説明

光学素子,光学モジュール,光学装置,観測装置及びイメージング装置

【課題】 本発明は,光の偏光面などを制御しうる新規な光学素子特定の条件を満たす光を抽出するために用いることができる光学モジュール,光学装置,及びイメージング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 上記課題は,対象物(16)から反射したリボンビームなどの光を集光するレンズ(21)と;第1の偏光子(22)と;光学モジュール(10)と;第2の偏光子(23)と;光検出器(24)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備するイメージング装置(25)などによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光学素子,光学モジュール,光学装置,観測装置及びイメージング装置などに関する。より詳しく説明すると,本発明は,任意の位置にあるある物体の所定の領域から放射される光のみを効果的に抽出し,目的とする観測対象物をより鮮明に観測するためなどに用いられる光学素子,光学モジュール,光学装置,観測装置及びイメージング装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラなどのイメージング装置では,観測物に焦点を合わせることで,ある程度鮮明な像を得ることができる。しかし,通常のカメラでは,観測物に焦点を合わせた場合,観測物以外は単に焦点が合わないものとなるので,ぼやけた画像が得られることとなる。したがって,観測物以外のものに由来する光をカットして,観測物の像をより鮮明に得たいという要求がある。
【0003】
一方,特定の惑星の写真など,わずかな光のみを発する観測物の像をできる限り鮮明に得ることが望まれる。しかし,周囲の強力な光が,弱い光の観測物の像を得るための妨げとなる。よって,所定の条件を満たさない光をカットし,所定の条件を満たす光のみを抽出することができれば,所定の条件を満たす弱い光を発する観測物の像を鮮明に得ることができると考えられる。
【0004】
なお,特開2005-106627の図16には,対象物のあらゆる方向の傾きに関する情報を感度よく検出するために回折格子を2枚重ねたものが開示されている。しかし,特定の条件を満たす光を抽出するための光学素子を2枚重ねるものではなく,特定の条件を満たす光を効率的に抽出することはできない。
【特許文献1】特開2005-106627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は,光の偏光面などを制御しうる新規な光学素子,光学モジュール,光学装置,観測装置及びイメージング装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は,特定の条件を満たす光を抽出するために用いることができる光学モジュール,及び光学装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は,上記の光学モジュールを有するイメージング装置などを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は,物体の像のうち,所定の焦点位置にある部分のみを効果的に得ることができるイメージング装置などを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は,物体の像のうち,所定の焦点位置にある物体の微小なスポット像だけではなく,ライン像を一度に得ることができるイメージング装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光学素子は,基本的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成され,前記接合部分(3)が直線状,円状,楕円状,又は曲線状である光学素子に関する。
【0011】
本発明の光学素子は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)という,工学的に物性が異なる2つの部分を1または複数(好ましくは複数)有し,さらに接合部分(3)が直線のみならず様々な形状を有しているので,様々な透過特性を有する光学素子を提供できる。接合部分の形状の直線状,円状,楕円状,又は曲線状の中では,円状,楕円状,又は曲線状が,個性的な偏光特性をもたらすことができるので,好ましい。
【0012】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とをそれぞれ複数有する光学素子である。具体的には,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものがあげられる。このようなパターンを有するので,後述するように接合部分(3)を増やし,光学モジュールに組み込んだ場合に,バリエーションを持った観測を行うことができることとなる。
【0013】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)が曲線状であり,前記曲線状の接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)及び第2のリターダー部分(2)をそれぞれ複数有する光学素子(4)である。接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)及び接合部分で囲まれた第2のリターダー部分(2)は,同じ形状であることが好ましい。そして,そのような光学素子として,接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)と接合部分で囲まれた第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものがあげられる。曲線状の接合部分で囲まれた形状として,楕円状,円状などがあげられる。
【0014】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれの速軸が直交する位相シフタとして機能する部分であるものである。
【0015】
本発明の光学素子の主な用途は,後述する光学装置などに組み込んで用いるものである。第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とを透過したある波長を有する光(例えば,特定波長を有する光源から出た光であって,対象物から反射した光)に対する第1のリターダー部分(1)及び第2のリターダー部分(2)の位相差を+A[rad]及び-B[rad]とする。すると,光学装置において,必要とされる光成分の強度は,cos(A+B)に比例し,不要な成分の強度はsin(A-B)に比例する。よって,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,cos(A+B)が大きくなり,sin(A-B)が小さくなるものとすることが望ましい。具体的には,A,Bがともにπ/2(すなわち90°)の場合があげられ,この場合第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ1/4波長板,及び-1/4波長板として機能することとなる。このように制御することで,好ましい特性を有する光学装置を得ることができることとなり,本発明の光学素子は,そのような光学装置の部材として有効に活用できることとなる。
【0016】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記いずれかに記載の光学素子(4)である。
【0017】
上述のとおり,速軸が互に直行するリターダー部分を有するので,cos(A+B)を大きくし,sin(A-B)を小さくでき,その結果好ましい特性を有する光学装置を得ることができることとなる。
【0018】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,所定の波長の光が入力した場合に,それぞれ1/4波長板部分及び-1/4波長板部分として機能する上記いずれかに記載の光学素子(4)である。
【0019】
上述したとおり,このような光学素子を具備する光学装置を用いれば,望ましい成分を効果的に透過させ,不要な成分を減衰させることができることとなる。「所定の波長」として,対象物に照射する光源から放出される光の波長があげられる。具体的な波長領域は,特に限定されないが,可視光があげられる。
【0020】
光学素子の好ましい態様は,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)とは,複数の並列した突起列によって形成され,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列は,前記接合部(3)で合わさり,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列の方向が異なる請求項1に記載の光学素子(4)があげられる。
【0021】
並列した突起列によって異方性軸(速軸,遅軸)の方向を制御できる。なお,このような光学素子は,周期構造を有する誘電体であることが好ましい。
【0022】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)の境界遷移幅が,1μm以下である上記いずれかに記載の光学素子(4)である。このような微小な境界遷移幅は,オートクローニング法により光学素子を製造することによって達成できる。「境界遷移幅」とは,遷移領域(第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが移る領域)の幅を意味する。そして,境界遷移幅として,10nm〜1μmがあげられ,好ましくは10nm〜0.5μmがあげられる。オートクローニング法により周期構造を製造した場合,得られる周期構造はきれいなV字状のものとなり,境界遷移部も連続したV字になる。よって,境界遷移幅が実質的に存在しない光学素子を得ることができる。境界遷移は,特に光学装置に光学素子を組み込んだ場合に,光学装置の性能を劣化する大きな原因となる。本発明の光学素子の好ましい態様では,オートクローニング法により周期構造を有する誘電体を製造するので,境界遷移幅を狭め,好ましい特性を有する光学素子を得ることができることとなる。すなわち,本発明の光学素子の好ましい態様は,オートクローニング法により製造された周期構造を有する誘電体である上記いずれかに記載の光学素子(4)である。オートクローニング法によれば,好ましい周期構造を有する誘電体構造を精度よく製造できる。
【0023】
本発明の光学モジュールは,基本的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは,少なくとも一部に同じ形状を有し,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である。本発明の光学モジュールは,上記のような構成を有するので,後述する光学装置として用いた場合に,所定の光成分を抽出できることとなる。本発明の光学モジュール(10)は,後述するように所定の位置に焦点があるような光のみを出力するか,そのような光のみを出力しないといった光抽出を行うためなどに用いることができる。すなわち,本発明の光学モジュール(10)は,たとえば,所定位置にある光を抽出する光フィルタなどとして利用されるものである。
【0024】
各リターダー部分の重なり方として,第1の光学素子(4)の第1のリターダー部分(1)と第2の光学素子(8)の第2のリターダー部分(6)とが重なり,第1の光学素子(4)の第2のリターダー部分(2)と第2の光学素子(8)の第1のリターダー部分(5)とが重なるものがあげられる。
【0025】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。光学素子として,先に説明したものを適宜採用することができる。そのような光学素子を2つ組み合わせて採用することで,先に説明したとおり,好ましい特性を有する光学装置などを得ることができることとなる。具体的には,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とが周期構造を有する誘電体により構成される上記いずれかに記載の光学モジュール(10)があげられる。
【0026】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)との距離を調整するための距離調整手段を具備する上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。光学素子同士の距離を調整する手段を具備するので,光学装置などにおいて焦点距離を調整し,観測する物体の位置などを適宜調整できることとなる。
【0027】
光学素子同士の距離を調整する手段として,公知の手段を適宜採用できるが,たとえば,操作部からの操作信号に応じていずれか又は両方の光学素子の位置を移動させる機構などがあげられる。
