説明

光学系、照明装置および顕微鏡装置

【課題】簡易な構成で照明ムラや観察像のムラを低減することができる汎用性の高い光学系、照明装置および顕微鏡装置を提供すること。
【解決手段】反射部材13,15を用いて少なくとも1回の反射を行う照明光学系11において、照明光を反射させる反射部材13,15の反射面A,B前面を、照明光学系11が配置される雰囲気の屈折率よりも大きな屈折率を有する透過部材13b,15bで覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射部材を用いて少なくとも1回の反射を行う光学系、これを用いた照明装置および顕微鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、顕微鏡装置は、光源から発せられる照明光を標本まで導く照明装置を備えている。この光源としてLEDを用いると、光源自体の小型化が可能となり、照明装置を小型化することができる。さらに、光源から発せられる照明光を反射ミラーによって折り曲げて標本まで導く照明光学系とすることによって、一層、照明装置の小型化を促進することができる。
【0003】
ここで、反射ミラーを用いて照明光を折り曲げる場合、反射ミラーの反射率は、入射角依存性をもつため、反射ミラーへの入射角の違いによって、照明光の反射率が変化することになる。このため、反射ミラーが、入射角が大きく異なる広角の照明光を反射する場合、反射された照明光の強度分布が大きく変化し、結果として照明ムラが発生するという問題があった。
【0004】
このため、特許文献1では、共役な位置にある2つの反射ミラーを設け、各反射ミラーでの入射角依存性を相殺するようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、入射角の大きい側の面の反射率と入射角の小さい側の面の反射率が同じになるように厚みを変化させた傾斜膜を反射面上に形成し、輝度ムラを相殺するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−48529号公報
【特許文献2】特開2005−10810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、2つの反射ミラーを用いることが前提となり、光学系が限定されたものになり、柔軟性にかけるという問題点があった。
【0008】
一方、特許文献2に記載されたものでは、傾斜膜を反射面上で異なる膜厚となるように精度高く形成しなければならず、製造が困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で照明ムラや観察像のムラを低減することができる汎用性の高い光学系、照明装置および顕微鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光学系は、反射部材を用いて少なくとも1回の反射を行う光学系において、前記反射部材の反射面前面を、当該光学系が配置される雰囲気の屈折率よりも大きな屈折率を有する透過部材で覆うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記透過部材を介した前記反射面への入射角範囲における該反射面での反射率変化は、前記透過部材を介さない前記反射面への入射角範囲における該反射面での反射率変化よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記反射面への入射角範囲で、前記反射面での反射量変化に比して前記透過部材での透過量変化が小さいことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記透過部材は、ガラス基板であり、前記反射面は、金属膜表面であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記反射部材は、ハーフミラーであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記反射部材は、ダイクロイックミラーであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる光学系は、上記の発明において、前記透過部材の表面に反射防止膜を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の照明装置は、上記のいずれか一つに記載の光学系を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の顕微鏡装置は、上記のいずれか一つに記載の光学系を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる光学系、照明装置および顕微鏡装置によれば、反射部材の光を反射させる反射面の前面が、光学系が配置される雰囲気の屈折率に比して大きく、光を透過させる透過部材で覆われるだけで、前記透過部材を介さないで前記光を前記反射面で反射させる場合に比して、前記反射面での前記光の反射率の差を小さくすることができる。