説明

光学装置の製造方法

【課題】汎用性に富んだ光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る製造方法によれば、格子状の隔壁7を形成して略同じサイズの複数の区画領域Pを形成した後、当該複数の区画領域のうち、区画領域P2,P3における開口部5eを除いた部分に、液滴吐出法によって、面積を調整するための補填部材10を形成する。つまり、補填部材10により、表示領域Vにおける所定の区画領域の面積を他の区画領域の面積と異ならせることができる。よって、表示領域Vのサイズや、使用する溶液の種類、乾燥条件などを考慮した上で、表示領域Vの中央部よりも周縁部の区画領域Pが広くなるように、隔壁設定を最適化することができる。従って、汎用性に富んだ光学装置の製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)材料が分散または溶解した溶液をインクジェット法により隔壁(バンク)に囲まれた凹部に吐出、および乾燥させる、いわゆる液滴吐出法を用いて発光画素を形成する技術が知られている。
このような液滴吐出法によって、複数の画素をマトリックス状に形成した場合、塗布された溶液の乾燥速度の差によって、発光層の膜厚に差が生じてしまい、発光画素間での輝度ムラや、発光色ムラが生じてしまうという問題があった。これは、複数の画素がマトリックス状に形成された表示領域において、その周縁部における溶液の乾燥速度が、中央部に比べて速くなることに起因していた。
【0003】
発明者等は、上記問題を解決するために、特許文献1の表示装置(光学装置)を提案している。当該表示装置では、隔壁で囲まれた1つの発光画素の領域を区画領域としたときに、区画領域の体積が表示領域の中央部よりも周縁部側で大きくなるように隔壁を設定している。換言すれば、表示領域の中央部よりも周縁部における区画領域の方が広く(大きく)なるように隔壁設定をしていた。また、溶液の吐出量も区画領域の体積比に合わせて変化させていた。
これにより、表示領域の中央部と周縁部とにおける乾燥速度が略等しくなり、形成される発光層の膜厚の均一化を実現していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−16205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、汎用性に乏しいという課題があった。詳しくは、区画領域の大きさや、中央部から周縁部に至る間でのサイズ変化の割合などの隔壁設定は、表示領域のサイズや、使用する溶液の種類、乾燥条件などによって異なるが、従来の方法では、一品一様で専用の隔壁設定となってしまうため汎用性に乏しかった。
また、乾燥速度の均一化ばかりでなく、例えば、各画素が放つ色光を増強する共振構造を適用することも想定されるが、やはり、専用の隔壁設定では融通が利かなかった。
さらに、有機EL材料は、開発ステージにある材料であり、日々改良された新材料が提案されているが、新材料の特性に応じて、隔壁設定を変更して最適化を図りたいというニーズに応じることは難しかった。つまり、細部の設計変更が困難であり、設計融通性に欠けるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
【0007】
(適用例)
有機材料を含む複数の発光画素が形成された表示領域を有する光学装置の製造方法であって、基板上に、発光画素の開口部を含む複数の第1電極を形成する工程と、複数の開口部を区画する隔壁を形成する工程と、隔壁によって区画された複数の区画領域のうち、所定の区画領域における開口部を除いた部分に、液滴吐出法によって、区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、複数の区画領域ごとに、有機材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、溶液を乾燥させる工程と、第1電極と対となる第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【0008】
この製造方法によれば、隔壁を形成して複数の区画領域を形成した後、当該複数の区画領域のうち、所定の区画領域における開口部を除いた部分に、液滴吐出法によって、区画領域の面積を調整するための補填部材が形成される。つまり、補填部材により、表示領域における所定の区画領域の面積を他の区画領域の面積と異ならせることができる。
よって、専用の隔壁設定であったため汎用性に乏しかった従来の方法と異なり、本適用例に係る製造方法によれば、補填部材により、表示領域における区画領域の面積を個別に調整することができる。例えば、所定の区画領域を表示領域の中央部近傍に設定することにより、中央部よりも周縁部における区画領域の面積を広くして、乾燥速度を均一化し、有機層の膜厚の均一化を図ることができる。
従って、汎用性に富んだ光学装置の製造方法を提供することができる。
【0009】
また、例えば、各画素が放つ色光を増強する共振構造を適用する場合、各色の有機層の厚さを含む共振器長を変える必要があるが、この製造方法によれば、色ごとの区画領域の面積を調整可能であるため、形成される有機層の厚さを色ごとに変えることができる。
また、有機EL材料の新材料を用いる場合においても、新材料の特性に応じて、補填部材により隔壁設定を変更して最適化を図ることができる。
従って、設計融通性に優れた光学装置の製造方法を提供することができる。
【0010】
有機材料を含む複数の発光画素が形成された表示領域を有する光学装置の製造方法であって、基板上に、発光画素の開口部を含む複数の第1電極を形成する工程と、複数の開口部を区画する隔壁を形成する工程と、隔壁によって区画された複数の区画領域ごとに、発光画素に含まれる複数の有機層のうちの少なくとも一層を形成する工程と、所定の区画領域における開口部を除いた部分に、液滴吐出法によって、区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、複数の区画領域ごとに、有機材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、溶液を乾燥させる工程と、第1電極と対となる第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【0011】
また、所定の区画領域には、表示領域における中央部の区画領域が含まれており、複数の区画領域の面積が、表示領域の中央部よりも周縁部で大きくなるように補填部材が形成されていることが好ましい。
また、溶液には、溶媒の種類が異なる複数種の溶液が含まれており、所定の区画領域には、複数種の溶液のうち、最も乾燥速度が遅い溶媒を用いた溶液が塗布される区画領域が少なくとも含まれることが好ましい。
また、発光画素には、赤色画素、緑色画素、青色画素が含まれ、所定の区画領域には、少なくとも赤色画素に対応する区画領域が含まれており、それぞれの区画領域の面積が、赤色画素に対応する区画領域、緑色画素に対応する区画領域、青色画素に対応する区画領域の順に、大きくなるように補填部材が形成されていることが好ましい。
【0012】
また、隔壁は、フォトリソ法を用いて、複数の開口部を1つずつに区画する格子状に形成され、補填部材は、光硬化性樹脂を含有した溶液を液滴吐出法により塗布した後に、光を照射することにより形成されることが好ましい。
また、所定の区画領域を除いた区画領域における周縁部の一部に、撥液剤が添加されていない溶液を塗布して補填部材を形成することが好ましい。
