説明

光情報記録方法および記録装置

【課題】
ホログラム記録方式では、再生を安定して行うためには、記録を行なった各ブックに対して、定着を行なうことが必要であるが、定着処理に要する時間を短縮することが記録時間全体の短縮においては重要である。
本発明の目的は、ホログラム記録で定着処理を高速で行なうこと、ブック単位で自由に追記が可能であること、この両者を安価に実現することにある。
【解決手段】
記録中は複数のブックに対して同時に定着を行なうことで高速に定着を行なうことができるとともに、追記記録が可能な記録装置において一旦記録を終了するときには、同時に定着を行なう単位を連続記録中より小さい単位に切り替えることで、定着を行う単位によらず任意のブック単位で記録を終了することが可能となり、追記記録を行なう時に無駄なく記録を行なうことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光情報記録方法および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(BD)規格やHigh Definition Digital Versatile Disc(HD DVD)規格などにより、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。
【0003】
今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0004】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、今までの様な短波長化と対物レンズ高NA化による従来の高密度技術のトレンドとは異なった新しいストレージ技術が必要となる。
【0005】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0006】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光と、参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録する技術である。
【0007】
また情報の再生時には、記録時に用いた参照光を同じ配置で記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0008】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録では、1つのホログラムで2次元的な情報を同時に記録/再生され、また同じ場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生に有効である。
【0009】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くすることができ、従来の角度多重記録方式に比べて記録密度/容量を増大させる技術が記載されている。
【0010】
また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0011】
また、ホログラム記録技術として、例えば特開2007−256945号公報(特許文献3)がある。本公報には、多重記録した後に、ホログラフィック記録媒体を定着させて、再生を安定して行なうことを可能とする技術が記載されている。
【0012】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【特許文献3】特開2007−256945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献3に記載されるように再生を安定して行うための定着を行なうための光学系と記録を行なうための光学系とは独立に持つことで、あるボリュームに対し多重記録を行なっている時に、同時に他のボリュームに対し定着処理を行ない、定着に要する時間を略不要としているが、2つの光学系を持つため、安価に構成することが難しくなる他、CD、DVD、Blu−rayDiscと言ったビットバイビットの従来型記録方式と光学系を兼用することが難しくなっていた。
【0014】
本発明の目的は、高速かつ安価なホログラフィック記録を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高速かつ安価なホログラフィック記録を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施例について説明する。本実施例は角度多重方式に適用した場合について説明を進める。図1はホログラフィを利用してデジタル情報を記録する光情報記録方法を示すフローチャートである。記録処理を開始すると(100)、まずデータの入力されたデータに対しホログラフィック記録を行なうための符号化の処理として、訂正符号の付加、変調処理など(101)が行なわれて、2次元のページデータの画像が生成され、参照光との干渉縞が同じもしくは略同じボリュームに角度多重されて記録される(102)。