説明

光学部材用粘着テープ

【課題】臭気やVOCの発生が極めて少ない光学部材用粘着テープの提供。
【解決手段】トルエン放散量が10μg/g以下であり、ホルムアルデヒド放散量が3μg/g以下であることを特徴とする光学部材用粘着テープ。さらに、好ましくはアクリル系粘着剤層を有することを特徴とする光学部材用粘着テープ。さらに、好ましくは全光線透過率が90%以上、引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)が10N/25mm以上であり、基材レスタイプの粘着テープであることを特徴とする光学部材用粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材を貼り合わせる用途等に用いられる光学部材用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの前記表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合わせる用途等に透明な粘着テープが使用されている。例えば、タッチパネルなどの各種表示装置や光学部材(保護板等)の貼付に透明な両面粘着テープが使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
近年、上記の表示装置等が車載用途に広く用いられるようになり、また、レンズやパネルなどの使用者に近い部材に粘着テープが多く使用されるようになってきた。このように、比較的狭い密閉空間での使用や、人体の近くでの使用が増加してきたことに伴い、揮発性有機化合物(VOC)及び臭気の発生が低減された光学部材用粘着テープが強く求められるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−238915号公報
【特許文献2】特開2003−342542号公報
【特許文献3】特開2004−231723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、臭気やVOCの発生が極めて少ない光学部材用粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、光学部材用粘着テープのトルエンの放散量とホルムアルデヒドの放散量とを所定の値以下に低減することにより、臭気やVOCの発生が少ない光学部材用粘着テープが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、トルエン放散量が10μg/g以下であり、ホルムアルデヒド放散量が3μg/g以下であることを特徴とする光学部材用粘着テープを提供する。
【0008】
さらに、本発明は、アクリル系粘着剤層を有する前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【0009】
さらに、本発明は、全光線透過率が90%以上である前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【0010】
さらに、引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)が10N/25mm以上である前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【0011】
さらに、基材を有しない基材レスタイプの粘着テープである前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【0012】
さらに、アクリル系粘着剤層が、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数が1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されるアクリル系ポリマーを含む前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【0013】
さらに、アクリル系粘着剤層が、紫外線照射による紫外線重合方法で調製された粘着剤組成物から形成される前記の光学部材用粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学部材用粘着テープによれば、トルエンの放散量及びホルムアルデヒドの放散量を所定の値以下にすることにより、臭気やVOCの発生が低減される。このため、車載用途や、レンズやパネルなど使用者に近い部材等に用いられる光学部材用粘着テープとしても好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明の光学部材用粘着テープ(以下、単に「本発明の粘着テープ」と称する場合がある。)は、光学部材を貼り合わせる用途等に用いられる粘着テープであり、トルエンの放散量(トルエン放散量)が10μg/g以下であるとともに、ホルムアルデヒドの放散量(ホルムアルデヒド放散量)が3μg/g以下である。
【0017】
本発明の粘着テープは、テープの両面が粘着面(粘着剤層表面)となっている両面粘着テープであってもよいし、テープの片面のみが粘着面となっている片面粘着テープであってもよい。中でも、2つの部材同士を貼り合わせるという観点からは、両面粘着テープであることが好ましい。なお、本発明において「粘着テープ」という場合には、シート状のもの、即ち、「粘着シート」も含まれるものとする。
【0018】
本発明の粘着テープのトルエン放散量は、10μg/g以下であり、好ましくは5μg/g以下、さらに好ましくは3μg/g以下、最も好ましくは1μg/g以下である。トルエン放散量が10μg/gを超えると、粘着テープから発生する臭気やVOCの量が多くなるため、好ましくない。トルエン放散量は、例えば、下記の[トルエン放散量測定方法]により測定することができる。
[トルエン放散量測定方法]
光学部材用粘着テープが両面粘着テープの場合には、粘着テープを所定のサイズ(縦5cm×横1cm、測定面積5cm2)に切り出し、セパレータを有する場合にはセパレータを剥離して、片面(粘着面)をアルミホイルに貼付し、もう一方の表面は開放状態として試料を作製する。なお、光学部材用粘着テープが片面粘着テープの場合には、アルミホイルへの貼付は行わず、所定のサイズ(縦5cm×横1cm、測定面積5cm2)に切り出した後、セパレータを有する場合にはセパレータを剥離したものを試料とする。該試料の秤量を行い、これを容量20mLのバイアル瓶に入れて密栓する。その後、試料を入れたバイアル瓶を、ヘッドスペースオートサンプラー(HSS)により150℃で30分間加熱し、加熱状態のガス1.0mLを、ガスクロマトグラフ測定装置(GC)に注入して測定する。本測定における分析機器、分析方法、定量方法は次の通りである。
