説明

光学部品及び光学機器

【課題】良好な光学特性が得られる光学部品及び光学機器を提供する。
【解決手段】
光透過性を有する透過部34前記透過部の一方面34aに取付けられた振動部42と、前記振動部の前記透過部に取付けられた面とは反対側の面42bに備えられた第1部分44aと、前記透過部の前記一方面とは反対側の他方面34bに備えられた第2部分44bと、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分44cとを有する部材44とを含む光学部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラに代表される撮像装置を有する光学機器では、光路中の透過部材に塵埃等が付着し、撮影された像に塵埃が写り込む場合がある。このような問題を解決するために、塵埃を除去する加振部材を備えた透過部材を有する撮像装置が提案されている。
【0003】
また、加振部材を備えた透過部材の取付け構造に関する従来技術としては、例えば、透過部材と透過部材の保持枠との間に、枠状の弾性部材を介在させる構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、従来技術に関する撮像装置は、透過部材の取付構造が複雑であるため、透過部材および加振部材の取り付けに手間がかかる上に、取付精度や、取付強度に問題を有している。また、加振部材と透過部材との接触面積が狭くなる傾向にあり、接触部分の強度や、透過部材に対する加振部材の固定信頼性にも課題を残すものであった。
【特許文献1】特開2007−134801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、良好な光学特性が得られる光学部品及び光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る光学部品は、
光透過性を有する透過部(34,70,78)と、
前記透過部の一方面(34a,70a,78a)に取付けられた振動部(42,72,74)と、
前記振動部の前記透過部に取付けられた面とは反対側の面(42b,74b)に備えられた第1部分(44a,64a,65a,76a,81a)と、前記透過部の前記一方面とは反対側の他方面(34b,70b,78b)に備えられた第2部分(44b,64b,65b,76b,82b)と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分(44c,64c,65c,76c,81c)とを有する部材(44,64,65,76,81,82)とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、例えば、前記第1部分は、前記透過部の前記一方面と略平行に延在する部分であり、
前記第2部分は、前記透過部の前記他方面と略平行に延在する部分であり、
前記第3部分は、前記第1部分及び第2部分の延在する方向に交差する方向に延在する部分であってもよい。
【0008】
また、例えば、前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分は、一体に構成された弾性部材であってもよい。
【0009】
また、例えば、前記第1部分は前記振動部に接着されており、前記第2部分は前記透過部に接着されていてもよい。
【0010】
また、例えば、前記弾性部材は、前記振動部を、前記透過部に向かって付勢していてもよい。
【0011】
また、例えば、前記透過部の前記一方面は、撥水性を有する撥水領域(40)を含み、前記振動部は、前記撥水領域に接触していてもよい。
【0012】
また、例えば、前記透過部の少なくとも一部は、光学ローパスフィルタであってもよい。
【0013】
また、例えば、前記振動部の少なくとも一部は、前記透過部を挟んで前記第2部分と対向しないように配置されていてもよい。
【0014】
本発明に係る光学機器は、いずれかの上記光学部品を含む。
【0015】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1〜第5実施形態に係る防塵ユニットを備えるデジタル一眼レフカメラの概略断面図、
図2は、本発明の第1実施形態に係る防塵ユニットの平面図、
図3は、図2に示すIII-III線に沿う概略断面図、
図4は、図3に示す防塵ユニットの拡大断面図、
図5Aは、本発明の第2実施形態に係る防塵ユニットの要部平面図、
図5Bは、本発明の第3施形態に係る防塵ユニットの要部平面図、
図6Aは、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニットの概略断面図、
図6Bは、本発明の第4実施形態の変形例に係る防塵ユニットの概略断面図、
図7Aは、本発明の第5実施形態に係る防塵ユニットの平面図、
図7Bは、図7Aに示すVIIB-VIIB線に沿う概略断面図、
図8は、本発明の第6実施形態に係る防塵ユニットを備えるデジタル一眼レフカメラの概略断面図、
図9は、本発明の第6実施形態に係る防塵ユニットの概略断面図である。
第1実施形態
