光学表示ユニットの製造方法およびそれに用いられるロール原反
【課題】湾曲する性質のシート製品をハーフカットし、切断されていない部材を剥離しながら、粘着剤を介してシート製品を基板に貼り合わせる際に、そのハーフカット後の搬送中に、切断されたシート製品が捲れる問題を解消し、好適にシート製品を基板に貼り合せることができるロール原反を提供する。
【解決手段】偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、シート製品は、光学部材と、光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなる。
【解決手段】偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、シート製品は、光学部材と、光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合せて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法に関するものである。また、その光学表示ユニットの製造方法に用いられるロール原反に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置に実装される光学表示ユニットの製造方法を図16に概念的に示す。まず、光学フィルム製造メーカでは、光学部材を有する長尺のシート製品をロール原反として製造する(#1)。この「長尺のシート製品」として、例えば、液晶表示装置に用いられる偏光板原反、偏光板と位相差板の積層フィルム原反等がある。次いで、ロール原反を所定サイズ(基板のサイズに従ったサイズ)にスリットする(#2)。次いで、スリットされた長尺の原反を、貼り合わされる基板のサイズに合わせて定尺切断する(#3)。次いで、定尺切断された枚葉のシート製品を外観検査する(#4)。次いで、完成品検査をする(#5)。次いで、枚葉のシート製品の4方の端面を端面加工する(#6)。これは、輸送中において、端面から粘着剤等がはみださないように防止するために行なわれる。次いで、クリーンルーム環境において、枚葉のシート製品をクリーン包装する(#7)。次いで、輸送のために包装(輸送梱包)する(#8)。以上のようにして枚葉のシート製品が製造され、パネル加工メーカに輸送される。
【0003】
パネル加工メーカでは、輸送されてきた枚葉のシート製品を梱包解体する(#11)。次いで、輸送中あるいは梱包解体時に生じた傷、汚れ等を検査するために外観検査をする(#12)。検査で良品判定された枚葉のシート製品は、次工程に搬送される。なお、この外観検査を省略する場合もある。枚葉のシート製品が貼り合わされる基板(例えば、液晶セルが封入されたガラス基板)は、予め製造され、基板は貼り合わせ工程の前に洗浄される(#13)。
【0004】
枚葉のシート製品と基板を貼り合わせて光学表示ユニットを形成する(#14)。枚葉のシート製品から粘着剤を残して離型フィルムが剥離され、粘着剤を貼り合わせ面として基板の一方の面に貼り合わせる。さらに、基板の他方の面にも同様に貼り合わせることができる。次いで、貼り合わせた状態の検査および欠点検査を行なう(#15)。この検査で良品判定された光学表示ユニットは、実装工程に搬送され、液晶表示装置に実装される(#16)。一方、不良品判定された光学表示ユニットは、リワーク処理が施される(#17)。リワーク処理で、基板から光学部材が剥離される。リワーク処理された基板は、新たに光学部材が貼り合わされる(#14)。
【0005】
以上の製造工程において、特に端面加工、枚葉のシート製品の包装、梱包解体等は、光学フィルム製造メーカとパネル加工メーカとが別々の場所に存在しているために必要な工程となっている。しかしながら、多工程による製造コストの上昇問題があり、また、多工程や輸送により生じる傷、埃、汚れ等の問題、それに伴う検査工程の必要性、さらに他種類の枚葉シート製品を在庫として保管・管理しなければならないという問題がある。
【0006】
これを解決する方法として、本出願人は、特開2007−140046号公報(特許文献1)に記載の発明を創作した。この発明によれば、光学部材を有するシート製品が巻き取られたロールからシート製品を引き出し、シート製品の欠陥を検出する。この検出結果に基づいてシート製品を切断し、枚葉のシート製品に加工する。次いで離型フィルムが剥離された後にシート製品を液晶セル基板に貼り合わせる。以上の工程を連続した製造ライン上に配置しているため、従来であれば、シート製品を打ち抜き、打ち抜き後のシート製品を厳重に梱包し、パネル加工メーカに納品していたところを、ロールに巻き付けたシート製品を直接梱包して納品することが可能となる。一方、特開2005−37416号公報(特許文献2)のように、シート製品のうち離型フィルムを残して、他の部材(例えば偏光板)を切断して、この離型フィルムによってシート製品の連続性を維持させておき、この離型フィルムを剥離しながら、粘着剤を介してシート製品を基板に貼り合せる連続製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−140046号公報
【特許文献2】特開2005−37416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この連続製造方法においては、上記の切断後の搬送経路によっては、離型フィルムから他の部材が捲れてしまい、搬送不良や基板との貼合わせ精度が悪くなるといった問題がある。特に、図17(a)(b)に示すように、シート製品のうち切断された部材Fと離型フィルムHがローラR上で90〜180度反転するような場合に、部材Fの先端部分が離型フィルムHから剥離する捲れ現象が生じ易い。このように捲れたまま搬送されると、捲れた部材Fが周囲に貼り付いて搬送不良が生じたり、捲れたままの部材Fが基板に貼り合わされてしまうと貼り合わせ精度の問題が生じることになる。以下において、シート製品のうち離型フィルムあるいは表面保護部材を残して他の部材を切断することを「ハーフカット」と称する場合がある。また、このシート製品にキャリアフィルムを貼着させ、当該キャリアフィルムを残してシート製品を切断する場合もハーフカットと称する場合がある。
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、湾曲する性質のシート製品をハーフカットし、切断されていない部材を剥離しながら、粘着剤を介してシート製品を基板に貼り合わせる際に、そのハーフカット後の搬送中に、切断されたシート製品が捲れる問題を解消し、好適にシート製品を基板に貼り合せることができる、光学表示ユニットの製造方法を提供することにある。また、その光学表示ユニットの製造方法に用いられるシート製品およびそのシート製品が巻回されてなるロール原反を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
本発明は、偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、 前記シート製品は、前記光学部材と、前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなる。
【0012】
この構成の作用効果は以下のとおりである。ロール原反に巻回された長尺のシート製品は、偏光子を有する光学部材を、粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに好適に用いられる。このシート製品は、光学部材と、光学部材の一方表面に粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを少なくとも有している。表面保護部材が粘着剤を介して離型フィルム面と反対面に設けられていてもよい。このシート製品は、外力が作用していない状態において、長尺方向に離型フィルムを内側に湾曲する構成である。なお、「外力」は、重力を除いて、例えば引っ張り力、圧力、その他の外部からの力を意味する。すなわち、シート製品が、離型フィルムを内側に湾曲する構成であるため、ハーフカットされた部材が離型フィルムから剥離することを、好適に抑制している。よって、例えば、図17のようなローラR上において、ハーフカットされた部材が離型フィルムから剥離する捲れ現象を好適に抑制することができ、基板への貼り合わせ精度も良好となる。なお、光学表示ユニットの製造方法の詳細は後述する。また、シート製品の湾曲性は、シート製品を構成する部材の一部あるいは全ての要因によって生じている。例えば、光学部材を構成する偏光子と、この偏光子の少なくとも片面に設けられるフィルム部材の構成によって湾曲性が生じる場合がある。なお、本発明において「湾曲」の状態は、湾曲面の曲率半径が同じ場合もあれば、湾曲面の部分で異なる曲率半径である場合も含む概念である。
【0013】
上記の本発明において、前記長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズでシート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmであることが好ましい。さらに、湾曲量が、10mm〜80mmであることがより好ましい。
【0014】
湾曲量は、以下の湾曲量測定方法によって評価される。図13、14に示すように、試料として、各種構成の長尺のシート製品を繰り出し、その搬送方向(長手方向:MD)に29.7cmのサイズで、搬送方向と直交する方向(幅方向:TD)に21.0cmのサイズで切断したものを用いる。測定環境としては、温度23℃、湿度55%RHとした。まず、試料を約10秒間、静置させて、湾曲方向を確認した。湾曲方向を確認したら、図13に示すように、横から見て下に凸状に湾曲するようにして、平面板の上に静置する。そして、10分後に、平面板上面から湾曲した上方端部までの高さ(h)を測定する。この高さ(h)を湾曲量とする。測定は、ステンレス製の長尺(またはデジタルノギス)を用い目視測定した。離型フィルムを内側にして湾曲している状態をマイナスカールと称し、これとは逆に離型フィルムを外側にして湾曲している状態をプラスカールと称する。湾曲量測定の試料構成の例を図14に示す。本発明の一例のシート製品は、長尺方向に、離型フィルムを内側に湾曲する(マイナスカールのシート製品)。また、他の一例のシート製品は、離型フィルムを外側に湾曲する(プラスカールのシート製品)。また、図14中、延伸PVAは、表1の仕様である。TAC2は、富士フィルム社製 TD−80ULである。PET(ポリエチレンテレフタレート)は三菱ポリエステル社製である。表面保護フィルム(表面保護部材の一例である)は、ポリエチレンテレフタレートフィルムで厚みが38μmである。表面保護フィルム側の粘着剤は、アクリル系粘着剤でその層厚みは、20μm程度である。離型フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムで厚みが25μmである。
【0015】
湾曲量が、マイナスカール方向に5mm以上の場合、ハーフカット切断後のシート製品の搬送の際に、切断されたシート製品の部材(例えば光学部材)が離型フィルムからめくれる等の問題がない。一方、湾曲量が、マイナスカール方向に100mmを越えると、切断されたシート製品の部材と基板との貼り合わせ精度が悪くなるため好ましくない。
【0016】
光学部材は、特に制限されず、後述するように多種の組み合わせ構成が例示される。
【0017】
また、本発明の一実施形態として、光学部材が、偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、光学部材が、偏光子と、その両面に長尺方向の寸法変化率が異なる第1、第2フィルムと、第2フィルムに設けられた粘着剤を有して構成されている。第1、第2フィルムは、例えば、偏光子保護フィルムとして構成される。離型フィルムは、前記粘着剤を介して第2フィルムに設けられる。このように寸法変化率の異なる第1、第2フィルムおよび偏光子自体の寸法変化率の影響によって光学部材自体が湾曲し、シート製品が離型フィルムを内側にして湾曲する構成となる。なお、光学部材の性状だけに限らず、離型フィルムや他の部材の性状によって、シート製品全体の湾曲性に影響する場合もある。
【0019】
上述の「寸法変化率(%、70℃)」の測定方法について以下に説明する。長尺方向(搬送方向)の寸法変化率を測定する場合は、搬送方向(MD)に10mm、それと直交する方向に3mmの短冊状のサンプル片を作成する。搬送方向と直交する方向の寸法変化率を測定する場合は、搬送方向と直交する方向(TDと称することがある)に10mm、搬送方向(MD)に3mmの短冊状のサンプル片を作成する。セイコーインストラメント製TMA/SS6100を用いて70℃における寸法変化率を測定する。測定条件は、以下のとおりである。サンプル片を常温スタートし、10℃/minで−50℃まで冷却し、−50℃でその後30分保持する。次に10℃/minで100℃まで昇温させ、100℃でその後30分保持する。このサイクルを3サイクル繰り返した。3サイクル繰り返した際の寸法変化をTMA/SS6100で測定した。2サイクル目のデータで寸法変化率を評価した。評価は、70℃における寸法変化量を10000で除し、100乗じて算出した((70℃における寸法変化量)÷10000×100)。
【0020】
以上のとおり本発明のロール原反は、後述する光学表示ユニットの製造方法に好適に用いることができる。
【0021】
また、本発明の光学表示ユニットの製造方法は、
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法であって、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを有する長尺のシート製品が巻回されたロール原反から、当該シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、前記離型フィルムを残して当該シート製品を切断する切断工程と、
前記離型フィルムを除去しながら、シート製品を前記粘着剤を介して前記基板に貼り合わせる貼合工程と、を有し、
前記シート製品が、外力が作用していない状態において、その長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であることを特徴とする。
【0022】
この構成の作用効果は以下のとおりである。まず、長尺のシート製品は、ロール原反として準備される。シート製品は、光学部材と離型フィルムと、光学部材の表面に剥離可能な表面保護部材を有する構成が例示できる。
【0023】
光学部材は、偏光子と偏光子保護フィルムとを少なくとも有する構成である。偏光子保護フィルムとしては、例えば、セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等が挙げられる。偏光子保護フィルムに、各種表面処理が施されていても良い。各種表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。離型フィルムは、光学部材と粘着剤を介して設けられる。
【0024】
シート製品は、外力が作用していない状態において、その長尺方向に離型フィルムを内側にして湾曲する構成である。シート製品を構成する主要部材が、光学部材であり、他の部材(例えば、離型フィルム)の影響が実質的にないと考えられる場合には、当該湾曲性の要因は、光学部材に起因する。
【0025】
以下において、ロール原反からシート製品を繰り出し搬送する方向(搬送方向)をMDと称し、搬送方向と直交する方向をTDと称することがある。
【0026】
ロール原反からシート製品を繰り出し、切断手段を用いて離型フィルムを残してシート製品を切断する(切断工程)。これにより、離型フィルムを残して、他のシート製品の部材を切断することができる。例えば、シート製品が、表面保護部材、光学部材、粘着剤、離型フィルムとの積層構成の場合、離型フィルムを残して、他の部材の表面保護部材、光学部材および粘着剤が切断される。
【0027】
その後、離型フィルムを残して他の部材を切断されたシート製品が、図17に示すように、搬送ラインによって反転するような場合にも、当該シート製品が離型フィルムを内側にして湾曲し、切断部分から他の部材が捲れることがない。
【0028】
次いで、切断工程後に、離型フィルムを除去しながら、切断されたシート製品の部材を、粘着剤を介して基板に貼り合せる(貼合工程)。すなわち、離型フィルムを剥離しながら、シート製品を基板に貼り合わせることで、シート製品の湾曲を抑制した状態を維持しながら、シート製品を構成する光学部材を基板に貼合わせることができる。基板としては、例えば、液晶セルのガラス基板、有機EL発光体基板等が挙げられる。また、基板は、貼り合わせ前に予め洗浄処理されるのが好ましい。
【0029】
よって、本発明の構成によれば、湾曲性のあるシート製品を、離型フィルムを残して他の部材を切断しても、その後の搬送中において、切断された部材が離型フィルムから捲れることがなく、切断された部材を基板に、精度良く貼り合わせることができる。
【0030】
また、上記の光学表示ユニットの製造方法において、基板の片面にシート製品(以下において、第1シート製品と称することがある)が貼着されたが、その他方面にも、同様の工程によってシート製品(以下において、第2シート製品と称することがある)を貼り合わせることができる。
【0031】
また、上記の本発明において、シート製品の長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズで前記シート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmであることを特徴とする。また、貼り合わせ精度の観点から、湾曲量が、80mm以下であることがより好ましく、より確実に捲れ防止する観点から、湾曲量が、10mm以上であることがより好ましい。この構成の作用効果は上述したとおりである。
【0032】
また、上記の本発明の一実施形態として、光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さいことを特徴とする構成がある。この構成の作用効果は上述したとおりである。
【0033】
また、上記の本発明の光学表示ユニットの製造方法の一実施形態として、
ロール原反からシート製品を繰り出し、前記離型フィルムを除去する離型フィルム除去工程と、
前記離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする欠点検査工程と、
前記欠点検査工程後に、離型フィルムを、前記粘着剤を介してシート製品に貼り合せる離型フィルム貼合工程と、をさらに有する構成が例示される。そして、切断工程において、新たに貼着された離型フィルムを切断せずに、シート製品を所定サイズに切断する構成である。この欠点検査によって、離型フィルムに内在する位相差、および離型フィルムに付着または内在する異物やキズ等の欠点を考慮する必要がなく、シート製品の欠点検査を行なえる。新たに貼着される離型フィルムは、未使用のものでもよく、使用されたことがあるものでもよい。使用されたことのある離型フィルムの場合は、予め検査し、異物や汚れ、破損等の問題のないものを使用することが好ましい。
【0034】
また、シート製品は湾曲性を有する構成である。湾曲性は、例えば、光学部材を構成する部材の相違(例えば、厚み、種類、寸法変化率等)によって生じる場合や、光学フィルムを製造する条件によって生じる場合、部材間を接着する接着剤によって生じる場合もある。さらに、長尺のシート製品を巻回してロール状にすることで、長尺方向に沿って湾曲する傾向が一層強まる。
【0035】
