説明

光学的情報読取装置及びその制御方法

【課題】光学的情報読取装置においてRS232CとUSBインターフェイスとを共に用いて接続のつなぎ換え等をせずに用いることができるようにすること。
【解決手段】光学的情報読取装置10とPLC50,PC51とをケーブル20によって接続する。ケーブル20はRS232C及びUSB用の芯線を含む複合ケーブル21とRS232C用のケーブル22,USB用のケーブル23及びこれらを分岐する分岐部24から成る。ケーブル22は通常モードにおいて入出力やデコード信号の出力に用い、ケーブル23は画像データのみを出力する画像出力モードと物体有無の検知、デコード信号及び画像信号を出力するUSB通信優先モードにおいて用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2次元コード等を光学的に読み取る光学的情報読取装置に係り、特に2次元撮像素子を用いた光学的情報読取装置の外部インターフェイスの構造及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の搬送ラインの傍らに光学的情報読取装置を配置し、搬送ラインに沿って移動する物体の表面に貼り付けられ、あるいは印字、刻印されたQRコード等の2次元コードやバーコードを読み取り、読み取った2次元コード等によって移動している物体を識別することはよく知られている。このような光学的情報読取装置として、2次元コード等を撮像する撮像部、撮像部からの電圧信号にアナログ処理やデジタル処理等を施し2次元コード等を解読する信号処理部を含む制御部、制御部の処理結果を外部へ出力するインターフェイス(以下、IFという)等を有し、各部を構成する部品を筐体内に収納して構成したものがある(特許文献1)。
【0003】
光学的情報読取装置と外部機器との接続ケーブルとして従来からRS232Cシリアル通信用のケーブルが用いられている。RS232Cケーブルにはコマンドやデコード結果をシリアルで伝送する端子の他に入力端子及び出力端子を含めている。RS232Cケーブルによる通信は信頼性が高く、ノイズ等に対する耐性が比較的高い傾向がある。一方パーソナルコンピュータ(以下、PCという)の普及に伴い、USB通信が高速通信の手段として広く用いられている。USB通信はRS232C通信に比べ高速であるが、耐ノイズ性が劣っている。
【0004】
従来の光学的情報読取装置のインターフェイスは前述したRS232C通信とUSB通信のどちらか一方のインターフェイス仕様のものや、又RS232CとUSBとが1つのコネクタに集約され、中継ボックスを介して分離するようにしたもの、更に光学的情報読取装置の背面にRS232C用及びUSB用の2つのコネクタが接続可能なものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−33465号公報
【特許文献2】特開2004−164532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いずれかのインターフェイスのみを用いた光学的情報読取装置の場合には、信頼性を保持するためRS232C通信とするか、高速性を確保するためUSB通信とするかを択一的に選択する必要があった。又1つのコネクタに集約した光学的情報読取装置については、光学的情報読取装置と独立の中継ボックスで分割する必要があり、信号品質劣化の他、複数ケーブルからの信号の衝突を避けるため、中継ボックスに接続するケーブルを接続先に応じてつなぎ換えが必要となったり、大型化するという欠点があった。更に複数のコネクタを本体に直接接続可能な光学的情報読取装置の場合には、小型化しつつ防水性能や防塵性能を確保することが難しく、製造コストも高くなるという欠点があった。また、従来の複数の外部通信インターフェイスを持つ光学的情報読取装置は、複数のインターフェイスからの制御指示に対する異常動作を避けるため、どちらか一方に優先権を与えて通信を行うこととなり、用途に応じて他方のケーブルを用いて同時に通信する等の選択ができなかった。
【0007】