また、区画領域には、開口部よりも深い掘り込み部が形成されており、掘り込み部にも、補填部材を形成可能であることが好ましい。
【0013】
有機材料を含む複数の色フィルターが形成されたフィルター領域を有する光学装置の製造方法であって、複数の色フィルターを区画する隔壁を形成する工程と、隔壁によって区画された複数の区画領域のうち、少なくともフィルター領域の中央部の区画領域を含む区画領域に、液滴吐出法によって、区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、複数の区画領域ごとに、色フィルターを構成する材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、溶液を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
また、フィルター領域の周縁部における区画領域の面積が、中央部における面積よりも大きくなるように、補填部材が形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る光学装置の一態様を示す斜視図。
【図2】素子基板の平面図。
【図3】図1のi−i断面における表示パネルの側断面図。
【図4】表示パネルの製造工程を示すフローチャート図。
【図5】(a)、(b)製造工程における一態様を示す図。
【図6】(a)、(b)製造工程における一態様を示す図。
【図7】実施形態2に係る素子基板の拡大平面図。
【図8】実施形態3に係る素子基板の拡大平面図。
【図9】表示パネルの側断面図。
【図10】電子機器としての携帯電話を示す斜視図。
【図11】変形例4に係る素子基板の拡大平面図。
【図12】素子基板の拡大断面図。
【図13】変形例5に係る素子基板の拡大断面図。
【図14】光学装置としてのCF基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0016】
(実施形態1)
「表示装置の概要」
図1は、本実施形態に係る表示装置の一態様を示す斜視図である。
まず、本発明の実施形態1に係る光学装置としての表示装置100の概要について説明する。
【0017】
表示装置100は、有機EL表示装置であり、表示パネル18、フレキシブル基板20などから構成されている。表示パネル18は、素子基板1と対向基板16との間に、発光層を含む機能層を挟持したボトムエミッション型の有機EL表示パネルであり、素子基板1側から表示光を出射する。
表示パネル18は、マトリックス状に配置された複数の画素からなる表示領域Vを備えている。図1の右上に拡大して示すように、表示領域Vには、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の各色画素が周期的に配置されており、各画素が出射する表示光によりフルカラーの画像が表示される。なお、各画素は発光画素であるが、画素と称する。また、カラー表示を行う表示パネルに限定するものではなく、モノクロ表示を行う表示パネルであっても良い。表示領域Vは、縦長の長方形をなしており、図1を含む各図においては、当該縦方向をY軸方向とし、縦方向よりも短い横方向をX軸方向と定義している。また、表示パネル18の厚さ方向をZ軸方向としている。また、Y軸(+)、(−)方向を上下方向とし、X軸(−)、(+)方向を左右方向としている。
【0018】
詳しくは後述するが、表示領域Vの各画素における発光層を含む複数の有機層は、液滴吐出法によって形成されている。ここで、表示装置100によれば、本実施形態に係る特徴ある製造方法によって、各画素間における発光層を含む複数の有機層の厚さが均一化されているため、輝度ムラや、発光色ムラが低減されている。
また、当該製造方法は、特に、汎用性および設計融通性に富んでいるため、表示領域Vのサイズや、使用する溶液の種類、乾燥条件などが変化した場合であっても、常に、最適な製造条件とすることができる。
【0019】
また、表示パネル18において、素子基板1が対向基板16から張出した張出し領域には、フレキシブル基板20が接続されている。なお、フレキシブル基板とは、例えば、ポリイミドフィルムの基材に鉄箔の配線などが形成された柔軟性を有するフレキシブルプリント回路基板の略称である。また、フレキシブル基板20には、駆動用IC(Integrated Circuit)21が実装され、その端部には、専用のコントローラーや、外部機器(いずれも図示せず)と接続するための複数の端子が形成されている。
表示パネル18は、フレキシブル基板20を介して、外部機器から電力や画像信号を含む制御信号の供給を受けることにより、表示領域Vに画像や文字などを表示する。
【0020】
「表示パネルの詳細な構成」
図2は、素子基板の平面図である。図3は、図1のi−i断面における表示パネルの側断面図である。
続いて、表示パネルの詳細な構成について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、図1において素子基板1をZ軸(+)方向から見たときの平面図である。このため、図1と比べてX軸方向が反転している。また、完成状態の素子基板1をこの方向から観察した場合、一様な共通電極(陰極)が観察されることになるが、ここでは、説明の都合上、有機層を形成する前段階における平面態様を示している。
素子基板1の表示領域Vには、格子状の隔壁7が形成されている。詳しくは、隔壁7は、行列をなして配置された画素電極(陽極)の開口部5eを1つずつ区画するように形成されている。
また、隔壁7によって区画された複数の領域のことを区画領域Pという。複数の区画領域Pは、全てが略同じ大きさに形成されており、その中央部に1つの開口部5eが配置されている。また、図2では、好適例として、区画領域Pを長方形としているが、これに限定するものではなく、トラック形状や、楕円などであっても良い。また、開口部5eについても円形状としているが、トラック形状や、楕円、長方形などであっても良い。
【0021】
また、表示領域Vの左端(X軸(−)側)における区画領域Pの列には赤色の有機EL層が形成され、その右隣(X軸(+)側)の区画領域Pの列には緑色の有機EL層が形成され、その右隣の区画領域Pの列には青色の有機EL層が形成されている。以降、区画領域P列ごとに、この順番で、周期的に各色の有機EL層が形成されている。
表示領域Vには、面積の異なる3つの区画領域P1〜P3が形成されている。まず、区画領域P1は、表示領域Vの周縁部に形成されており、隔壁7によって区画された基準となる区画領域である。区画領域P1は、縦(Y軸方向)が長さg1で、横幅(X軸方向)が長さwの縦長の長方形をなしている。
ここで、区画領域P2,P3は、基準となる区画領域P1における開口部5eを除いた部分に、補填部材10を形成して面積調整した区画領域である。詳しくは、区画領域P2,P3は、区画領域P1における縦方向の両端に補填部材10を形成することにより、面積を段階的に小さくしている。
【0022】
表示領域Vの周縁部に配置された区画領域P1の内側に、一回り小さな環状に配置されている区画領域P2の面積は、区画領域P1の面積よりも小さくなっている。そして、区画領域P2に囲まれて表示領域Vの中央部に配置された区画領域P3の面積は、区画領域P2の面積よりも小さくなっている。
詳しくは、表示領域Vの外形(点線L1)から、一回り小さな点線L2までの範囲内では、区画領域Pのサイズが区画領域P1となっている。また、点線L2から、一回り小さな点線L3までの範囲内では、区画領域Pのサイズが区画領域P2となっている。そして、表示領域Vの中央の点線L3内では、区画領域Pのサイズが区画領域P3となっている。これらのサイズ関係を整理すると、区画領域P1、区画領域P2、区画領域P3の順に、面積が小さくなるように設定されている。
