説明

光学電子装置

【課題】 光学機器を周囲の振動や筐体に加わる衝撃などから保護する防振・防衝撃構造を備えると共に、筐体の小型化が可能な放熱構造を備えた光学電子装置を提供する。
【解決手段】 筐体カバー2と筐体下部3からなる筐体4内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置1であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部3に立設したポール5とこのポール5に防振部材6を介して固定したベース7で構成され、前記放熱構造は、筐体4内をベース7と仕切部材10と隔壁部材11により仕切って形成した密閉の本体部12と外部に通じる冷却部13で構成され、本体部12にはベース7の一面に固定した光学機器8を配置し、冷却部13にはベース7の他面に固定した放熱体9と筐体下部3に取り付けたファン14を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動や衝撃から光学機器を保護する防振・防衝撃構造と筐体内を冷却する放熱構造を筐体内に備えた光学電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学機器を備えた光学電子装置においては、振動や衝撃に敏感な光学機器を周囲環境の振動や筐体に加わる衝撃などから保護するため、光学機器はゴムや樹脂製弾性部材などを介して筐体に固定される。また、光学機器や光学機器と共に筐体内に設置されるコントローラは発熱源となるため、筐体内の温度上昇は測定精度に影響を与えると共に、ゴムや樹脂製弾性部材などの劣化の原因になる。特に、粒子測定の分野では、より小さな粒子の測定が望まれているため、光学機器において照射強度を上げなければならないので、消費電力が上がって発熱量が増してしまう。
【0003】
そこで、従来から筐体内の温度をある範囲に維持すると共に、筐体内に塵埃が入らないように冷却するため、高密度のフィルタを備えた空冷ファンを筐体に設けることが知られている。また、冷媒が通過する冷却経路を組み込んだ熱伝導材を用意し、筐体内に存在する熱伝導材の内側に直接発熱光源を設置すると共に、筐体外である熱伝導材の外側に放熱体を設けて筐体内を冷却する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、筐体内を密閉された発熱部と送風ファンにより冷却される熱放出部に分け、発熱部を冷却する熱交換用ヒートパイプを設けた技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、レーザダイオードを加熱又は冷却する加熱冷却素子及び放熱器の間に熱伝導路を形成する柔軟部材を備えるレーザ光源が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−142321号公報
【特許文献2】実開平5−61675号公報
【特許文献3】実開平2−17862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、高密度のフィルタは交換を要し、メンテナンスが煩雑である。そして、高密度のフィルタは送風を妨げるため、空冷ファンは必要以上に電力を消費する。また、特許文献1に記載のように、熱伝導材に直接発熱光源を設置すると冷却効率はよいが、周囲の振動や筐体に加わる衝撃などから発熱光源を保護するのは困難である。また、特許文献2に記載のように、熱交換用ヒートパイプを設けても、ヒートパイプが発熱源から離れていると冷却効率が低く、ヒートパイプの数を増やして冷却効率を上げると筐体が大型化してしまう。また、ヒートパイプに発熱源を直接固定すれば、冷却効率は上がるものの、発熱源を周囲の振動や筐体に加わる衝撃などから保護するのは困難になる。更に、特許文献3に記載のように、加熱冷却素子と放熱器は同じ仕切内にあり、発熱量が多いと対応できない。
【0006】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光学機器を周囲の振動や筐体に加わる衝撃などから保護する防振・防衝撃構造を備えると共に、筐体の小型化が可能な放熱構造を備えた光学電子装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に防振部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと仕切部材と隔壁部材又は前記ベースと仕切部材により仕切って形成した密閉の本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体又は防塵繊維からなるものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に仕切部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと前記支持部と前記仕切部材により仕切って形成した密閉の本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体からなるものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に防振部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと仕切部材と隔壁部材又は前記ベースと仕切部材により仕切って形成した本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置すると共に清浄で低湿度の空気またはガスを導入し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体又は防塵繊維からなるものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に仕切部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと前記支持部と前記仕切部材により仕切って形成した本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置すると共に清浄で低湿度の空気またはガスを導入し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体からなるものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1、2,3又は4記載の光学電子装置において、前記弾性体はゴム・樹脂製弾性体である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項3又は4記載の光学電子装置において、前記ガスは窒素ガスである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記ベースは光学機器又は放熱体の一部である。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記筐体カバーは、他の構成部品に影響を与えることなく前記筐体下部に対して着脱自在である。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記冷却手段は、空冷用のファンである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光学機器の放熱に起因する温度上昇や外部から侵入する塵埃などによる測定精度の低下を防止することができる。また、光学機器の放熱に起因する温度上昇によるゴム・樹脂製弾性体又は防塵繊維で形成された仕切部材の劣化を防止することができる。
【0017】
また、光学機器を設置した本体部と空冷用のファンを設けた冷却部は仕切られているので、高密度のフィルタを必要としないため、フィルタ交換作業が不要となる。筐体に振動や衝撃が作用しても、防振部材が振動や衝撃を吸収するので、光学機器には振動や衝撃が直接加わらず、振動や衝撃から保護される。また、筐体カバーは、筐体内に設置されている部品に影響することなく筐体下部に着脱自在であるので、光学機器の状態確認、調整や保全などを容易に行うことができる。
【0018】
更に、乾燥した清浄なガスを本体部に導入することで、本体部が陽圧になり、光学機器の有機溶剤などによる汚染や湿気による結露から光学機器を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る光学電子装置の第1実施の形態の構成図、図2は本発明に係る光学電子装置の第2実施の形態の構成図、図3は図2のA−A断面矢視図、図4は本発明に係る光学電子装置の第3実施の形態の構成図、図5は本発明に係る光学電子装置の第4実施の形態の構成図、図6は本発明に係る光学電子装置の第5実施の形態の構成図、図7は本発明に係る光学電子装置の第6実施の形態の構成図である。
【0020】
本発明に係る光学電子装置の第1実施の形態は、図1に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置1である。粒子計測装置1は、筐体カバー2と筐体下部3で筐体4を形成している。筐体カバー2は、筐体4内に設置されている部品に影響することなく筐体下部3に着脱自在である。筐体下部3には支持部となる4本のポール5が立設され、これらのポール5に防振部材6を介して板状のベース7が固定されている。なお、支持部となるポール5の形状及び本数は限定されない。また、支持部をポール5ではなく、筐体下部3により形成してもよい。
【0021】
そして、ベース7の上面には光学機器8を取り付け、ベース7の下面には放熱体9を固着すると共に、放熱体9を囲むように仕切部材10を介して筐体下部3に一端を固定した略筒形状の隔壁部材11の他端を固定している。光学機器8と放熱体9はベース7を挟むように取り付けられるので、光学機器8とベース7と放熱体9は、一体として動くことになる。防振部材6にはベース7、光学機器8、放熱体9の重量により好ましい特性のものが選定される。このように、支持部となるポール5に配設された防振部材6とベース7により、光学機器8に対する防振・防衝撃構造が構成される。
【0022】