本発明は従来の問題点に着目してなされたもので、RS232CとUSBケーブルとを一体化した光学的情報読取装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の光学的情報読取装置は、読取対象を撮像する2次元撮像素子を有する撮像部と、前記撮像部からの信号を処理する主制御部と、複数の通信モードを管理する通信モード管理部と、USB通信処理を行うUSB通信部と、RS232C通信処理を行うRS232C通信部と、前記通信モード管理部で選択された通信モードに従い、前記USB通信部及びRS232C通信部を介してコマンドを受信しデータを転送する通信プロトコル制御部と、前記USB通信部及びRS232C通信部に接続される通信ケーブルと、を具備し、前記通信ケーブルは、前記RS232C通信部及びUSB通信部に接続され、RS232C用及びUSB用の信号線を含む複合ケーブルと、RS232C用ケーブルと、USB用ケーブルと、前記複合ケーブルを前記RS232C用ケーブル及びUSB用ケーブルとに分岐する分岐部と、を有するものである。
これにより、低コストで信頼性の高い信号(例えば、RS232C、IO)と高速信号(USB等)を用途に応じて独立に稼動・非稼動させることが可能となる。
【0009】
ここで前記USB通信部は、前記主制御部と共にメイン基板上に、前記RS232C通信部は、当該メイン基板とは異なるI/O基板上に配置され、前記USB用ケーブルからの信号は前記メイン基板上のコネクタを介して当該メイン基板に直接接続され、前記RS232Cケーブルからの信号は前記I/O基板を介して前記メイン基板に接続されるようにしてもよい。
【0010】
ここで前記USB通信部は、画像データの出力に用いるようにしてもよい。
【0011】
ここで前記通信モード管理部により管理される通信モードは、前記RS232C通信部、及び前記通信ケーブルのうち複合ケーブル及びRS232Cケーブルを用いる通常モードと、前記RS232C通信部、USB通信部、及び前記通信ケーブルのうち前記複合ケーブル、RS232C用ケーブル、及びUSB用ケーブルを用いるUSB画像出力モードと、前記USB通信部、及び前記通信ケーブルのうち前記複合ケーブルとUSB用ケーブルを用いるUSB通信優先モードと、を有するようにしてもよい。
【0012】
ここで通信プロトコル制御部は、前記通常モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、読取データを伝送するよう制御し、前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、読取データを伝送すると共に、前記USB通信部を通じて画像データを転送するよう制御し、前記USB通信優先モードにおいて前記USB通信部を通じてコマンドを受信し、読取データ及び画像データを転送するよう制御するようにしてもよい。
【0013】
ここで前記通信ケーブルの複合ケーブルは、USB通信用の芯線を含む内部シールドと、前記内部シールド及び前記RS232C用の芯線を含む外部シールドとを含むものとしてもよい。
【0014】
ここで前記光学的情報読取装置は、前記USBケーブルとRS232Cケーブルとを連結する結束部と、前記USBケーブルのコネクタ端部を覆うUSBカバーとを更に有するようにしてもよい。
【0015】
この課題を解決するために、本発明の光学的情報読取装置の制御方法は、前記RS232C通信部のみを用いる通常モードと、USB通信部のみを用いるUSB通信優先モードと、画像出力にのみUSB通信部を用いるUSB画像出力モードと、を有し、コマンドを受信したときに送信した上位機器を判別し、前記通常モード又は前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、USB通信優先モードにおいてUSB通信部を通じてコマンドを受信し、送信データがあれば送信データがデコード結果か画像データかを判別し、送信データがデコード結果であれば前記通常モード又は前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてデコード結果を転送し、送信データが画像データであれば前記USB通信優先モード又はUSB画像出力モードのときにUSB通信部により画像データを転送するものである。
【発明の効果】
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、RS232C及びUSBを複合した通信ケーブルを用い、分岐部でこれらを分岐しているため、夫々に上位ホストとUSBホストとを同時に接続しておくことができる。従ってコネクタのつなぎ換えや中継ボックスが不要で耐ノイズ性が向上する。そして通常モードを切換えることにより上位ホスト又はUSBホストからコマンドを送出したりデコード結果を受信することができ、USBケーブルを通じて撮像部からの画像を高速に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態による2次元素子を有するコードリーダの使用状態を示す斜視図である。
