説明

光拡散フィルム積層体

【課題】
面光源装置に用いた場合に、輝度や照度が高く、かつ該輝度や照度の斑が小さくできる特定の光学特性及び構成を有する光拡散フィルム積層体を提供する。
【解決手段】
下記(i)〜(iii)を同時に満たす内部光拡散フィルムと550nmの全光線透過率が50〜100%の基材を積層してなり、かつ両者の界面に空気層がない光拡散フィルム積層体:
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である;(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である;(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置に用いた時に輝度や照度が高く、かつ輝度斑や照度斑を小さくすることができる光拡散フィルム積層体、該光拡散フィルム積層体を用いた面光源装置、及び該面光源装置を用いた表示装置又は照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示モジュール(LCD)は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用され、その用途は携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。
【0003】
液晶表示装置には、光源からパネルに至る光伝達路でのロスを抑え、パネル上の輝度を向上させるために、液晶ユニットの下面側に面光源装置が装備されている。
【0004】
近年、面光源装置は、液晶表示装置のみでなく灯具や電飾看板等の広い分野に使用されてきている。
【0005】
面光源装置には、面光源装置の基本ユニットとレンズフィルム、光拡散フィルム及び輝度向上フィルム等の各種の光学フィルムや拡散板等の光学部材が組み合わされて面光源装置の輝度や照度を上げることや、輝度や照度の均一性の向上が図られている。普通は2〜4枚の光学部材が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
例えば、輝度を向上させるためのレンズフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このレンズフィルムは、レンズによる集光効果を利用して輝度向上が図られているため、正面より眺めた時の輝度を向上することはできるが、斜めより眺めた時の輝度が正面より眺めた時の輝度に比べて大きく低下し、かつ高価であるという課題を有する。
【0007】
上記の斜めより眺めた時の輝度が正面より眺めた時の輝度に比べて大きく低下する課題を解決する方法として、レンズフィルムに加えて2枚の異方性光拡散フィルムを併用する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、上記レンズフィルム一枚では、輝度の均一性が不十分で、レンズフィルムと異方性の光拡散フィルムとを組み合わせる技術が開示されている(特許文献3参照)。
【0009】
また、上記レンズフィルムにさらに輝度向上フィルムを併用する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、輝度の角度依存性の低減には有効ではない。
【0010】
近年、面光源装置を利用した表示装置等の急速な普及により、より高輝度で、かつ輝度の面内の均質性や、輝度の角度依存性を改善した面光源装置が強く求められている。さらに、装置の薄型化や経済性の面より、面光源装置に用いられる光学フィルム部材の枚数低減が強く求められている。
【0011】
そこで、単一の基材フィルム自体に光拡散性を付与する試みも検討されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、特許文献5に記載のフィルムは、拡散度が小さく、輝度の高さや面内輝度均質性及びパターン隠蔽性等が不十分であることが示唆されている。
【0012】
一方、アクリル樹脂よりなる導光板表面にアクリル酸プレポリマーよりなる液状樹脂を塗布し、その塗布面上にポリカーボネート樹脂よりなる光拡散フィルムを積層した後に、上記液状樹脂を硬化させて一体化する方法が開示されている(特許文献6参照)。
特許文献6においては、ポリカーボネート樹脂よりなる光拡散フィルムについては、記載された図より表面突起による光の拡散や散乱を利用した表面拡散タイプの光拡散フィルムであることが示されているが、その具体的内容や光学特性が開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−4970号公報
【特許文献2】特開2008−256797号公報
【特許文献3】特開2006−251395号公報
【特許文献4】特表平09−506985号公報
【特許文献5】特開2007−10798号公報
【特許文献6】特開平06−324216号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】内田龍男監修「図解 電子ディスプレイのすべて」(工業調査会刊)P47〜48
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の従来技術における問題点を解決するものであり、その目的は、面光源装置に用いた場合に、輝度や照度が高く、かつ該輝度や照度の斑が小さくできる特定の光学特性及び構成を有する光拡散フィルム積層体を提供することにある。また、該光拡散フィルムを用いた面光源装置、及び該面光源装置を用いた表示装置又は照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、以下の(1)〜(8)の構成を有する。
(1)下記(i)〜(iii)を同時に満たす内部光拡散フィルムと550nmの全光線透過率が50〜100%の基材を積層してなり、かつ両者の界面に空気層がないことを特徴とする光拡散フィルム積層体:
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である;
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である;
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
(2)内部光拡散フィルムが、互いに非相溶性の少なくとも二種の熱可塑性樹脂の混合物よりなる層を含むことを特徴とする(1)に記載の光拡散フィルム積層体。
(3)非相溶性の樹脂の少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする(2)に記載の光拡散フィルム積層体。
(4)少なくとも二種の非相溶性の樹脂混合物を溶融押し出し成型してなり、かつ下記(i)〜(iii)を同時に満たすことを特徴する内部光拡散フィルム:
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である;
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である;
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の光拡散フィルム積層体を片面の出射面に用いてなることを特徴とする直下型面光源装置。
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載の光拡散フィルム積層体を両面の出射面に用いてなることを特徴とする直下型面光源装置。
(7)(5)又は(6)に記載の直下型面光源装置を用いてなることを特徴とする表示装置。
(8)(5)又は(6)に記載の直下型面光源装置を用いてなることを特徴とする照明装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光拡散フィルム積層体は、特定の光学特性を有する内部光拡散フィルムと特定の光学特性を有する基材とが、両者の界面に空気層がない状態で積層されているので、面光源装置に用いた場合に、面光源装置の出光効率や出光効率の均一性が高められ、面光源装置の高輝度化や高照度化が可能となり、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。
従って、面光源装置の光源の出力低減や、各種光学フィルムの使用枚数を低減することにより面光源装置の経済性を高めることができる。
また、上記面光源装置の使用により、表示装置及び照明装置の性能向上や経済性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の効果は、輝度及び照度のどちらに対しても発現されるが、以下、輝度を代表して記述する。表示装置の場合は輝度が重要であり、照明装置の場合は照度が重要である。
【0019】
(光拡散フィルム積層体)
本発明の光拡散フィルム積層体は、下記(i)〜(iii)を同時に満たす内部光拡散フィルムと550nmの全光線透過率が50〜100%の基材を積層してなり、かつ両者の界面に空気層がないことが重要である。
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である。
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)(拡散度比率)が8.0〜95%である。
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
【0020】
(内部光拡散フィルムの光学特性)
本発明の内部光拡散フィルムは以下の(i)〜(iii)を同時に満たすことが必要である。
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である。
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である。
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
【0021】
本発明においては、550nmの波長の光に注目している。これは、人間の目に対して波長550nm付近の光の分光視感効率が最も高いとされていることに基づいている。
【0022】
(全光線透過率)
本発明における全光線透過率は、実施例において記載する方法で測定して求めたものである。すなわち、主拡散方向が水平になるように自記分光光度計の試料台に固定して測定したものである。等方的に拡散するフィルムの場合は、フィルムの固定方向が変わっても全光線透過率は変化しないが、特定方向に光が拡散されるいわゆる異方性拡散フィルムの場合は、測定時のフィルムの固定方向により全光線透過率が変わるためである。全光線透過率は積分球で受光し測定されるので、本来フィルムの固定方向により変わらないと思われるが、異方性拡散フィルムの場合は、その固定方向により全光線透過率が大きく変わる場合があるゆえの対処である。