(分析機器)
・HSS:HP7694(Agilent Technologies製)
・GC:6890(Agilent Technologies製)
(分析方法)
・HSS
オーブン温度:150℃
加熱時間:30分
加圧時間:0.12分
ループ充填時間:0.12分
ループ平衡時間:0.05分
注入時間:0.50分
サンプルループ温度:160℃
トランスファーライン温度:200℃
・GC
カラム:DB−FFAP(0.530mmφ×30m、df=1.0μm)
カラム温度:40℃(5min)→<+10℃/min>→90℃(0min)→ <+20℃/min>→250℃(2min)
[40℃で5分間保持してから、昇温速度10℃/minで90℃まで昇温させた後、さらに昇温速度20℃/minで250℃まで昇温させ、その後250℃で2分間保持させるという意味]
カラム圧力:24.6kPa
カラム流量:5.0mL/min
キャリアーガス:He
注入口温度:250℃
注入方式:スプリット(スプリット比 12:1)
検出器:FID
検出器温度:250℃
注入量:1.0mL
(定量方法)
トルエン(市販特級試薬)をアセトンで希釈してGC測定を行い、標品の調製濃度とピーク面積とで検量線を作成する。次に試料のGC測定を行い、トルエンのピーク面積から試料中の粘着テープ1gあたり(両面粘着テープの場合には、上記試料の重量からアルミホイルの重量を除いた粘着テープの重量1gあたり)のトルエン放散量(μg/g)を算出する。測定回数(n数)は、例えば、3回が好ましい。
なお、両面粘着テープの場合には、いずれの側の粘着面を測定面とした場合にも、トルエン放散量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0019】
本発明の粘着テープのホルムアルデヒド放散量は3μg/g以下であり、好ましくは2μg/g以下、さらに好ましくは1μg/g以下である。ホルムアルデヒド放散量が3μg/gを超えると、粘着テープから発生する臭気やVOCの量が多くなるため、好ましくない。ホルムアルデヒド放散量は、例えば、下記の[ホルムアルデヒド放散量測定方法]により測定することができる。
[ホルムアルデヒド放散量測定方法]
光学部材用粘着テープが両面粘着テープの場合には、粘着テープを所定のサイズ(縦8cm×横5cm×2枚、測定面積80cm2)に切り出し、セパレータを有する場合にはセパレータを剥離して、片面(粘着面)をアルミホイルに貼付し、もう一方の表面は開放状態として試料を作製する。なお、光学部材用粘着テープが片面粘着テープの場合には、所定のサイズ(縦8cm×横5cm×2枚、測定面積80cm2)に切り出した後、セパレータを有する場合にはセパレータを剥離したものを試料とする。該試料の秤量を行い、サンプリング用U字管の中に入れる。その後、試料を入れたU字管をオイルバスにより80℃で30分間加熱し、試料中の揮発成分をDNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)カートリッジでトラップする。30分後、U字管をオイルバスから引き上げ、容器中のガスをポンプで吸引しながら、窒素パージを行う。次に、DNPHカートリッジを外し、アセトニトリル5mLでアルデヒド類及びケトン類の誘導体化並びに脱着処理を行い、この溶液の高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定を行う。本測定における分析機器、分析方法、定量方法は以下の通りである。
(分析機器)
・HPLC:Agilent1100(Agilent Technologies 製)
(分析方法)
・HPLC
カラム:L−Column 2ODS(4.6mmφ×150mm、5μm)
溶離液:蒸留水/アセトニトリル=55/45(v/v)
流量:1.0mL/min
検出器:PDA(210nm〜500nm)、360nm抽出
カラム温度:40℃
注入量:10μL
(定量方法)
ホルムアルデヒド−ジニトロフェニルヒドラジン誘導体(HCHO−DNPH)標準溶液(ホルムアルデヒドとして500μg/mL含有)をアセトニトリルで希釈してHPLC測定を行い、標品の調製濃度とピーク面積とで検量線を作成する。次に、試料のHPLC測定を行い、HCHO−DNPHのピーク面積から試料中の粘着テープ1gあたり(両面粘着テープの場合には、上記試料の重量からアルミホイルの重量を除いた粘着テープの重量1gあたり)のホルムアルデヒド放散量(μg/g)を算出する。測定回数(n数)は、例えば、3回が好ましい。また、アルミホイルを入れたU字管を操作ブランクとして同様の測定を行う。操作ブランクの測定回数(n数)は、例えば、2回が好ましい。
なお、両面粘着テープの場合には、いずれの側の粘着面を測定面とした場合にも、ホルムアルデヒド放散量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0020】
本発明の粘着テープにおいては、トルエン放散量及びホルムアルデヒド放散量が上記の特定範囲にあることにより、臭気やVOCの発生が低減される。このため、車載用途や、レンズやパネルなど使用者に近い部材等に用いられる光学部材用粘着テープとしても好適に使用することができる。本発明の粘着テープのトルエン放散量及びホルムアルデヒド放散量は、重合方法、粘着テープの製造方法、粘着剤組成等によって制御される。
【0021】
本発明の粘着テープは、粘着剤層を少なくとも1層有する。さらに必要に応じて、粘着剤層の表面上にセパレータ(剥離ライナー)を有していてもよい。
【0022】
本発明の粘着テープは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着テープ(以下、基材レス粘着テープと称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの粘着テープであってもよい。基材レスタイプの粘着テープとしては、例えば、粘着剤層のみからなる両面粘着テープが挙げられる。基材を有するタイプの粘着テープとしては、基材の少なくとも片面側に粘着剤層を有しておればよく、例えば、基材の片面のみに粘着剤層を有する片面粘着テープや、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープが挙げられる。中でも、透明性などの光学特性向上等の観点からは、基材レスタイプの粘着テープが好ましい。なお、上記の「基材(基材層)」には、粘着テープの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータは含まない。