筐体4の内部は、ベース7と仕切部材10と隔壁部材11により、粒子計測の妨げとなるような塵埃が侵入しない程度に遮蔽して密閉された本体部12と外部に通じる冷却部13に仕切られる。本体部12には熱を発する光学機器8が配置され、冷却部13には放熱体9などが配置される。ベース7及び放熱体9は、熱伝導性のよい材料で形成されるのが好ましい。また、仕切部材10は弾性体であるゴム又は樹脂製弾性体などで、熱伝導性のよいものが望ましく、交換可能であることが望ましい。筐体下部3の隔壁部材11に囲まれた部位には、冷却部13に外気を導くと共にその外気を対向する放熱体9に当てる空冷用のファン14と、冷却部13の空気を外部に排出する排気口15が設けられている。
【0023】
また、ベース7は光学機器8の一部であってもよいし、放熱体9の一部であってもよい。放熱体9の形状によっては、光学機器8を直接放熱体9に取り付けることもできる。この場合、放熱体9が防振部材6を介してポール5に取り付けられる。放熱体9はヒートシンクに限定されず、消費電力などで許されるなら、ペルチィエ素子などの冷却手段を用いることもできる。そして、熱を発する光学機器8を配置した密閉の本体部12と、放熱体9と空冷用のファン14と排気口15を配置した冷却部13により、光学機器8に対する放熱構造が構成される。16は脚部である。
【0024】
なお、粒子計測装置1のコントローラ(不図示)を筐体4内に設置する場合には、冷却部13が望ましいが、本体部12に設置してもよい。電気配線及び測定試料を流す配管(不図示)の施工は、本体部12の密閉状態を確保しつつ、行われる。測定試料を流す配管には、軟質ナイロンなどの弾性を有する樹脂を使用し、筐体4に設けられた継ぎ手(不図示)に接続され、外部に通じている。
【0025】
以上のように構成された本発明に係る光学電子装置の第1実施の形態の動作について説明する。粒子計測装置1が稼動すると、筐体4内に設置された光学機器8から熱が発せられる。すると、光学機器8から発せられる熱は、主に熱伝導性のよい材料で形成されたベース7を介して熱伝導性のよい材料で形成された放熱体9に伝わる。放熱体9には空冷用のファン14による外気18が当てられるので、その外気18により放熱体9は冷却される。ファン14の送風により奪われた放熱体9の熱は、熱風19として排気口15から筐体4外へ排出される。
【0026】
筐体4内が冷却されることにより、光学機器8の放熱に起因する温度上昇による測定精度の低下、防振部材6の劣化や仕切部材10の劣化を防止することができる。また、光学機器8と防振部材6は、密閉の本体部12に設置されるので、外部から侵入する塵埃などによる測定精度の低下、防振部材6の劣化を防止することができる。
【0027】
また、粒子計測装置1の稼動中に、筐体4に振動や衝撃が作用しても、ポール5とベース7の間に配設された防振部材6が振動や衝撃を吸収するので、ベース7に固定されている光学機器8には振動や衝撃が直接加わらず、振動や衝撃から保護される。その際、ベース7と隔壁部材11の間に配設されている仕切部材10は、ゴム又は樹脂製弾性体で形成されているので、振動や衝撃に対する防振部材6の働きを妨げることはない。また、筐体カバー2は、筐体4内に設置されている部品に影響することなく筐体下部3に着脱自在であるので、光学機器8の状態確認、調整や保全などを容易に行うことができる。
【0028】
次に、本発明に係る光学電子装置の第2実施の形態は、図2及び図3に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置21であり、発熱があるコントローラ37を備えている。粒子計測装置21は、筐体カバー22と筐体下部23で筐体24を形成している。筐体カバー22は、筐体24内に設置されている部品に影響することなく筐体下部23に着脱自在である。筐体下部23には支持部となる4本のポール25が立設され、これらのポール25に防振部材26を介して板状のベース27が固定されている。なお、支持部となるポール25の形状及び本数は限定されない。また、支持部をポール25ではなく、筐体下部23により形成してもよい。
【0029】
そして、ベース27の上面には光学機器28を取り付け、ベース27の下面には放熱体29を固着している。また、隔壁部材31が放熱体29の三辺及びコントローラ37を囲むように仕切部材30a,30bを介して筐体下部23と筐体カバー22に固定されている。光学機器28と放熱体29はベース27を挟むように取り付けられるので、光学機器28とベース27と放熱体29は、一体として動くことになる。防振部材26にはベース27、光学機器28、放熱体29の重量により好ましい特性のものが選定される。このように、支持部となるポール25に配設された防振部材26とベース27により、光学機器28に対する防振・防衝撃構造が構成される。
【0030】
筐体24の内部は、ベース27と仕切部材30a,30bと隔壁部材31により、密閉された本体部32と外部に通じる冷却部33に仕切られる。本体部32には熱を発する光学機器28が配置され、冷却部33には放熱体29などが配置される。ベース27及び放熱体29は、熱伝導性のよい材料で形成されるのが好ましい。また、仕切部材30a,30bは弾性体であるゴム又は樹脂製弾性体などで、熱伝導性のよいものが望ましく、交換可能であることが望ましい。筐体下部23の隔壁部材31に囲まれた部位には、冷却部33に外気を導くと共にその外気を対向する放熱体29に当てる空冷用のファン34が設けられ、筐体カバー22の一側面には冷却部33の空気を外部に排出する排気口35が設けられている。