同じもしくは略同じボリュームに多重書きされたデータをブックという。ディスクアットワンスではなく、追記を行なう方式の場合以下のような動作となる。ブック単位で記録が行われるごとに一旦記録を終了するか判断を行なう(103)。記録を継続する時(103−No)は記録が所定の量終了したかを判断する(104)。本実施例においては2トラック分のブックに対して記録が終了したかを判断している。2トラックという単位は4ブックずつ定着を行なうと丁度、余りが生じずに定着を行なうことができる単位の例である。104において2トラック分の記録が終了していないと判断されると(104−Yes)、101、102、103が繰り返されブック単位での記録が継続される。104において2トラック分の記録が終了したと判断されると(104−No)、記録した2トラック分のブックに対し定着処理を行なう。定着処理を行なうにおいてまず、定着を行なう時にディスクに照射する定着光の光径を4ブックにあわせるように調整を行なう(105)。そして4ブックに合わせて定着光によって、4ブックずつ2トラック分の記録済のブックに対し定着を行なう(106、107)。記録を継続する限り101〜107の処理を繰り返す。一方、103で記録を終了すると判定された場合(103−Yes)は、記録を終了した時点で、記録済であり且つ、定着未済のブックの量が丁度2トラックであるかの判定を行なう(108)。丁度2トラックであるときは(108−Yes)、定着光の光径を4ブックにあわせるように調整を行なう(109)。そして4ブックに合わせた定着光によって、4ブックずつ2トラック分の記録済のブックに対し定着を行なう(110、111)。定着を終了すると(111−Yes)、記録は終了する(115)。108にて定着未済のブックが丁度2トラックではない場合は、4ブック単位で定着を行なうと余りが生じる可能性があるため、以下のように1ブック単位で定着を行なうようにし、記録を停止したブックまで過不足無い様に定着を行なう。まず、定着光の光径を1ブックにあわせるように調整を行なう(112)。そして1ブックに合わせた定着光によって、1ブックずつ記録済のブックに対し定着を行なう(113、114)。定着を終了すると(114−Yes)、記録は終了する(115)。以上、本実施例によれば、追記を可能とするシステムにおいて任意のブック単位で記録を一旦停止するようにしても、記録を継続する間は、定着光の光径を大きくすることで複数のブックに対し同時に定着処理を行なうことで、高速処理が可能となるだけでなく、記録を停止する時には、定着光の光径を小さくして1ブックずつ定着を行なうことで、記録を行なったブックに対し過不足なく定着を行なうことができ、記録単位に無駄が生じず、効率の良い記録をも可能とする。なお、記録を継続する間、複数のブック単位定着を行なう例として、2トラック分のブックに記録終了するごとに、4ブックずつ同時に定着を行なう場合を示したが、記録を終了する単位のブック数が同時に定着するブック数で割り切れるように選べば数値関係はこの限りではない。また、記録を停止する時には1ブックずつの定着に切り換えたが、過不足なく定着できれば4ブック以下のいかなるブック単位に選ぶことも可能である。またシフト多重方式においても、定着する単位を連続記録中と記録終了時で切り替えるので、連続記録中の定着処理の高速化と、追記記録を無駄なく行なうことを両立することができる。
【0018】
次に、第1の実施例のホログラフィック記録方法で用いるディスクの例について、図2を用いて説明する。図2において200はディスク状ホログラフィック記録媒体を示している。ディスク200には周状の記録トラック201、202、203、204、205、206がある(各記録トラックは便宜上四角形としてあるが、円周状やらせん状にしても構わない。円周状もしくはらせん状であれば記録用レーザーの位置合わせが容易などの利点が考えられる。)。各記録トラック上にある1から144までの黒丸は、角度多重されてデータが記録されたブックを示す。201と202、203と204、205と206の各トラックの組みには4の倍数個のブックがそれぞれ配置されている。即ち、1,2,3,,と番号順に記録していくと、2トラック記録するごとに4の倍数個のブックが記録されることになり、2トラック記録終了するごとに、定着処理を行なうことにすれば4ブックずつ定着を行なっても過不足なく定着を行なうこと可能である。
【0019】