【0023】
本発明の粘着テープは、トルエン放散量及びホルムアルデヒド放散量が上記範囲を満たせば、特に限定されない。
【0024】
本発明の粘着テープの粘着剤層を形成する粘着剤(感圧接着剤)の種類は、特に制限されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などの公知の粘着剤を挙げることができる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、粘着剤は、いずれの形態を有している粘着剤であってもよく、例えば、活性エネルギー線硬化型粘着剤、溶剤型(溶液型)粘着剤、エマルジョン型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などが使用できる。
【0025】
上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、上記の中でも、透明性などの光学物性向上等の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。即ち、本発明の粘着テープの粘着剤層はアクリル系粘着剤層であることが好ましい。上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系モノマーを必須の単量体(モノマー)成分として形成されるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着剤層である。特に制限されないが、アクリル系粘着剤層中のアクリル系ポリマー(又はアクリル系ポリマー成分)の含有量は60重量%以上(例えば、60〜100重量%)であることが好ましく、より好ましくは80〜100重量%である。
【0026】
上記アクリル系粘着剤層は、粘着剤層の形成方法によっても異なり、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを必須成分とするアクリル系粘着剤組成物、または、アクリル系ポリマーを形成する単量体(モノマー)の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)又はその部分重合物を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物から形成される。特に限定されないが、前者としては、例えば、いわゆる溶剤型の粘着剤組成物などが挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物などが挙げられる。上記粘着剤組成物には、さらに必要に応じて、架橋剤やその他の各種の添加剤が含まれていてもよい。
【0027】
上記「粘着剤組成物」には「粘着剤層を形成するための組成物」という意味も含むものとする。また、上記「モノマー混合物」とはアクリル系ポリマーを形成するモノマー成分のみからなる混合物を意味する。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物の構成成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
【0028】
上記アクリル系ポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として(さらに好ましくは、主たるモノマー成分として)形成されるアクリル系ポリマーであることが好ましい。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。
【0029】
また、上記アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、さらに、極性基含有単量体、多官能性単量体やその他の共重合性単量体が共重合モノマー成分として含まれていてもよい。上記共重合モノマー成分を用いることにより、たとえば、被着体への接着力を向上させたり、粘着剤層の凝集力を高めたりすることができる。上記共重合モノマー成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
上記の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する場合がある)を好適に用いることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でもアルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。特にアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0031】
また、上記の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[アルコキシアルキル(メタ)アクリレート]も好適に用いることができる。特に好ましくは、アクリル酸アルコキシアルキルエステル[アルコキシアルキルアクリレート]である。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
【0032】
なお、上記のアクリル系ポリマーを形成する必須モノマー成分[(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル]の含有量は、粘着剤層の接着性の観点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、5重量%以上(例えば、5〜100重量%)が好ましく、より好ましくは7〜95重量%である。なお、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
【0033】
上記の極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。上記極性基含有単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。極性基含有単量体としては、上記の中でも、アミド基含有単量体、複素環含有ビニル系単量体、ヒドロキシル基含有単量体が好ましく、特に好ましくは、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸4−ヒドロキシブチルである。
【0034】
