説明

光拡散シートとその製造方法、有機バインダー製造用組成物、有機バインダー製造用塗布液セット及び光拡散シート製造用組成物

【課題】従来の光拡散シートと同等の高いヘーズを有し、従来の光拡散性シートに比して更に高い全光線透過率を有し、かつ光拡散層の薄膜化が可能な光拡散シートの提供。
【解決手段】基材シートに、有機バインダーと、有機高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを含有する光拡散層が設けられた光拡散シートにおいて、前記有機バインダーは、屈折率が1.55以上の樹脂からなることを特徴とする光拡散シート。(A)ポリイソシアネート化合物と、(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト方式の液晶表示装置等に用いられる光拡散シートに関し、特に高い全光線透過率と高へーズを有する光拡散シート、その製造方法、有機バインダー製造用組成物、有機バインダー製造用塗布液セット及び光拡散シート製造用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光拡散シートは、照明器具、公告用電装看板バックライトシート、背面投射スクリーン、携帯電話、ノート型パソコン、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ等に使用される。
前記分野で使用される光拡散シートに要求される性能は、導光板の輝度ムラ、輝点ドット、輝線などを拡散させることによって軽減させ、導光板から出射した光をプリズムシートに最適な角度に導くことであり、光拡散パターンが見えないことと同時に、透過する光線量を最大にすることである。換言すれば、高い光拡散機能(ヘーズ)を有し、併せて高い全光線透過率を確保し、シートを透過するときに失われる光線量を最小にすることである。
【0003】
この要求性能を達成するために、例えば、液晶ディスプレイのバックライト用光拡散シートには、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル等のフィルムなど透明性が高い支持体の片面に、無機粒子又は樹脂粒子を分散した透明な樹脂溶液を塗布し、光拡散機能(ヘーズ)を高めた光拡散シートが使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、透明支持体上に光拡散性層を一層有してなる光拡散性部材であって、光拡散性層がアクリル樹脂(有機バインダー)及びポリメチルメタクリレートの真珠状粒子(ビーズ粒子)を含有することを特徴とする光拡散シートが開示されている。
【0005】
特許文献2には、透明支持体上に光拡散層を一層有してなる光拡散性部材であって、光拡散層に使用するバインダー樹脂(有機バインダー)にアクリル樹脂を使用し、樹脂粒子(ビーズ粒子)としてアクリル樹脂粒子及びシリコーン樹脂粒子を含有することを特徴とする光拡散シートが開示されている。
【0006】
特許文献3には、透明支持体上に光拡散性層を一層有してなる光拡散性部材であって、光拡散層に使用する有機高分子バインダーにアクリルポリマーを使用し、有機高分子粒子(ビーズ粒子)としてポリプロピレンの粒子を使用する光拡散シートが開示されている。
【特許文献1】特許第3790571号公報
【特許文献2】特許第3727094号公報
【特許文献3】特開平6−67003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光拡散シートは、光拡散層に使用されている有機バインダーの屈折率が1.55を越えないものばかりであり、透過する全光線透過率を最大化する意味では必ずしも充分ではなく、ディスプレイのフルカラー・高解像度化を図る上からは、更なる改良が望まれている。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、少なくとも従来の光拡散シートと同等の高いヘーズを有し、従来の光拡散性シートに比して更に高い全光線透過率を有し、かつ光拡散層の薄膜化が可能となるというコスト的にも利点を有する光拡散シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、基材シートに、有機バインダーと、有機高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを含有する光拡散層が設けられた光拡散シートにおいて、
前記有機バインダーは、屈折率が1.55以上の樹脂からなることを特徴とする光拡散シートを提供する。
【0010】
本発明の光拡散シートにおいて、前記有機バインダーが硫黄元素含有樹脂であることが好ましい。
【0011】
本発明の光拡散シートにおいて、前記有機バインダーが熱硬化型の硫黄元素含有ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
【0012】
本発明の光拡散シートにおいて、前記光拡散層におけるビーズ粒子の含有量が、有機バインダー100質量部に対し、30〜220質量部の範囲であることが好ましい。
【0013】
また本発明は、本発明に係る光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物を提供する。
【0014】
前記有機バインダー製造用組成物において、前記(A)及び(B)の必須成分以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含むことが好ましい。
【0015】
また本発明は、本発明に係る光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
(C)前記(A)と(B)とを重合させて得られたプレポリマーと、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物を提供する。
【0016】
前記有機バインダー製造用組成物において、前記(A)〜(C)の必須成分以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含むことが好ましい。
【0017】
また本発明は、本発明に係る光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を重合させて得られたプレポリマー(C)を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物を提供する。
【0018】
前記有機バインダー製造用組成物において、前記プレポリマー(C)以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含むことが好ましい。