つまり、表示領域Vの中央部よりも周縁部における面積が大きくなるように、区画領域Pのサイズが区画されている。換言すれば、表示領域Vの周縁部から中央部に近づくに従って、区画領域Pの面積が小さくなるように調整されている。
これは、表示領域Vにおける溶液の乾燥速度は、中央部よりも周縁部で速くなるため、この乾燥速度の均一化を図っているからである。換言すれば、表示領域Vにおける溶液の乾燥速度を均一化するために、周縁部から中央部に近づくに連れて、区画領域Pの面積が小さくなる分割構成としている。
【0023】
具体的な区画領域P1〜P3の面積比率としては、区画領域P1の面積を1.0としたときに、例えば、「1.0:0.85:0.77」に設定する。換言すれば、好適例における区画領域P3,P2,P1の面積比率を、区画領域P3の面積を1.0としたときに、「1.0:1.1:1.3」に設定する。
また、これらの面積調整は、区画領域Pにおける縦方向の両端に形成する補填部材10の長さ(量)を異ならせることにより行っている。
詳しくは、区画領域P1では隔壁7により区画された基準区画領域P1の長さg1をそのまま活かし、区画領域P2では縦方向の両端に補填部材10aを形成して長さg2とし、区画領域P3では縦方向の両端に補填部材10bを形成して長さg3としている。
例えば、前述の好適例の場合では、長さg1〜g3の比率を、長さg1を1.0としたときに、「1.0:0.85:0.77」に設定する。これは、区画領域P1〜P3の横幅が長さwで一定となっているため、縦の長さgを所望の面積比率と同率で調整することにより、所期の面積比率とすることができる。
なお、面積比率や、区画数などは上記数値に限定するものではなく、表示領域Vのサイズや、使用する溶液の種類、乾燥条件などに応じて、適宜変更することが好ましい。
【0024】
続いて、図3を用いて、表示パネル18の断面構成について説明する。図3は、図2の区画領域が形成された素子基板1に、有機層、共通電極(陰極)、および対向基板を取り付けた完成状態における側断面図である。
表示パネル18は、素子基板1、素子層2、平坦化層4、画素電極5、隔壁7、有機EL層8、共通電極9、接着層11、対向基板16などから構成されている。また、素子基板1と対向基板16とに挟持された部位のことを電気光学層としての機能層15という。換言すれば、素子層2から接着層11までの積層構造を機能層15という。
素子基板1は、透明な無機ガラスから構成されている。本実施形態では、好適例として、無アルカリガラスを用いている。なお、ガラスに限定するものではなく、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)などの透明基板を用いても良い。
素子層2には、各画素をアクティブ駆動するための画素回路が形成されている。画素回路には、TFT(Thin Film Transistor)からなる画素を選択するための選択トランジスターや、有機EL層8に電流を流すための駆動トランジスター3などが含まれており、画素ごとに対応して形成されている。なお、画素回路は、好適例として、活性層に低温ポリシリコンを用いているが、アモルファスシリコンを活性層として用いた構成であっても良い。
【0025】
素子層2の上層(Z軸(+)方向)には、例えば、アクリル樹脂などからなる絶縁層である平坦化層4が形成されている。
平坦化層4の上層には、画素ごとに区画されて、第1電極としての画素電極5が形成されている。画素電極5は、ITO(Indium Tin Oxide)や、ZnOなどの透明電極から構成されており、画素ごとに素子層2の駆動トランジスター3のドレイン端子と平坦化層4を貫通するコンタクトホールにより接続されている。
また、画素電極5の上層には、例えば、SiO2からなる絶縁層6が形成されており、画素電極5と有機EL層8とが接触する開口部5eを区画している。つまり、画素電極5が絶縁層6から露出した部分を開口部5eとしている。
隔壁7は、前述した格子状の隔壁であり、断面形状は、画素電極5側が広い台形状になっている。また、隔壁7の表面には、撥液化処理が施されている。なお、断面形状は、矩形や、半円状であっても良い。好適例における材料としては、光硬化性のアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂などを用いる。
【0026】
有機層としての有機EL層8は、正孔注入層や、発光層などを含む複数の有機(薄膜)層から形成された有機EL発光層である。
好適例における有機EL層8は、正孔注入層と、中間層と、各色発光層とを、この順番に積層した構成となっている。
好適例における正孔注入層の材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体にドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)を用いる。また、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体を用いてもよい。
好適例における中間層の材料としては、例えば、正孔輸送性が良好なポリオレフィン系ポリマー蛍光材料を用いる。または、トリフェニルアミン系ポリマーを用いても良い。
【0027】
発光層の材料としては、有機EL層8R,8G,8Bごとに、赤色、緑色、青色の蛍光、または燐光を発光する発光材料を用いることが好ましい。
好適例としては、赤色、緑色、青色に対応したポリオレフィン系ポリマー蛍光材料を用いる。または、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)等のポリチオフェニレン誘導体、ポリメチルフェニレンシラン(PMPS)などを用いても良い。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクドリン等低分子材料をドープしてもよい。
【0028】
第2電極としての共通電極9は、全ての有機EL層8、および隔壁7を覆って共通に形成された陰極であり、単層構成であっても複数層構成であっても良い。
好適例としては、複数層構成とし、発光層側の薄い下層(電子注入層)を仕事関数が小さい材料(例えば、カルシウム)から形成し、厚い上層を仕事関数が大きい材料(例えば、アルミニウム)から形成する。
接着層11は、好適例では、熱硬化型のエポキシ系接着剤を用いている。なお、これに限定するものではなく、特に、水分の浸入を防ぐバリア性、および対向基板の接着性を備えた接着剤であれば良く、シリコン系や、アクリル系の接着剤を用いても良い。または、共通電極9の上層に、シリコン窒化膜や、シリコン酸化膜などの無機バリア層をさらに形成した後に、接着層11を充填する構成であっても良い。
対向基板16は、機能層15を封止するためのガラス基板である。または、金属基板を用いても良い。なお、対向基板16は必須の構成ではなく、当該基板を省略しても良い。この場合、共通電極9の上層に、前述の無機バリア層を厚く形成することが好ましい。
【0029】
「表示パネルの製造方法」
図4は、表示パネルの製造工程を示すフローチャート図である。図5(a)、(b)は、製造工程における一態様を示す図である。図6(a)、(b)は、製造工程における一態様を示す図である。
ここでは、表示パネル18の製造方法について、隔壁7から有機EL層8の形成を中心に説明する。
