説明

光学素子

【課題】透明性の向上を図る上で有利な光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子10は、容器12と、第1、第2の液体14、16と、第1の電極18と、第2の電極20と、絶縁膜32と、撥水膜36と、電圧印加手段22とを含んで構成されている。容器12の厚さ方向から見て、第1の電極18には第1の電極開口部40が設けられ、第2の電極20には第2の電極開口部42が設けられ、絶縁膜32には絶縁膜開口部44が設けられ、撥水膜36には撥水膜開口部46が設けられている。電第2の液体16部分で形成される透過路52の直径もD1乃至Dmaxにわたって増減する。光学素子10の入射面から入射した光は、透過路52の直径の大小に拘わらず、第1の端面壁24を透過したのち、第1の電極開口部40、第2の液体16部分、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42、第2の端面壁26をこの順番で透過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電気毛管現象(エレクトロウエッティング現象)を用いて第1、第2の液体間の界面形状を変化させることによって光学特性を変化させる光学素子が提案されている。
このような光学素子では、互いに対向する第1、第2の端面壁と、第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器を備えている。
そして、有極性または導電性を有する第1の液体と、収容室に封入され第1の液体と互いに混合しない第2の液体とを収容室に封入し、第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極を設け、第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加することで、第1、第2の液体間の界面形状を変化させている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−177219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した光学素子においては、光が透過する第1、第2の端面壁上に、前記の第1、第2の電極に加えて、第1の液体に電界を与えるために必要な絶縁膜、第1、第2の液体の界面の移動速度の高速化を図るために必要な親水膜、撥水膜などの各種の膜が設けられているため、光学素子の透明性の向上を図る上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、透明性の向上を図る上で有利な光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記第1の電極には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より大きい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記第2の電極、あるいは、前記第2の電極および前記絶縁膜の双方には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記絶縁膜が前記収容室に臨む面に前記第2の液体に対する濡れ性が前記第1の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記膜には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記第1の電極には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より大きい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記絶縁膜、あるいは、前記第2の電極および前記絶縁膜の双方には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、前記絶縁膜が前記収容室に臨む面に前記第2の液体に対する濡れ性が前記第1の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成され、前記容器の厚さ方向から見て、前記膜には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光学素子によれば、光が第1の電極あるいは撥水膜あるいは絶縁膜あるいは第2の電極に形成された開口部を透過するため、透明度の向上を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態の光学素子10を説明する前に本発明の光学素子が用いる電気毛管現象(エレクトロウエッティング現象)の原理について説明する。
図1は電気毛管現象の原理説明図であり、(A)は電圧印加前の状態を示す図、(B)は電圧印加後の状態を示す図である。
図1(A)に示すように、基板1の表面上に絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2の表面に有極性または導電性を有する第1の液体3が位置しており、第1の液体3には第1の電極4が電気的に接続されている。
絶縁膜2と基板1の間には第2の電極5が形成されている。
図1(A)に示すように、第1の電極4と第2の電極5との間に電圧Eが印加されていない状態では、第1の液体4は表面張力によってその表面が上方に凸のほぼ球面をなしている。このときに絶縁膜2の表面と、第1の液体3が絶縁膜2に接触している部分における液面の角度θ、すなわち接触角θをθ0とする。なお、接触角θは液体が空気に面した状態で測定されるものであり、言い換えると、気液界面において測定されるものである。
ところが、図1(B)に示すように、第1の電極4と第2の電極5との間に電圧Eが印加されることで第1の液体4に電界がかけられると、絶縁膜2の表面に例えばマイナス電荷が帯電することで第1の液体3を構成する分子に電界(静電気力)が作用する。これにより、第1の液体3を構成する分子が引き寄せされることで、第1の液体3の絶縁膜2に対する濡れ性が良くなり、接触角θはθ0よりも小さなθ1となる。また、接触角θは電圧Eの値が大きくなるに従って小さくなる。
このような現象を電気毛管現象という。
【0007】
次に、本実施の形態の光学素子10の前提となる基本的な構成および動作について説明する。
本実施の形態において光学素子10は絞りを構成している。
図2は光学素子10の基本的な構成を示す縦断面図、図3は光学素子10の基本的な構成を示す斜視図である。
図2、図3に示すように、光学素子10は、容器12と、第1の液体14と、第2の液体16と、第1の電極18と、第2の電極20と、電圧印加手段22とを含んで構成されている。
容器12は、互いに対向し平行をなして延在する第1の端面壁24、第2の端面壁26と、これら第1、第2の端面壁24、26を接続する側面壁28とを有し、それら第1、第2の端面壁24、26、側面壁28とにより密閉された収容室30を有している。
ここで容器12の厚さ方向とは、第1の端面壁24と第2の端面壁26とが互いに対向する方向をいう。
第1、第2の端面壁24、26は同形同大に形成された矩形板状を呈し、側面壁28は第1、第2の端面壁24、26の輪郭に収まる大きさの円筒壁状を呈し、収容室30は扁平な円柱状を呈している。
また、第1、第2の端面壁24、26および側面壁28は、絶縁性を有する材料で形成され、さらに、第1、第2の端面壁24、26は光を透過する透明な材料で形成されている。
第1、第2の端面壁24、26を構成する材料として、例えば、透明で絶縁性を有する合成樹脂材料あるいは透明なガラス材料を用いることができる。
【0008】
第1の液体14は、有極性または導電性を有し収容室30に封入されている。
第2の液体16は、第1の液体14と互いに混合しないものであり収容室30に封入されている。
第1の液体14と第2の液体16とは実質的に等しい比重を有し、かつ、第1の液体14の透過率は第2の液体16の透過率よりも低くなるように形成されている。
第1の液体14と第2の液体16とが実質的に等しい比重を有していることにより、第1の液体14と第2の液体16との界面48(図2)が重力の影響を受けることなく安定した形状を保持することになる。
また、第1の液体14の透過率が第2の液体16の透過率よりも低いことにより、第2の液体16によって光の透過路52(図4)が形成される。
本実施の形態では、第1の液体14は、例えば、純水とエタノールとエチレングリコールを混合した液体に光を透過しない材料からなる微粒子が混合されることで形成されている。
前記微粒子としては、例えばカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックを用いる場合には、カーボンブラックが、第1の液体14に対して満遍なく混合されるように、それらの表面に親水コーティング処理をなすことが好ましい。前記親水コーティング処理は、例えば、カーボンブラックの表面に親水基を形成することでなされる。
また、本実施の形態では、第2の液体16はシリコンオイルで構成されている。
なお、第1の液体14として使用できる液体としては、本実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ニトロメタン、無水酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、アセトニトリル、アセトン、エタノール、プロピオニトリル、テトロヒドロフラン、n−ヘキサン、2−プロパノール、2−ブタノン、n−ブチロニトリル、1−プロパノール、1−ブタノール、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、エチレングリコール、ホルムアミド、ニトロベンゼン、炭酸プロピレン、1、2−ジクロロエタン、二硫化炭素、クロロホルム、ブロモベンゼン、四塩化炭素、トリクロロ酢酸無水物、トルエン、ベンゼン、エチレンジアミン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、リン酸トリブチル、ピリジン、ベンゾニトル、アニリン、1、4−ジオキサン、ヘキサメチルホスホルアミドなどが挙げられる。
また、第2の液体16として使用できる液体は、例えば、シリコン、デカン系、オクタン系、ノナン、ヘプタンなどが挙げられる。
また、第1の液体14および第2の液体16は、それぞれ単一の液体で形成してもよいし、複数の液体を混合して形成してもよい。要は、第1の液体14と第2の液体16が実質的に等しい比重を有するように形成されていればよい。
【0009】
さらに、第1の液体14および第2の液体16の組成について説明する。
第1の液体14について説明すると、比重と屈折率とが互いに異なる3種類の液体を混合することで第1の液体14を得、本発明者は、それら3種類の液体の混合比を変えることで第1の液体14の比重および屈折率をそれぞれ大きな範囲で変えられることを見出した。
例えば、2種類の液体を用いて第1の液体14を得る場合から説明する。
2種類の液体として純水とエタノールとを用いて第1の液体14を得、それらの混合比を変える。
図26に示すように、それらの混合比を変えていくと、第1の液体14の比重と屈折率は、直線的にあるいは曲線的に変化していく。
また、2種類の液体として純水とエチレングリコールとを用いて第1の液体14を得、それらの混合比を変える。
図27に示すように、それらの混合比を変えていくと、第1の液体14の比重と屈折率は、直線的にあるいは曲線的に変化していく。
なお、純水の比重は1.0、屈折率は1.333であり、エタノールの比重は0.789、屈折率は1.361であり、エチレングリコールの比重は1.113、屈折率は1.430である。
【0010】
これに対して、3種類の液体を用いて第1の液体14を得、それらの混合比を変える。