上記の極性基含有単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して1〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20重量%である。極性基含有単量体の含有量が30重量%を超えると粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、粘着剤層の粘着性が低下するおそれがある。また、極性基含有単量体の含有量が1重量%未満では粘着剤層の凝集力が低下し、高いせん断接着力が得られなくなる等、接着性が低下する場合がある。上記の中でも、カルボキシル基含有単量体又はその無水物(特に、アクリル酸)の含有量は、接着性の観点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜10重量%である。また、ヒドロキシル基含有単量体(特に、アクリル酸4−ヒドロキシブチル)の含有量は、架橋性の観点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して0.01〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0035】
上記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0036】
上記の多官能性単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して0.5重量%以下(例えば、0〜0.5重量%)であり、好ましくは、0〜0.1重量%以下である。含有量が0.5重量%を超えると、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、粘着剤層の粘着性が低下するおそれがある。なお、架橋剤を用いる場合には多官能性単量体を用いなくてもよいが、架橋剤を用いない場合には多官能性単量体の含有量は0.001〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.002〜0.1重量%である。
【0037】
また、極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0038】
上記のアクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を公知乃至慣用の重合方法により重合して調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。上記の中でも透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。また、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点からは、活性エネルギー線重合(光重合と称する場合がある)方法がより好ましく、中でも紫外線照射による紫外線重合方法が特に好ましい。
【0039】
上記の活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
【0040】
上記の溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
上記のアクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、光重合開始剤(光開始剤)や熱重合開始剤などの重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
上記光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤の使用量としては、特に制限はされないが、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して0.01〜0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15重量部である。
【0043】
上記のベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0044】
上記アクリル系ポリマーを溶液重合により重合させる際に用いられる重合開始剤としては、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。中でも、特開2002−69411号公報に開示されたアゾ系開始剤が特に好ましい。かかるアゾ系開始剤は開始剤の分解物が加熱発生ガス(アウトガス)の発生原因となる部分としてアクリル系ポリマー中に残留しにくいため好ましい。上記アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと称する場合がある)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBNと称する場合がある)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸などが例示される。上記アゾ系開始剤の使用量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。
【0045】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、30万〜200万が好ましく、より好ましくは60万〜150万、さらに好ましくは70万〜150万である。アクリル系ポリマーの重量平均分子量が30万より小さいと、良好な粘着特性を発揮することができない場合があり、一方、200万より大きいと、塗工性に問題が生じる場合があり、いずれも好ましくない。上記重量平均分子量は、重合開始剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0046】
本発明の粘着テープの粘着剤層には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。また、粘着剤層を形成する際には、各種の一般的な溶剤を用いることもできる。溶剤の種類としては、特に限定されず、前述の溶液重合に際して用いられる溶剤として例示されたものなどを用いることができる。
【0047】