【0019】
また本発明は、本発明に係る光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための塗布液セットであって、
ポリイソシアネート化合物を含むA液と、
活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物を含むB液と、
を有する有機バインダー製造用塗布液セットを提供する。
【0020】
前記有機バインダー製造用塗布液セットにおいて、前記A液とB液との一方又は両方に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含むことが好ましい。
【0021】
また本発明は、本発明に係る前記いずれかの有機バインダー製造用組成物と、高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを混合してなる光拡散シート製造用組成物を提供する。
【0022】
また本発明は、基材シートに、高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子と、本発明に係る前記いずれかの有機バインダー製造用組成物とを、同時に又はいずれか一方を先に付着させた後に他方を付着させ、次いで有機バインダー製造用組成物を加熱して重合反応を生じさせ、硫黄元素含有ポリウレタン樹脂を生成させて光拡散シートを得ることを特徴とする光拡散シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光拡散シートは、少なくとも従来の光拡散シートと同等の高いヘーズを有し、従来の光拡散シートに比して更に高い全光線透過率を有することが特徴であり、しかも光拡散層の薄膜化が可能となるというコスト的な利点を有し、従来の技術から全く予想されない驚くべき効果が得られることが明確になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明に係る光拡散シートの一実施形態を示す断面図である。この光拡散シート1は、透明な樹脂からなる基材シート2の上面に、有機バインダー4と、有機高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子5とを含有する光拡散層3が設けられた構造になっており、有機バインダー4は、屈折率が1.55以上の樹脂からなることを特徴としている。
【0025】
[基材シート]
本発明に使用される基材シート2としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アセテート樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテル等のシート状、板状のものや、ガラス板などの透明性が高い材料からなるシートが挙げられる。
【0026】
[有機バインダー]
本発明に使用される有機バインダー4としては、屈折率が1.55以上である硫黄元素含有樹脂が好ましく、特に、熱硬化型の硫黄元素含有ポリウレタン樹脂は、高屈折率、硬度、耐熱性、耐溶剤性などに優れていることから、最も好適に使用できる。
因みに、有機バインダーとしてポリウレタン樹脂の使用は公知であるが、硫黄元素を含有し、屈折率が1.55以上のポリウレタン樹脂を光拡散シートの有機バインダーとして使用することは、未だ知られていない。
【0027】
この硫黄元素含有ポリウレタン樹脂は、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基(メルカプト基)と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物とを、常温あるいは加温下で反応させることにより得られる。
【0028】
この硬化反応における反応速度は、硬化温度あるいは触媒の選択により容易に制御できる。また、成形加工性の制御も硬化温度範囲の選択あるいは溶剤の使用により容易に行なうことができる。
また、この硫黄元素含有ポリウレタン樹脂は、(A)ポリイソシアネート化合物として、芳香環を有する化合物を使用する場合など、使用化合物の構造によっては、光、熱、酸素、酸・アルカリ、塩素などによる黄変が起こることもあるが、安定剤を選択使用することにより防止することができる。
【0029】
[ビーズ粒子]
本発明に使用されるビーズ粒子としては、有機高分子粒子及び無機粒子が挙げられ、これらのビーズ粒子は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
有機高分子粒子としては、アクリル樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリ塩化ビニル樹脂粒子、ポリフッ化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリシリコーン樹脂粒子など公知のものが使用できる。
無機粒子としては、シリカ粒子、石英粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化亜鉛粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子など公知のものが使用できる。
【0030】
前記の有機高分子粒子あるいは無機粒子からなるビーズ粒子の含有量は、その光拡散効果を考慮すれば、有機バインダー100質量部に対して、30質量部〜220質量部の範囲が好適である。因みに、30質量部以下ではその光拡散効果が期待できず、220質量部以上ではビーズ粒子の有機バインダーへの定着が悪く、ビーズ粒子が簡単に脱落してしまう恐れがあるからである。
【0031】
ビーズ粒子の粒径は、1.0〜30.0μm程度が好適であり、粒度の異なる少なくとも2種以上のビーズが混在してもよい。
【0032】
ビーズ粒子が混入された光拡散層を基材シート上に形成する方法としては、バーコーター、ロールコーター等公知の塗布方式を適宜選択することが可能である。
【0033】
本発明の光拡散シートにおいて、基材シートを透過した光線が光拡散層を通過する際に、均一に拡散される為には、ビーズ粒子の分布形態が重要である。即ち、ビーズ粒子は、基材シートに形成した光拡散層内に完全に埋設されている粒子と、部分的に光拡散層内に埋設され、少なくとも部分的に光拡散層より突出したビーズ粒子が混在していることが重要である。
【0034】