例えば、3種類の液体として純水とエタノールとエチレングリコールとを用いて第1の液体14を得、それらの混合比を変える。
図28に示すように、純水とエタノールとエチレングリコールの混合比を変えることで、純水とエタノールとエチレングリコールの3つの座標を結んだ三角形の大きな領域R内で第1の液体14の比重と屈折率を変えることが可能である。
一方、図28には、市販された各種のシリコンオイルの比重および屈折率の座標が点在されている。
したがって、三角形の領域R内に点在する市販のシリコンオイルを第2の液体46として使用し、純水とエタノールとエチレングリコールとを混合し比重および屈折率を上記のシリコンオイルと等しくした第1の液体14を使用することができる。
【0011】
本実施の形態では、第1の液体14は、純水とエタノールとエチレングリコールを混合した液体にカーボンブラックが溶かされることで形成され、黒色を呈しており、0.1mm程度の厚さで光を遮光できるように形成され、光学素子の薄型化に有利となっている。
第1の液体14の屈折率と第2の液体46の屈折率を等しく形成すると、界面62におけるレンズ効果の発生を防止でき、絞り動作を確実に行わせる上で有利となる。
また、エタノールを水に混合して第1の液体14を形成すると、凝固点(融点)を下げることができ、寒冷地で凝固することを防止できるので、光学素子40の寒冷地での使用が可能となる。
エタノールの凝固点は−114度であり、エチレングリコールの凝固点は−13度であり、第1の液体14の凝固点を−40度以下とすることが可能である。
【0012】
上述のように第1の液体14と第2の液体44としてその比重が等しいものを選択するのではなく、第1の液体14を、既存の比重が異なる3種類の液体を混合して用いるようにすることによって、第1の液体の比重を、図28に領域Rで示すように、大きな範囲で変更できる。
すなわち、互いに比重が異なる2種類の液体を混合した場合、2種類の液体の混合比を変えることで得られる第1の液体の比重は、図28に示すように、それら液体の座標を結んだ直線の範囲内でしか変えることができない。
これに対して、3種類の液体を混合した場合、純水とエタノールとエチレングリコールの3つの座標を結んだ三角形の大きな領域R内で第1の液体14の比重を変えることが可能となる。
したがって、第1の液体14の比重と第2の液体46の比重とを簡単に等しくでき、所望の特性を有する光学素子40を簡単に製造することができる。
さらに、図28に示すように、比重とともに屈折率が異なる少なくとも3種類の液体、例えば、純水とエタノールとエチレングリコールを混合して第1の液体14を得るようにすると、第1の液体14の比重と第2の液体46の比重とを簡単に等しくできるとともに、同時に、第1の液体14の屈折率と第2の液体46の屈折率とを簡単に等しくでき、レンズ効果の発生を防止する上で有利となる。
【0013】
複数種類の液体として純水とエタノールとエチレングリコールとを用いて第1の液体14を得る場合について説明したが、使用する複数種類の液体は純水とエタノールとエチレングリコールに限定されず、既存の各種の液体を選択することが可能である。
図29、図30を参照して説明する。
図29は様々な種類の液体の比重および屈折率を示す図、図30は用いる各種液体の比重および屈折率の数値を示す図である。
例えば、図29に示すように、用いる液体としてA群、B群、C群、D群のものが挙げられ、各A乃至D群に用いる液体の具体名を図30に示す。
図29に三角形の領域R1で示すように、3種類の液体として、A群から選択した1つの液体の座標と、B群から選択した1つの液体の座標と、C群から選択した1つの液体の座標を結んだ三角形の大きな領域R1内で、それらの混合比を変えることで比重と屈折率を変えることが可能である。
また、図29に三角形の領域R2で示すように、3種類の液体として、B群から選択した1つの液体の座標と、C群から選択した1つの液体の座標と、D群から選択した1つの液体の座標を結んだ三角形の大きな領域R2内で、それらの混合比を変えることで比重と屈折率を変えることが可能である。
すなわち、従来公知の様々な液体を選択し、それらの混合比を変えることで比重と屈折率を簡単に変えることが可能である。
【0014】
なお、第1の液体に使用する液体の種類は3種類に限定されず、4種類以上であってもよい。
また、第1の液体14を、比重および屈折率が異なる複数種類の液体を混合することで、第2の液体46と比重が等しくなるように形成する場合について説明したが、第2の液体46を、比重および屈折率が異なる複数種類の液体を混合することで、第1の液体14と比重が等しくなるように形成してもよい。
さらに、本実施の形態では、では、単一のシリコンオイルを第2の液体46として使用した場合について説明したが、シリコンオイル自体も屈折率や比重などの特性が異なるものが複数存在しており、所望の特性の一種類のシリコンオイルを選択し第2の液体46として使用するようにしてもよく、あるいは、特性の異なる複数種類のシリコンオイルを選択し、それらの混合比を変えて所望の屈折率および比重とした後第2の液体46として使用するようにしてもよい。
【0015】
第1、第2の電極18、20は、第1の液体14に電界をかけ第1の液体14に電気毛管現象を発生させるためのものである。
基本構成においては、後述するように、絞りの動作速度の高速化を図るために親水膜34が用いられており、第1の電極18が第1の液体14に臨む箇所に親水膜34が設けられ、第1の電極18は親水膜34を介して第1の液体14に臨むように配設されている。
第2の電極20は、収容室30に臨む第2の端面壁26の内面の部分に形成されている。
この基本構成においては、第1の電極18は第1の端面壁24の内面の全域に形成され、第2の電極20は第2の端面壁26の内面の全域に形成されている。
第1、第2の電極18、20は、例えば、光を透過可能なITO膜(Indium Tin Oxide膜)などの導電材料で形成されている。
電圧印加手段22は、容器12の外部に設けられ出力電圧が可変であり、電圧印加手段22の正電圧出力端子が第1の電極18に電気的に接続され、電圧印加手段22の負電圧出力端子が第2の電極20に電気的に接続されている。
なお、この基本構成では、第1の液体14に直流電圧を印加することで電気毛管現象を発生させる場合について説明するが、第1の液体14に印加する電圧は直流電圧に限定されるものではなく、交流電圧やパルス電圧、あるいは、ステップ状に増減する電圧など、どのような電圧を用いてもよく、要は第1の液体14に電気毛管現象を発生させることができればよい。
【0016】
また、この基本構成では、収容室30に臨む第2の端面壁26の内面に設けられた第2の電極20上の全域に絶縁膜32が形成されている。
絶縁膜32も、第1の液体14に電界をかけ第1の液体14に電気毛管現象を発生させるためのものである。
すなわち、第1の電極18と第2の電極20に電圧が印加されることで絶縁膜32の表面に例えばマイナス電荷が帯電され、これにより第1の液体14に電界がかかり、第1の液体14を構成する分子に電界(静電気力)が作用して電気毛管現象が発生することになる。
【0017】
また、この基本構成では、図2に示すように、後述するように、絞りの動作速度の高速化を図るために、第1の電極18の全域および側面壁28の内面全域を覆うように、光を透過する透明な親水膜34(特許請求の範囲の第1の液体に対する濡れ性が前記第2の液体に対する濡れ性よりも高い膜に相当)が形成されている。
親水膜34は第1の液体14に対する濡れ性が第2の液体16に対する濡れ性よりも高くなるように構成されたものであり、言い換えると、親水膜34に対する第1の液体14の接触角は、親水膜34に対する第2の液体16の接触角よりも小さい値となるように構成されている。
親水膜34は、例えば親水性ポリマーや界面活性剤を第1の電極18、側面壁28の内面に塗布することで形成することができ、従来公知の様々な材料を採用可能である。
また、この基本構成では、図2に示すように、後述するように、絞りの動作速度の高速化を図るために、第2の端面壁26上の第2の電極20上に設けられた絶縁膜32の全域を覆うように、光を透過する透明な撥水膜36(特許請求の範囲の第2の液体に対する濡れ性が第1の液体に対する濡れ性よりも高い膜に相当)が形成されている。
撥水膜36は第2の液体16に対する濡れ性が第1の液体14に対する濡れ性よりも高くなるように構成されている。言い換えると、撥水膜36に対する第2の液体16の接触角は、撥水膜36に対する第1の液体14の接触角よりも小さい値となるように構成されている。
撥水膜36は、親油性を有する膜であり、例えば、シリコンを主成分とする材料を焼き付けることで、あるいは、非結晶フッ素樹脂からなる材料を成膜することで形成することができ、撥水膜36としては、従来公知の様々な材料を採用可能である。
なお、図3では親水膜34、撥水膜36の図示を省略している。
【0018】
この基本構成によれば、図2に示すように、第1の液体14が位置する第1の端面壁24内面に位置する第1の液体14箇所の全域は、親水膜34を介して第1の電極18に臨んだ状態となり、かつ、第2の液体16が位置する第2の端面壁26内面に位置する第2の液体16の箇所の全域は、撥水膜36、絶縁膜32を介して第2の電極20に臨んだ状態となる。
したがって、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧Vが印加され、絶縁膜32の表面に例えばマイナス電荷が帯電され、これにより第1の液体14に電界がかかり、第1の液体14を構成する分子に電界(静電気力)が作用して電気毛管現象が発生することになる。
【0019】
次に、基本構成における光学素子10の動作について説明する。
図4(A)、(B)、(C)は光学素子10の第1、第2の電極18、20に電圧V1、V2、V3が印加された場合の動作を説明する断面図である。
図2に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧Vが印加されない状態では、第1、第2の液体14、16の界面48の形状は第1、第2の液体14、16の表面張力、撥水膜36上の界面張力のバランスによって決定される。
したがって、撥水膜36に対する第1の液体14の接触角と第2の液体16の接触角との差が大きいほど、撥水膜36上において第2の液体16はより扁平に広がり、第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状が平坦面に近い曲面となる。
また、第1の液体14は、第1の端面壁24上の親水膜34から側面壁28上の親水膜34を覆うように位置している。
したがって、第1の液体14のうち側面壁28と第2の端面壁26の界面付近の環状の箇所に位置する第1の液体14は、撥水膜36に直接接するが、第2の液体16は側面壁28上の親水膜34に接しない状態となる。
そのため、第1の液体14が撥水膜36に接触した環状部分は、第2の液体16を介在させることなく、撥水膜36、絶縁膜32を挟んで第2の電極20に対向している。
この際、第1の液体14が光の透過方向と直交する方向の全域にわたって延在することにより容器12の厚さ方向に進行する光は遮断された状態となる。
【0020】
次に、図4(A)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V1(>0)が印加されると、電気毛管現象により、界面48が第2の液体16から第1の液体14に向かって凸状の曲面(球面)となるように変形し、界面48の中央が第1の端面壁24(親水膜34)に接触する。
これにより、第1の端面壁24(親水膜34)上で界面48が接触している領域には、第1の液体14が存在しなくなり、収容室30に第2の液体16のみが存在する領域50が形成され、この領域50により第1、第2の端面壁24、26を通り容器12の厚さ方向に延在する光の透過路52が形成される。すなわち、光の透過路52が開口52Aを構成し、光の透過路52(開口52A)の直径が絞りの開口径D1となる。