【0031】
また、ベース27は光学機器28の一部であってもよいし、放熱体29の一部であってもよい。放熱体29の形状によっては、光学機器28を直接放熱体29に取り付けることもできる。この場合、放熱体29が防振部材26を介してポール25に取り付けられる。放熱体29はヒートシンクに限定されず、消費電力などで許されるなら、ペルチィエ素子などの冷却手段を用いることもできる。そして、熱を発する光学機器28を配置した密閉の本体部32と、放熱体29と空冷用のファン34と排気口35を配置した冷却部33により、光学機器28に対する放熱構造が構成される。36は脚部である。
【0032】
なお、発熱がある粒子計測装置21のコントローラ37を筐体24内に設置する場合には、本実施の形態のように冷却部33が望ましい。電気配線及び測定試料を流す配管(不図示)の施工は、本体部32の密閉状態を確保しつつ、行われる。測定試料を流す配管には、軟質ナイロンなどの弾性を有する樹脂を使用し、筐体24に設けられた継ぎ手(不図示)に接続され、外部に通じている。
【0033】
以上のように構成された本発明に係る光学電子装置の第2実施の形態の動作について説明する。粒子計測装置21が稼動すると、筐体24内に設置された光学機器28から熱が発せられる。すると、光学機器28から発せられる熱は、主に熱伝導性のよい材料で形成されたベース27を介して熱伝導性のよい材料で形成された放熱体29に伝わる。放熱体29には空冷用のファン34による外気38が当てられるので、その外気38により放熱体29は冷却される。ファン34の送風により奪われた放熱体29の熱は、熱風39として排気口35から筐体24外へ排出される。冷却部33に配置されたコントローラ37も冷却される。
【0034】
筐体24内が冷却されることにより、光学機器28の放熱に起因する温度上昇による測定精度の低下、防振部材26の劣化や仕切部材30a,30bの劣化を防止することができる。また、光学機器28と防振部材26は、密閉の本体部32に設置されるので、外部から侵入する塵埃などによる測定精度の低下、防振部材26の劣化を防止することができる。
【0035】
また、粒子計測装置21の稼動中に、筐体24に振動や衝撃が作用しても、ポール25とベース27の間に配設された防振部材26が振動や衝撃を吸収するので、ベース27に固定されている光学機器28には振動や衝撃が直接加わらず、振動や衝撃から保護される。その際、ベース27と隔壁部材31の間に配設されている仕切部材30aは、弾性体であるゴム又は樹脂製弾性体などで形成されているので、振動や衝撃に対する防振部材26の働きを妨げることはない。
【0036】
また、筐体カバー22は、筐体24内に設置されている部品に影響することなく筐体下部23に着脱自在であるので、光学機器28の状態確認、調整や保全などを容易に行うことができる。更に、筐体カバー22と隔壁部材31の間に配設され、隔壁部材31に固定されている仕切部材30bは、弾性体であるゴム又は樹脂製弾性体などで形成されているので、筐体カバー22が筐体下部23に取り付けられた際に筐体カバー22に適度な圧で当接し、本体部32の密閉状態を維持するために働く。
【0037】
次に、本発明に係る光学電子装置の第3実施の形態は、図4に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置41である。粒子計測装置41は、筐体カバー42と筐体下部43で筐体44を形成している。筐体カバー42は、筐体44内に設置されている部品に影響することなく筐体下部43に着脱自在である。筐体下部43には支持部となる4本のポール45が立設され、これらのポール45に防振部材46を介して板状のベース47が固定されている。なお、支持部となるポール45の形状及び本数は限定されない。また、支持部をポール45ではなく、筐体下部43により形成してもよい。
【0038】
そして、ベース47の下面には光学機器48を取り付け、ベース47の上面には放熱体49を固着している。光学機器48と放熱体49はベース47を挟むように取り付けられるので、光学機器48とベース47と放熱体49は、一体として動くことになる。防振部材46にはベース47、光学機器48、放熱体49の重量により好ましい特性のものが選定される。このように、支持部となるポール45に配設された防振部材46とベース47により、光学機器48に対する防振・防衝撃構造が構成される。
【0039】
また、ベース47の縁部と筐体下部43の端部の間に、シート状の仕切部材51が配設され、筐体44の内部は、ベース47と仕切部材51により、密閉された本体部52と外部に通じる冷却部53に仕切られる。本体部52には熱を発する光学機器48が配置され、冷却部53には放熱体49などが配置される。ベース47及び放熱体49は、熱伝導性のよい材料で形成されるのが好ましい。
【0040】