次に、図3を用いて、第1の実施例を用いた時の動作を説明する。図3は図2に示したホログラフィック記録媒体に対し、定着光をどのように制御するか示している。ホログラフィック記録媒体200に示された記録トラック、各ブックを記録する位置を示した黒丸は図2と同じである。この図において、No.44の位置までブック単位で記録して、ここで一旦記録を終了する場合について以下に説明する。まず1から番号順にブック単位で記録していく。32まで記録すると、2トラック分の記録が終了するので、定着処理を進める。定着処理を開始する時には定着光を対象とする4個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。301がディスクに照射される定着光を示す。本図においては略正方形で記してあるが上記の条件を満たせば、円状で構わない。こうして4個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて1,2,17,18を同時に定着する。続いて3,4,19,20を定着する。以降4個のブックずつ定着を、15,16,31,32まで行なう。ここまでの処理で、2トラックに対し記録と定着が終了する。続いて、No.33から記録の終了位置の44まで番号順にブック単位で記録していく。44までの記録が終了すると、記録の終了位置が2トラック単位の境界とは異なるため、定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。302が調整後の定着光を示す。301同様形状は円でも構わない。こうして1個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて、1ブックずつ33から44まで定着処理を行なう。以上、図3を用いて第1の実施例に従って定着を行なう例について説明した。
【0020】
次に、本発明の第2の実施例について図4を用いて説明する。図4は本発明によるホログラフィック記録装置のブロック図である。図2において400はホログラフィック記録媒体であり、401はホログラフィック記録媒体400を回転させるディスクモータであり、402は光ピックアップであり、信号光と参照光をホログラフィック記録媒体400に出射し、ホログラフィを利用してデータを記録する。位相共役光学系は、データを再生する際にピックアップ402からの参照光の位相共役光を生成する。404は記録されたデータに対し定着光を照射しデータの定着処理を行なうディスクCure光学系である。405はピックアップ402と位相共役光学系403とディスクCure光学系404をホログラフィック記録媒体400の所望の位置に移動させるアクセス制御系である。406はピックアップ402とディスクCure光学系403のレーザー光源を駆動させる光源駆動回路である。サーボ制御回路407はディスクモータ401の回転制御と、ピックアップ402の光学系の制御を行なう。408はディスクCure光学系404からの定着光の光径の制御を行なう回路である。409は入力信号に対し、訂正符号の付加や変調処理を行なう信号生成回路である。信号生成回路409で連続記録を終了して記録を停止することがわかると、光束径制御回路408に切替信号を送信し、定着光の光径を小さくなるよう変化させる。信号処理回路410はピックアップ402で検出された再生信号に対し、信号処理を行ない記録データを再生する。インターフェース回路411は外部機器と信号生成回路409、信号処理回路410との間の信号のインターフェースを執り行う。以上、本実施例によれば信号生成回路で記録の停止を検出すると、定着光の光径を小さく制御することができるので、連続記録中は多数のブックに対し同時に定着を行ない定着に要する時間を減少させるとともに、記録停止時には小数のブックを同時にもしくは一個のブックずつ定着を行なうことができ、記録を停止させる場所に柔軟性を持たせることができ、記録効率の高いホログラフィック媒体記録装置が実現できる。なお、本実施例の説明においては記録停止時と連続記録時で光束径制御回路408により定着光径を切り換えたが、追記開始時と連続記録時で定着光径を切り換えることも同様の効果をもたらす。またシフト多重方式においても、定着する単位を連続記録中と記録終了時で切り替えるので、連続記録中の定着処理の高速化と、追記記録を無駄なく行なうことを両立することができる。
【0021】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例も角度多重方式に適用した場合について説明を進める。図5はホログラフィを利用してデジタル情報を記録する光情報記録方法を示すフローチャートである。記録処理を開始すると(100)、まずデータの入力されたデータに対しホログラフィック記録を行なうための符号化の処理として、訂正符号の付加、変調処理など(101)が行なわれて、2次元のページデータの画像が生成され、参照光との干渉縞が角度多重されて記録されブックを成す(102)。ディスクアットワンスでは無く、追記を行なう場合、以下のような動作となる。ブック単位で記録が行われるごとに一旦記録を終了するか判断を行なう(103)。記録を継続する時(103−No)は記録が所定の量終了したかを判断する(104)。本実施例においては2トラック分のブックに対して記録が終了したかを判断している。2トラックという単位は4ブックずつ定着を行なうと丁度あまりが生じずに定着を行なうことができる単位の例である。