【0023】
主拡散方向は、例えば、フィルムにレーザーマーカーの光を通過させた場合の透過光の拡散で判定できる。即ち、フィルムにレーザーマーカーで光を透過させた時の出射光が広がる方向を主拡散方向とした。なお、該主拡散方向を水平方向になるように固定して測定した時の方が、全光線透過率が低くなる。
この理由としては定かではないが、積分球における受光部の位置の影響によるものと推察している。主拡散方向の拡散光が積分球の受光部に直接入射する位置関係になると、この直接入射される拡散光の影響を強く受けるためではないかと考えられる。
【0024】
なお、後述の実施例において記載する本発明における測定法に用いられる測定装置に用いられている積分球は、積分球の上部の頂点に受光部が設けられているので、この受光部に直接入射する光の影響を最も受けにくい方向での測定値を用いており、真の全光線透過率を反映した値になっていると想定をしている。
従って、実施例において記載する測定方法において使用している自記分光光度計(UV−3150;島津製作所社製)及び積分球付属装置(ISR−3100;島津製作所社製)を用いて測定することが重要である。
全光線透過率は43〜80%がより好ましい。全光線透過率が本発明の範囲より高いと、輝度斑が大きくなるので好ましくない。逆に、本発明の範囲より低いと、輝度が低くなるので好ましくない。
【0025】
(拡散度比率)
拡散度比率は、550nmの波長の光の出射角0度における透過度(I0)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I0×100)で表示される正透過度と拡散性透過度のバランスを反映した新たな拡散度の尺度である。すなわち、拡散度比率に比例して拡散性透過度の比率が高くなる。
輝度を高くするには正透過性を高くすることが好ましい。しかし、正透過度が高くなると輝度は高くなるが輝度斑も大きくなる。輝度斑を抑制するには拡散性透過度を上げる必要がある。一般には正透過性と拡散性透過度は反比例する。従って、輝度と輝度斑は二律背反事象となる。従って、高い輝度と低い輝度斑を両立するには適度な拡散度比率にすることが重要となる。
拡散度比率は10〜90%がより好ましい。拡散度比率が本発明の範囲より低いと、拡散性が不足し輝度斑が大きくなるので好ましくない。逆に、本発明の範囲より高いと、上記全光線透過率の範囲との両立が技術的に困難となり輝度が低下するので好ましくない。
拡散度比率は20〜90%がより好ましく25〜90%がさらに好ましい。
拡散度比率は実施例において記載される方法により求められる。
【0026】
(変曲率)
変曲率は、光拡散フィルムに光を入光した時に、フィルム中を通過する過程で光の進行方向が曲げられる、所謂光の変曲効果の度合い、すなわち、高角度で入光した光が変曲効果により正面方向に変曲されて出光する光量とそのまま直進する光量の度合いを示す尺度である。該変曲率は実施例において記載する方法で測定されるもので、本発明者等が新たに確立した評価尺度である。60度の角度で入光した時に60度の角度のまま直進する光の透過度に対するフィルム内の通過において0度(正面)方向に変曲されて出光する光の透過度の比率で表示した。従って、ある意味で正面への集光効果を示す尺度とも見なせる。従って、この変曲率が大きい光拡散フィルムは、一種のレンズ効果を兼ね備えているとも見なせる。
変曲率は、後述の基材と内部光拡散フィルムの間の空気層を排除した場合、例えば、密着層を介しての積層による輝度向上効果に作用する尺度である。
本発明における内部光拡散フィルムは、従来公知の光拡散フィルムやレンズフィルムより大きな変曲効果を有する。そのために、本発明の効果を効率的に発現できるものと推察される。
【0027】
変曲率は、10〜80%がより好ましく、20〜80%がより好ましい。変曲率が本発明の範囲より低いと、後述する本発明の重要要素の一つである内部光拡散フィルムと基材との界面に空気層がないことの効果が低下するので好ましくない。逆に、本発明の範囲より高いと、上記全光線透過率や拡散度比率との両立や三立が困難となる。
【0028】
(異方性度)
本発明においては、内部光拡散フィルムの異方性度は限定されない。どの方向に対してもほぼ均等に拡散される、いわゆる等方性拡散であっても良いし、いずれか特定の方向に拡散する、いわゆる異方性拡散であっても構わない。ただし、異方性度の高い内部光拡散フィルムの場合は、実際に用いる場合の内部光拡散フィルムの設置方向に注意する必要がある。
即ち、実際の使用における好ましい方向に光が拡散されるように設置する必要がある。例えば、冷陰極管のように光源が線状である場合は、輝度斑を小さくするためには、内部光拡散フィルムの主拡散方向が光源の長さ方向と直交する方向に設置するのが好ましい。該方法で対応すると、等方性の高い内部光拡散フィルムを用いて同一輝度斑で比較した場合の輝度がより高くできる。従って、異方性度の高い方がより好ましいと言える。
異方性度は、例えば、前記した方法等で制御することができる。異方性度は、0.8以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。
【0029】
(半値幅拡散度)
本発明の内部光拡散フィルムは、実施例において記載される方法で測定される波長440nmの光の主拡散方向の配光分布パターンの半値幅が19度以上であるのが好ましく、50度以上がより好ましく、100度以上がさらに好ましい。上限は150度近辺である。
半値幅が19度未満では輝度斑が大きくなるので好ましくない。一方、150度を越えることは技術的に困難であり、かつ輝度向上効果が低下する。
【0030】
(内部光拡散フィルムの構成)
本発明の光拡散フィルム積層体に用いられる内部光拡散フィルムは、フィルムの内部に存在する光拡散成分により光を拡散させる機能を有するフィルムであれば限定されない。例えば、透明なマトリックス樹脂層に該マトリックス樹脂と屈折率の異なる微粒子を配合してなる層を含んだ光拡散フィルムであって、光がフィルムを通過するときに該微粒子とマトリックス樹脂の界面で光が散乱されることにより拡散されるものや、少なくとも二種の互いに非相溶性の樹脂の配合物よりなる、いわゆる海/島法あるいは共連続相法構造よりなる層を含んだ光拡散フィルムであって、光がフィルムを通過するときに海/島相や共連続相の界面で光が散乱されることにより拡散されるもの等が挙げられる。また、上記方法が組み合わされた方法が挙げられる。
【0031】
また、本発明における内部光拡散フィルムは単層であってもよいし、二層以上の多層構成であっても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が透明なマトリックス樹脂層に該マトリックス樹脂と屈折率の異なる微粒子を配合してなる層や少なくとも二種の非相溶の樹脂の配合物よりなる、いわゆる海/島法あるいは共連続相法構造よりなる層であれば、他の層は、光拡散性を有しない単なる透明層であってもよい。また、全層が光拡散層の構成であってもよい。
【0032】
上記構成の中で、少なくとも二種の互いに非相溶性の樹脂の配合物よりなる、いわゆる海/島法あるいは共連続相法構造よりなる層を含んだ内部光拡散フィルムは、光を拡散する成分として、非溶融性の微粒子を含有させる必要がないので、溶融押し出し成型法で実施しても、製膜工程における溶融樹脂の濾過において、濾過フィルターの目詰まりが低減でき、生産性が優れるとともに、得られるフィルムの清澄度も高いという特徴も有するので好ましい。
【0033】
本発明の内部光拡散フィルムは、後述のごとく、光がフィルム内を通過する際に、光拡散成分による散乱を複数回遭遇する所謂多重散乱効果が重要であるので、光拡散成分のフィルムの厚み方向の平均径は、フィルムの厚みの少なくとも1/2以下であることが好ましい。1/3以下がより好ましく、1/10以下がさらに好ましい。
例えば、フィルムの断面を電子顕微鏡で観察した場合に、厚み方向に任意の直線を引いた場合にその線上に存在する粒子の数が5個以上であることが好ましい。10個以上がより好ましく、30個以上がさらに好ましい。
【0034】
上記内部光拡散フィルムは、面内の光学特性の均一性が重要であるので、光拡散成分は面内には出来るだけ均一に存在するのが好ましい。しかし、面内の光学特性の均一性が確保されれば、厚み方向に関しての光拡散成分の均一性は問わない。例えば、厚み方向の特定部分に局在して存在しても構わない。
【0035】
(少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物)
本発明において少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂及びポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂より互いに非相溶性(互いに溶け合わない)の熱可塑性樹脂の少なくとも二種類を選択すればよいが、上記特性を安定して発現させることができること及び経済性の点より、少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂よりなることが好ましい。
【0036】
二種類の樹脂のもう一方の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフッ素系樹脂等が好適である。光学特性以外の要求特性や経済性等を勘案して適宜選択される。
【0037】
上記の少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の配合割合はそれぞれ質量比で10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30の割合が更に好ましい。
【0038】
特に、耐光性や経済性の点より二種類ともにポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。二種の樹脂の屈折率差は0.003〜0.07の範囲が好ましい。0.05〜0.005の範囲がより好ましく、0.01〜0.02がさらに好ましい。
【0039】
上記の少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂として用いる熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、例えば、海/島法の場合においては、それぞれのメルトフローレートの組み合わせにより大きく変化し、光学特性が変化するので、求められる光学特性や、島相のサイズや形状に応じて適宜選択すれば良い。