また、仕切部材51は弾性体であるゴム・樹脂製弾性体又は防塵繊維(例えば、ポリエステル製)など、熱伝導性のよいものが望ましく、交換可能であることが望ましい。筐体カバー42の一側面には、冷却部53に外気を導くと共にその外気を放熱体49に当てる空冷用のファン54が設けられ、ファン54と対向する筐体カバー42の側面には、冷却部53の空気を外部に排出する排気口55が設けられている。
【0041】
また、ベース47は光学機器48の一部であってもよいし、放熱体49の一部であってもよい。放熱体49の形状によっては、光学機器48を直接放熱体49に取り付けることもできる。この場合、放熱体49が防振部材46を介してポール45に取り付けられる。放熱体49はヒートシンクに限定されず、消費電力などで許されるなら、ペルチィエ素子などの冷却手段を用いることもできる。そして、熱を発する光学機器48を配置した密閉の本体部52と、放熱体49と空冷用のファン54と排気口55を配置した冷却部53により、光学機器48に対する放熱構造が構成される。56は脚部である。
【0042】
なお、粒子計測装置41のコントローラ(不図示)を筐体44内に設置する場合には、冷却部53が望ましいが、本体部52に設置してもよい。電気配線及び測定試料を流す配管(不図示)の施工は、本体部52の密閉状態を確保しつつ、行われる。測定試料を流す配管には、軟質ナイロンなどの弾性を有する樹脂を使用し、筐体44に設けられた継ぎ手(不図示)に接続され、外部に通じている。
【0043】
以上のように構成された本発明に係る光学電子装置の第3実施の形態の動作について説明する。粒子計測装置41が稼動すると、筐体44内に設置された光学機器48から熱が発せられる。すると、光学機器48から発せられる熱は、主に熱伝導性のよい材料で形成されたベース47を介して熱伝導性のよい材料で形成された放熱体49に伝わる。放熱体49には空冷用のファン54による外気が当てられるので、その外気により放熱体49は冷却される。ファン54の送風により奪われた放熱体49の熱は、熱風として排気口55から筐体44外へ排出される。
【0044】
筐体44内が冷却されることにより、光学機器48の放熱に起因する温度上昇による測定精度の低下、防振部材46の劣化や仕切部材51の劣化を防止することができる。また、光学機器48と防振部材46は、密閉の本体部52に設置されるので、外部から侵入する防塵などによる測定精度の低下、防振部材46の劣化を防止することができる。
【0045】
また、粒子計測装置41の稼動中に、筐体44に振動や衝撃が作用しても、ポール45とベース47の間に配設された防振部材46が振動や衝撃を吸収するので、ベース47に固定されている光学機器48には振動や衝撃が直接加わらず、振動や衝撃から保護される。その際、ベース47の縁部と筐体下部43の端部の間に配設されている仕切部材51は、弾性体であるゴム・樹脂製弾性体又は防塵繊維などで形成されているので、振動や衝撃に対する防振部材46の働きを妨げることはない。
【0046】
また、筐体カバー42は、筐体44内に設置されている部品に影響することなく筐体下部43に着脱自在であるので、光学機器48の状態確認、調整や保全などを容易に行うことができる。第3の実施の形態では、光学機器48を筐体下部43側に設置する構成としているが、他の実施の形態のように光学機器48を筐体カバー42側に設置する構成にすることもできる。
【0047】
次に、本発明に係る光学電子装置の第4実施の形態は、図5に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置61である。粒子計測装置61は、筐体カバー62と筐体下部63で筐体64を形成している。筐体カバー62は、筐体64内に設置されている部品に影響することなく筐体下部63に着脱自在である。筐体下部63には支持部となる略筒形状の隔壁部材65の一端が固定され、隔壁部材65の他端には仕切部材66を介して板状のベース67が固定されている。なお、支持部は隔壁部材65でなく、筐体下部63により形成してもよい。
【0048】
そして、ベース67の上面には光学機器68を取り付け、ベース67の下面には放熱体69を固着している。光学機器68と放熱体69はベース67を挟むように取り付けられるので、光学機器68とベース67と放熱体69は、一体として動くことになる。仕切部材66にはベース67、光学機器68、放熱体69の重量により好ましい特性のものが選定される。このように、支持部となる隔壁部材65に配設された仕切部材66とベース67により、光学機器68に対する防振・防衝撃構造が構成される。
【0049】
筐体64の内部は、ベース67と仕切部材66と隔壁部材65により、密閉された本体部72と外部に通じる冷却部73に仕切られる。本体部72には熱を発する光学機器68が配置され、冷却部73には放熱体69などが配置される。ベース67及び放熱体69は、熱伝導性のよい材料で形成されるのが好ましい。また、仕切部材66は、弾性体であるゴムや樹脂製弾性体などで形成され、防振・防衝撃の機能を有しつつ、気密性を保持する機能も有し、交換可能であることが望ましい。また、第1の実施の形態と同様に、ベース67は光学機器68の一部であってもよいし、放熱体69の一部であってもよい。
【0050】