【図2】図2は本実施の形態によるコードリーダの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は本実施の形態によるコードリーダの通信ケーブルの分岐部以降を示す斜視図である。
【図4】図4は本実施の形態による通信ケーブルのコードリーダ側の詳細を示す図である。
【図5】図5は本実施の形態によるコードリーダの斜視図である。
【図6】図6は本実施の形態によるコードリーダのブロック図である。
【図7】図7は本実施の形態によるコードリーダの内部構成を示す断面図である。
【図8A】図8Aは本実施の形態によるケーブル21,22の断面図である。
【図8B】図8Bは本実施の形態によるケーブル23の断面図である。
【図9】図9は本実施の形態による通信ケーブル20の内部構造を示す図である。
【図10】図10は本実施の形態による通信モードとその制御状態を示す図である。
【図11】図11は本実施の形態による通信モードの状態遷移図である。
【図12】図12は本実施の形態による信号を受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図13】図13は本実施の形態による信号を送信する際の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の実施の形態による2次元撮像素子を有するコードリーダの使用状態を示す斜視図であり、図2はその構成を示すブロック図である。図2に示すように本実施の形態によるコードリーダ10は、撮像部11、後述するメイン基板上に主制御部12、メモリ13、通信プロトコル制御部14、通信モード管理部15、RS232C通信部16、USB通信部17、後述するIO基板上にRS232Cドライバ18が設けられている。撮像部11はCMOS、CCDイメージセンサ等の2次元撮像素子を含んでおり、2次元コード等を撮像するものである。主制御部12はコマンドに応じて撮像信号をメモリ13に一旦保持し、2次元コード等をデコードし、その結果を出力するといったようにコードリーダの全般的な制御を司るものである。又通信プロトコル制御部14はRS232C通信部16及びUSB通信部17のいずれからコマンドを受信したか判断し、RS232C通信とUSB通信のプロトコルを制御するものである。通信モード管理部15は3つの通信モード、即ち本実施の形態では通常モード、USB画像出力モード、及びUSB通信優先モードを管理するものである。RS232C通信部16及びUSB通信部17は夫々RS232C通信処理、USB通信処理を行うもので、RS232C通信部16は、RS232Cの電圧変換用ICを有するRS232Cドライバ18等を経由して、USB通信部16はIO基板上の素子を介さずに、通信ケーブル20に接続されている。
【0019】
このコードリーダ10は図1に示すように搬送ライン40に沿って移動する物体41の側面に貼り付けられたり印字や刻印されているバーコードや2次元コードを読取るものである。図1に示すようにコードリーダ10は通信ケーブル20を介して上位ホスト機器、ここではプログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCという)50及びUSBホスト、ここではパーソナルコンピュータ(PC)51に接続される。
【0020】
次に通信ケーブル20の詳細について説明する。通信ケーブル20は図1,図3に示すようにケーブル21とケーブル22,23とが分岐部24で接続された構造となっている。ケーブル21はコードリーダ10に接続され、RS232CとUSBの信号を伝送する複合ケーブルであって、15芯のケーブルを用いる。又ケーブル22は上位ホスト機器であるPLC50に接続されるRS232C用のケーブルであって、少なくとも12芯のケーブルを用いるが、15芯のケーブルをそのまま用いるようにしてもよい。又ケーブル23はUSBホストであるPC51に接続されるUSB用のケーブルであって、4芯ケーブルを用いる。ここではケーブル21,22を同一のケーブルとして説明する。
【0021】
