説明

光学装置および光学機器

【課題】小型化に適した光学装置および光学機器を提供する。
【解決手段】
像振れを補正するための光学系(30)を保持する第1部材(32)と、前記第1部材と相対的に移動可能であり、前記第1部材との相対移動に必要な駆動力を生じさせるための磁石(44,46)、及び、前記第1部材との相対移動を検出するための磁石の少なくとも一方を有する第2部材(38)と、前記光学系を通る光を調節するための絞り部(58)と、磁性を有し前記磁石に対向して備えられた対向部(60)とを有する絞り部材(56)とを含み、前記対向部は、前記磁石と磁気的に結合していることを特徴とする光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光学系を、磁気を用いた駆動部により駆動することによって、像振れを補正する振れ補正装置が知られている。また、像振れを補正する振れ補正装置に用いられる駆動部としては、駆動部に用いられる磁石を、当該磁石の磁力を強めるヨークを介して、保持部材に固定する技術が知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
しかし、近年では、振れ補正装置を含む光学機器の小型化や、生産効率向上またはコスト削減の観点から、光学装置を構成する部品の数を抑制することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−47651号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、小型化に適した光学装置および光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る光学装置は、
像振れを補正するための光学系(30)を保持する第1部材(32)と、
前記第1部材と相対的に移動可能であり、前記第1部材との相対移動に必要な駆動力を生じさせるための磁石(44,46,48,50)、及び、前記第1部材との相対移動を検出するための磁石の少なくとも一方を有する第2部材(38,68,80)と、
前記光学系を通る光を調節するための絞り部(58)と、磁性を有し前記磁石に対向して備えられた対向部(60,90)とを有する絞り部材(56,86)とを含み、
前記対向部は、前記磁石と磁気的に結合していることを特徴とする。
【0007】
また、例えば、前記第2部材は、前記絞り部材と対向する側と、前記第1部材と対向する側との間を貫通する貫通部分(40b,40c,82b,82c)を有していてもよい。
【0008】
また、例えば、前記磁石の少なくとも一部は、前記貫通部分に備えられていてもよい。
【0009】
また、例えば、前記対向部の少なくとも一部は、前記貫通部分に備えられていてもよい。
【0010】
また、例えば、本発明に係る光学装置において、前記磁石と前記対向部とは隣接していてもよい。
【0011】
また、例えば、前記対向部は、前記光学系の外側に環状に備えられていてもよい。
【0012】
また、例えば、前記対向部は、前記光学系の光軸と交差する方向に突出した突出部(60a,90a)を有していてもよく、
前記第2部材は、前記突出部と係合する係合部(40aa)を有していてもよい。
【0013】
本発明に係る光学装置は、上記いずれかに記載の光学装置を含むことを特徴とする。
【0014】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る光学装置を搭載したレンズ鏡筒の概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す光学装置の平面図である。
【図3】図3は、図1に示す光学装置の拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る光学装置の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係る光学装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る光学装置を搭載したレンズ鏡筒10の概略断面図である。レンズ鏡筒10の筐体11には、接続部11aが形成されている。レンズ鏡筒10は、接続部11aを不図示のカメラ本体部に取り付けることによって、使用される。レンズ鏡筒10は、入射側端部10aからレンズ鏡筒10内に入射した撮影光を、出射側端部10bから出射することによって、撮影光をカメラ本体部に備えられる撮像面に導くことができる。