例えば、上記の二種類ともにポリオレフィン系樹脂を用いる場合はそれぞれ230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜100の範囲で適宜組み合わせて実施すれば良い。
【0040】
本発明においては、前述のごとく拡散度に異方性を付与するのが好ましい。該特性を付与するには島構造に異方性を持たせるのが好ましい。このような形状の島構造を形成するためには、海成分樹脂と島成分樹脂の溶融粘度に差を付けるのが好ましい。特に、海成分よりも島成分の溶融粘度を低くするのが好ましい。このためには、例えば、メルトフローレートの差を付けるのが好ましく、海成分より、島成分の方のメルトフローレートを高くするのが好ましい。また、海成分樹脂と島成分樹脂の剛性に差を付けるのも好ましい。特に、海成分よりも島成分の剛性を低くするのが好ましい。
【0041】
また、島成分のメルトフローレートが低い場合には、ダイ内でのシェアーやドラフトにより島成分が細くなる力がかかりにくくなり、異方性が低下することがある。質量比が50/50から離れるほどこの傾向は強くなる。これらの傾向を考慮して、各特性の調整を行う。
【0042】
二種の樹脂は、例えば環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組み合わせが、本発明の光学特性が安定して得られやすく、かつ経済性に優れているので好ましい。また、耐紫外線安定性に優れているという特徴もある。
【0043】
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネンやテトラシクロドデセン等環状のポリオレフィン構造を有するものが挙げられる。
例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂などが挙げることができる。重合方法及び水素添加方法は、常法により行なうことができる。
【0044】
ポリエチレン系樹脂としては、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。共重合体の場合は50モル%以上がエチレン成分であるのが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の密度や重合方法等も限定されないが、密度が0.909以下の共重合体の使用が好ましい。例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテン等との共重合体が挙げられる。重合方法はメタロセン触媒法及び非メタロセン触媒法のいずれでも構わない。
特に、高拡散性が安定に付与できる点で、エチレンとオクテンのブロック共重合体の使用が好ましい。例えば、該樹脂としては、ダウ・ケミカル社製のINFUSE(TM)が挙げられる。
エチレンとオクテンのブロック共重合体の使用が好ましい理由は定かでないが、環状ポリオレフィン系樹脂との馴染みが他のポリオレフィン系樹脂より優れていることが寄与していると推察している。
【0045】
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂との組み合わせの場合は、ポリエチレン系樹脂を海相として、かつ該海相のポリエチレン系樹脂のメルトフローレートを島相の環状ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートよりも高くするが好ましい。
【0046】
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組み合わせの場合は、全樹脂量中に環状ポリオレフィン系樹脂が10〜60質量%配合されているのが好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。
【0047】
上記樹脂は、一般に市販されている汎用性の高い樹脂より選択すれば良いが、より安定した生産ができる等の対応のために特注品を使用しても良い。
【0048】
上記において詳述した部分はあくまでも例示であり、これらには限定されない。上記光学特性を満たす範囲で適宜選択すれば良い。
【0049】
(ポリオレフィン樹脂よりなる層の積層)
本発明においては、前記の少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物として、二種類ともにポリオレフィン系樹脂を使用する場合において、少なくとも二種のポリオレフィン系樹脂の混合物よりなる層の少なくとも片面に主としてポリオレフィン系樹脂よりなる表面層が積層されることが好ましい。
上記の表面層の形成により、溶融押し出し製膜時に、ダイスの出口に発生する。例えば、「目やに」と称されるダイスの出口に発生する樹脂劣化物による付着物の発生が抑制されるので、長時間に渡り安定した連続製膜が可能である。また、例えば、エチレンとオクテンのブロック共重合体等の柔軟性ポリオレフィン系樹脂を使用した場合に発生する内部光拡散フィルムのブロッキング性が抑制される。
【0050】
上記表層の形成に用いられるポリオレフィン系樹脂は、ブロッキング性の抑制等の効果を発現させること等により、結晶性の樹脂を使用するのが好ましい。
【0051】
上記表層の形成に用いられるポリオレフィン系樹脂として、極性基を含有したポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。これにより、内部光拡散フィルムの他素材との接着性を向上させることができる。例えば、後述の光拡散フィルム積層シートの製造において、プラスチックシートとの接着性の向上が図られる。また、光学用の材料として広く使用されている、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂との熱接着性が付与できる。
【0052】
上記極性基を含有したポリオレフィン樹脂は、その骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、メチルペンテンおよび環状オレフィンのうち少なくとも一種のモノマーを含んでいることが好ましい。
上記モノマーを一種類用いたホモポリマーであっても二種以上のモノマーを用いた共重合体であっても構わない。
【0053】
本発明における上記極性基を含有したポリオレフィン樹脂は、少なくとも一種類の極性基を含有していることが好ましい。極性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、水酸基、グリシジル基、イソシアネート基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、エステル基、エーテル基、カルボン酸金属塩基、スルホン酸金属塩基、ホスホン酸金属塩基、3級アミン塩基または4級アミン塩基等が挙げられる。該極性基は一種であってもよいし、二種以上を含んでもよい。極性基は内部光拡散層を構成するポリオレフィン系樹脂の組成や密着対象の部材の種類や必要とする密着力等により適宜選択すれば良いが、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましい。
【0054】
また、本発明における極性基を含有したポリオレフィン樹脂は、極性基がポリオレフィン樹脂の高分子鎖中に直接導入されていても、また、他の樹脂に導入し、添加、混合されている状態であっても構わない。また、場合により本発明のポリオレフィン樹脂は、分子鎖の末端や内部に導入された、例えば、カルボン酸基や水酸基にこれらと反応しえる化合物を反応させて変性して使用することも可能である。
【0055】
本発明においては、上記極性基を含有ポリオレフィン樹脂は、一種の単独使用であってもよいし、二種以上を配合した配合組成物であってもよい。また、極性基を含有しないポリオレフィン樹脂や他の種類の樹脂を配合した配合組成物であってもよい。該配合組成物の場合は、上記の極性基を含有したポリオレフィン樹脂を10質量%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは30質量%以上である。
【0056】
上記の極性基を含有したポリオレフィン樹脂は、結晶性の樹脂よりなることが好ましい。樹脂の融点は100〜180℃が好ましい。
【0057】
上記の極性基を含有したポリオレフィン樹脂は、上記特性を有すれば限定されないが、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂として市販されている樹脂が好適に用いられる。例えば、アドマー樹脂(TM、三井化学社製)、モディック樹脂(TM、三菱化学社製)やアドテックス樹脂(TM,日本ポリエチレン社性)及びボンドファスト樹脂(TM,住友化学社製)が挙げられるが、特に限定されない。
【0058】
上記の内部光拡散層に極性基を含有したポリオレフィン樹脂よりなる層を積層することにより、光拡散層のみの単層よりなる内部光拡散フィルムに比べて、他素材との接着性を向上させることができる。また、フィルムの耐ブロッキング性や滑り性が改善され、内部光拡散フィルムの取り扱い性等が改善される場合がある。また、各種素材との熱接着性を付与することができる。
【0059】
(内部光拡散フィルムの製造方法)
本発明における内部光拡散フィルムの製造方法も特に限定されないが、経済性の点で溶融押し出し成型により製膜する方法が好ましい。
製膜方法としては、特に制限されず、例えば、Tダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。また、未延伸のままのフィルムでもよく、延伸処理を行ってもよい。
二層以上含む構成の場合は、共押し出し法で製膜するのが好ましい。例えば、押し出しラミネート法で製造しても良いし、2枚以上のフィルムを接着剤等で貼り合わせても良い。
【0060】
該製造においては、例えば、海/島法で実施する場合は、樹脂の押し出し温度、押し出し機及びダイス内でのシェアー、ダイスから冷却ロール間のドラフト比および冷却ロールへのシートの密着方法等方により、島相のサイズや形状が大きく変化をする場合がある。その結果、得られるフィルムの光学特性も大きく変化する場合がある。
【0061】
例えば、島相の形状に異方性を付けることにより、光拡散性に異方性を発現させるには以下の方法で対応するのが好ましい。
上記溶融押し出し成型法は、一般に、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出して、該シートを冷却ロールに密着させ冷却固化させて製膜される。この場合において、上記の冷却ロールへの密着時に、該密着部の入り口部分に液溜りゾーン(バンクと称されることもある)が形成されないことが好ましい。液溜りゾーンの形成は、冷却ロールへの密着時に圧接された場合、即ち、強い圧力で押さえられた時に発生するので、密着時の密着圧力を低くするのが好ましい。
