキノン;ベンゾフェノン、式:
【化1】

(式中、
65、R66およびR67は、互いに独立して、水素、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロゲンアルキル、C1−C4−アルコキシ、塩素もしくはN(C1−C4−アルキル)2であり;
68は、水素、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロゲンアルキル、フェニル、N(C1−C4−アルキル)2、COOCH3
【化2】

であり、
nは2〜10である)
のベンゾフェノン誘導体との混合物を使用することが有利であり得る。
【0040】
具体例は:2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3−メチル−4’−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;Lambertiから入手可能なESACURE TZT(登録商標)、(2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物);ケタール化合物、例えばベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651);アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、アルファ−ヒドロキシケトン、アルファ−アルコキシケトンまたは式
【化3】

(式中、
29は、水素もしくはC1−C18−アルコキシであり;
30は、水素、C1−C18−アルキル、C1−C12ヒドロキシアルキル、C1−C18−アルコキシ、−OCH2CH2−OR47、モルホリノ、C1−C18アルキル−S−、H2C=CH−基、H2C=C(CH3)−、
【化4】

であり、
a、bおよびcは1〜3であり;
nは2〜10であり;
3およびG4は、互いに独立して、ポリマー構造の末端基、好ましくは水素もしくはメチルであり;
47は、水素、
【化5】

であり;
31は、ヒドロキシ、C1−C16−アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノもしくは−O(CH2CH2O)−C1−C16−アルキルであり;
32およびR33は、互いに独立して、水素、C1−C6−アルキル、C1−C16−アルコキシもしくは−O(CH2CH2O)−C1−C16−アルキルであるか;または非置換フェニルもしくはベンジルであるか;またはC1−C12−アルキルで置換されたフェニルもしくはベンジルであるか;あるいはR32およびR33はこれらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環を形成し;
mは1〜20である。ただし、R31、R32およびR33は、全て一緒になってC1−C16−アルコキシもしくは−O(CH2CH2O)−C1−C16−アルキルであるわけではない)
のアルファ−アミノケトンである。
【0041】
例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトンまたはα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)、IRGACURE(登録商標)500(IRGACURE(登録商標)184のベンゾフェノンとの混合物)、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127);2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン;2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、
【化6】

Fratelli Lambertiにより提供されるESACURE KIPおよびONE、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−もしくはα−アミノアセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)ブタノン−1;4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール、例えば、ジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸エステルおよびその誘導体、例えばオキソ−フェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルエステル、二量体フェニルグリオキサル酸エステル、例えばオキソフェニル酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);オキシムエステル、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、パーエステル、例えばEP126541に記載のベンゾフェノンテトラカルボン酸パーエステル、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、エチル(2,4,6トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;ビスアシルホスフィンオキシド、例えば、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば、2−[2−(4−メトキシフェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロエチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば、2−メルカプトベンズチアゾールと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール、フェロセニウム化合物、またはチタノセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリルフェニル)チタン(IRGACURE(登録商標)784)。さらに、ホウ酸塩化合物を共開始剤として使用できる。式
【化7】

(式中、
54は、水素、C1−C12−アルキルまたは
【化8】

であり;
55、R56、R57、R58およびR59は、互いに独立して、水素、非置換C1−C12−アルキルまたはOH、C1−C4−アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲンもしくはCNで置換されたC1−C12−アルキルであり;ここで、アルキル鎖は場合により1以上の酸素原子によって中断されるか;あるいはR55、R56、R57、R58およびR59は、互いに独立して、C1−C4−アルコキシ、C1−C4−アルキルチオもしくはNR5253であり;
52およびR53は、互いに独立して、水素,非置換C1−C12−アルキルまたはOHもしくはSHで置換されたC1−C12−アルキルであり、ここで、アルキル鎖は場合により1〜4の酸素原子によって中断されるか;またはR52およびR53は、互いに独立して、C2−C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジルもしくはフェニルであり;
1は、場合により1以上の酸素原子により中断されたC1−C12−アルキレンである)
のフェニルグリオキサレート。
【0042】
一例は、オキソフェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシ)−エトキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754)である。光開始剤のさらなる例は、Lambertiから入手可能なEsacure 1001:1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン
【化9】