【0017】
なお、本実施形態に係る光学装置の説明においては、図1に示すように、レンズ鏡筒10の光軸13に沿って、撮影光の入射側10aから出射側10bに向かう方向をZ軸の負方向として説明を行う。また、図2に示すように、Z軸に直交する方向であって、カメラ本体部に取り付けた状態でカメラ本体部を正位置に構えた時に地面を向く方向をY軸の負方向、Z軸およびY軸に直交する方向をX軸方向として説明を行う。
【0018】
本実施形態では、レンズ交換式カメラに取り付けられるレンズ鏡筒10を例に説明を行うが、本発明に係る光学装置を搭載する光学機器は、これに限定されず、スチルカメラ、ビデオカメラ、レンズ鏡筒及び携帯電話等を含む。
【0019】
図1に示すように、レンズ鏡筒10の内部には、光軸13に沿って入射側10aから、第1ユニット12、第2ユニット14、第3ユニット16、第4ユニット18および第5ユニット20からなる5つの光学ユニットが配置されている。各ユニットは、単数または複数の光学レンズを有している。また、各ユニットは、レンズ鏡筒10の光軸13に沿って互いに相対移動できるように、筐体11に対して取り付けられている。
【0020】
なお、図1は、光軸13を中心として、紙面に向かって上側半分と下側半分を分割し、上側半分は光軸13を中心としてY軸を含む断面を、下側半分は光軸13を中心としてX軸を含む断面を、それぞれ表している。また図1は、上側半分と下側半分とで、各ユニット12,14,16,18,20が光軸方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置された状態を表している。
【0021】
第4ユニット18は、像振れを補正するための振れ補正レンズ群30と、第4および第5ユニット18,20に含まれる光学レンズ群を通る光を調整するための絞り機構56とを含む。第4ユニット18は、連結部材26を介して、固定部材24に連結されている。また、連結部材26は、固定部材24に対して、光軸13方向に沿って移動可能に取り付けられている。
【0022】
連結部材26は、回転部材22に形成されたカム溝(不図示)に挿通されている。回転部材22は、筐体11の外周に配置されるズーム環28と連動しており、ズーム環28の回転に伴って光軸13を中心として回転する。回転部材22の回転方向によって発生する力は、カム溝によって光軸13方向(Z軸方向)の運動に変換されて、連結部材26に伝えられる。このようにして、連結部材26および連結部材26に取り付けられている第4ユニット18は、ズーム環28の回転に連動し、光軸13に沿って移動することができる。
【0023】
以下に、図2および図3を用いて、第4ユニット18の構成を説明する。図2は、第4ユニット18をZ軸正方向側から見た平面図であり、図3は、図2に示すIII−III線に沿う第4ユニット18の断面図である。図2に示すように、第4ユニット18は、振れ補正レンズ群30および移動枠32を移動させるためのY軸VCM(ボイスコイルモータ)92およびX軸VCM94と、振れ補正レンズ群30および移動枠32の相対移動を検出するためのY軸位置検出部96およびX軸位置検出部98を含む。
【0024】
Y軸VCM92は、図3に示す固定枠38と移動枠32とをY軸方向に相対移動させることによって、振れ補正レンズ群30をY軸方向に移動させることができる。X軸VCM94は、図3に示す固定枠38と移動枠32とをX軸方向に相対移動させることによって、振れ補正レンズ群30をX軸方向に移動させることができる。また、図2に示す第1位置検出部96は、振れ補正レンズ群30および移動枠32の移動のうち、Y軸方向に沿う相対移動を検出し、第2位置検出部98は、X軸方向に沿う相対移動を検出する。Y軸およびX軸VCM92,94と、X軸およびY軸位置検出部96,98は、Z軸方向から見た場合、振れ補正レンズ群30に対して径方向の外側を通る円に沿って、略環状に配置されている。
【0025】
図3に示すように、第4ユニット18は、振れ補正レンズ群30を保持する移動枠32を有する。本実施形態において、振れ補正レンズ群30は、3つのレンズによって構成されており、振れ補正レンズ群30を構成する各レンズは、移動枠32の中央付近に固定されている。移動枠32の外径側には、Y軸コイル34と、X軸コイル36が固定されている。Y軸コイル34およびX軸コイル36は、不図示の制御装置に電気的に接続されており、制御装置によって電流値を制御される。
【0026】
