説明

光学素子及び投写型映像表示装置

【課題】 コストの上昇を抑制しながら、色成分光の合成又は分離を可能とする光学素子及び投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 クロスダイクロイックミラー20は、第1ダイクロイックミラー610と、一対の第2ダイクロイックミラー620とを備える。一対の第2ダイクロイックミラー620は、第1ダイクロイックミラー610に配置される。第1ダイクロイックミラー610の第1ミラー面611のみに対して、第1ミラー面内の分光特性を調整するグラデーション処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色成分光を分離又は合成する光学素子及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤色成分光、緑色成分光及び青色成分光を色合成部によって合成して、液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)などの光変調素子によって各色成分光を変調する投写型映像表示装置が知られている。色合成部は、一の色成分光を反射して他の色成分光を透過するダイクロイックミラーなどによって構成される。
【0003】
一般的に、ダイクロイックミラーは、色成分光の光軸に対して所定の傾斜角度(例えば、45°)を有する。従って、ダイクロイックミラーに色成分光が入射する角度は、ダイクロイックミラーにおける色成分光の入射位置に応じて異なる。
【0004】
一方で、色成分光の入射角度に応じてカットオフ波長がシフトするため、色成分光の適切な合成又は分離を実現することができない。従って、色成分光の入射角度の違いを調整するために、色成分光の入射位置(入射角度)に応じてダイクロックミラーの膜厚の厚みが調整されたダイクロイックミラーが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−186704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、2種類のダイクロイックミラーがクロスするように、2種類のダイクロイックミラーを組み合わせたクロスダイクロイックキューブも知られている。具体的には、クロスダイクロイックキューブでは、第1ダイクロイックミラーに対して、1対の第2ダイクロイックミラーが接着される。詳細には、第1ダイクロイックミラーの第1主面に対して一方の第2ダイクロイックミラーが接着されており、第1ダイクロイックミラーの第2主面に対して他方の第2ダイクロイックミラーが接着される。
【0007】
しかしながら、第1ダイクロイックミラー及び第2ダイクロイックミラーの双方について、ダイクロックミラーの膜厚の厚みを調整すると、クロスダイクロイックキューブのコストが上昇してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、コストの上昇を抑制しながら、色成分光の合成又は分離を可能とする光学素子及び投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る光学素子(クロスダイクロイックミラー20)は、第1ダイクロイックミラー(第1ダイクロイックミラー610)と、一対の第2ダイクロイックミラー(第2ダイクロイックミラー620)とを備える。前記第1ダイクロイックミラーは、第1色成分光を反射して、第2色成分光を透過する第1ミラー面(第1ミラー面611)と、前記第1ミラー面の反対側に設けられた第1主面(第1主面612)とを有する。前記一対の第2ダイクロイックミラーのそれぞれは、第3色成分光を反射して、前記第2色成分光を透過する第2ミラー面(第2ミラー面621)と、前記第2ミラー面の反対側に設けられた第2主面(第2主面622)とを有する。前記一対の第2ダイクロイックミラーのうち、一方の第2ダイクロイックミラーは、前記第1ミラー面に対して前記第2ミラー面が垂直となるように前記第1ミラー面に配置される。前記一対の第2ダイクロイックミラーのうち、他方の第2ダイクロイックミラーは、前記第1主面に対して前記第2ミラー面が垂直となるように前記第1主面に配置される。前記第1ミラー面のみに対して、前記第1ミラー面内の分光特性を調整するグラデーション処理が施されている。
【0010】
第1の特徴において、前記第1色成分光の波長帯と前記第2色成分光の波長帯との間隔は、前記第3色成分光の波長帯と前記第2色成分光の波長帯との間隔よりも狭い。
【0011】
第2の特徴に係る投写型映像表示装置は、第1の特徴に係る光学素子を備える。
【0012】
