説明

光拡散媒体用有機粒子

【課題】溶媒などと混合して有機粒子含有組成物を調製した際には凝集することなく安定分散し、前記有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させると、凝集剤などの添加剤を加えなくても有機粒子の相互作用により凝集して2次粒子を形成する有機粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の有機粒子は、単量体組成物を重合して得られる有機粒子であって、粒子径の変動係数が20%以下であり、疎水性指数が35〜65であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機粒子およびそれを用いた有機粒子含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂を主成分とする有機粒子は、樹脂フィルム用アンチブロッキング剤、トナー用添加剤、粉体塗料、水分散型塗料、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、化粧品用充填剤、クロマトグラフィーのカラム充填剤、艶消し剤など広範な用途に適用されている。このような有機粒子は、懸濁重合、乳化重合、シード重合、分散重合などの製造方法により、粒度分布のブロードな多分散粒子から、粒度が均一の単分散粒子まで製造できることが知られている。
【0003】
このような有機粒子を化粧板用添加剤、艶消し剤などの用途に用いる場合には、有機粒子の屈折率が重要である。また、上記のような有機粒子は、実際の用途に供する場合には、水や有機溶剤などの溶媒に有機粒子を分散させ分散液として用いたり、当該分散液にさらにバインダー樹脂などの樹脂成分を加えて塗料としたりして用いられることが多い。そのため、有機粒子を溶媒やバインダー樹脂と混合して分散液や塗料などの分散体を調製した際に、当該分散体中で有機粒子が凝集することなく均一に分散状態を保つことは、分散体の安定性、取扱い性の観点から極めて重要である。
【0004】
一方、上記の有機粒子を含有する分散体を基材の表面に塗布すると、溶剤の揮発に伴って有機粒子が基材表面に析出することとなるが、従来の粒子では、分散体中の分散状態が基材表面における粒子の分散状態に反映されるものであった。一般的に、有機粒子を凝集させる手段としては、分散体に凝集剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1〜5)が、このような方法では、分散体中での有機粒子の沈降が著しくなり、粒子濃度の均一な分散体が得られないなどの問題があった。
【0005】
また、特許文献6には、透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面に積層された光拡散層とを含む光拡散シートであって、前記光拡散層が、透明バインダー樹脂と樹脂粒子とを含み、前記樹脂粒子が、環状飽和炭化水素基を分子中に有する(メタ)アクリル酸エステルと架橋性単量体とを含む単量体組成物を共重合することによって得られた架橋樹脂粒子であることを特徴とする光拡散シートが開示されている。この技術によれば、光拡散層に傷がつき難く、光拡散層の形成時に塗工ムラが生じにくい樹脂粒子を含む光拡散層を備えた光拡散シートが得られることが知られている。しかし、特許文献6に記載されている架橋樹脂粒子では、基材表面に粒子を凝集させて2次粒子を形成させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−40366号公報
【特許文献2】特開平5−178912号公報
【特許文献3】特開平6−256438号公報
【特許文献4】特開平8−183807号公報
【特許文献5】特開2001−114902号公報
【特許文献6】特開2008−185813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであって、本発明の課題は、溶媒などと混合して有機粒子含有組成物を調製した際には凝集することなく安定分散し、前記有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させると、凝集剤などの添加剤を加えなくても有機粒子の相互作用により凝集して2次粒子を形成する有機粒子、および、そのような有機粒子を含有する有機粒子含有組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明の有機粒子は、単量体組成物を重合して得られる有機粒子であって、粒子径の変動係数が20%以下であり、疎水性指数が35〜65であることを特徴としている。
【0009】
上記範囲の疎水性指数を有する有機粒子は、溶媒などと混合し有機粒子含有組成物を調製した際には、ほぼ全ての有機粒子が凝集することなく1次粒子として溶媒に対して安定分散するにもかかわらず、前記有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させると、有機粒子同士の相互作用により自己凝集し2次粒子を形成して、1次粒子がほとんど存在しなくなるという特異な性質を呈する。また、粒子径の変動係数が20%以下であれば、有機粒子間の自己凝集性が良好となる。その結果、本発明の有機粒子は、凝集剤などの添加剤を加えなくても有機粒子の相互作用により凝集して2次粒子を形成することがきる。
【0010】
本発明の有機粒子は、炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体組成物を重合して得られるものが好ましい。前記単量体組成物に含まれる全単量体100質量%中の前記炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体の含有率は、5質量%以上が好ましい。前記有機粒子は有機重合体骨格と、ポリシロキサン骨格とを有することが好ましい。本発明の有機粒子は、平均粒子径が0.5μm〜40μmであることが好ましい。
【0011】