第4ユニット18は、移動枠32と相対的に移動可能である固定枠38を有する。固定枠38は、移動枠32の外径側部分を、Z軸方向の両側から挟むように配置される。固定枠38は、移動枠32の入射側(Z軸正方向側)に配置される第1フレーム40と、移動枠32の出射側(Z軸負方向側)に配置される第2フレーム42からなる。なお、図3では図示を省略しているが、固定枠38には、図1に示す連結部材26が接続されている。
【0027】
第2フレーム42には、移動枠32に固定されているY軸コイル34に対向する位置に、第2Y軸用貫通穴42bが設けられている。また、第2Y軸用貫通穴42bの内部には、移動枠32と反対側(Z軸負方向側)に段差面を有する段差部42dが設けられている。
【0028】
第2Y軸用貫通穴42bの段差部42dには、第2Y軸ヨーク52が、ビス締結もしくは接着等により固定される。第2Y軸ヨーク52は、第2Y軸用貫通穴42bに対して、移動枠32の反対側(Z軸負方向側)から挿入されて、段差部42dに設置される。
【0029】
また、第2フレーム42には、第2Y軸マグネット48が備えられる。第2Y軸マグネット48は、第2Y軸用貫通穴42bに対して、移動枠32側(Z軸正方向側)から挿入されて、第2Y軸ヨーク52に対して接触するように取り付けられる。第2Y軸マグネット48は、第2Y軸ヨーク52に対して磁力によって結合されるが、さらに接着剤等を用いて、第2Y軸ヨーク52や第2フレーム42に対して固定されてもよい。
【0030】
第2Y軸マグネット48は、第2Y軸用貫通穴42bを移動枠32側(Z軸正方向側)から塞ぐように配置される。また、第2Y軸ヨーク52は、第2Y軸用貫通穴42bを移動枠32の反対側(Z軸負方向側)から塞ぐように配置される。また、第2Y軸マグネット48は、移動枠32に取り付けられたY軸コイル34に対向する。
【0031】
さらに、第2フレーム42には、移動枠32に固定されているX軸コイル36に対向する位置に、第2X軸用貫通穴42cが設けられている。また、第2X軸用貫通穴42cの内部には、移動枠32と反対側(Z軸負方向側)に段差面を有する段差部42eが設けられている。
【0032】
第2X軸用貫通穴42cには、第2Y軸用貫通穴42bと同様に、第2X軸ヨーク54と、第2X軸マグネット50が備えられる。また、第2X軸マグネット50は、移動枠32に取り付けられたX軸コイル36に対向する。
【0033】
移動枠32の入射側(Z軸正方向側)には、第1フレーム40が配置される。第1フレーム40には、移動枠32に固定されているY軸コイル34に対向する位置に、第1Y軸用貫通穴40bが設けられている。また、第1Y軸用貫通穴40bの内部には、移動枠32側(Z軸負方向側)に段差面を有する段差部40dが設けられている。
【0034】
第1Y軸用貫通穴40bの段差部40dには、第1Y軸マグネット44が設置される。第1Y軸マグネット44は、第1Y軸用貫通穴40bに対して、移動枠32側(Z軸負方向側)から挿入されて、段差部40dに設置される。
【0035】
また、第1フレーム40には、移動枠32に固定されているX軸コイル34に対向する位置に、第1X軸用貫通穴40cが設けられている。第1X軸用貫通穴40cの内部には、第1Y軸用貫通穴40bと同様に、移動枠32側(Z軸負方向側)に段差面を有する段差部40eが設けられている。
【0036】
第1X軸用貫通穴40cの段差部40eには、第1X軸マグネット46が設置される。第1X軸マグネット46は、第1X軸用貫通穴40cに対して、移動枠32側(Z軸負方向側)から挿入されて、段差部40eに設置される。
【0037】
固定枠38の入射側(Z軸正方向側)には、絞り機構56が配置される。絞り機構56は、振れ補正レンズ群30等を通る撮影光を調整するための絞り羽根群58と、絞り羽根群58を保持もしくは収納するための絞りフレーム部60を含む。
【0038】
図2に示すように、絞り機構56は、Z軸方向からみて略円形の形状を有している。絞り機構56における内径側中央部分には、撮影光を通過させるための開口56aが形成されている。絞り機構56の開口56aの大きさは、絞り羽根群58によって調整される。すなわち、絞り羽根群58は、不図示の絞り駆動機構によって、絞りフレーム部60の内部に収納される領域と、絞りフレーム部60から内径側に露出する領域の比率が変化するように駆動されることによって、開口56aの大きさを調整する。
【0039】