第2の特徴において、前記第2色成分光を出射する光源は、前記第1色成分光及び前記第3色成分光を出射する光源よりも、前記光学素子に近接して配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コストの上昇を抑制しながら、色成分光の合成又は分離を可能とする光学素子及び投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の詳細を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の詳細を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る冷却ユニット400の詳細を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係るクロスダイクロイックミラー20の詳細を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る光源10の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0016】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[実施形態の概要]
実施形態に係る光学素子は、第1ダイクロイックミラーと、一対の第2ダイクロイックミラーとを備える。第1ダイクロイックミラーは、第1色成分光を反射して、第2色成分光を透過する第1ミラー面と、第1ミラー面の反対側に設けられた第1主面とを有する。一対の第2ダイクロイックミラーのそれぞれは、第3色成分光を反射して、第2色成分光を透過する第2ミラー面と、第2ミラー面の反対側に設けられた第2主面とを有する。一対の第2ダイクロイックミラーのうち、一方の第2ダイクロイックミラーは、第1ミラー面に対して第2ミラー面が垂直となるように第1ミラー面に配置される。一対の第2ダイクロイックミラーのうち、他方の第2ダイクロイックミラーは、第1主面に対して第2ミラー面が垂直となるように第1主面に配置される。第1ミラー面のみに対して、第1ミラー面内の分光特性を調整するグラデーション処理が施されている。
【0018】
実施形態では、第2ミラー面に対してグラデーション処理が施されておらず、第1ミラー面のみに対してグラデーション処理が施されている。従って、コストの上昇を抑制しながら、色成分光の合成又は分離を行うことができる。
【0019】
実施形態では、グラデーション処理が施される第1ミラー面は分離されていないミラー面である。従って、グラデーション処理が容易である。
【0020】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(床面投写)を示す図である。図2は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(壁面投写)を示す図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、投写型映像表示装置100は、筐体200を有しており、投写面(不図示)に映像を投写する。投写面は、図1に示すように、床面に設けられていてもよく、図2に示すように、壁面に設けられてもよい。
【0022】
なお、筐体200には、映像光を透過する透過領域211が設けられている。筐体200には、吸気口212(吸気口212A及び吸気口212B)及び排気口213(排気口213A及び排気口213B)が設けられている。
【0023】
(投写型映像表示装置の詳細)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の詳細について、図面を参照しながら説明する。図3及び図4は、投写型映像表示装置100の詳細を示す図である。図3は、図1及び図2に示すA方向から投写型映像表示装置100を見た斜視図である(正面視)。図4は、図3に示すB方向から投写型映像表示装置100を見た斜視図である(背面視)。なお、図3及び図4では、筐体200を透過して、投写型映像表示装置100の内部構成が示されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、投写型映像表示装置100は、光源10(光源10R、光源10G及び光源10B)と、クロスダイクロイックミラー20と、折り曲げミラー30と、DMD40と、投写ユニット50とを有する。
【0025】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。
【0026】
クロスダイクロイックミラー20は、光源10Gから出射される緑成分光Gを透過し、光源10Bから出射される青成分光Bを反射する。また、クロスダイクロイックミラー20は、緑成分光Gを透過し、光源10Rから出射される赤成分光Rを反射する。なお、クロスダイクロイックミラー20の詳細については後述する(図6を参照)。