また、本発明において、光学表示ユニットのサイズは、その対角値が14インチから120インチの範囲であることが好ましい。サイズが大きくなるほど、光学部材は、湾曲するからである。また、14インチよりも小さいサイズであっても高湾曲性の光学部材に対して、本発明は有効である。なお、光学表示ユニットのサイズは、通常、82インチ以下のものが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図2】実施形態1の光学部材を説明するための模式図
【図3】実施形態1の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図4】実施形態2の光学部材を説明するための模式図
【図5】実施形態2の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図6】実施形態3の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図7】実施形態3の光学部材を説明するための模式図
【図8】実施形態3の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図9】実施形態4の光学部材を説明するための模式図
【図10】実施形態4の別実施形態の光学部材を説明するための模式図
【図11A】本発明の製造システムの構成について説明するための図
【図11B】本発明の製造システムの構成について説明するための図
【図12】弾性率測定方法について説明するための図
【図13】湾曲量の測定方法について説明するための図
【図14】湾曲量の測定方法について説明するための図
【図15】実施例の貼合せ精度の測定方法について説明するための図
【図16】従来の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図17】搬送中のシート製品の捲れについて説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について以下に説明する。図1に実施形態1の光学表示ユニットの製造方法のフローチャートを示す。図2に実施形態1に用いられる第1、第2光学部材の構成および基板との貼り合せ構成の模式図を示す。以下の実施形態1〜4において、第1、第2シート製品は、離型フィルムを内側にして湾曲する構成である。
【0038】
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。図2に示すように、第1シート製品1の積層構造は、第1光学部材11と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材11は、第1偏光子11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム11bとで構成されている。第1偏光子11aの搬送方向の弾性率と第1フィルム11bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側に湾曲する構成である。第1フィルム11bは、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム)である。第1フィルム11bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第1離型フィルム12は、第1偏光子11aと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム11bと粘着剤15を介して設けられている。
【0039】
「弾性率」の測定方法について以下に説明する。「弾性率」は引張弾性率である。測定方向の幅10mmで充分な長さを持つサンプル片を短冊状に切り出し、25℃の温度環境下で引張試験機(テンシロン)にて以下の条件により測定し、得られたS−S(Strain−Strength)カーブより引張弾性率を求める。搬送方向の弾性率(MD弾性率を称することがある)を測定する場合は、搬送方向と直交する方向に幅10mm、搬送方向に例えば長さ100mm長のサンプル片を切り出す。搬送方向と直交する方向の弾性率(TD弾性率を称することがある)を測定する場合は、搬送方向に幅10mm、搬送方向と直交する方向に例えば長さ100mm長のサンプル片を切り出す。
【0040】
測定条件としては、引張速度が50mm/min、チャック間が10mm、測定温度が常温である。S−Sカーブから弾性率を求める方法は、図12に示すように、S−Sカーブの初期立ち上がりのところに接線を引き、接線の延長線が100%伸び率となる位置の強度を読み取り、その値を測定したサンプル片の断面積(厚み×サンプル幅(10mm))で除した値を、引張弾性率(一般的には、ヤング率と称されることもある)とした。
【0041】
表1は、第1光学部材および後述する第2光学部材を構成する偏光子、各種フィルムの弾性率および寸法変化率の測定例を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の測定例からわかるように、偏光子や各種フィルムの弾性率、さらには寸法変化率がそれぞれ異なるため、光学部材全体として湾曲性を有するものである。光学部材は、長尺のシート製品の状態では、搬送ライン間に掛け渡されていることにより、湾曲挙動が抑制されている。しかしながら、湾曲の方向性、湾曲の程度によって、搬送中において、ハーフカットされた部材が捲れるという問題が生じる。本実施形態では、この捲れの問題を解決するために、シート製品の湾曲性を、その長尺方向に、離型フィルムを内側にして湾曲するように構成することで解決する。
【0044】
(2)第1切断工程(図1、S2)。次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、第1離型フィルム12を残して第1シート製品を切断する。これにより、第1離型フィルム12を残して、シート製品の他の部材の表面保護フィルム13、粘着剤15、第1光学部材11および第1粘着剤14を切断することができる。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
【0045】
(3)第1貼合工程(図1、S3)。次いで、第1切断工程後に、第1離型フィルム12を除去しながら、上記で切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤14を介して基板Aに貼り合せる。よって、第1離型フィルム12を剥離しても第1シート製品1の湾曲が抑制された状態で、第1光学部材11を基板Aに貼り合わせることができる。基板Aとしては、例えば、液晶セルの基板、有機EL発光体基板等が挙げられる。また、基板Aは、貼り合わせ前に予め洗浄処理されている。
【0046】
これら、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されている。以上の一連の製造工程では、基板Aの一方面に第1光学部材11を貼り合わせたものである。以下では、その他面に第2光学部材21を貼り合わる製造工程について説明する。
【0047】
(4)第2ロール原反準備工程(図1、S4)。長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。図2の示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bとで構成されている。第2偏光子21aの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2フィルム21bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第2離型フィルム22は、第2偏光子21aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0048】
(5)第2切断工程(図1、S5)。次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品2を繰り出し、切断手段を用いて第2離型フィルム22を残して、第2シート製品2の他の部材を切断する。これにより、第2離型フィルム22を残して、表面保護フルム23、粘着剤25、第2光学部材21および第2粘着剤24を切断することができる。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
【0049】
(6)第2貼合工程(図1、S6)。次いで、第2切断工程後に、第2離型フィルム22を除去しながら、上記で切断された第2シート製品の他の部材を、第2粘着剤24を介して、基板Aの第1光学部材11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。よって、第2離型フィルム22を剥離しても第2シート製品の湾曲が抑制された状態で、第2光学部材21を基板Aに貼り合わせることができる。これによって、基板Aの一方面に第1光学部材11が、その他面に第2光学部材21が貼り合わされ、両面に光学部材が設けられた光学表示ユニットを製造することができる。
【0050】
そして、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1貼合工程、第2ロール原反準備工程、第2切断工程、第2貼合工程のそれぞれの工程を連続した製造ラインで実行する。
【0051】
(7)さらに、連続工程として、検査工程(図1、S7)を有することが好ましい。検査工程としては、貼り合わせ状態を検査する検査工程と、貼り合わせ後の欠点を検査する検査工程が例示されるが、いずれか一方のみの検査でもよいが、両方の検査を行なうことが好ましい。
【0052】
(8)検査工程において、良品判定された基板は、光学表示装置に実装される(実装工程)。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たにシート製品(あるいは光学部材)が貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分とする。なお、表面保護フィルムは、各製造工程の必要に応じて光学部材から剥離される。
【0053】
(実施形態1の別実施形態)
以下では、上記実施形態1の別実施形態について説明する。ここでの製造工程は上記製造工程(1)〜(8)と同様であるため、説明は省略する。図3に別実施形態の第2シート製品の構成の模式図を示す。
【0054】
図3に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bと、第2偏光子21aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム21cと、さらに第3フィルム21cに接着剤層(不図示)を介した第4フィルム21dとで構成されている。第2シート製品2は、当該長尺方向に、第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム21bおよび第3フィルム21cは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第4フィルム21dは、位相差フィルム(例えば、PIフィルム)である。偏光子21aを挟んで対向している、第3フィルム21cの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。また、第4フィルム21dの搬送方向の弾性率もそれらと異なっている場合がある。第2離型フィルム22は、第4フィルム21dと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0055】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について以下に説明する。ここでの製造工程は上記実施形態1の製造工程(1)〜(8)と同様であるため、説明は省略する。図4に実施形態2に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0056】
図4に、第1シート製品1の積層構造の例を挙げる。第1シート製品1は、第1光学部材111と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材111は、第1偏光子111aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム111bと、第1偏光子111aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム111cとで構成されている。第1偏光子111aを挟んで対向している、第1フィルム111bの搬送方向の弾性率と第2フィルム111cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム111bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。第1離型フィルム12は、第2フィルム111cと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム111bと粘着剤15を介して設けられている。第1フィルム111b、第2フィルム11cは、偏光子保護フィルムである。
【0057】
第1フィルム111bと第2フィルム111cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムは、例えば、コニカ社製KC4UY、コニカ社製KC−4FR、富士フィルム社製TD−80UL、富士フィルム社製WVBZフィルム等から選択される。
【0058】
図4に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材121と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材121は、第2偏光子121aに接着剤層(不図示)を介して第3フィルム121bが形成されている。第2偏光子121aの搬送方向の弾性率と第3フィルム121bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3フィルム121bは、偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム)である。第2離型フィルム22は、第2偏光子121aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム121bと粘着剤25を介して設けられている。
【0059】
(実施形態2の別実施形態)
以下では、上記実施形態2の別実施形態について説明する。この別実施形態では、第2光学部材121の構成が異なっている。図5に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0060】
図5に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材221と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材221は、第2偏光子221aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム221bと、第2偏光子221aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第4フィルム221cとで構成されている。第2偏光子221aを挟んで対向している、第3フィルム221bの搬送方向の弾性率と第4フィルム221cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、かつ第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2離型フィルム22は、第4フィルム221cと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム221bと粘着剤25を介して設けられている。第3フィルム221bと第4フィルム221cは、偏光子保護フィルムである。
【0061】
第3フィルム221bと第4フィルム221cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム、アクリル系フィルムとコニカ社製KC−4FRフィルム、アクリル系フィルムとWVBZフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとコニカ社製KC−4FRフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとWVBZフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムは、例えば、コニカ社製KC4UY、コニカ社製KC−4FR、富士フィルム社製TD−80UL、富士フィルム社製WVBZフィルム等から選択される。
【0062】
また、第1光学部材111の組合せ構造(第1フィルム111bと第2フィルム111c)に対する第2光学部材221の組合せ構造(第3フィルム221bと第4フィルム221c)としては、例えば、TACフィルムとTACフィルムに対し、TACフィルムとWVBZフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとWVBZフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとWVBZフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとKC−4FRフィルムに対し、TACフィルムとKC−4FRフィルム、アクリル系フィルムとKC−4FRフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとKC−4FRフィルム等が挙げられる。TACフィルムとアートンフィルムに対し、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルムと、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとゼオノアフィルムに対し、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとポリプロピレンフィルムに対し、TACフィルムとポリプロピレンフィルム、アクリル系フィルムとポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0063】
(スキップカット方式)
また、上記第1切断工程および第2切断工程の別実施形態を以下に説明する。第1および第2ロール原反の幅方向の一方の端部には、所定ピッチ単位(例えば1000mm)に第1、第2シート製品の欠点情報(欠点座標、欠点の種類、サイズ等)がコード情報(例えばQRコード(登録商標)、バーコード)として付されている場合がある。このような場合、切断する前段階で、このコード情報を読み取り、解析して欠点部分を避けるように、第1、第2切断工程において所定サイズに切断する(スキップカットと称することがある)。そして、欠点を含む部分は除去あるいは基板ではない部材に貼り合わせるように構成し、所定サイズに切断された良品判定の枚葉の光学部材を基板に貼り合わされるように構成する。これにより、光学表示ユニットの歩留まりが大幅に向上される。
【0064】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について以下に説明する。図6に実施形態3の光学表示ユニットの製造方法のフローチャートを示す。図7に実施形態3に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0065】