104において2トラック分の記録が終了していないと判断されると(104−Yes)、101、102、103が繰り返されブック単位での記録が継続される。104において2トラック分の記録が終了したと判断されると(104−No)、記録した2トラック分のブックに対し定着処理を行なう。定着処理を行なうにおいてまず、定着を行なう時にディスクに照射する定着光の光径を4ブックにあわせるように調整を行なう(105)。そして4ブックに合わせて定着光によって、4ブックずつ2トラック分の記録済のブックに対し定着を行なう(106、107)。記録を継続する限り101〜107の処理を繰り返す。上記の101〜107の動作は図1に示される第1の実施例と共通の動作である。一方、103で記録を終了すると判定された場合(103−Yes)は、まず、定着を行なう時にディスクに照射する定着光の光径を4ブックにあわせるように調整を行なう(500)。そして、記録を終了した時点で、記録済であり且つ、定着未済のブックの中に4ブック同時に定着可能に配置されているブックが有るかを判断する(501)。4ブック同時に定着可能に配置されているブックがあれば(501−Yes)、4ブック同時に定着光を当て、定着を行なう(502)。ここで、定着未済のブックがもう残っていないか判断し(503)、残っていなければ(503−Yes)、処理を終了する(507)。また、定着未済のブックがまだ残っていると判断された場合(503−No)、4ブック同時に定着可能に配置されているブックが有るかを判断(501)に戻る。4ブック同時に定着可能に配置されているブックが無ければ(501−No)、定着を行なう時にディスクに照射する定着光の光径を1ブックにあわせるように調整を行ない(504)、1ブックに定着光を当て、定着を行なう(505)。ここで、定着未済のブックがもう残っていないか判断し(506)、残っていなければ(506−Yes)、処理を終了する(507)。また、定着未済のブックがまだ残っていると判断された場合(506−No)、(505)に戻る。以上、本実施例では継続的に記録を行なうときと、記録を停止する時に処理分けて、継続的に記録を行なう間は4ブックずつ同時に定着を行なうことで処理時間を短縮するとともに、停止処理時は、定着未済のデータの状況によって、4ブックずつ定着を行なう場合と、1ブックずつ行う場合にを使い分けられるので、定着処理時間の短縮と、任意に選んだブックにて記録停止しても過不足なく定着処理を行なうことができるので常に4ブックずつ定着した場合に対して記録効率の向上が図れる。なお、記録を継続する間、複数のブック単位定着を行なう例として、2トラック分のブックに記録終了するごとに、4ブックずつ同時に定着を行なう場合を示したが、記録を終了する単位のブック数が同時に定着するブック数で割り切れるように選べば数値関係はこの限りではない。また、停止処理時は4ブック同時定着と1ブック同時定着を切り換えたが、過不足なく定着できればいかなるブック単位と4ブック単位の切り換えに選ぶことも可能である。またシフト多重方式においても、定着する単位を連続記録中と記録終了時で切り替えるので、連続記録中の定着処理の高速化と、追記記録を無駄なく行なうことを両立することができる。
【0022】
次に、図6を用いて、第3の実施例を用いた時の動作を説明する。図6は図2、3に示したホログラフィック記録媒体に対し、定着光をどのように制御するか示している。ホログラフィック記録媒体200に示された記録トラック、各ブックを記録する位置を示した黒丸は図2、3と同じである。この図において、No.68の位置までブック単位で記録して、ここで一旦記録を終了する場合について以下に説明する。まず1から番号順にブック単位で記録していく。32まで記録すると、2トラック分の記録が終了するので、定着処理を進める。定着処理を開始する時には定着光を対象とする4個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。301がディスクに照射される定着光を示す。本図においては略正方形で記してあるが上記の条件を満たせば、円状で構わない。こうして4個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて1,2,17,18を同時に定着する。続いて3,4,19,20を定着する。以降4個のブックずつ定着を、15,16,31,32まで行なう。ここまでの処理で、2トラックに対し記録と定着が終了する。続いて、No.33から記録の終了位置の44まで番号順にブック単位で記録していく。44までの記録が終了すると、301に示される定着光で定着可能なのは、33,34,57,58から43,44,67,68まであるのでここまでは4ブック単位で6回定着を行なう。残りの45から86までは4ブック単位での定着はできないので、定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。601が調整後の定着光を示す。301同様形状は円でも構わない。こうして1個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて、1ブックずつ45から56まで定着処理を行なう。以上、図6を用いて第3の実施例に従って定着を行なう例について説明した。