である。
【0043】
光重合性組成物は、一般的に、固体組成物基準で、0.05〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、特に0.01〜8質量%の光開始剤を含む。この量は、開始剤の混合物を用いるならば、添加される全光開始剤の合計を意味する。
【0044】
光開始剤に加えて、光重合性混合物は、様々な添加剤を含み得る。その例としては、熱開始剤、光安定剤、蛍光増白剤、フィラーおよび顔料、ならびに白色および有色顔料、染料、帯電防止剤、接着促進剤、湿潤剤、流動助剤、潤滑剤、ワックス、粘着防止剤、分散剤、乳化剤、酸化防止剤;フィラー、例えば、滑石、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄;反応促進剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、ならびに、例えば、ラッカー、インクおよびコーティング技術で慣例的な他のアジュバントが挙げられる。
【0045】
光重合を促進するために、例えば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、オクチル−パラ−N,N−ジメチル−アミノベンゾエート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−パラ−トルイジンもしくはミヒラーズケトンなどのアミンを添加剤として添加することができる。アミンの作用は、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンの添加によって強めることができる。酸素スカベンジャーとして使用できるアミンの例は、EP339841に記載されているような置換N,N−ジアルキルアニリンである。他の促進剤、共開始剤および自己酸化剤は、例えば、EP438123、GB2180358および特開平6−68309に記載されているような、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホニウム塩、ホスフィンオキシドもしくはホスフィンである。
【0046】
光重合は、スペクトル感度をシフトさせる、または広げるさらなる光増感剤もしくは共開始剤(添加剤など)の添加によって促進することもできる。これらは、特に、芳香族化合物、例えば、ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、クマリンおよびフェノチアジンならびにこれらの誘導体、ならびに3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ロダニン、カンファーキノンであり、さらにはエオシン、ローダミン、エリスロシン、キサンテン、チオキサンテン、アクリジン、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、シアニンおよびメロシアニン染料である。
【0047】
光増感剤として、例えば、前記アミンを想定することも可能である。好適な増感剤の例は、その開示内容が参考として本明細書で援用される、国際特許出願WO06/008251、36ページ、30行〜38ページ、8行で開示されている。
【0048】
バインダーも、新規組成物に添加することができる。このことは、光重合性化合物が液体しくは粘稠性物質である場合に、特に好都合である。バインダーの量は、全固形分に対して、例えば、2〜98質量%、好ましくは5〜95質量%、特に20〜90質量%であり得る。バインダーの選択は、利用分野およびこの分野で必要とされる特性、例えば、水性および有機溶媒系における現像能、基材への接着性および酸素に対する感受性に応じてなされる。好適なバインダーの例は、約2000〜2000000、好ましくは5000〜1000000の分子量を有するポリマーである。
【0049】
アルカリ現像型バインダーの例は、カルボン酸官能基をペンダント基として有するアクリルポリマー、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートから選択される1以上のモノマーとの共重合によって得られる従来公知のコポリマー;ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルピリジン;アミド型不飽和化合物、(メタ)アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミドN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;およびポリオレフィン型化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等;メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、モノ−2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルスクシネート、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジアリルアミン、ポリスチレンマクロモノマー、またはポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーである。コポリマーの例は、アクリレートおよびメタクリレートとアクリル酸もしくはメタクリル酸と、ならびにスチレンもしくは置換スチレンとのコポリマー、フェノール樹脂、例えばノボラック、(ポリ)ヒドロキシスチレン、ならびにヒドロキシスチレンとアルキルアクリレート、アクリル酸および/またはメタクリル酸とのコポリマーである。コポリマーの好適な例は、メチルメタクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/スチレンのコポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートのコポリマー、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレンのコポリマー、メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニルメタクリレートのコポリマーである。溶媒現像可能なバインダーポリマーの例は、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート−コ−ヒドロキシエチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)、ポリ(ベンジル−メタクリレート−コ−メタクリル酸);セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニル−ホルマール、環化ゴム、ポリエーテル,例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、コポリ−(エチレン/酢酸ビニル)、ポリマー、例えばポリカプロラクタムおよびポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)、ならびにポリエステル、例えばポリ(エチレングリコールテレフタレート)およびポリ(ヘキサ−メチレングリコールスクシネート)およびポリイミドバインダー樹脂である。
【0050】
ポリイミドバインダー樹脂は、溶媒可溶性ポリイミドもしくはポリイミド前駆体、例えばポリ(アミド酸)のいずれかであり得る。
【0051】
バインダーポリマーとして、メタクリレートおよびメタクリル酸のコポリマーを含む光重合性組成物が興味深い。例えば、日本特許出願10−171119に記載されているようなポリマーバインダーがさらに興味深い。
【0052】
「デュアル硬化性」もしくは「ダブル硬化性」(すなわち、自己硬化性(光の非存在下)と光硬化性の両方)組成物も本出願では使用することができる。
【0053】
速硬性および固体状態への変換に特に好適なのは、カチオン重合に対して感受性である1つ以上のモノマーおよびオリゴマー、例えば、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル、オキセタンまたはカチオン硬化性系で同種重合もしくは共重合する他のモノマーおよびオリゴマーを含む組成物である。
【0054】
対応する組成物は、重合性成分として、例えば、アルキル含有カチオンもしくはアリール含有カチオンまたはプロトンによってカチオン重合できる樹脂および化合物を含む。その例としては、環状エーテル、特にエポキシドおよびオキセタン、ならびにビニルエーテルおよびヒドロキシ含有化合物が挙げられる。ラクトン化合物および環状チオエーテルならびにビニルチオエーテルも使用できる。さらなる例としては、アミノプラスチックもしくはフェノール系レゾール樹脂が挙げられる。これらは、特にメラミン、尿素、エポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステルおよびアルキド樹脂であるが、特に、アクリル、ポリエステルもしくはアルキド樹脂とメラミン樹脂との混合物である。これらとしては、修飾表面コーティング樹脂、例えば、アクリル修飾ポリエステルおよびアルキド樹脂も挙げられる。アクリル、ポリエステルおよびアルキド樹脂という名に含まれる各種類の樹脂の例は、例えば、Wagner,Sarx/Lackkunstharze(Munich、1971),pages 86 to 123 and 229 to 238、またはUllmann/Encyclopaedie der techn. Chemie, 4th edition, volume 15(1978), pages 613 to 628、またはUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, 1991, Vol. 18, 360 ff., Vol. A19, 371 ffに記載されている。表面−コーティングは好ましくはアミノ樹脂を含む。その例としては、エーテル化および非エーテル化メラミン、尿素、グアニジンおよびビウレット樹脂が挙げられる。特に重要なのは、エーテル化アミノ樹脂、例えば、メチル化もしくはブチル化メラミン樹脂(N−メトキシメチルメラミンもしくはN−ブトキシメチルメラミン)またはメチル化/ブチル化グリコールウリルを含む表面コーティングを硬化させる酸触媒作用である。
【0055】
例えば、あらゆる慣例的なエポキシド、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂が使用可能である。これらは、分子中に少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物である。その例は、脂肪族もしくは脂環式ジオールもしくはポリオールのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンもしくは1,4−ジメチロールシクロヘキサンのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテルまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテル;ジフェノールおよびポリフェノールのグリシジルエーテル、例えば、レゾルシノールのグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパンのグリシジルエーテル、ノボラックのグリシジルエーテルまたは1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。その例としては、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、ポリテトラヒドロフラングリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12/15アルキルグリシジルエーテルおよびシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが挙げられる。さらなる例としては、N−グリシジル化合物、例えばエチレン尿素、1,3−プロピレン尿素もしくは5−ジメチル−ヒダントインのグリシジル化合物または4,4’−メチレン−5,5’−テトラメチルジヒダントインのグリシジル化合物、あるいはトリグリシジルイソシアヌレートなどの化合物である。
【0056】
これらの配合物において使用されるグリシジルエーテル成分のさらなる例は、例えば、過剰のクロロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンの多価フェノールとの反応によって得られる多価フェノールのグリシジルエーテルである。本発明と関連して使用可能なグリシジルエーテルエポキシドのさらなる例は、例えば、米国特許第3018262号および"Handbook of Epoxy Resins" by Lee and Neville, McGraw−Hill Book Co., New York(1967)に記載されている。
【0057】
成分として好適な市販のグリシジルエーテルエポキシドも多数あり、例えば、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えば、EPON828、EPON825、EPON1004およびEPON1010(Shell);DER−331、DER−332およびDER−334(Dow Chemical)の商標で入手可能なもの;フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、例えば、DEN−431、DEN−438(Dow Chemical);ならびにレゾルシノールジグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、例えば、C8−C10グリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier7、C12−C14グリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier8、ブチルグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier61、クレシルグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier62、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier65、多官能性グリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier67、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier68、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier107、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier44、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier48、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、例えば、HELOXY Modifier84である(全てのHELOXYグリシジルエーテルはShellから入手可能である)。
【0058】
アクリルエステルのコポリマーを含むグリシジルエーテル、例えば、スチレン−グリシジルメタクリレートもしくはメチルメタクリレート−グリシジルアクリレートも好適である。その例としては、1:1スチレン/グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート/グリシジルアクリレート、62.5:24:13.5メチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0059】
グリシジルエーテル化合物のポリマーは、例えば、他の官能基も含むことができる。ただし、これらはカチオン硬化を損なわないとする。
【0060】
他の好適な市販のグリシジルエーテル化合物は、多官能性液体および固体ノボラックグリシジルエーテル樹脂、例えば、PY307、EPN1179、EPN1180、EPN1182およびECN9699である。
【0061】
異なるグリシジルエーテル化合物の混合物も成分として使用できると解釈される。
【0062】
グリシジルエーテルは、例えば式XX:
【化10】

(式中、
xは1〜6の数であり;そして
50は1〜6価アルキルもしくはアリール基である)
の化合物である。
【0063】
例えば、
xが1、2または3の数であり;そして
50は、x=1である場合、非置換もしくはC1−C12アルキル置換フェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニリル、C1−C20アルキル、または1以上の酸素原子によって中断されたC2−C20アルキルであるか、あるいはR50は、x=2である場合、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、C6−C10シクロアルキレン、非置換もしくはハロ置換C1−C40アルキレン、1以上の酸素原子によって中断されたC2−C40アルキレン、または基
【化11】

であるか、あるいは
50は、x=3である場合、基
【化12】

であり、
zは1〜10の数であり;そして
60は、C1−C20アルキレン、酸素または
【化13】

である、式XXのグリシジルエーテル化合物が好ましい。
【0064】
グリシジルエーテル(a1)は、例えば、式XXa
【化14】

(式中、
70は、非置換もしくはC1−C12アルキル置換フェニル;ナフチル;アントラシル;ビフェニリル;C1−C20アルキル、1以上の酸素原子によって中断されたC2−C20アルキル;または式
【化15】