上記架橋剤は、粘着剤層のベースポリマー(例えば、上記のアクリル系ポリマーなど)を架橋することにより、粘着剤層のゲル分率をコントロールすることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を好適に用いることができる。架橋剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0049】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」を用いることができる。
【0050】
上記架橋剤の使用量は、特に限定はされないが、例えば、アクリル系粘着剤層の場合には、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して0〜1重量部が好ましく、より好ましくは0〜0.8重量部である。
【0051】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層には、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点からは、粘着付与樹脂が実質的に含まれないことが好ましい。なお、「実質的に含まない」とは、不可避的に混入する場合は除いて能動的に配合はしないことを指す。具体的には、粘着剤層中の粘着付与樹脂の含有量は、粘着剤層の総重量に対して、1重量%未満が好ましく、より好ましくは0.1重量%未満である。粘着剤組成物及び粘着剤層に粘着付与樹脂が含まれる場合には、粘着剤層が加熱された際に粘着テープからトルエン、ホルムアルデヒドや臭気が多く発生する場合がある。上記粘着付与樹脂としては、具体的には、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなどが例示される。
【0052】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層の形成方法は、公知乃至慣用の粘着剤層の形成方法を用いることが可能であり、またベースポリマーの重合方法などによっても異なり、特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(3)などの方法が挙げられる。(1)ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマーなど)を形成するモノマー成分の混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物及び必要に応じて光重合開始剤や架橋剤などの添加剤を含む組成物を、基材又はセパレータ上に塗布(塗工)し、活性エネルギー線(特に、紫外線が好ましい)を照射して、粘着剤層を形成する。(2)ベースポリマー、溶剤、必要に応じて架橋剤などの添加剤を含む組成物(溶液)を、基材又はセパレータ上に塗布(塗工)し、乾燥及び/又は硬化して粘着剤層を形成する。(3)上記(1)で形成した粘着剤層をさらに乾燥させる。上記の中でもトルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点からは、上記(1)又は(3)の粘着剤層の形成方法が好ましく、(3)の粘着剤層の形成方法が特に好ましい。即ち、本発明の粘着テープにおける粘着剤層は、モノマー混合物又はその部分重合物及び必要に応じて光重合開始剤や架橋剤などの添加剤を含む粘着剤組成物に、活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射して形成された粘着剤層であることが好ましい。
【0053】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層の形成方法においては、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点から、粘着剤層の形成後にさらに乾燥工程を設けることが好ましい。
【0054】
上記粘着剤層を、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマーなど)、溶剤、必要に応じて架橋剤などの添加剤を含む粘着剤組成物(溶液)から形成する場合には、該組成物(溶液)を基材又はセパレータ上に塗布(塗工)後、乾燥及び/又は硬化させた後、さらに乾燥工程を設けることが好ましい。前記乾燥工程(乾燥及び/又は硬化後のさらなる乾燥工程)における乾燥条件としては、特に制限はないが、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点から、通常100〜150℃において1〜3分間乾燥させるのが好ましい。
【0055】
上記粘着剤層を、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマーなど)を形成するモノマー成分の混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物及び必要に応じて光重合開始剤や架橋剤などの添加剤を含む粘着剤組成物から形成する場合には、該組成物を基材又はセパレータ上に塗布(塗工)後、活性エネルギー線(好ましくは、紫外線)を照射し、活性エネルギー線重合をして粘着剤層を形成した後、さらに乾燥工程を設けることが好ましい。前記乾燥工程における乾燥条件としては、特に制限はないが、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させる観点から、通常100〜150℃において1〜3分間乾燥させることが好ましい。
【0056】
なお、上記の粘着剤層の形成における塗布(塗工)には、公知のコーティング法を用いることが可能であり、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどを用いることができる。
【0057】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層の好ましい具体的構成の一例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須成分とするモノマー成分の混合物(モノマー混合物)またはその部分重合物を含有する組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線重合をして形成した粘着剤層(アクリル系粘着剤層)が挙げられる。特に好ましくは、上記活性エネルギー線重合により形成した粘着剤層を、さらに100〜150℃において1〜3分間乾燥させることによって形成した粘着剤層(アクリル系粘着剤層)である。上記の粘着剤層を形成する組成物には、光重合開始剤が含まれることが好ましい。また、必要に応じて、架橋剤やその他の添加剤が含まれていてもよい。
【0058】
