説明

光学部材、センサ素子収納用パッケージ、センサ装置、光学部材の製造方法およびセンサ素子収納用パッケージの製造方法

【課題】製造工程によるガスの発生が低減されておりかつノイズ対策の施されたセンサ装置を実現すること。
【解決手段】センサ素子収納用パッケージ1は、基体11と、開口部121を有しており基体11上に設けられるケース部材12と、開口部121に設けられた光学部材13とを含んでいる。光学部材13は、透光性を有する基板131と、基板131に形成されたDLC膜132aと、DLC
膜132aの表面に形成された金属層133とを含んでいる。基板131は、平面透視において光
学部材13の周囲領域においてDLC膜132aから部分的に露出されている。金属層133は、DLC膜132aの表面から光学部材13の周囲領域における基板131にかけて設けられている。基板131は、金属層133を介してケース部材12に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば赤外線センサ分野において用いられる光学部材、センサ素子収納用パッケージ、センサ装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサ装置は、受光した光線量に応じて変化する抵抗値等に基づいて電気信号を出力する。例えば赤外線センサ装置は、受光した赤外線量に応じて電気信号を出力する。したがって、センサ装置の感度を向上させるためには、センサ装置における受光量を増大させる必要があり、センサ装置の中には、受光部に設けられる光学部材に光反射防止膜を有するものがある。これまでのセンサ装置において、光反射防止膜は、例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−288138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられたセンサ装置は、製造工程において加熱処理が施されるとガスが生じる可能性があり、封止性等において課題を有するものであった。加えて、センサ装置は、外部から入射されてセンサ素子に影響を与え得るノイズまたはセンサ素子から放射されて外部に設けられた電子装置に影響を与え得るノイズの低減を図る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、光学部材は、透光性を有する基板と、基板の上面および下面の少なくとも一方に形成されたDLC(Diamond like Carbon)膜と、DLC膜の表
面に形成された金属層とを含んでいる。基板は、平面透視において光学部材の周囲領域においてDLC膜から部分的に露出されている。金属層は、DLC膜の表面から光学部材の周囲領域における基板にかけて設けられている。
【0006】
本発明の他の態様によれば、センサ素子収納用パッケージは、上述の光学部材と、光学部材が設けられた開口部を有しており金属層に電気的に接続されたケース部材と、ケース部材が接合される基体とを含んでいる。
【0007】
本発明の他の態様によれば、センサ装置は、上述のセンサ素子収納用パッケージと、基体に搭載されておりケース部材および光学部材によって覆われているセンサ素子とを含んでいる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、光学部材の製造方法は、透光性を有する母基板の上面および下面の少なくとも一方にDLC膜を形成する工程と、DLC膜から母基板にかけて複数の溝を形成する工程と、DLC膜の表面から複数の溝の底部にかけて金属層を形成する工程と、複数の溝に対応させて母基板を分割する工程とを含んでいる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、上述の製造方法によって製造された光学部材を、金属層がフレーム部材に電気的に接続されるように、フレーム部材に接合する工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様による光学部材は、透光性を有する基板と基板の上面および下面の少なくとも一方に形成されたDLC膜とDLC膜の表面に形成された金属層とを含んでおり、基板が、平面透視において光学部材の周囲領域においてDLC膜から部分的に露出されており、金属層が、DLC膜の表面から光学部材の周囲領域における基板にかけて設けられていることによって、光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられた光学部材に比べてセンサ素子収納用パッケージの製造工程またはセンサ装置の製造工程におけるガスの発生が低減されており、かつ金属層を介して基板を例えばケース部材に電気的に接続させることができノイズ対策に関して向上されている。DLCは硫化亜鉛(ZnS)に比べて耐熱性が高いため、センサ素子収納用パッケージの製造時またはセンサ装置の製造時における加熱によって分解される可能性が低く、分解ガスの発生が低減されている。ガスの発生が低減されていることによって、センサ装置における封止性が向上され、センサ装置の特性が向上される。特に、例えばセンサ装置が赤外線用途である場合には、センサ素子収納用パッケージにおける封入空間の雰囲気によって赤外線の検出特性に大きく影響が出るため、センサ装置の封止性は重要である。
【0011】