この光拡散シートは、透明な樹脂からなる基材シートに、有機バインダーと、有機高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを含有する光拡散層が設けられてなり、有機バインダーが屈折率1.55以上の硫黄含有ポリウレタン樹脂からなるものなので、少なくとも従来の光拡散シートと同等の高いヘーズを有し、従来の光拡散性シートに比して更に高い全光線透過率を有するものとなり、かつ光拡散層の薄膜化が可能となる。
【0035】
[有機バインダー製造用組成物]
本発明はまた、前記光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物を提供する。本発明に係る有機バインダー製造用組成物は、次の(1)〜(5)の実施形態の構成とすることができる。
【0036】
(1)第1の実施形態:
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【0037】
(2)第2の実施形態:
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
(C)前記(A)と(B)とを重合させて得られたプレポリマーと、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【0038】
(3)第3の実施形態:
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を重合させて得られたプレポリマー(C)を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【0039】
(4)第4の実施形態:
ポリイソシアネート化合物を含むA液と、
活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物を含むB液と、
を有する有機バインダー製造用塗布液セット。
【0040】
(5)第5の実施形態:
有機バインダー製造用組成物と、高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを混合してなる光拡散シート製造用組成物。ここで、ビーズ粒子の含有量は、有機バインダー100質量部に対し、30〜220質量部の範囲とすることが好ましい。
【0041】
前記(1)〜(5)の各実施形態の組成物又は塗布液セットにおいて、(A)ポリイソシアネートと(B)硫黄元素含有化合物の配合比率は、(A)ポリイソシアネートのイソシアネート基と、(B)硫黄元素含有化合物のチオール基及び水酸基とが1:1の関係となるような配合量とすることが望ましいが、これに限定されず、いずれか一方の化合物に対して他方の化合物の量が多くなるように配合してもよい。
【0042】
前記(1)〜(5)の各実施形態の組成物又は塗布液セットは、前記それぞれの必須成分以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含み得る。
以下、本発明に係る有機バインダー製造用組成物において、必須成分である(A)ポリイソシアネート、(B)硫黄元素含有化合物及び(C)プレポリマー、及び添加剤である触媒、安定剤、及び溶剤を具体的に例示する。
【0043】
[(A)ポリイソシアネート化合物]
(A)ポリイソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基(−N=C=O)を2つ以上含有する化合物が用いられ、例えば
(a) 水添2,6−トリレンジイソシアネート、水添メタ及びパラフェニレンジイソシアネート、水添2,4−トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、水添パラキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物;
(b) メタ及びパラフェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メタ及びパラキシリレンジイソシアネート、メタ及びパラテトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタリンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂環又は芳香環を有していないイソシアネート化合物;
(c) ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジリデンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアネートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネートフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアネートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネートフェノールエステル、4−メチル−3−イソシアネートベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアネートベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアネートメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネートメチル、1,4−ジチアン−2,3−ジイソシアネートメチル、1,4−ジチアン−2−イソシアネートメチル−5−イソシアネートプロピル、1,3−ジチオラン−4,5−ジイソシアネート、1,3−ジチオラン−4,5−ジイソシアネートメチル、1,3−ジチオラン−2−メチル−4,5−ジイソシアネートメチル、1,3−ジチオラン−2,2−ジイソシアネートエチル、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアネート、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアネートメチル、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアネートエチル、テトラヒドロチオフェン−3,4−ジイソシアネートメチル等の硫黄元素含有イソシアネ−ト化合物;
を挙げることができる。これらは、単一化合物であってもよく、二種以上の混合物を用いてもよい。
【0044】
[(B)硫黄元素含有化合物]
(B)硫黄元素含有化合物のうち、チオール基(−SH)を有する化合物としては、
(a) メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン等の脂肪族チオール;