図3に示すように、絞りフレーム部60は、第1フレーム40に対して、撮影光の入射側(Z軸正方向側)から取り付けられている。図2に示すように、絞りフレーム部60は、径方向外側に突出した径方向突出部60aを有している。これに対して、第1フレーム40の入射側には、Z軸正方向側に突出しており切り欠き部40aaを有するリング状突起40aが、形成されている。絞りフレーム部60の径方向突出部60aは、リング状突起40aに形成された切り欠き部40aaに係合される。絞りフレーム部60は、径方向突出部60aが係合部40aaに係合され、絞りフレーム部60部の外周がリング状突起40aの内周に収まるように設置されることによって、位置決めされる。
【0040】
図3に示すように、絞りフレーム部60は、第1フレーム40に取り付けられた第1Y軸マグネット44および第1X軸マグネット46に、対向して備えられる。絞りフレーム部60は、出射側(Z軸負方向側)に突出するY軸マグネット側突起60bと、X軸マグネット側突起60cとを有する。
【0041】
Y軸マグネット側突起60bは、第1フレーム40に形成されている第1Y軸用貫通穴40bに対して、移動枠32の反対側(Z軸正方向側)から挿入される。また、X軸マグネット側突起60cも、Y軸マグネット側突起60bと同様に、第1フレーム40に形成されている第1X軸用貫通穴40cに対して、移動枠32の反対側(Z軸正方向側)から挿入される。
【0042】
Y軸マグネット側突起60bとX軸マグネット側突起60cは、第1フレーム40に取り付けられている第1Y軸マグネット44と第1X軸マグネット46に対して、それぞれ接触している。ここで、絞りフレーム部60は、例えば鉄系合金等のような、磁性材料を用いて作製されている。
【0043】
したがって、絞りフレーム部60は、第1Y軸マグネット44と第1X軸マグネット46に対して磁気的に結合され、第1Y軸マグネット44と第1X軸マグネット46を介して第1フレーム40に保持される。また、第1Y軸マグネット44と第1X軸マグネット46は、段差部40d,40eに設置されている。すなわち、マグネット44,46と絞りフレーム部60は、磁気的な結合力によって、Z軸方向の両側から第1フレーム40を挟み込み、これによって絞りフレーム部60は、第1フレーム40に固定される。
【0044】
絞りフレーム部60は、磁性材料を用いて作製されているため、VCM92,94(図2参照)におけるヨークの役割を果たすことができる。絞りフレーム部60は、磁性材料で構成されているため、VCM92,94を構成するマグネットからの磁力線をまとめ、磁界を強める役割を果たすことができるからである。
【0045】
すなわち、図3に示す第4ユニット18において、Y軸コイル34と、第2Y軸マグネット48と、第2Y軸ヨーク52と、第1Y軸マグネット44と、絞りフレーム部60(特にY軸マグネット側突起60b周辺)は、移動枠32を、固定枠38に対してY軸方向に相対移動させるためのY軸VCM92(図2)を構成している。また、X軸コイル36と、第2X軸マグネット50と、第2X軸ヨーク54と、第1X軸マグネット46と、絞りフレーム部60(特にX軸マグネット側突起60c周辺)は、移動枠32を、固定枠38に対してX軸方向に相対移動させるためのX軸VCM94を構成している。
【0046】
なお、VCMを構成するマグネット44,46,48,50およびヨーク52,54,60等が取り付けられる第1および第2フレーム40,42は、VCM92,94の磁気回路に影響を及ぼさないように、例えばプラスチック等のような、非磁性材料によって作製されることが好ましい。
【0047】
このように、本実施形態に係る第4ユニット18では、絞りフレーム部60が、磁性材料で作製されており、第1Y軸マグネット44および第1X軸マグネット46と対向している。このため、絞りフレーム部60が、ブレ補正レンズ群30を移動させるVCM92,94におけるヨークの役割を兼ねる。したがって、本実施形態に係る第4ユニット18は、第1Y軸マグネット44および第1X軸マグネット46のためのヨークを別途設ける必要がなく、第4ユニット18を構成する部品点数を削減することができる。
【0048】
また、図2に示すように、絞りフレーム部60は、Z軸方向からみて、振れ補正レンズ群30の径方向外側に環状に備えられているため、周方向に沿って異なる位置に配置されるY軸VCM92とX軸VCM94の双方に対して、ヨークの役割を果たすことができる。したがって、本実施形態に係る第4ユニット18は、さらに部品数を削減させることができる。なお、図2に示す位置検出部96,98が、ホール素子とマグネットの組み合わせのような磁気的なセンサである場合は、絞りフレーム部60は、位置検出部96,98におけるヨークの役割も兼ねることができる。