【0030】
まず、ステップS1では、フォトリソ法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの周知の製造方法を用いて、絶縁層6までが作り込まれた素子基板1を形成する。換言すれば、画素電極5、および絶縁層6までが作り込まれて、開口部5eが形成された素子基板1を準備する。
ステップS2では、フォトリソ法を用いて、格子状の隔壁7を形成する。詳しくは、前述した光硬化性の樹脂を素子基板1の全面にスピンコート法などにより塗布した後、格子状のマスクを用いて露光し、現像することによって格子状の隔壁7を形成する。なお、好適例では、黒色の光硬化性樹脂を用いている。
これにより、図5(a)に示すように、複数の開口部5eを1つずつに区画する隔壁7が形成される。換言すれば、表示領域Vを複数の区画領域P1に区画する隔壁7が形成される。
【0031】
ステップS3では、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて、補填部材10を形成する。詳しくは、光硬化性樹脂を含有した溶液を液滴吐出法により所定の位置に塗布した後に、光を照射して形成する。
好適例では、図5(b)に示すように、液滴吐出装置(図示せず)の吐出ヘッド500からUV硬化インク(溶液)を図2のレイアウトに沿って吐出し、紫外線を照射することにより、補填部材10を形成している。図5(b)は、UV硬化インクを表示領域Vの中程まで吐出配置した状態を示している。当該図では、シングルヘッドの吐出ヘッド500によって、補填部材10を1つずつ塗布する様子が示されているが、所期のレイアウトおよびサイズに沿って、溶液を吐出可能な構成であれば良い。例えば、マルチヘッドの吐出ヘッドを用いて、1行単位で形成することであっても良い。
【0032】
また、図6(a)に示すように、断面形状においては台形の隔壁7の傾斜面を伸ばすように、補填部材10aが形成される。換言すれば、隔壁7の幅(Y軸方向の長さ)を広げるように、当該隔壁の側面に補填部材10aが形成される。なお、図6(a)は、図2のj−j断面における側断面図である。
また、UV硬化インクの色調は、補填部材10の形成状態を視認するために隔壁7と見分けの付く色調とすることが好ましい。
なお、インクジェット法に限定するものではなく、所定の位置に溶液を吐出可能な塗布方法であれば良い。例えば、ジェットディスペンサー法や、ニードルディスペンサー法などのディスペンサー法を用いても良い。
この工程により、図2に示すように補填部材10a,10bが形成され、表示領域Vに3つの区画領域P1〜P3が形成される。
【0033】
ステップS4では、開口部5eを含む表示領域Vの露出面に親液化処理を施す。詳しくは、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。この処理により、開口部5eを含む表示領域Vの露出面に水酸基が導入されて親液性が付与される。
ステップS5では、隔壁7、および補填部材10を含む表示領域Vの露出面に撥液化処理を施す。詳しくは、大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。これにより、隔壁7、および補填部材10を含む表示領域Vの露出面にフッ素基が導入されて撥液性が付与される。なお、無機物から構成されている開口部5e、および絶縁層6は、この撥液化処理によって撥液化されることはない。
【0034】
ステップS6では、液滴吐出法を用いて、区画領域Pごとに有機EL層8を形成する。有機EL層8の形成は、有機層ごとに、溶剤の塗布工程と乾燥工程とを繰り返えすことにより行われる。
まず、第1層目として正孔注入層を形成する。
好適例における塗布工程では、溶質として固形分濃度が0.5%で重量比が1:50のPEDOT/PSSを含み、溶媒の50%としてジエチレングリコールモノブチルエーテルと、溶媒の残量として純水(具体的には超純水)とを含有する溶液を用いる。そして、当該溶液を液滴吐出装置で、区画領域Pごとに吐出する。
また、溶液の吐出量は、区画領域Pの面積比に合わせて変化させる。換言すれば、単位面積当りの溶液量を同一としている。好適例の場合、区画領域P1への吐出量を1.0としたときに、各区画領域P1,P2,P3への吐出量を「1.0:0.85:0.77」としている。
【0035】
図6(a)は、正孔注入層の溶液を1つの区画領域P2に塗布した状態を示している。
液滴吐出装置(図示せず)の吐出ヘッド510から吐出された溶液の液滴dは、区画領域P2内に着弾し、当該図に示すように、凸状(水玉状)に塗布(充填)される。なお、液滴dが凸状となるのは、区画領域P2の底部を形成する開口部5eおよび絶縁層6が親液性を有するとともに、側壁を構成する隔壁7、および補填部材10が撥液性を有しているからであり、充填された溶液は、その表面張力によって水玉状の膨らみを持って区画領域P2に満たされることになる。換言すれば、区画領域P2の底部は接触角が小さくてぬれやすく、側壁は接触角が大きくてぬれにくくなっているからである。なお、区画領域P1,P3においても同様である。
続いて、乾燥工程を行う。詳しくは、真空乾燥と熱処理を行う。まず、溶液が塗布された状態の素子基板1を真空チャンバーに移して、真空乾燥を行う。これにより、溶液中の溶媒の沸点が下がり、当該溶媒が低温で蒸発することになるため、溶質が析出して正孔注入層が形成される。さらに、残存する溶媒を除去するために熱処理を行う。好適例では、窒素ガス雰囲気下において、約200℃で約10分間の熱処理を行う。
また、乾燥工程において、素子基板1を加熱しても良い。例えば、当該基板をホットプレート上に載せて加熱する方法や、表示領域Vの上方から赤外線ランプを照射する方法などを採用することができる。また、これらの方法を組み合せても良い。このような方法によれば、より効率的に乾燥を行うことができる。
【0036】
次に、第2層目として中間層を形成する。
好適例における塗布工程では、溶質としてポリオレフィン系ポリマー蛍光材料を用い、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを用いた溶液を用いる。そして、当該溶液を液滴吐出装置で、区画領域Pごとに正孔注入層の上に吐出する。
また、溶液の吐出量は、正孔注入層の場合と同様に、単位面積当りの溶液量を同一としている。好適例の場合、区画領域P1への吐出量を1.0としたときに、各区画領域P1,P2,P3への吐出量を「1.0:0.85:0.77」としている。
続いて、乾燥工程を行う。詳しくは、真空乾燥と熱処理を行う。好適例では、真空乾燥に続いて、窒素ガス雰囲気下における約130℃で約1時間の熱処理を行う。
【0037】
次に、第3層目として発光層を形成する。
好適例における塗布工程では、溶質として赤色、緑色、青色の各色に対応したポリオレフィン系ポリマー蛍光材料を用い、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを用いた色ごとの溶液を用いる。そして、当該溶液を液滴吐出装置で、区画領域Pごとに中間層の上に吐出する。
また、溶液の吐出量は、正孔注入層の場合と同様に、単位面積当りの溶液量を同一としている。好適例の場合、区画領域P1への吐出量を1.0としたときに、各区画領域P1,P2,P3への吐出量を「1.0:0.85:0.77」としている。
続いて、乾燥工程を行う。詳しくは、真空乾燥と熱処理を行う。好適例では、真空乾燥に続いて、窒素ガス雰囲気下における約130℃で約1時間の熱処理を行う。