言い換えると、第1の液体14に電界がかけられることにより第1の液体14と第2の液体16の界面が変形し、第1、第2の端面壁24、26および第2の液体16部分を通り第1、第2の端面壁24、26が互いに対向する方向である容器12の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路52が第2の液体16部分で形成されることになる。
【0021】
次に、図4(B)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V2(>V1)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなる。
そして、収容室30に形成された第2の液体16のみが存在する領域50の直径が拡大され、光の透過路52の直径、すなわち絞りの開口径がD1からD2に拡径される。
【0022】
次に、図4(C)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V3(>V2)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなる。
そして、収容室30に形成された第2の液体16のみが存在する領域50の直径がさらに拡大され、光の透過路52の直径、すなわち絞りの開口径が最大値であるD3(>D2)に拡径される。
したがって、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に印加される電圧を調整することで、第2の液体16のみが存在する領域50の直径を拡大および縮小させて絞りの開口径を調整することができる。
なお、図4(A)、(B)、(C)において、符号θ1、θ2、θ3は第1の液体14の接触角を示しており、第1の液体14にかけられる電界が大きくなるほど、接触角が小さくなり、言い換えると、θ1>θ2>θ3となり、第1の液体14の濡れ性が高くなっている。
【0023】
なお、親水膜34および撥水膜36は省略することも可能であるが、親水膜34および撥水膜36を用いると次の利点を有すため、親水膜34および撥水膜36を設けることが光学素子10の性能を確保する上で好ましい。
第1の電極18の全域および側面壁28の内面全域を覆うように、光を透過する透明な親水膜34が形成されていると、第1の液体14が親水膜34に対して良く濡れる。したがって、第2の液体16が第1の端面壁24にいったん接触した後で第1の端面壁24から離れる際に、親水膜34から第2の液体16が離間しやすくなり、絞りの動作速度の高速化が図られる。
また、第2の端面壁26上の第2の電極20上に設けられた絶縁膜32の全域を覆うように、光を透過する透明な撥水膜36が形成されていると、撥水膜36上で第1の液体14の液面が円滑に動きやすいので、絞りの動作速度の高速化が図られる。
【0024】
次に、第1の液体14、第2の液体16の界面48の形状の変化について詳細に説明する。
第1の電極18、第2の電極20の間に電圧Vが印加された場合、図4(A)乃至(C)に示すように、第1の液体14と第2の液体16の界面48がなす角度を接触角θとすると、接触角θは式(1)で示される。
cosθ(V)=cosθ(V=0)+ε0・εr・V2/2γt (1)
ここで、
cosθ(V):印加電圧V[V]の時の接触角
cosθ(V=0):電圧無印加時の接触角
ε0:真空の誘電率8.85×10-12[F/m]
εr:絶縁膜32の比誘電率
V:印加電圧[V]
t:絶縁膜32の厚み[m]
γ:第1の液体14と第2の液体16間の界面張力(または界面エネルギー)[N/m]
である。
すなわち、電圧Vの増減により接触角θが増減し(第1の液体14の濡れ性が変化し)、これにより第1の液体14が第2の液体16を押す力が変化し、界面48の形状が変化するのである。
【0025】
光学素子10は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどの撮像装置の撮影光学系に適用される。
図5は光学素子10を撮像装置の撮影光学系に適用した例を示す構成図である。
図5に示すように、撮像装置100は、被写体像を撮像するCCDなどの撮像素子102と、前記被写体像を撮像素子102に導く撮影光学系104とを含んで構成されている。
撮影光学系104は、その光軸L上において、被写体から撮像素子102に向かって、第1のレンズ群106、第2のレンズ群108、第3のレンズ群110、第4のレンズ群112、フィルタ群114がこの順番で配置されている。
本例においては、第1のレンズ群106、第3のレンズ群110が光軸方向に移動不能に設けられ、第2のレンズ群108がズームレンズとして光軸方向に移動可能に設けられ、第4のレンズ群112がフォーカスレンズとして光軸方向に移動可能に設けられている。
第1のレンズ群106によって導かれた被写体からの光束は第2のレンズ群108によって平行な光束とされ第3のレンズ群110に導かれて、第4のレンズ群112、フィルタ群114を介して撮像素子102の撮像面102に収束される。
光学素子10は、仮想軸38を撮影光学系104の光軸Lに合致させた状態で、平行な光束が通過する箇所である第2のレンズ群108と第3のレンズ群110の間に配置されている。
したがって、光学素子10の光の透過路52(開口52A)が拡縮することにより、撮像面102Aに導かれる光束量が増減されることになる。
【0026】
上述のような光学素子10の基本構成では、光が透過する第1、第2の端面壁24、26上に、第1、第2の電極18、20に加えて、第1の液体14に電界を与えるために必要な絶縁膜32、第1、第2の液体14、16の界面48の移動速度の高速化を図るために必要な親水膜34、撥水膜36などが設けられているため、光学素子10の透明性の向上を図る上で不利がある。
そこで、本実施の形態では、第1、第2の電極14、16、絶縁膜32、撥水膜36に開口部を形成することで、光学素子10の透明性の向上を図るようにした。
以下、本発明の要旨である第1、第2の電極14、16、絶縁膜32、撥水膜36について詳細に説明する。
【0027】
図6は第1の実施の形態の光学素子10の構成を示す縦断面図である。
なお、以下の実施の形態では、上述した基本的な構成と同一の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
第1の実施の形態の光学素子10は、第1、第2の電極14、16、絶縁膜32、撥水膜36を除いて上述した基本的な構成の光学素子と同様に構成されている。
図6に示すように、容器12の厚さ方向から見て、第1の電極18には第1の電極開口部40が設けられ、第2の電極20には第2の電極開口部42が設けられ、絶縁膜32には絶縁膜開口部44が設けられ、撥水膜36には撥水膜開口部46が設けられている。
第1の電極開口部40は、第1の電極18を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第1の電極開口部40は、仮想軸38を中心とする透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさか、あるいは、最大直径Dmaxより大きい大きさの直径で形成されている。
第1の電極18は、第1の電極開口部40を除く第1の端面24の内面の全域に形成されている。
【0028】
また、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、第2の電極20および絶縁膜32を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、仮想軸38を中心とする透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさで形成されている。
ここで、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44の双方が形成され、かつ、第2の電極開口部42が透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさである場合、絶縁膜開口部44は第2の電極開口部42と同じ大きさか、第2の電極開口部42よりも小さい大きさで形成することが必要となる。
すなわち、透過路52の最大直径Dmaxとなった状態において、第1の液体14が第2の電極開口部42を介して第2の電極20に接触すると、第1の液体14を介して第1の電極18と第2の電極20とがショートすることになる。したがって、透過路52の最大直径Dmaxとなった状態においても、第1の液体14が絶縁膜32によって第2の電極20と絶縁させておくために、絶縁膜開口部44を第2の電極開口部42と同じ大きさか、第2の電極開口部42よりも小さい大きさで形成することが必要となる。
【0029】
撥水膜開口部46は、撥水膜36上を第1の液体14が接触するに足る大きさで形成されていればよく、したがって、撥水膜開口部46は仮想軸38を中心とする透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさの直径で形成されている。
【0030】
次に光学素子10の作用効果について図4(A)、(B)、(C)を流用して説明する。
電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧を印加して界面48の形状を変化させ開口径を拡縮動作させると、第2の液体16部分で形成される透過路52の直径もD1乃至Dmaxにわたって増減する。
この際、光学素子10の入射面から入射した光は、透過路52の直径の大小に拘わらず、第1の端面壁24を透過したのち、第1の電極開口部40、第2の液体16部分、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42、第2の端面壁26をこの順番で透過する。
したがって、前述した基本的な構成の光学素子では、その構造上、光が第1の電極18、撥水膜36、絶縁膜32、第2の電極20の4箇所を透過することによって光学素子の透明度が低下する不利があるのに対し、本実施の形態では、光が第1の電極18、撥水膜36、絶縁膜32、第2の電極20の4箇所を透過することなく、光学素子を透過するため、透明度の向上を図る上で有利となり、基本的な構成の光学素子に比較して透過率を3%〜10%向上させることが期待できる。
【0031】
なお、本実施の形態では、第1の電極開口部40、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42の4つの開口部を設けた構成について説明したが、以下の4種類の構成のうちの何れか1つあるいは2つ以上の構成の組み合わせでもよい。ただし、3)と4)の組み合わせは除く。
1)第1の電極開口部40を設ける。
2)撥水膜開口部46を設ける。
3)絶縁膜開口部44および第2の電極開口部42の双方を設ける。
4)第2の電極開口部42を設ける。