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る防塵ユニットを備えたデジタル一眼レフ型カメラに関する概略断面図であり、カメラボディ4の側断面を表している。カメラボディ4の筐体6には開口部8が形成されており、開口部8の周辺にはレンズマウント10が形成されている。撮影時には、開口部8を覆うように交換レンズ(不図示)が設置され、交換レンズによって導かれた撮影光が、筐体6内部に導入される。
【0018】
カメラボディ4の筐体6内部には、クイックリターンミラー12,ファインダスクリーン14、ペンタプリズム16、接眼レンズ22、シャッタ20、駆動回路24および撮像ユニット30等が具備してある。撮像ユニット30は、防塵ユニット32および撮像素子38を有する。
【0019】
なお、各部材の配置については、開口部8を覆うように設置される交換レンズによって導入された撮影光が、撮像素子38に向かって、進行する方向をX軸の正方向として説明を行う。また、クイックリターンミラー12で反射された撮影光が、ペンタプリズム16に向かって進行する方向をZ軸の正方向、X軸方向およびZ軸方向に直交する方向をY軸方向として説明を行う。
【0020】
防塵ユニット32は、図3の断面図に示すように、基材部36および撥水膜40を有する透過部材34と、振動子42と、固定部材44とを有している。防塵ユニット32は、図1に示すように、撮像素子38のX軸負方向側に配置されている。また、透過部材34の基材部36は、撮像素子38におけるX軸負方向側の表面である受光面を覆うように配置されている。透過部材34の基材部36は、撮像素子38の受光面に対して密着するように、接着剤等によって固定されている。
【0021】
本実施形態に係る防塵ユニット32に備えられる基材部36は、撮像に際して偽色(色モアレ)の発生を防止する光学ローパスフィルタである。撮影時においてシャッタ20が開放されると、当該シャッタ20を通過した撮影光は、光学ローパスフィルタである基材部36を有する透過部材34を透過したのち、撮像素子38の受光面に入射し、撮像素子38によって光電変換される。
【0022】
図3に示す防塵ユニット32の振動子42は、透過部材34のX軸負方向側の第1表面34aに取付けられている。振動子42は、圧電素子等によって構成されており、図1に示す配線26を介して駆動回路24に接続されている。駆動回路24は、不図示のボディCPUからの信号を受けて振動子42を駆動し、透過部材34の表面に振動を発生させることによって、第1表面34aに付着した塵埃等の異物を除去することができる。
【0023】
図2は、図1に示す防塵ユニット32の平面図であり、防塵ユニット32をX軸負方向側から観察したものである。透過部材34のX軸負方向側の表面である第1表面34aは、撥水膜40に覆われている。振動子42は、透過部材34の第1表面34aにおけるY軸方向両側の2カ所に取付けられている。また、防塵ユニット32は、それぞれの振動子42を透過部材34に固定する固定部材44を有している。
【0024】
撥水膜40は、図3に示すように、基材部36のX軸負方向側の表面に重ね合わせられて形成されている。撥水膜40は低表面エネルギーであるため、塵埃等の異物に対する付着力が小さい。また、撥水膜40は、水に対する液架橋力が小さいため、湿度の高い環境において浮遊する塵埃や水分を含有する塵埃に対する付着力が小さい。
【0025】
したがって、撥水膜40に覆われている透過部材34の第1表面34aは、塵埃等が付着しにくく、撮像素子38に記録される像に塵埃等が写り込むことを防止できる。また、第1表面34aに塵埃が付着した場合でも、振動子42を駆動し、撥水膜40に振動を発生させることによって、第1表面34aに付着した塵埃を容易に除去することができる。なお、撥水膜40における水の接触角は、異物等の付着力を低減させる観点から、90度以上とすることが好ましい。
【0026】
図2および図3に示す撥水膜40の形成方法としては、特に限定されないが、フッ素系薄膜、シリカ系薄膜、ダイヤモンド・ライク・カーボン等、もしくはこれらの混合薄膜からなる撥水膜40を、基材部36の表面に成膜する方法が挙げられる。撥水膜40の成膜方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法、蒸着法、ディップ法、スパッタ法等を用いることができる。また、撥水膜40は、基材部36の表面にナノメートルオーダーの微細な凹凸構造を形成することによって形成されてもよい。
【0027】
図3に示すように、振動子42は、透過部材34の第1表面34aにおけるY軸方向両側の2カ所に取付けられている。振動子42は、振動子42におけるX軸正方向側の面である取付面42aを介して、透過部材34の第1表面34aに取付けられている。拡大図である図4に示すように、振動子42は、例えば接着剤等によって第1表面34aに取付けられており、第1表面34aと、振動子42の取付面42aとの間には、接着剤硬化物層54が形成されていてもよい。
【0028】
図3に示す防塵ユニット32には、第1表面34aのY軸方向両側に配置された2つの振動子42に対応して、2つの固定部材44が配置されている。固定部材44は、図3および図4に示すように、略U字状の断面形状を有している。
【0029】