【0038】
図6(b)には、このようにして、区画領域P2内に正孔注入層、中間層、発光層の3層が積層された積層構造からなる有機EL層8が示されている。
ステップS7では、全ての有機EL層8、および隔壁7を覆って、共通電極9(図3)を形成する。好適例では、2層構成としており、電子注入層としてのカルシウムと、陰極層としてのアルミニウムとをこの順番で蒸着法により積層して、共通電極9を形成している。なお、図4のフローチャートでは省略しているが、共通電極9の形成後、接着層11により対向基板16が貼り合わされて表示パネル18が完成する。
【0039】
また、赤色、緑色、青色の各色で用いる溶媒が異なる場合には、溶媒の乾燥速度に応じて、さらに吐出量を調整しても良い。例えば、緑色のみにテトラメチルベンゼンを溶媒として用いる場合には、溶媒量を重量比40%とするとともに、各区画領域P1,P2,P3への溶液の吐出量を「1.3:1.1:1.0」とする。
このように、沸点(蒸気圧)が異なる溶媒を用いた場合には、溶媒ごとの乾燥速度に差が生じるが、この乾燥速度の違いを吐出量によって調整することができる。換言すれば、溶媒の種類に応じて吐出量を調整することによって、各色間における乾燥速度の均一化を図ることができる。
【0040】
「好適例における寸法」
上述した好適例による各部の寸法について、図3、および図6(b)を用いて紹介しておく。
まず、開口部5eの直径は約100μmとした。また、開口部5eを区画する絶縁層6の厚さは、約100nmである。
また、隔壁7の高さ(厚さ)は約2μmである。補填部材10の高さも略同等である。
有機EL層8を構成する正孔注入層、中間層、発光層の厚さは、それぞれ約50nm、約10nm、約100nmとした。
また、共通電極9の厚さは、カルシウムの厚さが約5nm、アルミニウムの厚さが約300nmとした。
【0041】
上述した通り、本実施形態に係る表示装置100、および製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
上述した製造方法によれば、格子状の隔壁7を形成して略同じサイズの複数の区画領域Pを形成した後、当該複数の区画領域のうち、区画領域P2,P3における開口部5eを除いた部分に、液滴吐出法によって、面積を調整するための補填部材10を形成している。つまり、補填部材10により、表示領域Vにおける所定の区画領域の面積を他の区画領域の面積と異ならせることができる。
よって、専用の隔壁設定であったため汎用性に乏しかった従来の方法と異なり、本適用例に係る製造方法によれば、補填部材10により、表示領域Vにおける区画領域Pの面積を個別に調整することができる。好適例では、所定の区画領域を表示領域Vの中央部近傍に設定することにより、区画領域P3,P2,P1の順に面積が大きくなるようにして、乾燥速度を均一化し、有機層の膜厚の均一化を図っている。換言すれば、中央部よりも周縁部における区画領域Pの面積を広くして、乾燥速度を均一化し、有機層の膜厚の均一化を図っている。
従って、汎用性に富んだ表示装置100の製造方法を提供することができる。
【0042】
また、例えば、有機EL材料の新材料を用いる場合においても、新材料の特性に応じて、補填部材10により隔壁設定を調整して最適化を図ることができる。
従って、設計融通性に優れた表示装置100の製造方法を提供することができる。
さらに、格子状の隔壁7をフォトリソ法によって形成しているため、区画領域P1の形状を設計値に基づいて、精度良く形成することができる。よって、基準区画領域P1の面積精度を精度良く作り込むことができる。
また、基準区画領域P1をベースとする所定の区画領域Pの面積精度は、補填部材10の形成精度に略依存することになるが、吐出精度に優れた液滴吐出法を採用しているため、製造バラツキを抑制することができる。
また、区画領域Pの面積、および体積は、区画領域Pの縦の長さgのみで略規定されるため、設計が容易となり、また製造時における管理も容易となるという効果もある。さらに、近年のインクジェット装置の吐出精度は優れており、略設定値通りの吐出位置、吐出量で補填部材10を形成することが可能であるため、所期の面積の区画領域Pを容易に形成することができる。
【0043】
表示装置100によれば、表示領域Vの中央部よりも周縁部における面積が大きくなるように、区画領域Pの面積が区画領域P1〜P3の複数段階に区画されている。
さらに、溶液の吐出量を区画領域Pの面積比に合わせて変化させて、単位面積当りの溶液量を同一としている。
よって、乾燥工程において、溶液中の溶媒が表示領域Vの中央部よりも周縁部の方で早く乾燥(蒸発)しても、各区画領域の面積と溶液量とのバランスが取られているため、全ての区画領域Pにおける乾燥時間は略同一となる。換言すれば、全ての区画領域Pにおける乾燥時間が略均一となるように、各区画領域の面積と溶液量とが定められている。
これにより、乾燥工程における溶液の対流の程度(度合)も、全ての区画領域において同程度のものとなるため、各区画領域に形成される有機EL層8の膜厚が均一化される。
従って、輝度ムラや、発光色ムラを低減した表示装置100を提供することができる。
【0044】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る素子基板の拡大平面図であり、図2に対応している。当該図は、表示領域VにおけるRGBの区画領域の拡大図である。
以下、本発明の実施形態2に係る表示装置について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態の表示装置は、実施形態1の素子基板1とは異なる構成の素子基板31を備えている。詳しくは、所定の区画領域Pの設定が実施形態1の素子基板1と異なる。また、製造工程の一部も異なっている。それ以外は、表示装置100での説明と同様である。
【0045】
実施形態2の素子基板31では、有機層形成に用いる溶液の乾燥速度に応じて、所定の区画領域Pの設定を行っている。
詳しくは、ステップS6(図4)において、有機EL層8Rの形成時に用いる溶液の溶媒をイソプロピルビフェニルとし、有機EL層8Gの形成時に用いる溶液の溶媒をイソプロピルベンゼンとし、有機EL層8Bの形成時に用いる溶液の溶媒をシクロヘキシルベンゼンとしている。なお、溶質については、前述した材料を用いることができる。
そして、これらの溶液の乾燥速度は、赤色の溶液、青色の溶液、緑色の溶液の順に早くなる。換言すれば、緑色の溶液が一番早く、赤色の溶液が一番遅くなっている。
【0046】
本実施形態では、この乾燥速度に応じて、乾燥速度が一番早い緑色の区画領域を基準となる区画領域P1とし、青色の区画領域P12、および赤色の区画領域P13を所定の区画領域として、それぞれ補填部材10c,10dを形成して面積調整をしている。換言すれば、複数種の溶液のうち、最も乾燥速度が遅い赤色の溶液が塗布される区画領域P13と、次に乾燥速度が遅い青色の溶液が塗布される区画領域P12とを所定の区画領域としている。
詳しくは、緑色の区画領域P1、青色の区画領域P12、赤色の区画領域P13の順に面積が小さくなるように、区画領域P12,P13における縦方向の長さg12,g13を設定している。また、溶液の吐出量は、実施形態1での説明と同様に、単位面積当りの溶液量が同一となるように設定する。
また、図7のRGBの3区画領域は、無作為に抽出したものであるが、この配列が表示領域V全体に繰り返されている。詳しくは、図2での説明と同様に、Y軸方向にはRGBの同一色がライン状に形成され、また、X軸方向にはRGBが周期的に繰り返し配置されている。