【0027】
折り曲げミラー30は、クロスダイクロイックミラー20から出射された色成分光をDMD40側に反射する。
【0028】
DMD40は、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。DMD40は、各微小ミラーの角度を変更することによって、折り曲げミラー30で反射された光を投写ユニット50へ反射するか否かを切り替える。
【0029】
ここで、DMD40の中心は、投写ユニット50の光軸からシフトしていることに留意すべきである。具体的には、DMD40の中心は、投写ユニット50の光軸よりも、図2に示すB方向(すなわち、映像光の投写領域側)にシフトしている。
【0030】
投写ユニット50は、DMD40から出射される映像光を投写面に投写する。例えば、投写ユニット50は、投写レンズ群51と、反射ミラー52とを有する。
【0031】
投写レンズ群51は、DMD40から出射される映像光を反射ミラー52側に出射する。投写レンズ群51は、投写ユニット50の光軸を中心とする略円形形状のレンズ、投写ユニット50の光軸を中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)のレンズなどを含む。
【0032】
なお、投写ユニット50に含まれるレンズの径は、反射ミラー52に近いほど大きいことに留意すべきである。
【0033】
反射ミラー52は、DMD40から出射された映像光を投写面側に反射する。反射ミラー52は、例えば、DMD40側に凹面を有する非球面ミラーである。
【0034】
図3及び図4に戻って、投写型映像表示装置100は、ファン311(ファン311A及びファン311Bと、ダクト312(ダクト312A及びダクト312B)とを有する。
【0035】
ファン311は、ダクト312によって形成される空気流路内において、吸気口212から排気口213への空気流を形成する。具体的には、ファン311Aは、筐体200の外部の空気を吸気口212Aからダクト312Aの内部に導くファンである。ファン311Bは、筐体200の外部の空気を吸気口212Aからダクト312Bの内部に導くファンである。
【0036】
ダクト312は、吸気口212から排気口213への空気流路を形成する。なお、ダクト312は、空気流路の一部のみを形成していてもよい。具体的には、ダクト312Aは、吸気口212Aから排気口213Aへの空気流路を形成する。また、ダクト312Bは、吸気口212Bから排気口213Bへの空気流路を形成する。
【0037】
投写型映像表示装置100は、冷却ユニット400(冷却ユニット400R、冷却ユニット400G、冷却ユニット400B、冷却ユニット400X、冷却ユニット400Y)を有する。
【0038】
冷却ユニット400Rは、光源10Rを冷却する。第1実施形態では、冷却ユニット400Rは、放熱フィン430Rである。
【0039】
冷却ユニット400Gは、光源10Gを冷却する。冷却ユニット400Bは、光源10Bを冷却する。冷却ユニット400G及び冷却ユニット400Bは、受熱部410(受熱部410G、受熱部410B)と、ヒートパイプ420(ヒートパイプ420G、ヒートパイプ420B)と、放熱フィン430(放熱フィン430G、放熱フィン430B)を有する。
【0040】
なお、冷却ユニット400G及び冷却ユニット400Bは、本明細書に係る冷却ユニットの一例である。また、冷却ユニット400G及び冷却ユニット400Bの詳細については後述する(図5を参照)。
【0041】
冷却ユニット400Xは、DMD40を冷却する。第1実施形態では、冷却ユニット400Xは、放熱フィン430Xである。
【0042】
冷却ユニット400Yは、光源10を駆動するドライバ基板500(図4を参照)を冷却する。第1実施形態では、冷却ユニット400Yは、放熱フィン430Yである。
【0043】
(冷却ユニットの詳細)
以下において、第1実施形態に係る冷却ユニットの詳細について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る冷却ユニット400の詳細を示す図である。
【0044】
図5に示すように、冷却ユニット400(冷却ユニット400G及び冷却ユニット400B)は、受熱部410と、ヒートパイプ420と、放熱フィン430とを有する。
【0045】
受熱部410は、熱源から熱を受け取る。ヒートパイプ420は、放熱フィン430に熱を伝達する。放熱フィン430は、冷却用空気の空気流路上に配置される。
【0046】
すなわち、受熱部410Gが光源10Gの熱を受け取り、ヒートパイプ420Gが光源10Gの熱を放熱フィン430Gに伝達する。同様に、受熱部410Bが光源10Bの熱を受け取り、ヒートパイプ420Bが光源10Bの熱を放熱フィン430Bに伝達する。
