説明

光学素子シートの連続両面形成方法、およびその光学素子シート形成装置

【課題】ベースフィルムの表面への光学素子形成工程とこれに続く裏面への光学素子形成工程によって複数の光学素子を形成するに際して、表面と裏面に形成される光学素子のズレを確実に補正して表裏の偏心が無い光学素子を形成すること。
【解決手段】ベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成工程と、ベースフィルムの他方面に複数の光学素子をロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成工程と、を連続して実施するとともに、第1光学素子形成工程と第2光学素子形成工程との間で、位置合わせ用マークを検出し、検出結果に基づいて第2光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、またはベースフィルムの送り速度を逐次補正することを特徴とする光学素子シートの連続両面形成方法、およびその光学素子シート形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学素子をベースフィルムの表面と裏面に順次連続して形成する光学素子シートの連続両面形成方法、およびその光学素子シート形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明における光学素子とは、レンズ、プリズム、ミラー素子、回折素子、回折ミラー、グリズム、フレネルレンズ、レンチキュラーシート、レンズシート、マイクロレンズアレイなどであり、さらに絞りや実装時のスペーサーや遮光用の黒インクなどを含む。本発明はこれらの光学素子をベースフィルムの両面に複数形成するものであり、形成物を光学素子シートという。ベースフィルムの表面と裏面に形成する光学素子は、同じ種類の光学素子でなくともよく、例えば、一方の面にレンズを形成し、他方の面に絞りを形成するなどとしても良い。
【0003】
レンズなどの光学素子は光学素子シート上にマトリックス状に形成され、完成後切り離されて個別の光学素子として使用される。一方、レンチキュラーシートなどは光学素子シート上では個別に分かれていないが、完成後所定の大きさに切断されて使用されるので、このようなものも複数の光学素子を形成するものとして本発明に含めている。
【0004】
本発明はこのような光学素子をベースフィルムの両面に順次複数形成するのであるが、ここで、光学素子の形成方法としては、「成型」、「成形」、「印刷」を含むものとし、これらを総称して「形成」という。「成型」とは、固体状の被成型物を加熱や加圧によって軟化させ、型の転写面に密着させて転写するプロセスをいい、「成形」とは、液体状の被成形物を型内に流し込み、加熱やUV光照射などで硬化させて転写するプロセスをいう。また、「印刷」とは、ロール状の版型に被印刷材料(インク)を付着させ、この被印刷材料をベースフィルムに転写するプロセスをいう。
【0005】
このような光学素子シート形成方法は、大量の光学素子を連続的に形成できるので、近年、携帯電話やデジタルカメラのストロボ用レンズやLED照明の拡散レンズ、あるいは液晶表示装置のバックライト用レンズシートなど各種光学素子の形成に用いられるようになってきた。
【0006】
光学素子シートの形成方法として、特許文献1は、エネルギー線硬化樹脂をロール金型で型転写することによりレンズシート、特にはプリズムシート、レンチキュラーレンズシート、フレネルレンズシートをベースフィルムの片面に連続的に形成する方法を開示し、特に硬化前と硬化時の温度管理によりレンズシートの反りを解消する形成方法を提案している。
【0007】
特許文献2は、ベースフィルムの一方面に紫外線硬化型樹脂を塗布し、これをレンチキュラーレンズアレイ形成用ロール金型と加圧ロールとの間に導入して加圧し、紫外線照射により硬化させてレンチキュラーレンズアレイを形成し、その後、ベースフィルムの他方面に第2の紫外線硬化型樹脂を塗布し、これを凸状部形成用ロール金型と加圧ロールとの間に導入して加圧し、紫外線照射により硬化させて凸状部を形成し、該凸状部頂面に遮光性インキを塗布することにより透過型リアスクリーンを形成する方法を開示している。
【0008】
また、特許文献2は、レンチキュラーレンズアレイ形成用ロール金型の余白部にアライメントマーク成形型部を設けてレンチキュラーレンズアレイの成形と同時にアライメントマークを形成しておき、一方、凸状部形成用ロール金型にも同様のアライメントマークを形成して、この凸状部形成用ロール金型のマークと樹脂層に形成されたアライメントマークとを整合させてシートの両面に形成される光学素子の位置合わせを行う技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−292060号公報
【特許文献2】特開2007−264184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2の位置合わせ技術は、具体的には説明されていないので、定かではないが、凸状部形成用ロール金型のアライメントマークと樹脂層に形成されたアライメントマークとが一致するように凸状部形成用ロール金型の回転位相を調整するものと思われ、この調整は形成初期段階で行われると考えられる。
【0011】