図4はケーブル21のコードリーダ10に接続される端部を示している。ケーブル21の端部にはコードリーダに取付けられる際のケーブルブッシュ25を有し、その端部にコネクタを有している。ケーブル21の端部にはコードリーダ10のIO基板に接続されるRS232C(シリアル、I/O)用コネクタ31,メイン基板に接続されるUSB用コネクタ82を有している。コネクタ31、32は夫々10芯、3芯のコネクタである。コネクタ82の芯線はコードリーダ内でノイズ耐性を向上させるためのフェライトコア83を貫通させている。そしてUSB用の2本の信号線端子をツイストペアとし、作動インピーダンスをUSB規格に準拠することによって信号品質を改善している。更にケーブル21にはコネクタを介することなくメイン基板上の電源端子に直接接続される芯線84,35及びドレインワイヤ36を有し、これらの芯線がケーブル21に含まれている。このようにコネクタを分離することによって、USB信号はコードリーダ10内部のメイン基板上のUSBコントローラやCPUに最短で接続し、信号品質(インピーダンスマッチング)を配慮するような配置にすることも可能となる。
【0022】
例えば図5はコードリーダの斜視図、図6は、コードリーダ内のメイン基板とサブ基板との関係を示すブロック図、図7はコードリーダの内部構成を示す断面図である。これらの図に示すように本実施の形態のコードリーダ10は、筐体の小型化を考慮して、メイン基板70とI/O基板81等のサブ基板80を分離して構成されている。サブ基板80は、I/O基板81、電源基板82、結合基板83、表示基板84、照明基板85間をフレキシブル基板によって連結した構成を採用することにより、フレキシブル基板部分を折りたたみ可能とし、各素子・基板を筐体へコンパクトに収納することを図っている。
【0023】
このようなコードリーダにおいて、通信ケーブル20のコードリーダ側はケースにケーブルブッシュ25が取付けられ、更にコードリーダ内部ではプリント基板であるI/O基板81に直接接続されるRS232C(シリアル、I/O)用コネクタ31と別のプリント基板であるメイン基板70に接続されるUSB用コネクタ32が設けられる。メイン基板70はカメラモジュールからの信号を処理する主制御部や通信プロトコル制御部等の電子回路を実装した基板であり、USB用信号は、メイン基板70にコネクタ71を介して直接接続することによって、ノイズ耐性を考慮した最短距離でメイン基板70上の素子へ接続することができる。一方、RS232C信号は、小型化を考慮して、メイン基板70と分離させた機能であるRS232Cドライバやその他のインターフェース回路を有するI/O基板81を介して、メイン基板70へ信号が受け渡される。
【0024】
分岐部24で分岐されたケーブル22,23の他端には図3に示すように夫々RS232C用のコネクタ37、USB用のコネクタ38が取付けられる。ケーブル22,23は着脱自在の結束部26によって結束できるよう構成され、例えば、USB用のケーブルを使用しないときにはRS232C用のケーブルと結束させ、使用するときには分離させる等の使い勝手を向上させている。又分岐部24とUSBコネクタ38の間には一端に開口、他端にコネクタに被せることができる直方体状の凹部を有するUSBカバー27が移動自在に設けられる。USBカバー27はUSBコネクタ38を使用しないときにUSBコネクタ38に被せておくことで防塵・他の機器と絶縁できるようにしたものである。
【0025】
図8Aはケーブル21及び22の断面図、図8Bはケーブル23の断面図、図9はケーブル20の全体の構成を示す図である。図8Aに示すようにケーブル21,22は15芯のケーブルが外部シールド内に含まれた構造となっており、最外周の被覆61内に外部シールドA62が設けられる。外部シールドA62内にはコネクタ31の芯線31−1〜31−10及び34,35の12芯の芯線と内部シールドA63が含まれる。内部シールドA63には内側に更に内部シールドB67が設けられ、その内には、コネクタ82の芯線32−1〜32−3までの芯線が含まれる。外部シールドA62と内部シールドB67及びドレインワイヤ36は互いに電気的に接続されている。このようにUSB用の芯線を内部シールド内に含めることにより、USB信号とRS232C信号とのクロストークを防止すると共に、USB信号の信号品質を改善させるようにしている。内部シールドに含めない場合には、クロストークは例えば50〜70mV観測されるが、二重シールドとすることによってほぼ0mVとすることができる。
【0026】
分岐部24では図9に示すようにこれらの15芯のうち内部シールドA63に含まれる3本の芯線32−1〜32−3を分離し、電源用の芯線35を分岐している。さて分岐部24以降のケーブル22はここでは図8Aに示す15芯ケーブルをそのまま用いて内部シールドA63に含まれる芯線は接続せずに実質的に12芯のケーブルとして用いる。ケーブル22の端部はRS232C用のコネクタ37が接続される。
【0027】