本発明の粘着テープが基材を有するタイプの粘着テープである場合、基材としては、特に制限はされないが、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリアリレート、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、プラスチック材料は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記の「基材」とは、粘着テープを被着体(光学部材等)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着テープの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は「基材」には含まない。
【0059】
上記の中でも、基材としては、透明基材が好ましい。上記「透明基材」とは、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361に準じる)が85%以上である基材が好ましく、さらに好ましくは90%以上である基材をいう。また、上記透明基材としては、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」などの無配向フィルムが挙げられる。
【0060】
上記基材の厚さは、特に限定されず、例えば、12〜50μmが好ましい。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの適宜な公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0061】
本発明の粘着テープの粘着剤層表面(粘着面)は、使用時まではセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。なお、本発明の粘着テープが両面粘着テープである場合、各粘着面は、2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているセパレータ1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着剤層の保護材として用いられており、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着テープが基材レス粘着テープの場合には、セパレータは粘着剤層の支持体の役割も担う。なお、セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。上記セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0062】
本発明の粘着テープにおける粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、10〜300μmが好ましく、より好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは50〜200μmである。粘着剤層厚さが10μm未満では良好な接着性が得られ難くなる場合があり、300μmを超えると粘着テープからのVOCや臭気の発生が多くなる場合がある。なお、本発明の粘着テープの粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。
【0063】
本発明の粘着テープは高い透明性を有していることが好ましく、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361に準じる)は、90%以上が好ましく、さらに好ましくは91%である。また、本発明の粘着テープのヘーズ値(JIS K 7361に準じる)は、例えば、1.0%未満が好ましく、より好ましくは、0.8%未満である。なお、上記全光線透過率及びヘーズ値は、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91%、ヘーズ値0.4%のもの)に本発明の粘着テープを貼り合わせ、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0064】
本発明の粘着テープのアクリル板に対する180°引き剥がし粘着力[「引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)」と称する]は、10N/25mm以上(例えば、10〜30N/25mm)であり、好ましくは12N/25mm以上である。引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)が10N/25mm未満では、接着信頼性が低下する場合がある。なお、上記引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)は、アクリル板を被着体とする180°剥離試験により測定することができる。具体的には、例えば、JIS Z 0237に準拠し、被着体(試験板)として、アクリル板(三菱レイヨン(株)製、「アクリライト」、厚さ2mm)を用い、本発明の粘着テープの粘着剤層表面を該被着体に貼り合わせた後、引張速度300mm/分の条件で180°剥離することにより測定することができる。なお、両面粘着テープの場合には、測定面と反対側の粘着剤層表面(粘着面)には裏打ち材(PETフィルム、東レ(株)製、「ルミラー S−10」、厚さ25μm)を貼付して測定することができる。なお、両面粘着テープの場合には、いずれの側の粘着面を測定面とした場合にも、引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0065】
本発明の光学部材用粘着テープは光学部材に対して用いられ、特に限定はされないが、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)、光学部材の表面に本発明の粘着テープを貼付することにより得られる粘着型光学部材を製造する用途等に好適に用いられる。上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材をいう。光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、カラーフィルター、ハードコートフィルム、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材が挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態をも含むものとし、例えば、「偏光板」は「偏光フィルム」、「偏光シート」も含むものとする。