の基であり;
50は、フェニレン、C1−C20アルキレン、1以上の酸素原子によって中断されたC2−C20アルキレン、または基
【化16】

であり;そして
60は、C1−C20アルキレンもしくは酸素である)
の化合物である。
【0065】
式XXb
【化17】

(式中、
50は、フェニレン、C1−C20アルキレン、1以上の酸素原子によって中断されたC2−C20アルキレン、または基
【化18】

であり;そして
60は、C1−C20アルキレンもしくは酸素である)
のグリシジルエーテル化合物が好ましい。
【0066】
重合性成分のさらなる例は、1分子あたり少なくとも2つのフリーなアルコール性および/またはフェノール性ヒドロキシ基を含有する化合物を、適切なエピクロロヒドリンと、アルカリ性条件下、または酸触媒の存在下で反応させ、続いてアルカリ処理することによって得られるポリグリシジルエーテルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エーテルである。異なるポリオールの混合物も使用できる。
【0067】
このようなエーテルは、ポリ(エピクロロヒドリン)を用いて、非環式アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオールおよびポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロール−プロパン、ペンタエリトリトールおよびソルビトールから、脂環式アルコール、例えば、レゾルシトール、キニトール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンおよび1,1−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシ−3−エンから、ならびに芳香核を有するアルコール、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンおよびp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンから製造することができる。これらは、単核フェノール、例えば、レゾルシノールおよびヒドロキノン、ならびに多核フェノール、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビス−フェノールA)および2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンからも製造可能である。
【0068】
ポリグリシジルエーテルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの製造に好適なさらなるヒドロキシ化合物は、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラールおよびフルフラールの、フェノール類、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、4−クロロフェノールおよび4−tert−ブチルフェノールとの縮合によって得られるノボラックである。
【0069】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、例えば、エピクロロヒドリンと少なくとも2つのアミノ水素原子を含有するアミン、例えば、アニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)−プロパン、ビス(4−メチルアミノフェニル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)エーテル、スルホンならびにスルホキシドとの反応生成物の脱塩化水素によって得られる。さらなる好適なポリ(N−グリシジル)化合物としては、トリグリシジルイソシアヌレート、および環状アルキレン尿素、例えば、エチレン尿素および1,3−プロピレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、ならびにヒダントイン、例えば、5,5−ジメチルヒダントインが挙げられる。
【0070】
ポリ(S−グリシジル)化合物も好適である。その例としては、ジチオールのジ−S−グリシジル誘導体、例えば、エタン−1,2−ジチオールおよびビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルが挙げられる。
【0071】
グリシジル基もしくはβ−メチルグリシジル基が、例えば、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸もしくはp−ヒドロキシ安息香酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントインおよび2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンの異なる種類のヘテロ原子と結合するエポキシ樹脂も考慮される。
【0072】
ビスフェノールのジグリシジルエーテルが好ましい。その例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えば、ARALDIT GY250、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールSのジグリシジルエーテルが挙げられる。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0073】
技術的に重要な、さらなるグリシジル化合物は、カルボン酸、特にジカルボン酸およびポリカルボン酸のグリシジルエステルである。その例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸もしくはトリメリット酸、または二量体化脂肪酸のグリシジルエステルである。
【0074】
グリシジル化合物でないポリエポキシドの例は、ビニル−シクロヘキサンおよびジシクロペンタジエンのエポキシド、3−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ−[5.5]ウンデカン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸の3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ブタジエンジエポキシドもしくはイソプレンジエポキシド、エポキシ化リノール酸誘導体またはエポキシ化ポリブタジエンである。
【0075】
さらなる好適なエポキシ化合物は、例えば、一酸化リモネン、エポキシ化大豆油、ビスフェノールAおよびビスフェノールFエポキシ樹脂、例えば、Araldit(登録商標)GY250(A)、ARALDIT(登録商標)GY282(F)、ARALDIT(登録商標)GY285(F)、およびエポキシ基を含有する光硬化性シロキサンである。
【0076】
さらなる好適なカチオン重合性もしくは架橋性成分は、例えば、米国特許第3117099号、米国特許第4299938号および米国特許第4339567号にも見られる。
【0077】
脂肪族エポキシドの群のうち、10、12、14もしくは16の炭素原子からなる非分岐鎖を有する一官能性記号α−オレフィンエポキシドが特に好適である。
【0078】
現在、多数の異なるエポキシ化合物が市販されているので、バインダーの特性は大きく異なり得る。例えば、組成物の目的の用途による1つの可能なバリエーションは、異なるエポキシ化合物の混合物の使用ならびに軟化剤および反応性希釈剤の添加である。
【0079】
例えば適用が噴霧によって行われる場合、エポキシ樹脂を溶媒で希釈して、適用を促進することができるが、エポキシ化合物は好ましくは無溶媒状態で使用される。室温で粘稠性から固体である樹脂を熱時適用することができる。
【0080】
あらゆる慣例的なビニルエーテル、例えば、芳香族、脂肪族もしくは脂環式ビニルエーテル、およびケイ素含有ビニルエーテルも架橋成分として好適である。これらは、分子中に少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのビニルエーテル基を有する化合物である。本発明の組成物における使用に好適なビニルエーテルの例としては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレンカーボネートのプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル,テトラ−エチレングリコールジビニルエーテル、プルリオール−E−200ジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランジビニルエーテル−290、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、(4−シクロヘキシル−メチレンオキシエテン)−グルタル酸メチルエステルおよび(4−ブトキシエテン)−イソフタル酸エステルが挙げられる。
【0081】
ヒドロキシ含有化合物の例としては、ポリエステルポリオール、例えば、ポリカプロラクトンまたはポリエステルアジペートポリオール、グリコールおよびポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒドロキシ官能性ビニルおよびアクリル樹脂、セルロースエステル、例えば、セルロースアセテートブチレート、およびフェノキシ樹脂が挙げられる。
【0082】
さらなるカチオン性硬化性配合物は、例えば、EP119425に見られる。
【0083】
架橋性成分として、脂環式エポキシド、またはビスフェノールA系エポキシドが好ましい。
【0084】
したがって、組成物は、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル、オキセタン化合物、ビニルエーテル、酸架橋性メラミン樹脂、酸架橋性ヒドロキシメチレン化合物および酸架橋性アルコキシ−メチレン化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。
【0085】
所望により、組成物は、フリーラジカル重合性成分、例えば、エチレン性不飽和モノマー、オリゴマーまたはポリマーも含み得る。
【0086】
フリーラジカルおよびカチオンの両方によって等しく架橋できる化合物も使用可能である。このような化合物は、例えば、ビニル基と脂環式エポキシ基との両方を含有する。これらの例は、日本特許出願2−289611および売国特許第6048953号に記載されている。
【0087】
2以上のこのようなフリーラジカル重合性物質の混合物も使用できる。
【0088】
バインダーを組成物に添加することもでき、これは光重合性化合物が液体もしくは粘稠性物質である場合に特に有利である。バインダーの量は、例えば、合計固形分基準で、5〜95質量%であり、好ましくは10〜90質量%であり、特に40〜90質量%である。不飽和化合物は、非光重合性フィルム形成成分との混合物において使用することもできる。
【0089】
架橋性成分として使用されるアルキド樹脂は、多数の不飽和脂肪族化合物を含有し、少なくともその一部は多不飽和である。これらのアルキド樹脂の製造に好ましく使用される不飽和脂肪族化合物は、不飽和脂肪族モノカルボン酸特に、多不飽和脂肪族モノカルボン酸である。
【0090】
一不飽和脂肪酸の例は、ミリストレイン酸、パルミチン酸,オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸およびリシノール酸である。好ましくは、共役二重結合を含有する脂肪酸、例えば、脱水ヒマシ油脂肪酸および/またはキリ油脂肪酸が用いられる。他の好適なモノカルボン酸としては、テトラヒドロ安息香酸および水素化もしくは非水素化アビエチン酸またはこれらの異性体が挙げられる。所望により、問題のモノカルボン酸を、例えば、アルキド樹脂の製造において、植物性油などのトリグリセリドの形態で全体的もしくは一部分において使用することができる。所望により、2以上のこのようなモノカルボン酸もしくはトリグリセリドの混合物を、場合により、1以上の飽和(シクロ)脂肪族もしくは芳香族モノカルボン酸、例えば、ピバル酸、2−エチル−ヘキサン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、4−tert−ブチル−安息香酸、シクロ−ペンタンカルボン酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2,4−ジメチル安息香酸、2−メチル安息香酸および安息香酸の存在下で用いることができる。
【0091】
所望により、ポリカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、二量体化脂肪酸、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸,テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エンドイソプロピリデンシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸およびブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸を、アルキド樹脂中に組み入れることもできる。所望により、問題のカルボン酸を、無水物または、例えば、1〜4の炭素原子を有するアルコールのエステルなどのエステルの形態で用いることができる。
【0092】
加えて、アルキド樹脂は、二価もしくは多価ヒドロキシル化合物から構成され得る。
【0093】
好適な二価ヒドロキシル化合物の例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサン−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−プロパンジオールである。好適なトリオールの例は、グリセロール、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパンである。3を越えるヒドロキシル基を有する好適なポリオールは、ペンタエリトリトール、ソルビトールおよび問題の化合物のエーテル化生成物、例えば、ジトリメチロールプロパンならびにジ−、トリ−およびテトラ−ペンタエリトリトールである。好ましくは、3〜12の炭素原子を有する化合物、例えば、グリセロール、ペンタエリトリトールおよび/またはジペンタエリトリトールを使用する。
【0094】