拡大図である図4に示すように、固定部材44は、振動子42の取付面42aとは反対側の面である固定面42bに備えられた第1部分44aと、透過部材34の第1表面34aとは反対側の第2表面34bに備えられた第2部分44bと、第1部分44aと第2部分44bとを接続する第3部分44cとを含む。固定部材44の第1部分44aは、透過部材34の第1表面34aと略平行に延在しており、第2部分44bは、透過部材34の第2表面34bと略平行に延在しており、第3部分44cは、第1部分44b及び第2部分44bに交差する方向に延在している
【0030】
本実施形態に係る固定部材44は、第1部分44a、第2部分44bおよび第3部分44cが一体に構成された弾性部材である。固定部材44の第3部分44cは、固定部材の第1部分44aに対して略90度折り曲げられた形状であり、第2部分44bは、第3部分44cに対して略90度折り曲げられた形状である。固定部材44は、第1部分44aと第2部分44bとの間に、振動子42および透過部材34を挟んでおり、振動子42を透過部材34に向かって付勢している。固定部材44の弾性率は、特に限定されないが、振動子42が透過部材34に対して振動を伝えられるように適切な値に設定される。なお、振動子42は、本実施形態のように、接着剤によって透過部材34に接着されていてもよいが、固定部材44が振動子42を付勢する力によって、透過部材34に固定されてもよい。
【0031】
固定部材44は、固定部材44の弾性力のみによって、振動子42および透過部材34に対して保持されていてもよいが、振動子42および透過部材34に対して接着されていてもよい。本実施形態に係る固定部材44の第1部分44aは、振動子42の固定面42bに接着されており、第2部分44bは、透過部材34の第2表面34bに接着されている。
【0032】
本実施形態に係る防塵ユニット32では、振動子42及び透過部材34に備えられる固定部材44を有するため、透過部材34の第1表面34aに振動子42を確実に固定することができる。振動子42を第1表面34aに固定することによって、本実施形態に係る防塵ユニット32は、振動子42の振動をより直接的に透過部材34に伝えることができる。また、本実施形態に係る防塵ユニット32は、振動子42の振動が、透過部材34の第1表面34aに伝搬するまでの間に減衰することを抑制することができる。
【0033】
したがって、本実施形態に係る防塵ユニット32は、振動子42の振動を、高効率でロスを少なく第1表面34aに伝え、透過部材34の第1表面34aを効率的に振動させることができる。このため、本実施形態に係る防塵ユニット32では、振動子42を駆動することによって、第1表面34aに付着した塵埃を効率的に除去することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る防塵ユニット32では、振動子42が、透過部材34における撮影光の入射面である第1表面34aに備えられているため、透過部材23の第1表面34aと、振動子42の取付面42aとの接触面が広い。これによって、振動子42を透過部材34により確実に固定できると同時に、透過部材34の第1表面34aへ効率的に振動を伝搬させることができる。
【0035】
本実施形態に係る防塵ユニット32において、固定部材44の第1部分44aは、透過部材34の第1表面34a対して略平行に延在しており、第2部分44bは、第2表面34bに対して略平行に延在していてもよい。このような構成とすることにより、振動子42は、固定部材44の第1部分44aと第2部分44bとによって構成される2つの面によって、透過部材34に対して密着する状態に保持される。また、第1部分44aおよび第2部分44bを、透過部材の第1表面34aまたは第2表面34bと略平行とすることにより、固定部材44と、透過部材34または振動子42との接触面積を広げることができる。したがって、このような形状を有する固定部材44は、振動子42を透過部材34に対してより確実に固定することができる。
【0036】
本実施形態に係る防塵ユニット32において、固定部材44は弾性部材であってもよい。固定部材44が、例えば金属材料等によって形成された弾性部材であれば、固定部材44は、固定部材44の弾性力によって、振動子42を透過部材44に対して押し付け、固定することができる。また、振動子42と透過部材34とが接着されている場合には、固定部材44の弾性力によって、振動子42と透過部材34の接着剤による固定を補強することができる。したがってこの場合、固定部材44は、振動子42と透過部材34を高い信頼性で固定することができる。また、固定部材44が弾性部材である場合、固定部材44の弾性率を適切に設定することによって、本実施形態に係る防塵ユニット32は、振動子42から透過部材34へ効率良く振動を伝えることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る防塵ユニット32は、透過部材34の第1表面34aが撥水膜40に覆われており、振動子42が撥水膜40に対して接着される場合であっても、振動子42と透過部材34とを確実に密着させておくことができる。
【0038】
すなわち、撥水膜40の表面は、低表面エネルギーであるため、塵埃等との結合力が弱いだけでなく、振動子42と透過部材34とを接着する接着剤との結合力も弱い傾向にある。しかし、振動子42は、透過部材34に対して、固定部材44によって固定もしくは補強されているため、透過部材34に対して高い信頼性で固定される。また、固定部材44が振動子42の固定面42bを保持するため、振動子42の変形によって発生する力を効率的に撥水膜40に伝えることができる。