本発明の他の態様によるセンサ素子収納用パッケージは、上述の光学部材と、光学部材が設けられた開口部を有しており金属層に電気的に接続されたケース部材と、ケース部材が接合される基体とを含んでいることによって、光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられたセンサ素子収納用パッケージに比べてセンサ装置の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されており、かつノイズ対策に関して向上されている。
【0012】
本発明の他の態様によるセンサ装置は、上述のセンサ素子収納用パッケージと、センサ素子収納用パッケージの基体に搭載されておりセンサ素子収納用パッケージのケース部材および光学部材によって覆われているセンサ素子とを含んでいることによって、光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられたセンサ装置に比べて例えば実装時等における加熱処理によるガスの発生が低減されており、かつケース部材および光学部材によるノイズ対策が施されておりセンサ装置の外部から入射されてセンサ素子に影響を与え得るノイズの低減またはセンサ素子から放射されてセンサ装置の外部に設けられた電子装置に影響を与え得るノイズの低減が図られている。
【0013】
本発明の他の態様による光学部材の製造方法は、DLC膜から母基板にかけて複数の溝を形成する工程と、DLC膜の表面から複数の溝の底部にかけて金属層を形成する工程と、複数の溝に対応させて母基板を分割する工程とを含んでいることによって、センサ素子収納用パッケージの製造工程またはセンサ装置の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されておりかつノイズ対策の施された光学部材をより低コストによって得ることができる。
【0014】
本発明の他の態様によるセンサ素子収納用パッケージの製造方法は、上述の製造方法によって製造された光学部材を、金属層がフレーム部材に電気的に接続されるように、フレーム部材に接合する工程を含んでいることによって、センサ装置の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されておりかつノイズ対策の施されたセンサ素子収納用パッケージをより低コストによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一つの実施形態におけるセンサ装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたセンサ装置において符号Aによって示された部分の拡大図である。
【図3】図1に示されたセンサ装置の平面透視図を示している。
【図4】図2に示された光学部材の取付け構造の他の例を示している。
【図5】図2に示された光学部材の他の例を示している。
【図6】図5に示された光学部材の取付け構造の他の例を示している。
【図7】光学部材付きのフレーム部材の製造方法を示すフロー図である。
【図8】図7に示された工程71の詳細なフロー図である。
【図9】図8に示された工程712によって得られる構造を示す図である。
【図10】図8に示された工程713によって得られる構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1および図2に示されているように、本発明の一つの実施形態におけるセンサ装置は、センサ素子収納用パッケージ1と、センサ素子2とを含んでいる。
【0018】
センサ素子収納用パッケージ1は、基体11と、基体11の上に設けられたケース部材12と、ケース部材12に接合された光学部材13とを含んでいる。センサ素子収納用パッケージ1は、基体11に接合された複数の端子14をさらに含んでいる。
【0019】
基体11は、上下方向に形成された複数の貫通孔111を有している。基体11は、例えば鉄
−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金、42鉄−ニッケル(42Fe−Ni)合金またはインバー(Fe−36Ni)等の低熱膨張合金を含む金属材料から成る。
【0020】
ケース部材12は、基体11に接合されており、開口部121を有している。ケース部材12は
、基体11と同様に、例えば鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金、42鉄−ニッケル(42Fe−Ni)合金またはインバー(Fe−36Ni)等の低熱膨張合金を含む金属材料から成る。
【0021】
光学部材13は、ケース部材12の開口部121に設けられており、ろう材15によってケース
部材12に接合されている。光学部材13は、基板131と、基板131の上面および下面に形成されたDLC(Diamond like Carbon)膜132aおよび132bと、DLC膜132aの表面に形成された金属層133とを含んでいる。
【0022】
基板131は、透光性を有しているとともに、導電性を有している。基板131は、例えばシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)から成る。基板131の“透光性”とは、セン
サ対象に応じて必要とされる波長範囲の光が透過できることをいい、例えばセンサ装置が生体認識用の赤外線センサであれば、8μmから14μmまでの波長範囲に含まれる赤外光が透過できることをいう。DLC膜132aが導電性を有する場合、基板131に例えばガラス等の絶縁性材料を用いることができる。