このため、簡易な構成で照明ムラや観察像のムラを低減することができる。しかも、前記反射部材は、少なくとも1回の反射を行えばよい。すなわち、前記反射部材の設置数が限定されないので、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる光学系、照明装置および顕微鏡装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示した反射ミラーの反射面に入射する照明光の入射角を示す図である。
【図3】図3は、反射率の入射角依存性の一例を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した反射ミラーの反射面に入射する照明光の入射角を示す図である。
【図5】図5は、図1に示した反射ミラーの変形例を示す模式図である。
【図6】図6は、図1に示した顕微鏡装置の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である光学系、照明装置および顕微鏡装置について説明する。
【0022】
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態にかかる光学系を備えた顕微鏡装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、顕微鏡装置1は、標本Sが載置されるステージ2、ステージ2を支持する本体部3、本体部3の上部に支持された照明装置としての照明部10、照明部10の上部に載置された鏡筒4、および鏡筒4の上部に載置された撮像部5を有する。
【0023】
ステージ2は、本体部3の側面部に突設されたハンドル3aの回動操作に連動し、図示しない焦準機構によって移動される。標本Sは、ステージ2の昇降移動に伴って観察光軸OA方向に焦準移動されて、焦点合わせ(ピント合わせ)される。また、ステージ2は、図示しない駆動機構によって観察光軸OAに垂直な平面内で自在に移動される。これによって、標本S上の観察位置が調整される。
【0024】
照明部10は、ステージ2上の標本Sに対して対物レンズ16aを介して落射照明を行うものである。照明部10は、筐体10aを有し、筐体10aに照明光学系11を設けている。照明光学系11は、光学系として反射ミラー13,15を用いて反射を行う。照明光学系11は、光源12、反射ミラー13、コレクタレンズ14、反射ミラー15およびレボルバ16に取り付けられた対物レンズ16aを有する。光源12は、筐体10aの上部に設置され、筐体10a内の反射ミラー13に向けて照明光を発する。
【0025】
反射ミラー13は、ダイクロイックミラーである。反射ミラー13は、筐体10a内で照明光の光軸に対して45°で設置される。反射ミラー13は、反射部材として照明光を反射させてコレクタレンズ14に入射させる。反射ミラー13は、反射膜13aおよび透過部材13bを有する。反射膜13aは、反射ミラー13に入射された照明光を反射させる反射面Aを形成する。反射膜13aは、ダイクロイックミラーの構成における反射膜である。
【0026】
透過部材13bは、照明光学系11が配置される雰囲気(空気)の屈折率に比して大きい屈折率のガラス基板であり、反射面Aの前面を覆う。透過部材13bは、ダイクロイックミラーの構成におけるガラス基板である。反射ミラー13は、反射膜13aの面からでなく透過部材13bの面から照明光が入射するように配置される。すなわち、反射ミラー13は、入射される照明光に対して従来のダイクロックミラーと表裏逆にして配置される。なお、反射ミラー13は、照明光の光軸に対して45°で設置されるものを例示したが、これに限らず、照明光を反射させてコレクタレンズ14に入射させることができれば、他の角度であってもよい。コレクタレンズ14は、筐体10a内の照明光の光軸上に設置され、入射した照明光を集光する。
【0027】
反射ミラー15は、ハーフミラーである。反射ミラー15は、筐体10a内で照明光の光軸に対して45°で設置される。反射ミラー15は、反射部材として照明光を反射させて対物レンズ16aに入射させる。反射ミラー15は、反射膜15aおよび透過部材15bを有する。反射膜15aは、反射ミラー15に入射された照明光を反射させる反射面Bを形成する。反射膜15aは、ハーフミラーの構成における反射膜である。
【0028】