例えば、一般に広く用いられている押し圧ロールで圧接して密着させるという方法は避けた方がよい。
弱い圧力で密着させる方法であれば限定されないが、例えば、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出して、該シートをガス圧による押さえ方法及び/又は吸引法及び/又は静電気密着法で密着させ冷却固化させて製膜されてなることが好ましい。この方法により、前記した好ましい光学特性、特に、前記特性の一つである拡散度比率の高い異方性光拡散フィルムを安定して得ることができる。
【0062】
拡散度比率は、用いる製造装置の違い等により大きく変化することがあり、安定した生産ができないことがある。そこで、安定生産できる製造方法について鋭意検討した結果、上記のような製造方法で製造するのが好ましいことを見出した。この理由は定かでないが、以下のごとく推察している。
溶融押し出し法で押し出されるシート中の島成分の形状は、ダイ内でシェアーを受けることにより、押し出し方向に配向した形で細くなる。さらに、ダイから押し出しだされた後に溶融状態で該シートにドラフトが掛かり、さらに島形状は押し出し方向に細くなる。この状態で冷却固化されるのが好ましい。しかし、冷却ロールに押し圧ロール等で圧接させ、高い圧力で押さえ付けると、該圧接部の入り口部分のシートは、未固化状態であるために、圧接部の入り口部分に液溜りゾーンが形成され、該ゾーンにおいて、未固化状態の樹脂が滞留することになり、押し出し方向に細くなっていた島成分は表面張力により、本来の形状である等方的液滴に戻ろうとする力が働き、異方度が緩和し、より等方性的な形状に変形し、その変形した形状で冷却固化されるので、島形状の等方性が高まり、その結果、光拡散性も等方性が増し、異方性度を高めるには不利に作用するためであると推察している。
【0063】
上記のガス圧による押さえ方法及び/又は吸引法及び/又は静電気密着法で密着させ冷却固化させる方法は限定されない。例えば、ガス圧による押さえ方法としては、例えば、空気等のガス圧で押さえ付ける、いわゆるエアーナイフ法等の方法、減圧ノズルで吸引して密着させるバキュームチャンバー法、静電気力で密着させる静電気密着法等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよいし、複数の方法を併用しても良い。得られるフィルムの厚み精度を高めることができる点で、後者で実施するのが好ましい。
【0064】
溶融押し出し法で押し出されるシートを延伸しても良く、例えば、光拡散層にポリエステル系樹脂を用いた場合は、一軸延伸をするのが好ましい。延伸倍率は2倍以上が好ましい。上限は限定されないが、10倍未満が好ましい。これにより、島相が延伸方向に引き伸ばされ細長い構造になり、島相の配向方向と直交した方向の光拡散性が著しく向上をして異方性が付与でき、かつ特定方向の拡散性を大きく向上させることができる。
【0065】
延伸方法で実施する場合は、延伸倍率を3〜8倍で行うのがより好ましい。
延伸方法は限定されない。単純な自由幅一軸延伸であってもよく、一定幅一軸延伸であってもよい。例えば、固化したフィルムの両端を引っ張る方法(引っ張り延伸)、互いに対向する一対のロール(2本ロール)を複数系列(例えば、2系列)並列し、それぞれの2本ロールにフィルムを挿入すると共に、繰入れ側の2本ロールと繰出し側の2本ロールとの間にフィルムを張り渡し、繰出し側の2本ロールのフィルムの送り速度を繰入れ側の2本ロールより速くすることにより延伸する方法(ロール間延伸)、互いに対向する一対のロールの間にフィルムを挿入し、ロール圧でフィルムを圧延する方法(ロール圧延)などが挙げられる。
【0066】
逆に等方性に近づけるには以下の方法で対応するのが好ましい。
すなわち、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出し、シートを冷却ロールに押し圧ロールで圧接して密着させ冷却固化させて製膜されてなることが好ましい。
冷却ロールに押し圧ロールで圧接して密着させるということを満たせば、その内容は限定されない。例えば、一般的に実施されている冷却ロールに比べて径の細い押し圧ロールで圧接しても良いし、径の同じ2個の冷却ロールの間にシートを押し出して冷却ロール同士で圧接しても良い。
また、この方法において、押し圧ロール及び/または冷却ロール表面を粗面化処理したロールを用いて、前記した賦型処理による粗面化を同時に行っても良い。
【0067】
等方性を求める場合は、無延伸で、溶融押し出しの際にドラフトをかけないで製造するのが好ましいが、下記のように異方性のフィルムを複数使用することでも可能である。
例えば、内部光拡散層にポリエステル系樹脂を用い、一方向に2〜10倍延伸することで、島相が延伸方向に引き伸ばされ細長い構造になり、島相の配向方向と直交した方向の光拡散性が著しく向上して本発明の目指す高拡散性が確保できる。二枚以上のフィルムを主拡散方向が直交するように重ね合わせて使用するのが好ましい。
【0068】
また、本発明の内部光拡散フィルムは単層であってもよいし、二層以上の多層構成であっても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が上記の構成よりなる内部光拡散フィルムからなる層であれば、他の層は、光拡散性を有しない単なる透明層であってもよい。また、全層が光拡散層の構成であってもよい。
上記多層構成の場合は、多層共押出し法で製造してもよいし、押出しラミネート法やドライラミネート法で実施してもよい。
【0069】
上記の少なくとも二種の互いに非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物は、それぞれの熱可塑性樹脂を製膜工程の押出し機などで配合してもよいし、予め混練法等で事前に混合物とした形で用いてもよい。
【0070】
(基材)
本発明に用いる基材は、上記内部光拡散フィルムを面光源装置に組み込む場合に、内部光拡散フィルムの強度、剛性及び耐熱性等を補強するためのものである。従って、例えば、導光板の場合は導光板そのものであっても良い。すなわち、導光板の表面に上記内部光拡散フィルムを、密着層を介して積層するのが好ましい。また、直下型の場合は、出光部に用いられている透明板あるいは乳白板等の表面に上記内部光拡散フィルムを、密着層を介して積層するのが好ましい。
従って、導光板や直下型の面光源装置の出光部に用いられている透明板あるいは乳白板等のプラスチック性のフィルム、シート及び板の使用が好ましい。これらの素材はポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が好ましいが、特に限定されず、ガラス等の透明な無機材料よりなる板やシートであっても良い。導光板方式の場合は導光板表面に内部光拡散フィルムを直接貼り付けても良い。
【0071】
基材は550nmの全光線透過率が50〜100%を満たすことが必要である。60〜95%がより好ましく、70〜95%が特に好ましい。50%未満では輝度向上効果が低下するので好ましくない。逆に、100%を超えることは理論上ありえない。
全光線透過率は上記の内部光拡散フィルムと同じ方法で測定される。
厚みは、補強効果等から0.2〜10mmが好ましい。透過率の関係から0.2〜3mmがより好ましい。
【0072】
(内部光拡散フィルム積層体)
本発明においては、上記の内部光拡散フィルムと基材の両者の界面に空気層がない状態で積層することが重要である。該対応により高い輝度と低い輝度の両立が可能となる。これにより正面輝度向上ができ、かつ輝度斑を低減することができる。
上記効果は、従来から広く使用されている賦型法や透明フィルムの表面に、例えば、ビーズ等の光拡散成分を塗工することにより得られる、いわゆる表面凹凸の光の散乱効果を利用した表面光拡散タイプの光拡散フィルムでは小さい。
【0073】
本発明においては、上記の内部光拡散フィルムと基材の界面より空気層を排除する方法は限定されないが、例えば、粘着剤や接着剤で貼り合せる方法が挙げられる。また、例えば、水等の液体で密着して積層しても良い。内部光拡散フィルムや基材の表面に、熱接着層を形成して、両者を熱接着法で積層してもよい。
【0074】
本発明においては、上記の内部光拡散フィルムと基材とを貼り合せることにより、例えば、内部光拡散フィルムの温度等の環境変化による寸法変化を抑制できる等の従来技術で公知になっている効果も副次的に発現することができる。
【0075】
本発明においては、上記内部光拡散フィルムと基材とを貼りあわせで実施する場合は、基材との屈折率との差が−0.3〜+0.5の密着層を介して行うのが好ましい。
一般に屈折率は、少数点以下3桁まで表示されているが、本発明においては、少数点以下1桁(少数点以下2桁で四捨五入)での差異で評価すれば良い。
本発明においては、液体の場合は文献値を用いた。また、樹脂よりなる場合は、屈折率計により定法により測定した値を用いた。文献値のある樹脂は、測定せずに文献値を用いれば良い。樹脂の混合物の場合は、単独樹脂の値を用いて、組成比により加重平均して求めた値を用いた。
【0076】
上記屈折率差は、−0.1〜+0.2がより好ましく、0が最も好ましい。
−0.3未満あるいは+0.5を超えた場合は、内部光拡散フィルムと基材との界面の空気層を排除することによる正面の輝度向上効果が低下するので好ましくない。
【0077】
上記の内部光拡散フィルムの積層は、基材の片面のみで行っても良いし、両面に行っても良い。両面に積層する場合は、両面とも同じ内部光拡散フィルムを使用しても良いし、それぞれ異種の内部光拡散フィルムを用いても良い。
【0078】
なお、本発明における部材間の界面より空気を排除することによる効果は、基材との間の界面においてのみ有効である。他の部材間においては、有効でなく、むしろ逆効果になることが多い。
【0079】
(作用機構)
本発明においては、内部光拡散フィルムと基材との界面間に存在する空気層を排除することが最重要要素の一つである。該対応により、広く一般に行われている両部材を単に重ね合わせて、両部材間に空気層が存在する場合よりも輝度を向上するができ、かつ輝度斑を低下させることができることに対しては、以下のように推察している。