(1)第1ロール原反準備工程(図6、S1)。長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。図7に示すように、第1シート製品1の積層構造は、第1光学部材11と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材11は、第1偏光子11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム11bとで構成されている。第1偏光子11aの搬送方向の弾性率と第1フィルム11bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム11bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第1フィルム11bに、表面処理を施こすことができる。第1離型フィルム12は、第1偏光子11aと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム11bと粘着剤15を介して設けられている。
【0066】
(2)第1離型フィルム除去工程(図6、S61)。次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、第1離型フィルム12を除去する。第1離型フィルム12の除去方法としては、例えば、剥離したフィルムをロールに巻くようにして連続的に剥離する方法、所定サイズ単位に第1離型フィルムのみをカットし粘着テープで剥離除去する方法、その他公知の除去方法等が挙げられる。
【0067】
(3)第1欠点検査工程(図6、S62)。次いで、第1離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする。第1離型フィルム12に内在する位相差を考慮する必要がなく、第1光学部材11の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用できる。
【0068】
(4)第2離型フィルム貼合工程(図6、S63)。次いで、第1欠点検査工程後に、第2離型フィルム12aを、第1粘着剤14を介して、第1偏光子11aに貼り合せる。貼り合せに際し、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
【0069】
(5)第1切断工程(図6、S64)。次いで、第2離型フィルム貼合工程後に、切断手段を用いて、第2離型フィルム12aを残して、第1シート製品のその他の部材を切断する。これにより、第2離型フィルム12aを残して、表面保護フィルム13、粘着剤15、第1光学部材11および第1粘着剤14を切断することができる。
【0070】
(6)第1貼合工程(図6、S65)。次いで、第1切断工程後に、前記第2離型フィルム12aを除去しながら、上記で切断された第1シート製品のその他の部材を、第1粘着剤14を介して基板Aに貼り合せる。よって、第2離型フィルム12aを剥離しても第1シート製品1の湾曲が抑制された状態で、第1光学部材11を基板Aに貼り合わせることができる。
【0071】
これら、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行される。以上の一連の製造工程では、基板Aの一方面に第1光学部材11を貼り合わせたものである。以下では、その他面に第2光学部材21を貼り合わる製造工程について説明する。
【0072】
(7)第2ロール原反準備工程(図6、S4)。長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。図7の示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bとで構成されている。第2偏光子21aの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品2は、当該長尺方向に第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム21bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第3離型フィルム22は、第2偏光子21aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0073】
(8)第3離型フィルム除去工程(図6、S66)。次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品を繰り出し、第3離型フィルム22を除去する。第3離型フィルム22の除去方法としては、上述の除去方法等を用いることができる。
【0074】
(9)第2欠点検査工程(図6、S67)。次いで、第3離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする。第3離型フィルム22に内在する位相差を考慮する必要がなく、第2光学部材21の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用できる。
【0075】
(10)第4離型フィルム貼合工程(図6、S68)。次いで、第2欠点検査工程後に、第4離型フィルム22aを、第2粘着剤24を介して、第2偏光子21aに貼り合せる。貼り合せに際し、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
【0076】
(11)第2切断工程(図6、S69)。次いで、第4離型フィルム貼合工程後に、切断手段を用いて、第4離型フィルム22aを残して、第2シート製品2の他の部材を切断する。これにより、第4離型フィルム22aを残して、表面保護フィルム23、粘着剤25、第2光学部材21および第2粘着剤24を切断することができる。
【0077】
(12)第2貼合工程(図6、S70)。次いで、第2切断工程後に、第4離型フィルム22aを除去しながら、上記で切断された第2シート製品の他の部材を、第2粘着剤24を介して、基板Aの第1光学部材11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。よって、第4離型フィルム22aを剥離しても第2光学部材21の湾曲が抑制された状態で、第2光学部材21を基板Aに貼り合わせることができる。これによって、基板Aの一方面に第1光学部材11が、その他面に第2光学部材21が貼り合わされ、両面に光学部材が設けられた光学表示ユニットを製造することができる。
【0078】
そして、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1貼合工程、第2ロール原反準備工程、第3離型フィルム除去工程、第2欠点検査工程、第4離型フィルム貼合工程、第2切断工程、第2貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行する。
【0079】
(13)さらに、連続工程として、検査工程(図6、S7)を有することが好ましい。検査工程、実装工程、リワーク処理は、上述と同様である。
【0080】
(実施形態3の別実施形態)
以下では、上記実施形態3の別実施形態について説明する。ここでの製造工程は上記製造工程(1)〜(13)と同様であるため、説明は省略する。図8に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0081】
図8に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bと、第2偏光子21aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム21cと、さらに第3フィルム21cに接着剤層(不図示)を介した第4フィルム21dとで構成されている。第2フィルム21bおよび第3フィルム21cは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第4フィルム21dは、位相差フィルム(例えば、PIフィルム)である。偏光子21aを挟んで対向している、第3フィルム21cの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。また、第4フィルム21dの搬送方向の弾性率もそれらと異なっている場合がある。第2シート製品2は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3離型フィルム22は、第4フィルム21dと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0082】
前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第3フィルム21dに貼り合せる。以下の切断工程、第2貼合工程は、上記実施形態3で説明した工程内容と同様である。
【0083】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について以下に説明する。ここでの製造工程は上記実施形態3の製造工程(1)〜(14)と同様であるため、説明は省略する。図9に実施形態4に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0084】
図9に、第1シート製品1の積層構造の例を挙げる。第1シート製品1は、第1光学部材111と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材111は、第1偏光子111aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム111bと、第1偏光子111aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム111cとで構成されている。第1偏光子111aを挟んで対向している、第1フィルム111bの搬送方向の弾性率と第2フィルム111cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム111bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。第1離型フィルム12は、第2フィルム111cと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム111bと粘着剤15を介して設けられている。第1フィルム111bは偏光子保護フィルムである。
【0085】
第1フィルム111bと第2フィルム111cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムの構成例は上述したとおりである。
【0086】
図9に示すように、前記第1離型フィルム12を除去し、欠点検査する。次いで、第2離型フィルム12aを、前記第1粘着剤14を介して、第2フィルム111cに貼り合せる。
【0087】
図9に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材121と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材121は、第2偏光子121aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム121bとで構成されている。第2偏光子121aの搬送方向の弾性率と第2フィルム121bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム121bは、偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム)である。第3離型フィルム22は、第2偏光子121aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム121bと粘着剤25を介して設けられている。
【0088】
図9に示すように、前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第2偏光子121aに貼り合せる。
【0089】
(実施形態4の別実施形態)
以下では、上記実施形態4の別実施形態について説明する。この別実施形態では、第2光学部材221の構成が異なっている。図10に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0090】
図10に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材221と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材221は、第2偏光子221aに接着剤層(不図示)を介して第3フィルム221bと、第2偏光子221aの他面に接着剤層(不図示)を介して第4フィルム221cとが形成されている。第2偏光子221aを挟んで対向している、第3フィルム221bの搬送方向の弾性率と第4フィルム221cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3離型フィルム22は、第4フィルム221cと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム221bと粘着剤25を介して設けられている。
【0091】
図10に示すように、前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第4フィルム221cに貼り合せる。第3フィルム221bと第4フィルム221cは、偏光子保護フィルムである。
【0092】
第3フィルム221bと第4フィルム221cとの組合せ構造としては、例えば、上記実施形態2の別実施形態で例示した組合せ構造が挙げられる。
【0093】
また、第1光学部材111の組合せ構造(第1フィルム111bと第2フィルム111c)に対する第2光学部材221の組合せ構造(第3フィルム221bと第4フィルム221c)としては、例えば、上記実施形態2の別実施形態で例示した組合せ構造が挙げられる。
【0094】
(実施形態1〜4の製造方法を実現する好適な製造システム)
以下に、実施形態3、4の製造方法を実現する好適な製造システムについて説明する。図11A、11Bに製造システムの概略構成を示す。
【0095】
図11A、11Bに示すように、製造システムは第1光学部材を基板に貼り合わせる第1製造部と、第1光学部材が貼り合された基板面と異なる面に第2光学部材を貼り合わせる第2製造部を有している。
【0096】
第1製造部は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置する第1設置手段と、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、搬送する第1搬送手段と、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを除去する第1離型フィルム除去手段と、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする第1欠点検査手段と、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品1に貼り合せる第2離型フィルム貼合手段と、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する第1切断手段と、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板に貼り合せる第1貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第1制御手段とを有している。
【0097】
第2製造部は、長尺の第2シート製品2の第2ロール原反を設置する第2設置手段と、第2ロール原反から第2シート製品2を繰り出し、搬送する第2搬送手段と、搬送されてきた第2シート製品2から第3離型フィルムを除去する第3離型フィルム除去手段と、第3離型フィルム除去後に、欠点検査をする第2欠点検査手段と、第2欠点検査後に、第4離型フィルムを第2粘着剤を介して第2シート製品2に貼り合せる第4離型フィルム貼合手段と、第4離型フィルムを貼り合せた後に、当該第4離型フィルムを残して、第2シート製品2の他の部材を切断する第2切断手段と、第2切断処理後に、第4離型フィルムを除去しながら、切断された第2シート製品2の他の部材を、第2粘着剤を介して、基板の第1光学部材が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる第2貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第2制御手段とを有している。
【0098】
第1製造部と第2製造部はそれぞれ単独に駆動されてもよいが、それぞれが連動するように駆動されてもよい。第1制御手段と第2制御手段によって、一連の処理工程を連動して駆動制御するように構成できる。なお、上記実施形態1および2の製造方法は、離型フィルム除去手段、欠点検査手段、離型フィルム貼合手段が省略された構成である。
【0099】
(第1製造部)
第1設置手段301は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置し、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置で構成される。第1制御手段によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0100】
第1搬送手段302は、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、各処理工程に第1シート製品1を搬送する。各工程の要所において、テンションコントロールを設置する。第1搬送手段302は、第1制御手段307によって制御されている。
【0101】
第1離型フィルム除去手段は、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを剥離除去し、ロール状に巻き取る構成である。ロールへの巻取り速度は第1制御手段によって制御されている。剥離機構(図11B参照)としては、先端が先鋭なナイフエッジを有し、このナイフエッジに第1離型フィルムを巻き掛けて反転移送することにより、第1離型フィルムを剥離除去すると共に、第1離型フィルムを剥離した後の第1シート製品1を搬送方向に搬送するように構成される。
【0102】
第1欠点検査手段303は、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする。第1欠点検査手段303はCCDカメラあるはCMOSカメラであり、取得された画像データは第1制御手段に送信される。第1制御手段は、画像データを解析し、欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第1切断手段によるスキップカットに提供される。
【0103】
第2離型フィルム貼合手段は、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品に貼り合せる。図11Aに示すように、第2離型フィルムのロール原反から第2離型フィルムを繰り出し、1または複数のローラ対で、第2離型フィルムと第1シート製品を挟持し、当該ローラ対で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対の回転速度、圧力制御、搬送制御は、第1制御手段によって制御される。
【0104】