しかしながら、ベースフィルムの一方面への光学素子形成に続いて他方面への光学素子形成を行うとき、これら両工程の間でベースフィルムに温度変化があると、長さ方向の膨縮を生じ、他方面の光学素子形成時に縦ズレが生じる。ベースフィルムへの光学素子形成は、ベースフィルムを連続搬送して行うので、ベースフィルムの長さ変化は累積し、放置すると非常に大きな値となってしまう。
【0012】
例えば、シート材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、線膨張係数が70ppm/℃程度であるが、一方面と他方面との転写形成の間で温度が1℃変化すると、1mあたり70μmという長さ変化となる。さらにこの状態で100m送った時点では累積して7mmの長さ変化となって、一方面と他方面の光学素子はズレが大きく使用できないものとなる。
【0013】
シート材料が厚さ100μm程度の無アルカリガラスの場合、線膨張係数が3ppm/℃程度と小さいにもかかわらず、同様の条件で100m送ったときの縦ズレ量は300μmとなり、表裏の偏心量として許容できる値ではない。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑み、ベースフィルムの表面への光学素子形成工程とこれに続く裏面への光学素子形成工程によって複数の光学素子を形成するに際して、表面と裏面に形成される光学素子のズレを確実に補正して表裏の偏心が無い光学素子を形成できる光学素子シートの連続両面形成方法、および光学素子シート形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的は、以下の方法によって達成される。
【0016】
1.ベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成工程と、
ベースフィルムの他方面に複数の光学素子をロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成工程と、を連続して実施するとともに、
前記第1光学素子形成工程と前記第2光学素子形成工程との間で、前記位置合わせ用マークを検出し、検出結果に基づいて前記第2光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を逐次補正することを特徴とする光学素子シートの連続両面形成方法。
【0017】
2.前記第1光学素子形成工程または第2光学素子形成工程が、紫外線硬化型樹脂を前記ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする前記1に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【0018】
3.前記第2光学素子形成工程における速度の補正は、該ロール金型のマーク検出ごとに行うことを特徴とする前記1または2に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【0019】
4.ベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成工程と、
ベースフィルムの他方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成工程と、を連続して実施するとともに、
前記第2光学素子形成工程の後に、前記第1光学素子形成工程と前記第2光学素子形成工程で形成された位置合わせ用マークを検出し、そのベースフィルム上の相対位置の検出結果に基づいて前記第2光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を逐次補正することを特徴とする光学素子シートの連続両面形成方法。
【0020】
5.前記第1光学素子形成工程または前記第2光学素子形成工程が、紫外線硬化型樹脂を前記ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする前記4に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【0021】
6.前記第2光学素子形成工程における速度の補正は、該ロール金型のマーク検出ごとに行うことを特徴とする前記4または5に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【0022】
7.ベースフィルム供給部と、
複数の光学素子および位置合わせ用マークの型を有する第1ロール金型を用い、前記ベースフィルム供給部から供給されるベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークを成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成部と、
前記第1光学素子形成部でベースフィルム上に形成された位置合わせ用マークを検出するマーク検出部と、
前記マーク検出部の下流に配置され、複数の光学素子の型を有する第2ロール金型を用い、前記ベースフィルムの他方面に複数の光学素子を成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成部と、
前記第2ロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を前記マーク検出部の検出結果に基づいて補正する補正手段とを有することを特徴とする光学素子シート形成装置。
