説明

光学部品および画像投影装置

【課題】レーザ光のビームスポットの形状の歪みを補償し、かつ波長の異なるレーザ光のビームスポットの位置ずれを抑制すること。
【解決手段】投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置に用いる光学部品50であって、波長の異なる複数のレーザ光を同一光軸上に出射するレーザ光源20と、レーザ光が入射する第1面30とレーザ光が出射する第2面32とを備えた第1プリズム22と、第2面を出射したレーザ光が入射する第3面34とレーザ光が出射する第4面36を備え、第1面と第2面とが交差する側とは反対側で第3面と第4面とが交差し、第4面から出射されるレーザ光は第4面の面方向のビーム径が面方向に交差するビーム径より大きく、屈折率および分散が第1プリズムより小さい第2プリズム24と、第2プリズムを出射した前記レーザ光を走査することにより前記投影光を出射する走査部26と、を具備する光学部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品および画像投影装置に関し、例えば投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置およびそれに用いる光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の画像投影装置が用いられている。例えば、プロジェクタ機能を有する携帯電話端末等が用いられている。このような画像投影装置においては、レーザ光を走査することにより投影光とし画像を投影する。また、投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置がある。例えば、特許文献1には、画像投影装置を設置した平面に画像を投影する画像投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−70135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影すると、スクリーン上のレーザ光のビームスポット形状が歪んでしまう。スクリーン上において、隣接する画素同士のビームスポットが重なると、画像の解像度が低下する。特許文献1においては、レーザ光のビームの上下をカットすることにより、ビームスポット形状の歪みを補償している。しかしながら、特許文献1の方法では、レーザ光の光量が低下してしまう。さらに、プリズム等を用いビームスポット形状の歪みを補償しようとすると、波長の異なるレーザ光のビームスポット位置が異なってしまう。波長の異なるレーザ光のビームスポット位置が画像の画素ピッチ以上に異なると、画像の解像度が低下する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、レーザ光のビームスポットの形状の歪みを補償し、かつ波長の異なるレーザ光のビームスポットの位置ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置に用いる光学部品であって、波長の異なる複数のレーザ光を同一光軸上に出射するレーザ光源と、前記レーザ光が入射する第1面と前記レーザ光が出射する第2面とを備えた第1プリズムと、前記第2面を出射した前記レーザ光が入射する第3面と前記レーザ光が出射する第4面を備え、前記第1面と前記第2面とが交差する側とは反対側で前記第3面と前記第4面とが交差し、前記第4面から出射される前記レーザ光は前記第4面の面方向のビーム径が前記面方向に交差するビーム径より大きく、屈折率および分散が前記第1プリズムより小さい第2プリズムと、前記第2プリズムを出射した前記レーザ光を走査することにより前記投影光を出射する走査部と、を具備することを特徴とする光学部品である。本発明によれば、レーザ光のビームスポットの形状の歪みを補償し、かつ波長の異なるレーザ光のビームスポットの位置ずれを抑制することができる。
【0007】
上記構成において、前記第1面および前記第4面の少なくとも一方に設けられた回折格子を備える構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第2面と前記第3面とは接している構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記レーザ光は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第4面を出射するレーザ光は前記交差する側に出射する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記画像投影装置は、平面上に設置され、前記平面に画像を投影する構成とすることができる。
【0012】