【0047】
ここで、各冷却ユニット400は、複数の放熱フィン430を有する。複数の放熱フィン430は、ヒートパイプ420に連結されており、ヒートパイプ420の延長方向に沿って所定間隔で配置される。
【0048】
(光学素子の詳細)
以下において、第1実施形態に係る光学素子の詳細について、図面を参照しながら説明する。図6は、クロスダイクロイックミラー20の詳細を示す図である。
【0049】
図6に示すように、クロスダイクロイックミラー20は、第1ダイクロイックミラー610と、一対の第2ダイクロイックミラー620(第2ダイクロイックミラー620A、第2ダイクロイックミラー620B)とを有する。
【0050】
第1ダイクロイックミラー610は、青成分光B(第1色成分光)を反射して、緑成分光G(第2色成分光)を透過する第1ミラー面611と、第1ミラー面611の反対側に設けられた第1主面612とを有する。
【0051】
一対の第2ダイクロイックミラー620のそれぞれは、赤成分光R(第3色成分光)を反射して、緑成分光G(第2色成分光)を透過する第2ミラー面621(第2ミラー面621A、第2ミラー面621B)と、第2ミラー面621の反対側に設けられた第2主面622(第2主面622A、第2主面622B)とを有する。
【0052】
第2ダイクロイックミラー620Aは、第1ミラー面611に対して第2ミラー面621Aが垂直となるように第1ミラー面611に配置される。第2ダイクロイックミラー620Bは、第1主面612に対して第2ミラー面621Bが垂直となるように第1主面612に配置される。
【0053】
なお、第2ダイクロイックミラー620Aは、第1ミラー面611に接着されてもよく、第2ダイクロイックミラー620Bは、第1主面612に接着されてもよい。或いは、第2ダイクロイックミラー620A及び第2ダイクロイックミラー620Bは、クロスダイクロイックミラー20の外側に設けられた固定部材によって、第1ダイクロイックミラー610に押し当てられてもよい。言い換えると、第2ダイクロイックミラー620A及び第2ダイクロイックミラー620Bは、固定部材によって挟み込まれることによって、第1ミラー面611及び第1主面612に配置される。
【0054】
第1実施形態では、第1ダイクロイックミラー610の第1ミラー面611のみに対して、第1ミラー面611内の分光特性を調整するグラデーション処理が施されている。なお、分光特性は、例えば、第1ダイクロイックミラー610の膜厚の厚みを変更することによって調整される。
【0055】
ここで、第1実施形態では、青成分光Bの波長帯と緑成分光Gの波長帯との間隔は、赤成分光Rの波長帯と緑成分光Gの波長帯との間隔よりも狭い。従って、青成分光Bを反射して緑成分光Gを透過する第1ミラー面611のみに対してグラデーション処理が施されている。
【0056】
一方で、赤成分光R及び緑成分光Gの波長間隔において第2ミラー面621のカットオフ波長の広がりが占める割合が青成分光B及び緑成分光Gの波長間隔において第1ミラー面611のカットオフ波長の広がりが占める割合よりも小さいため、赤成分光Rを反射して緑成分光Gを透過する第2ミラー面621に対してグラデーション処理を施さなくても、赤成分光R及び緑成分光Gを適切に合成することができる。
【0057】
このように、第1実施形態では、波長帯の間隔が狭い色成分光を合成する第1ミラー面611のみに対してグラデーション処理が施されている。また、分離されていない第1ミラー面611のみに対してグラデーション処理が施されている。
【0058】
第1実施形態では、図6に示すように、第2ミラー面621A及び第2ミラー面621Bの垂直方向(P方向又はQ方向)において、第2ミラー面621Aの延長面及び第2ミラー面621Bの延長面がずれるように、第2ダイクロイックミラー620A及び第2ダイクロイックミラー620Bが配置される。
【0059】
第2ミラー面621Aの延長面は、第2ミラー面621Bの延長面に対して、P方向にずれていてもよく、Q方向にずれていてもよい。
【0060】
ここで、第2ミラー面621Aの延長面と第2ミラー面621Bの延長面とのずれ量dは、例えば、以下の式によって求められる。
【数1】

【0061】
なお、図6に示すように、“θ”は、第1主面612に対する緑成分光Gの入射角である。“n”は、第1ダイクロイックミラー610の屈折率である。“a”は、第1ダイクロイックミラー610の厚みである。
【0062】
これによって、緑成分光Gの入射方向(R方向)から見た場合に、緑成分光Gの光路上において、面SAと面SBとの重複領域が最大となる。これによって、面SA及び面SBの通過に伴う緑成分光Gの損失を低減することができる。
【0063】