【0023】
8.前記第1光学素子形成部または前記第2光学素子形成部が、紫外線線硬化型樹脂を前記第1ロール金型または前記第2ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする前記7に記載の光学素子シート形成装置。
【0024】
9.前記補正手段は、速度補正をマーク検出ごとに行うことを特徴とする前記7または8に記載の光学素子シート形成装置。
【0025】
10.前記第1光学素子形成部または第2光学素子形成部で形成された光学素子側に当接して搬送する搬送ローラが、光学素子形成部分に対応する周方向の溝を有する溝付きローラ、あるいは、光学素子形成部分に対応する窪みを有する窪み付きローラであることを特徴とする前記7から9のいずれか1項に記載の光学素子シート形成装置。
【発明の効果】
【0026】
以上の本発明によれば、ベースフィルムの表面への光学素子形成工程とこれに続く裏面への光学素子形成工程によって複数の光学素子を形成するに際して、表面と裏面に形成される光学素子のズレを確実に補正して表裏の偏心が無い光学素子を形成できる光学素子シートの連続両面形成方法、および光学素子シート形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の光学素子シート形成装置を示す模式図。
【図2】表面形成ロール金型3を展開して示した模式図。
【図3】表面側と裏面側の光学素子の位置を一致させる変形例を示す部分模式図。
【図4】本発明の光学素子形成側の搬送ローラを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて本発明を説明する。図1は本発明の光学素子シート形成装置を示す概略図である。
【0029】
図1において、ベースフィルムFはベースフィルム供給ローラ1に巻きつけられており、矢印のように引き出される。ベースフィルムFの搬送路には、順に、搬送ローラ対2、表面成形ロール金型3、表面成形ロール金型3の上流側とベースフィルムFとの間で紫外線硬化樹脂を供給する紫外線硬化樹脂供給部4、搬送ローラ対5、搬送ローラ対6、裏面成形ロール金型7、裏面成形ロール金型7の上流側とベースフィルムFとの間で紫外線硬化樹脂を供給する紫外線硬化樹脂供給部8、搬送ローラ対10、搬送ローラ対11が配置され、最後にスペーサーシート供給ローラ12から供給されるスペーサーシートSを成形された光学素子シートに挟み込んで両者を成形品ローラ13に巻きつけている。
【0030】
表面成形ロール金型3、および裏面成形ロール金型7の周面には、形成すべき光学素子の型がマトリックス状に形成されており、また、それぞれの内部にはヒータが設けられ、紫外線硬化樹脂の温度を一定に管理するように構成される。
【0031】
表面成形ロール金型3とベースフィルムFとの間に供給された紫外線硬化樹脂は、ベースフィルムFの側から紫外線照射ランプUV1、UV2で照射され、硬化を始める。さらに進んで搬送ローラ対5と搬送ローラ対6の間で光学素子形成側に配置された紫外線照射ランプUV3、UV4により硬化を完了させる。
【0032】
同様に、裏面成形ロール金型7とベースフィルムFとの間に供給された紫外線硬化樹脂は、表面形成ロール金型3で形成された光学素子の側から紫外線照射ランプUV5、UV6で照射され、硬化を始める。次いで搬送ローラ対10と搬送ローラ対11の間で裏面側に形成された光学素子形成側に配置された紫外線照射ランプUV7、UV8により硬化を完了させる。
【0033】
図1の例では、拡大図で示すように、表面側に凸レンズLaが、裏面側に凹レンズLbがそれぞれ形成される。
【0034】
このように表面側と裏面側に形成される光学素子は、その光軸が一致するように形成されなければならない。この位置合わせのため、表面形成ロール金型3の周面の側部に位置合わせ用マークが光学素子形成時と同時に形成される。
【0035】
図2は、表面形成ロール金型3を展開して示した模式図であり、図中のマトリックス状に配置される光学素子を形成する部分の金型を示している。そして、表面形成ロール金型3の一方の側部に位置合わせ用マークを形成する金型Mが形成されている。マーク形成金型Mは、図の例では光学素子用の金型の2列ごとに配置されるが、1列ごとでも、複数列ごとでも良い。また、検出の信頼性やベースフィルムの状況を詳細に見るために、検出用マークMはロール幅方向に1か所だけでなく、複数あっても良い。
【0036】
そして、図1の搬送ローラ対6の下流にマーク検出部9が設けられ、ベースフィルムF上に形成された位置合わせ用マークを検出する。マーク検出部9は、光源とセンサーとからなるが、発明が解決しようとする課題で説明したように、位置ズレはミクロンオーダーであるので、マーク検出部9もサブミクロンオーダーの解像度でマークを検出できるものを用いる。
【0037】
図1の実施例では、表面形成ロール金型3と裏面形成ロール金型7は、それぞれ別々の駆動源で駆動するよう構成されており、マーク検出部9で検出したマークの情報に基づき裏面形成ロール金型7の駆動源を制御して、表面側の光学素子と裏面側の光学素子の位置が一致するよう裏面形成ロール金型7の回転速度を制御する。なお、このときのベースフィルムFの搬送速度は一定であり、裏面形成ロール金型7の回転速度が変更されると、裏面形成ロール金型7がベースフィルムFに対してわずかにスリップして正しい光学素子形成位置に合わせられる。このときのスリップ量は非常にわずかであるので、光学素子形成には支障を与えない。また、この制御を行う制御手段は図示していないが、公知の速度制御の構成を用いることができる。
