説明

光学系駆動装置

【課題】支持板の振動を抑制し、対物レンズの位置制御を安定化する。
【解決手段】 この光学系駆動装置には、対物レンズが固定されて、当該対物レンズをフォーカシング方向に移動させるためのレンズ固定部と、フォーカシング方向に対して直交するトラッキング方向に沿って移動するキャリッジと、レンズ固定部をキャリッジに支持する支持部とが備えられている。支持部は、レンズ固定部の上部とキャリッジの上部とを連結する上部支持板と、レンズ固定部の下部とキャリッジの下部とを連結する下部支持板とを有している。そして、上部支持板と下部支持板との総数は少なくとも3枚以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系駆動装置に係り、特に、CD、DVD等を読み取るピックアップ装置に搭載される光学系駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップ装置に搭載されている光学系駆動装置は、電磁力によって対物レンズをトラッキング方向に移動させるようになっている(例えば特許文献1参照)。具体的には、光学系駆動装置100には、図3に示すように対物レンズ101と、対物レンズ101を搭載するキャリッジ102とが設けられている。キャリッジ102は、一対のガイド103によってスライド自在に支持されている。ガイド103はトラッキング方向に沿うように配置されている。キャリッジ102がガイド103に沿ってスライドすると、対物レンズ101がトラッキング方向に沿って移動することになる。
【0003】
キャリッジ102の内側には、対物レンズ101が固定されたレンズ固定部104と、レンズ固定部104をキャリッジ102に支持させるための2枚の支持板105とが配置されている。
【0004】
レンズ固定部104の両側面にはそれぞれコイル106が、その巻き方向がトラッキング方向に直交する方向に沿うように取り付けられている。このコイル106のそれぞれに対向するように、キャリッジ102の内面には永久磁石107が設けられている。
【0005】
2枚の支持板105のうち、1枚目の支持板105aは基端部がキャリッジ102の上部に固定されていて、先端部がレンズ固定部104の上部に固定されており、2枚目の支持板105bは基端部がキャリッジ102の下部に固定されていて、先端部がレンズ固定部104の下部に固定されている。
【0006】
そして、コイル106に電流が流れると、永久磁石107とにより電磁力が発生することになり、この電磁力によって、レンズ固定部104が2枚の支持板105を撓ませながら昇降し、対物レンズ101をフォーカシング方向に昇降させることになる。
【0007】
また、キャリッジ102の両側面にはそれぞれコイル108が、巻き方向がトラッキング方向に沿うように取り付けられている。コイル108にはガイド103と平行な内ヨーク109が挿入されている。内ヨーク109の外側には、外ヨーク110が内ヨーク109とともに枠を形成するように配置されている。外ヨーク110の内側には、内ヨーク109に沿って棒状の永久磁石111が配置されている。
【0008】
そして、コイル108に電流が流れると、永久磁石109とにより電磁力が発生することになる。この電磁力によって、キャリッジ102がガイド103に沿って移動し、対物レンズ101をトラッキング方向に移動させることになる。
【特許文献1】特開平8−235617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、支持板105はトラッキング方向に沿って延在しているので、トラッキング方向における対物レンズ101の移動時となると、そのときの加減速によって、支持板105が振動してしまう。この揺れは、対物レンズ101の位置調整に悪影響を及ぼし、当該位置調整が不安定になってしまう。
【0010】
本発明の課題は、支持板の振動を抑制し、対物レンズの位置制御を安定化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明における光学系駆動装置は、
対物レンズが固定されて、当該対物レンズをフォーカシング方向に移動させるためのレンズ固定部と、
前記フォーカシング方向に対して直交するトラッキング方向に沿って移動するキャリッジと、
前記レンズ固定部を前記キャリッジに支持する支持部とを備え、
前記支持部は、前記レンズ固定部の上部と前記キャリッジの上部とを連結する上部支持板と、前記レンズ固定部の下部と前記キャリッジの下部とを連結する下部支持板とを有し、
前記上部支持板と前記下部支持板との総数が少なくとも3枚以上であることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学系駆動装置において、
前記上部支持板の総数と、前記下部支持板との総数とが同数であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
まず、本発明者は上記した振動を抑えるために当該支持板を厚くした。ところが、単に支持板を厚くすると、剛性も高まるためにフォーカシング方向への位置調整時の負荷が増加し、コイルに対する電流を増加させなければならない。そこで、本発明者は例えば、上部支持板と下部支持板との総数を従来と同様に2枚として厚くした場合と、本発明のように上部支持板と下部支持板との総数を3枚以上にしてそれらを合わせた厚みを、総数を2枚とした場合の厚みの合計数と同じにした場合とでは、両者ともに振動を抑制することができ、さらには後者の場合、全体として剛性の高まりが小さくなることを発明者は見出した。つまり、本発明のように上部支持板と下部支持板との総数を少なくとも3枚以上とすると、振動を抑制しつつも、フォーカシング方向への負荷の増加を抑制することが可能となる。これにより、支持板の振動を抑制し、対物レンズの位置制御を安定化することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施形態における光学系駆動装置について図を参照にして説明する。図1は光学系駆動装置1の概略構成を表す斜視図である。図1に示すように光学系駆動装置1には、対物レンズ2と、対物レンズ2を搭載するキャリッジ3とが設けられている。
【0015】