【0028】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1の光学素子(4)及び前記第2の光学素子(8)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。回転手段を具備するので,光学装置などに組み込んだ際に,光路などを適宜調整して,観測する対象物の部分などを適宜調整できる他,あえてピントをずらして対象物付近の光を多く取り入れることができる。そのようにすることで,対象物からの光が弱い場合などにおいても,好適に対象物の当たりをつけることができることとなる。
【0029】
光学素子の回転手段として,公知の回転手段を適宜用いることができるが,例えば,いずれか又は両方の光学素子を囲うように取り付けられ,操作部からの指令に従って光学素子とともに回転する回転体があげられる。
【0030】
光学モジュールの好ましい態様は,前記空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間に穴部が位置するように設けられたピンホールを具備する上記に記載の光学モジュールである。
【0031】
この光学モジュールの好ましい態様は,ピンホールは,移動手段により,第1の光学素子(4) 又は第2の光学素子(8)の方向,又はそれと垂直な面内を移動可能であり,光学装置の所定の焦点位置などに穴部が位置するように制御できるものである。そのようなピンホールを具備するので,対象物の所定の位置の部位以外の光をより効果的に遮断でき,対象物の所定の部位の像をより鮮明に得ることができることとなる。上記の事情は,空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間の位置と,光学的に共役な位置に穴部が位置するように設けられたピンホールを具備する,上記いずれかに記載の光学モジュール(10)でも同様である。
【0032】
本発明の光学装置は,基本的には,光が入射する第1の偏光子(11)と;前記第1の偏光子(11)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(12)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,光学装置(13)に関する。
【0033】
本発明の光学装置は,基本的には上記のような光学素子及び光学モジュールを組み込んだ光学装置である。そのため,先に説明したような特性を有することとなる。具体的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する,上記に記載の光学装置(13)があげられる。
【0034】
本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)との距離を調整するための距離調整手段を具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。偏光子同士の距離(従って,いずれか又は両方の偏光子と光学素子との距離)を調整する手段を具備するので,光学装置などにおいて焦点距離を調整し,観測する物体の位置などを適宜調整できることとなる。
【0035】
偏光子同士の距離を調整する手段として,公知の手段を適宜採用できるが,たとえば,操作部からの操作信号に応じていずれか又は両方の偏光子の位置を移動させる機構などがあげられる。
【0036】
本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。回転手段を具備するので,光学装置などに組み込んだ際に,光路などを適宜調整して,観測する対象物の部分などを適宜調整できる他,対象物と焦点距離の異なる物点からの光も多く取り入れることができ,焦点位置の確認を容易に行うことができるようになる。2枚の偏光子の軸を平行にする通常の配置では,焦点以外の光は排除されることとなる。しかし,偏光子を回転することで,それら焦点以外の光をも取り入れることができ,しかも好ましくは偏光子が回転する程度を自在に制御できるので,対象物からの光が弱い場合などにおいても,好適に対象物の当たりをつけることができることとなる。
【0037】
偏光子の回転手段として,公知の回転手段を適宜用いることができるが,例えば,いずれか又は両方の偏光子を囲うように取り付けられ,操作部からの指令に従って偏光子とともに回転する回転体があげられる。
【0038】
本発明の光学装置の好ましい態様は第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備する光学装置であり,より具体的には,前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射し,焦点距離が異なる複数のマイクロレンズによって構成されるマイクロレンズアレイを具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。焦点距離が異なる複数のマイクロレンズを用いるので,様々な焦点位置の情報を一度に集めることができる。それにより,例えば,対象物の奥行位置が異なる部分の像を複数位置入手できることとなるので,少ない走査で対象物の全体像を把握することができる。
【0039】
焦点距離が異なる複数のマイクロレンズとして,厚さが異なるレンズが複数集まってアレイを形成するものがあげられる。そのようなマイクロレンズアレイを具備する光学装置として,2つの光学素子,およびマイクロレンズのある表面が全て平行になるように設置されるものがあげられる。
【0040】
本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備し,前記第1の光学素子(4)又は前記第2の光学素子(8)と,前記マイクロレンズアレイとは傾斜を持って重なる上記いずれかに記載の光学装置(13)である。前記第1の光学素子(4)又は前記第2の光学素子(8)と,前記マイクロレンズアレイとは傾斜を持って重なるので,第2の光学素子(8)から出力された光が前記マイクロレンズアレイに到達する距離が異なることになり,様々な焦点位置の情報を一度に集めることができる。それにより,例えば,対象物の奥行位置が異なる部分の像を複数位置入手できることとなるので,少ない走査で対象物の全体像を把握することができる。傾斜の程度は適宜調整すればよいが,例えば,1度〜30度があげられ,好ましくは2度〜10度である。
【0041】
本発明の光学装置の好ましい利用態様は,上記いずれかに記載の光学装置(13)と,前記光学装置(13)から出力される光を観測する検出器(14)とを具備する観測装置(15)である。上記した光学装置を具備するので,対象物の所定の位置にある光を効果的に抽出でき,それにより,又は得られた像を走査することにより観測する対象物の像を得ることができることとなる。
【0042】
本発明の観測装置の好ましい態様は,前記光学装置(13)の位置を制御し,対象物(16)と前記光学装置(13)との位置関係を制御するための光学装置位置制御手段を具備する観測装置である。このように,光学装置(13)の位置を制御できるので,対象物の所定の位置にある光を効果的に抽出でき,それにより,又は得られた像を走査することにより観測する対象物の像を得ることができることとなる。この態様にかかる観測装置は,光学装置(13)の位置をずらしつつ,対象物の像を観測するものである。そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,光学装置(13)の位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。
【0043】
本発明のイメージング装置は,基本的には,対象物(16)から反射した光を受光するためのレンズ(21)と;前記レンズ(21)から出力される光の偏光面を調整するための第1の偏光子(22)と;前記第1の偏光子(22)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(23)と;前記第2の偏光子(23)から出力される光を検出するための光検出器(24)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し, 前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,イメージング装置(25)などに関する。
【0044】
本発明のイメージング装置は,基本的には,上記した光学モジュールを具備するので,観測する対象物のうち所定の部位からの光のみを抽出することができることとなる。本発明のイメージング装置の好ましい態様として,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記に記載のイメージング装置があげられる。
【0045】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記第2の偏光子(23)から出力される光を受光する第2のレンズ(26)を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。そして,第2のレンズ(26)として,先に説明したマイクロレンズアレイがあげられる。そして,そのようなレンズを採用することによる作用は上記に説明したとおりである。
【0046】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記対象物(16)に光を照射するための光源(17)と,前記光源(17)からの光を前記対象物(16)に導くためのミラー(18)を具備し,前記光源(17)は,リボンビーム光源である上記いずれかに記載のイメージング装置があげられる。リボンビームを用いるので,観測される対象物の複数の位置を同時に観測できることとなる。更には,リボン光源ごとに由来するイメージをあわせて用いることで,一度に観測できる対象物の部位を広げて,全体像を把握するために走査を簡便にすることができる。後述するように,たとえば,接合部分が線状であるイメージング装置を用いた場合,対象物の所定の位置に由来する光を抽出できることとなるが,その抽出できる部分は四角形のようにはならず,四角の四隅部分から伸びる角のような領域の光も抽出することとなる。したがって,そのような角の部分の光を生じないようにすることが望ましいが,リボンビームを用いれば,もともと角の部分の成分がないので,所定の部分に由来する光を効果的に抽出できることとなる。そのような趣旨から,リボンビームの帯の方向は,接合部分(3)の形状に沿うように設定されることが好ましい。例えば,前記接合部分(3)の形状がS字状であれば,リボンビームの帯の方向(形状)がS字状となるようにするものが好ましい。また,接合部分(3)が円状であれば,リボンビームの帯の方向も円状とするものが好ましい。
【0047】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記光源(17)からの光は,複数のパルス信号を有するリボンビームであり,前記複数のパルス信号は,少なくとも2種類以上のパルス周期を有する光信号である,上記いずれかに記載のイメージング装置である。このようなイメージング装置であれば,得られた像を分解することで観測される対象物の複数の位置を同時に観測できたと同様の解析結果を得ることができることとなる。
【0048】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記ミラー(18)と対象物(16)との距離を調節するために前記ミラー(18)の位置を制御するためのミラー位置制御手段を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。ミラー位置制御手段を具備するので,リボンビームの照射位置を掃引でき,そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,ミラーの位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。
【0049】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記対象物(16)の位置を調整するための対象物位置制御手段を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。対象物位置制御手段を具備するので,対象物の位置を掃引でき,そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,対象物の位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。
【0050】