【0038】
表面側の光学素子と裏面側の光学素子の位置を一致させるためには、上述のように裏面形成ロール金型7の回転速度を制御することのほか、ベースフィルムFの下流側の搬送速度を変更することでも可能である。図3は、この構成を示す部分模式図である。
【0039】
図3において、マーク検出部9と裏面形成ロール金型7との間に、位置固定の搬送ローラ21と、位置可変の搬送ローラ22と、位置固定の搬送ローラ23とを配置し、ベースフィルムFをこれらの搬送ローラに掛け渡している。
【0040】
図3の構成で、マーク検出部9で検出された情報に基づき、搬送ローラ22の位置を移動させるよう制御する。搬送ローラ22を位置可変に保持・移動させる構成は、公知の構成を用いることができる。搬送ローラ21の上流側のベースフィルムFの搬送速度がVのとき、搬送ローラ22が正、または負の方向に速度vで移動されると、下流側のベースフィルムFの搬送速度はV±2vとなり、裏面側に形成すべき光学素子の位置が補正される。
【0041】
このように、裏面形成ロール金型7の回転速度、またはベースフィルムFの下流側の搬送速度を補正することにより表面側の光学素子と裏面側の光学素子の形成位置を一致させることができる。金型回転速度補正、ベースフィルム搬送速度補正のいずれを用いてもよく、また両者を併用しても良い。
【0042】
上記の実施例では、マークを表面成形ロール金型3に形成して、裏面成形ロール金型7の速度、または下流の光学素子シートの搬送速度を補正したが、変形として、マークを表面成形ロール金型3と裏面成形ロール金型7との両者に形成し、第2の光学素子形成工程の後に両マークを検出して、そのベースフィルム上の相対位置の検出結果に基づいて第2の光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を逐次補正することもできる。この場合、マーク検出が完了するまでは偏心の補正はできないが、検出が完了した以降は光学素子の表裏の偏心を補正することができる。
【0043】
なお、上記の説明では、ロール金型は精密に作製され、軸の偏心やロール形状の偏りは無いものとしているが、これら偏心、偏りをまったくゼロにすることは難しく、また、形成する光学素子が小さいほど、これらの影響は大きくなる。そのため、事前にロール金型の軸偏心とロール形状を計測し、計測値を記憶しておいて、速度補正を行う際に記憶された偏心計測値およびロール形状計測値を用いて修正を加えるようにすればよい。このとき、裏面形成ロール金型7の回転位置情報が必要となるので、裏面形成ロール金型7にマークを付けてこれを計測するか、あるいは、軸にロータリエンコーダを設けて回転位置情報を得るようにする。
【0044】
図1において、搬送ローラ対5、6、10、11のうち、光学素子形成側のローラは、形成された光学素子と接するので、光学素子を傷つけないゴムローラなどを用いることができるが、より好適には、光学素子には接触せず、光学素子の間の部分に接触するローラが良い。図4はこのようなローラを示すもので、図4(a)は、周方向に溝が形成され光学素子形成部分が溝に入る構造の溝付きローラを、図4(b)は、光学素子形成部分に対応した窪みが周面にマトリックス状に形成された窪み付きローラを示している。図1において、二重丸で示している搬送ローラは、この溝付きローラまたは窪み付きローラを採用する部分である。
【0045】
なお、光学素子形成側と反対側のローラは必ずしも必要ではないが、スリップなどの発生を防止するため、反対側にも搬送ローラを設けて搬送ローラ対として挟んで搬送するのが良い。
【0046】
以上説明した本発明の実施例では、光学素子を形成する材料として紫外線硬化樹脂を用いたが、紫外線硬化樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、不飽和酸ポリエステルなど光学素子の性能に合わせて適宜選択できる。また、紫外線硬化樹脂に替えて、可視光や電子線などのエネルギー線硬化樹脂や、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、シロキサニルメタクリレートなどの熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0047】
紫外線照射ランプとしては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができ、さらに近年開発されたLED方式の紫外線照射ランプを用いることもできる。
【0048】
先に説明したように、本発明においては、光学素子としてレンズ以外にも種々の形態の光学素子を形成することができ、また、その形成方法も「成型」「成形」「印刷」を用いることができる。
【0049】
上述の実施例は「成形」であるが、「成型」の場合は、樹脂を加熱して軟化させ、ロール金型に注入し、加熱及び加圧によって成型する。また、「印刷」の場合は、ロール金型を凹版とし、金型の凹部にインクを入れ、ベースフィルムに押圧して転写する。そして、このような形成方法を表面側と裏面側とで異なる方法を用いることができるのも勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 ベースフィルム供給ローラ