透過部材15bは、透過部材13bと同様に照明光学系11が配置される雰囲気(空気)の屈折率に比して大きい屈折率のガラス基板であり、反射面Bの前面を覆う。透過部材15bは、ハーフミラーの構成におけるガラス基板である。反射ミラー15は、反射膜15aの面からでなく透過部材15bの面から照明光が入射するように配置される。すなわち、反射ミラー15は、入射される照明光に対して従来のハーフミラーと表裏逆にして配置される。なお、反射ミラー15は、照明光の光軸に対して45°で設置されるものを例示したが、これに限らず、照明光を反射させて対物レンズ16aに入射させることができれば、他の角度であってもよい。
【0029】
透過部材13b,15bは、入射する照明光が減衰しないように透過率が高いことが好ましい。具体的には、反射面A,Bへの入射角範囲で、反射面A,Bでの反射量変化に比して透過部材13b,15bでの透過量変化が小さいことが好ましい。また、照明光が入射される透過部材13b,15bの表面には反射を防ぐための反射防止コートがなされていることが好ましい。
【0030】
レボルバ16は、複数の対物レンズ16aを保持する。対物レンズ16aは、レボルバ16の回転操作に応じて観察光軸OA上に配置される。これにより、観察に用いる倍率の対物レンズ16aが択一的に切り換えられる。
【0031】
鏡筒4は、照明部10によって照明される標本Sの標本像を結像させる結像レンズ4aを有する。結像レンズ4aは、観察光軸OA上に配置され、対物レンズ16aを経て平行化した観察光を集束し、標本像を撮像部5の撮像面上に結像する。なお、標本像は、図示しない双眼部内へ導入され、図示しない接眼レンズを介して操作者に目視観察されるようにしてもよい。撮像部5は、CCDやCMOS等のイメージセンサで実現され、撮像面上に結像された標本像を撮像し、画像信号を図示しないモニタ等に出力する。
【0032】
顕微鏡装置1では、光源12から発せられた照明光が、反射ミラー13,15によって反射され、対物レンズ16aによって平行化されて標本Sに照射される。その後、標本Sに照射された照明光は、観察光として反射され、この観察光は対物レンズ16aによって平行化されて鏡筒4に導入される。その後、鏡筒4に導入された観察光は、結像レンズ4aによって撮像部5の撮像面上に結像される。
【0033】
ここで、反射ミラー13の反射面Aに入射する照明光の入射角について説明する。図2は、反射ミラー13の反射面Aに入射する照明光の入射角を示す図である。図中の実線は、光源12から発せられ、透過部材13bを介して反射膜13aの反射面Aに入射し反射された照明光L1,L2を示す。また、図中の点線は、光源12から発せられ、透過部材13bを介さずに反射膜13aの反射面Aに入射し反射された照明光L1,L2を示す。この図2において点線が光源12から示されていないのは、実線と光路が重なる部分を実線で示しているためである。なお、透過部材13bの屈折率n1は、空気の屈折率n0に比して大きい。
【0034】
照明光L1,L2は、それぞれ入射角45°−θ1、入射角45°+θ1で透過部材13bに入射し、透過部材13bで屈折し、反射膜13aの反射面Aに対してそれぞれ入射角θ2、入射角θ3で入射する。透過部材13bでの照明光の屈折により、入射角θ2は、入射角45°−θ1より小さくなり、入射角θ3は、入射角45°+θ1より小さくなる。一方、照明光L1,L2が、透過部材13bを介さないで反射面Aに入射する場合、照明光L1,L2は、それぞれ入射角45°−θ1、入射角45°+θ1で反射面Aに入射する。すなわち、透過部材13bの屈折率n1を空気の屈折率n0より大きくすることによって、反射面Aへの照明光L1,L2の入射角が小さくなる。
【0035】
図3は、反射率の入射角依存性の一例を示す図である。グラフの横軸が入射角を示し、縦軸が反射率を示す。ここで、照明光L1,L2が、透過部材13bを介さないで反射面Aに入射する場合と、照明光L1,L2が、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率n1の透過部材13bを介して反射面Aに入射する場合とで、照明光L1と照明光L2の入射角の差を算出する。照明光L1,L2が、透過部材13bを介さないで反射面Aに入射する場合、図2に示すように、照明光L1は、入射角45°−θ1で反射面Aに入射し、照明光L2は、入射角45°+θ1で反射面Aに入射する。従って、照明光L1,L2の入射角の差D11は2θ1となる。
【0036】
照明光L1,L2が、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率n1の透過部材13bを介して反射面Aに入射する場合、照明光L1の入射角θ2は、arcsin(sin(45°−θ1)/n1)、照明光L2の入射角θ3は、arcsin(sin(45°+θ1)/n1)となる。従って、入射角の差(θ3−θ2)は、arcsin(sin(45°+θ1)/n1)−arcsin(sin(45°−θ1)/n1)で求められる。ただし、照明光L1,L2は、空気中を通過してきたものとし、空気の屈折率n0は1としている。