本発明のイメージング装置の好ましい利用態様は,上記いずれかに記載のイメージング装置を具備し,前記対象物(16)の所定の焦点位置にある像を読み出すための観測装置に関する。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば,複数の異なる特性を有するリターダー部分を有するので,光の偏光面などを用途に応じて制御しうる新規な光学素子,光学モジュール,光学装置,観測装置及びイメージング装置を提供できる。
【0052】
本発明によれば,偏光子やリターダー部分を有する光学素子を組合わせて用いたので,特定の条件を満たす光を抽出するために用いることができる光学モジュール,及び光学装置を提供できる。
【0053】
本発明によれば,上記の光学モジュールを有するイメージング装置などを提供できる。
【0054】
本発明によれば,物体の像のうち,所定の焦点位置にある部分のみを効果的に得ることができるイメージング装置などを提供できる。
【0055】
本発明によれば,物体の像のうち,所定の焦点位置にある部分のみを,微小なピンホール状ではなくスリット状に得ることができるイメージング装置などを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
[光学素子]
以下,図面を用いて本発明の光学素子(4)について説明する。図1は,本発明の光学素子を説明するための概念図である。図1(A)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状のものを示し,図1(B)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が曲線状(S字状)のものを示し,図1(C)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が円状のものを示し,図1(D)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものである。図1(A)の第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状のものとしては,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが交互にストライプ状になるようにされるものがあげられる。すなわち,図1に示されるように,本発明の光学素子は,基本的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成され,前記接合部分(3)が直線状,円状,楕円状,又は曲線状である光学素子に関する。図1(D)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものであるが,図1(D)に示される光学素子は,図1(D)に示されるように4つの部分により構成されるもののみならず,縦方向及び横方向に複数の第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とを有するものがあげられる。
【0057】
「光学素子」とは,光学装置に用いられる素子・要素を意味する。“光学素子”は,光の位相や光路などを調整するための素子である。本発明における第1の光学素子(4)と第2の光学素子(8)の素材は,公知の光学結晶やフォトニック結晶における素材を適宜利用できる。本発明における第1の光学素子(4)と第2の光学素子(8)の形状として,たとえば,それぞれが正方形状(又は長方形状)であるものがあげられる。なお,それらの形状は,同じであることが好ましい。第1の光学素子(4)と第2の光学素子(8)の大きさは,要求される性能や,波長板部分の数などに応じて適宜調整すればよい。具体的な光学素子(4,8)の面積として,1mm2〜100cm2があげられ,好ましくは3mm2〜10cm2であり,小型の光学機器に搭載するために0.5cm2〜5cm2が好ましい。たとえば,本発明の光学モジュールを内視鏡などに用いる場合は,光学素子(4,8)の面積として,1mm2〜10cm2があげられ,好ましくは3mm2〜5cm2であり,より好ましくは5mm2〜2cm2である。また,具体的な光学素子(4,8)の厚さとして,1μm〜1mmがあげられ,好ましくは10μm〜0.1mmである。また空隙の長さ(9a)として,たとえば,1×10-2cm〜1cmがあげられ,5×10-2cm〜5×10-1cmであってもよい。「リターダー部分」とは,位相シフタのように機能する部分を意味する。リターダー部分は,結晶軸とそれに直交する速軸及び遅軸を有しているものがあげられ,具体的には特定の波長の光に対して1/4波長板及び-1/4波長板として機能する部分があげられる。「接合部分(3)とは,2つのリターダー部分が接合する部分である。
【0058】
本発明の光学素子は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)という,工学的に物性が異なる2つの部分を1または複数(好ましくは複数)有し,さらに接合部分(3)が直線のみならず様々な形状を有しているので,様々な透過特性を有する光学素子を提供できる。接合部分の形状の直線状,円状,楕円状,又は曲線状の中では,円状,楕円状,又は曲線状が,個性的な偏光特性をもたらすことができるので,好ましい。
【0059】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とをそれぞれ複数有する光学素子である。具体的には,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものがあげられる。このようなパターンを有するので,後述するように接合部分(3)を増やし,光学モジュールに組み込んだ場合に,バリエーションを持った観測を行うことができることとなる。
【0060】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)が曲線状であり,前記曲線状の接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)及び第2のリターダー部分(2)をそれぞれ複数有する光学素子(4)である。接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)及び接合部分で囲まれた第2のリターダー部分(2)は,同じ形状であることが好ましい。そして,そのような光学素子として,接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)と接合部分で囲まれた第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものがあげられる。曲線状の接合部分で囲まれた形状として,楕円状,円状などがあげられる。
【0061】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれの速軸が直交する位相シフタとして機能する部分であるものである。
【0062】
本発明の光学素子の主な用途は,後述する光学装置などに組み込んで用いるものである。第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とを透過したある波長を有する光(例えば,特定波長を有する光源から出た光であって,対象物から反射した光)に対する第1のリターダー部分(1)及び第2のリターダー部分(2)の位相差を+A[rad]及び-B[rad]とする。すると,光学装置において,必要とされる光成分の強度は,cos(A+B)に比例し,不要な成分の強度はsin(A-B)に比例する。よって,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,cos(A+B)が大きくなり,sin(A-B)が小さくなるものとすることが望ましい。具体的には,A,Bがともにπ/2(すなわち90°)の場合があげられ,この場合第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ1/4波長板,及び-1/4波長板として機能することとなる。このように制御することで,好ましい特性を有する光学装置を得ることができることとなり,本発明の光学素子は,そのような光学装置の部材として有効に活用できることとなる。
【0063】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記いずれかに記載の光学素子(4)である。
【0064】
上述のとおり,速軸が互に直行するリターダー部分を有するので,cos(A+B)を大きくし,sin(A-B)を小さくでき,その結果好ましい特性を有する光学装置を得ることができることとなる。
【0065】
光学素子の好ましい態様は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,所定の波長の光が入力した場合に,それぞれ1/4波長板部分及び-1/4波長板部分として機能する上記いずれかに記載の光学素子(4)である。“1/4波長板部分”及び“-1/4波長板部分”とは,それぞれ1/4波長板及び-1/4波長板として機能する部分を意味する。1/4波長板及び-1/4波長板の機能は,それぞれ公知である。すなわち,1/4波長板とは,所定波長を有する入射光線に1/4波長の位相差(波長板の射出面において速いほうの成分に比べて遅いほうの成分が遅延する)を生じさせる機能を持った波長板である。一方,-1/4波長板とは,入射光線に-1/4波長の位相差を生じさせる機能を持った波長板である。“1/4波長板部分”及び“-1/4波長板部分”は,1つずつ設けられてもよいし,たて及び横に交互に複数個(たとえば2個〜1×103個)設けられても良い。また,“1/4波長板部分”及び“-1/4波長板部分”は,それぞれストライプ状(四角形状,好ましくは長方形状)のものが,交互に並んで設けられても良い。
【0066】
上述したとおり,このような光学素子を具備する光学装置を用いれば,望ましい成分を効果的に透過させ,不要な成分を減衰させることができることとなる。「所定の波長」として,対象物に照射する光源から放出される光の波長があげられる。具体的な波長領域は,特に限定されないが,可視光があげられる。
【0067】
光学素子の好ましい態様は,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)とは,複数の並列した突起列によって形成され,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列は,前記接合部(3)で合わさり,前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列の方向が異なる請求項1に記載の光学素子(4)があげられる。
【0068】
並列した突起列によって異方性軸(速軸,遅軸)の方向を制御できる。なお,このような光学素子は,周期構造を有する誘電体であることが好ましい。
【0069】
光学素子の好ましい態様は,前記接合部分(3)の境界遷移幅が,1μm以下である上記いずれかに記載の光学素子(4)である。このような微小な境界遷移幅は,オートクローニング法により光学素子を製造することにより達成できる。「境界遷移幅」とは,遷移領域(第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが移る領域)の幅を意味する。そして,境界遷移幅として,0.1μm〜1μmがあげられる。境界遷移は,特に光学装置に光学素子を組み込んだ場合に,光学装置の性能を劣化する大きな原因となる。本発明の光学素子の好ましい態様では,オートクローニング法により周期構造を有する誘電体を製造するので,境界遷移幅を狭め,好ましい特性を有する光学素子を得ることができることとなる。すなわち,本発明の光学素子の好ましい態様は,オートクローニング法により製造された周期構造を有する誘電体である上記いずれかに記載の光学素子(4)である。オートクローニング法によれば,好ましい周期構造を有する誘電体構造を精度よく製造できる。
【0070】
[光学モジュール]
図2は,本発明の光学モジュールを説明するための図である。図2は,本発明の光学モジュールの概略図である。図2(A)は本発明の光学モジュールの概略図を示し,図2(B)は本発明の光学モジュールの上面図を示す。光学モジュールの好ましい態様は,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)との空隙の長さ(9a)が,1×10-2cm〜1cmのものである。
【0071】
図2では,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とがストライプ状に交互に存在するものを示した。しかしながら,本発明の光学モジュールの好ましい態様は,接合部分(3)が曲線状(例えば,S字状,又は円状)などであって,様々な光学特性を有するものである。図2に示されるように,本発明の光学モジュールは,基本的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは,少なくとも一部に同じ形状を有し,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である。本発明の光学モジュールは,上記のような構成を有するので,後述する光学装置として用いた場合に,所定の光成分を抽出できることとなる。本発明の光学モジュール(10)は,後述するように所定の位置に焦点があるような光のみを出力するか,そのような光のみを出力しないといった光抽出を行うためなどに用いることができる。すなわち,本発明の光学モジュール(10)は,たとえば,所定位置にある光を抽出する光フィルタなどとして利用されるものである。