第1切断手段304は、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する。第1切断手段304は、レーザ装置である。第1欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第1切断手段304は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で排除される。あるいは、第1切断手段304は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去あるいは仮板ユニットに貼り合わせるように構成できる。この場合の制御も第1制御手段の機能による。
【0105】
また、第1切断手段304は、第1シート製品1を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第1シート製品1の上方に備える。第1シート製品1の幅方向にレーザを走査させるように水平移動し、最下部の第2離型フィルムを残して、表面保護フィルム、粘着剤層、第1光学部材、第1粘着剤をその搬送方向に所定ピッチで切断する。また、このレーザ装置は、第1シート製品1の幅方向から挟むようにして、切断部位に向けて温風を吹き付けるエアーノズルと、この温風により搬送される切断部位から発生したガス(煙)を集煙する集煙ダクトとが対向した状態で一体構成されていることが好ましい。第1シート製品1を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第1シート製品1の連続搬送を停止しないように、搬送機構の段差ローラ302a、302bは上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も第1制御手段の制御による。
【0106】
第1貼合手段は、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、上記で切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板Wに貼り合せる。図11Bに示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ305および案内ローラ3051によって、第1シート製品1を基板W面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ305の押さえ圧力、動作は、第1制御手段によって制御される。剥離機構としては、先端が先鋭なナイフエッジN1を有し、このナイフエッジN1に第2離型フィルムH1を巻き掛けて反転移送することにより、第2離型フィルムH1を剥離除去すると共に、第2離型フィルムH1を剥離した後の第1シート製品1を基板W面に送り出すように構成される。この際に、第2離型フィルムH1に150N/m以上1000N/m以下の張力をかけた状態および/または、第1シート製品1を第2離型フィルムH1が除去されてから基板W面に圧接するまでの時間を3秒以内で行なうことにより、第1シート製品1の貼り合わせ精度を向上させることができる。張力が150N/mより小さいと第1シート製品1の送り出し位置が安定せず、1000N/mより大きいと第2離型フィルムH1が伸びて破断するおそれがあり、圧接するまでの時間が3秒よりも長いと、第2離型フィルムH1から剥離された第1シート製品1端部が湾曲して折れや気泡が発生するおそれがある。貼合せ機構としては、押さえロ一ラ305とそれに対向して配置される案内ローラ3051とから構成されている。案内ローラ3051は、モータ駆動されるゴムローラで構成され、その直上方にはモータ駆動される金属ローラからなる押さえローラ305が昇降可能に配備されており、基板Wを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ305はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ3051および押さえローラ305は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。基板Wは予め洗浄され、ストックされている。吸着搬送手段306によって、搬送機構に配置される。この制御も第1制御手段の制御による。
【0107】
(第2製造部)
第2製造部の各工程において、第2設置手段、第2搬送手段、第3離型フィルム除去手段、第2欠点検査手段、第4離型フィルム貼合手段、第2切断手段、第2貼合手段は、第1製造部の対応する手段と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0108】
第1製造部において製造された基板W1が第2製造部に搬送される。搬送過程において、或いは第2製造部において、基板W1は上下反転される。上下反転手段(不図示)は、上面から吸着手段で基板W1を吸着し、持ち上げ、上下を反転させて、搬送機構に再度配置させるように構成される。この制御は第2制御手段の機能による。なお、別実施形態として、上下反転処理を行なわない構成も可能である。この場合、第2製造部において、第2シート製品2を通常と異なり、反転させた状態で(離型フィルムが上面となるようにして)各工程を処理し、第2光学部材を基板W1の下側から貼り合わせるように構成される。なお、第2光学部材を第1光学部材と90°の関係(クロスニコルの関係)に貼り合わせる場合は、基板W1を90°回転させてから第2光学部材が貼り合わされる。
【0109】
第1制御手段、第2制御手段は、各工程の上記手段を連動するように制御する。それぞれの動作タイミングは、所定の位置にセンサを配置したり、搬送機構の回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。第1、第2制御手段は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。
【0110】
(別実施形態)
上記実施例では、欠点部分を含むシート製品は、仮板ユニットに貼り合わせて回収していたが、帯状のセパレータに貼り合わせて巻取り回収するように構成してもよい。
【0111】
欠点検査は公知の欠点検査方法が適用できる。欠点検査方法としては、例えば、自動検査装置及び検査者による目視検査が挙げられる。自動検査装置は、シート製品の欠点(欠陥とも称される)を自動で検査する装置であり、光を照射し、その反射光像や透過光像をラインセンサーや2次元TVカメラなどの撮像部を介して取得し、取得された画像データに基づいて、欠点検出を行う。また、光源と撮像部の間の光路中に検査用偏光フィルタを介在させた状態で画像データを取得する。通常、この検査用偏光フィルタの偏光軸(例えば、偏光吸収軸)は、検査対象である偏光板の偏光軸(例えば、偏光吸収軸)と直交する状態(クロスニコル)となるように配置される。クロスニコルに配置することで、仮に欠点が存在しなければ撮像部から全面黒の画像が入力されるが、欠点が存在すれば、その部分が黒にならない(輝点として認識される)。従って、適宜のしきい値を設定することで、欠点を検出することができる。このような輝点検出では、表面付着物、内部の異物等の欠点が輝点として検出される。また、この輝点検出のほかに、対象物に対して透過光画像をCCD撮像し画像解析することで異物検出する方法もある。また、対象物に対して反射光画像をCCD撮像し画像解析することで表面付着異物を検出する方法もある。
【0112】
(光学部材)
前記においても、第1光学部材、第2光学部材を構成する偏光子、および偏光子の片側または両側に用いられる偏光子保護フィルムについては一部説明しているが、一般的には、以下の材料を例示できる。これらから、少なくとも、偏光子、および偏光子の片側または両側に用いられるフィルムの組み合わせに関して、搬送方向の弾性率、寸法変化率がそれぞれ異なるような組み合わせで用いることがある。
【0113】
(偏光子)
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
【0114】
上記のポリビニルアルコール系ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、カチオン性モノマー等の共重合可能なモノマーを共重合したもの、等が挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度は、特に制限されず任意のものを使用することができるが、1000以上が好ましく、より好ましくは2000〜5000である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのケン化度は85モル%以上が好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。
【0115】
製造される偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定するものではなく、また、偏光子の厚さを調整する方法に関しても、特に限定するものではなく、テンター、ロール延伸や圧延等の通常の方法を用いることができる。
【0116】
偏光子とその保護層である透明の偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0117】
(偏光子保護フィルム)
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護フィルムには、適宜な透明フィルムを用いることができる。例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。また、非晶性POフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)系フィルム、アートンフィルム(JSR製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン製)等が挙げられる。
【0118】
また、上記の透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0119】
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0120】
光学部材は、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造の光学フィルムが例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。
【0121】
(位相差板)
偏光子に積層される光学フィルムの一例として位相差板が挙げられる。位相差板としては、高分子材料を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0122】
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0123】
(視角補償フィルム)
また、偏光子に積層される光学フィルムの一例として視角補償フィルムがある。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0124】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0125】
(輝度向上フィルム)
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常、液晶セル基板の裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
【0126】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0127】
(粘着剤)
本発明による偏光板や、前記の積層光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層が設けられる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と偏光子保護フィルムの層からなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、偏光子保護層の片面または両面に粘着層を設ければよい。
【0128】
(離型フィルム)
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型フィルムが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。離型フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0129】
(表面保護部材)
この離型フィルムが設けられた面と反対面の偏光板には、表面保護部材が、例えば、弱粘着剤を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。表面保護部材としては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0130】
なお本発明において、上記した偏光子や偏光子保護フィルムやほかのフィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0131】
(光学表示装置)
光学部材は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。
【0132】
光学部材は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル基板と光学部材及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学部材を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セル基板についても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0133】
(実施例)
各種フィルム構成の光学部材を有するシート製品を、上述の実施形態4の製造方法を用いて基板に貼り合わせた。その結果を表2、3に示す。また、シート製品のTAC1またはTAC2側の表面層に、厚み20μm程度のアクリル系粘着剤を介して、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(表面保護フィルム)、αフィルム側あるいは延伸PVA側に、厚み20μm程度のアクリル系粘着剤を介して、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型フィルム)が設けられている。
【0134】
貼合せ精度の測定方法を図15に示す。シート製品Bが、貼り合わせ方向kに従って、基板Aに貼り合わされる。基板AのP1,P2の位置において、基板端面から光学部材端面までの距離を測定する。P1,P2は、基板Aのそれぞれの幅端面から20mmの位置とする。貼り合わせ位置は、あらかじめ設定されており、正確に貼り合わされていれば、設定値と同じ値になる。設定値は、いずれも5.5mmとする。貼合せ精度は、この設定値から測定値を除算して得られる。算出された値が負であれば、シート製品Bが基板Aに対し、貼り合わせ方向kと逆の方向にずれて貼られていることを意味する。一方、算出された値が正であれば、シート製品Bが基板Aに対し、貼り合わせ方向kにずれて貼られていることを意味する。なお、シート製品Bは、光学部材、表面保護フィルムを有して構成されている。
【0135】
ロールめくれ評価は、ハーフカット後のシート製品を、75mm直径のロールに速度5m/minで180°ターンさせた時の、離型フィルムからのシート製品のめくれ状態を観察した。10mm以上のめくれがあれば、「×」とし、10mm未満のめくれがあれば「△」、めくれがなければ「○」とする。また、弾性率、寸法変化率、湾曲量の測定方法は、上述した方法で測定している。
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
表2、3の結果からは分かるように、実施例1から16の構成のシート製品では、シート製品の長尺方向に、離型フィルムを内側にして湾曲する構成(マイナスカール)であり、ロールめくれは観測されなかった。また、表2、3のシート製品の構成において、湾曲量が、5mm〜100mmの範囲では、貼り合わせ精度も良好であった。一方、比較例1、2の場合、ロールめくれが観測され、また、貼り合わせ不良が発生した。
【符号の説明】
【0139】
1 第1シート製品
2 第2シート製品
11 第1光学部材
11a 偏光子
11b 第1フィルム
12 第1離型フィルム
13 保護フィルム
14 第1粘着剤
21 第2光学部材
21a 偏光子
21b 第2フィルム
22 第2離型フィルム
23 保護フィルム
24 第2粘着剤
A 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合せて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法に関するものである。また、その光学表示ユニットの製造方法に用いられるロール原反に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置に実装される光学表示ユニットの製造方法を図16に概念的に示す。まず、光学フィルム製造メーカでは、光学部材を有する長尺のシート製品をロール原反として製造する(#1)。この「長尺のシート製品」として、例えば、液晶表示装置に用いられる偏光板原反、偏光板と位相差板の積層フィルム原反等がある。次いで、ロール原反を所定サイズ(基板のサイズに従ったサイズ)にスリットする(#2)。次いで、スリットされた長尺の原反を、貼り合わされる基板のサイズに合わせて定尺切断する(#3)。次いで、定尺切断された枚葉のシート製品を外観検査する(#4)。次いで、完成品検査をする(#5)。次いで、枚葉のシート製品の4方の端面を端面加工する(#6)。これは、輸送中において、端面から粘着剤等がはみださないように防止するために行なわれる。次いで、クリーンルーム環境において、枚葉のシート製品をクリーン包装する(#7)。次いで、輸送のために包装(輸送梱包)する(#8)。以上のようにして枚葉のシート製品が製造され、パネル加工メーカに輸送される。
【0003】
パネル加工メーカでは、輸送されてきた枚葉のシート製品を梱包解体する(#11)。次いで、輸送中あるいは梱包解体時に生じた傷、汚れ等を検査するために外観検査をする(#12)。検査で良品判定された枚葉のシート製品は、次工程に搬送される。なお、この外観検査を省略する場合もある。枚葉のシート製品が貼り合わされる基板(例えば、液晶セルが封入されたガラス基板)は、予め製造され、基板は貼り合わせ工程の前に洗浄される(#13)。
【0004】
枚葉のシート製品と基板を貼り合わせて光学表示ユニットを形成する(#14)。枚葉のシート製品から粘着剤を残して離型フィルムが剥離され、粘着剤を貼り合わせ面として基板の一方の面に貼り合わせる。さらに、基板の他方の面にも同様に貼り合わせることができる。次いで、貼り合わせた状態の検査および欠点検査を行なう(#15)。この検査で良品判定された光学表示ユニットは、実装工程に搬送され、液晶表示装置に実装される(#16)。一方、不良品判定された光学表示ユニットは、リワーク処理が施される(#17)。リワーク処理で、基板から光学部材が剥離される。リワーク処理された基板は、新たに光学部材が貼り合わされる(#14)。
【0005】
以上の製造工程において、特に端面加工、枚葉のシート製品の包装、梱包解体等は、光学フィルム製造メーカとパネル加工メーカとが別々の場所に存在しているために必要な工程となっている。しかしながら、多工程による製造コストの上昇問題があり、また、多工程や輸送により生じる傷、埃、汚れ等の問題、それに伴う検査工程の必要性、さらに他種類の枚葉シート製品を在庫として保管・管理しなければならないという問題がある。