アルキド樹脂は、構成成分の直接エステル化によって得られる(ただし、場合により、これらの成分の一部を先にエステルジオールもしくはポリエステルジオールに変換しておいてもよい)。不飽和脂肪酸を乾性油、例えば、アマニ油、マグロ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油および脱水ヤシ油の形態で用いることもできる。最終アルキド樹脂を、添加された他の酸およびジオールとのエステル交換反応によって得る。エステル交換反応は、115〜250℃の範囲の温度で、場合によりトルエンおよび/またはキシレンなどの溶媒の存在下で有利に行われる。反応は、触媒量のエステル交換反応触媒の存在下で有利に行われる。好適なエステル交換反応触媒の例としては、酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、塩基性化合物、例えば、アミン、または酸化カルシウム、酸化亜鉛、テトライソプロピルオルトチタネート、ジブチルスズオキシドおよびトリフェニルベンジルホスホニウムクロリドなどの化合物が挙げられる。
【0095】
架橋化合物の一部として使用されるビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物は、好ましくは、少なくとも2つのビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン基を含み、150以上の分子量を有する。これらのビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物は、ビニルエーテル、ビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン基ならびにさらには最大1の官能性アミノ、エポキシ、チオール、イソシアネート、アクリル、ヒドリドもしくはヒドロキシル基を含有する市販のビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物と、アミノ、エポキシ、チオール、イソシアネート、アクリル、ヒドリドもしくはヒドロキシル基と反応可能な少なくとも2つの基を有する化合物との反応によって、得られる。その例として、少なくとも2つのエポキシ、イソシアネート、ヒドロキシルおよび/またはエステル基を有する化合物または少なくとも2つのエチレン性もしくはエチニレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。
【0096】
重合性成分として、ビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物が、アミノ、ヒドロキシル、チオール、ヒドリド、エポキシおよび/またはイソシアネート基などの反応性基を介した付加によってアルキド樹脂と共有結合した組成物が好ましい。このために、化合物は、アルキド樹脂中に存在する反応性基と付加物を形成できる少なくとも1つの基を有さなければならない。
【0097】
ビニルエーテル基をアルキド樹脂中に組み入れるために、ビニルオキシアルキル化合物(そのアルキル基が、アルキド樹脂中に存在する1以上の反応性基と付加物を形成できるヒドロキシル、アミノ、エポキシもしくはイソシアネート基などの反応性基によって置換されている)を使用することができる。
【0098】
重合性成分として、アルキド樹脂中に存在する酸化的乾性基の数と、酸の存在下で反応性である基の数との比が1/10〜15/1、特に1/3〜5/1である組成物が好ましい。1つの修飾アルキド樹脂の代わりに、1つのアルキド樹脂が高度に修飾され、他の樹脂はあまり修飾されていないか、または全く修飾されていない複数のアルキド樹脂も使用可能である。
【0099】
アルキド樹脂と共有結合可能なビニルエーテル化合物の例は、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−エチルヘキサンジオールモノビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテルおよびアミノプロピルビニルエーテルである。
【0100】
例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基を含むビニルエーテル化合物を過剰のジイソシアネートと反応させ、続いてフリーなイソシアネート基を含有する付加物をアルキド樹脂のフリーなヒドロキシル基と反応させることによって、付加物を形成することができる。好ましくは、まず、アルキド樹脂のフリーなヒドロキシル基を過剰のポリイソシアネートと反応させ、次いで、フリーなイソシアネート基をアミノ基もしくはヒドロキシル基含有ビニルエーテル化合物と反応させる方法を用いる。ジイソシアネートの代わりに、ジエステルを使用することもできる。アルキド樹脂中に存在するヒドロキシル基と過剰のジエステルとのエステル交換反応と、それに続いて、残りのエステル基と、それぞれヒドロキシ官能性ビニルエーテル化合物もしくはアミノ官能性ビニルエーテル化合物とのエステル交換反応もしくはアミド基転移によって、ビニルエーテル官能性アルキド樹脂を得る。ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートエステル、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の存在下で製造を実施し、次いで、マイケル反応によってこのようにして官能化されたアルキド樹脂をビニルエーテル基含有化合物および第1アミノ基含有化合物と反応させ、続いて、例えば非塩基性窒素原子を得るためにイソシアネート化合物と反応させることによって、アルキド樹脂の製造中に(メタ)アクリレート基をアルキド樹脂中に組み入れることも可能である。
【0101】
このような反応の一例は、例えば、国際特許出願WO99/47617に記載されている。リシニン脂肪酸をジペンタエリトリトールでエステル化し、続いてフリーなヒドロキシル基のマロン酸ジエチルと4−ヒドロキシブチルビニルエーテルとの好適な比でのエステル交換反応を行って、重合成分としての使用に好適なビニルエーテル官能性アルキド樹脂を得る。
【0102】
フリーラジカル重合性成分を本発明の配合物に添加する場合、好適なフリーラジカル光開始剤またはこのような光開始剤の混合物も添加することが有利であり得る。
【0103】
酸の作用のもと、現像液中のカチオン重合性もしくは酸触媒重合性架橋性化合物の溶解度を増加させる化合物;
光重合性混合物は、光開始剤に加えて、様々な添加剤を含むことができる。その例としては、熱開始剤、光安定剤、蛍光増白剤、フィラーおよび顔料、ならびに白色および有色顔料、染料、帯電防止剤、接着促進剤、湿潤剤、流動助剤、潤滑剤、ワックス、粘着防止剤、分散剤、乳化剤、酸化防止剤;フィラー、例えば、滑石、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄;反応促進剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、ならびに、例えばラッカー、インクおよびコーティング技術で慣例的な他のアジュバントが挙げられる。
【0104】
光重合の促進は、さらなる添加剤として、スペクトル感度をシフトさせる、もしくは広げる光増感剤の添加によっても行うことができる。これらは特に、芳香族カルボニル化合物、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、ならびに特にイソプロピルチオキサントン、フェノチアジン誘導体、アントラキノンおよび3−アシル−クマリン誘導体、テルフェニル、スチリルケトン、および3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、カンファーキノン、ならびにエオシン、ローダミンおよびエリトロシン染料、ならびにアントラセン誘導体、例えば、9−メチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブチルオキシアントラセン、9−メトキシアントラセン、9−アントラセンメタノール、特に9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジブチルオキシアントラセンおよび9,10−ジエトキシアントラセンである。さらなる好適な光増感剤は、例えば、国際特許出願WO98/47046で言及される。
【0105】
好適な光増感剤のさらなる例は、その開示内容が参考として本明細書で援用される、国際特許出願WO06/008251、36ページ、30行〜38ページ、8行に開示されている。
【0106】
前記の増感剤は、当該技術分野で慣例的であり、したがって当該技術分野で慣例的な量で、好ましくは組成物基準で0.05〜5%の濃度、特に0.1〜2%の濃度で用いられる。
【0107】
本発明の組成物はさらに、さらなる光開始剤(e)、例えば、カチオン性光開始剤、光酸形成剤およびフリーラジカル光開始剤を共開始剤として0.01〜15%、好ましくは0.1〜5%の量で含み得る。
【0108】
組成物において電子供与化合物、例えば、アルキル−およびアリール−アミン供与化合物も使用可能である。このような化合物は、例えば、4−ジ−メチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリルおよび1,2,4−トリメトキシベンゼンである。このような供与化合物は、配合物基準で、好ましくは0.01〜5%の濃度で、特に0.05〜0.50%の濃度で用いられる。
【0109】
カチオン性光開始剤および酸形成剤の例は、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩、例えば、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、4−[(2−ヒドロキシ−テトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩もしくはヘキサフルオロリン酸塩(SarCat(登録商標)CD 1012;Sartomer)、トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩(IRGACURE(登録商標)250, Ciba Specialty Chemical)、4−オクチルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩もしくはヘキサフルオロアンチモン酸塩、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩もしくはヘキサフルオロリン酸塩、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩、4−メチルフェニル−4’−エトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩、4−メチルフェニル−4’−ドデシルフェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩、4−メチルフェニル−4’−フェノキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸塩である。記載したヨードニウム塩全てのうち、他のアニオンを有する化合物;CYRACURE(登録商標)UVI−6990、CYRACURE(登録商標)UVI−6974(Union Carbide)、DEGACURE(登録商標)Kl 85(Degussa)、SP−55、SP−150、SP−170(Asahi Denka)、GE UVE1014(General Electric)、SarCat(登録商標)KI−85(=トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩;Sartomer)、SarCat(登録商標)CD1010(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩;Sartomer);SarCat(登録商標)CD1011(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩;Sartomer)の商標のもとで入手可能なさらなるスルホニウム塩;フェロセニウム塩、例えば(6−イソプロピルベンゼン)(5−シクロペンタジエニル)−鉄−IIヘキサフルオロリン酸塩、ニトロベンジルスルホネート、アルキル−およびアリール−N−スルホニルオキシイミドならびにさらなる既知のアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、1,2−ジスルホン、オキシムスルホネート、ベンゾイントシレート、トリルスルホニルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンおよびさらなる既知のベータ−ケトスルホン、ベータ−スルホニルスルホン、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)−ジアゾメタン、ベンゾイルトシルジアゾメタン、イミノスルホネートおよびイミドスルホネートおよびトリクロロメチル−s−トリアジンおよび他のハロアルキル基含有化合物も、もちろん好適である。さらなる好適な追加の光潜在性酸(b1)の例としては、国際特許出願WO04/074242、38ページ、10行〜41ページ、14行に記載されているカチオン性光開始剤および酸形成剤の例、ならびにその関連する開示内容が参考として本明細書で援用される、国際特許出願WO04/074242の実施例で開示される化合物が挙げられる。放射線への露光に続いて、熱後硬化工程を行うことができる。
【0110】
光潜在性塩基によって触媒される重縮合に対して感受性である1以上のモノマーおよびオリゴマーを含む組成物も、速硬性および固体状態への変換に好適である。光潜在性塩基は、特に光潜在性第3アミンもしくはアミジンである。前述の化学物質(多くの場合、ハイブリッド硬化系と呼ばれる)の組み合わせからなる組成物も、速硬性および固体状態への変換に好適である。
【0111】
多数の多種光源を用いることができる。点光源および扁平ラジエータ(ランプアレイ)の両方が好適である。例は、炭素アークランプ、キセノンアークランプ、適切ならば、金属ハロゲン化物でドープされた中圧、超高圧、高圧および低圧水銀ラジエータ(メタルハライドランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、ストロボ、写真用投光照明灯、発光ダイオード(LED)、電子ビームおよびX線である。有利には、プロセス工程c)で用いられる放射線量は、例えば、1〜1000mJ/cm2である。ランプが中圧水銀ランプである場合、40〜450ワットの範囲の出力を有し得る。本発明の好適な実施形態において、UVランプを、光学的可変画像を形成するための手段(プレート上もしくはシリンダー上)に配置する。
【0112】
UV光源は、ランプを含み得る。ランプは、200〜450ワットの範囲の出力を有し得る。
【0113】
ケイ素および/またはフッ素含有化合物は、オルガノポリシロキサン、すなわち単位:
【化19】