一方分岐部24以降のUSB信号用のケーブル23の断面図を図8Bに示す。このケーブル23は被覆64に外部シールドB65及び外部シールドC66を包んでおり、外部シールドC66内部に4本の芯線38−1〜38−4を有している。これらの芯線はUSBコネクタ38の端子に接続されている。図9に示す端子38−5は外部シールドB65及び外部シールドC66に接続されている。
【0028】
このように本実施の形態では、複合ケーブルを分岐させることによって2つのホスト、即ち上位ホストとUSBホストとを同時に接続できるようにしている。ここで上位ホストはコードリーダに対して制御コマンドを送出し、コード読取開始及び読取結果の信号を取得するものである。又USBホストは運用の立ち上げ時や保守時等にコードリーダ10と接続し、設定やメンテナンスを行う。又コードリーダ10が画像データをそのまま出力する際に画像データを確認する場合に用いられる。
【0029】
特に、本発明が適用される本実施の形態のように、FAの搬送ライン40に導入されるコードリーダは、設置、読み取り設定、運用、メンテナンスという運用方法が考えられる。ここで、コードリーダの設置の際には、ユーザは、コードリーダにとって、どこが検出範囲なのかをポインタ若しくは画像にて確認し、読み取り設定の際には、撮像条件(露光時間、ゲイン、トリガタイミング、出力の設定)等が必要であり、実ワークを設置して撮像条件等を設定することになる。これら、コードリーダ設置、読み取り設定時に画像を確認できると作業が容易となるが、画像データは容量が大きくなるため、高速信号であることが好ましい。また、運用状態で最も必要なデータは読み取りデータ(数バイトから数十バイト)若しくはOK,NGのIO信号であるので通常はIO,RS232Cを使用し、メンテナンス時は読み取れなかったワークを確認したり、再設置・設定をおこなうため、高速信号(画像)が必要となる。
【0030】
このような運用方法においては、本発明のように用途に応じて低コストで信頼性の高い信号(例えば、RS232C、IO)と高速信号(USB等)とを簡便に切替えることができることは、大いに有用である。運用中にトラブル等が起こった時に、運用状態を保ったままUSBコネクタ38を用いて画像データをPC51に取り込むことによって画像確認をすることができる。また、本実施の形態の通信ケーブル20は分岐部を樹脂やエラストマ等の成型品で作成しているため、低コストで実現できる。リーダ本体に複数のコネクタを設ける必要がなく、本体の小型化も可能となる。
【0031】
次に通信モード管理部15で管理する3つの通信モードについて説明する。図10はこの通信モードと制御状態を示す図であり、図11はその状態遷移図である。通常モードは前述した上位ホストの制御下で動作している状態である。この状態ではコマンドは上位ホストからのみ送られ、又読取データや出力データは上位ホストにのみ送られる。このモードでは画像データは出力されない。
【0032】
USB画像出力モードはこれに加えて、リアルタイムにUSBホストに画像信号を出力するモードである。USB画像出力モードでは上位ホストの制御下にありながらユーザがメンテナンスを容易にできるようにしたものであり、USBの高速通信性を生かして通常の運用時に画像データを確認することができる。USB画像出力モードの場合はUSBホストからコマンドを与えた場合にはUSBホストへエラーである旨を報知する。
【0033】
一方USB通信優先モードは全ての処理はUSBホストのみで行われる。従って上位ホストが接続されていて上位ホストがコマンドを送出した場合、エラーを返し、USBホストが制御コマンドを送出したりデコード結果を受信し、画像データも受信する。
【0034】
次にこの実施の形態によるコードリーダの動作について、特にモード選択を中心にして説明する。図12はコードリーダ10が信号を受信する際の動作を示すフローチャートである。尚リセットしたときにはまず通常モードに設定される。本図に示すようにデータを受信すると、通信プロトコル制御部14はまずステップS11において受信したデータを解析する。そしてステップS12において送信したディバイスを判別する。例えば、受信インターフェイスから判別したり、コマンドに付加された情報で判別が可能である。ここでディバイスとはPLC50とPC51のいずれかであり、RS232Cを通じてコマンド等が送られてきたときにはPLC50と判断し、USBを通じてコマンドが送られてきたときにはPC51と判断する。PLC50と判断した場合には、ステップS13に進んで通信モード管理部15が保持している現在の通信モードがUSB通信優先モードか否かを判別する。現在の通信モードが通常モード又はUSB画像出力モードであれば、主制御部12はステップS14に進んでコマンドで指示された処理を実行する。又USB通信優先モードであれば、エラーとなるため、ステップS15においてエラーをRS232Cを通じて送信したディバイス、即ちPLC50に転送して処理を終える。