内部光拡散フィルムを基材表面に単に重ね合わせるという、従来から広く実施されている方法においては、内部光拡散フィルムと基材との間に空気層が存在する。空気の屈折率は、基材の屈折率に比べて屈折率が著しく低いために、基材を通過してくる光の臨界角度が小さくなるので、界面で反射される割合が高くなり、基材の表面に出光される光量が低くなり、結果として輝度が低くなる。一般に、内部光拡散フィルムに用いられる樹脂、貼り合わせに用いられる樹脂や液体及び基材に用いられる材料の屈折率は、空気よりも大きい。従って、空気を排除することにより、内部光拡散フィルムと基材の間の界面の屈折率差が小さくなる。そのため、基材界面における臨界角度が大きくなり、該界面で反射される割合が少なくなり内部光拡散フィルム側に進む光量が増加する。さらにこの光が内部光拡散フィルムに入光する場合においても界面屈折率差が小さくなるので、この界面で反射する光の割合が少なくなり、内部光拡散フィルムに進む光量が増加するという相乗効果により、結果として内部光拡散フィルムから出射される光量が増加することにより輝度向上が図られる。
さらに、本発明の内部光拡散フィルムは、表面光拡散フィルムと異なり、高い変曲率を有するので、上記の界面屈折率差を小さくすることにより、内部光拡散フィルムに取り込まれた光量を含めた総光量が変曲効果により内部光拡散フィルム内で集光され、内部光拡散フィルム表面により多く取り出されることにより、輝度向上が図れると推察している。
特開2008−21527号公報において、75度で入光した光が異方性拡散フィルムを通過することにより70度に変曲されて出射されることが図6において例示されている。しかし、その変曲効果は正面(0度)までには及んでいない。また、該公報で開示されている技術と本発明とは変曲効果を利用している点で共通している部分があるが、該公報で開示されている技術は、異方性拡散フィルムとプリズムシートとの積層体に関するものであり、本発明とは目的及び期待効果が大きく異なっている。また、該公報で開示されている技術においては、拡散フィルムの入光側の界面の屈折率との相乗効果関係に関しても全く言及されていない。
【0080】
また、本発明に用いられる内部光拡散フィルムは、表面拡散タイプの光拡散フィルムとは、その光の散乱挙動が大きく異なる。最も大きな差異は、表面光拡散フィルムの場合は、光拡散性は、表面凹凸の散乱効果を利用して付与されており、光散乱は、ほぼ表面の一面のみの光散乱層で制御されるのに対して、本発明の内部光拡散フィルムは、光散乱がフィルム内部全体で起こっており、いわゆる多重散乱の効果が加味される。この多重散乱により光散乱が何回も繰り返して行われる。このことにより、表面光拡散フィルムに比べて変曲率が高くなると推察している。
【0081】
さらに、本発明の内部光拡散フィルムは、表面光拡散フィルムに比べて高い拡散度比率を有している。前記のごとく、拡散度比率は、正透過性(透過度(I))を加味した拡散性の尺度であるので、高輝度を発現した上で輝度斑を低減することができ、高輝度と輝度斑低減が両立されると推察している。
【0082】
(面光源装置)
本発明の面光源装置の基本ユニットは、少なくとも片面に出光面を有する構成であればその内容は問わない。例えば、エッジライト方式及び直下型のいずれであっても構わない。また、両面出光タイプであっても良い。直下型が好適である。
一般に、面光源装置には、出光面の輝度を上げる目的で、出光面と反対の面には、反射フィルムや反射体が使用されている。反射フィルムや反射体の種類は限定されない。例えば、白色体よりなる拡散タイプの反射フィルムや反射体、金属光沢による反射を利用した指向性の強い反射フィルムや反射体、及び両特性を兼備した反射フィルムや反射体等を挙げることができる。
【0083】
エッジライト方式の面光源装置には、光源よりの距離による輝度の減衰を抑制するために、印刷、刻印及び彫刻等により出光パターンを付ける方法が採用されているが、該出光パターンの有無も問わない。出光パターンを付与する方法においては、本発明の方法においては、従来技術において実施されている各種光学用部材を単に重ね合わせて設置する方法とは、出光のプロファイルが大きく異なるので、出光パターンを本発明の方法に適合するように設計するのが好ましい。本発明の方法は、光源より近距離における出光量が増加するので、出光パターンの傾斜をより強くするのが好ましい。
【0084】
(面光源装置の光源)
本発明の面光源装置に用いられる光源は限定されない。例えば、既に多く用いられている蛍光灯、冷陰極管及びLED光源等の光源が挙げられる。
特に、本発明の光拡散フィルム積層体は、広く使用されている光拡散フィルムに比べて拡散度比率が極めて高いので、光の直進性の高いLED光源の光源スポットの視認性を輝度低下を抑制した形で大幅に低減することができる。
【0085】
(光拡散フィルム積層体における内部光拡散フィルムの使用枚数)
本発明においては、内部光拡散フィルム1枚のみの使用においても高い輝度や、輝度の均一性を有するので、広く使用されているレンズフィルムや輝度向上フィルム等の光学用フィルムを使用しなくても良い。従って、1枚のみの使用が好ましいが、限定されない。例えば、レンズフィルムと組み合わせて、さらに大きな輝度向上を図っても良いし、ランプの出力低減等を図っても良い。また、例えば、基材の両面に積層して使用する方法も推奨される。
最も好ましい1枚のみの使用で実施する場合は、内部光拡散フィルムの拡散度比及び変曲率として、それぞれ20〜95%及び15〜100%のものを用いるのが好ましい。
【0086】
(光拡散フィルム積層体の使用方向)
本発明で使用する内部光拡散フィルムは光拡散の異方性の高いものを含む。従って、本発明の光拡散フィルム積層体も光拡散の異方性の高いものを含む。
異方性度の高い光拡散フィルム積層体は、特定方向に出射光が集光されるので、面光源装置に組み込む時の光拡散フィルム積層体の使用方向が重要となる。
使用方向は、面光源装置としての要求特性により適宜選択すれば良い。
一般には、面光源装置は均質な輝度や照度が求められることが多い。該要求に答えることに対して光拡散フィルム積層体として異方性度の高いものを用いることができる。例えば、蛍光灯や冷陰極管等の異方性を有する光源を用いた場合は、面光源装置の輝度の均一性が低下する。従って、該光源を使用する場合は、光拡散フィルム積層体の主拡散方向がこれらの光源の長手方向と直交する方向に固定して使用することが好ましい。これにより、光源の異方性による輝度斑を大幅に低減させることができる。等方性の高い光拡散フィルム積層体よりも平均輝度の低下を抑制した形で輝度斑を下げることができる。ただし、この効果は光拡散フィルム積層体を一枚のみで行う場合は有効であるが、2枚以上の複数枚を使用する場合は、主拡散方向を同一方向にして使用するのでなく、主拡散方向を直交する方向で固定するのが好ましい。さらに、入光側の内部光拡散フィルムは主拡散方向が光源の長さ方向と直交する方向で固定するのが好ましい。この固定方法により、拡散度比率や変曲率が高くなる。
【0087】
意匠性等の要求により、逆に、不均一な輝度が要求されることがある。この場合は、要求を満たす方向に光拡散フィルム積層体の主拡散方向を変化させて使用するのが好ましい。
一方、LED光源の場合は、面光源装置の輝度の向上の均一性が求められる場合は、等方性の光拡散フィルム積層体の使用が好ましい。異方性度の高い光拡散フィルム積層体を使用する場合は、該異方性度の高い光拡散フィルム積層体を主拡散方向が直交する方向で貼り合せて使用するのが好ましい。
【0088】
(表示装置)
本発明においては、上記面光源装置を表示装置用の光源として用いることができる。
本発明の上記面光源装置は、高い輝度を有しかつ輝度斑が低減できるので、表示装置用の光源として用いた場合に、表示装置の明るさや明るさの均一性が向上し、表示画面の視認性を向上させることができる。
あるいは、高度な輝度が必要でない使用方法においては、ランプの光量を低減でき、表示装置の製造コストや表示装置の使用時のエネルギー消費量を低減することができ、経済的効果や環境負荷を低減することが可能となる。
表示装置としては、面光源装置により発せられる光により、何らかの情報を伝達する機能を有する装置であれば限定されない。例えば、パソコン、TV及び車両等の輸送装置用のLCD表示装置が挙げられる。また、広告や案内板等の非動画の表示装置が挙げられる。
【0089】
(照明装置)
本発明においては、上記面光源装置を照明用の光源として用いることができる。
本発明の上記面光源装置は、高い輝度、すなわち高い照度を有しかつ照度の斑を低減できるので、照明用の光源として用いた場合に、照明装置の明るさ及び均一性を向上させることができる。
あるいは、高度な照度が必要でない使用方法においては、ランプの光量を低減できるので、照明装置の製造コストや照明装置の使用時のエネルギー消費量を低減することができ、経済的効果や環境負荷を低減することが可能となる。
照明用として用いる場合は、上記面光源装置そのものを用いても良い。
【0090】
(好ましい平均輝度及び輝度の広がり)
平均輝度としては正面の輝度(0度輝度)が高いことが望ましい。その上で高角度での平均輝度も高いことが好ましい。このようにすることにより、例えば、表示装置と用いた場合は視野角が広くなる。また、照明装置として用いた場合は照度の広がりが広くなる。
好ましい平均輝度は光学部材の構成等により異なるが、内部光拡散フィルムのみの構成の場合の0度輝度は、6000Cd/m以上が好ましく、6200Cd/m以上がより好ましい。また、内部光拡散フィルムと表面光拡散フィルムの積層系における0度輝度は7000Cd/mが好ましく、7500Cd/m以上がより好ましい。
輝度の広がりについては、例えば、内部光拡散フィルムのみの構成の場合の輝度の広がりは、0度平均輝度に対する60度の平均輝度の比で0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。一方、内部光拡散フィルムと表面光拡散フィルムの積層系の場合は0度の平均輝度向上を目的としており、輝度の広がりは狭くなる。
内部光拡散フィルムは表面光拡散フィルムに比べて平均輝度の広がりが広くできるという特徴を有している。これは、拡散度比率が高いことによるものと推察している。
ただし、本発明の重要要素は、内部光拡散フィルムと基材との間の空気層を排除する効果に基づいており、後述の実施例及び比較例においてはそれぞれこの範囲に適合しない例も例示されている。
【0091】
(好ましい輝度斑)
0%が理想であるが技術的に困難である。10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。
ただし、本発明の重要要素は、内部光拡散フィルムと基材との間の空気層を排除する効果に基づいており、後述の実施例及び比較例においてはそれぞれこの範囲に適合しない例も例示されている。

【実施例】
【0092】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは断りのない限り「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