を含有する化合物を含む。
【0114】
硬化されるオルガノポリシロキサンは、例えば、モノマー、オリゴマーもしくはポリマー、例えば、ホモポリマー、コポリマーもしくはターポリマーであり、単一の化合物であるか、または2以上の異なるシロキサンの混合物であるかのいずれかであると理解されるべきである。
【0115】
シロキサンは、直線状もしくは分岐であり、直線状シロキサンが好適である。さらに、フッ素を含まない化合物が好適である。
【0116】
オルガノポリシロキサンは、ラジカル重合に対して反応性である1以上の基(例えば、ビニル、アクリル、メタクリル等)を含み得る。例えば、TEGO RC711、TEGO RC902等。オルガノポリシロキサンは、カチオン重合に対して反応性である1以上の基(例えば、ビニル、エポキシ、グリシジル等)を含み得る。
【0117】
式I
【化20】

のケイ素および/またはフッ素含有化合物が特に興味深い。
(式中、n6は1〜1000であり;
201、R202、R203およびR204は、互いに独立して、C1−C20アルキル;X10、OH、C2p+1、フェニルおよびY10から選択される1以上の基で置換されたC1−C20アルキル;1以上のOにより中断されたC2−C50アルキル;1以上のOにより中断され、X10、Cp2p+1、OH、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたC2−C50アルキル;C2−C20アルケニル;X10、Cp2p+1、OH、C1−C10アルコキシ、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたC2−C20アルケニル;1以上のOによって中断されたC3−C20アルケニル;1以上のOによって中断され、X10、Cp2p+1、OH、C1−C10アルコキシ、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたC3−C20アルケニル;フェニル;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたフェニル;ナフチル;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシ、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたナフチル;ビフェニリル;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたビフェニリル;C1−C20アルコキシ;X10、Cp2p+1、C2−C10アルケニル、OH、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたC1−C20アルコキシ;
1以上のOによって中断されたC2−C50アルコキシ;1以上のOによって中断され、X10、Cp2p+1、C2−C10アルケニル、OH、フェニルおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたC2−C50アルコキシ;フェノキシ;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたフェニルオキシ;ナフチルオキシ;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたナフチルオキシ;ビフェニルオキシ;X10、Cp2p+1、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、OH、C1−C10アルコキシおよびY10から選択される1以上の基によって置換されたビフェニルオキシであるか;
またはR201、R202、R203およびR204は、互いに独立して、Y10であるか;
または式(I)の異なる化合物の基R203およびR204は一緒になってC3−C50アルキレン鎖を形成し、この鎖は、場合により1以上のOおよび/または
【化21】

によって中断され、場合により、1以上のR210によって置換され;
10は、
【化22】

であり;
pは1〜24であり;
m1は0または1であり;
dは0〜10の整数であり;
10は水素、ハロゲン、OR208、NR208209、SR208、CN、NCO、COOR208、OCOR208、CONR208209、NR208COR209、OCOOR208、OCONR208209、NR208COOR209またはY10であり;
1は、O、NR208またはC1−C12アルキレンであり;
205、R206およびR207は、互いに独立して、水素もしくはC1−C6アルキルであり;
208およびR209は、互いに独立して、水素もしくはR211であり、
210は水素もしくはC1−C10アルキルであり;
211はC1−C20アルキル、フェニル−C1−C4アルキル、フェニル、ナフチルもしくはビフェニリルであり;その全ては場合により1以上のR212によって置換され;
212は、水素、ハロゲン、OR213、NR213214、SR213、CN、NCO、COOR213、OCOR214、CONR213214、NR213COR214、OCOOR213、OCONR213214、NR213COOR214もしくはY10であり;
213およびR214は、互いに独立して、水素、C1−C20アルキル、フェニル−C1−C4アルキル、フェニル、ナフチルもしくはビフェニリルである;
ただし、
(d1)R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つは、基:
【化23】

を含むか;または
(d2)R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つは、基:
【化24】

(式中、mは0であり、X1はOである)を含むか、もしくは基
【化25】

を含むか;または
(d3)R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つはオレフィン性基を含み、R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つは水素であり、ここでSi−H基およびオレフィン性基は、分子の1もしくは異なるオルガノポリシロキサン鎖中または異なる分子中に位置するか;または
(d4)R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも2つは、C1−C10アルコキシ、OH、Cp2p+1およびハロゲンから選択される、またはR201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つはC1−C10アルコキシおよびOHから選択され、R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つはCp2p+1もしくはハロゲンであるか;または
(d5)ケイ素および/またはフッ素含有層は、(d1)、(d2)、(d3)もしくは(d4)の化合物の任意の混合物を含むものとする。
【0118】
式Iの化合物において、1分子中の全てのR201は必ずしも同じである必要はなく、場合により所与の定義の範囲内の異なる意味を有する。これは、ポリマー鎖中のR201の全てが同じである必要はなく、場合により異なる意味を有することを意味する。同じことがR202についても当てはまる。
【0119】
式Iの化合物中のポリオルガノケイ素骨格は直線状もしくは分岐である。
【0120】
式(I)の異なる化合物の基R203およびR204は一緒になって、C3−C50アルキレン鎖を形成し(この鎖は場合により、1以上のOおよび/または
【化26】

によって中断され、場合により1以上のR210によって置換され);例えば、次式(Ia)
【化27】

(式中、R201、R202、R203、R204およびnは前記定義のとおりであり、nは場合により式(Ia)の各ポリシロキサン鎖について異なる整数を意味する)
の構造が得られ;
2は、場合により1以上のOおよび/または
【化28】

により中断され、場合により1以上のR210によって置換されたC3−C50アルキレンであり;そして
210は前記定義のとおりである。
【0121】
n6は1〜1000であり;例えば、n6は5〜1000であり、好ましくは、n6は10〜500である。
【0122】
mは0もしくは1であり、好ましくは1である。
【0123】
dは0〜10の整数であり、好ましくは0、1もしくは2である。
【0124】
(d1)R201、R202、R203もしくはR204の少なくとも1つが基
【化29】