【0047】
「製造方法について」
続いて、素子基板31の製造方法について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図4のフローチャートの撥液化処理(ステップS5)を省略することを実現している。
このために、ステップS2の隔壁形成工程、およびステップS3の補填部材形成工程を変更している。
詳しくは、ステップS2の隔壁形成工程では、フッ素系ポリマーなどの撥液剤が添加された光硬化性の樹脂を用いて、隔壁7を形成している。また、ステップS3の補填部材形成工程でも、撥液剤が添加された光硬化性樹脂の溶液を用いて、補填部材10c,10dを形成している。これらの点以外は、実施形態1の製造方法と同様である。
【0048】
なお、ステップS3の補填部材形成工程では、撥液剤が添加されていない溶液を用いても良い。これは、仮に、補填部材10c,10dの接触角が小さくて、隣の区画領域内に溶液が入ったとしても、隣の区画領域の色調も同一色であるため、実害がないからである。
また、本実施形態の製造方法を実施形態1の素子基板1に適用しても良く、この場合であっても同様な作用効果を得ることができる。
【0049】
上述した通り、本実施形態に係る光学装置、および製造方法によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
この製造方法によれば、RGB各色の溶液の乾燥速度が異なる場合において、乾燥速度が速い溶液が塗布される区画領域の面積を相対的に大きくし、乾燥速度が遅い溶液が塗布される区画領域の面積を小さくすることにより、乾燥速度の均一化が図られるため、各区画領域における膜厚を均一化することができる。
つまり、RGB各色の溶液の乾燥速度が異なる場合においても、所定の区画領域の設定を含む隔壁設定を調整して最適化を図ることができる。
特に、有機EL材料の新材料を用いる際に、新材料の特性に応じて、最適な溶媒を選択する場合が想定されるが、この場合であっても、補填部材10により隔壁設定を調整して最適化を図ることができる。
従って、設計融通性に優れた光学装置の製造方法を提供することができる。
【0050】
さらに、製造工程においては、図4の撥液化処理(ステップS5)を省略することができる。
従って、製造効率に優れた表示装置100の製造方法を提供することができる。
【0051】
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係る素子基板の拡大平面図であり、図2に対応している。当該図は、表示領域VにおけるRGBの区画領域の拡大図である。図9は、図8のk−k断面における側断面図であり、図3に対応している。
以下、本発明の実施形態3に係る表示パネル38について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態の表示パネル38は、実施形態1の素子基板1とは異なる構成の素子基板41を備えている。素子基板41は、RGBの各色画素が出射する所定の波長域の表示光を選択的に共振させるための光共振器構造を備えており、それに伴って、所定の区画領域Pの設定が実施形態1の素子基板1と異なっている。それ以外は、表示装置100での説明と同様である。
【0052】
本実施形態では、各区画領域の色調に応じて、青色の区画領域を基準となる区画領域P1とし、緑色の区画領域P22、および赤色の区画領域P23を所定の区画領域として、それぞれ補填部材10e,10fを形成して面積調整をしている。
詳しくは、青色の区画領域P1、緑色の区画領域P22、赤色の区画領域P23の順に面積が小さくなるように、区画領域P22,P23における縦方向の長さg22,g23を設定している。換言すれば、青色の区画領域P1の長さg1、緑色の区画領域P22の長さg22、赤色の区画領域P23の長さg23の順に短くなるように、補填部材10e,10fを形成している。また、各溶液の吐出量は、区画領域の面積に拘らず同一量としている。
また、図8のRGBの3区画領域は、無作為に抽出したものであるが、この配列が表示領域V全体に繰り返されている。詳しくは、図2での説明と同様に、Y軸方向にはRGBの同一色がライン状に形成され、また、X軸方向にはRGBが周期的に繰り返し配置されている。
【0053】
また、図9に示すように、断面構成においては、光共振器構造を構成するために、素子基板41の機能層15側にハーフミラー層35が形成されている。ハーフミラー層35は、誘電体多層膜であり、好適例としては、TiO2膜とSiO2膜とが交互に積層された多層膜である。
そして、光共振器構造は、ハーフミラー層35と、反射性を有する共通電極9とによって構成されている。
ここで、各区画領域に同一量の溶液を塗布して有機層を形成すると、その厚さは、面積の小さい区画領域ほど厚くなり、図9に示すように、有機EL層8B、有機EL層8G、有機EL層8Rの順で、厚くなるように形成される。なお、好適例における有機EL層8B,8G,8Rの厚さは、約10nm、約50nm、約100nmとした。
【0054】
これにより、ハーフミラー層35から共通電極9までの距離で規定される光共振器構造の共振器長は、図9の矢印で示すように、青色の区画領域P1、緑色の区画領域P22、赤色の区画領域P23の順に、各有機EL層の厚さに応じて、長くなるように設定される。よって、各画素からは、光共振器構造において共振する波長域の光(B,G,R)が選択的に増強されて出射される。
なお、この共振器長の調整に、実施形態1の周縁部側の面積を広くする調整を加味して、区画領域の長さgを設定しても良い。これによれば、共振構造を実現するとともに、色ごとの有機EL層8の膜厚の均一化を図ることができる。
【0055】
上述した通り、本実施形態に係る光学装置、および製造方法によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
この製造方法によれば、色ごとの区画領域の面積を青色の区画領域P1、緑色の区画領域P22、赤色の区画領域P23の順に小さくなるように設定することにより、形成される有機層の厚さを有機EL層8B、有機EL層8G、有機EL層8Rの順で厚くすることができる。よって、各有機層の厚さに応じて、所期の共振器長を確保することができる。
つまり、本実施形態に係る製造方法を光共振器構造にも適用することができる。
従って、設計融通性に優れた光学装置の製造方法を提供することができる。
また、共振器長は、各区画領域の縦方向の長さgを調整することによって変更することができる。換言すれば、各区画領域の縦方向の長さgを変更することによって、簡便に共振器長を調整することができる。
従って、汎用性に富んだ光学装置の製造方法を提供することができる。
【0056】
(電子機器)
図10は、上述の表示装置を搭載した携帯電話を示す斜視図である。
上述した表示装置100は、例えば、電子機器としての携帯電話200に搭載して用いることができる。
携帯電話200は、本体部350と、当該本体部に対して開閉自在に設けられた表示部370とを備えるとともに、実施形態1に係る表示装置100を内蔵している。詳しくは、表示装置100は、表示部370に組み込まれており、表示パネル18が表示画面となっている。また、本体部350には、複数の操作ボタンを有する操作部365が設けられている。
つまり、携帯電話200は、輝度ムラや、発光色ムラを低減した表示装置100を搭載している。従って、安定した画質の携帯電話200を提供することができる。