【0006】
これを解決する方法として、本出願人は、特開2007−140046号公報(特許文献1)に記載の発明を創作した。この発明によれば、光学部材を有するシート製品が巻き取られたロールからシート製品を引き出し、シート製品の欠陥を検出する。この検出結果に基づいてシート製品を切断し、枚葉のシート製品に加工する。次いで離型フィルムが剥離された後にシート製品を液晶セル基板に貼り合わせる。以上の工程を連続した製造ライン上に配置しているため、従来であれば、シート製品を打ち抜き、打ち抜き後のシート製品を厳重に梱包し、パネル加工メーカに納品していたところを、ロールに巻き付けたシート製品を直接梱包して納品することが可能となる。一方、特開2005−37416号公報(特許文献2)のように、シート製品のうち離型フィルムを残して、他の部材(例えば偏光板)を切断して、この離型フィルムによってシート製品の連続性を維持させておき、この離型フィルムを剥離しながら、粘着剤を介してシート製品を基板に貼り合せる連続製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−140046号公報
【特許文献2】特開2005−37416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この連続製造方法においては、上記の切断後の搬送経路によっては、離型フィルムから他の部材が捲れてしまい、搬送不良や基板との貼合わせ精度が悪くなるといった問題がある。特に、図17(a)(b)に示すように、シート製品のうち切断された部材Fと離型フィルムHがローラR上で90〜180度反転するような場合に、部材Fの先端部分が離型フィルムHから剥離する捲れ現象が生じ易い。このように捲れたまま搬送されると、捲れた部材Fが周囲に貼り付いて搬送不良が生じたり、捲れたままの部材Fが基板に貼り合わされてしまうと貼り合わせ精度の問題が生じることになる。以下において、シート製品のうち離型フィルムあるいは表面保護部材を残して他の部材を切断することを「ハーフカット」と称する場合がある。また、このシート製品にキャリアフィルムを貼着させ、当該キャリアフィルムを残してシート製品を切断する場合もハーフカットと称する場合がある。
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、湾曲する性質のシート製品をハーフカットし、切断されていない部材を剥離しながら、粘着剤を介してシート製品を基板に貼り合わせる際に、そのハーフカット後の搬送中に、切断されたシート製品が捲れる問題を解消し、好適にシート製品を基板に貼り合せることができる、光学表示ユニットの製造方法を提供することにある。また、その光学表示ユニットの製造方法に用いられるシート製品およびそのシート製品が巻回されてなるロール原反を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
本発明は、偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、 前記シート製品は、前記光学部材と、前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなる。
【0012】
この構成の作用効果は以下のとおりである。ロール原反に巻回された長尺のシート製品は、偏光子を有する光学部材を、粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに好適に用いられる。このシート製品は、光学部材と、光学部材の一方表面に粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを少なくとも有している。表面保護部材が粘着剤を介して離型フィルム面と反対面に設けられていてもよい。このシート製品は、外力が作用していない状態において、長尺方向に離型フィルムを内側に湾曲する構成である。なお、「外力」は、重力を除いて、例えば引っ張り力、圧力、その他の外部からの力を意味する。すなわち、シート製品が、離型フィルムを内側に湾曲する構成であるため、ハーフカットされた部材が離型フィルムから剥離することを、好適に抑制している。よって、例えば、図17のようなローラR上において、ハーフカットされた部材が離型フィルムから剥離する捲れ現象を好適に抑制することができ、基板への貼り合わせ精度も良好となる。なお、光学表示ユニットの製造方法の詳細は後述する。また、シート製品の湾曲性は、シート製品を構成する部材の一部あるいは全ての要因によって生じている。例えば、光学部材を構成する偏光子と、この偏光子の少なくとも片面に設けられるフィルム部材の構成によって湾曲性が生じる場合がある。なお、本発明において「湾曲」の状態は、湾曲面の曲率半径が同じ場合もあれば、湾曲面の部分で異なる曲率半径である場合も含む概念である。
【0013】
上記の本発明において、前記長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズでシート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmであることが好ましい。さらに、湾曲量が、10mm〜80mmであることがより好ましい。
【0014】
湾曲量は、以下の湾曲量測定方法によって評価される。図13、14に示すように、試料として、各種構成の長尺のシート製品を繰り出し、その搬送方向(長手方向:MD)に29.7cmのサイズで、搬送方向と直交する方向(幅方向:TD)に21.0cmのサイズで切断したものを用いる。測定環境としては、温度23℃、湿度55%RHとした。まず、試料を約10秒間、静置させて、湾曲方向を確認した。湾曲方向を確認したら、図13に示すように、横から見て下に凸状に湾曲するようにして、平面板の上に静置する。そして、10分後に、平面板上面から湾曲した上方端部までの高さ(h)を測定する。この高さ(h)を湾曲量とする。測定は、ステンレス製の長尺(またはデジタルノギス)を用い目視測定した。離型フィルムを内側にして湾曲している状態をマイナスカールと称し、これとは逆に離型フィルムを外側にして湾曲している状態をプラスカールと称する。湾曲量測定の試料構成の例を図14に示す。本発明の一例のシート製品は、長尺方向に、離型フィルムを内側に湾曲する(マイナスカールのシート製品)。また、他の一例のシート製品は、離型フィルムを外側に湾曲する(プラスカールのシート製品)。また、図14中、延伸PVAは、表1の仕様である。TAC2は、富士フィルム社製 TD−80ULである。PET(ポリエチレンテレフタレート)は三菱ポリエステル社製である。表面保護フィルム(表面保護部材の一例である)は、ポリエチレンテレフタレートフィルムで厚みが38μmである。表面保護フィルム側の粘着剤は、アクリル系粘着剤でその層厚みは、20μm程度である。離型フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムで厚みが25μmである。
【0015】
湾曲量が、マイナスカール方向に5mm以上の場合、ハーフカット切断後のシート製品の搬送の際に、切断されたシート製品の部材(例えば光学部材)が離型フィルムからめくれる等の問題がない。一方、湾曲量が、マイナスカール方向に100mmを越えると、切断されたシート製品の部材と基板との貼り合わせ精度が悪くなるため好ましくない。
【0016】
光学部材は、特に制限されず、後述するように多種の組み合わせ構成が例示される。
【0017】
また、本発明の一実施形態として、光学部材が、偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、光学部材が、偏光子と、その両面に長尺方向の寸法変化率が異なる第1、第2フィルムと、第2フィルムに設けられた粘着剤を有して構成されている。第1、第2フィルムは、例えば、偏光子保護フィルムとして構成される。離型フィルムは、前記粘着剤を介して第2フィルムに設けられる。このように寸法変化率の異なる第1、第2フィルムおよび偏光子自体の寸法変化率の影響によって光学部材自体が湾曲し、シート製品が離型フィルムを内側にして湾曲する構成となる。なお、光学部材の性状だけに限らず、離型フィルムや他の部材の性状によって、シート製品全体の湾曲性に影響する場合もある。
【0019】
上述の「寸法変化率(%、70℃)」の測定方法について以下に説明する。長尺方向(搬送方向)の寸法変化率を測定する場合は、搬送方向(MD)に10mm、それと直交する方向に3mmの短冊状のサンプル片を作成する。搬送方向と直交する方向の寸法変化率を測定する場合は、搬送方向と直交する方向(TDと称することがある)に10mm、搬送方向(MD)に3mmの短冊状のサンプル片を作成する。セイコーインストラメント製TMA/SS6100を用いて70℃における寸法変化率を測定する。測定条件は、以下のとおりである。サンプル片を常温スタートし、10℃/minで−50℃まで冷却し、−50℃でその後30分保持する。次に10℃/minで100℃まで昇温させ、100℃でその後30分保持する。このサイクルを3サイクル繰り返した。3サイクル繰り返した際の寸法変化をTMA/SS6100で測定した。2サイクル目のデータで寸法変化率を評価した。評価は、70℃における寸法変化量を10000で除し、100乗じて算出した((70℃における寸法変化量)÷10000×100)。
【0020】
以上のとおり本発明のロール原反は、後述する光学表示ユニットの製造方法に好適に用いることができる。
【0021】
また、本発明の光学表示ユニットの製造方法は、
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法であって、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを有する長尺のシート製品が巻回されたロール原反から、当該シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、前記離型フィルムを残して当該シート製品を切断する切断工程と、
前記離型フィルムを除去しながら、シート製品を前記粘着剤を介して前記基板に貼り合わせる貼合工程と、を有し、
前記シート製品が、外力が作用していない状態において、その長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であることを特徴とする。
【0022】
この構成の作用効果は以下のとおりである。まず、長尺のシート製品は、ロール原反として準備される。シート製品は、光学部材と離型フィルムと、光学部材の表面に剥離可能な表面保護部材を有する構成が例示できる。
【0023】
光学部材は、偏光子と偏光子保護フィルムとを少なくとも有する構成である。偏光子保護フィルムとしては、例えば、セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等が挙げられる。偏光子保護フィルムに、各種表面処理が施されていても良い。各種表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。離型フィルムは、光学部材と粘着剤を介して設けられる。
【0024】
シート製品は、外力が作用していない状態において、その長尺方向に離型フィルムを内側にして湾曲する構成である。シート製品を構成する主要部材が、光学部材であり、他の部材(例えば、離型フィルム)の影響が実質的にないと考えられる場合には、当該湾曲性の要因は、光学部材に起因する。
【0025】
以下において、ロール原反からシート製品を繰り出し搬送する方向(搬送方向)をMDと称し、搬送方向と直交する方向をTDと称することがある。
【0026】
ロール原反からシート製品を繰り出し、切断手段を用いて離型フィルムを残してシート製品を切断する(切断工程)。これにより、離型フィルムを残して、他のシート製品の部材を切断することができる。例えば、シート製品が、表面保護部材、光学部材、粘着剤、離型フィルムとの積層構成の場合、離型フィルムを残して、他の部材の表面保護部材、光学部材および粘着剤が切断される。
【0027】
その後、離型フィルムを残して他の部材を切断されたシート製品が、図17に示すように、搬送ラインによって反転するような場合にも、当該シート製品が離型フィルムを内側にして湾曲し、切断部分から他の部材が捲れることがない。
【0028】
次いで、切断工程後に、離型フィルムを除去しながら、切断されたシート製品の部材を、粘着剤を介して基板に貼り合せる(貼合工程)。すなわち、離型フィルムを剥離しながら、シート製品を基板に貼り合わせることで、シート製品の湾曲を抑制した状態を維持しながら、シート製品を構成する光学部材を基板に貼合わせることができる。基板としては、例えば、液晶セルのガラス基板、有機EL発光体基板等が挙げられる。また、基板は、貼り合わせ前に予め洗浄処理されるのが好ましい。
【0029】
よって、本発明の構成によれば、湾曲性のあるシート製品を、離型フィルムを残して他の部材を切断しても、その後の搬送中において、切断された部材が離型フィルムから捲れることがなく、切断された部材を基板に、精度良く貼り合わせることができる。
【0030】
また、上記の光学表示ユニットの製造方法において、基板の片面にシート製品(以下において、第1シート製品と称することがある)が貼着されたが、その他方面にも、同様の工程によってシート製品(以下において、第2シート製品と称することがある)を貼り合わせることができる。
【0031】
また、上記の本発明において、シート製品の長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズで前記シート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmであることを特徴とする。また、貼り合わせ精度の観点から、湾曲量が、80mm以下であることがより好ましく、より確実に捲れ防止する観点から、湾曲量が、10mm以上であることがより好ましい。この構成の作用効果は上述したとおりである。
【0032】
また、上記の本発明の一実施形態として、光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さいことを特徴とする構成がある。この構成の作用効果は上述したとおりである。
【0033】
また、上記の本発明の光学表示ユニットの製造方法の一実施形態として、
ロール原反からシート製品を繰り出し、前記離型フィルムを除去する離型フィルム除去工程と、
前記離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする欠点検査工程と、
前記欠点検査工程後に、離型フィルムを、前記粘着剤を介してシート製品に貼り合せる離型フィルム貼合工程と、をさらに有する構成が例示される。そして、切断工程において、新たに貼着された離型フィルムを切断せずに、シート製品を所定サイズに切断する構成である。この欠点検査によって、離型フィルムに内在する位相差、および離型フィルムに付着または内在する異物やキズ等の欠点を考慮する必要がなく、シート製品の欠点検査を行なえる。新たに貼着される離型フィルムは、未使用のものでもよく、使用されたことがあるものでもよい。使用されたことのある離型フィルムの場合は、予め検査し、異物や汚れ、破損等の問題のないものを使用することが好ましい。
【0034】
また、シート製品は湾曲性を有する構成である。湾曲性は、例えば、光学部材を構成する部材の相違(例えば、厚み、種類、寸法変化率等)によって生じる場合や、光学フィルムを製造する条件によって生じる場合、部材間を接着する接着剤によって生じる場合もある。さらに、長尺のシート製品を巻回してロール状にすることで、長尺方向に沿って湾曲する傾向が一層強まる。
【0035】
また、本発明において、光学表示ユニットのサイズは、その対角値が14インチから120インチの範囲であることが好ましい。サイズが大きくなるほど、光学部材は、湾曲するからである。また、14インチよりも小さいサイズであっても高湾曲性の光学部材に対して、本発明は有効である。なお、光学表示ユニットのサイズは、通常、82インチ以下のものが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図2】実施形態1の光学部材を説明するための模式図
【図3】実施形態1の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図4】実施形態2の光学部材を説明するための模式図
【図5】実施形態2の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図6】実施形態3の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図7】実施形態3の光学部材を説明するための模式図
【図8】実施形態3の別実施形態の光学フィルムを説明するための模式図
【図9】実施形態4の光学部材を説明するための模式図
【図10】実施形態4の別実施形態の光学部材を説明するための模式図
【図11A】本発明の製造システムの構成について説明するための図
【図11B】本発明の製造システムの構成について説明するための図
【図12】弾性率測定方法について説明するための図
【図13】湾曲量の測定方法について説明するための図
【図14】湾曲量の測定方法について説明するための図
【図15】実施例の貼合せ精度の測定方法について説明するための図
【図16】従来の光学表示ユニットの製造方法のフローチャート
【図17】搬送中のシート製品の捲れについて説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について以下に説明する。図1に実施形態1の光学表示ユニットの製造方法のフローチャートを示す。図2に実施形態1に用いられる第1、第2光学部材の構成および基板との貼り合せ構成の模式図を示す。以下の実施形態1〜4において、第1、第2シート製品は、離型フィルムを内側にして湾曲する構成である。
【0038】
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。図2に示すように、第1シート製品1の積層構造は、第1光学部材11と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材11は、第1偏光子11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム11bとで構成されている。第1偏光子11aの搬送方向の弾性率と第1フィルム11bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側に湾曲する構成である。第1フィルム11bは、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム)である。第1フィルム11bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第1離型フィルム12は、第1偏光子11aと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム11bと粘着剤15を介して設けられている。
【0039】
「弾性率」の測定方法について以下に説明する。「弾性率」は引張弾性率である。測定方向の幅10mmで充分な長さを持つサンプル片を短冊状に切り出し、25℃の温度環境下で引張試験機(テンシロン)にて以下の条件により測定し、得られたS−S(Strain−Strength)カーブより引張弾性率を求める。搬送方向の弾性率(MD弾性率を称することがある)を測定する場合は、搬送方向と直交する方向に幅10mm、搬送方向に例えば長さ100mm長のサンプル片を切り出す。搬送方向と直交する方向の弾性率(TD弾性率を称することがある)を測定する場合は、搬送方向に幅10mm、搬送方向と直交する方向に例えば長さ100mm長のサンプル片を切り出す。