なお、面SAは、第2ダイクロイックミラー620Aと第1ミラー面611との境界面であり、面SBは、第2ダイクロイックミラー620Bと第1主面612との境界面である。
【0064】
(光源の配置)
以下において、第1実施形態に係る光源の配置について、図面を参照しながら説明する。図6は、光源10の配置を示す図である。
【0065】
図6に示すように、光源10Gは、光源10B及び光源10Rよりも、クロスダイクロイックミラー20に近接して配置される。すなわち、クロスダイクロイックミラー20を透過する緑成分光Gを出射する光源10Gは、クロスダイクロイックミラー20に近接して配置される。
【0066】
(作用及び効果)
第1実施形態では、第2ミラー面621に対してグラデーション処理が施されておらず、第1ミラー面611のみに対してグラデーション処理が施されている。従って、コストの上昇を抑制しながら、色成分光の合成又は分離を行うことができる。
【0067】
第1実施形態では、グラデーション処理が施される第1ミラー面611は分離されていないミラー面である。従って、グラデーション処理が容易である。
【0068】
第1実施形態では、波長帯の間隔が狭い色成分光を合成する第1ミラー面611に対して、グラデーション処理が施される。言い換えると、入射光の入射角度の違いに起因するカットオフ波長のシフトについて、要求条件が厳しい第1ミラー面611に対して、グラデーション処理が施される。従って、色成分光の合成を適切に行うことができる。
【0069】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0070】
実施形態では、クロスダイクロイックミラー20が色成分光の合成に用いられる。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。クロスダイクロイックミラー20が色成分光の分離に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…光源、20…クロスダイクロイックミラー、30…折り返しミラー、40…DMD、50…投写ユニット、51…投写レンズ群、52…反射ミラー、100…投写型映像表示装置、200…筐体、211…透過領域、212…吸気口、213…排気口、311…ファン、312…ダクト、400…冷却ユニット、410…受熱部、420…ヒートパイプ、430…放熱フィン、610…第1ダイクロイックミラー、611…第1ミラー面、612…第1主面、620…第2ダイクロイックミラー、621…第2ミラー面、622…第2主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダイクロイックミラーと、一対の第2ダイクロイックミラーとを備えた光学素子であって、
前記第1ダイクロイックミラーは、第1色成分光を反射して、第2色成分光を透過する第1ミラー面と、前記第1ミラー面の反対側に設けられた第1主面とを有しており、
前記一対の第2ダイクロイックミラーのそれぞれは、第3色成分光を反射して、前記第2色成分光を透過する第2ミラー面と、前記第2ミラー面の反対側に設けられた第2主面とを有しており、
前記一対の第2ダイクロイックミラーのうち、一方の第2ダイクロイックミラーは、前記第1ミラー面に対して前記第2ミラー面が垂直となるように前記第1ミラー面に配置されており、
前記一対の第2ダイクロイックミラーのうち、他方の第2ダイクロイックミラーは、前記第1主面に対して前記第2ミラー面が垂直となるように前記第1主面に配置されており、
前記第1ミラー面のみに対して、前記第1ミラー面内の分光特性を調整するグラデーション処理が施されていることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第1色成分光の波長帯と前記第2色成分光の波長帯との間隔は、前記第3色成分光の波長帯と前記第2色成分光の波長帯との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光学素子を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記第2色成分光を出射する光源は、前記第1色成分光及び前記第3色成分光を出射する光源よりも、前記光学素子に近接して配置されることを特徴とする請求項3に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−155155(P2012−155155A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14471(P2011−14471)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】