【0049】
このように、本実施形態に係る第4ユニット18は、第4ユニット18を構成する部品点数を削減することができるため、小型化に対して有利であり、また、組立が容易である。
【0050】
さらに、絞りフレーム部60は、第1Y軸マグネット44および第1X軸マグネット46の磁力によって、第1フレーム40側に引き寄せられるため、絞り機構56は、ビスや接着剤等の締結部材を用いなくても、第1フレーム40に固定される。したがって、本実施形態に係る第4ユニット18は、組立が非常に容易である。ただし、第1フレーム40に対する絞りフレーム部60の固定は、接着剤等によって補強されてもよい。
【0051】
また、第1フレーム40は、第1Y軸マグネット44および第1X軸マグネット46や、絞りフレーム部60のマグネット側突起60b,60cが備えられる貫通穴40b,40cを有する。マグネット44,46と絞りフレーム部60が、貫通穴40b,40cを介して結合されているため、マグネット44,46と絞りフレーム部60の磁気的な結合が強くなる。例えば、マグネット44,46と絞りフレーム部60の少なくとも一方もしくは両方を、貫通穴40b,40cに設けることによって、マグネット44,46と絞りフレーム部60とを隣接させることができる。
【0052】
なお、マグネット44,46と絞りフレーム部60は、隣接していることが好ましく、接触していることがさらに好ましい。マグネット44,46と絞りフレーム部60の磁気的な結合力が強くなり、絞り機構56を、第1フレーム40に対して、確実に固定することができるからである。なお、マグネット44,46と絞りフレーム部60の磁気的な結合力は、重力に抗して絞り機構56を保持できる程度以上であることが好ましい。
【0053】
図2に示すように、絞りフレーム部60は、第1フレーム40の係合部40aaに係合する径方向突出部60aを有する。本実施形態に係る第4ユニット18は、径方向突出部60aを、係合部40aaに係合させることによって、絞り機構56を容易かつ正確に取り付けることができる。
【0054】
また、図3に示すように、第1Y軸用貫通穴40bおよび第1X軸用貫通穴40cの内部には、移動枠32側に段差面を有する段差部40cが設けられており、マグネット44,46は、段差部40d,40eに設置される。そのため、マグネット44,46を第1フレーム40に仮固定した状態で、絞り機構56を除く第4ユニット(振れ補正機構)を組み立て、その後に絞り機構56を第1フレーム40に取り付けることができる。本実施形態に係る第4ユニット18は、組立時においてマグネット44,46が設置され、組立後に絞りフレーム部60とマグネット44,46によって挟み込まれる段差部40d,40eを有するため、振れ補正機構を組み立てた後に絞り機構56を第1フレーム40に取り付けることができる。本実施形態に係る第4ユニット18は、この点からも組み立てが容易である。
【0055】
第2実施形態
図4は、本発明の第2実施形態に係る第4ユニット68の拡大断面図である。第2実施形態に係る第4ユニット68は、第1実施形態に係る第4ユニット18(図3)に対して、固定枠70に含まれる第2フレーム72の形状と、第2フレーム72にVCM用のマグネットが取り付けられていない点で異なる。しかし、その他の部分については、第1実施形態に係る第4ユニット18(図3)と同様であり、第4ユニット18と同様である部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
図4に示すように、第4ユニット68の固定枠70は、第1フレーム40と第2フレーム72とを含む。第2フレーム42には、移動枠32に固定されているY軸コイル34に対向する位置に、第2Y軸ヨーク74が取り付けられている。また、移動枠32に固定されているX軸コイル36に対向する位置には、第2X軸ヨーク76が取り付けられている。
【0057】
図4に示すように、振れ補正レンズ群30を駆動するVCMの構成としては、第1フレーム40側にのみ、駆動用のマグネット44,46が取り付けられていても良い。すなわち、図4に示す第4ユニット68において、Y軸コイル34と、第2Y軸ヨーク72と、第1Y軸マグネット44と、絞りフレーム部60(特にY軸マグネット側突起60b周辺)は、振れ補正レンズ群30をY軸方向に移動させるためのY軸VCMを構成している。また、X軸コイル36と、第2X軸ヨーク76と、第1X軸マグネット46と、絞りフレーム部60(特にX軸マグネット側突起60c周辺)は、振れ補正レンズ群30をX軸方向に移動させるためのX軸VCMを構成している。