なお、表示パネル18の素子基板には、実施形態2,3に係る素子基板31,41を用いても良く、この場合であっても、各実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0057】
また、携帯電話の態様は、図10に示した折畳み式に限定するものではなく、表示パネルを備えた携帯電話であれば良い。
例えば、本体部350に対して表示部370が折畳み、および旋回可能に設けられた携帯電話であっても良い。または、一体型の携帯電話や、一体型の本体部に操作部が収納されているスライド式の携帯電話であっても良い。
また、電子機器としては、携帯電話に限定するものではなく、液晶パネルを備えた電子機器であれば良い。
例えば、カーナビゲーションシステム用の表示装置や、PDA(Personal Digital Assistants)、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
これらの電子機器によれば、輝度ムラや、発光色ムラが低減された高品位の表示を得ることができる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0059】
(変形例1)
図4、および図5を用いて説明する。
上記各実施形態では、補填部材10を形成した後に、有機EL層8を形成していたが、この順番に限定するものではなく、少なくとも発光に寄与する発光層を補填部材10の形成後に塗布することであれば良い。換言すれば、補填部材10の形成前に、有機EL層8の一部を形成しても良い。
例えば、図5(a)に示す、格子状の隔壁7を形成(ステップS2)した後に、液滴吐出法を用いて、正孔注入層を区画領域ごとに形成しても良い。また、正孔注入層の上に、さらに、中間層を形成しても良い。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
(変形例2)
また、変形例1の構成に限定するものではなく、発光層を形成した後に、補填部材10を形成することであっても良い。
詳しくは、補填部材10の形成(ステップS3)に続いて、液滴吐出法を用いて、正孔注入層、中間層、発光層を各区画領域に形成しても良い。そして、各区画領域の発光層の上に補填部材10を形成する。
この構成によれば、補填部材10により、発光層と共通電極9との接触面積を調整することになるため、例えば、区画領域Pの長さgを、赤色、緑色、青色の順で長くすることにより、各色の寿命の均一化を図ることができる。
【0061】
(変形例3)
図3を用いて説明する。
上記各実施形態では、表示パネル18をボトムエミッション型の有機ELパネルとして説明したが、トップエミッション型の有機ELパネルであっても良く、有機層を塗布および乾燥して形成する光学装置であれば良い。
詳しくは、表示パネル18をトップエミッション型とする場合、画素電極5の素子基板1側に全反射層を形成する。また、共通電極9を薄くしてハーフミラー層とする。これにより、対向基板16側から、表示光が出射されることになる。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
(変形例4)
図11は、変形例4に係る素子基板の拡大平面図であり、図8に対応している。図12は、図11のm−m断面における側断面図である。
上記各実施形態では、隔壁7、および補填部材10の表面に撥液処理を行うものとして説明したが、有機層の膜厚を薄くしたい区画領域ではこの限りではない。換言すれば、有機層の膜厚を薄くしたい区画領域では、意図的に隔壁7、および補填部材10に撥液処理を施さなくても良い。
ここでは、実施形態3の光共振器構造を備えた素子基板41に本変形例の製造方法を適用した場合について説明する。なお、上記各実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0063】
図11の素子基板41bにおいて、青色の区画領域P11の縦方向の両端には、撥液性が付与されていない補填部材10hが形成されている。換言すれば、青色の区画領域P11は、図8の区画領域P1の縦方向の両端に補填部材10hを形成したものである。これ以外の素子基板41bの構成は、図8の素子基板41と同一である。
まず、素子基板41bの製造方法は、実施形態2の製造方法を応用している。詳しくは、撥液剤が添加された光硬化性の樹脂を用いて隔壁7を形成した後、撥液剤が添加された光硬化性樹脂の溶液と、撥液剤が添加されていない光硬化性樹脂の溶液とを選択的に使い分けて、各補填部材を形成している。
つまり、区画領域P11には、選択的に撥液剤が添加されていない溶液を用いて補填部材10hを形成し、その他の区画領域では、撥液剤が添加された溶液を用いている。
【0064】
また、図12に示すように、補填部材10hを形成する際には、隔壁7の上面にまで、溶液が掛かるように塗布することが好ましい。
これにより、当該図に示すように、区画領域P11に吐出された有機層の溶液は、接触角が小さい補填部材10hの上に広がった状態に塗布される。換言すれば、有機層の溶液の塗布面積が大きくなる。
よって、区画領域P11に形成される有機EL層8Bの膜厚をより薄くすることができる。換言すれば、撥液剤が添加された溶液と、撥液剤が添加されていない溶液とを選択的に使い分けることにより、有機層の膜厚の調整幅を広げることができる。
従って、汎用性に富み、設計融通性に優れた光学装置の製造方法を提供することができる。なお、本変形例の製造方法は、実施形態3以外の上記各実施形態、および変形例にも適用することが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
(変形例5)
図13は、変形例5に係る素子基板の側断面図であり、図6に対応している。
上記各実施形態では、区画領域の底面は、画素電極5(開口部5e)と略同一面となっていたが、この構成に限定するものではなく、画素電極5よりも低い(深い)部分が形成されていても良い。換言すれば、区画領域に画素電極5よりも低い掘り込み部が形成されていても良い。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0066】
図13は、図2のj−j断面における側断面図であり、隔壁7を形成した後における1つの区画領域P1bの側断面図を示している。
区画領域P1bには、縦方向(Y軸方向)における両端に画素電極5(開口部5e)よりも低い掘り込み部nが形成されている。換言すれば、区画領域P1bは、厚さ方向(Z軸方向)において区画領域の体積を広げる2つの掘り込み部nを備えている。この点以外の構成は、実施形態1での説明と略同様である。なお、区画領域の両端に掘り込み部nを2ヶ所形成することに限定するものではなく、開口部5eを除いた区画領域内であれば、どこに掘り込み部nを配置しても良く、また、形成数もいくつであっても良い。
また、掘り込み部nを形成するために、アクリル樹脂などからなる平坦化層4が厚く形成されている。そして、多階調(グレースケール)マスクを用いたフォトリソ法によって、すり鉢状の掘り込み部nを形成する。なお、多階調マスクを用いることに限定するものではなく、オーバーエッチングや、アンダーエッチングなどのエッチング技術を用いても良い。なお、掘り込み部nは、補填部材10を形成(充填)可能なサイズとなっている。
また、画素電極5は、蒸着マスクを用いたイオンプレーティング法により、平坦化層4の凸部に選択的に形成する。
【0067】
この構成によれば、2つの掘り込み部nの体積分、区画領域P1bの体積が増えるため、補填部材10の充填量の調整幅が広がり、有機層の膜厚の調整幅を広げることができる。換言すれば、よりダイナミックに有機層の膜厚調整を行うことができる。