しかしながら、本実施の形態のように第1の電極開口部40、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42の4つの開口部を設けると、光学素子10の透明性(透過率)の向上を図る上で最も有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44が透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさで形成されている場合について説明したが、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、第2の電極20および絶縁膜32を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44を最大直径Dmaxより小さい大きさの直径で形成してもよい。しかしながら、本実施の形態のように、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44が透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさで形成されていると、光学素子10の透明度を確保する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、撥水膜開口部46が透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさの直径で形成されている場合について説明したが、撥水膜開口部46は、撥水膜36上を第1の液体14が接触するに足る大きさで形成されていればよく、したがって、撥水膜開口部46を最大直径Dmaxより小さい大きさの直径で形成してもよい。しかしながら、本実施の形態のように、撥水膜開口部46が透過路52の最大直径Dmaxと同じ大きさで形成されていると、光学素子10の透明度を確保する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、撥水膜36を設けた場合について説明したが、撥水膜36を省略してもよい。しかししながら、撥水膜36を設けると、絞りの動作の高速化を図る上で有利となる。
【0033】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図7は第2の実施の形態における光学素子10の基本的な構成を示す縦断面図である。
第2の実施の形態が第1乃至第8の実施の形態と異なるのは、光学素子10がレンズを構成している点である。
第2の実施の形態の光学素子10の基本的な構成は、第1、第2の液体14、16の組成が異なる点を除いて、ほぼ第1の実施の形態と同様であるため、以下では、第1の実施の形態と相違する部分について重点的に説明する。
光学素子10は、電圧印加手段22による電圧印加により第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状を変形させることで、第1、第2の端面壁24、26を通り第1、第2の端面壁24、26が互いに対向する方向である容器12の厚さ方向に延在する単一の仮想軸38を中心とする曲面形状からなる界面48を形成し仮想軸38方向に進行して界面48を通過する光を屈折させるものである。
光学素子10は、第1の実施の形態と同様に、容器12と、第1の液体14と、第2の液体16と、第1の電極18と、第2の電極20と、電圧印加手段22とを含んで構成されている。
第1の液体14は、有極性または導電性を有し収容室30に封入されている。
第2の液体16は、第1の液体14と互いに混合しないものであり収容室30に封入されている。
また、第1の液体14と第2の液体16は透明であり実質的に等しい比重を有している。
第2の液体16の屈折率と第1の液体14の屈折率とが異なり、本実施の形態では、第2の液体16の屈折率は第1の液体14の屈折率よりも高く形成されている。
あるいは、第2の液体16のアッベ数と第1の液体14のアッベ数とが異なるように形成されている。
あるいは、第2の液体16の屈折率と第1の液体14の屈折率とが異なり、かつ、第2の液体16のアッベ数と第1の液体14のアッベ数とが異なるように形成されている。
【0034】
次に、光学素子10の動作について説明する。
図8(A)、(B)、(C)は光学素子10の第1、第2の電極18、20に電圧V1、V2、V3が印加された場合の動作を説明する断面図である。
図8に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧Vが印加されない状態では、第1、第2の液体14、16の界面48の形状は第1、第2の液体14、16の表面張力、撥水膜36上の界面張力のバランスによって決定され、第2の液体16から第1の液体14に向かって緩やかな凸状の曲面をなしている。
ここで、第2の液体16の屈折率が第1の液体14の屈折率よりも高く形成されていることから、第1、第2の端面壁24、26を通り容器12の厚さ方向に進行して界面48を通過する光は界面48で屈折され、したがって、光学素子10は光を収束させるパワーを有するレンズを構成している。
ここで、容器12の厚さ方向から見て、仮想軸38を中心とする界面48の直径は最大直径DLmaxとなる。
【0035】
次に、図8(A)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V1(>0)が印加されると、電気毛管現象により、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜が大きくなる。
ここで、容器12の厚さ方向から見て、仮想軸38を中心とする界面48の直径はDL1<DLmaxとなる。
次に、図8(B)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V2(>V1)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなる。
ここで、容器12の厚さ方向から見て、仮想軸38を中心とする界面48の直径はDL2<DL1となる。
次に、図8(C)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V3(>V2)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなり最大の傾斜となる。
ここで、容器12の厚さ方向から見て、仮想軸38を中心とする界面48の直径はDL3<DL2となる。
したがって、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に印加される電圧を調整することで、界面48の曲率を変えてレンズの焦点距離を可変できる(レンズのパワーを可変できる)。
また、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に印加される電圧を調整することで、容器12の厚さ方向から見て、仮想軸38を中心とする界面48の直径は最大直径DLmax乃至DL3の間で増減することになる。
このようにレンズを構成する光学素子10は、第1の実施の形態と同様に、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどの撮像装置の撮影光学系に適用可能である。
【0036】
次に本実施の形態の要旨である第1、第2の電極14、16、絶縁膜32、撥水膜36について詳細に説明する。
図9は第2の実施の形態における光学素子10の構成を示す縦断面図である。
図9に示すように、容器12の厚さ方向から見て、第1の電極18には第1の電極開口部40が設けられ、第2の電極20には第2の電極開口部42が設けられ、絶縁膜32には絶縁膜開口部44が設けられ、撥水膜36には撥水膜開口部46が設けられている。
第1の電極開口部40は、第1の電極18を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第1の電極開口部40は、仮想軸38を中心とする界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさか、あるいは、最大直径DLmaxより大きい大きさの直径で形成されている。
第1の電極18は、第1の電極開口部40を除く第1の端面24の内面の全域に形成されている。
図9に示すように、容器12の厚さ方向から見て、第1の電極18には第1の電極開口部40が設けられ、第2の電極20には第2の電極開口部42が設けられ、絶縁膜32には絶縁膜開口部44が設けられ、撥水膜36には撥水膜開口部46が設けられている。
第1の電極開口部40は、第1の電極18を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第1の電極開口部40は、仮想軸38を中心とする界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさか、あるいは、最大直径DLmaxより大きい大きさの直径で形成されている。
第1の電極18は、第1の電極開口部40を除く第1の端面24の内面の全域に形成されている。
【0037】
また、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、第2の電極20および絶縁膜32を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、仮想軸38を中心とする界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさで形成されている。
ここで、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44の双方が形成され、かつ、第2の電極開口部42が界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさである場合、絶縁膜開口部44は第2の電極開口部42と同じ大きさか、第2の電極開口部42よりも小さい大きさで形成することが必要となる。
すなわち、界面48が最大直径DLmaxとなった状態において、第1の液体14が第2の電極開口部42を介して第2の電極20に接触すると、第1の液体14を介して第1の電極18と第2の電極20とがショートすることになる。したがって、界面48の最大直径DLmaxとなった状態においても、第1の液体14が絶縁膜32によって第2の電極20と絶縁させておくために、絶縁膜開口部44を第2の電極開口部42と同じ大きさか、第2の電極開口部42よりも小さい大きさで形成することが必要となる。
【0038】
撥水膜開口部46は、撥水膜36上を第1の液体14が接触するに足る大きさで形成されていればよく、したがって、撥水膜開口部46は仮想軸38を中心とする界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさの直径で形成されている。
【0039】
次に光学素子10の作用効果について図7、図8(A)、(B)、(C)を流用して説明する。
電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧を印加しない状態から電圧を印加して界面48の形状を変化させると、界面48の直径もDLmax乃至DL3にわたって増減する。
この際、光学素子10の入射面から入射した光のうち界面48を通過する光は、界面48の直径の増減に拘わらず、第1の端面壁24を透過したのち、第1の電極開口部40、第2の液体16部分、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42、第2の端面壁26をこの順番で透過する。
したがって、前述した基本的な構成の光学素子では、その構造上、光が第1の電極18、撥水膜36、絶縁膜32、第2の電極20の4箇所を透過することによって光学素子の透明度が低下する不利があるのに対し、本実施の形態では、光が第1の電極18、撥水膜36、絶縁膜32、第2の電極20の4箇所を透過することなく、光学素子を透過するため、透明度の向上を図る上で有利となり、基本的な構成の光学素子に比較して透過率を3%〜10%向上させることが期待できる。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1の電極開口部40、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42の4つの開口部を設けた構成について説明したが、以下の4種類の構成のうちの何れか1つあるいは2つ以上の構成の組み合わせでもよい。ただし、3)と4)の組み合わせは除く。
1)第1の電極開口部40を設ける。
2)撥水膜開口部46を設ける。
3)絶縁膜開口部44および第2の電極開口部42の双方を設ける。
4)第2の電極開口部42を設ける。