また、本発明には、前記有機粒子と溶媒とを含有する有機粒子含有組成物も含まれる。前記有機粒子含有組成物は、さらにバインダー樹脂を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶媒などと混合して有機粒子含有組成物を調製した際には凝集することなく安定分散し、前記有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させると、有機粒子の相互作用により凝集して2次粒子を形成する有機粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の有機粒子1を用いた有機粒子含有組成物の溶媒乾燥後のマイクロスコープ観察写真である。
【図2】比較用の有機粒子12を用いた有機粒子含有組成物の溶媒乾燥後のマイクロスコープ観察写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有機粒子は、単量体組成物を重合して得られる有機粒子であって、粒子径の変動係数が20%以下であり、疎水性指数が35〜65であることを特徴としている。
【0015】
前記有機粒子は、単量体組成物を重合して得られるものであれば、特に限定されず、有機重合体粒子、有機無機複合粒子などが挙げられる。
【0016】
前記有機重合体粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミドなどの線状重合体;ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジメタクリレート、アルキレントリアクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレントリメタクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビスアクリルアミド、アルキレンビスメタクリルアミド、両末端アクリル変性ポリブタジエンオリゴマーなどを単独または他の重合性モノマーと重合させて得られる網状重合体;アミノ化合物(例えば、ベンゾグアナミン、メラミンあるいは尿素など)とホルムアルデヒドの重縮合反応により得られるアミノ樹脂からなる有機重合体;などからなる粒子が挙げられる。
【0017】
有機無機複合粒子としては、(オルガノ)ポリシロキサン、ポリチタノキサンなどのメタロキサン鎖(「金属−酸素−金属」結合を含む分子鎖)と有機分子が分子レベルで複合してなる粒子;メチルトリメトキシシランなどのオルガノアルコキシシランの加水分解、縮合反応の進行によって得られるポリメチルシルセスキオキサンなどの粒子;加水分解性シリル基を有するシリコン化合物を原料とするポリシロキサンと重合性基(例えばビニル基、(メタ)アクリロイル基など)を有する重合性単量体などと反応させて得られる粒子;が挙げられる。
【0018】
疎水性指数
本発明の有機粒子は、疎水性指数が35以上65以下であることを必須とする。疎水性指数が65以下であれば、有機粒子を溶媒などと混合して有機粒子含有組成物を調製した際に、有機粒子含有組成物中での有機粒子の分散安定性が高くなり、35以上であれば、有機粒子間の相互作用が高まり、自己凝集性が発現する。
【0019】
ここで、本発明において、自己凝集性とは、有機粒子を溶媒などと混合して有機粒子含有組成物を調製した後、当該有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させた際に、凝集剤などの添加剤を加えなくても、有機粒子同士の相互作用により凝集して2次粒子を形成する性質をいう。なお、本願において2次粒子を形成する状態とは、実質的に殆どの有機粒子が5個以上の単位で凝集した状態で、基材の表面に存在する状態を意味する。
【0020】
有機粒子の疎水性指数は、37以上が好ましく、より好ましくは40以上であり、63以下が好ましく、より好ましくは60以下である。なお、有機粒子の疎水性指数とは、有機粒子の疎水性を示す指数であり、後述する方法によって測定できる。なお、有機粒子の疎水性指数は、有機粒子を構成する単量体の種類、組成比や、有機粒子の平均粒子径を制御することにより、適宜調整することができる。
【0021】
単量体組成物
本発明に用いられる単量体組成物について説明する。前記単量体組成物は、単量体を必須成分として含む。
【0022】
前記単量体組成物は、炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体(以下、「特定有機基含有単量体」ということがある。)を含むことが好ましい。ここで、非架橋性とは、1分子中にビニル基などの重合性基を2個以上有さない単量体である。
【0023】
前記特定有機基含有単量体を含ませることにより、得られる有機粒子の疎水性指数を容易に調整することができる。なお、特定有機基含有単量体は、非架橋性であるために、導入される炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、または環状アルキル基の骨格が有機粒子中で束縛を受けにくい。その結果、自己凝集性の発現に必要な分子間相互作用が有効に働くこととなる。
【0024】
前記炭素数4〜10の直鎖状アルキル基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。前記炭素数4〜10の分岐状アルキル基としては、t−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソへプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などが挙げられる。また、前記炭素数4〜10の環状アルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、イソボルニル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基などが挙げられる。これらのアルキル基はいずれも本発明の自己凝集性の発現に効果を有するものであるが、分子間相互作用を一層有効に働かせる上では、直鎖状アルキル基および分岐状アルキル基が好ましい。