キャリッジ3は、一対のガイド4によってスライド自在に支持されている。ガイド4はトラッキング方向に沿うように配置されており、キャリッジ3がガイド4に沿ってスライドすると、対物レンズ2がトラッキング方向に沿って移動することになる。キャリッジ3は、上面視ロ字形状に形成されていて、その内面には対物レンズ2をトラッキング方向に対して直交するフォーカシング方向に移動させるための一対のフォーカシング用磁石5が互いに対向するように設けられている。また、キャリッジ3の内側には、対物レンズ2が固定されたレンズ固定部6及びレンズ固定部6をキャリッジ3に支持する支持部7が配置されている。
【0016】
図2は、レンズ固定部6及び支持部7を表す斜視図である。レンズ固定部6は、一対のフォーカシング用磁石5に挟まれるように配置されている。図2に示すように、レンズ固定部6の上面には対物レンズ2が固定されているとともに、フォーカシング用磁石5に対向するそれぞれの側面にはフォーカシング用コイル8が固定されている。フォーカシング用コイル8に電流が付与されると、フォーカシング用磁石5とフォーカシング用コイル8とにより電磁力が発生し、当該電磁力によりレンズ固定部6がフォーカシング方向に移動することとなる。この移動によってフォーカシング方向における対物レンズ2の位置調整を実行することができる。
【0017】
支持部7には、レンズ固定部6の上部とキャリッジ3の上部とを連結する2枚の上部支持板9と、レンズ固定部6の下部とキャリッジ3の下部とを連結する2枚の下部支持板10とが設けられている。2枚の上部支持板9及び2枚の下部支持板10のキャリッジ側端部、固定部側端部のそれぞれにはスペーサ11が介在していて、このスペーサ11によって2枚の上部支持板9の間及び2枚の下部支持板10の間に隙間Sが形成されている。また、2枚の上部支持板9及び2枚の下部支持板10のレンズ固定部側端部は、接着剤によってレンズ固定部6に接着されている。
【0018】
また、図1に示すようにキャリッジ3の両側面にはそれぞれトラッキング用コイル12が、巻き方向がトラッキング方向に沿うように取り付けられている。トラッキング用コイル12には、ガイド4と平行な内ヨーク13が挿入されている。内ヨーク13の外側には、外ヨーク14が内ヨーク13とともに枠を形成するように配置されている。外ヨーク14の内側には、内ヨーク13に沿って棒状のトラッキング用磁石15が配置されている。
【0019】
そして、トラッキング用コイル12に電流が流れると、トラッキング用磁石15とにより電磁力が発生することになる。この電磁力によって、キャリッジ3がガイド4に沿って移動し、対物レンズ2をトラッキング方向に移動させることになる。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。
対物レンズ2の位置制御時においては、トラッキング用コイル12に電流が付与されて、トラッキング用コイル12とトラッキング用磁石15との間に電磁力が発生する。この電磁力によりキャリッジ3がトラッキング方向に沿って移動し、対物レンズ2のトラッキング方向における位置が調整される。
【0021】
トラッキング方向の位置調整と同時に、フォーカシング用コイル8に電流が付与されて、フォーカシング用コイル8とフォーカシング用磁石5との間に電磁力が発生する。この電磁力により、レンズ固定部6がフォーカシング方向に沿って移動し、対物レンズ2のフォーカシング方向における位置が調整される。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、上部支持板9と下部支持板10との総数を4枚としているので、2枚分の厚みの上部支持板9と下部支持板10とを1枚ずつ用いた場合と比較しても、剛性の高まりを小さくすることができ、フォーカシング方向への負荷の増加を抑制することができる。そして、上部支持板9と下部支持板10との総数が3枚以上であるので、トラッキング方向への移動の際の振動も抑制されることになる。したがって、支持板9,10の振動を抑制し、対物レンズ2の位置制御を安定化することができる。
【0023】
また、本実施形態では、上部支持板9の総数と下部支持板10の総数とが同数であるので、どちらの剛性も均一化されてバランスがよくなり、フォーカシング方向への位置調整がより安定することになる。
【0024】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、2枚の上部支持板9の隙間Sや、2枚の下部支持板10の隙間Sに制振剤を充填させると、振動をより抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の光学系駆動装置の概略構成を表す斜視図である。
【図2】図1の光学系駆動装置に備わるレンズ固定部及び支持部を表す斜視図である。
【図3】従来の光学系駆動装置の概略構成を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 光学系駆動装置
2 対物レンズ
3 キャリッジ
4 ガイド
5 フォーカシング用磁石
6 レンズ固定部
7 支持部
8 フォーカシング用コイル
9 上部支持板
10 下部支持板
11 スペーサ
12 トラッキング用コイル
13 内ヨーク
14 外ヨーク
15 トラッキング用磁石



【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズが固定されて、当該対物レンズをフォーカシング方向に移動させるためのレンズ固定部と、
前記フォーカシング方向に対して直交するトラッキング方向に沿って移動するキャリッジと、
前記レンズ固定部を前記キャリッジに支持する支持部とを備え、
前記支持部は、前記レンズ固定部の上部と前記キャリッジの上部とを連結する上部支持板と、前記レンズ固定部の下部と前記キャリッジの下部とを連結する下部支持板とを有し、
前記上部支持板と前記下部支持板との総数が少なくとも3枚以上であることを特徴とする光学系駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学系駆動装置において、
前記上部支持板の総数と、前記下部支持板との総数とが同数であることを特徴とする光学系駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−334978(P2007−334978A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164606(P2006−164606)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】