【0039】
またさらに、防塵ユニット32において、振動子42と透過部材34が接着剤により固着されている場合には、固定部材44によって接着剤の結合力が補強されるため、振動子42の接着不良や剥離を低減することができる。また、固定部材44と振動子42が接着されている場合には、振動子42が透過部材34から剥離し、防塵ユニット32から分離脱落することを防止できる。
【0040】
なお、本実施形態に係る防塵ユニット32において、透過部材34の第2表面34bは、第1表面34aとは異なり、撥水膜に覆われておらず、第1表面34より撥水性が劣っている。したがって、透過部材34の第2表面34bは、第1表面34aより接着剤との結合力が強く、第2表面34と固定部材44の第2部分44bとは、強固に接着される。
第2実施形態
【0041】
図5Aは、本発明の第2実施形態に係る防塵ユニット32aの要部平面図である。図5Aには、防塵ユニット32aにおけるY軸負方向側の部分が図示されている。Y軸正方向側の部分については、Y軸負方向側の部分に対して略対称な構造であるため、図示を省略している。なお、本発明の第2実施形態に係る防塵ユニット32aは、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様に、図1に示すデジタル一眼レフカメラに搭載することができる。
【0042】
透過部材34のX軸負方向側の表面である第1表面34aは、第1実施形態と同様に、撥水膜40に覆われており、振動子42は、透過部材34の第1表面34aにおけるY軸方向両側の2カ所に取付けられている。
【0043】
第2実施形態に係る防塵ユニット32aは、振動子42を透過部材34に固定する部分固定部材64a,64bを有する。部分固定部材64a,64bは、振動子42のZ軸方向両端部付近を固定できるように、Z軸方向に互いに離間して配置されている。第2実施形態に係る防塵ユニット32aは、振動子42が固定部材44の代わりに部分固定部材64a,64bによって固定されている他は、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様である。
【0044】
なお、部分固定部材64a,64bも、図3に示す固定部材44と同様に、略U字状の断面形状を有している。また、部分固定部材64a,64bは、振動子42の取付面(X軸正方向側の面)とは反対側の面である固定面(X軸負方向側の面)に備えられた第1部分と、透過部材34の第1表面(X軸負方向側の面)とは反対側の第2表面(X軸正方向側の面)に備えられた第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを含む。
第3実施形態
【0045】
図5Bは、本発明の第3実施形態に係る防塵ユニット32bの要部平面図である。図5Bには、防塵ユニット32bにおけるY軸負方向側の部分が図示されている。Y軸正方向側の部分については、Y軸負方向側の部分に対して略対称な構造であるため、図示を省略している。なお、本発明の第3実施形態に係る防塵ユニット32bは、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様に、図1に示すデジタル一眼レフカメラに搭載することができる。
【0046】
第3実施形態に係る防塵ユニット32bは、振動子72を透過部材34に固定する部分固定部材65a,65bを有する。部分固定部材65a,65bは、振動子72のZ軸方向両端部を固定できるように、Z軸の正方向および負方向から振動子72を挟むように配置されている。第3実施形態に係る防塵ユニット32bは、振動子72が固定部材44の代わりに部分固定部材65a,65bによって固定されている他は、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様である。
【0047】
なお、部分固定部材65a,65bも、図3に示す固定部材44と同様に、略U字状の断面形状を有している。また、部分固定部材65a,65bは、振動子72の取付面(X軸正方向側の面)とは反対側の面である固定面(X軸負方向側の面)に備えられた第1部分と、透過部材34の第1表面(X軸負方向側の面)とは反対側の第2表面(X軸正方向側の面)に備えられた第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを含む。ただし、第3部分は、第1実施形態および第2実施形態とは異なり、XZ平面に沿って延在している。
【0048】
図2、図5Aおよび図5B等に示すように、本発明に係る防塵ユニットにおいて、固定部材の形状および配置は、振動子42,72および透過部材34の形状等に応じて適宜変更することができる。また、第2および第3実施形態に係る防塵ユニット32a,32bは、第1実施形態に係る防塵ユニット32が有する効果に加えて、固定部材が小型であるため、軽量であるという効果を有する。また、第2および第3実施形態に係る防塵ユニット32a,32bに備えられる振動子42,72は、振動子42,72の変形が部分固定部材64a,64b,65a,65bによって制約されにくい。そのため、第2および第3実施形態に係る防塵ユニット32a,32bは、振動子42,72によって透過部材34を効率的に振動させることができる。