しかしながら、本実施の形態のように第1の電極開口部40、撥水膜開口部46、絶縁膜開口部44、第2の電極開口部42の4つの開口部を設けると、光学素子10の透明性(透過率)の向上を図る上で最も有利となる。
【0041】
また、本実施の形態では、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44が界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさで形成されている場合について説明したが、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44は、第2の電極20および絶縁膜32を用いて第1の液体14に対して電界を与えるに足る大きさで形成されていればよく、したがって、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44を最大直径DLmaxより小さい大きさの直径で形成してもよい。しかしながら、本実施の形態のように、第2の電極開口部42および絶縁膜開口部44が界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさで形成されていると、光学素子10の透明度を確保する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、撥水膜開口部46が界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさの直径で形成されている場合について説明したが、撥水膜開口部46は、撥水膜36上を第1の液体14が接触するに足る大きさで形成されていればよく、したがって、撥水膜開口部46を最大直径DLmaxより小さい大きさの直径で形成してもよい。しかしながら、本実施の形態のように、撥水膜開口部46が界面48の最大直径DLmaxと同じ大きさで形成されていると、光学素子10の透明度を確保する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、撥水膜36を設けた場合について説明したが、撥水膜36を省略してもよい。しかししながら、撥水膜36を設けると、レンズの動作の高速化を図る上で有利となる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、第2の電極20の形状が第1の実施の形態と相違している。
図10は、第3の実施の形態における光学素子10の第2の電極20の平面図である。
図10に示すように、第2電極開口部42は、仮想軸38を中心とする円形部60と、円形部60の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部62とで構成されている。
凸部62は、該凸部62が突出する方向と直交する方向の幅を有し、幅は凸部62が半径方向外側に至るにつれて次第に狭くなるように構成されている。
言い換えると、第2の電極20は、容器12の厚さ方向に延在する単一の仮想軸38を中心として放射方向に延在する複数の電極部64で構成されている。
本実施の形態では、第2の電極20は同形同大の4つの電極部64で構成され、各電極部64の半径方向の外側に位置する部分6402が互いに接続されている。したがって、電圧印加手段22により第2の電極20に印加される電圧、すなわち、各電極部64に印加される電圧は同一電圧となる。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には前記凸部62が位置しており、凸部62は、電極部64が形成されていない第1の非電極部66を構成している。
本実施の形態では、同形同大の4つの第1の非電極部66が形成されている。
各電極部64および各第1の非電極部66は、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66は、半径方向外方に至るにつれて第1の非電極部66の幅が次第に小さくなるように形成されている。
また、仮想軸38を中心とする単一の円周上において電極部64の幅は第1の非電極部66の幅よりも常に大きな寸法で形成されている。
本実施の形態では、各電極部64は、仮想軸38を中心として半径方向外側に扇形状に延在し、各第1の非電極部66は、半径方向外方に至るにつれて幅が次第に小さくなる二等辺三角形状に延在し、第1の非電極部66の先端は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上に位置している。
また、本実施の形態では、仮想軸38を中心とする略円形の範囲に前記円形部60が位置しており、円形部60は、電極部64が形成されていない第2の非電極部68を構成している。
各電極部64は第2の非電極部68の半径方向の外側に設けられ、各電極部64の前記半径方向の内縁部は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上を延在している。
各第1の非電極部66は、第2の非電極部68の周方向に間隔をおいた外周部から第2の非電極部68の半径方向の外側に突出して設けられ、各第1の非電極部66は第2の非電極部68の外周部に接続されている。
したがって、各電極部64の内周部と第2の非電極部68の外周部との境に円弧部70が形成されることになる。
【0043】
次に、第1の液体14、第2の液体16の界面48の形状の変化について図4を流用して説明する。
まず、図4(A)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V1(>0)が印加された場合について説明する。
図11は図4(A)の平面図であり、図中、一点鎖線は第1の端面壁24上での界面48aを示し、二点鎖線は第2の端面壁26上での界面48bを示す。
図12は図4(A)における第2の液体16の形状を模式的に示す斜視図である。
図11、図12に示すように、第1の端面壁24上において界面48aは、仮想軸38を中心とするほぼ円形を呈している。
また、第2の端面壁26上において界面48bは、仮想軸38を中心とする第2の非電極部68の半径方向の外側に位置する円周上を延在する4つの円弧状部分48b1と、隣り合う円弧状部分48b1を接続し円弧状部分48b1よりも前記円周から半径方向外方に突出する4つの突出部分48b2とから形成されている。
【0044】
次に、図4(B)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V2(>V1)が印加された場合について詳細に説明する。
図13は図4(B)における第2の液体16の形状を模式的に示す斜視図である。
図13に示すように、第2の液体16は第1の液体14によって押されることにより、第1の端面壁24上における界面48aの直径が拡大され、第2の端面壁26上における界面48bは、第1、第2の非電極部42、44の輪郭に近接した位置に後退する。
【0045】
次に、図4(C)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V3(>V2)が印加された場合について詳細に説明する。
図14は図4(C)の平面図である。
図14に示すように、第2の液体16は第1の液体14によってさらに押されることにより、第1の端面壁24上における界面48aの直径が最大に拡大され、第1の端面壁24上における界面48bは、第1、第2の非電極部42、44の輪郭と合致した位置に後退する。
この際、第2の液体16は、第2の端面壁26上において第1、第2の非電極部42、44の全域にわたって延在する。
したがって、第2の液体16は、第2の非電極部68上に位置する部分の外周から各第1の非電極部66の上に沿って4つの腕が第2の非電極部68の半径方向外方に突出することになる。そのため、第2の液体16の中心部分(第2の電極部分42の上に位置する部分)の外周はそれら4つの腕の部分に引っ張られて変形する。
この結果、第1の端面壁24上における界面48aの形状は、各第1の非電極部66上に四隅が位置するほぼ矩形状を呈する。
【0046】
このように、第1の液体14は、それに印加される電圧によって接触角(第1の液体14の濡れ性)が変化することで移動し第2の液体16を押す。したがって、第2の端面壁26上において、界面48は、電圧が印加される電極部64上のみで移動し、電圧が印加されない第1、第2の非電極部42、44上には移動しない。
言い換えると、第2の端面壁26上において、第1、第2の非電極部42、44上には第2の液体16が常時位置しており、かつ、第2の液体16は第1の液体14が第2の非電極部68の半径方向外方に移動するのに伴って第1、第2の非電極部42、44から電極部64上に広がるように移動する。
【0047】
このように第1の電極18、第2の電極20の間に印加する電圧をV1からV3にわたって増減させることで界面48の形状が変化し開口径がD1からD3にわたって変化するが、第1の電極18、第2の電極20の間に印加される電圧の変化に拘わらず、図4に示す光の透過路52(開口52A)は、その中心が常に仮想軸38と合致した状態に保たれており、光の透過路52の中心が仮想軸38からずれて偏心を生じても、光の透過路52の中心が仮想軸38と合致するように自動的に復元される。このことについて詳細に説明する。
図15は光の透過路52の中心が仮想軸38と合致した状態を示す説明図、図16は光の透過路52の中心が仮想軸38からずれて偏心した状態を示す説明図、図17は図16の斜視図である。
なお、図15、図16、図17においては、説明の便宜上、仮想軸38と直交する絶縁膜32上において仮想軸38と直交し、かつ、互いに直交する2本の座標軸X、Yによって区切られる4つの象限を第1象限A、第2象限B、第3象限C、第4象限Dとして説明する。
また、各電極部64は第1象限A、第2象限B、第3象限C、第4象限Dのそれぞれに位置している。
【0048】
図15に示すように、光の透過路52(図4参照)に偏心が生じていない状態では、各電極部64上に位置している第1の液体14の面積は互いに等しく、かつ、各電極部64上に位置している第2の液体16の面積は互いに等しい。言い換えると、各電極部64上に位置している第1の液体14と第2の液体16の界面48b1の長さは互いに等しい。
ところが、図16、図17に示すように、例えば、第2の液体16が第2象限Bの方向に移動して、光の透過路52に偏心が生じると、第2の象限Bの電極部64上に位置している界面48b1の長さと、第4の象限Dの電極部64上に位置している界面48b1の長さとが等しくなくなる。
具体的には、第2の象限Bの電極部64上に位置している界面48b1の長さは、第4の象限Dの電極部64上に位置している界面48b1の長さよりも長くなる。
これは、各電極部64および各第1の非電極部66は、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66は、半径方向外方に至るにつれて第1の非電極部66の幅が次第に小さくなるように形成されているためである。
したがって、各電極部64に印加される電圧が同じであれば(同電位であれば)、第1の液体14が第2の液体16を押す単位長当たりの力は各象限で同じであるが、電極部64上に位置している界面48b1の長さが長くなるため、第2の液体16を押す力が界面48b1の長さに比例して大きくなり、第2の液体16を押す力は第4象限Dより第2象限Bのほうが大きく働くことになる。
そのため、第4の象限Dの電極部64上の界面48b1の長さが第2の象限Bの電極部64上の界面48b1の長さよりも長いことにより、第2の象限B上の第1の液体14が第2の液体16を押す力の方が、第4の象限D上の第1の液体14が第2の液体16を押す力よりも大きくなる。
その結果、第1の液体14によって第2の液体16を押す力がバランスするところまで第2の液体16が押し戻され、すなわち、図15に示すように、第2の象限Bの界面48b1の長さと第4の象限Dの界面48b1の長さとが等しくなるところまで第2の液体16が押し戻される。これにより、第2の液体16の中心と仮想軸38が合致する位置となり、この位置で第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状が安定し、光の透過路52の偏心が防止される。