【0040】
測定条件としては、引張速度が50mm/min、チャック間が10mm、測定温度が常温である。S−Sカーブから弾性率を求める方法は、図12に示すように、S−Sカーブの初期立ち上がりのところに接線を引き、接線の延長線が100%伸び率となる位置の強度を読み取り、その値を測定したサンプル片の断面積(厚み×サンプル幅(10mm))で除した値を、引張弾性率(一般的には、ヤング率と称されることもある)とした。
【0041】
表1は、第1光学部材および後述する第2光学部材を構成する偏光子、各種フィルムの弾性率および寸法変化率の測定例を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の測定例からわかるように、偏光子や各種フィルムの弾性率、さらには寸法変化率がそれぞれ異なるため、光学部材全体として湾曲性を有するものである。光学部材は、長尺のシート製品の状態では、搬送ライン間に掛け渡されていることにより、湾曲挙動が抑制されている。しかしながら、湾曲の方向性、湾曲の程度によって、搬送中において、ハーフカットされた部材が捲れるという問題が生じる。本実施形態では、この捲れの問題を解決するために、シート製品の湾曲性を、その長尺方向に、離型フィルムを内側にして湾曲するように構成することで解決する。
【0044】
(2)第1切断工程(図1、S2)。次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、第1離型フィルム12を残して第1シート製品を切断する。これにより、第1離型フィルム12を残して、シート製品の他の部材の表面保護フィルム13、粘着剤15、第1光学部材11および第1粘着剤14を切断することができる。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
【0045】
(3)第1貼合工程(図1、S3)。次いで、第1切断工程後に、第1離型フィルム12を除去しながら、上記で切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤14を介して基板Aに貼り合せる。よって、第1離型フィルム12を剥離しても第1シート製品1の湾曲が抑制された状態で、第1光学部材11を基板Aに貼り合わせることができる。基板Aとしては、例えば、液晶セルの基板、有機EL発光体基板等が挙げられる。また、基板Aは、貼り合わせ前に予め洗浄処理されている。
【0046】
これら、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されている。以上の一連の製造工程では、基板Aの一方面に第1光学部材11を貼り合わせたものである。以下では、その他面に第2光学部材21を貼り合わる製造工程について説明する。
【0047】
(4)第2ロール原反準備工程(図1、S4)。長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。図2の示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bとで構成されている。第2偏光子21aの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2フィルム21bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第2離型フィルム22は、第2偏光子21aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0048】
(5)第2切断工程(図1、S5)。次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品2を繰り出し、切断手段を用いて第2離型フィルム22を残して、第2シート製品2の他の部材を切断する。これにより、第2離型フィルム22を残して、表面保護フルム23、粘着剤25、第2光学部材21および第2粘着剤24を切断することができる。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
【0049】
(6)第2貼合工程(図1、S6)。次いで、第2切断工程後に、第2離型フィルム22を除去しながら、上記で切断された第2シート製品の他の部材を、第2粘着剤24を介して、基板Aの第1光学部材11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。よって、第2離型フィルム22を剥離しても第2シート製品の湾曲が抑制された状態で、第2光学部材21を基板Aに貼り合わせることができる。これによって、基板Aの一方面に第1光学部材11が、その他面に第2光学部材21が貼り合わされ、両面に光学部材が設けられた光学表示ユニットを製造することができる。
【0050】
そして、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1貼合工程、第2ロール原反準備工程、第2切断工程、第2貼合工程のそれぞれの工程を連続した製造ラインで実行する。
【0051】
(7)さらに、連続工程として、検査工程(図1、S7)を有することが好ましい。検査工程としては、貼り合わせ状態を検査する検査工程と、貼り合わせ後の欠点を検査する検査工程が例示されるが、いずれか一方のみの検査でもよいが、両方の検査を行なうことが好ましい。
【0052】
(8)検査工程において、良品判定された基板は、光学表示装置に実装される(実装工程)。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たにシート製品(あるいは光学部材)が貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分とする。なお、表面保護フィルムは、各製造工程の必要に応じて光学部材から剥離される。
【0053】
(実施形態1の別実施形態)
以下では、上記実施形態1の別実施形態について説明する。ここでの製造工程は上記製造工程(1)〜(8)と同様であるため、説明は省略する。図3に別実施形態の第2シート製品の構成の模式図を示す。
【0054】
図3に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bと、第2偏光子21aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム21cと、さらに第3フィルム21cに接着剤層(不図示)を介した第4フィルム21dとで構成されている。第2シート製品2は、当該長尺方向に、第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム21bおよび第3フィルム21cは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第4フィルム21dは、位相差フィルム(例えば、PIフィルム)である。偏光子21aを挟んで対向している、第3フィルム21cの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。また、第4フィルム21dの搬送方向の弾性率もそれらと異なっている場合がある。第2離型フィルム22は、第4フィルム21dと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0055】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について以下に説明する。ここでの製造工程は上記実施形態1の製造工程(1)〜(8)と同様であるため、説明は省略する。図4に実施形態2に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0056】
図4に、第1シート製品1の積層構造の例を挙げる。第1シート製品1は、第1光学部材111と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材111は、第1偏光子111aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム111bと、第1偏光子111aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム111cとで構成されている。第1偏光子111aを挟んで対向している、第1フィルム111bの搬送方向の弾性率と第2フィルム111cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム111bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。第1離型フィルム12は、第2フィルム111cと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム111bと粘着剤15を介して設けられている。第1フィルム111b、第2フィルム11cは、偏光子保護フィルムである。
【0057】
第1フィルム111bと第2フィルム111cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムは、例えば、コニカ社製KC4UY、コニカ社製KC−4FR、富士フィルム社製TD−80UL、富士フィルム社製WVBZフィルム等から選択される。
【0058】
図4に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材121と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材121は、第2偏光子121aに接着剤層(不図示)を介して第3フィルム121bが形成されている。第2偏光子121aの搬送方向の弾性率と第3フィルム121bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3フィルム121bは、偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム)である。第2離型フィルム22は、第2偏光子121aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム121bと粘着剤25を介して設けられている。
【0059】
(実施形態2の別実施形態)
以下では、上記実施形態2の別実施形態について説明する。この別実施形態では、第2光学部材121の構成が異なっている。図5に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0060】
図5に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材221と、第2離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材221は、第2偏光子221aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム221bと、第2偏光子221aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第4フィルム221cとで構成されている。第2偏光子221aを挟んで対向している、第3フィルム221bの搬送方向の弾性率と第4フィルム221cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、かつ第2離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2離型フィルム22は、第4フィルム221cと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム221bと粘着剤25を介して設けられている。第3フィルム221bと第4フィルム221cは、偏光子保護フィルムである。
【0061】
第3フィルム221bと第4フィルム221cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム、アクリル系フィルムとコニカ社製KC−4FRフィルム、アクリル系フィルムとWVBZフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとコニカ社製KC−4FRフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとWVBZフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムは、例えば、コニカ社製KC4UY、コニカ社製KC−4FR、富士フィルム社製TD−80UL、富士フィルム社製WVBZフィルム等から選択される。
【0062】
また、第1光学部材111の組合せ構造(第1フィルム111bと第2フィルム111c)に対する第2光学部材221の組合せ構造(第3フィルム221bと第4フィルム221c)としては、例えば、TACフィルムとTACフィルムに対し、TACフィルムとWVBZフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとWVBZフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとWVBZフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとKC−4FRフィルムに対し、TACフィルムとKC−4FRフィルム、アクリル系フィルムとKC−4FRフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとKC−4FRフィルム等が挙げられる。TACフィルムとアートンフィルムに対し、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルムと、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとゼオノアフィルムに対し、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、アクリル系フィルムとアートンフィルム、アクリル系フィルムとゼオノアフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとアートンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとゼオノアフィルム等が挙げられる。TACフィルムとポリプロピレンフィルムに対し、TACフィルムとポリプロピレンフィルム、アクリル系フィルムとポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0063】
(スキップカット方式)
また、上記第1切断工程および第2切断工程の別実施形態を以下に説明する。第1および第2ロール原反の幅方向の一方の端部には、所定ピッチ単位(例えば1000mm)に第1、第2シート製品の欠点情報(欠点座標、欠点の種類、サイズ等)がコード情報(例えばQRコード(登録商標)、バーコード)として付されている場合がある。このような場合、切断する前段階で、このコード情報を読み取り、解析して欠点部分を避けるように、第1、第2切断工程において所定サイズに切断する(スキップカットと称することがある)。そして、欠点を含む部分は除去あるいは基板ではない部材に貼り合わせるように構成し、所定サイズに切断された良品判定の枚葉の光学部材を基板に貼り合わされるように構成する。これにより、光学表示ユニットの歩留まりが大幅に向上される。
【0064】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について以下に説明する。図6に実施形態3の光学表示ユニットの製造方法のフローチャートを示す。図7に実施形態3に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0065】
(1)第1ロール原反準備工程(図6、S1)。長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。図7に示すように、第1シート製品1の積層構造は、第1光学部材11と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材11は、第1偏光子11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム11bとで構成されている。第1偏光子11aの搬送方向の弾性率と第1フィルム11bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品1は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム11bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第1フィルム11bに、表面処理を施こすことができる。第1離型フィルム12は、第1偏光子11aと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム11bと粘着剤15を介して設けられている。
【0066】
(2)第1離型フィルム除去工程(図6、S61)。次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、第1離型フィルム12を除去する。第1離型フィルム12の除去方法としては、例えば、剥離したフィルムをロールに巻くようにして連続的に剥離する方法、所定サイズ単位に第1離型フィルムのみをカットし粘着テープで剥離除去する方法、その他公知の除去方法等が挙げられる。
【0067】
(3)第1欠点検査工程(図6、S62)。次いで、第1離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする。第1離型フィルム12に内在する位相差を考慮する必要がなく、第1光学部材11の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用できる。
【0068】
(4)第2離型フィルム貼合工程(図6、S63)。次いで、第1欠点検査工程後に、第2離型フィルム12aを、第1粘着剤14を介して、第1偏光子11aに貼り合せる。貼り合せに際し、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
【0069】
(5)第1切断工程(図6、S64)。次いで、第2離型フィルム貼合工程後に、切断手段を用いて、第2離型フィルム12aを残して、第1シート製品のその他の部材を切断する。これにより、第2離型フィルム12aを残して、表面保護フィルム13、粘着剤15、第1光学部材11および第1粘着剤14を切断することができる。
【0070】
(6)第1貼合工程(図6、S65)。次いで、第1切断工程後に、前記第2離型フィルム12aを除去しながら、上記で切断された第1シート製品のその他の部材を、第1粘着剤14を介して基板Aに貼り合せる。よって、第2離型フィルム12aを剥離しても第1シート製品1の湾曲が抑制された状態で、第1光学部材11を基板Aに貼り合わせることができる。
【0071】
これら、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行される。以上の一連の製造工程では、基板Aの一方面に第1光学部材11を貼り合わせたものである。以下では、その他面に第2光学部材21を貼り合わる製造工程について説明する。
【0072】