本発明は、平面上に設置され、前記平面に画像を投影する画像投影装置に用いる光学部品であって、赤色、緑色および青色レーザ光を同一光軸上に出射するレーザ光源と、前記レーザ光が入射する第1面と前記レーザ光が出射する第2面とを備えた第1プリズムと、前記第2面を出射した前記レーザ光が入射する第3面と前記レーザ光が出射する第4面を備え、前記第1面と前記第2面とが交差する側とは反対側で前記第3面と前記第4面とが交差し、前記第4面を出射するレーザ光は前記第4面の面方向のビーム径が前記面方向に交差するビーム径より大きく、屈折率および分散が前記第1プリズムより小さい第2プリズムと、前記第1面および前記第4面の少なくとも一方に設けられた回折格子と、前記第2プリズムを出射した前記レーザ光を走査することにより前記投影光を出射する走査部と、を具備することを特徴とする光学部品である。
【0013】
本発明は、上記光学部品を備えることを特徴とする画像投影装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーザ光のビームスポットの形状の歪みを補償し、かつ波長の異なるレーザ光のビームスポットの位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、実施例に係る画像投影装置の側面図、図1(b)は、上面図である。
【図2】図2は、実施例1から実施例3に係る画像投影装置内の光学部品の側面図である。
【図3】図3(a)および図3(b)は、レーザ光のビーム形状を示す図である。
【図4】図4は、実施例4に係る光学部品の側面図である。
【図5】図5は、平面に投影された画像上の各点の配置を示す図である。
【図6】図6(a)および図6(b)は、それぞれ比較例1における点P2およびP9におけるビームスポット形状の計算結果を示す図である。
【図7】図7(a)および図7(b)は、それぞれ比較例2および比較例3の点P4におけるビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。
【図8】図8(a)から図8(c)は、それぞれ実施例1から実施例3の点P4のビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。
【図9】図9(a)から図9(c)は、実施例4におけるそれぞれ点P2、P4およびP9のビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。
【図10】図10は、実施例4の画像の各点のビームスポット形状の計算結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例】
【0017】
図1(a)は、実施例に係る画像投影装置の側面図、図1(b)は、上面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、平面16上に画像投影装置10が置かれている。画像投影装置10は、例えば携帯電話端末、カメラ、携帯用ナビゲーション装置、パーソンルコンピュータ、ゲーム機または単独の画像投影装置でもよい。画像投影装置10の前面に投影口18が設けられている。投影口18から投影光12が出射される。投影光12は平面16に照射され画像14が投影される。このように、画像投影装置10が置かれた平面16を画像14を投影するスクリーンとして用いる。例えば、平面16は壁であり、画像投影装置10を壁に設置してもよい。また、平面16は、ホワイトボード等でもよい。図1(a)において、画像14の中心点P4を通る投影光12aと平面16とのなす角度をθとする。
【0018】
図2は、実施例1から実施例3に係る画像投影装置内の光学部品の側面図である。図2に示すように、光学部品50は、レーザ光源20、第1プリズム22、第2プリズム24および走査部26を備えている。レーザ光源20は、レーザ光40を画像の隣の画素と重ならない程度に同一光軸上に出射する。複数の波長のレーザ光40は、例えば、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光である。以下の計算では、赤色レーザ光の波長は660nm、緑色レーザ光の波長は530nmおよび青色レーザ光の波長は440nmとする。
【0019】
第1プリズム22は第1面30と第2面32とを有する。第1面30にレーザ光40が入射し、第2面32からレーザ光40が出射される。第2プリズム24は、第3面34と第4面36とを有する。第3面34に第2面32を出射したレーザ光40が入射し、第4面36からレーザ光42が出射される。第1面30と第2面32とは、図2の右側の交差点(または交差線)46において交差する。第3面34と第4面36とは、図2の左側の交差点(または交差線)48において交差する。交差点46と48とは第1プリズム22および第2プリズム24を挟み反対側である。
【0020】
第1面30と第2面32とは、第1プリズム22から延長した面も含む。図2のように第1面30と第2面32とは第1プリズム22外において交差してもよい。この場合、第1プリズム22は台形状となる。また、第1面30と第2面32とは第1プリズム22内において交差してもよい。この場合、第1プリズム22は三角形状となる。第2プリズム24においても同様である。さらに、第2プリズム24の屈折率および屈折率の波長に対する分散は第1プリズム22より小さい。第2プリズム24を出射するレーザ光は、交差点46側に出射する。第1プリズム22および第2プリズム24は例えば硝材からなる。
【0021】