【0023】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。本実施例も角度多重方式に適用した場合について説明を進める。図7はホログラフィを利用してデジタル情報を記録する光情報記録方法を示すフローチャートである。本実施例は記録方法でも特に任意の箇所より追記を行なう場合についてのものである。追記処理を開始すると(700)、まずデータの入力されたデータに対しホログラフィック記録を行なうための符号化の処理として、訂正符号の付加、変調処理など(701)が行なわれて、2次元のページデータの画像が生成され、参照光との干渉縞が角度多重されて記録されブックを成す(702)。ここで、追記を開始した箇所が、ディスク全体の記録先頭の位置から丁度2トラック刻みの境界位置にあるのかを判定する(703)。2トラックという単位は4ブックずつ定着を行なうと丁度余りが生じずに定着を行なうことができる単位の例である。追記点が先頭から丁度2トラック刻みの境界位置にある時(703−Yes)は、追記を開始した箇所が、4ブック同時に定着を行なうのに丁度端数が生じない境界ということになる。そこで、定着処理を行なうにおいてまず、定着を行なう時にディスクに照射する定着光の光径を4ブックにあわせるように調整を行なう(709)。そして4ブックに合わせた定着光によって、4ブックずつ先頭からの2トラック刻みの境界の次の位置まで定着を行なう(709、710)。2トラック刻みの次の境界の位置まで定着が終了すると、以降の処理は、図1もしくは図5に示される実施例の処理のSTART以降の処理となる。追記点が先頭から丁度2トラック刻みの境界位置にない時(703−No)は、2トラック刻みの境界の次の位置までデータの符号化(701)及び記録(702)を行なう。2トラック刻みの境界の次の位置まで記録が終了すると(704−Yes)、定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する(705)。定着光径の調整が終わると1ブックずつ、2トラック刻みの次の境界の位置まで定着を行なう(706)。2トラック刻みの次の境界の位置まで定着が終了すると(707−Yes)、以降の処理は、図1もしくは図5に示される実施例の処理のSTART以降の処理となる。以上、本実施例によれば、追記をはじめる箇所によらず、過不足なく定着処理が行なえ且つ、連続記録時には複数ブックの同時定着による高速定着処理が可能である。またシフト多重方式においても、定着する単位を連続記録中と記録開始時で切り替えるので、連続記録中の定着処理の高速化と、追記記録を無駄なく行なうことを両立することができる。
【0024】
次に、図8を用いて、第4の実施例を用いた時の動作を説明する。図8は図2、3、6に示したホログラフィック記録媒体に対し、定着光をどのように制御するか示している。ホログラフィック記録媒体200に示された記録トラック、各ブックを記録する位置を示した黒丸は図2、3、6と同じである。この図において、No.45の位置から追記を開始する場合について以下に説明する。まずNo.45から番号順にブック単位で記録していく。No.80まで記録すると、No.1からの2トラック単位の境界に記録が到達するので、定着処理を進める。追記を開始したNo.45のブックは先頭から丁度2トラック刻みの境界位置ではないので、定着処理を開始する時には定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。801がディスクに照射される定着光を示す。本図においては略正方形で記してあるが上記の条件を満たせば、円状で構わない。こうして1個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて45,46,47,48,,77,78,79,80と順番に行なう。ここまでの処理で、ブック1から数えての2トラック単位の境界まで記録と定着が終了する。続いて、No.81から144まで番号順にブック単位で記録していく。144までの記録が終了すると、定着処理にうつる。定着処理を開始する時には定着光を対象とする4個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。802がディスクに照射される定着光を示す。本図においては略正方形で記してあるが上記の条件を満たせば、円状で構わない。こうして4個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて81,82,113,114を同時に定着する。続いて83,84,115,116を定着する。以降4個のブックずつ定着を、111,112,143,144まで行なう。ここまでの処理で、2トラックに対し記録と定着が終了する。このようにして、追記処理時に、定着光の光径が切り換えられる。