【0025】
前記特定有機基含有単量体としては、例えば、炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。具体的には、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロへプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルなどが挙げられる。これらの特定有機基含有単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの特定有機基含有単量体はいずれも本発明の自己凝集性の発現に効果を有するものであるが、後述する有機粒子の製造方法において、安定に有機粒子中に特定有機基含有単量体を組み込むことができ、且つ、分子間相互作用を一層有効に働かせる点で、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好適である。なお、本願において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物を示し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびこれらの混合物を示すものとする。
【0026】
前記特定有機基含有単量体を用いる場合、単量体組成物に含まれる全単量体100質量%中の特定有機基含有単量体の含有率は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下である。特定有機基含有単量体の含有率を5質量%以上とすることにより、得られる有機粒子間の相互作用をより高めることができ、自己凝集性を向上させることができ、90質量%以下とすることにより、有機粒子を製造する際の重合反応中における粒子間の凝集が起こるのをより抑制することができる。
【0027】
前記単量体組成物は、非架橋性のスチレン系単量体を含むことが好ましい。スチレン系単量体を含有させることにより有機粒子の屈折率を制御でき、得られる有機粒子を化粧板用添加剤、艶消し剤などの用途に好適に用いることができる。前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。これらのスチレン系単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレンが好適である。
【0028】
前記スチレン系単量体を用いる場合、単量体組成物に含まれる全単量体100質量%中のスチレン系単量体の含有率は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。スチレン系単量体の含有率を5質量%以上とすることにより、有機粒子の屈折率を容易に制御することができ、90質量%以下とすることにより、有機粒子間の相互作用が低下することがなく、自己凝集性が良好となる。
【0029】
前記単量体組成物は、シラン系単量体を含有することも好ましい。シラン系単量体を含有させることにより、有機粒子中にポリシロキサン骨格を導入することができる。前記シラン系単量体としては、シロキサン結合を形成し得るものであれば、特に限定されず、例えば、下記式(1)で表される加水分解性を有するシリコン化合物およびその誘導体などが挙げられる。
【0030】
R’mSiX4-m (1)
(式中、R’は置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基および不飽和脂肪族基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、Xは水酸基、アルコキシ基およびアシロキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、mは0から3までの整数である。)
【0031】
前記式(1)で表されるシラン系単量体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどの3官能性シラン系単量体;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの2官能性シラン系単量体;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどの1官能性シラン系単量体などが挙げられる。
【0032】
前記式(1)で表されるシリコン化合物の誘導体としては、特に限定はされないが、例えば、Xの一部がカルボキシル基、β−ジカルボニル基等のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物や、前記シラン化合物を部分的に加水分解して得られる低縮合物などが挙げられる。
【0033】
前記シラン系単量体としては、有機重合体骨格を形成し得る重合性反応基を有する架橋性シラン系単量体が好適である。前記架橋性シラン系単量体が有する前記重合性反応基としては、例えば、下記式(2)、(3)および(4)で表されるラジカル重合性基、エポキシ基、水酸基、アミノ基などを挙げることができる。
【0034】
CH2=C(−Ra)−COORb− (2)
(式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
【0035】
CH2=C(−Rc)− (3)
(式中、Rcは水素原子またはメチル基を表す。)
【0036】
CH2=C(−Rd)−Re− (4)
(式中、Rdは水素原子またはメチル基を表し、Reは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
【0037】
前記式(2)で表されるラジカル重合性基としては、例えば、アクリロキシ基およびメタクリロキシ基などが挙げられる。前記式(3)のラジカル重合性基としては、ビニル基、イソプロペニル基などが挙げられる。前記式(4)のラジカル重合性基としては、例えば、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基などが挙げられる。