第4実施形態
【0049】
図6Aは、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニット32cの要部断面図である。なお、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニット32cは、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様に、図1に示すデジタル一眼レフカメラに搭載することができる。透過部材34のX軸負方向側の表面である第1表面34aは、第1実施形態と同様に、撥水膜40に覆われており、振動子42は、透過部材34の第1表面34aにおけるY軸方向両側の2カ所に取付けられている。
【0050】
また、防塵ユニット32cは、それぞれの振動子42を透過部材34に固定する固定部材66を有している。第4実施形態に係る防塵ユニット32cは、固定部材の形状が異なる他は、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様である。
【0051】
第4実施形態に係る防塵ユニット32cに備えられる固定部材66は、第1実施形態と同様に、振動子42の取付面42aとは反対側の面である固定面42bに備えられた第1部分66aと、透過部材34の第1表面34aとは反対側の第2表面34bに備えられた第2部分66bと、第1部分66aと第2部分66bとを接続する第3部分66cとを含む。
【0052】
しかし、第4実施形態に係る防塵ユニット32cに備えられる振動子42の少なくとも一部は、透過部材34をX軸方向に挟んで固定部材66の第2部分66bと対向しないように配置されている。また、固定部材66の第3部分66cは、図6Aに示すように、透過部材34の第1表面34aに備えられる段差部66caを有していてもよい。
【0053】
第4実施形態に係る防塵ユニット32cは、振動子42の一部が、透過部材34を挟んで第2部分66bと対向しないように配置されている。したがって、特に固定部材66が弾性部材である場合は、振動子42のX軸方向への変形が、固定部材66によって制約されにくい。そのため、第4実施形態に係る防塵ユニット32cは、振動子42によって透過部材34を効率的に振動させることができる。
【0054】
図6Bは、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニットの変形例を表す要部断面図である。変形例に係る防塵ユニット32dでは、透過部材35の第1表面35aが撥水膜に覆われていない。その他の部分は、第4実施形態に係る防塵ユニット32cと同様である。
【0055】
変形例に示すように、本発明の防塵ユニットにおいて、透過部材35の第1表面35aの一部または全部は、撥水膜に覆われていなくても良い。ただし、撥水膜に覆われていない第1表面35aは、図6Aに示す撥水膜40に覆われている第1表面34aに比べて、第1表面35aに対して異物がより強固に付着する傾向にある。そのため、変形例に係る防塵ユニット32dでは、第1表面35aに付着した塵埃を除去するために、振動子42によって、透過部材35をより強く振動させる必要がある。しかし、この場合であっても、変形例に係る防塵ユニット32dは、固定部材66によって振動子42と透過部材35が強固に固定されているため、振動子42によって強い振動を透過部材35に与えることによって塵埃を除去することができる。
第5実施形態
【0056】
図7Aは、本発明の第5実施形態に係る防塵ユニット32eの平面図であり、防塵ユニット32eをX軸負方向側から観察したものである。第5実施形態に係る防塵ユニット32eは、図7Aに示すように、円形平板形状の透過部材70と、リング形状の振動子74を有する。また、防塵ユニット32eは、振動子74を透過部材70に固定するリング形状の固定部材76を有する。なお、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニット32eは、透過部材70等の形状を除き第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様である。また、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニット32eは、第1実施形態に係る防塵ユニットと同様に、図1に示すデジタル一眼レフカメラに搭載することができる。
【0057】
透過部材70のX軸負方向側の表面である第1表面70aは、撥水膜40aに覆われており、振動子74は、透過部材70の第1表面70aにおける外周部分に沿って取付けられている。
【0058】
図7Bに示すように、固定部材76は、略U字形状の断面形状を有しており、透過部材70および振動子74の外周部分に沿って備えられている。固定部材76は、第1実施形態に係る防塵ユニット32に備えられる固定部材44と同様に、振動子74の取付面74aとは反対側の面である固定面74bに備えられた第1部分76aと、透過部材70の第1表面70aとは反対側の第2表面70bに備えられた第2部分76bと、第1部分76aと第2部分76bとを接続する第3部分76cとを有する。
【0059】