【0049】
また、図13に示すように、第2の液体16は、第2の非電極部68上に位置する部分の外周から各第1の非電極部66の上に沿って4つの腕が第2の非電極部68の半径方向外方に突出しており、言い換えると、各第1の非電極部66の上に留まった第2の液体16によって4つの腕が形成されている。
そのため、第2の液体16の中心部分(第2の電極部分42の上に位置する部分)の外周はそれら4つの腕の部分に引っ張られた状態となっており、これにより第2の液体16はその中心部分が仮想軸38に合致するように常時付勢されている。
したがって、図17に示すように、第2の液体16が第2象限Bの方向に移動して第2の液体16の中心部分が仮想軸38から偏心すると、第2の液体16の中心部分に作用する前記4つの腕の部分による力のバランスが崩れ、4つの腕の部分による力は、第2の液体16の中心と仮想軸38が合致する方向に作用する。
この作用により、第2の液体16は、その中心と仮想軸38が合致する位置により確実に復元され、この位置で第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状がより一層安定し、光の透過路52の偏心の防止がより効果的に実現される。
上述した第2の液体16の中心部分に対する前記4つの腕の部分の作用については、例えば次のように説明することができる。
すなわち、太鼓の胴に皮を張って留める場合、皮の中心を胴の中心軸に合致させる必要がある。
この際、胴の中心軸の周方向に位置する皮の数箇所を胴に仮止めしておき、それら数箇所を少しずつ胴の外方に向けて引っ張ると、皮の中心を胴の中心軸に容易に合致させることができる。
これと同様に、第2の液体16に対して前記4つの腕の部分によって半径方向外方に向かう方向の力が作用することにより、第2の液体16の中心を仮想軸38と容易に合致させることができる。
また、第2の液体16が各第1の非電極部66上に留まっている状態で第1の電極18、第2の電極20の間に印加される電圧を増減した場合、第2の液体16は前記4つの腕の部分に沿って移動するため、第2の液体16を、仮想軸38を中心とする円の周方向にわたって均一にかつ円滑に移動させる上で有利となる。
【0050】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、次の効果が奏される。
光学素子10の各電極部64および各第1の非電極部66が、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66は、半径方向外方に至るにつれて第1の非電極部66の幅が次第に小さくなるように形成されていることにより、各電極部64に対して同一の電圧を印加しているにも拘わらず、第2の液体16の中心と仮想軸38が合致する位置で第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状が安定するため、光の透過路52(開口52A)の偏心が防止される。
したがって、光学素子10の光の透過路52の偏心によって生じる収差や、周辺光量の不均一によるシェーディングの発生による光学特性の低下を防止する上で有利となる。
【0051】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、第2の電極20を3つの電極部64で構成し、第1の非電極部66を3つにした点が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、図18に示すように、第2の電極20は同形同大の3つの電極部64で構成され、各電極部64の半径方向の外側に位置する部分6402が互いに接続されている。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には電極部64が形成されていない第1の非電極部66が形成されている。
本実施の形態では、同形同大の3つの第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
なお、第2の電極20を3つの電極部64で構成し、第1の非電極部66を3つにした点第1の非電極部66を3つにした点以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
このような第4の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0052】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。
図19は第5の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
第5の実施の形態では、第2の電極20を6つの電極部64で構成し、第1の非電極部66(凸部62)を6つにした点が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、図19に示すように、第2の電極20は同形同大の6つの電極部64で構成され、各電極部64の半径方向の外側に位置する部分6402が互いに接続されている。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には電極部64が形成されていない第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
本実施の形態では、同形同大の6つの第1の非電極部66が形成されている。
なお、第2の電極20を6つの電極部64で構成し、第1の非電極部66(凸部62)を6つにした点以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
このような第5の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第5の実施の形態では、電極部64および第1の非電極部66(凸部62)の数が第3の実施の形態に比較して多いため、仮想軸38を中心とする円の周方向における第1の液体14にかかる電界の力の偏りがより均一化され、したがって、第1の液体14と第2の液体16の界面48も前記周方向において均一化されるため、光学素子10の光の透過路52(開口52A)の形状がより正円に近い形状となる利点がある。
【0053】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。
図20は第6の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
第6の実施の形態では、第2の電極20を8つの電極部64で構成し、第1の非電極部66(凸部62)を8つにした点が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、図20に示すように、第2の電極20は同形同大の8つの電極部64で構成され、各電極部64の半径方向の外側に位置する部分6402が互いに接続されている。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には電極部64が形成されていない第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
本実施の形態では、同形同大の8つの第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
なお、第2の電極20を8つの電極部64で構成し、第1の非電極部66(凸部62)を8つにした点以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
このような第6の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第6の実施の形態では、電極部64および第1の非電極部66(凸部62)の数が第3の実施の形態に比較して多いため、仮想軸38を中心とする円の周方向における第1の液体14にかかる電界の力の偏りがより均一化され、したがって、第1の液体14と第2の液体16の界面48も前記周方向において均一化されるため、光学素子10の光の透過路52(開口52A)の形状がより一層正円に近い形状となる利点がある。
【0054】
(第7の実施の形態)
次に第7の実施の形態について説明する。
図21は第7の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
第7の実施の形態では、第2の電極20を構成する電極部64の形状および第1の非電極部66(凸部62)の形状が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、図10に示すように、第1の非電極部66(凸部62)の形状は、第5の実施の形態では2等辺三角形であったのに対し、第7の実施の形態ではほぼ正三角形となっている。
これに対応し、隣り合う第1の非電極部66(凸部62)間に位置する電極部64の形状、すなわち、電極部64を形成する扇形の形状も異なっている。
なお、第2の電極20を構成する電極部64の形状および第1の非電極部66(凸部62)の形状以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
このような第7の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0055】
(第8の実施の形態)
次に第8の実施の形態について説明する。
図22は第8の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
第8の実施の形態では、第1の非電極部66(凸部62)の先端(仮想軸38を中心とする半径方向外方の端部)の形状が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、図22に示すように、各電極部64の先端は、仮想軸38を中心とする単一の円周上に位置するように円弧の形状となっている。
なお、電極部64の先端の形状以外の構成は第3の実施の形態と同様である。
このような第8の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0056】
(第9の実施の形態)
次に第9の実施の形態について説明する。
図23は第9の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
第9の実施の形態では、第1の非電極部66(凸部62)が、第2の非電極部68の外周部に連続するように設けられている点が第3の実施の形態と異なっている。
すなわち、第9の実施の形態では、各電極部64の内周部と第2の非電極部68の外周部との境に円弧部70(図10参照)が形成されておらず、第1の非電極部66(凸部62)が、第2の非電極部68の外周部に連続するように設けられている。したがって、各電極部64の内周部は、仮想軸38方向に凸の角度をもって形成されている。
また、第2の電極20が5つの電極部64で構成され、第1の非電極部66(凸部62)が5つである点が第3の実施の形態と異なっている。
その他の構成については第3の実施の形態と同様である。
このような第9の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0057】
(第10の実施の形態)
次に第10の実施の形態について説明する。
図24は第10の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
図24に示すように、第2の電極開口部42は、仮想軸38を中心とする円形部60と、円形部60の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部62とで構成されている。