筐体下部63の隔壁部材65に囲まれた部位には、冷却部73に外気を導くと共にその外気を対向する放熱体69に当てる空冷用のファン74と、冷却部73の空気を外部に排出する排気口75が設けられている。そして、熱を発する光学機器68を配置した密閉の本体部72と、放熱体69と空冷用のファン74と排気口75を配置した冷却部73により、光学機器68に対する放熱構造が構成される。76は脚部である。
【0051】
以上のように構成された本発明に係る光学電子装置の第4実施の形態の動作について説明する。粒子計測装置61が稼動すると、筐体64内に設置された光学機器68から熱が発せられる。すると、光学機器68から発せられる熱は、主に熱伝導性のよい材料で形成されたベース67を介して熱伝導性のよい材料で形成された放熱体69に伝わる。放熱体69には空冷用のファン74による外気78が当てられるので、その外気78により放熱体69は冷却される。ファン74の送風により奪われた放熱体69の熱は、熱風79として排気口75から筐体64外へ排出される。
【0052】
また、粒子計測装置61の稼動中に、筐体64に振動や衝撃が作用しても、隔壁部材65とベース67の間に配設された仕切部材66が振動や衝撃を吸収するので、ベース67に固定されている光学機器68には振動や衝撃が直接加わらず、振動や衝撃から保護される。その他の同一名称の構成・動作や粒子計測装置61の作用効果などは、図1に示す粒子計測装置1と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
次に、本発明に係る光学電子装置の第5実施の形態は、図6に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置81である。粒子計測装置81は、筐体カバー82と筐体下部83で筐体84を形成している。筐体カバー82は、筐体84内に設置されている部品に影響することなく筐体下部83に着脱自在である。支持部となるポール85に配設された防振部材86とベース87による光学機器88に対する防振・防衝撃構造は、図1に示す第1実施の形態の粒子計測装置1と同様である
【0054】
筐体84の内部は、ベース87と仕切部材90と隔壁部材91により、本体部92と外部に通じる冷却部93に仕切られる。本体部92には熱を発する光学機器88が配置され、冷却部93には放熱体89などが配置される。筐体下部83の隔壁部材91に囲まれた部位には、冷却部93に外気を導くと共にその外気を対向する放熱体89に当てる空冷用のファン94と、冷却部93の空気を外部に排出する排気口95が設けられている。
【0055】
筐体カバー82には、清浄で低湿度な空気またはガスをエアポンプやガスボンベなどを用いて本体部92に導入する開口96と、本体部92の気体を排気する通気口97が設けられている。本体部92に導入するガスとしては、窒素ガス、ドライエアが一般的である。開口96と通気口97を使用しない場合には、開口96と通気口97を塞いで、本体部92を密閉状態にすることができる。
【0056】
このように、熱を発する光学機器88を配置した本体部92に清浄で低湿度な空気またはガスを導入することと、冷却部93に放熱体89と空冷用のファン94と排気口95を配置することにより、光学機器88に対する放熱構造が構成される。98は脚部である。
【0057】
以上のように構成された本発明に係る光学電子装置の第5実施の形態の動作について説明する。粒子計測装置81が稼動すると、筐体84内に設置された光学機器88から熱が発せられる。すると、光学機器88から発せられる熱は、主に熱伝導性のよい材料で形成されたベース87を介して熱伝導性のよい材料で形成された放熱体89に伝わる。開口96から窒素ガス・ドライエアなどを導入すると、本体部92が陽圧となり通気口97から筐体84外へ排気される。本体部92を清浄で低湿度な空気またはガスにより陽圧にすることで、粒子測定を妨げる塵埃の侵入しない程度に遮蔽した密閉であっても、本体部92へ有機溶剤などが侵入するのを防ぎ、汚染や湿気による結露から光学機器88を保護することができる。
【0058】
本体部92へ導入する清浄で低湿度な空気またはガスの量は、例えば1〜10リットル/分である。本体部92に清浄で低湿度な空気またはガスを導入する方法は、冷却部93に放熱体89と空冷用のファン94と排気口95を配置する方法の約1/100〜1/1000の能力で済む。その他の同一名称の構成・動作や粒子計測装置81の作用効果などは、図1に示す粒子計測装置1と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
次に、本発明に係る光学電子装置の第6実施の形態は、図7に示すように、空気中に浮遊する微粒子数や液体中の懸濁する微粒子数を測定する粒子計測装置101である。粒子計測装置101は、主に図6に示す粒子計測装置81の防振・防衝撃構造を図5に示す粒子計測装置61の防振・防衝撃構造に変更した構成である。その他の同一名称の構成・動作や粒子計測装置101の作用効果などは、図5に示す粒子計測装置61及び図6に示す粒子計測装置81と同様であるので、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、光学機器の放熱に起因する温度上昇や外部から侵入する塵埃・湿気・有機溶剤などによる測定精度の低下を防止することができると共に、光学機器の放熱に起因する温度上昇による防振部材及び仕切部材の劣化を防止することができる光学電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る光学電子装置の第1実施の形態の構成図