第5実施形態に係る防塵ユニット32eは、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様の効果を有する。このように、本発明に係る透過部材、振動子または固定部材の形状は、撮像ユニットやカメラの構成に合わせて適宜変更することができる。
第6実施形態
【0060】
図8は第6実施形態に係る防塵ユニット32fを備えたデジタル一眼レフカメラに関する概略断面図であり、カメラボディ4aの側断面を表している。第4実施形態に係る防塵ユニット32fを含む撮像ユニット30aでは、防塵ユニット32fが、撮像素子38および光学ローパスフィルタ37に対して密封空間を挟んで配置されている。図8に示すデジタル一眼レフカメラは、撮像ユニット30a以外の部分については、図1に示すデジタル一眼レフカメラと同様である。
【0061】
図9は、図8に示す撮像ユニット30aを拡大した概略断面図である。防塵ユニット32fは、基材部80および撥水膜40を有する透過部材78と、振動子42と、押さえ固定部材81およびケース固定部材82とを有している。防塵ユニット32fのケース固定部材82は、内部に光学ローパスフィルタ37および撮像素子38を収納するケース部材を兼ねている。
【0062】
透過部材78の基材部80は、光学ローパスフィルタ37および撮像素子38へ塵埃が付着することを防止するためのカバー部材である。カバー部材は、ガラスまたは樹脂等の可視光を透過する材料によって形成されている。
【0063】
透過部材78とケース固定部材82との間の空間は、密封空間となっており、外部から塵埃等の異物がほとんど侵入しない構造となっている。これにより、密封空間の内部に配置された光学ローパスフィルタ37および撮像素子38には、ほとんど塵埃が付着しない。
【0064】
透過部材78におけるX軸負方向側の表面である第1表面78aは、第1実施形態における第1表面34aと同様に撥水膜40で覆われている。撥水膜40の形成方向等については、第1実施形態の撥水膜40と同様である。
【0065】
また、透過部材78のX軸負方向側の第1表面78aは、振動子42が取付けられている。振動子42は、圧電素子等によって構成されており、図8に示すように、配線26を介して駆動回路24に接続されている。駆動回路24は、第1実施形態と同様に、不図示のボディCPUからの信号を受けて振動子42を駆動し、透過部材78の表面に振動を発生させることによって、第1表面78aに付着した塵埃等を除去することができる。
【0066】
第5実施形態に係る防塵ユニット32fは、図9に示すように、振動子42を透過部材78に固定する押さえ固定部材81およびケース固定部材82を有する。押さえ固定部材81は、振動子42の取付面42aとは反対側の面である固定面42bに備えられた第1部分81aと、第1部分81aとケース固定部材82の第2部分82bとを接続する第3部分81cと、を有する。それに対して、ケース固定部材82は、透過部材78の第1表面78aとは反対側の第2表面78bに備えられた第2部分82bと、撮像素子38を設置する設置部82aとを有する。
【0067】
押さえ固定部材81の第3部分81cと、ケース固定部材82の第2部分82bは、接着剤等によって固定されている。したがって、振動子42および透過部材78は、X軸方向における両側から、押さえ固定部材81の第1部分81aと、ケース固定部材82の第2部分82bとに挟まれて保持される。なお、振動子42と押さえ固定部材81の第3部分81cとの間には、隙間が形成されていてもよい。
【0068】
このように、第6実施形態に係る防塵ユニット32fは、防塵ユニット32fの内部に形成された密封空間に撮像素子38を配置しており、撮像ユニット30aと一体となっている。
【0069】
第6実施形態に係る防塵ユニット32fは、振動子42及び透過部材78に備えられる押さえ固定部材81およびケース固定部材82を有するため、透過部材78の第1表面78aに振動子42を確実に固定することができる。また、第6実施形態に係る防塵ユニット32fは、第1実施形態に係る防塵ユニット32と同様の効果を有する。
【0070】
また、第6実施形態に係る防塵ユニット32fは、振動子42の一部が、透過部材78を挟んでケース固定部材82の第2部分81bと対向しないように配置されている。したがって、振動子42のX軸方向への変形が、押さえ固定部材81およびケース固定部材82によって制約されにくく、振動子42によって透過部材78を効率的に振動させることができる。
【0071】
さらに、第6実施形態に係る防塵ユニット32fを備えるカメラでは、光学ローパスフィルタ37および撮像素子38が、透過部材78に対して密封空間を挟んで配置されている。したがって、光学ローパスフィルタ37および撮像素子38は、防塵されているだけでなく、振動子42等によって発生する物理的な衝撃等からも保護されている。