2、5、6、10、11 搬送ローラ対
3 表面成形ロール金型
7 裏面成形ロール金型
4、8 紫外線硬化樹脂供給部
9 マーク検出部
12 スペーサーシート供給ローラ
13 成形品ローラ
F ベースフィルム
S スペーサーシート
M マーク形成金型
UV1〜UV8 紫外線照射ランプ
21、23 位置固定の搬送ローラ
22 位置可変の搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成工程と、
ベースフィルムの他方面に複数の光学素子をロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成工程と、を連続して実施するとともに、
前記第1光学素子形成工程と前記第2光学素子形成工程との間で、前記位置合わせ用マークを検出し、検出結果に基づいて前記第2光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を逐次補正することを特徴とする光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項2】
前記第1光学素子形成工程または第2光学素子形成工程が、紫外線硬化型樹脂を前記ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項3】
前記第2光学素子形成工程における速度の補正は、該ロール金型のマーク検出ごとに行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項4】
ベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成工程と、
ベースフィルムの他方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークをロール金型を用いて成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成工程と、を連続して実施するとともに、
前記第2光学素子形成工程の後に、前記第1光学素子形成工程と前記第2光学素子形成工程で形成された位置合わせ用マークを検出し、そのベースフィルム上の相対位置の検出結果に基づいて前記第2光学素子形成工程におけるロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を逐次補正することを特徴とする光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項5】
前記第1光学素子形成工程または前記第2光学素子形成工程が、紫外線硬化型樹脂を前記ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする請求項4に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項6】
前記第2光学素子形成工程における速度の補正は、該ロール金型のマーク検出ごとに行うことを特徴とする請求項4または5に記載の光学素子シートの連続両面形成方法。
【請求項7】
ベースフィルム供給部と、
複数の光学素子および位置合わせ用マークの型を有する第1ロール金型を用い、前記ベースフィルム供給部から供給されるベースフィルムの一方面に複数の光学素子および位置合わせ用マークを成型、成形もしくは印刷する第1光学素子形成部と、
前記第1光学素子形成部でベースフィルム上に形成された位置合わせ用マークを検出するマーク検出部と、
前記マーク検出部の下流に配置され、複数の光学素子の型を有する第2ロール金型を用い、前記ベースフィルムの他方面に複数の光学素子を成型、成形もしくは印刷する第2光学素子形成部と、
前記第2ロール金型の回転速度、もしくは光学素子シートの搬送速度を前記マーク検出部の検出結果に基づいて補正する補正手段とを有することを特徴とする光学素子シート形成装置。
【請求項8】
前記第1光学素子形成部または前記第2光学素子形成部が、紫外線線硬化型樹脂を前記第1ロール金型または前記第2ロール金型に供給し、該樹脂を紫外線で硬化させることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の光学素子シート形成装置。
【請求項9】
前記補正手段は、速度補正をマーク検出ごとに行うことを特徴とする請求項7または8に記載の光学素子シート形成装置。
【請求項10】
前記第1光学素子形成部または第2光学素子形成部で形成された光学素子側に当接して搬送する搬送ローラが、光学素子形成部分に対応する周方向の溝を有する溝付きローラ、あるいは、光学素子形成部分に対応する窪みを有する窪み付きローラであることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の光学素子シート形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−148180(P2011−148180A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10843(P2010−10843)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】