【0072】
「リターダー部分」,又は「接合部分」として,上記したいずれのものをも適宜組み合わせて用いることができる。「少なくとも一部に同じ形状を有する」とは,接合部分の少なくとも一部が実質的に同様な形状を有するものであることを意味するが,好ましくは同じ形状を有するものである。第1の光学素子(4)の第1のリターダー部分(1)と第2の光学素子(8)の第1のリターダー部分(5)とは,同じ光学特性を有するものであることが好ましい。また,第1の光学素子(4)の第2のリターダー部分(2)と第2の光学素子(8)の第2のリターダー部分(6)とは,同じ光学特性を有するものであることが好ましい。
【0073】
各リターダー部分の重なり方として,第1の光学素子(4)の第1のリターダー部分(1)と第2の光学素子(8)の第2のリターダー部分(6)とが重なり,第1の光学素子(4)の第2のリターダー部分(2)と第2の光学素子(8)の第1のリターダー部分(5)とが重なるものがあげられる。また,第1の光学素子(4)の第1のリターダー部分(1)と第2の光学素子(8)の第1のリターダー部分(5)とが重なり,第1の光学素子(4)の第2のリターダー部分(2)と第2の光学素子(8)の第2のリターダー部分(6)とが重なるものであってもよい。
【0074】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。光学素子として,先に説明したものを適宜採用することができる。そのような光学素子を2つ組み合わせて採用することで,先に説明したとおり,好ましい特性を有する光学装置などを得ることができることとなる。具体的には,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とが周期構造を有する誘電体により構成される上記いずれかに記載の光学モジュール(10)があげられる。
【0075】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)との距離を調整するための距離調整手段を具備する上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。光学素子同士の距離を調整する手段を具備するので,光学装置などにおいて焦点距離を調整し,観測する物体の位置などを適宜調整できることとなる。
【0076】
光学素子同士の距離を調整する手段として,公知の手段を適宜採用できるが,たとえば,操作部からの操作信号に応じていずれか又は両方の光学素子の位置を移動させる機構などがあげられる。
【0077】
光学モジュールの好ましい態様は,前記第1の光学素子(4)及び前記第2の光学素子(8)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,上記いずれかに記載の光学モジュール(10)である。回転手段を具備するので,光学装置などに組み込んだ際に,光路などを適宜調整して,観測する対象物の部分などを適宜調整できる他,あえてピントをずらして対象物付近の光を多く取り入れることができる。そのようにすることで,対象物からの光が弱い場合などにおいても,好適に対象物の当たりをつけることができることとなる。
【0078】
光学素子の回転手段として,公知の回転手段を適宜用いることができるが,例えば,いずれか又は両方の光学素子を囲うように取り付けられ,操作部からの指令に従って光学素子とともに回転する回転体があげられる。
【0079】
光学モジュールの好ましい態様は,前記空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間に穴部が位置するように設けられたピンホールを具備する上記に記載の光学モジュールである。
【0080】
この光学モジュールの好ましい態様は,ピンホールは,移動手段により,第1の光学素子(4) 又は第2の光学素子(8)の方向,又はそれと垂直な面内を移動可能であり,光学装置の所定の焦点位置などに穴部が位置するように制御できるものである。そのようなピンホールを具備するので,対象物の所定の位置の部位以外の光をより効果的に遮断でき,対象物の所定の部位の像をより鮮明に得ることができることとなる。上記の事情は,空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間の位置と,光学的に共役な位置に穴部が位置するように設けられたピンホールを具備する,上記いずれかに記載の光学モジュール(10)でも同様である。
【0081】
「光学的に共役な位置」とは,2つの光学素子の外部にレンズをおいた場合に,前記間隙(9)内で焦点を結ぶ光が,前記レンズを透過して,別の焦点を結ぶ場合に,その別の焦点の位置などを意味する。図3は,光学的に共役な位置を説明するための図である。図3(A)は二つの光学素子の間の焦点,又はその焦点の近傍に穴が位置するように設置されたピンホールを有する光学モジュールを示す概念図である。図3(B)は,焦点と光学的に共役な位置,又は光学的に共役な位置の近傍に穴が位置するように設置されたピンホールを有する光学モジュールを示す概念図である。図3(A)中,矢印は,焦点位置に置かれたピンホールを示す。図3(B)中点線は,光学的に共役な位置を示し,矢印は,光学的に共役な位置付近に置かれたピンホールを示す。
【0082】
[光学装置]
図4に本発明の光学装置の例を示す。図4に示されるように,本発明の光学装置は,基本的には,光が入射する第1の偏光子(11)と;前記第1の偏光子(11)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(12)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,光学装置(13)に関する。なお,図4中Eは,偏光子の偏光面の例を示す。
【0083】
なお,図4では簡単のため,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが2つにのみ分割されるものを示している。しかしながら,本発明の光学装置は,そのような態様に限定されることはない。むしろ,本発明の光学装置は,第1の光学素子の接合部分(3)及び第2の光学素子の接合部分(7)が,曲面状であるとか,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものを好ましく用いることができる。
【0084】
本発明の光学装置は,基本的には上記のような光学素子及び光学モジュールを組み込んだ光学装置である。そのため,先に説明したような特性を有することとなる。具体的には,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する,上記に記載の光学装置(13)があげられる。
【0085】
本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)との距離を調整するための距離調整手段を具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。偏光子同士の距離(従って,いずれか又は両方の偏光子と光学素子との距離)を調整する手段を具備するので,光学装置などにおいて焦点距離を調整し,観測する物体の位置などを適宜調整できることとなる。
【0086】
偏光子同士の距離を調整する手段として,公知の手段を適宜採用できるが,たとえば,操作部からの操作信号に応じていずれか又は両方の偏光子の位置を移動させる機構などがあげられる。
【0087】
本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。回転手段を具備するので,光学装置などに組み込んだ際に,光路などを適宜調整して,観測する対象物の部分などを適宜調整できる他,対象物と焦点距離の異なる物点からの光も多く取り入れることができ,焦点位置の確認を容易に行うことができるようになる。2枚の偏光子の軸を平行にする通常の配置では,焦点以外の光は排除されることとなる。しかし,偏光子を回転することで,それら焦点以外の光をも取り入れることができ,しかも好ましくは偏光子が回転する程度を自在に制御できるので,対象物からの光が弱い場合などにおいても,好適に対象物の当たりをつけることができることとなる。なお,光学素子に対する偏光子の角度を調整するための偏光子の角度を調整する手段を具備するものは本発明の好ましい実施態様である。このように偏光子の角度をあえてずらすことで,焦点以外の光をも取り入れることができ,対象物からの光が弱い場合などにおいても,好適に対象物の当たりをつけることができることとなる。
【0088】
偏光子の回転手段として,公知の回転手段を適宜用いることができるが,例えば,いずれか又は両方の偏光子を囲うように取り付けられ,操作部からの指令に従って偏光子とともに回転する回転体があげられる。偏光子の角度を調整する手段として,公知の手段を適宜用いることができる。具体的な偏光子の角度を調整する手段として,2つの偏光子のいずれか又は両方に取り付けられた可動部を有し,操作部からの指令に従って偏光子に取り付けられた可動部の位置を変化させることで光学素子に対する偏光子の角度を制御するものがあげられる。
【0089】
図5は,焦点距離が異なる複数のマイクロレンズによって構成されるマイクロレンズアレイを具備する光学装置を示す図である。図5に示されるとおり,本発明の光学装置の好ましい態様は第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備する光学装置であり,より具体的には,前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射し,焦点距離が異なる複数のマイクロレンズによって構成されるマイクロレンズアレイを具備する,上記いずれかに記載の光学装置(13)である。焦点距離が異なる複数のマイクロレンズを用いるので,様々な焦点位置の情報を一度に集めることができる。それにより,例えば,対象物の奥行位置が異なる部分の像を複数位置入手できることとなるので,少ない走査で対象物の全体像を把握することができる。
【0090】
焦点距離が異なる複数のマイクロレンズとして,厚さが異なるレンズが複数集まってアレイを形成するものがあげられる。そのようなマイクロレンズアレイを具備する光学装置として,2つの光学素子,およびマイクロレンズのある表面が全て平行になるように設置されるものがあげられる。
【0091】
図6は,第1の光学素子又は第2の光学素子と,マイクロレンズアレイとが傾斜を持って重なる光学装置を示す図である。図6に示されるように,本発明の光学装置の好ましい態様は,前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備し,前記第1の光学素子(4)又は前記第2の光学素子(8)と,前記マイクロレンズアレイとは傾斜を持って重なる上記いずれかに記載の光学装置(13)である。前記第1の光学素子(4)又は前記第2の光学素子(8)と,前記マイクロレンズアレイとは傾斜を持って重なるので,第2の光学素子(8)から出力された光が前記マイクロレンズアレイに到達する距離が異なることになり,様々な焦点位置の情報を一度に集めることができる。それにより,例えば,対象物の奥行位置が異なる部分の像を複数位置入手できることとなるので,少ない走査で対象物の全体像を把握することができる。傾斜の程度は適宜調整すればよいが,例えば,1度〜60度があげられ,1度〜30度でもよく,好ましくは2度〜10度である。また,光学装置は,傾斜調整手段を具備し,操作部からの指令によって傾斜の程度を適宜調整できるものが好ましい。このような傾斜調整手段として,光学装置に用いられる公知の傾斜調整手段を適宜用いることができる。
【0092】
[観測装置]
図7は,本発明の観測装置の基本構成を示す概念図である。図7に示されるように,本発明の光学装置の好ましい利用態様は,上記いずれかに記載の光学装置(13)と,前記光学装置(13)から出力される光を観測する検出器(14)とを具備する観測装置(15)である。上記した光学装置を具備するので,対象物の所定の位置にある光を効果的に抽出でき,それにより,又は得られた像を走査することにより観測する対象物の像を得ることができることとなる。本明細書において,光検出器(14)は,光を検出できるものであれば特に限定されず,カメラや望遠鏡に用いられる公知の光検出器を適宜用いることができる。たとえば,イメージング装置がカメラやビデオである場合は,光検出器として,フォトダイオード,CCD,カメラの光検出部などがあげられる。一方,イメージング装置が,望遠鏡や天体望遠鏡などの場合は,肉眼により観測するための観測部があげられる。