【0093】
1.全光線透過率
自記分光光度計(UV−3150;島津製作所社製)に積分球付属装置(ISR−3100;島津製作所社製)をセットして、スリット幅12nmで波長300〜800nmの範囲を高速でスキャンし分光スペクトルの測定を行い、550nmにおける透過率で表示した。
該測定においては、試料の主拡散方向が水平方向になるように試料固定器具に固定して測定をした時の値を用いた。主拡散方向は、試料にレーザーマーカーで光を当てて、出射光の拡散方向を検知して決定した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
【0094】
2.半値幅拡散度(配光分布パターンのピークトップの半分の高さにおける角度)
変角分光測色システムGCMS−4型(GSP−2型:株式会社村上色彩研究所製、変角分光光度計GPS−2型)を用いて測定を行った。透過測定モード、光線入射角:0°(フィルム法線方向)、受光角度:−80°〜80°(フィルム法線からの極角。方位角は水平)、光源:D65、視野:2°の条件で、試料の主拡散方向が水平方向になるように試料台に固定(試料台の軸と主拡散方向の軸とのずれは20度程度までは許容される)し、透過光の変角分光光度曲線を求めた。あおり角は0°とした。
5°ピッチで測定した。
上記測定により得られた配光分布パターンのピークトップの半分の高さにおける角度を求め半値幅拡散度とした。
測定に先立ち、株式会社村上色彩研究所製のGCMS−4用の透過拡散標準板(オパールガラス)を用いて装置の校正を行い、該透過拡散標準板の受光角度0度における透過光強度を基準(1.000)として、相対透過度を測定した。なお、前記透過拡散標準板は、積分球式分光計測で空気層を1.000とした時の550nmの透過率が0.3535であった。
本測定は、各試料とも3回測定し、その平均値で表示した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
なお、主拡散方向とは最大の光拡散性が得られるフィルム面内の方向であり、レーザーポインター等を用いて簡単に決定することができる。
【0095】
3.拡散度比率(主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100))
上記の半値幅拡散度と同じ方法で、波長550nmの出射角0°及び30°の透過度を測定して、出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)を求めて%表示した。
試料の両面で表面粗度が異なる場合は、実際に使用する場合の光の透過方向が一致する向きで試料を固定して測定するのが良い。本発明においては、表面粗度が低い方から入光する向きで固定して測定した。
【0096】
4.変曲率
上記2項の半値幅拡散度測定において、光線入射角を−60度に変更する以外は同じ方法で測定を行い、波長550nmにおける0度及び60度の透過度を測定し、それぞれの値を(I60及び(I6060とし、下記式で変曲率を求めた。
変曲率(%)=(I60/(I6060×100
【0097】
5.異方性度
上記と同様の方法で測定した出光角30度における透過率を(I30とした。
また、試料の主拡散方向が垂直方向になるように試料台に固定し、上記と同様の方法で、上記の(I30と直交する方向の出射角30度における透過率(I30を求めた。
異方性度は下記式で算出した。
(I30/(I30
【0098】
6.熱可塑性樹脂のメルトフローレート
JIS K 7210 A法に準拠して、2.16kgfの条件で測定した。
【0099】
7.冷陰極管方式の面光源装置における輝度及び輝度斑
RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて測定を行った。
電通産業株式会社製の冷陰極管タイプの検査用面光源装置(発光部品番 LB350−236及び電源部品番 SWD24−3.2A)の乳白拡散板を取り外して、この乳白拡散板に変えて試料を設置して測定した。
100mm角の開口部を設けた黒色の遮光板を開口部が上記の検査用面光源装置ほぼ中央部になるように設置して測定を行った。
CCDカメラと試料表面間の距離を垂直状態で1mとして、CCDカメラを試料表面に対して−70°から+70°までの間の赤道上を移動させて輝度の角度依存性を測定した。変角はスタートとラストのみ1度、その間は3度ピッチで変角移動をした。輝度の測定は測定部を横方向に3分割、縦方向に9分割し、横方向の中心部の9分割部分の輝度データを読み取り、0度(垂直方向)、30度及び60度の平均輝度を表示した。
また、0度における9データの最大値、最小値及び平均値より下記式により輝度斑を求めて表示した。
輝度斑(%)=(最大値−最小値)/平均値×100
検査用面光源装置は水平の状態で点灯後1時間以上放置後に測定した。ランプ強度は最大値で行った。
測定は暗室で行った。
【0100】
8.LED光源方式の面光源装置による輝度及び輝度斑
295×335mmのアルミ製の筐体に日亜化学社製のLED光源(1Wハイパワータイプ リゲル1W)48個を45mmピッチで、接着剤にて固定し、LED光源表面より60mmの高さの位置に試料を固定して、RISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いて以下の方法で測定を行った。
100mm角の開口部を設けた黒色の遮光板を開口部が上記面光源装置ほぼ中央部になるように設置して測定を行った。測定は2ビットの面積の測定ポイントを21個設定し、その内6個をLED光源の中心部として残り15個をLED光源間の中央部になるように設定をして測定を行った。上記の輝度及び輝度斑(1)とは異なり、0度(垂直)のみの測定を行った。
面光源装置は水平の状態で点灯後1時間以上放置後に測定した。
測定は暗室で行った。
光源スポットの消去性は、下記の基準で評価した。
上記輝度及び輝度斑測定において、面光源装置を点灯させた状態で開口部を肉眼観察して、以下の判定をした。
LED光源の輝点が見えない場合:○
LED光源の輝点が見える場合:×
【0101】
(フィルム製造例1)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を光拡散層とし、第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(アドマー(TM)SE800 三井化学社製 メルトフローレート:5.7(190℃))が両表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより総厚み400μmの両面に熱密着層が積層された内部光拡散フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は40/320/40(μm)であった。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0102】
(フィルム製造例2)
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6015 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:0.41(230℃))50質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))50質量部を池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、梨地加工した冷却ロール(Ra=0.55)で冷却することにより厚み400μmの内部光拡散フィルムを得た。なお、上記冷却ロールの反対面は表面に離型処理をした(Ra=1.0)押さえロールを用いた。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0103】
(フィルム製造例3)
フィルム製造例2において、フィルム厚みを200μmとする以外は、実施例2と同様の方法で内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0104】
(フィルム製造例4)
フィルム製造例1において、フィルム厚みを175μmに、層厚み構成を25/125/25(μm)に変更する以外は、フィルム製造例1と同様の方法で内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0105】
(フィルム製造例5)
フィルム製造例1において、フィルム厚みを126μmに、層厚み構成を18/90/18(μm)に変更する以外は、フィルム製造例1と同様の方法で内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0106】
(フィルム製造例6)
実施例1と同じ樹脂組成の配合組成物を、押し出し温度が、230℃、ブロー比1.3でインフレーション製膜し、厚み50μmの内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0107】
(フィルム製造例7)
真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した実質的に無滑剤のポリエチレンテレフタレート樹脂95質量部と変性ポリプロピレン系樹脂(大日精化(株)社製CAP350)5質量部の混合物を単軸押出機に供給し、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、温度103℃で長手方向に5.0倍延伸し、厚み100μmの内部光拡散フィルム原反を得た。
得られた内部光拡散フィルム原反2枚を内部光拡散フィルム原反の主拡散方向が直交する向きで光学用粘着剤にて貼り合わせて内部光拡散フィルムを得た。粘着剤層の厚みは10μmとした。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0108】
(フィルム製造例8)
真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した実質的に無滑剤のポリエチレンテレフタレート樹脂85質量部とプライムポリマー(株)社製の低密度ポリエチレン樹脂(SP1540)15質量部の混合物を単軸押出機に供給し、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、温度103℃で長手方向に5.0倍延伸し、厚み75μmの内部光拡散フィルム原反を得た。
得られた内部光拡散フィルム原反2枚を内部光拡散フィルム原反の主拡散方向が直交する向きで光学用粘着剤にて貼り合わせて内部光拡散フィルムを得た。粘着剤層の厚みは10μmとした。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0109】