【0038】
前記架橋性シラン系単量体としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシランなどのラジカル重合性基を有するもの;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基を含有するもの;3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランなどの水酸基を含有するもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基を含有するもの;などを挙げることができる。これらの架橋性シラン系単量体は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。これらの架橋性シラン系単量体の中でも、ラジカル重合性基を有するものが好ましい。
【0039】
前記シラン系単量体は、1種のみ用いても2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、シラン系単量体を用いてシード粒子を作製する際に、より粒子径の均一なポリシロキサン粒子を得ることができることから、前記式(1)において、m=1であり、Xがメトキシ基またはエトキシ基である3官能性シラン系単量体が好適である。そのため、シラン系単量体としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどの3官能性シラン単量体;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどの3官能性架橋性シラン単量体が好ましく、特に、重合性反応基を有する3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの3官能性架橋性シラン単量体が好適である。
【0040】
なお、シラン系単量体として、前記式(1)において、m=3であるシリコン化合物およびその誘導体のみを使用すると、ポリシロキサン骨格は得られない。そのため、有機粒子にポリシロキサン骨格を導入したい場合には、シラン系単量体として前記式(1)において、m=0,1,2であるシリコン化合物およびその誘導体を含有させる必要がある。
【0041】
前記シラン系単量体を用いる場合、最終的に得られる有機粒子中のSiO2の含有率は、有機粒子の全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。有機粒子中のSiO2の含有率が上記範囲であれば、粒度分布が狭い有機粒子が得られ、また、耐溶剤性に優れるとともに、前記特定有機基含有単量体による有機粒子の自己凝集性を効率よく発揮することができる。なお、有機粒子中のSiO2の含有率は、有機粒子を空気などの酸化性雰囲気中で800℃以上の温度で焼成した前後の質量を測定することにより求めた質量百分率である。
【0042】
前記単量体組成物は、架橋性ビニル系単量体を含むことも好ましい。前記架橋性ビニル系単量体とは、1分子中に2個以上のビニル基を有する架橋性単量体である。具体的には、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、および、これらの誘導体などの芳香族ジビニル化合物;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸などの架橋剤などが挙げられる。これらの架橋性ビニル系単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレート、芳香族ジビニル化合物が好ましく、特にエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンが好適である。
【0043】
架橋性単量体を用いる場合、単量体組成物に含まれる全単量体100質量%中の架橋性単量体の含有率は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、65質量%以下が好ましく、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。架橋性単量体の含有率を5質量%以上とすることにより、得られる有機粒子の耐溶剤性が向上し、溶媒などと混合し有機粒子含有組成物を調製した際に有機粒子が膨潤しにくくなり、当該有機粒子含有組成物中で有機粒子が凝集してしまうことが抑制され、65質量%以下とすることにより、得られる有機粒子の密度が高くなり過ぎず、有機粒子含有組成物中における有機粒子の沈降を抑制できる。なお、架橋性単量体としては、前記架橋性シラン系単量体または架橋性ビニル系単量体が好適である。
【0044】
前記単量体組成物は、前記特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、シラン系単量体および架橋性ビニル系単量体以外の他の単量体を含有してもよいが、単量体として、前記特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、シラン系単量体および架橋性ビニル系単量体のみを含有する態様が最も好適である。
【0045】
単量体組成物に用いられる前記他の単量体としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜3または炭素数11以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数3または炭素数11以上の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレートなどの芳香族アクリル系単量体などが挙げられる。これらの他の単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