を含む式Iの化合物において、ケイ素成分の硬化は、オレフィン性基によって行われる。
【0125】
シロキサンは、オレフィン性官能基、例えばアクリレート、メタクリレートまたはビニルエーテル官能基、好ましくはアクリレートもしくはメタクリレートを含む。シロキサンは、例えばさらに置換され、オレフィン性官能基は、置換基R201〜R204の一部である。
【0126】
すなわち、オレフィン性官能基は、Si原子に直接結合することもできる。
【0127】
オルガノポリシロキサンは、例えば、放射線によって開始されるフリーラジカル重合に対して反応性である1以上の基を含有する。このような基の例としては、ビニルアクリレート基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基をはじめとするビニル基、およびエポキシアクリレート基が挙げられる。放射線反応性基を含有するオルガノポリシロキサンは、通常、組成物中、約0.01質量%〜20質量%、0.01質量%〜約10質量%、例えば約1質量%〜約5質量%の量で存在する。
【0128】
アクリル官能性オルガノポリシロキサンは、例えば、約0.1質量%〜75質量%、0.1質量%〜50質量%、0.1質量%〜20質量%のアクリルオキシもしくはメタクリルオキシ基、さらに多くの場合、約1質量%〜15質量%、3質量%〜約15質量%のアクリルオキシもしくはメタクリルオキシ基を含有する。約1000〜約20000の平均分子量を有するさらなるこのようなポリシロキサンが興味深い。さらに高分子量のシロキサンも好適である。オルガノポリシロキサンは直線状もしくは分岐状である。直線状化合物が好適である。
【0129】
本発明の組成物において有利に使用可能なケイ素および/またはフッ素含有化合物の例は、BYK307、377、345および340である。
【0130】
重合度は、良好な離型を可能にするためには、少なくとも95%である必要があり、好ましくは97%を超える。重合度は、ATR−IR分光法と、続く1410cm-1でのアクリレートバンドの消失によって測定することができる。UV−シムの場合、光線量の増大(より高い光強度もしくはより長い露光時間)、光開始剤量の増大もしくは光開始剤のさらに反応性の高いものとの置換、または重合温度の上昇によって、高重合度が得られる。
【0131】
UV硬化性配合物中のUV反応性官能基の濃度も重要である。その理由は、低濃度では、低い薬品耐性および機械抵抗を示す軟質物質が得られるからである。反応性基の濃度が高すぎると、完全な硬化は得られない。一例として、配合物1kgあたりの反応性官能基のモル濃度は、0.5から10の間、好ましくは2〜7の間であり得る。5付近の典型的なモル濃度は、この目的によく適合する。
【0132】
典型的なアクリレート配合物は、アクリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマー、光開始剤、ならびに場合によりケイ素および/またはフッ素含有化合物を含む。
【0133】
「アクリル」および「アクリレート」という用語は、一般的に、特に他に明記の無い限り、アクリル酸の誘導体ならびに置換アクリル酸、例えばメタクリル酸、エタクリル酸などを包含するように使用される。
【0134】
好適な多官能性アクリレートモノマーの具体例は、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、グリセリルエトキシレートジアクリレート、グリセリルプロポキシレートジアクリレート、グリセリルエトキシレートトリアクリレート、グリセリルプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、モノメトキシトリメチロールプロパンエトキシレートジアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリトリトールプロポキシレートテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールエトキシレートペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールプロポキシレートペンタアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンエトキシレートテトラアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート等である。多官能性アクリレートモノマーの例としては、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート等が挙げられる。シリコーン化合物、例えば、シリコーンヘキサアクリレート、または添加剤、例えば、Dow Corning57を場合により添加することができる。アミン修飾アクリレートの一例は、Ebecryl7100である。
【0135】
アクリレートモノマーおよびバインダーは、例えば、0〜99質量%、1質量%〜99質量%、10質量%〜99質量%、50質量%〜99質量%、60質量%〜約99質量%、例えば、70質量%または75質量%の量で存在する。アクリレートモノマーの分子量は、約300〜15000、例えば、300〜5000または300〜3000の範囲である。
【0136】
本発明の好適な実施形態において、アクリレート配合物は、25%のトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)で希釈されたビスフェノールAエポキシアクリレート、プロポキシル化/エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、光開始剤、例えば、4−フェニルベンゾフェノンおよびEsacure KIP150、ならびにシリコーン添加剤、例えば、Dow Corning57を含む。典型的には、光開始剤は、0.5〜10%の量で存在する。アミン修飾アクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートも場合により存在し得る。
【0137】
本発明は、本発明の複製シムを含む光学的可変画像形成手段にも関する。
【0138】
光学的可変画像を形成する手段である、このような回折格子は、シムもしくはシームレスローラーを含み得る。シムもしくはローラーは、任意の好適な透明物質、例えば、ポリエステルから製造することができる。ポリエステルシムは、ポリエステルを本発明のUV硬化性組成物でコーティングし、マスター画像を密着印画し、そして紫外線光によって転写された画像を硬化させることによって作製することができる。好適な実施形態において、アクリルシートをUV硬化性組成物でコーティングし;画像を保持するニッケルシムを次いで圧力下で湿潤アクリルシートに適用し、次いで組成物を、透明アクリルシートを通して硬化させる。硬化時は、アクリルに付着し、ニッケルシムには付着しないUV硬化性組成物を要する。
【0139】
シームレスシリンダーは、ポリエステルをUV硬化性組成物でコーティングし、マスター画像を密着印画し、転写された画像を紫外線光によって硬化させることによって、作製することができる。
【0140】
したがって、複製シムは、光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含むシリンダーであるか;または複製シムは、光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含む(プラスチック)材料のシートを含むシリンダーであるか;または複製シムは、内部に取り付けられたUVランプを有する石英管、チルドドライブローラーおよび光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含む(プラスチック)材料のベルトを含むベルトシステムである。
【0141】
本発明は、プリントにおける光学的可変デバイスおよびパターンの製造および使用のためのシームフリートランスファーシリンダーの製造方法にも関する。さらに詳細には、本発明は、光学的可変回折、ならびに基材に格子を付与するためのビヒクルとしてニッケルシムを用いた従来型エンボス加工システムに関連する知覚可能な継ぎ目およびシームを見えなくする構造の他の超顕微鏡的格子を有するシリンダー製造する方法に関する。
【0142】
別の実施形態において、シリンダーを紫外線硬化性樹脂でコーティングし、超顕微鏡的もしくはホログラフィック回折パターンもしくは画像を有する透明転写フィルムを、ニップを介して紫外線樹脂の表面に転写し、紫外線光で硬化させる。シリンダーを次いで、超顕微鏡的もしくはホログラフィック回折パターンもしくは画像を、基材の第1面上にプリントされた紫外線硬化ラッカーの表面中に直接転写するために使用することができる。あるいは、基材をその後、従来型プリント装置で、メタリックインクを用いてオフラインでプリントすることができる。
【0143】
基材の上面に、メタリックインクを用いて、離散的に記録された状態で、すなわち、文書等の上に他のプリントがすでに記録されているか、またはその後に他のプリントができるような文書等の上の位置で、および/または画像/パターンとなどが記録されていない部分、または離散的記録および/または非記録の縞状の部分、または基材表面全体にわたってプリントすることができる。基材を次いで、ニップローラーを通して、シリンダーの表面に固定されたポリエステルシムの形態で、超顕微鏡的ホログラフィックもしくは他の回折格子パターンまたは画像を保有するシリンダーを通過させることができる。好適な実施形態において、画像もしくはパターンは、超顕微鏡的パターンもしくは画像をその上に有するシームレスシリンダー上に保持され、したがって、転写の正確さを改善することができる。超顕微鏡的光学的可変画像もしくはホログラフィック格子を、次いで、シムもしくはシームレスローラーの表面を、露光された紫外線ラッカーの表面と接触させることによって、シムもしくはシームレスローラーから露光された紫外線ラッカーの表面中に転写することができる。紫外線光源を、透明OVI形成手段の表面を通して露光することができ、紫外線光に露光することによってラッカーは瞬時に硬化する。紫外線光源は、シリンダーの内部に配置され、プリントされた紫外線によってラッカーを通して硬化させ、転写された超顕微鏡的もしくはホログラフィック回折格子を固定する、40〜500W/cm2の範囲のランプであり得る。