【0093】
光検出器(24)は,好ましくは,複数の検出器により構成される。このような光検出器として,フォトダイオード又はCCDなどのイメージングセンサーがあげられる。フォトダイオード又はCCDの数は,たとえば,第1の光学素子(4)の第1のリターダー部分と第2のリターダー部分の数の合計をS(Sは2より大きい)としたとき,S-1以上S+1以下であることが好ましい。特に,Sが5以上の場合,S-2以上S以下が好ましく,特に好ましいのはS-1である。また,接合部分に対応した部分に相当するだけ光を観測できる検出器(たとえば,フォトダイオード又はCCDなど)があるものは,複数のリターダー部分における所定の条件を満たす光を検出できるため好ましい。
【0094】
光検出器(14)は,特に,第1の光学素子(4)が周期構造を有するものである場合,その周期と,CCDなどのx軸方向の周期とが一致しているものが好ましい。なお,CCDなどのy軸方向の周期は,x軸方向の周期と同じであっても,短くてもよいし,長くてもよい。
【0095】
なお,複数の検出器は,たとえば,第1の光学素子および第2の光学素子の様々な部分を透過した光であって,所定の条件を満たし第2の偏光子から出力されたものを検出できるように,たとえば一列に設けられてもよい。
【0096】
本発明の観測装置の好ましい態様は,前記光学装置(13)の位置を制御し,対象物(16)と前記光学装置(13)との位置関係を制御するための光学装置位置制御手段を具備する観測装置である。このように,光学装置(13)の位置を制御できるので,対象物の所定の位置にある光を効果的に抽出でき,それにより,又は得られた像を走査することにより観測する対象物の像を得ることができることとなる。この態様にかかる観測装置は,光学装置(13)の位置をずらしつつ,対象物の像を観測するものである。そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,光学装置(13)の位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。
【0097】
[イメージング装置]
図8は,本発明のイメージング装置の基本構成を示す概念図である。図8に示されるように,本発明のイメージング装置は,基本的には,対象物(16)から反射した光を受光するためのレンズ(21)と;前記レンズ(21)から出力される光の偏光面を調整するための第1の偏光子(22)と;前記第1の偏光子(22)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(23)と;前記第2の偏光子(23)から出力される光を検出するための光検出器(24)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し, 前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,イメージング装置(25)などに関する。このイメージング装置は上記した要素を適宜採用できる。
【0098】
本発明のイメージング装置は,基本的には,上記した光学モジュールを具備するので,観測する対象物のうち所定の部位からの光のみを抽出することができることとなる。本発明のイメージング装置の好ましい態様として,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する上記に記載のイメージング装置があげられる。
【0099】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,図8に示されるように,前記第2の偏光子(23)から出力される光を受光する第2のレンズ(26)を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。そして,第2のレンズ(26)として,先に説明したマイクロレンズアレイがあげられる。そして,そのようなレンズを採用することによる作用は上記に説明したとおりである。
【0100】
図9は,光源からの光を対象物に導くためのミラーを具備する本発明のイメージング装置の基本構成を示す概略図である。図9に示されるように,本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記対象物(16)に光を照射するための光源(17)と,前記光源(17)からの光を前記対象物(16)に導くためのミラー(18)を具備し,前記光源(17)は,リボンビーム光源である上記いずれかに記載のイメージング装置があげられる。リボンビームを用いるので,観測される対象物の複数の位置を同時に観測できることとなる。更には,リボン光源ごとに由来するイメージをあわせて用いることで,一度に観測できる対象物の部位を広げて,全体像を把握するために走査を簡便にすることができる。後述するように,たとえば,接合部分が線状であるイメージング装置を用いた場合,対象物の所定の位置に由来する光を抽出できることとなるが,その抽出できる部分は四角形のようにはならず,四角の四隅部分から伸びる角のような領域の光も抽出することとなる。したがって,そのような角の部分の光を生じないようにすることが望ましいが,リボンビームを用いれば,もともと角の部分の成分がないので,所定の部分に由来する光を効果的に抽出できることとなる。そのような趣旨から,リボンビームの帯の方向は,接合部分(3)の形状に沿うように設定されることが好ましい。例えば,前記接合部分(3)の形状がS字状であれば,リボンビームの帯の方向(形状)がS字状となるようにするものが好ましい。また,接合部分(3)が円状であれば,リボンビームの帯の方向も円状とするものが好ましい。ミラーとして,公知のミラーを適宜用いることができるが,具体的にはハーフミラーやダイクロックミラーがあげられる。
【0101】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記光源(17)からの光は,複数のパルス信号を有するリボンビームであり,前記複数のパルス信号は,少なくとも2種類以上のパルス周期を有する光信号である,上記いずれかに記載のイメージング装置である。このようなイメージング装置であれば,得られた像を分解することで観測される対象物の複数の位置を同時に観測できたと同様の解析結果を得ることができることとなる。
【0102】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記ミラー(18)と対象物(16)との距離を調節するために前記ミラー(18)の位置を制御するためのミラー位置制御手段を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。ミラー位置制御手段を具備するので,リボンビームの照射位置を掃引でき,そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,ミラーの位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。ミラー位置制御手段は,ミラーの位置を制御できるものであれば特に限定されず公知の位置制御機構を適宜用いることができる。具体的には,操作部からの指令に従って,ミラーの位置を適宜移動できるものがあげられる。
【0103】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記対象物(16)の位置を調整するための対象物位置制御手段を具備する,上記いずれかに記載のイメージング装置である。対象物位置制御手段を具備するので,対象物の位置を掃引でき,そのようにすれば,対象物の奥行情報を時系列的に入手することができることとなる。すなわち,対象物の位置を掃引して,得られた断片画像を集め,全体像を把握することで,観測する対象物の全体像を得ることができることとなる。対象物位置制御手段は,対象物の位置を制御できるものであれば特に限定されず公知の位置制御機構を適宜用いることができる。具体的には,操作部からの指令に従って,対象物の位置を適宜移動できるものがあげられる。たとえば,バイオ試料を観測する場合などでは,プレパラートやステージなどの位置を適宜移動することで対象物の位置を制御できる。
【0104】
本発明のイメージング装置の好ましい態様は,前記光学素子(4,8)及び偏光子(22,23)を一体として,レンズ系に対する角度を調整する角度調整手段,又はそれらをレンズ系の光軸に沿って又は光軸からずらして回転させる回転手段を具備するものである。そのような手段を具備すれば,特定部分の光を抽出する前に,周囲の光をも集光できるのであたりをつけることができることとなる。
【0105】
本発明のイメージング装置の好ましい利用態様は,上記いずれかに記載のイメージング装置を具備し,前記対象物(16)の所定の焦点位置にある像を読み出すための観測装置に関する。具体的には,対象物のある部分に由来する光を効果的に抽出し,その抽出する部位を掃引し,掃引してえられる複数の像に基づいて対象物の3次元的構成を把握することにより対象物を観測できるものがあげられる。
【0106】
本発明のイメージング装置において,特にミラーを用いない場合の光源の位置は,光源が前記接合部分と同じ軸上にあるものがあげられる。光源が同じ軸上に設けられていれば,分解能が低下しないので好ましい。また,対象物を光が透過するように,対象物から見てイメージング装置と反対の方向に光源を置くものであってもよい。
【0107】
以下,本発明のイメージング装置を用いた観測方法の例を説明する。まず,操作部から偏光子の角度を制御するように指示し,前記2枚の偏光子(22,23)を平行位置から傾ける。この際の傾斜角は任意であるが,たとえば45度としてもよい。これによって、焦点切り出し効果が弱まることとなる。また,さらに,操作部から制御指令を出して,2つの光学素子の間隙(9)をできるだけ広げる。そのようにすることで,より広い範囲の光を取得できることとなる。この状態では,通常の顕微鏡に近い像が得られるはずである(得られる像は点又は線情報だけであり,走査することで全体像を得ることができる)。このようにして,観測する対象物を含む系の周囲像を把握した上で,各素子などの位置を調整し,2枚の偏光子(22,23)を平行にする。この瞬間,第1の光学素子の接合部分と第2の光学素子の接合部分の間以外の部分に焦点がくる光が除かれる。その後,2つの光学素子の間隔を狭くする。すると,次第に観測できる範囲が特定の範囲に狭まり,その部分についてはより鮮明な像を得ることができることとなる。そのようにして鮮明な部分像を得た後,たとえば,奥行き方向に走査することで,対象物の輪切り状のイメージを得ることができる。そのような輪切り状のイメージを得た後に,それらを元に対象物の全体像を把握し,対象物の全体像をえることができる。部分イメージ像から全体のイメージ像を得るイメージング自体は,共焦点顕微鏡などによって公知であり,本発明のイメージング装置でも同様の方法を用いることができる。ただし,本発明のイメージング装置では,共焦点顕微鏡のように,点の集合で全体像をイメージングするのではなく,好ましくは線状,S字状,円状,格子状の像を得て走査するので,容易かつ迅速に全体像をイメージングできることとなる。
【0108】
[製造方法]
次に,本発明の光学モジュールなどの製造方法について説明する。先に説明したとおり,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ1又は複数の特定の性能を有するリターダーを適宜並べたものであっても良い。そのような場合,たとえば,同一形状のリターダーをそれぞれ1又は複数個用意し,それらを交互に並べればよい。
【0109】
また,本発明の光学素子は,複数のリターダーを融合させたものであっても良い。この場合,たとえば,性質の異なる同一形状のリターダーをそれぞれ1又は複数個用意し,それらを適宜並べて熱を加えて融合させればよい。光学モジュールの性能が劣化する可能性はあるが,複数の波長板を接着剤で融合してもよい。
【0110】
また,本発明の光学素子は,フォトニック結晶など,1/第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とを有する結晶であってもよい。このようなフォトニック結晶は,公知のフォトニック結晶の製造方法に従って製造できる。フォトニック結晶の製造方法の例として,国際公開公報WO2004-008196号,又は特開2005-11/4704号公報に開示された方法があげられる。一方,より具体的な,フォトニック結晶の製造方法として,特開平10-335758号公報に開示される2次元的に周期的な凹凸をもつ基板の上に2種類以上の物質を周期的に順次積層し,その積層の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを単独で,または成膜と同時に用いることにより光学素子を製造する方法があげられる。
【0111】