また、前記単量体組成物は、必要に応じて各種添加剤を含有してもよく、例えば、顔料、可塑剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などを添加しても良い。これらの添加剤の使用量は、単量体組成物に含まれる全単量体100質量部に対して0.01質量部〜10質量部とするのが好ましく、より好ましくは0.1質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜3質量部である。
【0047】
本発明の有機粒子は、有機重合体骨格と、ポリシロキサン骨格とを有することが好ましい。
【0048】
前記有機重合体骨格の形態としては、有機粒子の硬度を適度に制御できるという理由から、下記式(5)で表される繰り返し単位により構成される主鎖を有する重合体(いわゆるビニル系重合体)であることが好ましい。なお、前記有機重合体骨格は、特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、架橋性ビニル系単量体、架橋性シラン系単量体が有するラジカル重合性基を、ラジカル重合することにより得られるものが好ましい。
【0049】
【化1】

【0050】
前記ポリシロキサン骨格は、下記式(6)で表されるシロキサン単位が連続的に化学結合して構成される骨格である。なお、前記ポリシロキサン骨格は、加水分解性基を有するシリコン化合物の加水分解縮合反応により得られるものが好ましい。
【0051】
【化2】

【0052】
有機重合体骨格とポリシロキサン骨格とを有する有機粒子(以下、「複合粒子」ということがある。)は、シラン系単量体を用いてポリシロキサン骨格を有する粒子(以下、「ポリシロキサン粒子」ということがある。)を作製し、当該ポリシロキサン粒子をシード粒子に用いて、前記特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、架橋性ビニル系単量体および他の単量体を含有する単量体組成物をポリシロキサン粒子に吸収させた後に重合を行うシード重合により得ることができる。
【0053】
前記複合粒子の態様としては、有機重合体骨格中の少なくとも1個の炭素原子と、ポリシロキサン骨格中のケイ素原子が結合している態様が好ましい。具体的には、ポリシロキサン骨格中のケイ素原子が有する有機基と有機重合体骨格中の炭素原子とが結合していることにより、ポリシロキサン骨格と有機重合体骨格とが3次元的なネットワーク構造を構成している態様が好ましい。すなわち、シラン系単量体としてラジカル重合性基を有する架橋性シラン系単量体を用いてラジカル重合性基を含有するポリシロキサン骨格を構成し、当該ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基と、前記特定有機基含有単量体などを重合させることで得られるものが好ましい。
【0054】
具体的には、架橋性シラン系単量体を用いてラジカル重合性基を含有するポリシロキサン粒子を作製し、得られたラジカル重合性基含有ポリシロキサン粒子をシード粒子として、前記特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、架橋性ビニル系単量体および他の単量体を含有する単量体組成物をポリシロキサン粒子に吸収させた後に重合を行うシード重合により得られるものが好ましい。
【0055】
粒子物性
本発明の有機粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。また、有機粒子の平均粒子径は0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、40μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。有機粒子の平均粒子径を0.5μm以上とすることにより、有機粒子と溶媒などを混合して有機粒子含有組成物を調製する際に、有機粒子をより均一に分散させることができ、40μm以下とすることにより、調製後の有機粒子含有組成物中における有機粒子の沈降を抑制することができる。ここで、本発明における「平均粒子径」とは、個数平均粒子径を指すものとし、コールター原理を使用した精密粒度分布測定装置(例えば、商品名「コールターマルチサイザーIII型」、ベックマンコールター株式会社製)により測定される値とする。
【0056】
また本発明の有機粒子の粒子径における変動係数は、20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下である。粒子径の変動係数が20%を超えると、有機粒子間の自己凝集性が低下するおそれがある。なお、粒子径の変動係数の増大により有機粒子の自己凝集性が低下する理由は必ずしも明らかではないが、個々の有機粒子のバラツキが大きいと、有機粒子の表面積にもバラツキが生じることとなるため、有機粒子間の相互作用が不均一となり、自己凝集性が低下すると考えられる。ここで、本発明において粒子径の変動係数とは、コールター原理を使用した精密粒度分布測定装置により測定される有機粒子の平均粒子径と、有機粒子の粒子径の標準偏差とを下記式に当てはめて求められる値である。
有機粒子の変動係数(%)=100×粒子径の標準偏差/平均粒子径
【0057】
本発明の有機粒子の屈折率は、好ましくは1.50以上であり、1.62以下が好ましく、より好ましくは1.60以下である。有機粒子の屈折率が上記範囲内であれば、例えば、有機粒子を光学用途などでより良好な光散乱特性を得ることができる。
【0058】
本発明の有機粒子の真比重は、1.00(g/cc)〜1.50(g/cc)であることが好ましく、より好ましくは1.00(g/cc)〜1.40(g/cc)であり、さらに好ましくは1.00(g/cc)〜1.35(g/cc)である。真比重が1.00(g/cc)より小さいと粒子が含まれる組成物中で粒子が受ける浮力の影響で、アルキル基による自己凝集効果が不十分となるおそれがある。また、真比重が1.50(g/cc)を超える場合には重力による粒子の沈降の影響で自己凝集効果が不十分となるおそれがある。