【0023】
DLC膜132aは、基板131の上面に形成されており、基板131の上面において全体的に
設けられている。DLC膜132bは、基板131の下面に形成されており、基板131の下面に
おいて全体的に設けられている。光学部材13は、DLC膜132aから基板131にかけて設けられた傾斜面135を有している。したがって、図3に示されているように、DLC膜132aは、平面透視において基板131よりも小さい外形寸法を有している。図3において、基板131の外形およびDLC膜132aの外形は、フレーム部材12および金属層133等を透視した状態で破線によって示されている。金属層133は、ドット模様によって示されている。基板131は、センサ装置の平面透視において光学部材13の周囲領域においてDLC膜132aから
部分的に露出されている。光学部材13は、センサ装置の平面透視において、中央領域および周囲領域を有している。中央領域は、フレーム部材12の開口部121に重なる領域であり
、図3において開口部121の外形を示す実線の内側の領域である。周囲領域は、中央領域
を囲んでおり、図3において開口部121の外形を示す実線の外側の領域である。DLC膜132aおよび132bは、例えばホロカソードPVDまたはRFプラズマCVD等によって形
成されている。DLC膜132aは、センサ装置の外部から基板131に入射しようとする光の反射を低減させる機能を有しており、DLC膜132bは、基板131からセンサ装置の内部へ入射しようとする光の反射を低減させる機能を有している。DLC膜132aおよびDLC
膜132bは、光学部材13における光の透過率を向上させる機能を有している。
【0024】
再び図1および図2を参照して、金属層133は、DLC膜132aの表面から光学部材13の周囲領域における基板131にかけて設けられている。金属層133は、ろう材15によってケース部材12に接合されており、ケース部材12に電気的に接続されている。金属層133は、D
LC膜132aの表面から傾斜面135にかけて設けられており、基板131が導電性を有してい
ることによって、金属層133は、傾斜面135において基板131に電気的に接続されている。
したがって、基板131は、金属層133およびろう材15を介してケース部材12に電気的に接続されている。ケース部材12が例えばろう材によって基体11に接合されていることによって、基体11、ケース部材12および光学部材13が電気的に接続された状態になっているため、センサ装置はノイズの低減が図られている。基体11に接地電位が与えられる場合には、ケース部材12および光学部材13も接地電位に固定されるため、センサ装置におけるノイズがより低減される。金属層133は、例えば蒸着、スパッタまたはめっきによって形成されて
いる。
【0025】
複数の端子14は、基体11の複数の貫通孔111に挿入されており、例えばガラス接合材に
よって基体11に固定されている。複数の端子14は、ボンディングワイヤによってセンサ素子2に電気的に接続されている。複数の端子14は、例えば鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金、42鉄−ニッケル(42Fe-Ni)合金またはインバー(Fe−36N
i)等の低熱膨張合金を含む金属材料から成る。
【0026】
センサ素子2は、基体11に搭載されており、ケース部材12および光学部材13によって覆われている。センサ素子2は、例えば、熱起電力を動作原理とするサーモパイル、焦電効果を動作原理とするパイロまたは電気抵抗の温度変化を動作原理とするボロメータ等である。
【0027】
図4を参照して、光学部材13の取付け構造の他の例について説明する。図2に示された光学部材13の取付け構造と異なる構成は、光学部材13の上面および下面が逆になっている点である。光学部材13は、ろう材15によってフレーム部材12に接合されている。基板131
は、金属層133およびろう材15を介してフレーム部材12に電気的に接続されている。
【0028】
図5を参照して、光学部材13の他の例について説明する。図2に示された光学部材13と異なる構成は、光学部材13が傾斜面135に代えて段差面235を有している点である。段差面235は、DLC膜132aから基板131にかけて設けられている。金属層133は、DLC膜132
aの表面から段差面235にかけて設けられている。金属層133は、ろう材15によってフレーム部材12に接合されている。基板131は、金属層133およびろう材15を介してフレーム部材12に電気的に接続されている。
【0029】
図6を参照して、図5に示された光学部材13の取付け構造の他の例について説明する。図5に示された光学部材13の取付け構造と異なる構成は、光学部材13の上面および下面が逆になっている点である。光学部材13は、ろう材15によってフレーム部材12に接合されている。基板131は、金属層133およびろう材15を介してフレーム部材12に電気的に接続されている。
【0030】
以下、本実施形態におけるセンサ素子収納用パッケージ1の製造方法について説明する
。特に、光学部材13付きのフレーム部材12の製造方法について説明する。ここでは、例示的に図1および図2に示された光学部材13付きのフレーム部材12の製造方法について説明する。以下に説明する製造方法は、図4から図6までに示された光学部材13付きのフレーム部材12の製造方法にも適用され得る。