凸部62は、該凸部62が突出する方向と直交する方向の均一の幅を有している。
言い換えると、第2の電極20は、容器12の厚さ方向に延在する単一の仮想軸38を中心として放射方向に延在する複数の電極部64で構成されている。
本実施の形態では、第2の電極20は同形同大の6つの電極部64で構成され、各電極部64の半径方向の外側に位置する部分6402が互いに接続されている。したがって、電圧印加手段22により第2の電極20に印加される電圧、すなわち、各電極部64に印加される電圧は同一電圧となる。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には電極部64が形成されていない第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
本実施の形態では、同形同大の6つの第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
各電極部64および各第1の非電極部66(凸部62)は、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66(凸部62)は、前記半径方向に沿って均一の幅を有している。
また、仮想軸38を中心とする単一の円周上において電極部64の幅は第1の非電極部66(凸部62)の幅よりも常に大きな寸法で形成されている。
本実施の形態では、各電極部64は、仮想軸38を中心として半径方向外側に扇形状に延在し、第1の非電極部66(凸部62)の先端は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上に位置している。
また、本実施の形態では、仮想軸38を中心とする略円形の範囲に電極部64が形成されていない第2の非電極部68が設けられている。
各電極部64は第2の非電極部68の半径方向の外側に設けられ、各電極部64の前記半径方向の内縁部は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上を延在している。
各第1の非電極部66(凸部62)は、第2の非電極部68の周方向に間隔をおいた外周部から第2の非電極部68の半径方向の外側に突出して設けられ、各第1の非電極部66(凸部62)は第2の非電極部68の外周部に接続されている。
したがって、各電極部64の内周部と第2の非電極部68の外周部との境に円弧部70が形成されることになる。
このような第10の実施の形態においても第3の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0058】
(第11の実施の形態)
次に第11の実施の形態について説明する。
図25は第11の実施の形態における光学素子10の第2の電極20の平面図である。
第11の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、光学素子10がレンズを構成している。
第11の実施の形態の光学素子10の構成は、第1、第2の液体14、16の組成が異なる点を除いて、ほぼ第3の実施の形態と同様であるため、以下では、第3の実施の形態と相違する部分について説明する。
光学素子10は、電圧印加手段22による電圧印加により第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状を曲面状に変形させることで、第1、第2の端面壁24、26が互いに対向する方向である容器12の厚さ方向に進行して界面48を通過する光を屈折させるものである。
図25に示すように、光学素子10は、第3の実施の形態と同様に、容器12と、第1の液体14と、第2の液体16と、第1の電極18と、第2の電極20と、電圧印加手段22とを含んで構成されている。
第1の液体14は、有極性または導電性を有し収容室30に封入されている。
第2の液体16は、第1の液体14と互いに混合しないものであり収容室30に封入されている。
また、第1の液体14と第2の液体16は透明であり実質的に等しい比重を有している。
第2の液体16の屈折率と第1の液体14の屈折率とが異なり、本実施の形態では、第2の液体16の屈折率は第1の液体14の屈折率よりも高く形成されている。
あるいは、第2の液体16のアッベ数と第1の液体14のアッベ数とが異なるように形成されている。
あるいは、第2の液体16の屈折率と第1の液体14の屈折率とが異なり、かつ、第2の液体16のアッベ数と第1の液体14のアッベ数とが異なるように形成されている。
【0059】
第1の電極18および第2の電極20の形状配置は第3の実施の形態と同様である。
図25に示すように、第2電極開口部42は、仮想軸38を中心とする円形部60と、円形部60の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部62とで構成されている。
凸部62は、該凸部62が突出する方向と直交する方向の幅を有し、幅は凸部62が半径方向外側に至るにつれて次第に狭くなるように構成されている。
言い換えると、第2の電極20は、容器12の厚さ方向に延在する単一の仮想軸38を中心として放射方向に延在する複数の電極部64で構成されている。
仮想軸38の周方向において隣接する電極部64の間には電極部64が形成されていない第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
本実施の形態では、同形同大の4つの第1の非電極部66(凸部62)が形成されている。
各電極部64および各第1の非電極部66(凸部62)は、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66(凸部62)は、半径方向外方に至るにつれて第1の非電極部66(凸部62)の幅が次第に小さくなるように形成されている。
また、仮想軸38を中心とする単一の円周上において電極部64の幅は第1の非電極部66(凸部62)の幅よりも常に大きな寸法で形成されている。
本実施の形態では、各電極部64は、仮想軸38を中心として半径方向外側に扇形状に延在し、各第1の非電極部66(凸部62)は、半径方向外方に至るにつれて幅が次第に小さくなる二等辺三角形状に延在し、第1の非電極部66(凸部62)の先端は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上に位置している。
また、本実施の形態では、仮想軸38を中心とする略円形の範囲に電極部64が形成されていない第2の非電極部68が設けられている。
各電極部64は第2の非電極部68の半径方向の外側に設けられ、各電極部64の前記半径方向の内縁部は、仮想軸38を中心とした単一の仮想円上を延在している。
各第1の非電極部66(凸部62)は、第2の非電極部68の周方向に間隔をおいた外周部から第2の非電極部68の半径方向の外側に突出して設けられ、各第1の非電極部66(凸部62)は第2の非電極部68の外周部に接続されている。
したがって、各電極部64の内周部と第2の非電極部68の外周部との境に円弧部70が形成されることになる。
なお、図25において二点鎖線は、第3の実施の形態を示す図11と同様に、第2の端面壁26上での界面48(48b、48b1、48b2)を示す。
【0060】
次に、光学素子10の動作について図7、図8を流用して説明する。
図7に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧Vが印加されない状態では、第1、第2の液体14、16の界面48の形状は第1、第2の液体14、16の表面張力、撥水膜36上の界面張力のバランスによって決定され、第2の液体16から第1の液体14に向かって緩やかな凸状の曲面をなしている。
ここで、第2の液体16の屈折率が第1の液体14の屈折率よりも高く形成されていることから、第1、第2の端面壁24、26を通り容器12の厚さ方向に進行して界面48を通過する光は界面48で屈折され、したがって、光学素子10は光を収束させるパワーを有するレンズを構成している。
【0061】
次に、図8(A)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V1(>0)が印加されると、電気毛管現象により、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜が大きくなる。
次に、図8(B)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V2(>V1)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなる。
次に、図8(C)に示すように、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に電圧V3(>V2)が印加されると、界面48の凸状の曲面(球面)の湾曲の傾斜がさらに大きくなる。
したがって、電圧印加手段22から第1の電極18、第2の電極20に印加される電圧を調整することで、界面48の曲率を変えてレンズの焦点距離を可変できる(レンズのパワーを可変できる)。
このようにレンズを構成する光学素子10は、第2の実施の形態と同様に、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどの撮像装置の撮影光学系に適用可能である。
【0062】
以上説明したように、第11の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、次の効果が奏される。
光学素子10において、第1の電極18、第2の電極20の間に印加する電圧をV1からV3にわわたって増減させることで界面48の形状が変化しレンズの焦点距離が変化するが、第1の電極18、第2の電極20の間に印加される電圧の変化に拘わらず、レンズは、その中心が常に仮想軸38と合致した状態に保たれており、レンズの中心が仮想軸38からずれて偏心を生じても、レンズの中心が仮想軸38と合致するように自動的に復元される。
すなわち、第3の実施の形態と同様に、光学素子10の各電極部64および各第1の非電極部66(凸部62)が、仮想軸38の周方向に沿った幅をそれぞれ有し、各電極部64は、仮想軸38を中心とする円の半径方向外方に至るにつれて電極部64の幅が次第に大きくなるように形成され、各第1の非電極部66(凸部62)は、半径方向外方に至るにつれて第1の非電極部66(凸部62)の幅が次第に小さくなるように形成されていることにより、各電極部64に対して同一の電圧を印加しているにも拘わらず、第2の液体16の中心と仮想軸38が合致する位置で第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状が安定するため、レンズの偏心が防止される。
また、第3の実施の形態と同様に、第2の液体16は、第2の非電極部68上に位置する部分の外周から各第1の非電極部66(凸部62)の上に沿って4つの腕が第2の非電極部68の半径方向外方に突出しており、そのため、第2の液体16の中心部分(第2の電極部分42の上に位置する部分)の外周はそれら4つの腕の部分に引っ張られた状態となっており、これにより第2の液体16はその中心部分が仮想軸38に合致するように常時付勢され、したがって、第2の液体16の中心部分に作用する前記4つの腕の部分による力は、第2の液体16の中心と仮想軸38が合致する方向に作用する。
この作用により、第2の液体16は、その中心と仮想軸38が合致する位置により確実に復元され、この位置で第1の液体14と第2の液体16の界面48の形状がより一層安定し、レンズの偏心の防止がより効果的に実現される。
【0063】
なお、第11の実施の形態では、光学素子10の第2の電極20が第3の実施の形態と同様に構成されている場合について説明したが、第2の電極20は、第4乃至第10の実施の形態と同様に構成されていてもよいことは無論である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】電気毛管現象の原理説明図であり、(A)は電圧印加前の状態を示す図、(B)は電圧印加後の状態を示す図である。