従って、汎用性に富み、設計融通性に優れた光学装置の製造方法を提供することができる。なお、本変形例の製造方法は、実施形態1以外の上記各実施形態、および変形例にも適用することが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
(変形例6)
図14は、光学装置としてのCF基板の平面図であり、図2に対応している。
上記各実施形態では、有機ELパネルである表示パネル18を用いて説明したが、光学装置としてのCF基板に適用することであっても良い。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
変形例6に係るCF基板116は、液晶パネルや、トップエミッション型の有機ELパネルに用いられるカラーフィルターが形成された基板である。
上記各実施形態の製造方法をCF基板116に適用する場合、基板は透明な無垢基板を用いる(ステップS1)。また、図4の有機層形成工程(ステップS6)が変更となる。そして、共通電極形成工程(ステップS7)は不要となる。それ以外の工程は、同一である。
【0069】
詳しくは、有機層形成工程(ステップS6)では、色フィルターを構成する材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって1回塗布するだけで良い。換言すれば、有機層は1層のみの構成となる。また、図14では、複数の色フィルターが形成された領域を領域V(表示領域Vに相当する)としており、RGBの3色のカラーフィルターをストライプ状に配置しているが、さらに色数が多くても良い。また、デルタ配置などの異なる色配置であっても良い。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1,31,41…基板としての素子基板、5…第1電極としての画素電極、5e…開口部、7…隔壁、8,8R,8G,8B…複数の有機層としての有機EL層、9…第2電極としての共通電極、10,10a〜10f,10h…補填部材、18,38…表示パネル、100…光学装置としての表示装置、116…光学装置としてのCF基板、200…電子機器としての携帯電話、P,P1〜P3,P11〜P13,P22〜P23…区画領域、n…掘り込み部、V…表示領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料を含む複数の発光画素が形成された表示領域を有する光学装置の製造方法であって、
基板上に、前記発光画素の開口部を含む複数の第1電極を形成する工程と、
複数の前記開口部を区画する隔壁を形成する工程と、
前記隔壁によって区画された複数の区画領域のうち、所定の前記区画領域における前記開口部を除いた部分に、液滴吐出法によって、前記区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、
前記複数の区画領域ごとに、前記有機材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、
前記溶液を乾燥させる工程と、
前記第1電極と対となる第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【請求項2】
有機材料を含む複数の発光画素が形成された表示領域を有する光学装置の製造方法であって、
基板上に、前記発光画素の開口部を含む複数の第1電極を形成する工程と、
複数の前記開口部を区画する隔壁を形成する工程と、
前記隔壁によって区画された複数の区画領域ごとに、前記発光画素に含まれる複数の有機層のうちの少なくとも一層を形成する工程と、
所定の前記区画領域における前記開口部を除いた部分に、液滴吐出法によって、前記区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、
前記複数の区画領域ごとに、前記有機材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、
前記溶液を乾燥させる工程と、
前記第1電極と対となる第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【請求項3】
前記所定の区画領域には、前記表示領域における中央部の区画領域が含まれており、
前記複数の区画領域の面積が、前記表示領域の中央部よりも周縁部で大きくなるように前記補填部材が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記溶液には、溶媒の種類が異なる複数種の溶液が含まれており、
前記所定の区画領域には、前記複数種の溶液のうち、最も乾燥速度が遅い前記溶媒を用いた前記溶液が前記塗布される前記区画領域が少なくとも含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記発光画素には、赤色画素、緑色画素、青色画素が含まれ、
前記所定の区画領域には、少なくとも前記赤色画素に対応する前記区画領域が含まれており、
それぞれの前記区画領域の面積が、前記赤色画素に対応する前記区画領域、前記緑色画素に対応する前記区画領域、前記青色画素に対応する前記区画領域の順に、大きくなるように前記補填部材が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記隔壁は、フォトリソ法を用いて、前記複数の開口部を1つずつに区画する格子状に形成され、
前記補填部材は、光硬化性樹脂を含有した溶液を前記液滴吐出法により塗布した後に、光を照射することにより形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記所定の区画領域を除いた前記区画領域における周縁部の一部に、撥液剤が添加されていない前記溶液を塗布して前記補填部材を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記区画領域には、前記開口部よりも深い掘り込み部が形成されており、
前記掘り込み部にも、前記補填部材を形成可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学装置の製造方法。
【請求項9】
有機材料を含む複数の色フィルターが形成されたフィルター領域を有する光学装置の製造方法であって、
前記複数の色フィルターを区画する隔壁を形成する工程と、
前記隔壁によって区画された複数の区画領域のうち、少なくとも前記フィルター領域の中央部の前記区画領域を含む前記区画領域に、液滴吐出法によって、前記区画領域の面積を調整するための補填部材を形成する工程と、
前記複数の区画領域ごとに、前記色フィルターを構成する材料を溶解した溶液を液滴吐出法によって塗布する工程と、
前記溶液を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
【請求項10】
前記フィルター領域の周縁部における前記区画領域の面積が、中央部における面積よりも大きくなるように、前記補填部材が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−54513(P2011−54513A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204437(P2009−204437)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】