走査部26は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーである。走査部26は、第2プリズム24を出射したレーザ光42を走査することにより、走査されたレーザ光44を投影光12として出射する。例えば、MEMSミラーの反射面38を動かすことにより、レーザ光44を走査することができる。図2において、レーザ光44が複数図示しているのは、反射面38の動作によりレーザ光44が走査されていることを示している。レーザ光源20からのレーザ光40と走査部26の走査を同期させることにより、例えば縦横マトリックス状の画素からなる画像14を投影させることができる。
【0022】
図3(a)および図3(b)は、レーザ光のビーム形状を示す図である。図3(a)のように、第1プリズム22に入射するレーザ光40のビーム形状は直径φ0の略真円である。第2プリズム24を出射するレーザ光42のビーム形状は横径φ1、縦径φ2としたとき、φ2>φ1の長円形状である。例えば、レーザ光42は、第4面36の面方向(図2の奥と手前との方向)のビーム径φ2が面方向に交差する方向のビーム径φ1より大きい。また、長軸である横径φ2は、φ0とほぼ同じ長さである。ここで、第1面30と第2面32との角度、第3面34と第4面36との角度、および第1プリズム22と第2プリズム24の材質を適宜設定することにより、φ1/φ2を適宜設定することができる。
【0023】
図4は、実施例4に係る光学部品の側面図である。図4に示すように、実施例4の光学部品52においては、実施例1の図2に加え、第1面30に回折格子28が設けられている。その他の構成は、実施例1の図4と同じであり、説明を省略する。回折格子28のピッチは適宜設定可能であるが、以下の計算では、回折格子28は第1面30に約83μmでピッチで形成されている。
【0024】
表1のような比較例1から比較例3および実施例1から実施例4についてのビームスポット形状を計算した。レーザ光源20から出射されるレーザ光40のビーム形状は、画素の大きさ等を考慮し適宜設定可能であるが、以下の計算では、図3(a)のように真円であり、直径φ0は2.5mmとする。
【表1】

【0025】
表1のように、比較例1は、第1プリズム22、第2プリズム24および回折格子28を用いない例である。tanθ=1/10、φ1/φ2=1である。比較例2は、第1プリズム22と第2プリズム24との材料は同じであり、ショット社製のBK7を用いている。回折格子28は用いていない。tanθ=1/10、φ1/φ2=1/10である。比較例3は、回折格子28を用いる以外は比較例2と同じである。
【0026】
実施例1から実施例3は、第1プリズム22および第2プリズム24の材料として、それぞれショット社製のF2およびBK7を用いている。実施例1においては、tanθ=1/10かつφ1/φ2=1/10である。実施例2においては、tanθ=1/5かつφ1/φ2=1/5である。実施例3においては、tanθ=1/2.5かつφ1/φ2=1/2.5である。実施例4は、回折格子28を用いその他の構成は実施例1と同じである。計算では、F2の屈折率ndを1.6201、アッベ数νd=(nd−1)/(nF−nC)を36.3561とし、BK7の屈折率ndを1.5163、アッベ数νdを64.0745とする。ここで、屈折率nd、nFおよびnCはそれぞれd線(波長が587.56nm)、F線(波長が486.13nm)およびC線(波長が656.27nm)の屈折率である。アッベ数νdは、分散(例えば主分散nF−nC)が大きいと小さくなり、分散が小さくなると大きくなる。
【0027】
図5は、平面に投影された画像上の各点の配置を示す図である。図5に示すように、画像14が平面16上に投影されている。点P4は画像14の中心点、点P2、P3、P8およびP9は、画像14の四隅の点、点P1、P5、P6およびP7は、画像14の四辺の各中点である。点P1からP3が画像14の画像投影装置10側の辺上に配置されている。以下の計算では、画像14の大きさは、幅W1を250mm、幅W2を185mmとする。
【0028】
まず、比較例1における計算結果について説明する。図6(a)および図6(b)は、それぞれ比較例1における点P2およびP9におけるビームスポット形状の計算結果を示す図である。図6(a)に示すように、点P2のビームスポットは長さが約20mmの細長い長円状となる。図6(b)に示すように、点P9のビームスポットは長さが約40mmの細長い長円状となる。点P4におけるビームスポットの短辺/長辺は、ほぼtanθとなる。このように、ビームスポット形状が細長くなると、スクリ−ン上において画素同士が重なる。また画素のビーム強度が下がる。このため、画像の解像度が著しく低下してしまう。
【0029】
比較例1のように、ビームスポットが長円状となることを抑制するためにプリズムを用いることが考えられる。図2において、例えば、第4面36の面方向のビーム径φ2が面方向に交差する方向のビーム径φ1より大きくする。例えば、φ1/φ2=tanθとする。第1面30に入射するレーザ光40を第1面30に対しほぼ垂直に入射させる。レーザ光42の出射方向と第4面とが鋭角になるように第4面36からレーザ光42を出射させる。これにより、レーザ光42のビーム形状を長円状とすることができる。比較例1のように、第1プリズム22と第2プリズム24との材質を同じとしてもレーザ光42のビーム形状を長円状とすることができる。