【0035】
さてステップS12において送信ディバイスはPC51であると通信プロトコル制御部14が判断した場合には、ステップS16において送信されてきたコマンドがモード変更コマンドかどうかを判別する。コマンドがモード変更コマンドであれば、そのコマンドに応じて現在のモードを変更する(ステップS17)。尚通常モードのときにはUSB画像出力モード、USB通信優先モードへの変更に係るコマンドのみが有効なものとして処理される。通信プロトコル制御部14はステップS16においてモード変更コマンドでなければ、ステップS18に進んで通信モード管理部15が保持している現在のモードがUSB通信優先モードかどうかを判別する。現在のモードがUSB通信優先モードであれば、送られてきたコマンドで指示された処理を主制御部12に受け渡し、主制御部12が実行する(ステップS19)。現在のコマンドがUSB通信優先モードでなければ、通常モード又は画像出力モードであるので、ステップS20に進み、通信プロトコル制御部14は送信したディバイス、即ちPC51に対してエラーを報知して処理を終える。
【0036】
次に本実施の形態のコードリーダ10からデータを転送する処理について図13のフローチャートを参照しつつ説明する。主制御部12で処理されたデータを送信する場合には、通信プロトコル制御部14はステップS31において送信データの判別を行う。送信データが読取結果であればステップS32において現在のモードがUSB通信優先モードかどうかを判別する。現在のモードがUSB通信優先モードであれば、ステップS33に進み、USB通信部17によってPC51にデータを転送する。又USB通信優先モードでなければ通常モード又はUSB画像出力モードであるので、ステップS34に進みRS232C通信部16を通じてPLC50にデータを送信する。又ステップS31において送信データが画像データである場合には、ステップS35に進んで現在のモードが通常モードかどうかを判別する。このモードが通常モードであればデータを伝送することなく処理を終了する。又このモードが通常モードでなければUSB通信優先モード又はUSB画像出力モードであるので、画像データをステップS36において高速通信可能なUSB通信部17を通じてPC51に送信する。
【0037】
こうすれば通信モードを切換えることによってPLC50,PC51を同時に接続しておいてもコマンドの競合なく所望の動作をさせることができる。又読取データをいずれかの方法で上位ホスト又はUSBホストに送信することができ、画像データはUSBホストに送信することができる。特にUSB画像出力モードは上位ホストの制御下にあり、上位ホストとRS232C通信を行いながら、リアルタイムにUSBホストに画像出力をすることができ、読取り設定、運用、メンテナンスの際に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は光学的情報読取装置をRS232CとUSBケーブルを用いて上位ホスト及びUSBホストに同時に接続することができ、2次元撮像素子を用いて2次元コード等を光学的に読み取る光学的情報読取装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 コードリーダ
11 撮像部
12 主制御部
13 メモリ
14 通信プロトコル制御部
15 通信モード管理部
16 RS232C通信部
17 USB通信部
18 RS232Cドライバ
20 通信ケーブル
21 複合ケーブル
22,23 ケーブル
24 分岐部
25 ケーブルブッシュ
26 結束部
27 USBカバー
31,32 コネクタ
31−1〜31−10, 32−1〜32−3,38−1〜〜8−4,34,35 芯線
33 フェライトコア
36 ドレインワイヤ
37 RS232Cコネクタ
38 USBコネクタ
40 搬送ライン
41 物体
50 プログラマブルコントローラ(PLC)
51 パーソナルコンピュータ(PC)
61,64 被覆
62 外部シールドA
63 内部シールドA
65 外部シールドB
66 外部シールドC
67 内部シールドB
70 メイン基板
80 サブ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象を撮像する2次元撮像素子を有する撮像部と、
前記撮像部からの信号を処理する主制御部と、
複数の通信モードを管理する通信モード管理部と、