【0058】
第2実施形態に係る第4ユニット68は、VCMを構成するマグネットが少ないため、第1実施形態に係る第4ユニット18より部品数が少なく、組立が容易である。また、本発明の第2実施形態に係る第4ユニット68は、第1実施形態に係る第4ユニット18と同様の効果を有する。
【0059】
第3実施形態
図5は、本発明の第3実施形態に係る第4ユニット78の拡大断面図である。第3実施形態に係る第4ユニット78は、第1実施形態に係る第4ユニット18(図3)に対して、固定枠70に含まれる第1フレーム82の形状と、第1フレーム82にVCM用のマグネットが取り付けられていない点で異なる。しかし、その他の部分については、第1実施形態に係る第4ユニット18(図3)と同様であり、第4ユニット18と同様である部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、第4ユニット78の固定枠80は、第1フレーム82と第2フレーム42とを含む。第1フレーム82には、移動枠32に固定されているY軸コイル34に対向する位置に、第1Y軸用貫通穴82bが設けられている。しかし、第1Y軸用貫通穴82bは、第1実施形態とは異なり、段差部を有さない。また、第1X軸用貫通穴82cについても、第1Y軸用貫通穴82bと同様に、段差部を有さない。また、第1フレーム82には、VCM駆動用のマグネットが取り付けられていない。
【0061】
固定枠80の入射側(Z軸正方向側)には、第1実施形態と同様に、絞り機構86が配置される。絞り機構86の絞りフレーム部90は、第1フレーム82に対して、Z軸正方向側から取り付けられている。絞りフレーム部90は、径方向外側に突出した径方向突出部90aを有している。これに対して、第1フレーム82の入射側には、径方向突出部90aを係合させるための係合部(図2に示す係合部40aaと同様の形状)およびリング状突起82aが形成されている。絞りフレーム部90は、絞りフレーム部60(図2)と同様に、径方向突出部90aが第1フレーム82の係合部に係合され、絞りフレーム部90の外周がリング状突起82aの内周に収まるように設置されることによって、位置決めされる。
【0062】
図3に示すように、絞りフレーム部60は、第2フレーム42に取り付けられた第2Y軸マグネット48および第2X軸マグネット50に対して、中間にX軸コイル36を挟んだ状態で、対向して備えられる。絞りフレーム部90は、出射側(Z軸負方向側)に突出するY軸マグネット側突起90bと、X軸マグネット側突起90cとを有する。
【0063】
Y軸マグネット側突起90bは、第1フレーム82に形成されている第1Y軸用貫通穴82bに対して、移動枠32の反対側(Z軸正方向側)から挿入される。また、X軸マグネット側突起90cも、Y軸マグネット側突起90bと同様に、第1フレーム82に形成されている第1X軸用貫通穴82cに対して、移動枠32の反対側(Z軸正方向側)から挿入される。
【0064】
絞りフレーム部90は、第1実施形態に係る絞りフレーム部60と同様に、磁性材料を用いて作製されているため、振れ補正レンズ群30を移動させるためのVCM(図2参照)におけるヨークの役割を果たすことができる。すなわち、図5に示す第4ユニット78において、Y軸コイル34と、第2Y軸マグネット48と、第2Y軸ヨーク52と、絞りフレーム部90(特にY軸マグネット側突起90b周辺)は、振れ補正レンズ群30をY軸方向に移動させるためのY軸VCMを構成している。また、X軸コイル36と、第2X軸マグネット50と、第2X軸ヨーク54と、絞りフレーム部90(特にX軸マグネット側突起90c周辺)は、振れ補正レンズ群30をX軸方向に移動させるためのX軸VCMを構成している。
【0065】
また、絞りフレーム部90は、絞りフレーム部90よりZ軸負方向側に位置する第2Y軸マグネット48および第2X軸マグネット50に対して磁気的に結合される。したがって、絞りフレーム部90は、マグネット48,50の磁力によって、絞りフレーム部90のZ軸負方向側に位置する第1フレーム82に対して押しつけられる。このようにして、絞り機構86は、マグネット48,50の磁力を用いて、第1フレーム82に保持される。ただし、第1フレーム82に対する絞りフレーム部90の固定は、接着剤等によって補強されてもよい。
【0066】
本実施形態に係る第4ユニット78において、絞りフレーム部90は、マグネット48,50に対して隣接していないが、Y軸およびX軸マグネット側突起90b,90cが第1フレーム82の貫通穴82b,82cに備えられるため、絞りフレーム部90とマグネット48,50の磁気的な結合が強くなる。