【0030】
図7(a)および図7(b)は、それぞれ比較例2および比較例3の点P4におけるビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。図7(a)および図7(b)における赤、緑および青は、それぞれ赤色、緑色および青色レーザ光のビームスポットを示している。緑色のビームスポット位置を中心に示している。図7(a)に示すように、比較例2において、単一材料のプリズムを用いビームスポット形状を円形状に補正すると、波長の異なるレーザ光のビームスポット位置が異なってしまう。図7(b)に示すように、比較例3のように、単一材料のプリズムの第1面に回折格子を設けても、波長の異なるレーザ光のビームスポット位置は補正されない。
【0031】
図8(a)から図8(c)は、それぞれ実施例1から実施例3の点P4のビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。実線、破線および点線は、それぞれ赤色、緑色および青色レーザ光のビームスポットを示している。図8(a)に示すように、実施例1においては、図7(a)の比較例2に比べ、波長の異なるレーザ光(赤色、緑色および青色)のビームスポット位置が近くなる。図8(b)および図8(c)のように、tanθ=φ1/φ2が1に近くなると、波長の異なるレーザ光のビームスポット位置はさらに近くなる。図8(c)のように、tanθ=φ1/φ2が1/2.5では、3つのビームスポットはかなり重なっている。
【0032】
実施例1から実施例3によれば、2つのプリズムを用い、第2プリズム24の屈折率および屈折率の波長分散を第1プリズム22より小さくする。これにより、複数のレーザ光の波長が異なっても第2プリズム24から出射されるレーザ光42の出射角度の波長依存を小さくできる。よって、画像14上のビームスポット位置の波長依存を小さくできる。このように、レーザ光のビームスポットの形状の歪みを補償し、かつ波長の異なるレーザ光のビームスポットの位置ずれを抑制することができる。また、特許文献1のようにビームの一部をカットしていないため、レーザ光の光量の低下を抑制できる。
【0033】
図9(a)から図9(c)は、実施例4におけるそれぞれ点P2、P4およびP9のビームスポット形状および位置の計算結果を示す図である。実線は、赤色、緑色および青色レーザ光のビームスポットが重なっていることを示している。9(a)から図9(c)に示すように、点P2、P4およびP9におけるビームスポットの大きさは4mm未満であり、真円に近い形状である。また、赤色、緑色および青色の各ビームスポットは形状および位置ともほぼ一致している。
【0034】
図10は、実施例4の画像の各点のビームスポット形状の計算結果を示す図である。図10のように、点P1〜P9とも真円に近い形状をしている。
【0035】
実施例4によれば、tanθが小さく、かつレーザ光の波長差が大きい場合であっても、第1面30に回折格子28を設けることにより、図9(a)から図9(c)および図10に示すように、異なる波長を有するレーザ光のビームスポット形状および位置をほぼ同じとすることができる。
【0036】
実施例1から実施例3のように、第1プリズム22および第2プリズム24を用いるだけでは、複数のレーザ光の波長差が大きい場合に色補正が十分ではない。このため、回折格子28を用いることが好ましい。特に、レーザ光の波長差が100nm以上、150nm以上または200nm以上の場合、第1プリズム22および第2プリズム24とともに、回折格子28を用いることが好ましい。また、tanθが1/2.5以下、1/5以下または1/10以下の場合、第1プリズム22および第2プリズム24とともに、回折格子28を用いることが好ましい。なお、回折格子28は第1面30および第4面36の少なくとも一方に設ければよいが、略垂直にレーザ光40が入射する第1面30に回折格子28を設けることが好ましい。
【0037】
なお、比較例3の図7(a)および図7(b)のように、プリズムを単一材料を用い形成した場合、回折格子28を設けても異なるレーザ光のビームスポット位置の補正はできなかった。これより、第2プリズム24の屈折率および屈折率の分散を第1プリズム22より小さくし、かつ、第1面30に回折格子28を設けることが好ましい。
【0038】
実施例1から実施例4において、第1面30でのレーザ光40の反射を抑制するためレーザ光40は、第1面30の法線方向から第1面30に入射することが好ましい。また、第3面34でのレーザ光40の反射を抑制するため第2面32と第3面34とは接しており隙間のないことが好ましい。
【0039】
実施例1から実施例4は、図1(a)のように、画像投影装置10が、平面16上に設置され、平面16に画像を投影する例である。例えば、投影光の出射方向に対し略平行の平面に画像を投影する例である。この場合、図6(a)および図6(b)のように、ビームスポットの歪が非常に大きくなる。このため、プリズムを用いてビームスポット形状を補正しようとすると、波長の異なるレーザ光間でビームスポット形状および位置がずれてしまう。そこで、実施例1から実施例4の光学部品を用いることが好ましい。実施例1から実施例4の光学部品は、投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置に用いることができる。