【0059】
有機粒子の製造方法
本発明の有機粒子の製造方法について説明する。本発明の有機粒子の製造方法は、前記単量体組成物を重合させる工程を有する。単量体の重合態様としては、前記シラン系単量体の重合については加水分解縮合が好適であり、前記特定有機基含有単量体、非架橋性スチレン系単量体、架橋性ビニル系単量体、架橋性シラン系単量体が有するラジカル重合性基の重合についてはラジカル重合が好適である。なお、重合方法としては、懸濁重合、シード重合、分散重合、乳化重合などの従来公知の重合方法を採用することができ、これらの中でも粒度分布の狭い有機粒子が得られ、前記特定有機基含有単量体を効率よく粒子中に取り込むことができることからシード重合が好適である。
【0060】
シード重合法
シード重合法を採用した場合の有機粒子の製造方法について説明する。シード重合法による製造方法は、シード粒子製造工程、吸収工程および重合工程を有する。
【0061】
シード粒子製造工程は、前記単量体組成物に用いられる単量体の一部を用いて、シード重合法に用いられるシード粒子を製造する工程である。
【0062】
前記シード粒子としては、例えば、前記シラン単量体から得られるポリシロキサン粒子、前記非架橋性スチレン系単量体から得られるポリスチレン粒子などが好適に使用される。これらの中でも、得られる有機粒子にポリシロキサン骨格を容易に導入できることからポリシロキサン粒子が好ましく、特にポリシロキサン骨格と有機重合体骨格とが3次元的なネットワーク構造を構成している有機粒子を作製できることから、架橋性シラン系単量体から得られるラジカル重合性基含有ポリシロキサン粒子が好適である。
【0063】
シード粒子として用いられる前記ポリシロキサン粒子は、前記シラン単量体を、水を含む溶媒中で加水分解して、縮重合反応させることにより得ることができる。加水分解と縮重合は、一括、分割、連続など、任意の方法を採用できる。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒としてアンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの塩基性触媒を好ましく用いることができる。
【0064】
前記水を含む溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤を含めることができる。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;イソオクタン、シクロへキサンなどの(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0065】
加水分解、縮合を行う際には乳化剤を併用してもよい。乳化剤としては、水溶性高分子、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。前記アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸油;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩などのポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。
【0066】
前記カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などが挙げられる。前記両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。前記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、トラガント、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの乳化剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合時における粒子間の安定性をより高めることができるため、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0067】
加水分解および縮合は、原料となる前記シラン単量体と、触媒や水および有機溶剤を含む溶媒を混合した後、温度0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上70℃以下で、30分以上100時間以下撹拌することにより行うことができる。
【0068】
シード粒子として用いられる前記ポリスチレン粒子は、非架橋性スチレン系単量体を重合することで得られ、当該重合方法としては、従来用いられる方法を採用することができ、例えば、ソープフリー重合、分散重合などが挙げられる。
【0069】
吸収工程は、シード粒子に、シード粒子の作製に用いた単量体を除いた残りの単量体組成物を吸収させる工程である。単量体組成物を吸収させる方法は、シード粒子の存在下に、単量体組成物を存在させた状態で吸収が進行するものであれば特に限定されない。例えば、シード粒子を分散させた溶媒中に単量体組成物を加えてもよいし、単量体組成物を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよい。特に、シード粒子としてポリシロキサン粒子を用いる場合には、加水分解、縮合反応で得られたポリシロキサン粒子を反応液(ポリシロキサン粒子分散液)から取り出すことなく、当該反応液に単量体組成物を加える方法は、工程が複雑にならず、生産性に優れるため好ましい。
【0070】
なお、吸収工程においては、前記シード粒子の構造中に単量体組成物を吸収させるが、単量体組成物の吸収が速やかに進行するように、シード粒子および単量体組成物それぞれの濃度や、混合の処理方法、手段、混合時の温度や時間、混合後の処理方法、手段などを設定し、その条件のもとで行うのが好ましい。これらの条件は、用いるシード粒子や単量体組成物に含まれる単量体の種類などによって、適宜その必要性を考慮すればよい。また、これら条件は1種のみ適用しても2種以上を合わせて適用してもよい。