【0067】
第3実施形態に係る第4ユニット78は、VCMを構成するマグネットが少ないため、第1実施形態に係る第4ユニット18より部品数が少なく、組立が容易である。また、第3実施形態に係る第4ユニット78は、第1実施形態に係る第4ユニット18と同様の効果を有する。
【0068】
その他の実施形態
第1〜第3実施形態に示す第4ユニット18,68,78において、絞りフレーム部60,90は、移動枠32と固定枠38,80との相対移動に必要な駆動力を生じさせるためのマグネット44,46,48,54の磁力によって、第1フレーム40,82に保持される。しかし、他の実施形態では、絞りフレーム部60,90は、移動枠32と固定枠38,80との相対移動を検出するための位置検出部(磁気的なセンサ)に用いられるマグネットの磁力によって、第1フレーム40,82に固定されてもよい。この場合、可動枠には、例えばホール素子等の磁気センサが取り付けられる。
【0069】
第1〜第3実施形態に示す第4ユニット18,68,78では、絞り機構56,86は、振れ補正機構の入射側(Z軸正方向側)に配置されているが、レンズ機構の出射側(Z軸負方向側)に配置されてもよい。また、第1〜第3実施形態に係る第4ユニット18,68,78において、第2フレーム42,72に取り付けられるヨーク52,54,74,76を、絞りフレーム部60,90と同様に環状とし、部品数を減少させてもよい。
【符号の説明】
【0070】
18,68,78… 第4ユニット
30… 振れ補正レンズ群
32… 移動枠
38,70,80… 固定枠
40,82… 第1フレーム
40aa… 係合部
40b,82b… 第1Y軸用貫通穴
40c,82c… 第1X軸用貫通穴
44,46,48,56… マグネット
56,86… 絞り機構
58… 絞り羽根群
60,90… 絞りフレーム部
60a,90a… 径方向突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像振れを補正するための光学系を保持する第1部材と、
前記第1部材と相対的に移動可能であり、前記第1部材との相対移動に必要な駆動力を生じさせるための磁石、及び、前記第1部材との相対移動を検出するための磁石の少なくとも一方を有する第2部材と、
前記光学系を通る光を調節するための絞り部と、磁性を有し前記磁石に対向して備えられた対向部とを有する絞り部材とを含み、
前記対向部は、前記磁石と磁気的に結合していることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載された光学装置であって、
前記第2部材は、前記絞り部材と対向する側と、前記第1部材と対向する側との間を貫通する貫通部分を有することを特徴とする光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載された光学装置であって、
前記磁石の少なくとも一部は、前記貫通部分に備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載された光学装置であって、
前記対向部の少なくとも一部は、前記貫通部分に備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記磁石と前記対向部とは隣接していることを特徴とする光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された光学装置であって、
前記対向部は、前記光学系の外側に環状に備えられていることを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載された光学装置であって、
前記対向部は、前記光学系の光軸と交差する方向に突出した突出部を有し、
前記第2部材は、前記突出部と係合する係合部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された光学装置を含むことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−33704(P2011−33704A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177955(P2009−177955)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】