【0040】
さらに、実施例1から実施例4においては、レーザ光として赤色、緑色および青色の3つの異なる波長を有する複数のレーザ光を例に説明したが、複数のレーザ光は、2または4以上の異なる波長を有するレーザ光でもよい。
【0041】
赤色、緑色および青色レーザ光の波長の例として、それぞれ660nm、530nmおよび440nmについて計算したが、赤色、緑色および青色レーザ光の波長は、それぞれ610nm〜660nm、515nm〜540nmおよび440nm〜460nmの範囲でもよい。
【0042】
第1プリズム22および第2プリズム24の硝材の例としてショット社製のF2およびBK7を例に計算した。第1プリズム22および第2プリズム24の硝材の別の例として、それぞれオハラ社製のS−TIM27およびHOYA社製のBAC4を用いることができる。S−TIM27の屈折率ndは1.6398、アッベ数νdは34.4664である。BAC4の屈折率ndは1.5688、アッベ数νdは56.041である。その他の硝材または透明材料を用いてもよい。通常入手可能な範囲では、F2とBK7との組み合わせ、またはS−TIM27とBAC4との組み合わせが、最も屈折値の差および分散の差を大きくできる硝材の組み合わせである。
【0043】
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 画像投影装置
12 投影光
14 画像
20 レーザ光源
22 第1プリズム
24 第2プリズム
26 走査部
28 回折格子
30 第1面
32 第2面
34 第3面
36 第4面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置に用いる光学部品であって、
波長の異なる複数のレーザ光を同一光軸上に出射するレーザ光源と、
前記レーザ光が入射する第1面と前記レーザ光が出射する第2面とを備えた第1プリズムと、
前記第2面を出射した前記レーザ光が入射する第3面と前記レーザ光が出射する第4面を備え、前記第1面と前記第2面とが交差する側とは反対側で前記第3面と前記第4面とが交差し、前記第4面から出射される前記レーザ光は前記第4面の面方向のビーム径が前記面方向に交差するビーム径より大きく、屈折率および分散が前記第1プリズムより小さい第2プリズムと、
前記第2プリズムを出射した前記レーザ光を走査することにより前記投影光を出射する走査部と、を具備することを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記第1面および前記第4面の少なくとも一方に設けられた回折格子を備えることを特徴とする請求項1記載の光学部品。
【請求項3】
前記第2面と前記第3面とは接していることを特徴とする請求項1または2記載の光学部品。
【請求項4】
前記レーザ光は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の光学部品。
【請求項5】
前記第4面を出射するレーザ光は前記交差する側に出射することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の光学部品。
【請求項6】
前記画像投影装置は、平面上に設置され、前記平面に画像を投影することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の光学部品。
【請求項7】
平面上に設置され、前記平面に画像を投影する画像投影装置に用いる光学部品であって、
赤色、緑色および青色レーザ光を同一光軸上に出射するレーザ光源と、
前記レーザ光が入射する第1面と前記レーザ光が出射する第2面とを備えた第1プリズムと、
前記第2面を出射した前記レーザ光が入射する第3面と前記レーザ光が出射する第4面を備え、前記第1面と前記第2面とが交差する側とは反対側で前記第3面と前記第4面とが交差し、前記第4面を出射するレーザ光は前記第4面の面方向のビーム径が前記面方向に交差するビーム径より大きく、屈折率および分散が前記第1プリズムより小さい第2プリズムと、
前記第1面および前記第4面の少なくとも一方に設けられた回折格子と、
前記第2プリズムを出射した前記レーザ光を走査することにより前記投影光を出射する走査部と、を具備することを特徴とする光学部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項記載の記光学部品を備えることを特徴とする画像投影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−83770(P2013−83770A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223084(P2011−223084)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(506423051)株式会社QDレーザ (26)
【Fターム(参考)】