【0071】
吸収工程における単量体組成物の仕込み量は、シード粒子1質量部に対して0.5質量部以上とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、50質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。単量体組成物の仕込み量が、少なすぎると重合による粒子径の増加が小さくなり、また、多すぎると単量体組成物が完全にシード粒子に吸収されず、媒体中で独自に重合して異常粒子を生成するおそれがある。
【0072】
前記吸収工程において、単量体組成物の添加のタイミングは特に限定されず、該単量体組成物を一括で加えておいてもよいし、数回に分けて加えてもよいし、任意の速度でフィードしてもよい。また、単量体組成物を加えるにあたっては、単量体組成物のみで添加しても、単量体組成物の溶液を添加してもよいが、単量体組成物を予め乳化剤で水または水性媒体に乳化分散させたモノマーエマルションを、シード粒子に混合することが、シード粒子への吸収がより効率よく行われるため好ましい。
【0073】
前記乳化剤は特に限定されないが、例えば、前記加水分解、縮合を行う際に使用される乳化剤と同様のものが使用できる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤は、シード粒子や、単量体組成物を吸収したシード粒子の分散状態を安定化させることもできるので好ましい。これら乳化剤は、1種のみを使用しても2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記乳化剤の使用量は、前記単量体組成物に含まれる単量体の総質量100質量部に対して0.01質量部以上とすることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。前記乳化剤の使用量が、0.01質量部未満の場合は、安定なモノマーエマルションが得られないことがあり、10質量部を超える場合は、乳化重合などが副反応として併発してしまうおそれがある。前記乳化分散については通常、前記単量体組成物を乳化剤とともにホモミキサーや超音波ホモジナイザーなどを用いて水中で乳濁状態とすることが好ましい。
【0075】
また、単量体組成物を乳化剤で乳化分散させる際には、単量体組成物の質量に対して0.3倍以上10倍以下の水や水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、イソブタノール、sec‐ブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0076】
前記吸収工程は、0℃以上60℃以下の温度範囲で、5分間以上720分間以下、撹拌しながら行うのが好ましい。これらの条件は、用いるシード粒子や単量体組成物に含まれる単量体の種類などによって、適宜設定すればよく、これらの条件は1種のみ、あるいは2種以上を合わせて採用してもよい。
【0077】
前記吸収工程において、単量体組成物がシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、単量体組成物を加える前および吸収工程終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、単量体組成物の吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。
【0078】
重合工程は、単量体組成物を重合反応させる工程である。重合反応は特に限定されないが、例えば、重合開始剤を用いる方法、紫外線や放射線を照射する方法、熱を加える方法など、いずれも採用可能である。
【0079】
前記重合開始剤としては、通常、重合に用いられるものはいずれも使用可能であり、例えば、過酸化物系開始剤や、アゾ系開始剤等が使用可能である。前記過酸化物系開始剤としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。前記アゾ系開始剤としては、ジメチル2,2−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0080】
前記重合開始剤の使用量は、前記単量体組成物に含まれる単量体の総質量100質量部に対して、0.001質量部以上とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。前記重合開始剤の使用量が、0.001質量部未満の場合は、単量体の重合度が上がらない場合がある。前記重合開始剤の前記溶媒に対する仕込み方については、特に限定はなく、最初(反応開始前)に全量仕込む方法(重合開始剤を単量体組成物と共に乳化分散させておく態様、単量体組成物が吸収された後に重合開始剤を仕込む態様);最初に一部を仕込んでおき、残りを連続フィード添加する方法、または、断続的にパルス添加する方法、あるいは、これらを組み合わせた手法など、従来公知の手法はいずれも採用することができる。
【0081】
重合する際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎる場合には、重合度が十分に上がらず有機粒子の耐溶剤性が低下する傾向があり、一方、反応温度が高すぎる場合には、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。尚、前記ラジカル重合する際の反応時間は用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎる場合には、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎる場合には、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。
【0082】