【0037】
ここで、θ1を10°とし、屈折率n1を空気の屈折率n0である1に比して大きい1.46とした場合、入射角の差D21が11°となる。一方、入射角の差D11(2θ1)は、θ1を10°とすると、20°となる。すなわち、入射角の差D11に比して、入射角の差D21が小さくなる。
【0038】
従って、照明光L1,L2が、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率n1の透過部材13bを介して反射面Aに入射する場合、透過部材13bを介さないで反射面Aに入射する場合に比して、照明光L1,L2それぞれの入射角、および照明光L1と照明光L2との入射角の差が小さくなる。このため、図3に示すように、反射率の入射角依存性によって、照明光L1,L2が、透過部材13bを介さないで反射面Aに入射する場合の反射率の差D12に比して、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率n1の透過部材13bを介して反射面Aに入射する場合の反射率の差D22が小さくなる。
【0039】
図4は、図1に示した反射ミラー15の反射面Bに入射する照明光の入射角を示す図である。反射ミラー15は、反射ミラー13と同様に屈折率n2が空気の屈折率n0に比して大きい透過部材15bを用いている。このため、図に示すように、照明光L1,L2が、透過部材15bを介さないで反射膜15aの反射面Bに入射した場合に比して、照明光L1,L2それぞれの入射角、および照明光L1と照明光L2との入射角の差が小さくなる。従って、照明光L1,L2が、透過部材15bを介さないで反射面Bに入射する場合の反射率の差に比して、透過部材15bを介して反射面Bに入射する場合の反射率の差が小さくなる。
【0040】
以上のように、この実施の形態にかかる照明光学系11、照明部10および顕微鏡装置1では、照明光L1,L2を反射させる反射ミラー13,15の反射面A,Bの前面が、照明光学系11が配置される雰囲気(空気)の屈折率n0に比して大きく、照明光L1,L2を透過させる透過部材13b,15bで覆われるだけで、透過部材13b,15bを介さないで照明光L1,L2を反射面A,Bで反射させる場合に比して、反射面A,Bでの照明光L1,L2の反射率の差を小さくすることができる。このため、簡易な構成で照明ムラや観察像のムラを低減することができる。しかも、反射ミラー13,15の設置数が限定されないので、汎用性が高い。
【0041】
また、この実施の形態では、反射ミラー15は、ハーフミラーであるので、入射された光の反射および透過を可能とするハーフミラーとしての機能を有することができる。
【0042】
また、この実施の形態では、反射ミラー13はダイクロイックミラーであるので、所定の波長の照明光のみを反射するダイクロイックミラーとしての機能を有することができる。
【0043】
なお、この実施の形態では、照明光学系11は、2つの反射ミラー13,15の反射面A,Bの前面が透過部材13b,15bで覆われるものを例示したが、これに限らず、少なくとも一つの反射ミラー13,15の反射面A,Bの前面が透過部材13b,15bで覆われていればよい。すなわち、照明光学系11は、反射ミラー13,15を用いて少なくとも1回の反射を行えばよい。例えば、反射ミラー13は、実施の形態と同様にして配置し、反射ミラー15は、透過部材15bの面からでなく反射膜15aの面から照明光が入射するように配置する。すなわち、反射ミラー15は、従来のハーフミラーと同様にして配置してもよい。
【0044】
また、この実施の形態では、反射ミラー13,15は、ダイクロイックミラーあるいはハーフミラーであるものを例示したが、これに限らず、照明光学系11が配置される雰囲気の屈折率に比して大きい屈折率であり、反射ミラー13,15に入射された照明光を透過させる透過部材13b,15bによって反射ミラーの反射面A,Bの前面を覆うようにすればよい。例えば、透過部材13bが、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率のガラス基板であり、反射膜13aをこのガラス基板面に形成される金属材料の単層膜にしてもよい。これにより、反射ミラー13は、ガラス基板に銀等の金属膜を蒸着させた市販の鏡とほぼ同様の簡易な構成とすることができる。この場合、反射ミラー13は、金属膜の面からでなくガラス基板の面から照明光が入射するように配置する。また、ガラス基板は、光学ガラスを用いるのが好ましい。
【0045】