(フィルム製造例9)
フッ素系樹脂(Kynar 720(PVDF)アルケマ社製メルトフローレート:10(230℃、5kgf))50質量部とポリメチルペンテン系樹脂(TPX(TM)DX820 三井化学社製、メルトフローレート:110(260℃、5kgf))50質量部を、池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、鏡面の冷却ロールで冷却することにより厚み100μmの内部光拡散フィルム原反を得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はエアーナイフを用いて行った。また、片面にコロナ処理を施した。
得られた内部光拡散フィルム原反2枚を内部光拡散フィルム原反の主拡散方向が直交する向きで光学用粘着剤にて貼り合わせて内部光拡散フィルムを得た。粘着剤層の厚みは10μmとした。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0110】
(フィルム製造例10)
フッ素系樹脂(Kynar 720(PVDF)アルケマ社製メルトフローレート:10(230℃、5kgf))50質量部と環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.1(230℃、2.16kgf))50質量部を、池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、鏡面の冷却ロールで冷却することにより厚み200μmの異方性内部光拡散フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。また、片面にコロナ処理を施した。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0111】
(フィルム製造例11)
フィルム製造例1において、フィルム厚みを56μmに、層厚み構成を8/40/8(μm)に変更する以外は、フィルム製造例1と同様の方法で内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0112】
(フィルム製造例12)
2台の溶融押し出し機を用い、基材層のA層として、第1の押し出し機にてポリプロピレン樹脂WF836DG3(住友化学社製、住友ノーブレン)100質量部を供給し、拡散層のB層として、第2の押し出し機にてポリプロピレン樹脂WF836DG3(住友化学社製、住友ノーブレン)17質量部とプロピレン・エチレン共重合体 HF3101C(日本ポリプロ社製)83質量部を供給し、ダイス内にてA/Bとなるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度120℃で4.8倍に延伸し、引き続いてテンタ―式延伸機により、165℃で加熱後、155℃の延伸温度で横方向に9倍延伸した。次いで166℃で熱固定を行って、A層及びB層の厚みはそれぞれ22.2μm及び2.8μmである内部光拡散フィルムを得た。巻き取り直前において基層A表面にコロナ処理を行った。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0113】
(フィルム製造例13)
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)50質量部、エチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A0585X)30質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)20質量部を予め2軸の押し出し機で溶融押し出しすることにより得た混練されたポリオレフィン系樹脂組成物を、60mmφ単軸押出機(L/D;22)内で樹脂温度240℃にて溶融混合してTダイで押出した後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度118℃で4.5倍に延伸し、更に横方向に145℃で8.2倍に延伸し、158℃で熱セットをした。引き続きその片面にコロナ処理をして厚み25μmの内部光拡散フィルムを得た。
得られた内部光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0114】
(フィルム製造例14)
厚み100μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、平均粒径が3μmの真球状のアクリル樹脂粒子(東洋紡績社製 タフチック(TM)FH−S300)50質量部とポリウレタン樹脂50質量部の混合物が乾燥後厚みで30μmになるように、塗工機を用いて、塗布および乾燥をすることにより表面光拡散フィルムを得た。
得られた表面光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0115】
(フィルム製造例15)
厚み200μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、透明アクリル系光硬化型樹脂組成物(ダイセルサイテック(株)製、商品名「PETIA」)を塗布し、ロール金型で賦型し、紫外線を照射する紫外線賦型法により、高さが25μmで直径が50μmの半球状のドーム形状の突起が最密充填された形で賦型された表面光拡散フィルムを得た。
得られた表面光拡散フィルムの特性を表1に示す。
【0116】
(実施例1)
厚さ3mmで550nmの全光線透過率が92.2%の透明アクリル板の片面にフィルム製造例1で得た光拡散フィルムを熱接着法で貼り合わせ、光拡散フィルム積層体を得た。
得られた光拡散フィルム積層体を光拡散フィルム側が出光面になるように設置し、前記の冷陰極管方式の面光源装置における輝度及び輝度斑の評価方法で評価した。得られた結果を表2に示す。
本実施例で得られた光拡散フィルム積層体は比較例1〜10との比較において、平均輝度が高く、輝度の角度依存性が小さく、かつ輝度斑が小さく高品質であり、面光源装置に好適に用いることができることが示される。しかも、参考例との比較において示されるごとく、光拡散フィルム1枚の使用で一般に広く使用されているレンズフィルムを含めた複数枚の光学部材を用いた場合よりも高性能な面光源装置が得られる。
【0117】
(比較例1)
光拡散フィルムを熱接着しない透明アクリル板を用いて、実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例1に比べて平均輝度が低く、輝度斑が著しく大きい。
【0118】
(比較例2)
光拡散フィルムを熱接着することなく、単に透明アクリル板上にフィルム製造例1の光拡散フィルムを重ね合わせて実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例1に比べて平均輝度が低く、輝度斑が高い。基材に光拡散フィルムを貼り合せることの効果が示されている。
【0119】
(比較例3)
比較例2の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムに替え、フィルム製造例14の光拡散フィルムを用いる以外は、比較例2と同様にして評価した結果を表2に示す。なお、ビーズコート面を出光側になるように設置して評価した。
実施例1よりは正面(0度)の輝度は高いが輝度の角度依存性が悪化する。さらに、輝度斑が著しく高い。
なお、本比較例で用いたフィルム製造例14の光拡散フィルムは、ヘーズ値が96.7%であり、高拡散性フィルムとして位置づけられる。
【0120】
(比較例4)
実施例1で用いた透明アクリル板の片面に厚み5μmの光学用粘着剤でフィルム製造例14の光拡散フィルムをビーズコート面の反対面で貼り合わせて、光拡散フィルムが出光側になるように設置して評価した。
表面光拡散タイプの光拡散フィルムでは基材との貼り合せによる輝度向上や輝度斑低減の効果が出ないことが示される。
【0121】
(比較例5及び比較例6)
比較例3及び比較例4の方法においてフィルム製造例14の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例15の光拡散フィルムを用いる以外は、比較例3及び比較例4と同様の方法で評価した結果を表2に示す。比較例5が重ね合わせで、比較例6が貼り合せた時の結果である。どちらも賦型面を出光面として設置した。
比較例3及び比較例4と類似の結果が得られ、表面光拡散タイプの光拡散フィルムでは基材との貼り合せによる輝度向上や輝度斑低減の効果が出ないことが示される。
なお、本比較例で用いたフィルム製造例15の光拡散フィルムは、ヘーズ値が94.3%であり、高拡散性フィルムとして位置づけられる。
【0122】
(比較例7及び比較例8)
実施例1及び比較例2の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例11の光拡散フィルムを用いる以外は、実施例1及び比較例2と同様の方法で評価した結果を表2に示す。比較例7が重ね合わせで、比較例8が貼り合せた時の結果である。
内部光拡散フィルムであっても、拡散度比率や変曲率が不足する場合は、本発明の効果が発現されない。
【0123】
(比較例9及び比較例10)
実施例1の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムに替えてそれぞれフィルム製造例12及びフィルム製造例13の光拡散フィルムを厚み5μmの光学用粘着剤で貼り合せる以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
比較例7及び比較例8と同様に、内部光拡散フィルムであっても、拡散度比率や変曲率が不足する場合は、本発明の効果が発現されない。
【0124】
(比較例11)
比較例9の方法において、光拡散フィルムをフィルム製造例10の光拡散フィルムに変える以外は、比較例9と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
内部光拡散フィルムでも全光線透過率が本発明の好ましい範囲を超えた場合は、輝度向上効果が小さくなる。
【0125】
(参考例1)
実施例1の方法において、基材として全光線透過率が44.4%の厚み3mmの乳白のアクリル板に変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
基材の全光線透過率が本発明の好ましい範囲未満では、輝度が低くなる。
【0126】
(実施例2)