(b) 1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族チオール;
(c) 2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族チオール;
(d) 1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のチオール基(メルカプト基)以外に硫黄元素を含有する芳香族チオール;
(e) ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピル)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、2−メルカプトエチルチオ−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(1,3−ジメルカプト−2−プロピル)スルフィド等のチオール基(メルカプト基)以外に硫黄元素を含有する脂肪族チオール;
(f) 3,4−チオフェンジチオール、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジメルカプトメチル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等のチオール基(メルカプト基)以外に硫黄元素を含有する複素環化合物;
などが挙げられる。これらは、単一化合物であってもよく、二種以上の混合物を用いてもよい。
【0045】
(B)硫黄元素含有化合物のうち、硫黄元素を含有し、かつ活性水素基として水酸基を有する化合物としては、ジ(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、2,2’−ジチオジエタノール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ブタン、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルフォン、3,3’−ジメチル4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’,5,5’−テトラメチル−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォンなどが挙げられる。これらは、単一化合物であってもよく、二種以上の混合物を用いてもよい。
【0046】
また、硫黄元素を有していないが、活性水素基として水酸基を有する化合物、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油など、あるいはアミノ基を有する化合物、たとえば、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ポリエーテルアミンなども(B)硫黄元素含有化合物と併用して用いることもできる。
【0047】
[(C)プレポリマー]
(C)プレポリマーは、前述した(A)ポリイソシアネート化合物と(B)硫黄元素含有化合物との間のウレタン化反応を適度に停止させ、得られる中間生成物である。このプレポリマーは、硫黄元素含有ポリウレタン樹脂の前段階にあり、触媒等の存在下で加熱することにより、容易に重合して硫黄元素含有ポリウレタン樹脂とすることができる。
【0048】
この(C)プレポリマーを具体的に例示すると、(A)ポリイソシアネート化合物としてm−キシリレンジイソシアネート(XDI)を用い、(B)硫黄元素含有化合物としてペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)を用い、PETP:XDIをモル比2:1で反応(錫触媒0.1質量部添加)させた場合、理想的に反応が進んでいるとすれば、次式(1)のような構造のプレポリマーが得られる。
【0049】
【化1】

【0050】
この(C)プレポリマーは、(A)ポリイソシアネート化合物、(B)硫黄元素含有化合物と共に、有機バインダー製造用組成物中に配合してもよいし、(C)プレポリマー単独で用いることもできる。
この(C)プレポリマーの使用上の特徴として、臭いが弱いか又はほとんど無いことが挙げられる。本発明に係る有機バインダー製造用組成物の成分の中でも、特に(B)硫黄元素含有化合物は、強い臭いを有するものが多く、これを配合した組成物も強い臭いを有しているために、該組成物を用いた光拡散シートの製造作業は、作業者の安全や周辺環境を考慮して、厳重な臭気防止対策が必要である。一方、臭いが弱いはほとんど無い(C)プレポリマーを用いれば、面倒な臭気防止対策を簡略化できるという利点がある。
【0051】
[触媒]
前記(A)ポリイソシアネート化合物と(B)硫黄元素含有化合物とのウレタン化反応を促進する触媒としては、錫、ビスマス、鉄、亜鉛、チタン、ジルコニウムなどの金属元素を含有する化合物や3級アミノ基を含有する化合物が使用できる。
金属元素を含有する触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫など錫系、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマス、などのビスマス系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
3級アミノ基を含有する触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ココモルホリン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。これらの触媒は単独もしくは併用で使うことができる。
【0052】
[安定剤]
本発明において用いられる安定剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソールなどのモノフェノール系、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール系、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどの高分子型フェノール系酸化防止剤が使用できる。その他、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が使用できる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系の紫外線吸収剤が使用できる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、[2(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが使用できる。TINUVIN 329(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)は、樹脂との相溶性の点から、特に好ましい。