【0025】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例も角度多重方式に適用した場合について説明を進める。図9はホログラフィを利用してデジタル情報を記録する光情報記録方法を示すフローチャートである。本実施例は記録方法でも特に任意の箇所より追記を行なう場合についてのものである。追記処理を開始すると(700)、まずデータの入力されたデータに対しホログラフィック記録を行なうための符号化の処理として、訂正符号の付加、変調処理など(701)が行なわれて、2次元のページデータの画像が生成され、参照光との干渉縞が角度多重されて記録されてブックを成す(702)。そして、ディスク全体の記録先頭の位置から数えた2トラック刻みに達するまで記録を行なう(701,702,901)。2トラックという単位は4ブックずつ定着を行なうと丁度あまりが生じずに定着を行なうことができる単位の例である。次に、追記を開始した点から、ディスク先頭から数えての2トラック単位の境界のうち次に来るものまでの間に4ブック単位でまとめて定着可能なところがあるかを判断する(902)。4ブック単位でまとめて定着可能なところがあれば定着光を対象とする4個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整し(903)、4ブック同時に定着を行なう(904)。そして、ディスク先頭から数えての2トラック単位の境界のうち次に来るものまで定着が全て終了したか判断し(907)終了していれば図1もしくは図5に示される実施例の処理のSTART以降の処理(711)となる。一方、全て終了していない場合は、判断902戻る。判断902において、4ブック単位でまとめて定着可能なところはないと判断された場合は、定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整し(905)、1ブックずつ定着を行なう(906)。そして、同じく、ディスク先頭から数えての2トラック単位の境界のうち次に来るものまで定着が全て終了したか判断する(907)。以上、本実施例によれば、追記をはじめる箇所によらず、過不足なく定着処理が行なえ且つ、連続記録時には複数ブックの同時定着による高速定着処理が可能である。
【0026】
次に、図10を用いて、第5の実施例を用いた時の動作を説明する。図10は図2、3、6、8に示したホログラフィック記録媒体に対し、定着光をどのように制御するか示している。ホログラフィック記録媒体200に示された記録トラック、各ブックを記録する位置を示した黒丸は図2、3、6、8と同じである。この図において、No.45の位置から追記を開始する場合について以下に説明する。まずNo.45から番号順にブック単位で記録していく。No.80まで記録すると、No.1からの2トラック単位の境界に記録が到達するので、定着処理を進める。定着処理を開始する前に、記録が終了した箇所までで、4ブック同時に定着ができる箇所があるかを判定する。そうすると、45,46,69,70と47,48,71,72と49,50,73,74と51,52,75,76と53,54,77,78と55,56,79,80が4ブック単位で定着可能であることが判る。そこで、定着光を対象とする4個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整する。1001がディスクに照射される定着光を示す。本図においては略正方形で記してあるが上記の条件を満たせば、円状で構わない。こうして4個のブックをカバーするように調整された定着光を用いて、45,46,69,70−47,48,71,72−49,50,73,74−51,52,75,76−53,54,77,78と55,56,79,80と順番に行なう。残りの4ブック同時に定着することができないもの、(57,58,59,60,,,,66,67,68)に対しては、定着光を対象とする1個のブックをカバーし且つそれ以外のブックにはかからないように調整してから番号順に定着を行なう。このようにしてブック1から数えての2トラック単位の境界まで記録と定着が終了する。以降、No.81から144についての処理は図8の説明と共通である。
【0027】
本実施例によれば、例えば角度多重方式のホログラム記録装置の場合ならば、記録中は複数のブックに対して同時に定着を行なうことで高速に定着を行なうことができるとともに、追記記録が可能な記録装置において一旦記録を終了後記録を再開するときには、同時に定着を行なう単位を連続記録中より小さい単位に切り替えることで、定着を行う単位によらず任意のブック単位で記録を終了することが可能となり、追記記録を行なう時に無駄なく記録を行なうことが可能である。またシフト多重方式においても、定着する単位を連続記録中と記録再開始時で切り替えるので、連続記録中の定着処理の高速化と、追記記録を無駄なく行なうことを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ホログラフィック記録方法の実施例を示すフローチャート