【図2】本発明に係る光学電子装置の第2実施の形態の構成図
【図3】図2のA−A断面矢視図
【図4】本発明に係る光学電子装置の第3実施の形態の構成図
【図5】本発明に係る光学電子装置の第4実施の形態の構成図
【図6】本発明に係る光学電子装置の第5実施の形態の構成図
【図7】本発明に係る光学電子装置の第6実施の形態の構成図
【符号の説明】
【0062】
1,21,41,61,81,101…粒子計測装置、2,22,42,62,82…筐体カバー、3,23,43,63,83…筐体下部、4,24,44,64,84…筐体、5,25,45,85…ポール(支持部)、6,26,46,86…防振部材、7,27,47,67,87…ベース、8,28,48,68,88…光学機器、9,29,49,69,89…放熱体、10,30a,30b,51,66,90…仕切部材、11,31,91…隔壁部材、12,32,52,72,92…本体部、13,33,53,73,93…冷却部、14,34,54,74,94…ファン(冷却手段)、15,35,55,75,95…排気口、65…隔壁部材(支持部)、96…開口、97…通気口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に防振部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと仕切部材と隔壁部材又は前記ベースと仕切部材により仕切って形成した密閉の本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体又は防塵繊維からなることを特徴とする光学電子装置。
【請求項2】
筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に仕切部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと前記支持部と前記仕切部材により仕切って形成した密閉の本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体からなることを特徴とする光学電子装置。
【請求項3】
筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に防振部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと仕切部材と隔壁部材又は前記ベースと仕切部材により仕切って形成した本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置すると共に清浄で低湿度の空気またはガスを導入し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体又は防塵繊維からなることを特徴とする光学電子装置。
【請求項4】
筐体カバーと筐体下部からなる筐体内に防振・防衝撃構造と放熱構造を備えた光学電子装置であって、前記防振・防衝撃構造は、筐体下部に立設した支持部とこの支持部に仕切部材を介して固定したベースで構成され、前記放熱構造は、筐体内を前記ベースと前記支持部と前記仕切部材により仕切って形成した本体部と外部に通じる冷却部で構成され、本体部には前記ベースの一面に固定した光学機器を配置すると共に清浄で低湿度の空気またはガスを導入し、冷却部には前記ベースの他面に固定した放熱体と筐体下部に取り付けた冷却手段を配置し、前記仕切部材は弾性体からなることを特徴とする光学電子装置。
【請求項5】
請求項1、2,3又は4記載の光学電子装置において、前記弾性体はゴム・樹脂製弾性体であることを特徴とする光学電子装置。
【請求項6】
請求項3又は4記載の光学電子装置において、前記ガスは窒素ガスであることを特徴とする光学電子装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記ベースは光学機器又は放熱体の一部であることを特徴とする光学電子装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記筐体カバーは、他の構成部品に影響を与えることなく前記筐体下部に対して着脱自在であることを特徴とする光学電子装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかの請求項に記載の光学電子装置において、前記冷却手段は、空冷用のファンであることを特徴とする光学電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−277742(P2009−277742A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125457(P2008−125457)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000115636)リオン株式会社 (128)
【Fターム(参考)】