具体的には,図10に示すような基板を用いたオートクローニング法により所望の周期構造を有する誘電体である光学素子を製造できる。図10は,光学素子を製造するために用いられる基板の例を示す概念図である。図10(A)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状のものを示し,図10(B)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が曲線状(S字状)のものを示し,図10(C)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が円状のものを示し,図10(D)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものである。このような基板を用いると,図1に示されるような光学素子を製造できる。
【0112】
そのほか,偏光子,ミラー,光源など本発明の各要素は,公知の方法に従って製造できるほか,市販されるものを適宜用いてもよい。
【0113】
[光学モジュールの動作及び利用例]
次に,本発明の光学モジュールの動作及び利用例を説明する。以下では,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが,それぞれ特定波長に対する1/4波長板部分と-1/4波長板部分として機能するものであって,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが,それぞれストライプ状であり,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが,交互に1又は複数設けられるものを用いて説明を行う。ただし,本発明の光学モジュールなどの好ましい態様は,接合部分が曲線状であったり,四角形の第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが縦方向及び横方向にそれぞれ複数含まれるものである。
【0114】
図11は,本発明の光学モジュールの動作を説明するための図である。この光学モジュールを含む光学装置(具体的には後述するイメージング装置など)は,図11に示されるように,観測対象物からの光が入射するレンズ(21)と,レンズ(21)からの光が入力する第1の偏光子(22)と,第1の偏光子(22)からの光が入射する光学モジュール(10)と,光学モジュール(10)からの光が入射する第2の偏光子(23)と,第2の偏光子(23)からの光が入力する光検出器(24)とを具備する。なお,図中符号25は任意のレンズを示す。また,図中Eは,偏光子の偏光面の例を示す。なお,レンズ(21)と,第1の偏光子(22)との位置関係は,図11に示されるものと逆であってもよい。図11において,光学モジュール(10)の第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)は,それぞれ1箇所ずつの1/4波長板部分と-1/4波長板部分とを有している。しかしながら,光学モジュール(10)の第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)は,たとえば図1に示されるように,複数箇所ずつ有していてもよい。この点は,以下の図においても同様である。なお,光検出器として,CCDなどのイメージセンサーがあげられる。
【0115】
この例では,第1のレンズ(21)および第1の偏光子(22)を透過した光は,第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)をそれぞれ透過する。そして,第2の光学素子(8)を透過した光の一部は,第2の偏光子(23)により偏光分離される。第2の偏光子(23)を透過した光は,第2のレンズ(25a)により集光され,光検出器(24)により検出される。
【0116】
図12は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間の空隙になく,第2の光学素子より後方にある光の動作を説明するための図である。図12において,第1の偏光子(22)を通過した光は,その偏光面が調整されている。その偏光面は,たとえば,偏光子(23)を透過できる偏光面とπ/2ずれている。
【0117】
光(26)が第1のレンズ(21)に入射し,第1の光学素子(4)を透過する際,1/4波長板部分(1)を透過するので,位相がずれる。一方,光(26)は,第2の光学素子(8)を透過する際,-1/4波長板部分(6)を透過するので,1/4波長板部分(1)によってずれた位相が元に戻される。よって,光(26)は,第2の偏光子(23)を透過できないこととなる。これは,光(27)の場合も同様である。すなわち,図12に示されるように,焦点が,第1の光学素子(4)と第2の光学素子(8)との間の空隙になく,第2の光学素子(8)より後方にある場合は,第2の光学素子(8)から出力される光が,第2の偏光子(23)を透過できないこととなる。よって,そのような場合は,光検出器(24)によって検出されない。
【0118】
図13は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光の動作を説明するための図である。図13において,第1の偏光子(21)を通過した光は,その偏光面が調整されている。その偏光面は,たとえば,第2の偏光子(23)を透過できる偏光面とπ/2ずれている。
【0119】
光(28)が第1のレンズ(21)に入射し,第1の光学素子(1)を透過する際,1/4波長板部分(1)を透過するので,所定量位相がずれる。さらに,光(28)は,第2の光学素子(8)を透過する際,1/4波長板部分(5)を透過するので,1/4波長板部分(1)によってずれた位相と同じだけ位相がずれる。よって,光(28)は,第2の偏光子(23)を透過できることとなる。これは,光(29)の場合も同様である。すなわち,焦点が第1の光学素子(4)と第2の光学素子(8)との間にある光は,第2の偏光子(23)から出力されることとなる。そして,第2の偏光子(23)から出力された光は,第2のレンズ(25 a)を介して光検出器によって検出される。
【0120】
図14は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間の空隙になく,第1の光学素子より前にある場合の光の動作を説明するための図である。図14において,第1のレンズ(21)に入射する光は,第1の偏光子(22)によりその偏光面が調整される。その偏光面は,たとえば,第2の偏光子(23)が透過する偏光面とπ/2ずれている。
【0121】
光(31)が第1のレンズ(21)に入射し,第1の光学素子(4)を透過する際,-1/4波長板部分(2)を透過するので,所定量位相がずれる。一方,光(31)は,第2の光学素子(8)を透過する際,1/4波長板部分(5)を透過するので,-1/4波長板部分(2)によってずれた位相が元とに戻される。よって,光(31)は,第2の偏光子(23)を透過できないこととなる。これは,光(32)の場合も同様である。すなわち,焦点(33)が第1の光学素子(4)より前にある光は,第2の偏光子(23)から出力されないこととなる。よって,そのような場合は,光検出器(24)によって検出されない。
【0122】
以上より,図11に示される光学装置を用いれば,その焦点が所定の位置(たとえば,第1の光学素子(4)の接合部分(3)と第2の光学素子(8)の接合部分(7)との間)となる光は,第2の偏光子(23)を透過するが,それ以外の光は第2の偏光子(23)を透過しないこととなる。これは,所定の位置に由来する光のみを抽出できることを意味する。よって,本発明の光学モジュールは,所定の条件を満たす光のみを抽出する光学装置などに好ましく用いられ得ることがわかる。より具体的には,観測対象物由来の光の焦点が,2つの接合部分(3,7)との間に位置するようにすれば,観測対象物以外の光を遮断することができるので,効果的に観測対象物を観測できる。なお,レンズ(21)に入射する光の焦点は,たとえば,レンズ(21)をその光軸がずれないようにしつつ,光学モジュール(10)との距離を調整することで,制御できる。
【0123】
これまで第1の光学素子(4)の1/4波長板部分(1)と第2の光学素子(8)の-1/4波長板部分(6)とは空隙(9)を隔てて重なり,前記第1の光学素子(4)の-1/4波長板部分(2)と第2の光学素子(8)の1/4波長板部分(5)とは前記空隙(9)を隔てて重なるものについて説明した。しかしながら,前記第1の光学素子(4)の1/4波長板部分(1)と第2の光学素子(8)の1/4波長板部分(5)とが空隙(9)を隔てて重なり,前記第1の光学素子(4)の-1/4波長板部分(2)と第2の光学素子(8)の-1/4波長板部分(6)とが前記空隙(9)を隔てて重なるものであっても構わない。
【0124】
図15は,ある実施態様に係る光学モジュールの概略図である。図15(A)はある実施態様に係る光学モジュールの概略図を示し,図15(B)はその上面図を示す。図15に示されるように,この実施態様に係る光学モジュールは,1/4波長板部分(1)と-1/4波長板部分(2)とが接合部分(3)を介して交互に形成された板状の第1の光学素子(4)と;1/4波長板部分(5)と-1/4波長板部分(6)とが接合部分(7)を介して交互に形成された板状の第2の光学素子(8)と;を具備し,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは平行であり,前記第1の光学素子(4)の1/4波長板部分(1)と第2の光学素子(8)の1/4波長板部分(5)とが空隙(9)を隔てて重なり,前記第1の光学素子(4)の-1/4波長板部分(2)と第2の光学素子(8)の-1/4波長板部分(6)とが前記空隙(9)を隔てて重なる光学モジュールである。
【0125】
図16は,ある実施態様に係る光学モジュールを搭載した光学装置の例を説明するための図である。この光学装置は,第1の光学素子(4)の1/4波長板部分(1)と第2の光学素子(8)の1/4波長板部分(5)とが空隙(9)を隔てて重なり,第1の光学素子(4)の-1/4波長板部分(2)と第2の光学素子(8)の-1/4波長板部分(6)とが空隙(9)を隔てて重なる。すなわち,この光学装置は,レンズ(21)と;前記レンズ(21)からの光が透過する光学モジュール(10)と;前記光学モジュール(10)へ入射する光の偏光面を調整するための第1の偏光子(22)と;前記光学モジュール(10)から出射する光を偏光分離するための第2の偏光子(23)と;前記第2の偏光子(23)から出射する光を検出するための光検出器(24)と;を具備し,前記光学モジュール(10)は,1/4波長板部分(1)と-1/4波長板部分(2)とが接合部分(3)を介して交互に形成された板状の第1の光学素子(4)と;1/4波長板部分(5)と-1/4波長板部分(6)とが接合部分(7)を介して交互に形成された板状の第2の光学素子(8)と;を具備し,前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは平行であり,前記第1の光学素子(4)の1/4波長板部分(1)と第2の光学素子(8)の1/4波長板部分(5)とは空隙(9)を隔てて重なり,前記第1の光学素子(4)の-1/4波長板部分(2)と第2の光学素子(8)の-1/4波長板部分(6)とは前記空隙(9)を隔てて重なる光学モジュールである。この光学装置は,後述のように所定の条件を満たす光を抽出して検出できるので,たとえば,イメージング装置として機能する。
【0126】
この光学装置では,たとえば,第1の偏光子(22)と第2の偏光子(23)の偏光面を,紙面に垂直になるようにそろえればよい。そうすれば,これまで説明したと同様の原理により所定の条件を満たす光のみを抽出できる。すなわち,この場合,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光は,第1の光学素子及び第2の光学素子を透過する事で偏光面の位相が元に戻される。また,第1の光学素子より前に集光する光,及び第2の光学素子より後方に集光する光は偏光面の位相がπ/2ずれる。従って,第2の偏光子の偏光透過軸を第1の偏光子の偏光透過軸と揃えて配置することにより,先に説明した光学装置と同様にして所定の条件を満たす光を抽出できることとなる。
【0127】
また,1/4波長板部分と-1/4波長板部分の替わりに,1/2波長板部分(又は-1/2波長板部分)と,平坦な部分(位相変調を起こさない部分)とを用いるものは,本発明の光モジュールの上記とは別の実施態様である。この実施態様にかかる光学モジュールでは,たとえば,図16における1/4波長板部分(1,5)の替わりに1/2波長板部分として,-1/4波長板部分(2,6)の替わりに平坦な部分とすればよい。たとえば,図11における1/4波長板部分(1,5)の替わりに1/2波長板部分とし,-1/4波長板部分(2,6)の替わりに平坦な部分とした場合は,第1の偏光子(22)と第2の偏光子(23)の偏光面を,たとえば紙面に垂直になるようにそろえればよい。そうすれば,これまで説明したと同様の原理により所定の条件を満たす光のみを抽出できる。の場合焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光は,第1の光学素子及び第2の光学素子を透過する事で偏光面の位相が元に戻される。また,第1の光学素子より前に集光する光,及び第2の光学素子より後方に集光する光は偏光面の位相がπ/2ずれる。従って,第2の偏光子の偏光透過軸を第1の偏光子の偏光透過軸と揃えて配置することにより,先に説明した光学装置と同様にして所定の条件を満たす光を抽出できることとなる。