(7)第2ロール原反準備工程(図6、S4)。長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。図7の示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bとで構成されている。第2偏光子21aの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品2は、当該長尺方向に第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム21bは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第3離型フィルム22は、第2偏光子21aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0073】
(8)第3離型フィルム除去工程(図6、S66)。次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品を繰り出し、第3離型フィルム22を除去する。第3離型フィルム22の除去方法としては、上述の除去方法等を用いることができる。
【0074】
(9)第2欠点検査工程(図6、S67)。次いで、第3離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする。第3離型フィルム22に内在する位相差を考慮する必要がなく、第2光学部材21の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用できる。
【0075】
(10)第4離型フィルム貼合工程(図6、S68)。次いで、第2欠点検査工程後に、第4離型フィルム22aを、第2粘着剤24を介して、第2偏光子21aに貼り合せる。貼り合せに際し、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
【0076】
(11)第2切断工程(図6、S69)。次いで、第4離型フィルム貼合工程後に、切断手段を用いて、第4離型フィルム22aを残して、第2シート製品2の他の部材を切断する。これにより、第4離型フィルム22aを残して、表面保護フィルム23、粘着剤25、第2光学部材21および第2粘着剤24を切断することができる。
【0077】
(12)第2貼合工程(図6、S70)。次いで、第2切断工程後に、第4離型フィルム22aを除去しながら、上記で切断された第2シート製品の他の部材を、第2粘着剤24を介して、基板Aの第1光学部材11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる。よって、第4離型フィルム22aを剥離しても第2光学部材21の湾曲が抑制された状態で、第2光学部材21を基板Aに貼り合わせることができる。これによって、基板Aの一方面に第1光学部材11が、その他面に第2光学部材21が貼り合わされ、両面に光学部材が設けられた光学表示ユニットを製造することができる。
【0078】
そして、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1貼合工程、第2ロール原反準備工程、第3離型フィルム除去工程、第2欠点検査工程、第4離型フィルム貼合工程、第2切断工程、第2貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行する。
【0079】
(13)さらに、連続工程として、検査工程(図6、S7)を有することが好ましい。検査工程、実装工程、リワーク処理は、上述と同様である。
【0080】
(実施形態3の別実施形態)
以下では、上記実施形態3の別実施形態について説明する。ここでの製造工程は上記製造工程(1)〜(13)と同様であるため、説明は省略する。図8に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0081】
図8に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材21と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材21は、第2偏光子21aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム21bと、第2偏光子21aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第3フィルム21cと、さらに第3フィルム21cに接着剤層(不図示)を介した第4フィルム21dとで構成されている。第2フィルム21bおよび第3フィルム21cは、偏光子保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)である。第4フィルム21dは、位相差フィルム(例えば、PIフィルム)である。偏光子21aを挟んで対向している、第3フィルム21cの搬送方向の弾性率と第2フィルム21bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。また、第4フィルム21dの搬送方向の弾性率もそれらと異なっている場合がある。第2シート製品2は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3離型フィルム22は、第4フィルム21dと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム21bと粘着剤25を介して設けられている。
【0082】
前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第3フィルム21dに貼り合せる。以下の切断工程、第2貼合工程は、上記実施形態3で説明した工程内容と同様である。
【0083】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について以下に説明する。ここでの製造工程は上記実施形態3の製造工程(1)〜(14)と同様であるため、説明は省略する。図9に実施形態4に用いられる第1、第2光学部材の構成の模式図を示す。
【0084】
図9に、第1シート製品1の積層構造の例を挙げる。第1シート製品1は、第1光学部材111と、第1離型フィルム12と、表面保護フィルム13とを有する。第1光学部材111は、第1偏光子111aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルム111bと、第1偏光子111aのその他面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム111cとで構成されている。第1偏光子111aを挟んで対向している、第1フィルム111bの搬送方向の弾性率と第2フィルム111cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第1シート製品は、当該長尺方向に、第1離型フィルム12を内側にして湾曲する構成である。第1フィルム111bに、表面処理を施すことができる。この表面処理を施すことによっても、搬送方向の弾性率は変化する。第1離型フィルム12は、第2フィルム111cと第1粘着剤14を介して設けられている。また、表面保護フィルム13は、第1フィルム111bと粘着剤15を介して設けられている。第1フィルム111bは偏光子保護フィルムである。
【0085】
第1フィルム111bと第2フィルム111cとの組合せ構造としては、例えば、TACフィルムとTACフィルム、TACフィルムとアートンフィルム、TACフィルムとゼオノアフィルム、TACフィルムとポリプロピレンフィルム等が挙げられる。TACフィルムの構成例は上述したとおりである。
【0086】
図9に示すように、前記第1離型フィルム12を除去し、欠点検査する。次いで、第2離型フィルム12aを、前記第1粘着剤14を介して、第2フィルム111cに貼り合せる。
【0087】
図9に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材121と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材121は、第2偏光子121aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルム121bとで構成されている。第2偏光子121aの搬送方向の弾性率と第2フィルム121bの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第2フィルム121bは、偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム)である。第3離型フィルム22は、第2偏光子121aと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第2フィルム121bと粘着剤25を介して設けられている。
【0088】
図9に示すように、前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第2偏光子121aに貼り合せる。
【0089】
(実施形態4の別実施形態)
以下では、上記実施形態4の別実施形態について説明する。この別実施形態では、第2光学部材221の構成が異なっている。図10に別実施形態の第2シート製品2の構成の模式図を示す。
【0090】
図10に示すように、第2シート製品2の積層構造は、第2光学部材221と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。第2光学部材221は、第2偏光子221aに接着剤層(不図示)を介して第3フィルム221bと、第2偏光子221aの他面に接着剤層(不図示)を介して第4フィルム221cとが形成されている。第2偏光子221aを挟んで対向している、第3フィルム221bの搬送方向の弾性率と第4フィルム221cの搬送方向の弾性率はそれぞれ異なる。第2シート製品は、当該長尺方向に、第3離型フィルム22を内側にして湾曲する構成である。第3離型フィルム22は、第4フィルム221cと第2粘着剤24を介して設けられている。また、表面保護フィルム23は、第3フィルム221bと粘着剤25を介して設けられている。
【0091】
図10に示すように、前記第3離型フィルム22を除去し、欠点検査する。次いで、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤24を介して、第4フィルム221cに貼り合せる。第3フィルム221bと第4フィルム221cは、偏光子保護フィルムである。
【0092】
第3フィルム221bと第4フィルム221cとの組合せ構造としては、例えば、上記実施形態2の別実施形態で例示した組合せ構造が挙げられる。
【0093】
また、第1光学部材111の組合せ構造(第1フィルム111bと第2フィルム111c)に対する第2光学部材221の組合せ構造(第3フィルム221bと第4フィルム221c)としては、例えば、上記実施形態2の別実施形態で例示した組合せ構造が挙げられる。
【0094】
(実施形態1〜4の製造方法を実現する好適な製造システム)
以下に、実施形態3、4の製造方法を実現する好適な製造システムについて説明する。図11A、11Bに製造システムの概略構成を示す。
【0095】
図11A、11Bに示すように、製造システムは第1光学部材を基板に貼り合わせる第1製造部と、第1光学部材が貼り合された基板面と異なる面に第2光学部材を貼り合わせる第2製造部を有している。
【0096】
第1製造部は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置する第1設置手段と、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、搬送する第1搬送手段と、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを除去する第1離型フィルム除去手段と、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする第1欠点検査手段と、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品1に貼り合せる第2離型フィルム貼合手段と、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する第1切断手段と、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板に貼り合せる第1貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第1制御手段とを有している。
【0097】
第2製造部は、長尺の第2シート製品2の第2ロール原反を設置する第2設置手段と、第2ロール原反から第2シート製品2を繰り出し、搬送する第2搬送手段と、搬送されてきた第2シート製品2から第3離型フィルムを除去する第3離型フィルム除去手段と、第3離型フィルム除去後に、欠点検査をする第2欠点検査手段と、第2欠点検査後に、第4離型フィルムを第2粘着剤を介して第2シート製品2に貼り合せる第4離型フィルム貼合手段と、第4離型フィルムを貼り合せた後に、当該第4離型フィルムを残して、第2シート製品2の他の部材を切断する第2切断手段と、第2切断処理後に、第4離型フィルムを除去しながら、切断された第2シート製品2の他の部材を、第2粘着剤を介して、基板の第1光学部材が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる第2貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第2制御手段とを有している。
【0098】
第1製造部と第2製造部はそれぞれ単独に駆動されてもよいが、それぞれが連動するように駆動されてもよい。第1制御手段と第2制御手段によって、一連の処理工程を連動して駆動制御するように構成できる。なお、上記実施形態1および2の製造方法は、離型フィルム除去手段、欠点検査手段、離型フィルム貼合手段が省略された構成である。
【0099】
(第1製造部)
第1設置手段301は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置し、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置で構成される。第1制御手段によって回転速度が設定され、駆動制御される。
【0100】
第1搬送手段302は、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、各処理工程に第1シート製品1を搬送する。各工程の要所において、テンションコントロールを設置する。第1搬送手段302は、第1制御手段307によって制御されている。
【0101】
第1離型フィルム除去手段は、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを剥離除去し、ロール状に巻き取る構成である。ロールへの巻取り速度は第1制御手段によって制御されている。剥離機構(図11B参照)としては、先端が先鋭なナイフエッジを有し、このナイフエッジに第1離型フィルムを巻き掛けて反転移送することにより、第1離型フィルムを剥離除去すると共に、第1離型フィルムを剥離した後の第1シート製品1を搬送方向に搬送するように構成される。
【0102】
第1欠点検査手段303は、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする。第1欠点検査手段303はCCDカメラあるはCMOSカメラであり、取得された画像データは第1制御手段に送信される。第1制御手段は、画像データを解析し、欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第1切断手段によるスキップカットに提供される。
【0103】
第2離型フィルム貼合手段は、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品に貼り合せる。図11Aに示すように、第2離型フィルムのロール原反から第2離型フィルムを繰り出し、1または複数のローラ対で、第2離型フィルムと第1シート製品を挟持し、当該ローラ対で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対の回転速度、圧力制御、搬送制御は、第1制御手段によって制御される。
【0104】
第1切断手段304は、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する。第1切断手段304は、レーザ装置である。第1欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第1切断手段304は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で排除される。あるいは、第1切断手段304は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去あるいは仮板ユニットに貼り合わせるように構成できる。この場合の制御も第1制御手段の機能による。
【0105】
また、第1切断手段304は、第1シート製品1を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第1シート製品1の上方に備える。第1シート製品1の幅方向にレーザを走査させるように水平移動し、最下部の第2離型フィルムを残して、表面保護フィルム、粘着剤層、第1光学部材、第1粘着剤をその搬送方向に所定ピッチで切断する。また、このレーザ装置は、第1シート製品1の幅方向から挟むようにして、切断部位に向けて温風を吹き付けるエアーノズルと、この温風により搬送される切断部位から発生したガス(煙)を集煙する集煙ダクトとが対向した状態で一体構成されていることが好ましい。第1シート製品1を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第1シート製品1の連続搬送を停止しないように、搬送機構の段差ローラ302a、302bは上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も第1制御手段の制御による。
【0106】
第1貼合手段は、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、上記で切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板Wに貼り合せる。図11Bに示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ305および案内ローラ3051によって、第1シート製品1を基板W面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ305の押さえ圧力、動作は、第1制御手段によって制御される。剥離機構としては、先端が先鋭なナイフエッジN1を有し、このナイフエッジN1に第2離型フィルムH1を巻き掛けて反転移送することにより、第2離型フィルムH1を剥離除去すると共に、第2離型フィルムH1を剥離した後の第1シート製品1を基板W面に送り出すように構成される。この際に、第2離型フィルムH1に150N/m以上1000N/m以下の張力をかけた状態および/または、第1シート製品1を第2離型フィルムH1が除去されてから基板W面に圧接するまでの時間を3秒以内で行なうことにより、第1シート製品1の貼り合わせ精度を向上させることができる。張力が150N/mより小さいと第1シート製品1の送り出し位置が安定せず、1000N/mより大きいと第2離型フィルムH1が伸びて破断するおそれがあり、圧接するまでの時間が3秒よりも長いと、第2離型フィルムH1から剥離された第1シート製品1端部が湾曲して折れや気泡が発生するおそれがある。貼合せ機構としては、押さえロ一ラ305とそれに対向して配置される案内ローラ3051とから構成されている。案内ローラ3051は、モータ駆動されるゴムローラで構成され、その直上方にはモータ駆動される金属ローラからなる押さえローラ305が昇降可能に配備されており、基板Wを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ305はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ3051および押さえローラ305は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。基板Wは予め洗浄され、ストックされている。吸着搬送手段306によって、搬送機構に配置される。この制御も第1制御手段の制御による。