【0144】
本発明の具体的な実施形態を例示のためにのみ、添付の実施例および図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、メタリックインクで重ね刷りされた直接紫外線硬化性ラッカーを用いて本発明の光学的可変画像を作製するための方法の略図である。
【図1a】図1aは、内部に取り付けられたUVランプを有する石英管、チルドドライブローラーおよびホログラフィック画像を含有するシリコーン−ポリエステルベルトを含むベルトシステムを示す。
【0146】
実施例1:特別に配合されたメタリックインク(フィルム)を用いて重ね刷りされた直接紫外線硬化性ホログラフィックプリント
図1を参照して、紫外線硬化性ラッカー(2)を用いて紙、アルミニウム、または別の不透明基材(1)の下面上にプリントする。光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造を、光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造をその上に有する本発明の複製シム(4)を用いてラッカーの表面(2)中にキャスト(3)する。光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造画像をラッカー中に付与し、偏光レンズ(8)、石英ローラー(6)、および透明なポリカーボネートローラー(5)を通って、通常の加工速度でシム(4)を通して配置されたUVランプによって直ちに硬化させる(6)。光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造画像は、透明なシム上の画像の複製である。メタリックインク(9)を光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造上にプリントし(10)、光学的可変デバイスまたは他のレンズまたは刻印された構造が光反射性になるようにする。さらに、色(11)をその後、通常通りに一列に通常のプリントプロセス速度でプリントすることができる。
【0147】
別の実施形態において、紙、アルミニウム、およびあらゆる種類の他の不透明基材(1)をフィルム様基材と替える。このような物質は、実質的に透明であり、したがって画像は表面の両側から見ることができる。
【0148】
図1に示す光学的可変画像形成手段(適用される光学的可変画像を保有する透明プラスチック物質を含む石英の透明シリンダー)の代わりに、図1に示すベルトシステムを使用することができる。
【0149】
ベルトシステムは、内部に取り付けられたUVランプを有する石英管、チルドドライブローラーおよびホログラフィック画像(本発明の複製シム)を含有するポリエステルベルトを含む。シリコーン−ポリエステルベルトは、石英管およびチルドドライブローラーの周りを循環する。
【0150】
紫外線硬化性ラッカーを用いて、紙、アルミニウム、または別の不透明基材の下面上にプリントする。光学的可変画像は、シリコーン−ポリエステルベルトを用いることによってラッカー中に付与され、この場合、ニップローラーを用いて、シリコーン−ポリエステルベルトとラッカーでコーティングされた基材との間の十分な接触を確実にする。
【0151】
本発明のさらなる実施形態は、印刷機および光学的可変画像形成手段を含む(セキュリティー)製品を形成するための装置(光学的可変画像形成手段は、本発明の複製シムを含む)ならびに基材上に光学的可変画像を形成するための方法であって:
A)基材の少なくとも一部に硬化性ワニスを塗布する工程;
B)ワニスの少なくとも一部を光学的可変画像形成手段と接触させる工程;
C)ワニスを硬化させる工程、および
D)場合により、メタリックインクを硬化したワニスの少なくとも一部の上に堆積させる工程(ここで、光学的可変画像形成手段は本発明の複製シムを含む)を含む方法に関する。このような装置の構造および基材上に光学的可変画像を形成するための方法は、国際特許出願WO05/051675および国際特許出願WO08/061930にさらに詳細に記載されている。
【0152】
光学的可変画像もしくは装置の例は、ホログラムもしくは回折格子、モアレ格子などである。これらの光学顕微鏡構造の画像は、一連の構造化表面から構成される。これらの表面は、一定もしくはランダムな間隔を有する直線状もしくは曲線プロファイルを有し得、寸法がミクロンからミリメートルまで変わり得る。パターンは、円形、直線状であってよく、または均一なパターンを有さなくてもよい。例えば、Fresnelレンズは、片側に微細構造化表面を有し、他方にpano面を有する。微細構造化表面は、光軸からの距離が増大するにつれ、傾斜角が変化する一連の溝からなる。傾斜面間に位置するドラフト面は、通常、Fresnelレンズの光学的性能に影響を及ぼさない。
−正のFresnelレンズは、コリメータ、コレクターとして、または有限共役を有するように設計することができる。これらのレンズは、通常、球面収差を補正される。これらを、第2表面リフレクターとして使用するためにコーティングすることもできる。
−負のFresnelレンズは、分散光に関して正のレンズと正反対のものである。これらは、第1表面リフレクターとして使用するためにコーティングすることができる。
−Fresnel円筒レンズは、直線状Fresnel構造を有する。これは一方向の光を集め、その結果、点画像ではなく線画像となる。
−レンズは、全ての溝が多数の線画像を形成する小半径を有する直線状構造を有する。レンズは主に、映写幕に使用され、三次元画像をプリントされる。
【0153】
ホログラム、キネグラム、直接描画などの、様々な回折格子構造に加えて、これらを増大させるために含め得る他の構造。
【0154】
−裸眼では、光沢のない部分もしくはレンズ構造に見える、平面格子構造中に「隠された」画像(隠された印)。構造中に埋め込まれた情報は、画像を通してレーザーペンを光らせ、情報もしくは画像をリアルタイムで投影することによって明らかにすることができる、テキスト(日付もしくは英数字コード)、ロゴまたは肖像であり得る。
【0155】
−十分に確立されたシステム、これらは、ダイアモンドカッティングツールを有する精密刻線機械によって製造された平面格子である。格子は、様々な基材、例えば、ガラス、金属およびセラミック上に描くことができる。溝密度は、20〜1899溝/mmの範囲である。例えば、ラムスデンの木の格子は、等距離の円形溝であり、これらは1.700.000の1インチ間隔のものであり、第1回折パターンフィルムおよびスタンピングホイルの基礎を形成する。
−UV光(UV、VUV、FUVおよびEUV)ならびに軟X線を回折するために視斜角で使用される細かい間隔の溝を有する平面格子。
−収差補正ホログラフィック湾曲格子は、格子ベースのシステムにおける光学収差、例えば、コマを最小にする。これらは、簡単でコンパクトな高出力スペクトルグラフおよびモノクロメーター、ならびに光学繊維もしくは固体状態アレイディテクター、または両者を用いる回折システムにおける必須成分である。
−非常に短いレーザー光パルスを得るための一方法は、パルスの期間を圧縮するために特別な平面格子を使用することである。格子は、強力なレーザー光に耐えるために、熱安定性耐熱性物質で作られる。超短レーザーパルスは、主に、高速過渡現象の研究に用いられる。
−光学的可変画像は、特別な色効果−例えば、傾斜および/または回転による変色を有するゼロ次の回折微細構造でもあり得る。ゼロ次回折微細構造の、紙幣、クレジットカード、パスポート、チケット、文書のセキュリティー、偽造防止、商標保護等の様々な用途で様々な用途におけるセキュリティー機器としての使用は既知である。
【0156】
サーモクロミックもしくはフォトクロミック染料、UV/IR蛍光染料、磁気ストライプなどをOVDプライマーもしくはインク中に添加することによって、さらに減少させた偽造の可能性。
【0157】
本発明の方法によって得られる製品は新規である。
【0158】
したがって、本発明は、本発明の方法を用いて得られる(装飾、もしくはセキュリティー)製品にも関する。
【0159】
本発明の好適な実施形態において、(装飾用、もしくはセキュリティー)製品は、紙、アルミニウム、または別の不透明基材に基づく。
【0160】
セキュリティー製品は、好ましくは、紙幣、パスポート、クレジットカード、身分証明書、運転免許証、コンパクトディスクもしくは包装である。
【0161】
本発明の様々な特性および態様を以下の実施例でさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲内で操作する方法を当業者に示すために提示するが、本発明の範囲を限定するものではなく、このような範囲は特許請求の範囲においてのみ規定される。以下の実施例および明細書の他の箇所および特許請求の範囲で特に記載しない限り、全ての部およびパーセンテージは質量基準であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧もしくは大気圧付近である。
【0162】
実施例
配合物例
配合物1(アミノアクリレートを含まない)
【表1】