【0054】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線安定剤などの公知の光安定剤が使用できる。
【0055】
[溶剤]
ポリウレタン樹脂を生成する場合、溶剤は必ずしも必要ではないが、加工性を向上させる観点から溶剤を使用して生成することもできる。使用できる溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサンノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。
【0056】
本発明に係る有機バインダー製造用組成物は、前述したビーズ粒子と共に、基材シートに塗布し、加熱して硬化させることにより、ビーズ粒子が屈折率1.55以上の有機バインダーで固められた構造の光拡散層を容易に形成することができる。従って、この有機バインダー製造用組成物は、少なくとも従来の光拡散シートと同等の高いヘーズを有し、従来の光拡散性シートに比して更に高い全光線透過率を有する本発明の光拡散シートを容易に製造することができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製)32.29質量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP:淀化学株式会社)167.71質量部、ジブチル錫ジラウレート0.2質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で、80℃にて2時間反応させ、ジブチルアミン滴定法(JIS 7301−1995)でNCO%が0%であることを確認した後、酢酸エチル150質量部、ジブチル錫ジラウレート1.59質量部、塩化ベンゾイル0.45質量部を仕込み、反応液A−1を得た。
【0059】
[合成例2]
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを6.6質量部、テトラヒドロフラン9.8質量部、酢酸ブチル46.2質量部、メチルエチルケトン46.2質量部、シクロヘキサノン23.1質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で、40℃にて1時間混合撹拌し、均一な混合溶液A−2を得た。
【0060】
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製)75.5質量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(商品名:PETP、淀化学株式会社製)24.5質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で、80℃にて10時間反応させ、反応液B−1を得た。滴定でイソシアネート基残量を測定したところNCO%は25.3%であった。
【0061】
<全光線透過率およびヘーズの測定方法>
全光線透過率およびヘーズは、JIS K 7105−1981に従い測定した。ただし、測定サンプルは、光散乱シートの塗布面すなわち光散乱層を形成した面と、塗布されていない面すなわち光散乱層のない面が重なるように2枚重ねたサンプルとし、塗布されていない面から光を入射させて全光線透過率およびヘーズおよび拡散透過率を測定した。
また、ヘーズは、JIS 7105−1981に従い、拡散透過率および全光線透過率から算出した。
【0062】
<屈折率の測定方法>
JIS K 7142−1996に従い、アッベ屈折計を使用し、有機バインダーとして用いた樹脂サンプルの屈折率を測定した。樹脂サンプルの厚みは1mmである。
【0063】
[実施例1]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光散乱シートを得た。
【0064】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
反応液A−1(合成例1) 2.04質量部
シクロヘキサノン 2.33質量部
酢酸ブチル 4.66質量部
メチルエチルケトン 4.66質量部
2−エチルヘキサン酸 0.13質量部
1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.58質量部
【0065】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
得られた光拡散シートのヘーズは、有機バインダーの屈折率が1.53である比較例1(後述する)と同様高い値を示した。全光線透過率については、本実施例で得られた光拡散シートは比較例1より高い値を示した。このように、本実施例の光拡散シートは、高いヘーズを維持し、全光線透過率を大幅に向上できることが判明し、光拡散フィルムをはじめとした光学用途に適応できる光学シートを得ることができた。また、比較例2と比べると、光拡散層の厚みが薄いにも関わらず高いヘーズを維持していることから、光拡散層を大幅に減らすことでき、原料コスト低減、溶剤処理費用の削減やラインスピード向上などによる製造コスト低減が可能であることが明らかとなった。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.60であった。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
【0066】
[実施例2]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散シートを得た。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは、比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は、比較例1より高い値を示した。
【0067】
[実施例3]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.14で塗布したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散シートを得た。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは、比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。