【0128】
以上,第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)について,1/4波長板部分と-1/4波長板部分とをそれぞれ1つずつ有するものの動作について説明した。そして,第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)について,1/4波長板部分と-1/4波長板部分とをそれぞれ複数有するものであれば,観測できる領域が2次元的に広がることとなる。また,第1のレンズ(21)を,各光学素子と近づけるか,または遠ざけることができるような可動装置を用いれば,レンズ(21)に入射する光の焦点位置を適宜調整できるので,観測できる対象の距離を適宜調整できることとなる。また,光学モジュール(10),又は光検出器(24)の位置をたとえば,光軸に対して水平移動できる可動装置を用いることで,観測できる対象を2次元的に広げることができることとなる。
【0129】
また図16における1/4波長板部分(1,5)の替わりに1/2波長板部分とし,-1/4波長板部分(2,6)の替わりに平坦な部分とした場合は,第1の偏光子(22)と第2の偏光子(23)の偏光面を,たとえば紙面に垂直になるようにそろえればよい。この場合,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光は,第1の光学素子及び第2の光学素子を透過する事で偏光面の位相がπ/2ずれる。一方,第1の光学素子より前に集光する光,及び第2の光学素子より後方に集光する光は偏光面の位相が元に戻される。従って,第2の偏光子の偏光透過軸を第1の偏光子の偏光透過軸と直交するように配置することにより,先に説明した光学装置と同様にして所定の条件を満たす光を抽出できることとなる。
【0130】
また,上記説明においては,第1の光学素子及び第2の光学素子の各部分を波長板部分としたが,本発明の光学モジュールの別の実施態様では,波長板部分の替わりに,偏光面の方位角を回転する旋光素子部分としても良い。たとえば,これまで説明した各光学モジュールにおける1/4波長板部分を+45度旋光素子部分とし,-1/4波長板部分を-45度旋光素子部分とすればよい。なお,各旋光素子部分は,透明基板上にポリイミド膜などの配向膜を形成し,配向膜の配向方向を適宜制御することによって形成すればよい。また,磁場を印加することにより透過する光を旋光させるファラデー素子を用いて,所定の部分に所定の磁場を印加することにより,各旋光素子部分としてもよい。
【0131】
たとえば,図2における光学モジュールにおける,1/4波長板部分を+45度旋光素子部分とし,-1/4波長板部分を-45度旋光素子部分とすればよい。この場合焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光は,第1の光学素子及び第2の光学素子を透過する事で偏光面の方位角が90度ずれる。また,第1の光学素子より前に集光する光,及び第2の光学素子より後方に集光する光は偏光面の方位角が元に戻される。従って,第2の偏光子の偏光透過軸を第1の偏光子の偏光透過軸に直交して配置することにより,先に説明した光学装置と同様にして所定の条件を満たす光を抽出できることとなる。
【0132】
また,図16における光学モジュールにおける,1/4波長板部分を+45度旋光素子部分とし,-1/4波長板部分を-45度旋光素子部分とすればよい。この場合焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光は,第1の光学素子及び第2の光学素子を透過する事で偏光面の方位角が元に戻される。また,第1の光学素子より前に集光する光,及び第2の光学素子より後方に集光する光は偏光面の方位角が90度ずれる。従って,第2の偏光子の偏光透過軸を第1の偏光子の偏光透過軸に揃えて配置することにより,先に説明した光学装置と同様にして所定の条件を満たす光を抽出できることとなる。
【0133】
[数学的解析]
次に,第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)がそれぞれ,複数の波長板部分を有する場合に,光学モジュール(10)に入射する光がどのような影響を受けるかについて数学的に解析する。その上で,複数の波長板部分を有することにより,効果的に平面内の画像パタンを得ることができること,について説明する。以下の解析では,2枚の平行なスリット(長方形状)を透過する光の強度(結合効率)を解析している。また,以下では,第1の偏光子(22)を透過し,1/4波長板部分と-1/4波長板部分との接合部分を透過する光を,スリットを透過した光として近似している。そのような近似計算が正しい理由は以下のとおりである。上記したとおり,光学モジュールを用いた光学装置などが所定の光を抽出するための条件は,第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,第2の光学素子(8)の接合部分(7)との間に,焦点が位置する場合である。この条件は,2枚の平行なスリット(接合部部の形状が線状の場合)を光が透過して強め合うかどうかと同義である。よって,上記の近似計算を行えば,光学モジュールを具備する光学装置などが光を抽出できる条件を解析できることとなる。
【0134】
図17は,数学的解析を説明するための光学装置の例を示す図である。すなわち,2つの光学素子(4,8)の中心を原点とし,1/4波長板部分(1)と−1/4波長板部分(2)とが接合部分(3)を介して交互に形成される方向(紙面に平行で,光学素子に平行な方向)をX軸とし,紙面に垂直な方向をY軸とし,レンズ(21)の中心を通過し,接合部分(3)を通過する光の進行方向をZ軸とする。
【0135】
まず,スリットがひとつの系を用いて,各光学素子(4,8)における1/4波長板部分(1)と−1/4波長板部分(2)とがそれぞれ1つずつの系について検討する。図18は,解析系のパラメータを説明するための図である。図18に示されるように,2つの光学素子の間隔(9a)をDとし,スリットから出射する光の範囲を2θとした。図19は,焦点の空間的な位置を分類するための図である。
【0136】
焦点が図19のAの領域となる場合,光の結合効率(すなわち強度と相関がある光の取り出し効率と関連する値)をηとして,η=1-2|x|/[(Dtanθ){1-(2Z/D)2}]で表される。一方,焦点が図10のBの領域となる場合,光の結合効率ηは,η=1/2[1-2|x|/{Dtanθ(1+2|z|/D)}=1/2{1-2|x|/(Dtanθ+2tanθ|z|)}で表される。さらに,焦点が図19のCの領域となる場合,光の結合効率ηは,η=2|x|/[{Dtanθ{(2Z/D)2-1}}で表される。
【0137】
図20は,スリットがひとつの場合の,結合効率を示すグラフである。図20において,縦軸はz軸の位置を(D/2)で割った値であり,横軸はx軸の値をDtanθで割った値である。図20(A)は,縦軸及び横軸が-10〜10までの結合効率を示すグラフ(等高線図)である。図20(B) 縦軸及び横軸が-2〜2までの結合効率を示すグラフ(図20(A)の部分拡大図)である。
【0138】
図20から,撮影系の光源などの光が観測対象物によって反射された光が,レンズ(21)によって結像し,図19の各領域において焦点を結ぶとき,図19のAの領域のように2つの光学素子の結合部分の間に位置する領域については結合効率が高いことがわかる。更に,結合効率は,2つの光学素子(4,8)の結合部分を結ぶ軸上で最大となることがわかる。一方,その領域以外の部分に焦点を結ぶ光は,結合効率が低くなりほぼ消去されることがわかる。このように,本発明の光学モジュールは,Z軸方向に強い選択性を有することがわかる。一方,X軸方向には,結合効率が大きくなる領域が限られていることがわかる。すなわち,ある一定の結合効率を有するのは,Dtanθ(横軸メモリで-1〜1)程度の領域程度である。一方,Y軸方向については,上記のような選択性はない。よって,X方向に,スリットを多数設けることで(すなわちX方向に複数の1/4波長板部分と-1/4波長板部分を設けることで),面情報を得ることができるものと考えられる。
【0139】
図21は,3つのスリットを2Dtanθ周期で設けた場合の結合効率を示すグラフである。図21において,縦軸はz軸の位置を(D/2)で割った値であり,横軸はx軸の値をDtanθで割った値である。これは,第1の光学素子(4)及び第2の光学素子(8)がそれぞれ,2つの1/4波長板部分と-1/4波長板部分をもち,それらの結合部分が3箇所できるものに相当する。図21と図20(B)とを比較すると,図21に示されるように3つのスリットを有する光学装置は,スリットが1つの光学装置に比べて,結合効率が高い領域はZ軸方向については拡がらずX軸方向にスリットの周期毎に増えることがわかる。よって,スリットの数(従って,接合部分の数)を増やすことによって,一定のZ値の範囲内でXY面内の画像を得ることができるといえる。
【0140】
一方,x軸方向において,スリットの周期(従って接合部分の周期)程度の分解能を有する検出器によっても,所要の像分解度が得られないときは,たとえば,各スリットの周期毎に数列のピクセル列を設けて検出することにより,解像度の高い像を得ることができると考えられる。又,各列ごとに得られる平均光量が等しくない場合は,それを平均化するために,光源の位置を適宜走査すればよいと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明の光学素子は,イメージング装置などに搭載して用いることができるので,光学機器などの分野で好適に利用されうる。本発明の光学モジュール,光学装置,測定装置及びイメージング装置は,たとえば,所定の位置にある光を抽出できるので,新たな写真装置やその光学部品などとして利用されうる。すなわち,本発明は,光学機器などの分野で好適に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は,本発明の光学素子を説明するための概念図である。図1(A)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状のものを示し,図1(B)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が曲線状(S字状)のものを示し,図1(C)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が円状のものを示し,図1(D)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものである。
【図2】図2は,本発明の光学モジュールの概略図である。図2(A)は本発明の光学モジュールの概略図を示し,図2(B)は本発明の光学モジュールの上面図を示す。
【図3】図3は,光学的に共役な位置を説明するための図である。図3(A)は二つの光学素子の間の焦点,又はその焦点の近傍に穴が位置するように設置されたピンホールを有する光学モジュールを示す概念図である。図3(B)は,焦点と光学的に共役な位置,又は光学的に共役な位置の近傍に穴が位置するように設置されたピンホールを有する光学モジュールを示す概念図である。
【図4】図4は本発明の光学装置の例を示す概略図である。
【図5】図5は,焦点距離が異なる複数のマイクロレンズによって構成されるマイクロレンズアレイを具備する光学装置を示す図である。
【図6】図6は,第1の光学素子又は第2の光学素子と,マイクロレンズアレイとが傾斜を持って重なる光学装置を示す図である。
【図7】図7は,本発明の観測装置の基本構成を示す概念図である。
【図8】図8は,本発明のイメージング装置の基本構成を示す概念図である。
【図9】図9は,光源からの光を対象物に導くためのミラーを具備する本発明のイメージング装置の基本構成を示す概略図である。
【図10】図10は,光学素子を製造するために用いられる基板の例を示す概念図である。図10(A)は,第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状のものを示し,図10(B)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が曲線状(S字状)のものを示し,図10(C)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が円状のものを示し,図10(D)は第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)との接合部分(3)が直線状であり,四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とを,縦方向及び横方向に交互になるように並べたものである。