【図2】ホログラフィック記録媒体を示した図
【図3】ホログラフィック記録媒体を示した図
【図4】ホログラフィック記録装置のの実施例を示すブロック図
【図5】ホログラフィック記録方法の実施例を示すフローチャート
【図6】ホログラフィック記録媒体を示した図
【図7】ホログラフィック記録方法の実施例を示すフローチャート
【図8】ホログラフィック記録媒体を示した図
【図9】ホログラフィック記録方法の実施例を示すフローチャート
【図10】ホログラフィック記録媒体を示した図
【符号の説明】
【0029】
101・・・ホログラフィック記録用訂正符号付加及び変調処理、
102・・・ブックデータ記録、105・・・定着光径調整処理(4ブック単位)、
106・・・定着処理(4ブック単位)、108・・・未定着ブック数判定、
109・・・定着光径調整処理(4ブック単位)、110・・・定着処理(4ブック単位)、
112・・・定着光径調整処理(1ブック単位)、113・・・定着処理(1ブック単位)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックメモリ媒体に情報を記録する方法であって、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに多重記録する記録処理と、
前記多重記録されたボリュームに対し定着処理を行なう定着処理を含み、
記録処理の継続中と、記録処理の終了時で前記定着処理を行なう単位を切り換える、
ホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項2】
前記記録処理の継続中に定着処理を行なう単位は、前記記録処理の終了時に定着処理を行なう単位よりも大きい、
請求項1記載のホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項3】
定着処理を行なう単位の切り換えは定着光のビーム径を切り換えることにより行なう、
請求項1記載のホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項4】
ホログラフィックメモリ媒体に情報を記録する方法であって、
ボリュームを同心円状もしくは、らせん状に配置してトラックを成し、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに多重記録する記録処理と、
nトラック(n:2以上の自然数)分の記録が終了するごとにm個(m:2以上の自然数)のボリュームずつ定着処理を行なう処理と、
記録の終了時、記録処理済であり、定着処理が行なわれていないトラックがnに満たない場合、定着処理を行なう単位をo個(o:自然数)のボリュームとし定着処理を行なう処理を含む、
ホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項5】
前記定着処理を行う単位であるoおよびmは、o<mである、
請求項4記載のホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項6】
追記可能なホログラフィックメモリ媒体に情報を記録する方法であって、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに多重記録する記録処理と、
多重記録されたボリュームに対し定着処理を行なう定着処理を含み、
記録処理の継続中と、追記可能な状態で記録処理を中断するときで前記定着処理を行なう単位を切り換える、
ホログラフィックメモリ記録方法。
【請求項7】
ホログラフィックメモリ媒体に情報を記録する装置であって、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに多重記録する記録手段と、
多重記録されたボリュームに対し定着処理を行なう定着手段と、
記録処理の終了指示に従って定着処理を行なう単位を切り換える手段と、
を具備する、
ホログラフィックメモリ記録装置。
【請求項8】
ホログラフィックメモリ媒体に情報を記録する方法であって、
同じボリュームもしくは略同じボリュームに多重記録する記録処理と、
多重記録されたボリュームに対し定着処理を行なう定着処理とを含み、
追記記録開始時と記録処理の継続中で前記定着処理を行なう単位を切り換える、
ホログラフィックメモリ記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−181760(P2010−181760A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26867(P2009−26867)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】