【0031】
図7に示されているように、光学部材13付きのフレーム部材12の製造方法は、工程71および72を含んでいる。工程71は、光学部材13を作製することである。工程72は、フレーム部材12に予め作製された光学部材13を接合することである。
【0032】
工程71は、図8に示されているように、工程711から工程714までを含んでいる。
【0033】
工程711は、母基板130にDLC膜132aおよび132bを形成することである。母基板130
は、例えばシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)から成る。DLC膜132aおよ
び132bは、例えばホロカソードPVDまたはRFプラズマCVD等によって形成される

【0034】
工程712は、母基板130に複数の溝140を形成することである。複数の溝140は、図3等に示された基板131の外形寸法に対応するように縦方向および横方向に形成される。複数の
溝140は、例えばブレードによって母基板130を厚み方向に半分程度切断するようにして形成される。図1および図2に示された光学部材13を製造する場合、複数の溝140のそれぞ
れは、一対の傾斜面よって挟まれているとともに深さ方向において幅が狭まるような形状を有している。工程712によって得られる構造が図9に示されている。複数の溝140は、DLC膜132aから基板131にかけて形成されている。複数の溝140が形成されることによっ
て、基板131の一部分がDLC膜132aから露出される。
【0035】
工程713は、複数の溝140に金属層133を形成することである。金属層133は、例えば、密着金属層、拡散防止層および主導体層を含んでいる。
【0036】
密着金属層は、基板131との密着性の点で、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタ
ル(Ta)、ニオブ(Nb)およびニクロム合金(Ni−Cr)等のうち少なくとも1種から成ることが好ましい。密着金属層の厚さは、0.01〜0.2μm程度が好ましい。厚さが0.01μm以上であることによって、基板131との密着強度が向上され、暑さが0.2μm以下
であることによって、成膜時の内部応力による剥離の可能性が低減される。
【0037】
拡散防止層は、密着金属層と主導体層との相互拡散を防ぐうえで、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、ニクロム(Ni−Cr)合金およびチタン−タングステン(Ti−W)合金等のうち少なくとも1種から成ることが好ましい。拡散防止層の厚さは、0.05〜1μm程度が好ましい。厚さが0.05μm以上であることによって、ピンホール等の欠陥が発生する可能性が低減され、拡散防止層としての機能が向上される。厚さが1μm以下であることによって、成膜時の内部応力による剥離の可能性が低減される。
【0038】
金属材料がニクロム(Ni−Cr)合金である場合、密着性および拡散防止の両方の機能を有するため、密着金属層および拡散防止層を兼用することができ、製造工程を短縮することができる。
【0039】
主導体層は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)または銀(Ag)等から成ることが好ましい。主導体層の厚さは、0.05〜5μm程度が好ましい。厚さが0.05μm以上であることによって、金属層133上に形成されるろう材15との濡れ性が向上され、厚さが
5μm以下であることによって、成膜時の内部応力による剥離の可能性が低減される。
【0040】
金属層133は、例えば蒸着、スパッタまたはめっきによって形成される。工程713によって得られる構造が図10に示されている。金属層133は、DLC膜132aの表面における縁部分から溝140の底部にかけて形成されている。DLC膜132aから露出されている基板131
は、金属層133によって覆われる。
【0041】
工程714は、母基板130を分割することである。母基板130は、例えば溝140を形成する際に用いられたブレードよりも刃幅の狭いブレードによって複数の光学部材13に分割される。
【0042】
光学部材13は、工程72において、ろう材15によってフレーム部材12に接合される。ろう材15を予め光学部材13に接合しておくと、フレーム部材12との接合時の位置合わせが容易になるので好ましい。母基板130を分割する前に溝140にろう材15を接合して母基板130を
ろう材15と共に分割すると、ろう材15の外寸法が光学部材13の外寸法と同じになり、光学部材13の位置合わせ精度が向上するので好ましい。
【0043】
本実施形態の光学部材13は、透光性を有する基板131と基板131の上面および下面の少なくとも一方に形成されたDLC膜132aとDLC膜132aの表面に形成された金属層133と
を含んでおり、基板131が、平面透視において光学部材13の周囲領域においてDLC膜132aから部分的に露出されており、金属層133が、DLC膜132aの表面から光学部材13の周囲領域における基板131にかけて設けられていることによって、光反射防止膜に例えば硫