【図11】図11は,本発明の光学モジュールの動作を説明するための図である。
【図12】図12は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間の空隙になく,第2の光学素子より後方にある光の動作を説明するための図である。
【図13】図13は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間にある光の動作を説明するための図である。
【図14】図14は,焦点が第1の光学素子と第2の光学素子との間の空隙になく,第1の光学素子より前にある場合の光の動作を説明するための図である。
【図15】図15は,ある実施態様に係る光学モジュールの概略図である。図15(A)はある実施態様に係る光学モジュールの概略図を示し,図15(B)はその上面図を示す。
【図16】図16は,ある実施態様に係る光学モジュールを搭載した光学装置の例を説明するための図である。
【図17】図17は,数学的解析を説明するための光学装置の例を示す図である。
【図18】図18は,解析系のパラメータを説明するための図である。
【図19】図19は,焦点の空間的な位置を分類するための図である。
【図20】図20は,スリットがひとつの場合の,結合効率を示すグラフである。図20において,縦軸はz軸の位置を(D/2)で割った値であり,横軸はx軸の値をDtanθで割った値である。図20(A)は,縦軸及び横軸が-10〜10までの結合効率を示すグラフ(等高線図)である。図20(B) 縦軸及び横軸が-2〜2までの結合効率を示すグラフ(図20(A)の部分拡大図)である。
【図21】図21は,3つのスリットを2Dtanθ周期で設けた場合の結合効率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0143】
1 第1のリターダー部分
2 第2のリターダー部分
3 接合部分
4 第1の光学素子
5 第1のリターダー部分
6 第2のリターダー部分
7 接合部分
8 第2の光学素子
9 第1の光学素子と第2の光学素子の間の空隙
9a 空隙の長さ
10 光学モジュール
11 第1の偏光子
12 第2の偏光子
13 光学装置
14 光検出器
15 観測装置
16 対象物
17 光源
18 ミラー
21 第1のレンズ
22 第1の偏光子
23 第2の偏光子
24 光検出器
25 イメージング装置
25a 第2のレンズ
26 光
27 光
28 光
29 光
31 光
32 光
33 焦点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成され,
前記接合部分(3)が直線状,円状,楕円状,又は曲線状である光学素子(4)。
【請求項2】
前記接合部分(3)が直線状であり,
四角形状の第1のリターダー部分(1)と四角形状の第2のリターダー部分(2)とをそれぞれ複数有するか,
又は,前記接合部分が曲線状であり,前記曲線状の接合部分で囲まれた第1のリターダー部分(1)及び第2のリターダー部分(2)をそれぞれ複数有する,
請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項3】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれの速軸が直交する位相シフタとして機能する部分である請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項4】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項5】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,所定の波長の光が入力した場合に,それぞれ1/4波長板部分及び-1/4波長板部分として機能する請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項6】
前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)とは,複数の並列した突起列によって形成され,
前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列は,前記接合部(3)で合わさり,
前記第1のリターダー部分(1)と前記第2のリターダー部分(2)との突起列の方向が異なる請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項7】
前記接合部分(3)の境界遷移幅が,1μm以下である請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項8】
オートクローニング法により製造された周期構造を有する誘電体である請求項1に記載の光学素子(4)。
【請求項9】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;
第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,
前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは,少なくとも一部に同じ形状を有し,
前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる
光学モジュール(10)。
【請求項10】
前記第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する請求項9に記載の光学モジュール(10)。
【請求項11】
前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とが周期構造を有する誘電体により構成される請求項9に記載の光学モジュール(10)。
【請求項12】
前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)との距離を調整するための距離調整手段を具備する,請求項9に記載の光学モジュール(10)。
【請求項13】
前記第1の光学素子(4)及び前記第2の光学素子(8)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,請求項9に記載の光学モジュール(10)。
【請求項14】
前記空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間に穴部が位置するように設けられたピンホールか,又は
前記空隙(9)に設けられ,前記第1の光学素子(4) の接合部分(3)と前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)の間の位置と,光学的に共役な位置に穴部が位置するように設けられたピンホールを具備する,
請求項9に記載の光学モジュール(10)。
【請求項15】
光が入射する第1の偏光子(11)と;
前記第1の偏光子(11)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;
前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(12)と; を具備し,
前記光学モジュール(10)は,
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;
第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,
前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,
前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,光学装置(13)。
【請求項16】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する,請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項17】
前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)との距離を調整するための距離調整手段を具備する,請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項18】
前記第1の偏光子(11)と前記第2の偏光子(12)のいずれか一方又は両方を回転移動するための回転手段を具備する,請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項19】
前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備する,請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項20】
前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射し,焦点距離が異なる複数のマイクロレンズによって構成されるマイクロレンズアレイを具備する,請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項21】
前記第2の偏光子(12)から出力される光が入射するマイクロレンズアレイを具備し,
前記第1の光学素子(4)又は前記第2の光学素子(8)と,前記マイクロレンズアレイとは傾斜を持って重なる
請求項15に記載の光学装置(13)。
【請求項22】
請求項15に記載の光学装置(13)と,
前記光学装置(13)から出力される光を観測する検出器(14)とを具備する
観測装置(15)。
【請求項23】
前記光学装置(13)の位置を制御し,対象物(16)と前記光学装置(13)との位置関係を制御するための光学装置位置制御手段を具備する請求項22に記載の観測装置。
【請求項24】
対象物(16)から反射した光を受光するためのレンズ(21)と;
前記レンズ(21)から出力される光の偏光面を調整するための第1の偏光子(22)と;
前記第1の偏光子(22)から出力される光が透過する光学モジュール(10)と;
前記光学モジュール(10)から出力される光を偏光分離するための第2の偏光子(23)と;
前記第2の偏光子(23)から出力される光を検出するための光検出器(24)と;
を具備し,
前記光学モジュール(10)は,
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とが接合部分(3)を介して形成された板状の第1の光学素子(4)と;
第1のリターダー部分(5)と第2のリターダー部分(6)とが接合部分(7)を介して形成された板状の第2の光学素子(8)とを具備し,
前記第1の光学素子(4)の接合部分(3)と,前記第2の光学素子(8)の接合部分(7)とは同じ形状であり,
前記第1の光学素子(4)と前記第2の光学素子(8)とは,空隙(9)を隔てて重なる光学モジュール(10)である,
イメージング装置(25)。
【請求項25】
第1のリターダー部分(1)と第2のリターダー部分(2)とは,それぞれ周期構造を有する誘電体であり,第1のリターダー部分(1)の速軸と第2のリターダー部分(2) の速軸とは直交する,請求項24に記載のイメージング装置。
【請求項26】
前記第2の偏光子(23)から出力される光を受光する第2のレンズ(26)を具備する,請求項24に記載のイメージング装置。
【請求項27】
前記対象物(16)に光を照射するための光源(17)と,前記光源(17)からの光を前記対象物(16)に導くためのミラー(18)を具備し,
前記光源(17)は,リボンビーム光源である請求項24に記載のイメージング装置。
【請求項28】
前記光源(17)からの光は,複数のパルス信号を有するリボンビームであり,
前記複数のパルス信号は,少なくとも2種類以上のパルス周期を有する光信号である,
請求項27に記載のイメージング装置。
【請求項29】
前記ミラー(18)と対象物(16)との距離を調節するために前記ミラー(18)の位置を制御するためのミラー位置制御手段を具備する,
請求項27に記載のイメージング装置。
【請求項30】
前記対象物(16)の位置を調整するための対象物位置制御手段を具備する,
請求項24に記載のイメージング装置。
【請求項31】
請求項24に記載のイメージング装置を具備し,
前記対象物(16)の所定の焦点位置にある像を読み出すための観測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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