したがって第6実施形態に係る防塵ユニット32fを含む撮像ユニット30aは、第1実施形態に係る防塵ユニット32を含む撮像ユニット30が有する効果に加えて、耐久性または信頼性に優れているという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の第1〜第5実施形態に係る防塵ユニットを備えるデジタル一眼レフカメラの概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る防塵ユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2に示すIII-III線に沿う概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示す防塵ユニットの拡大断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第2実施形態に係る防塵ユニットの要部平面図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第3施形態に係る防塵ユニットの要部平面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の第4実施形態に係る防塵ユニットの概略断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の第4実施形態の変形例に係る防塵ユニットの概略断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第5実施形態に係る防塵ユニットの平面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すVIIB-VIIB線に沿う概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の第6実施形態に係る防塵ユニットを備えるデジタル一眼レフカメラの概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の第6実施形態に係る防塵ユニットの概略断面図である。
【符号の説明】
【0073】
32〜32f… 防塵フィルタ
34,70,78… 透過部材
34a,70a,78a… 第1表面
34b,70b,78b… 第2表面
40… 撥水膜
42,72,74… 振動子
42a,74a… 取付面
42b,74b… 固定面
41… 導電層
44,64,65,76,81,82… 固定部材
44a,64a,65a,76a,81a… 第1部分
44b,64b,65b,76b,82b… 第2部分
44c,64c,65c,76c,81c… 第3部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する透過部と、
前記透過部の一方面に取付けられた振動部と、
前記振動部の前記透過部に取付けられた面とは反対側の面に備えられた第1部分と、前記透過部の前記一方面とは反対側の他方面に備えられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分とを有する部材とを含むことを特徴とする光学部品。
【請求項2】
請求項1に記載された光学部品であって、
前記第1部分は、前記透過部の前記一方面と略平行に延在する部分であり、
前記第2部分は、前記透過部の前記他方面と略平行に延在する部分であり、
前記第3部分は、前記第1部分及び第2部分の延在する方向に交差する方向に延在する部分であることを特徴とする光学部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載された光学部品であって、
前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分は、一体に構成された弾性部材であることを特徴とする光学部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された光学部品であって、
前記第1部分は前記振動部に接着されており、前記第2部分は前記透過部に接着されていることを特徴とする光学部品。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載された光学部品であって、
前記弾性部材は、前記振動部を、前記透過部に向かって付勢していることを特徴とする光学部品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された光学部品であって、
前記透過部の前記一方面は、撥水性を有する撥水領域を含み、
前記振動部は、撥水領域に接触していることを特徴とする光学部品。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された光学部品であって、
前記透過部の少なくとも一部は、光学ローパスフィルタであることを特徴とする光学部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された光学部品であって、
前記振動部の少なくとも一部は、前記透過部を挟んで前記第2部分と対向しないように配置されていること特徴とする光学部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された光学部品を含むことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−278401(P2009−278401A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128052(P2008−128052)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】