化亜鉛(ZnS)が用いられた光学部材に比べて製造工程におけるガスの発生が低減されており、かつ金属層133を介して基板131を例えばケース部材12に電気的に接続させることができノイズ対策に関して向上されている。DLCは硫化亜鉛(ZnS)に比べて耐熱性が高いため、センサ素子収納用パッケージ1の製造時またはセンサ装置の製造時における加熱によって分解される可能性が低く、分解ガスの発生が低減されている。ガスの発生が低減されていることによって、センサ装置における封止性が向上され、センサ装置の特性が向上される。特に、例えばセンサ装置が赤外線用途である場合には、センサ素子収納用パッケージ1における封入空間の雰囲気によって赤外線の検出特性に大きく影響が出るため、センサ装置の封止性は重要である。
【0044】
本実施形態におけるセンサ素子収納用パッケージ1は、上述の光学部材13と、光学部材13が設けられた開口部121を有しており金属層133に電気的に接続されたケース部材12と、ケース部材12が接合される基体11とを含んでいることによって、光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられたセンサ素子収納用パッケージに比べてセンサ装置の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されており、かつノイズ対策に関して向上されている。
【0045】
本実施形態におけるセンサ装置は、上述のセンサ素子収納用パッケージ1と、センサ素子収納用パッケージ1の基体11に搭載されておりセンサ素子収納用パッケージ1のケース部材12および光学部材13によって覆われているセンサ素子2とを含んでいることによって、光反射防止膜に例えば硫化亜鉛(ZnS)が用いられたセンサ装置に比べて例えば実装時における加熱処理によるガスの発生が低減されており、かつケース部材12および光学部材13によるノイズ対策が施されておりセンサ装置の外部から入射されてセンサ素子2に影響を与え得るノイズの低減またはセンサ素子2から放射されてセンサ装置の外部に設けられた電子装置に影響を与え得るノイズの低減が図られている。
【0046】
本実施形態における光学部材13の製造方法は、DLC膜132aから母基板130にかけて複数の溝140を形成する工程と、DLC膜132aの表面から複数の溝140の底部にかけて金属
層133を形成する工程と、複数の溝140に対応させて母基板130を分割する工程とを含んで
いることによって、センサ素子収納用パッケージ1の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されておりかつノイズ対策の施された光学部材13をより低コストによって得ることができる。
【0047】
本実施形態におけるセンサ素子収納用パッケージ1の製造方法は、上述の製造方法によって製造された光学部材13を、金属層133がフレーム部材12に電気的に接続されるように
、フレーム部材12に接合する工程を含んでいることによって、センサ装置の製造工程における加熱処理によるガスの発生が低減されておりかつノイズ対策の施されたセンサ素子収納用パッケージ1をより低コストによって得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 センサ素子収納用パッケージ
11 基体
12 フレーム部材
121 開口部
13 光学部材
131 基板
132a、132b DLC膜
133 金属層
14 端子
15 ろう材
2 センサ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板と、
該基板の上面および下面の少なくとも一方に形成されたDLC膜と、
該DLC膜の表面に形成された金属層とを備えており、
前記基板が、平面透視において光学部材の周囲領域において前記DLC膜から部分的に露出されており、前記金属層が、前記DLC膜の表面から前記周囲領域における前記基板にかけて設けられていることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
請求項1に記載された光学部材と、
該光学部材が設けられた開口部を有しており、前記金属層に電気的に接続されたケース部材と、
該ケース部材が接合される基体とを備えていることを特徴とするセンサ素子収納用パッケージ。
【請求項3】
請求項2に記載されたセンサ素子収納用パッケージと、
前記基体に搭載されており、前記ケース部材および前記光学部材によって覆われているセンサ素子とを備えていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項4】
透光性を有する母基板の上面および下面の少なくとも一方にDLC膜を形成する工程と、
前記DLC膜から前記母基板にかけて複数の溝を形成する工程と、
前記DLC膜の表面から前記複数の溝の底部にかけて金属層を形成する工程と、
前記複数の溝に対応させて前記母基板を分割する工程とを含んでいることを特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載された製造方法によって製造された光学部材を、前記金属層がフレーム部材に電気的に接続されるように、フレーム部材に接合する工程を含んでいることを特徴とするセンサ素子収納用パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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