さらに、この実施の形態では、反射ミラー13,15は、1つの屈折率の透過部材13b,15bを1層のみ有するものを例示したが、これに限らず、異なる屈折率の透過部材を多層にして組み合わせてもよい。図5は、図1に示した反射ミラー13の変形例を示す模式図である。図5に示すように、透過部材13dが、空気の屈折率n0に比して大きい屈折率n1の透過部材13bと、屈折率n1に比して大きい屈折率n3の透過部材13cとの2層からなり、屈折率の大きい透過部材13cが、反射膜13aの反射面A側に配置される。この場合、照明光の透過方向で屈折率が可及的に大きくなるので、入射角を可及的に小さくすることができる。これにより、反射面Aでの反射率の差を小さくすることができる。
【0046】
また、この実施の形態では、対物レンズ16aを介して標本Sを落射照明する顕微鏡装置1を例示したが、これに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。図6は、図1に示した顕微鏡装置の変形例を示す模式図である。図6に示すように、顕微鏡装置100は、ステージ2に対して対物レンズ16aと反対側に集光レンズとしてのコンデンサレンズ20bを設けている。照明装置としての照明部20は、筐体20aを有し、筐体20aに光学系としての照明光学系21を設けている。照明部20は、コンデンサレンズ20bを介して標本Sの下方から標本Sを照明する。すなわち、顕微鏡装置100は、透過型の顕微鏡装置として機能する。
【0047】
なお、この実施の形態では、標本Sに照明光を照射する照明光学系11が、反射ミラー13,15を有するものを例示したが、これに限らず、少なくとも1回の反射を行う光学系であれば他の光学系に反射ミラー13,15を用いてもよい。例えば、観察光学系に反射ミラー13,15を用いてもよい。具体的には、観察光の光路を変更するため、反射ミラー13を観察光軸上に設ける。この場合、反射ミラー13の反射面Aで反射される観察光の反射率の差を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる光学系、照明装置および顕微鏡装置は、反射部材を用いて少なくとも1回の反射を行う光学系、これを用いた照明装置および顕微鏡装置に有効である。
【符号の説明】
【0049】
1,100 顕微鏡装置
2 ステージ
3 本体部
4 鏡筒
4a 結像レンズ
5 撮像部
10,20 照明部
10a,20a 筐体
11,21 照明光学系
12 光源
13,15 反射ミラー
13a,15a 反射膜
13b,15b 透過部材
14 コレクタレンズ
16 レボルバ
16a 対物レンズ
20b コンデンサレンズ
A,B 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射部材を用いて少なくとも1回の反射を行う光学系において、
前記反射部材の反射面前面を、当該光学系が配置される雰囲気の屈折率よりも大きな屈折率を有する透過部材で覆うことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記透過部材を介した前記反射面への入射角範囲における該反射面での反射率変化は、前記透過部材を介さない前記反射面への入射角範囲における該反射面での反射率変化よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記反射面への入射角範囲で、前記反射面での反射量変化に比して前記透過部材での透過量変化が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記透過部材は、ガラス基板であり、
前記反射面は、金属膜表面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光学系。
【請求項5】
前記反射部材は、ハーフミラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光学系。
【請求項6】
前記反射部材は、ダイクロイックミラーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光学系。
【請求項7】
前記透過部材の表面に反射防止膜を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光学系。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の光学系を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の光学系を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−22333(P2011−22333A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166990(P2009−166990)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】