実施例1の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムの熱接着を取り止め、該光拡散フィルムと基材とを水を用いて貼り付けるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例1に比べて基材との屈折率差が大きくなるので、輝度向上及び輝度斑の改善効果が実施例1に比べると若干低下する。
【0127】
(実施例3)
実施例1の方法において、光拡散フィルム積層体の光拡散フィルム面が光源側になるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例1と同等の効果が発現された。
【0128】
(実施例4)
実施例1の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムの熱接着を取り止め、フィルム製造例2の光拡散フィルムを厚み5μmの光学用粘着剤で貼り合せるよう変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例1より平均正面輝度が若干低下するが、輝度の角度依存性や輝度斑が実施例1より改善される。
【0129】
(比較例12)
実施例4において、光拡散フィルムを粘着剤で貼り合せることなく、単に透明アクリル板上にフィルム製造例2の光拡散フィルムを重ね合わせて実施例4と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例4に比べて平均輝度が低く、輝度斑が高い。基材に内部光拡散フィルムを貼り合せることの効果が示されている。
【0130】
(実施例5)
実施例4の方法において、フィルム製造例2の光拡散フィルムをフィルム製造例3の光拡散フィルムに変更する以外は、実施例4と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例4より輝度は少し向上するが、輝度斑が実施例4より若干低下する。
【0131】
(比較例13)
実施例5において、光拡散フィルムを粘着剤で貼り合せることなく、単に透明アクリル板上にフィルム製造例3の光拡散フィルムを重ね合わせて実施例5と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例5に比べて平均輝度が低く、輝度斑が高い。基材に光拡散フィルムを貼り合せることの効果が示されている。
【0132】
(実施例6)
実施例5の方法において、フィルム製造例3の光拡散フィルムを基材の両面に貼り合せるように変更する以外は、実施例5と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例5より輝度が少し低下するが、輝度斑が小さくなる。
【0133】
(実施例7)
実施例1の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例4の光拡散フィルムを用いるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価をした結果を表2に示す。
実施例1より輝度斑がやや悪化する。
【0134】
(比較例14)
実施例7において、光拡散フィルムを粘着剤で貼り合せることなく、単に透明アクリル板上にフィルム製造例3の光拡散フィルムを重ね合わせて実施例4と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例7に比べて平均輝度が低く、輝度斑が高い。基材に光拡散フィルムを貼り合せることの効果が示されている。
【0135】
(実施例8)
実施例1の方法において、フィルム製造例1の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例5の光拡散フィルムを用い、かつ基材の両面に熱接着により主拡散方向がお互いに直交するように貼り合せるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で評価した結果を表2に示す。なお、入光の光拡散フィルムの主拡散方向が検査用面光源装置の冷陰極管の長手方向と直交する方向で設置して評価した。
実施例1よりはいずれの特性も悪化するが、上記の比較例よりは優れている。
【0136】
(実施例9及び実施例10)
実施例8において、フィルム製造例5の光拡散フィルムに替え、それぞれフィルム製造例6及びフィルム製造例7の光拡散フィルムを厚み5μmの光学用粘着剤で基材の両面に貼り合せるよう変更する以外は、実施例8と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例8よりは特性が劣るが、比較例よりは優れている。
【0137】
(比較例15)
実施例9において、光拡散フィルムを粘着剤で貼り合せることなく、単に透明アクリル板上にフィルム製造例6の光拡散フィルムを重ね合わせて実施例9と同様にして評価した結果を表2に示す。
実施例9に比べて平均輝度が低く、輝度斑が高い。基材に光拡散フィルムを貼り合せることの効果が示されている。
【0138】
(実施例11)
実施例5の方法において、フィルム製造例3の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例8の光拡散フィルムを用いる以外は、実施例5と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例1とほぼ同等であり、実施例5よりは優れている。
【0139】
(実施例12)
実施例5の方法において、フィルム製造例3の光拡散フィルムに替えてフィルム製造例9の光拡散フィルムを用いる以外は、実施例5と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例5とほぼ同等である。
【0140】
(実施例13)
実施例7の方法において、基材を全光線透過率が67.2%の乳白アクリル板に変更する以外は、実施例7と同様の方法で評価した結果を表2に示す。
実施例7より平均輝度が若干低下するが、輝度斑が半減する。
【0141】
(参考例2)
市販のVA型TVのバックライト装置に用いられている乳白光拡散板/下拡散フィルム/プリズムフィルム/上拡散フィルムよりなる4枚構成の光学部材を冷陰極管方式の面光源装置における輝度及び輝度斑評価方法に用いた冷陰極管方式の検査用面光源装置の乳白拡散板に替えて設置し、冷陰極管方式の面光源装置における輝度及び輝度斑評価方法により評価した。結果を表2に示す。
例えば、実施例1に比較して平均輝度、輝度の角度依存性及び輝度斑のいずれの特性も劣っており、本発明の光拡散フィルム積層体が高性能であることが示された。
【0142】
(実施例14〜16及び比較例16〜18)
実施例1、実施例4、実施例6、比較例2、比較例12、比較例3と同じ積層体を用いて、LED光源の面光源装置における本発明の効果確認を前記のLED光源方式の面光源装置による輝度及び輝度斑測定方法により行った。結果を表3に示す。
LED光源の面光源装置においても、冷陰極管光源の面光源装置と同様に本発明の効果が発現される。
特に、本発明の光拡散フィルム積層体は光源スポットの視認性を大幅に低下することができるという特徴を有しており、本発明の光拡散フィルム積層体を面光源装置に用いることにより、この特性を維持した形で輝度向上ができる。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の光拡散フィルム積層体は、特定の光学特性を有する光拡散フィルムと基材とが特定の構成よりなるので、面光源装置に用いた場合に、面光源装置の出光効率や出光効率の均一性が高められ、面光源装置の高輝度化や高照度化ができ、かつ輝度や照度の均質性を高めることができる。従って、面光源装置の光源の出力低減や、各種光学フィルムの使用枚数を低減することにより面光源装置の経済性を高めることができる。
また、上記面光源装置の使用により、表示装置及び照明装置の性能や経済性を向上することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)〜(iii)を同時に満たす内部光拡散フィルムと550nmの全光線透過率が50〜100%の基材を積層してなり、かつ両者の界面に空気層がないことを特徴とする光拡散フィルム積層体:
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である;
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である;
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
【請求項2】
内部光拡散フィルムが、互いに非相溶性の少なくとも二種の熱可塑性樹脂の混合物よりなる層を含むことを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルム積層体。
【請求項3】
非相溶性の樹脂の少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の光拡散フィルム積層体。
【請求項4】
少なくとも二種の非相溶性の樹脂混合物を溶融押し出し成型してなり、かつ下記(i)〜(iii)を同時に満たすことを特徴する内部光拡散フィルム:
(i)波長550nmの光の全光線透過率が40〜84%である;
(ii)主拡散方向の波長550nmの光の出射角0度における透過度(I)に対する出射角30度における透過度(I30)の割合(I30/I×100)が8.0〜95%である;
(iii)550nmの波長の光の変曲率が4.0〜100%である。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム積層体を片面の出射面に用いてなることを特徴とする直下型面光源装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム積層体を両面の出射面に用いてなることを特徴とする直下型面光源装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の直下型面光源装置を用いてなることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の直下型面光源装置を用いてなることを特徴とする照明装置。

【公開番号】特開2012−73607(P2012−73607A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186913(P2011−186913)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】