【0066】
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネル等が挙げられる。
【0067】
上記の光学部材としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ガラス、金属薄膜などからなる部材(例えば、シート状やフィルム状、板状の部材など)などが挙げられる。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、被着体である表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
【0068】
本発明の粘着テープを光学部材の貼り合わせ用に使用する場合、その貼り合わせの様態としては、特に限定されないが、例えば、(1)本発明の粘着テープを介して光学部材同士を貼り合わせる様態、(2)本発明の粘着テープを介して光学部材を光学部材以外の部材に貼り合わせる様態であってもよいし、(3)光学部材を含む本発明の粘着テープを、光学部材又は光学部材以外の部材に貼り合わせる様態であってもよい。上記(1)又は(2)の様態の場合には、本発明の粘着テープは両面粘着テープであることが好ましく、(3)の様態の場合には、本発明の粘着テープは片面粘着テープ、両面粘着テープのいずれであっても好ましく用いられる。なお、上記(3)の様態においては、本発明の粘着テープは基材が光学部材(偏光フィルムをはじめとする光学フィルムなど)である粘着テープであることが好ましい。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0070】
実施例1
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)68重量部、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)24重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)6重量部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)2重量部が混合された混合物に、光重合開始剤として、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」0.05重量部及びチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア651」0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物を作製した。
上記で得られたプレポリマー組成物に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートHL」)0.30重量部を添加し、粘着剤組成物を作製した。
【0071】
上記粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ(三菱樹脂(株)製、「MRF75」)上に最終的な厚み(粘着剤層厚み)が175μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。次いで、上記塗布層上に、PETセパレータ(三菱樹脂(株)製、「MRF38」)を設け、塗布層を被覆して酸素を遮断した。その後、このMRF75/塗布層/MRF38の積層体の上面(MRF38側)からブラックライト(東芝製)にて、照度5mW/cm2の紫外線を300秒間照射した。さらに130℃の乾燥機で2分間乾燥処理を行い、残存モノマーを揮発させて、粘着剤層を形成し、さらに50℃で1週間加温エージングを行い、厚さ175μmの粘着テープ(基材レス粘着テープ)を得た。なお、表1において、イソシアネート系架橋剤(コロネートL、コロネートHL)の添加量(配合量)は、固形分換算の添加量(重量部)で表している。
【0072】
実施例2
表1に示すように、130℃で2分間の乾燥処理を施さないこと以外は実施例1と同様にして、厚さ175μmの粘着テープ(基材レス粘着テープ)を得た。
【0073】
実施例3
アクリル酸n−ブチル95重量部、アクリル酸5重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、および重合溶媒(溶剤)として酢酸エチル186重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させて、トルエンを加え、固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー溶液に、アクリル系ポリマー100重量部に対して、エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」)0.075重量部を配合して、粘着剤組成物(溶液)を得た。
【0074】
上記粘着剤組成物(溶液)を、PETセパレータ(三菱樹脂(株)製、「MRF75」)上に流延塗布し、常圧下、60℃で1分間及び155℃で2分間乾燥して粘着剤層を形成した後、さらに130℃で2分間乾燥処理を行い、トルエン及びホルムアルデヒドの放散量や臭気を低減させた。次いで、PETセパレータ(三菱樹脂(株)製、「MRF38」)を粘着剤層上に設け、さらに50℃で72時間エージングを行い、厚さ50μmの粘着テープ(基材レス粘着テープ)を得た。
【0075】
実施例4
表1に示すように、アクリル酸イソノニル90重量部、アクリル酸10重量部が混合された混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、プレポリマー組成物を作製した。
上記で得られたプレポリマー組成物に、表1で示すように、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2重量部を添加し、粘着剤組成物を得た。
また、上記粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、厚さ150μmの粘着テープ(基材レス粘着テープ)を得た。
【0076】
比較例1