【図2】光学素子10の基本的な構成を示す縦断面図である。
【図3】光学素子10の基本的な構成を示す斜視図である。
【図4】(A)、(B)、(C)は光学素子10の第1、第2の電極18、20に電圧V1、V2、V3が印加された場合の動作を説明する断面図である。
【図5】光学素子10を撮像装置の撮影光学系に適用した例を示す構成図である。
【図6】第1の実施の形態の光学素子10の構成を示す縦断面図である。
【図7】第2の実施の形態における光学素子10の基本的な構成を示す縦断面図である。
【図8】(A)、(B)、(C)は光学素子10の第1、第2の電極18、20に電圧V1、V2、V3が印加された場合の動作を説明する断面図である。
【図9】第2の実施の形態における光学素子10の構成を示す縦断面図である。
【図10】第3の実施の形態における光学素子10の第2の電極20の平面図である。
【図11】光学素子10の平面図である。
【図12】図4(A)における第2の液体16の形状を模式的に示す斜視図である。
【図13】図4(B)における第2の液体16の形状を模式的に示す斜視図である。
【図14】図4(C)の平面図である。
【図15】光の透過路52の中心が仮想軸38と合致した状態を示す説明図である。
【図16】光の透過路52の中心が仮想軸38からずれて偏心した状態を示す説明図である。
【図17】図16の斜視図である。
【図18】第4の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図19】第5の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図20】第6の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図21】第7の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図22】第8の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図23】第9の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図24】第10の実施の形態における第2の電極20の平面図である。
【図25】第11の実施の形態における光学素子10の第2の電極20の平面図である。
【図26】純水とエタノールの混合比と比重および屈折率の特性を示す線図である。
【図27】純水とエチレングリコールの混合比と比重および屈折率の特性を示す線図である。
【図28】純水とエタノールとエチレングリコールの比重および屈折率を示す図である。
【図29】様々な種類の液体の比重および屈折率を示す図である。
【図30】用いる各種液体の比重および屈折率の数値を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10……光学素子、12……容器、14……第1の液体、16……第2の液体、18……第1の電極、20……第2の電極、22……電圧印加手段、24……第1の端面壁、26……第2の端面壁、28……側面壁、30……収容室、32……絶縁膜、38……仮想軸、40……第1の電極開口部、42……第2の電極開口部、44……絶縁膜開口部、46……撥水膜開口部、48……界面、52……透過路、Dmax……透過路の最大直径、DLmax……界面の最大直径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記第1の電極には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より大きい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記第2の電極、あるいは、前記第2の電極および前記絶縁膜の双方には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項3】
前記第2の電極および前記絶縁膜の双方に開口部が形成され、かつ、前記第2の電極の開口部が前記透過路の最大直径と同じ大きさである場合、
前記絶縁膜の開口部は前記第2の電極の開口部と同じ大きさか、前記第2の電極の開口部よりも小さい大きさで形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の光学素子。
【請求項4】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記第1の液体の透過率は第2の液体の透過率よりも低く形成され、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面が変形し、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする光の透過路が前記第2の液体部分で形成される光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記絶縁膜が前記収容室に臨む面に前記第2の液体に対する濡れ性が前記第1の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記膜には、前記仮想軸を中心とする前記透過路の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項5】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または4記載の光学素子。
【請求項6】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成され、
前記凸部は、該凸部が突出する方向と直交する方向の均一の幅を有している、
ことを特徴とする請求項1、2または4記載の光学素子。
【請求項7】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成され、
前記凸部は、該凸部が突出する方向と直交する方向の幅を有し、
前記幅は前記凸部が半径方向外側に至るにつれて次第に狭くなるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または4記載の光学素子。
【請求項8】
前記第1の液体と第2の液体は実質的に等しい比重を有するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または4記載の光学素子。
【請求項9】
前記第1の端面壁の内面に前記第1の液体に対する濡れ性が前記第2の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または4記載の光学素子。
【請求項10】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記第1の電極には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より大きい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項11】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記絶縁膜、あるいは、前記第2の電極および前記絶縁膜の双方には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項12】
前記第2の電極および前記絶縁膜の双方に開口部が形成されている場合、
前記絶縁膜の開口部は前記第2の電極の開口部と同じ大きさか、それよりも小さい大きさで形成されている、
ことを特徴とする請求項11記載の光学素子。
【請求項13】
互いに対向する第1、第2の端面壁と、前記第1、第2の端面壁を接続する側面壁とを有し、それらの内部に密閉された収容室が形成された容器と、
前記収容室に封入された有極性または導電性を有する透明な第1の液体と、
前記収容室に封入され前記第1の液体と互いに混合しない透明な第2の液体と、
前記第1の液体に電界をかけるための第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記電圧印加手段による電圧印加によりそれら前記第1の液体と第2の液体の界面形状を変形させることで、前記第1、第2の端面壁を通り前記第1、第2の端面壁が互いに対向する方向である前記容器の厚さ方向に延在する単一の仮想軸を中心とする曲面形状からなる界面を形成し前記仮想軸方向に進行して前記界面を通過する光を屈折させる光学素子であって、
前記第1の電極は、前記収容室に臨む前記第1の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極は、前記収容室に臨む前記第2の端面壁の内面に形成され、
前記第2の電極が前記収容室に臨む面に絶縁膜が形成され、
前記絶縁膜が前記収容室に臨む面に前記第2の液体に対する濡れ性が前記第1の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成され、
前記容器の厚さ方向から見て、前記膜には、前記仮想軸を中心とする前記界面の最大直径と同じ大きさか、あるいは、前記最大直径より小さい大きさの開口部が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項14】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成されている、
ことを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項15】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成され、
前記凸部は、該凸部が突出する方向と直交する方向の均一の幅を有している、
ことを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項16】
前記開口部は、前記仮想軸を中心とする円形部と、前記円形部の外周部で周方向に間隔をおいた複数個所から半径方向外側に突出する複数の凸部とで構成され、
前記凸部は、該凸部が突出する方向と直交する方向の幅を有し、
前記幅は前記凸部が半径方向外側に至るにつれて次第に狭くなるように構成されている、
ことを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項17】
前記第1の液体と第2の液体は実質的に等しい比重を有するように形成されている、
ことを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項18】
前記第2の液体の屈折率と前記第1の液体の屈折率とが異なることを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項19】
前記第2の液体のアッベ数と前記第1の液体のアッベ数とが異なることを特徴とする請求項10、11または13記載の光学素子。
【請求項20】
前記第1の端面壁の内面に前記第1の液体に対する濡れ性が前記第2の液体に対する濡れ性よりも高い膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項9、10または12記載の光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−128791(P2009−128791A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306079(P2007−306079)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】