【0107】
(第2製造部)
第2製造部の各工程において、第2設置手段、第2搬送手段、第3離型フィルム除去手段、第2欠点検査手段、第4離型フィルム貼合手段、第2切断手段、第2貼合手段は、第1製造部の対応する手段と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0108】
第1製造部において製造された基板W1が第2製造部に搬送される。搬送過程において、或いは第2製造部において、基板W1は上下反転される。上下反転手段(不図示)は、上面から吸着手段で基板W1を吸着し、持ち上げ、上下を反転させて、搬送機構に再度配置させるように構成される。この制御は第2制御手段の機能による。なお、別実施形態として、上下反転処理を行なわない構成も可能である。この場合、第2製造部において、第2シート製品2を通常と異なり、反転させた状態で(離型フィルムが上面となるようにして)各工程を処理し、第2光学部材を基板W1の下側から貼り合わせるように構成される。なお、第2光学部材を第1光学部材と90°の関係(クロスニコルの関係)に貼り合わせる場合は、基板W1を90°回転させてから第2光学部材が貼り合わされる。
【0109】
第1制御手段、第2制御手段は、各工程の上記手段を連動するように制御する。それぞれの動作タイミングは、所定の位置にセンサを配置したり、搬送機構の回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。第1、第2制御手段は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。
【0110】
(別実施形態)
上記実施例では、欠点部分を含むシート製品は、仮板ユニットに貼り合わせて回収していたが、帯状のセパレータに貼り合わせて巻取り回収するように構成してもよい。
【0111】
欠点検査は公知の欠点検査方法が適用できる。欠点検査方法としては、例えば、自動検査装置及び検査者による目視検査が挙げられる。自動検査装置は、シート製品の欠点(欠陥とも称される)を自動で検査する装置であり、光を照射し、その反射光像や透過光像をラインセンサーや2次元TVカメラなどの撮像部を介して取得し、取得された画像データに基づいて、欠点検出を行う。また、光源と撮像部の間の光路中に検査用偏光フィルタを介在させた状態で画像データを取得する。通常、この検査用偏光フィルタの偏光軸(例えば、偏光吸収軸)は、検査対象である偏光板の偏光軸(例えば、偏光吸収軸)と直交する状態(クロスニコル)となるように配置される。クロスニコルに配置することで、仮に欠点が存在しなければ撮像部から全面黒の画像が入力されるが、欠点が存在すれば、その部分が黒にならない(輝点として認識される)。従って、適宜のしきい値を設定することで、欠点を検出することができる。このような輝点検出では、表面付着物、内部の異物等の欠点が輝点として検出される。また、この輝点検出のほかに、対象物に対して透過光画像をCCD撮像し画像解析することで異物検出する方法もある。また、対象物に対して反射光画像をCCD撮像し画像解析することで表面付着異物を検出する方法もある。
【0112】
(光学部材)
前記においても、第1光学部材、第2光学部材を構成する偏光子、および偏光子の片側または両側に用いられる偏光子保護フィルムについては一部説明しているが、一般的には、以下の材料を例示できる。これらから、少なくとも、偏光子、および偏光子の片側または両側に用いられるフィルムの組み合わせに関して、搬送方向の弾性率、寸法変化率がそれぞれ異なるような組み合わせで用いることがある。
【0113】
(偏光子)
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
【0114】
上記のポリビニルアルコール系ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、カチオン性モノマー等の共重合可能なモノマーを共重合したもの、等が挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度は、特に制限されず任意のものを使用することができるが、1000以上が好ましく、より好ましくは2000〜5000である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのケン化度は85モル%以上が好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。
【0115】
製造される偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定するものではなく、また、偏光子の厚さを調整する方法に関しても、特に限定するものではなく、テンター、ロール延伸や圧延等の通常の方法を用いることができる。
【0116】
偏光子とその保護層である透明の偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0117】
(偏光子保護フィルム)
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護フィルムには、適宜な透明フィルムを用いることができる。例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。また、非晶性POフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)系フィルム、アートンフィルム(JSR製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン製)等が挙げられる。
【0118】
また、上記の透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0119】
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0120】
光学部材は、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造の光学フィルムが例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。
【0121】
(位相差板)
偏光子に積層される光学フィルムの一例として位相差板が挙げられる。位相差板としては、高分子材料を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0122】
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0123】
(視角補償フィルム)
また、偏光子に積層される光学フィルムの一例として視角補償フィルムがある。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0124】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0125】
(輝度向上フィルム)
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常、液晶セル基板の裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
【0126】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0127】
(粘着剤)
本発明による偏光板や、前記の積層光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層が設けられる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と偏光子保護フィルムの層からなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、偏光子保護層の片面または両面に粘着層を設ければよい。
【0128】
(離型フィルム)
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型フィルムが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。離型フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0129】
(表面保護部材)
この離型フィルムが設けられた面と反対面の偏光板には、表面保護部材が、例えば、弱粘着剤を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。表面保護部材としては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0130】
なお本発明において、上記した偏光子や偏光子保護フィルムやほかのフィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0131】
(光学表示装置)
光学部材は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。
【0132】
光学部材は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル基板と光学部材及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学部材を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セル基板についても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0133】
(実施例)
各種フィルム構成の光学部材を有するシート製品を、上述の実施形態4の製造方法を用いて基板に貼り合わせた。その結果を表2、3に示す。また、シート製品のTAC1またはTAC2側の表面層に、厚み20μm程度のアクリル系粘着剤を介して、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(表面保護フィルム)、αフィルム側あるいは延伸PVA側に、厚み20μm程度のアクリル系粘着剤を介して、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型フィルム)が設けられている。
【0134】
貼合せ精度の測定方法を図15に示す。シート製品Bが、貼り合わせ方向kに従って、基板Aに貼り合わされる。基板AのP1,P2の位置において、基板端面から光学部材端面までの距離を測定する。P1,P2は、基板Aのそれぞれの幅端面から20mmの位置とする。貼り合わせ位置は、あらかじめ設定されており、正確に貼り合わされていれば、設定値と同じ値になる。設定値は、いずれも5.5mmとする。貼合せ精度は、この設定値から測定値を除算して得られる。算出された値が負であれば、シート製品Bが基板Aに対し、貼り合わせ方向kと逆の方向にずれて貼られていることを意味する。一方、算出された値が正であれば、シート製品Bが基板Aに対し、貼り合わせ方向kにずれて貼られていることを意味する。なお、シート製品Bは、光学部材、表面保護フィルムを有して構成されている。
【0135】
ロールめくれ評価は、ハーフカット後のシート製品を、75mm直径のロールに速度5m/minで180°ターンさせた時の、離型フィルムからのシート製品のめくれ状態を観察した。10mm以上のめくれがあれば、「×」とし、10mm未満のめくれがあれば「△」、めくれがなければ「○」とする。また、弾性率、寸法変化率、湾曲量の測定方法は、上述した方法で測定している。
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
表2、3の結果からは分かるように、実施例1から16の構成のシート製品では、シート製品の長尺方向に、離型フィルムを内側にして湾曲する構成(マイナスカール)であり、ロールめくれは観測されなかった。また、表2、3のシート製品の構成において、湾曲量が、5mm〜100mmの範囲では、貼り合わせ精度も良好であった。一方、比較例1、2の場合、ロールめくれが観測され、また、貼り合わせ不良が発生した。
【符号の説明】
【0139】
1 第1シート製品
2 第2シート製品
11 第1光学部材
11a 偏光子
11b 第1フィルム
12 第1離型フィルム
13 保護フィルム
14 第1粘着剤
21 第2光学部材
21a 偏光子
21b 第2フィルム
22 第2離型フィルム
23 保護フィルム
24 第2粘着剤
A 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、
前記シート製品は、
前記光学部材と、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、
前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、
外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなるロール原反。
【請求項2】
前記長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズでシート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmである請求項1に記載のロール原反。
【請求項3】
前記光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さい請求項1または2に記載のロール原反。
【請求項4】
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法であって、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを有する長尺のシート製品が巻回されたロール原反から、当該シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、前記離型フィルムを残して当該シート製品を切断する切断工程と、
前記離型フィルムを除去しながら、シート製品を前記粘着剤を介して前記基板に貼り合わせる貼合工程と、を有し、
前記シート製品が、外力が作用していない状態において、その長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成である光学表示ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記シート製品の長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズで前記シート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmである請求項4に記載の光学表示ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さい請求項4または5に記載の光学表示ユニットの製造方法。
【請求項1】
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを形成するのに用いられる長尺のシート製品を巻回してなるロール原反であって、
前記シート製品は、
前記光学部材と、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、
前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材と、を有し、
外力が作用していない状態において、前記長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成であるシート製品を巻回してなるロール原反。
【請求項2】
前記長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズでシート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmである請求項1に記載のロール原反。
【請求項3】
前記光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さい請求項1または2に記載のロール原反。
【請求項4】
偏光子を有する光学部材を粘着剤を介して基板に貼り合わせて光学表示ユニットを製造する光学表示ユニットの製造方法であって、
前記光学部材の一方表面に前記粘着剤を介して設けられる離型フィルムと、前記離型フィルム面と反対面に設けられる表面保護部材とを有する長尺のシート製品が巻回されたロール原反から、当該シート製品を繰り出し、切断手段を用いて、前記離型フィルムを残して当該シート製品を切断する切断工程と、
前記離型フィルムを除去しながら、シート製品を前記粘着剤を介して前記基板に貼り合わせる貼合工程と、を有し、
前記シート製品が、外力が作用していない状態において、その長尺方向に前記離型フィルムを内側にして湾曲する構成である光学表示ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記シート製品の長尺方向と平行に縦29.7cm、当該長尺方向と直交する方向に横21.0cmのサイズで前記シート製品を切断してなる試料を、下に凸状に湾曲するように平面に静置させた場合の、当該平面から当該試料端部までの高さである湾曲量が、5mm〜100mmである請求項4に記載の光学表示ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記光学部材が、前記偏光子の一方面側に設けられる第1フィルムと、当該偏光子のその他面側に設けられる第2フィルムと、当該第2フィルムに設けられる粘着剤とを有し、
前記粘着剤を介して前記離型フィルムが設けられ、且つ、前記第1フィルムの長尺方向の寸法変化率が、前記第2フィルムの長尺方向の寸法変化率よりも小さい請求項4または5に記載の光学表示ユニットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−185521(P2012−185521A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138748(P2012−138748)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2008−299776(P2008−299776)の分割
【原出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2008−299776(P2008−299776)の分割
【原出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]