【0163】
配合物1を、厚さ6μmの巻き線バーコーターを用いてコロナ処理PMXホイル上に塗布し、1kgの圧力下でオリジナルシムと積層する。試料を、透明ホイルを通して異なるベルト速度および異なるランプ出力で中圧水銀ランプに露光し、光線量を変更する。硬化した複製シムを、その後、オリジナルシムから分離する。
【0164】
アクリレート架橋から生じる化学修飾を、ATRユニットを用いたIR分光法によって表面測定に関してモニターする(Digital FTIR Excalibur Spectrometer FTS 3000 MX)。アクリレート二重結合に特徴的な1410cm-1でのIRバンドの消失をモニターすることによって、アクリレート二重結合の反応を定量的に決定する。清浄なUV硬化性ワニスをコロナ処理プラスチックホイル上に塗布し、同時にUV光に露光しつつ、複製シムによってエンボス加工する。複製シムの表面およびワニスが付着した順位で、品質を評価する。
【0165】
【表2】

【0166】
配合物2(アミノアクリレート+20%TMPTAを含まない)
【表3】

【0167】
配合物2を、太さ6μmの巻き線バーコーターを使用して、コロナ処理PMXホイル上に塗布し、1kgの圧力下でオリジナルシムと積層する。試料を、透明ホイルを通して、異なるベルト速度および異なるランプ出力で中圧水銀ランプに露光し、光線量を変更する。硬化した複製シムを、その後、オリジナルシムから分離する。
【0168】
アクリレート架橋から生じる化学修飾を、ATRユニットを用いたIR分光法によって表面測定に関してモニターする(Digital FTIR Excalibur Spectrometer FTS 3000 MX)。アクリレート二重結合に特徴的な1410cm-1でのIRバンドの消失をモニターすることによって、アクリレート二重結合の反応を定量的に測定する。
【0169】
清浄なUV硬化性ワニスをコロナ処理プラスチックホイルに塗布し、同時にUV光に露光しながら、複製シムによってエンボス加工する。
【0170】
【表4】

【0171】
配合物3(アミノアクリレートを含む)
【表5】

【0172】
太さ6μmの巻き線バーコーターを用いて、配合物3をコロナ処理PMXホイル上に塗布し、1kgの圧力下でオリジナルシムと積層する。試料を様々なベルト速度および様々なランプ出力で透明ホイルを通して中圧水銀ランプに露光し、光線量を変更する。硬化した複製シムをその後オリジナルシムから分離する。
【0173】
アクリレート架橋の結果起こる化学修飾を、ATRユニットを用いたIR分光法によって表面測定に関してモニターする(Digital FTIR Excalibur Spectrometer FTS 3000 MX)。アクリレート二重結合の反応を、アクリレート二重結合に特徴的な1410cm-1でのIRバンドの消失をモニターすることによって、定量的に測定する。清浄なUV硬化性ワニスをコロナ処理プラスチックホイルに塗布し、同時にUV光に露光しながら、複製シムによってエンボス加工する。
【0174】
【表6】

【0175】
配合物4(アミノアクリレート+30%TMPTAを含む)
【表7】

【0176】
配合物4を、太さ6μmの巻き線バーコーターを使用して、コロナ処理PMXホイル上に塗布し、1kgの圧力下でオリジナルシムと積層する。試料を、透明ホイルを通して、異なるベルト速度および異なるランプ出力で中圧水銀ランプに露光し、光線量を変更する。硬化した複製シムを、その後、オリジナルシムから分離する。
【0177】
アクリレート架橋の結果起こる化学修飾を、ATRユニットを用いたIR分光法によって表面測定に関してモニターする(Digital FTIR Excalibur Spectrometer FTS 3000 MX)。アクリレート二重結合の反応を、アクリレート二重結合に特徴的な1410cm-1でのIRバンドの消失をモニターすることによって、定量的に測定する。複製シムを、その後、特許II/2−23569にしたがってUVによりホログラムをプリントするために使用する。
【0178】
【表8】

【符号の説明】
【0179】
1 不透明基材、 2 紫外線硬化性ラッカー、 3 キャスト、 4 複製シム、 5 透明なポリカーボネートローラー、 6 硬化、 8 偏光レンズ、 9 メタリックインク、 10 プリント、 11 色

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製シムの製造における使用に十分な濃度のUV反応性官能基を有するUV硬化性組成物であって、前記複製シムが、一旦硬化すると、十分な架橋密度および95%超の重合度(1410cm-1でのアクリレートバンドの消失を追跡することによって、ATR分光法によって測定)を示す前記組成物。
【請求項2】
配合物1kgあたり5モルの二重結合の濃度を有するアクリレート配合物である、請求項1に記載のUV硬化性組成物。
【請求項3】
前記複製シムが、一旦硬化すると、97%超の重合度を示す、請求項1に記載のUV硬化性組成物。
【請求項4】
シリコーンおよび/またはフッ素含有化合物を含む、請求項1に記載のUV硬化性組成物。
【請求項5】
複製シムを製造する方法であって、以下の工程:
(a)(フィルム)基材の少なくとも一部を請求項1から4までのいずれか1項に記載のUV硬化性組成物(紫外線硬化性ラッカー)でその上面上をコーティングする、特にUV硬化性組成物でその上面上をプリントする工程、
(b)その上に光学的可変画像を有するオリジナルシムでUV硬化性組成物の表面の少なくとも一部に光学的可変画像をキャスト(転写)する工程、
(c)光学的可変画像をUV硬化性組成物に付与し、例えば、UVランプ、または電子ビーム放射によって即座に硬化させ、複製シムを製造する工程、
(d)複製シムをオリジナルシムから分離し、これによって、基材がシリンダーである場合、複製シムを得;そして基材が(プラスチック)材料のシートである場合、(プラスチック)材料のこのシートを加工して複製シムにする工程
を含む前記方法。
【請求項6】
複製シムに対する加工が、(プラスチック)材料のシートをシリンダーに載せる工程、または内部に取り付けられたUVランプを有する石英管、チルドドライブローラーおよび(プラスチック)材料のシートのベルトを含むベルトシステムを形成する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の方法によって得られる複製シム。
【請求項8】
印刷機および光学的可変画像形成手段を含む(セキュリティー)製品を形成する装置であって、前記光学的可変画像形成手段が請求項7に記載の複製シムを含む前記装置。
【請求項9】
基材上に光学的可変画像を形成する方法であって、以下の工程:
A)基材の少なくとも一部に硬化性ワニスを塗布する工程;
B)ワニスの少なくとも一部を光学的可変画像形成手段と接触させる工程;
C)ワニスを硬化させる工程、および
D)場合により、メタリックインクを硬化したワニスの少なくとも一部の上に堆積させる工程
を含み、前記光学的可変画像形成手段が請求項7に記載の複製シムを含む前記方法。
【請求項10】
A)紫外線硬化性ワニスを、紙、アルミニウム、または別の不透明基材の少なくとも一部の上にプリントする工程、
B)前記ワニスの少なくとも一部を光学的可変画像形成手段と接触させる工程(ここで、その上に光学的可変デバイスまたは他のレンズもしくは刻印された構造を有する請求項6に記載の複製シムを用いて、光学的可変デバイスまたは他のレンズもしくは刻印された構造をラッカー表面中にキャストする);
C)ワニスをUVランプによって硬化させる工程、
D)メタリックインクを硬化したワニスの少なくとも一部の上に堆積させる工程、および
E)場合により、さらに多色印刷をする工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
A)紫外線硬化性ワニスを、透明フィルム様基材の少なくとも一部にプリントする工程、
B)前記ワニスの少なくとも一部を光学的可変画像形成手段と接触させる工程(ここで、その上に光学的可変デバイスまたは他のレンズもしくは刻印された構造を有する請求項6に記載の複製シムを用いて、光学的可変デバイスまたは他のレンズもしくは刻印された構造をラッカー表面中にキャストする);
C)ワニスをUVランプによって硬化させる工程、
D)メタリックインクを硬化したワニスの少なくとも一部の上に堆積させる工程、および
E)場合により、さらに多色印刷をする工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか1項記載の方法を用いることによって得られる(セキュリティー)製品。
【請求項13】
紙幣、パスポート、クレジットカード、身分証明書、運転免許証、コンパクトディスクまたは包装である、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
請求項7に記載の複製シムを含む、光学的可変画像形成手段。
【請求項15】
前記複製シムが、光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含むシリンダーであるか;または
複製シムが、光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含む(プラスチック)材料のシートを含むシリンダーであるか;または
複製シムが、内部に取り付けられたUVランプを有する石英管、チルドドライブローラーおよび光学的可変画像を有する硬化したUV硬化性組成物を含む(プラスチック)材料のベルトを含むベルトシステムである、請求項14に記載の光学的可変画像形成手段。

【図1】
image rotate

【図1a】
image rotate


【公表番号】特表2011−507006(P2011−507006A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533536(P2010−533536)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064968
【国際公開番号】WO2009/062867
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】