USB通信処理を行うUSB通信部と、
RS232C通信処理を行うRS232C通信部と、
前記通信モード管理部で選択された通信モードに従い、前記USB通信部及びRS232C通信部を介してコマンドを受信しデータを転送する通信プロトコル制御部と、
前記USB通信部及びRS232C通信部に接続される通信ケーブルと、を具備し、
前記通信ケーブルは、
前記RS232C通信部及びUSB通信部に接続され、RS232C用及びUSB用の信号線を含む複合ケーブルと、
RS232C用ケーブルと、
USB用ケーブルと、
前記複合ケーブルを前記RS232C用ケーブル及びUSB用ケーブルに分岐する分岐部と、を有する光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記USB通信部は、前記主制御部と共にメイン基板上に、前記RS232C通信部は、当該メイン基板とは異なるI/O基板上に配置され、前記USB用ケーブルからの信号は前記メイン基板上のコネクタを介して当該メイン基板に直接接続され、前記RS232Cケーブルからの信号は前記I/O基板を介して前記メイン基板に接続されることを特徴とする請求項1記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記USB通信部は、画像データの出力に用いる請求項1記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記通信モード管理部により管理される通信モードは、
前記RS232C通信部、及び前記通信ケーブルのうち複合ケーブル及びRS232Cケーブルを用いる通常モードと、
前記RS232C通信部、USB通信部、及び前記通信ケーブルのうち前記複合ケーブル、RS232C用ケーブル、及びUSB用ケーブルを用いるUSB画像出力モードと、
前記USB通信部、及び前記通信ケーブルのうち前記複合ケーブルとUSB用ケーブルを用いるUSB通信優先モードと、を有する請求項1記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
通信プロトコル制御部は、
前記通常モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、読取データを伝送するよう制御し、
前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、読取データを伝送すると共に、前記USB通信部を通じて画像データを転送するよう制御し、
前記USB通信優先モードにおいて前記USB通信部を通じてコマンドを受信し、読取データ及び画像データを転送するよう制御する請求項4記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記通信ケーブルの複合ケーブルは、
USB通信用の芯線を含む内部シールドと、
前記内部シールド及び前記RS232C用の芯線を含む外部シールドとを含むものである請求項1記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記光学的情報読取装置は、
前記USBケーブルとRS232Cケーブルとを連結する結束部と、
前記USBケーブルのコネクタ端部を覆うUSBカバーとを更に有する請求項1記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光学的情報読取装置の制御方法であって、
前記RS232C通信部のみを用いる通常モードと、USB通信部のみを用いるUSB通信優先モードと、画像出力にのみUSB通信部を用いるUSB画像出力モードと、を有し、
コマンドを受信したときに送信した上位機器を判別し、前記通常モード又は前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてコマンドを受信し、USB通信優先モードにおいてUSB通信部を通じてコマンドを受信し、
送信データがあれば送信データがデコード結果か画像データかを判別し、
送信データがデコード結果であれば前記通常モード又は前記USB画像出力モードにおいてRS232C通信部を通じてデコード結果を転送し、
送信データが画像データであれば前記USB通信優先モード又はUSB画像出力モードのときにUSB通信部により画像データを転送する光学的情報読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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