【0068】
[実施例4]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0069】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
反応液A−1(合成例1) 2.27質量部
シクロヘキサノン 2.42質量部
酢酸ブチル 4.83質量部
メチルエチルケトン 4.83質量部
2−エチルヘキサン酸 0.15質量部
1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.64質量部
【0070】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは、比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.60であった。
【0071】
[実施例5]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布したこと以外は、実施例4と同様にして光拡散シートを得た。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは、比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。
【0072】
[実施例6]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0073】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
反応液A−1(合成例1) 2.16質量部
シクロヘキサノン 2.31質量部
酢酸ブチル 4.64質量部
メチルエチルケトン 4.64質量部
サンパラー100(三洋化成株式会社製) 0.028質量部
1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.61質量部
【0074】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.60であった。
【0075】
[実施例7]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0076】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
反応液A−1(合成例1) 2.40質量部
シクロヘキサノン 2.41質量部
酢酸ブチル 4.81質量部
メチルエチルケトン 4.81質量部
サンパラー100(三洋化成株式会社製) 0.031質量部
1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.68質量部
【0077】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。
【0078】
[実施例8]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布したこと以外は、実施例7と同様にして光拡散シートを得た。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。
【0079】
[実施例9]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0080】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
混合溶液A−2(合成例2) 13.19質量部
2−エチルヘキサン酸 0.13質量部
反応液B−1 1.22質量部
【0081】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.61であった。
【0082】
[実施例10]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布したこと以外は、実施例9と同様にして光拡散シートを得た。
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。
【0083】
[実施例11]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0084】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)1.02質量部
酢酸エチル 0.91質量部
シクロヘキサノン 2.42質量部
酢酸ブチル 4.83質量部
メチルエチルケトン 4.83質量部
ジブチル錫ジラウレート 0.009質量部
2−エチルヘキサン酸 0.17質量部
塩化ベンゾイル 0.002質量部
1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.84質量部
【0085】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.60であった。
【0086】
[実施例12]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間、加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0087】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)0.71質量部
トリメチロールプロパン 0.19質量部
酢酸エチル 0.91質量部
シクロヘキサノン 2.42質量部
酢酸ブチル 4.83質量部
メチルエチルケトン 4.83質量部
ジブチル錫ジラウレート 0.009質量部
2−エチルヘキサン酸 0.17質量部
1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン(商品名:タケネート500、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.96質量部
【0088】
表1に本実施例で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
本実施例で得られた光拡散シートのヘーズは比較例1と同様高い値を示し、全光線透過率は比較例1より高い値を示した。また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.55であった。
【0089】
[比較例1]