アクリル酸n−ブチル95重量部、アクリル酸5重量部を、230重量部のトルエン中で、過酸化ベンゾイル(BPO)0.2重量部の共存下、かつ窒素置換下に60〜80℃で撹拌しながら溶液重合処理して、粘度約120ポイズ、重合率99%、固形分濃度30.0重量%のアクリル系ポリマー溶液を調製し、この溶液の固形分100重量部に対して、軟化点125℃の重合ロジンエステル樹脂30重量部(荒川化学工業(株)製、「ペンセル D−125」)、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」)4重量部を添加し、混合して粘着剤組成物(溶液)を得た。
【0077】
一方、グラシン紙の表面に付加重合系のジメチルシロキサンポリマー層を設けてリリースライナーを作製した。このリリースライナーの表面に上記の粘着剤組成物(溶液)を塗布した後、130℃で5分間乾燥処理して厚さ70μmの粘着剤層(感圧接着剤層)を形成した。次に粘着剤層の上に麻/レーヨン系の不織布(厚さ約50μm)をラミネートし、さらに不織布の表面に上記の粘着剤組成物(溶液)を塗布した後、130℃で5分間乾燥処理して、総厚さ160μmの粘着テープを得た。
【0078】
(評価)
実施例および比較例により得られた粘着テープについて、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。全光線透過率、引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)、においの評価は以下の通りであり、トルエン放散量及びホルムアルデヒド放散量の測定は前述の通りに行った。試験評価結果を表1に示す。
【0079】
(1)全光線透過率
実施例、比較例で得られた各粘着テープからセパレータを剥離してスライドガラス(松浪硝子(株)製、商品名「S−1111」、ヘーズ値0.4%)に貼り合わせ、粘着剤層/スライドガラスの層構成を有する試験片を作製し(但し、比較例の粘着テープの場合の試験片は、粘着剤層/不織布/粘着剤層/スライドガラスの層構成を有する)、該試験片の全光線透過率(%)をヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定した。
【0080】
(2)引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)
実施例で得られた粘着テープから、幅25mm、長さ150mmのテープ片を切り出し、セパレータ(MRF38側)を剥離して、一方の粘着面(測定面と反対面)に厚さ25μmのPETフィルム(東レ(株)製、「ルミラー S−10」)を貼付(裏打ち)して、短冊状のテープ片を作製した。
次いで、上記短冊状のテープ片からセパレータ(MRF75側)を剥離して、もう一方の粘着面(測定面)をアクリル板(三菱レイヨン(株)製、「アクリライト」、厚さ2mm)に2kgのゴムローラー(幅:約50mm)を1往復させることにより貼付し、測定サンプルを作製した。
上記測定サンプルを23℃、50%RHの雰囲気中で0.5時間放置した後、引張試験機を用い、JIS Z 0237に準拠して引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)(N/25mm)を測定した。測定は23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。試験回数(n数)は3回とした。
なお、比較例で得られた粘着テープの場合には、粘着剤層のうち、基材(不織布)に直接塗布して形成した粘着剤層側(直写側)にPETフィルムを裏打ちし、基材への転写により形成した粘着剤層側(転写側)をアクリル板に貼付した以外は、上記と同様にして引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)を測定した。
【0081】
(3)におい
実施例、比較例で得られた粘着テープから、幅100mm、長さ100mmのテープ片を切り出し、実施例で得られた両面粘着テープの場合にはセパレータ(MRF38側)を剥離して、臭気についての官能評価を実施した。溶剤臭の少ないものを低VOC性が良好な粘着テープとして○、溶剤臭の多いものを低VOC性不良な粘着テープとして×と評価し、表1に示した。それぞれの粘着テープの試験回数(n数)は3回とした。
【0082】
【表1】

【0083】
表中の略語は以下の通りである。
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
2MEA:アクリル酸2−メトキシエチル
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド
BA:アクリル酸n−ブチル
AA:アクリル酸
iNA:アクリル酸イソノニル
コロネートL:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」(イソシアネート系架橋剤)
コロネートHL:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」(イソシアネート系架橋剤)
テトラッドC:三菱瓦斯化学(株)製、商品名「テトラッドC」(エポキシ系架橋剤)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルエン放散量が10μg/g以下であり、ホルムアルデヒド放散量が3μg/g以下であることを特徴とする光学部材用粘着テープ。
【請求項2】
アクリル系粘着剤層を有する請求項1に記載の光学部材用粘着テープ。
【請求項3】
全光線透過率が90%以上である請求項1又は2に記載の光学部材用粘着テープ。
【請求項4】
引き剥がし粘着力(対アクリル板、180°剥離)が10N/25mm以上である請求項1〜3のいずれかの項に記載の光学部材用粘着テープ。
【請求項5】
基材を有しない基材レスタイプの粘着テープである請求項1〜4のいずれかの項に記載の光学部材用粘着テープ。
【請求項6】
アクリル系粘着剤層が、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数が1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されるアクリル系ポリマーを含む請求項2に記載の光学部材用粘着テープ。
【請求項7】
アクリル系粘着剤層が、紫外線照射による紫外線重合方法で調製された粘着剤組成物から形成される請求項2に記載の光学部材用粘着テープ。

【公開番号】特開2010−285548(P2010−285548A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140500(P2009−140500)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】