ポリエステルフィルム(ルミラーT60 100μm:東レ社製)の片側に、下記の処方の有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.12で塗布し、110℃にて5分間、更に60℃にて20時間加熱硬化して光拡散シートを得た。
【0090】
有機バインダー製造用組成物:
アクリル球状粒子(テクポリマーMBX−8、積水化成品工業社製)3.00質量部
アクリルポリオール(アクリディックA−807:固形分濃度50%、大日本インキ化学工業株式会社製) 2.88質量部
シクロヘキサノン 2.16質量部
酢酸ブチル 4.32質量部
メチルエチルケトン 4.32質量部
ポリイソシアネート(商品名:タケネートD110N:固形分濃度60%、三井化学ポリウレタン株式会社製) 0.72質量部
【0091】
表1に、比較例1で得られた光学シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
また、本処方でアクリル球状粒子を除いた有機バインダーの屈折率は1.53であった。
【0092】
[比較例2]
有機バインダー製造用組成物をメイヤーバーNo.10で塗布したこと以外は、比較例1と同様にして光拡散シートを得た。
表1に比較例2で得られた光拡散シートの全光線透過率およびヘーズを示した。
【0093】
【表1】

【0094】
表1の結果より、使用した有機バインダーの屈折率が1.53である比較例1,2では、全光線透過率が低くなる。
一方、使用した有機バインダーの屈折率が1.55以上である実施例1〜12では、高いヘーズを維持しつつ、比較例1,2よりも高い全光線透過率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る光拡散シートの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1…光拡散シート
2…基材シート
3…光拡散層
4…有機バインダー
5…ビーズ粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートに、有機バインダーと、有機高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを含有する光拡散層が設けられた光拡散シートにおいて、
前記有機バインダーは、屈折率が1.55以上の樹脂からなることを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
前記有機バインダーが硫黄元素含有樹脂である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記有機バインダーが熱硬化型の硫黄元素含有ポリウレタン樹脂である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
前記光拡散層におけるビーズ粒子の含有量が、有機バインダー100質量部に対し、30〜220質量部の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【請求項6】
前記(A)及び(B)の必須成分以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む請求項5に記載の有機バインダー製造用組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
(C)前記(A)と(B)とを重合させて得られたプレポリマーと、
を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【請求項8】
前記(A)〜(C)の必須成分以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む請求項7に記載の有機バインダー製造用組成物。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための組成物であって、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物と、
を重合させて得られたプレポリマー(C)を必須成分として含む有機バインダー製造用組成物。
【請求項10】
前記プレポリマー(C)以外に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む請求項9に記載の有機バインダー製造用組成物。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散シートにおける前記有機バインダーを製造するための塗布液セットであって、
ポリイソシアネート化合物を含むA液と、
活性水素基としてチオール基と水酸基のいずれか一方又は両方を含む化合物から選択された1種の化合物又は2種以上の混合物であり、且つ該化合物又は混合物中に硫黄元素を必須で含む硫黄元素含有化合物を含むB液と、
を有する有機バインダー製造用塗布液セット。
【請求項12】
前記A液とB液との一方又は両方に、触媒、安定剤、溶剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む請求項11に記載の有機バインダー製造用塗布液セット。
【請求項13】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の有機バインダー製造用組成物と、高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子とを混合してなる光拡散シート製造用組成物。
【請求項14】
基材シートに、高分子粒子及び/又は無機粒子からなるビーズ粒子と、請求項5〜10のいずれか1項に記載の有機バインダー製造用組成物とを、同時に又はいずれか一方を先に付着させた後に他方を付着させ、次いで有機バインダー製造用組成物を加熱して重合反応を生じさせ、硫黄元素含有ポリウレタン樹脂を生成させて請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散シートを得ることを特徴とする光拡散シートの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−72282(P2010−72282A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239061(P2008−239061)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(391052574)三光株式会社 (16)
【Fターム(参考)】