重合工程で製造された有機粒子は、重合後の反応液を冷却した後、ろ過を行うことで回収できる。なお、粒子を取り出す方法として、遠心分離を行ってもよい。なお、有機粒子の表面に多量の界面活性剤が残存する場合には、前記特定有機基含有単量体に由来する炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基の効果、すなわち自己凝集性の発現が不十分となる場合がある。そのため、製造後の有機粒子は洗浄することが好ましい。有機粒子の洗浄は、水や各種有機溶媒を使用することができる。これらの中でも、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、あるいはこれらの混合液で洗浄することが好ましい。
【0083】
有機粒子含有組成物
本発明の有機粒子含有組成物について説明する。本発明の有機粒子含有組成物は、前記有機粒子と溶媒とを含有することを特徴とする。
【0084】
前記有機粒子は溶媒に対して安定分散し、且つ、自己凝集性を有するため、前記有機粒子含有組成物は、凝集剤などを添加しなくても、溶媒を揮発させるだけで有機粒子の2次粒子を形成させることができる。具体的には、例えば、前記有機粒子含有組成物を基材へと塗工して、当該有機粒子含有組成物中の溶媒を揮発させるだけで、基材表面に有機粒子の2次粒子を点在させることができ、有機粒子による艶消し効果を容易に発現させることができる。
【0085】
前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエンなどの芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
また、本発明の有機粒子含有組成物は、有機粒子および溶媒に加えて、さらにバインダー樹脂を含有してもよい。前記バインダー樹脂は、特に限定されず、透明性、有機粒子分散性、耐光性、耐湿性および耐熱性などの要求される特性に応じて、使用されるものであればいずれも用いることができる。
【0087】
前記バインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;(メタ)アクリルウレタン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;メラミン系樹脂;スチレン系樹脂;アルキド系樹脂;フェノール系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、アルキルポリシロキサン系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアルキド系樹脂、シリコーンウレタン系樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル系樹脂等の変性シリコーン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテルポリマーなどのフッ素系樹脂などが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、温気硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの硬化性樹脂でもよい。
【0088】
また、上記の他にバインダー樹脂として、合成ゴムや天然ゴムなどの有機系バインダー樹脂や、無機系結着剤などを用いることもできる。前記有機系バインダー樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。無機系結着剤のバインダー樹脂としては、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シリコンアルコキシドおよびそれらの(加水分解)縮合物ならびにリン酸塩などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に好ましいバインダー樹脂は(メタ)アクリル系樹脂である。
【0089】
前記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系重合体である。これらの中でも、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたはシクロへキシルアクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
【0090】
前記電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などがアクリル変性されたもの;多価アルコールなどの多官能化合物の(メタ)アクリレートのオリゴマーまたはプレポリマー;反応性希釈剤などが挙げられる。これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーが挙げられる。
【0091】
その他の成分
また、本発明の有機粒子含有組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、有機粒子、溶媒およびバインダー樹脂に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、架橋剤、光重合開始剤、レベリング剤、無機フィラー、顔料、染料、可塑剤、重合安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記架橋剤を含有させることにより、バインダー樹脂中の重合体を架橋剤よって架橋させることができる。前記架橋剤成分の使用量、添加および分散方法等は特に限定されない。前記架橋剤としては、例えば、バインダー樹脂が水酸基を有する場合には、多官能イソシアネートを用いればよい。
【0093】
前記バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂を使用する場合には、光重合開始剤を添加することが好ましい。前記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類などを挙げることができる。前記光重合開始剤の具体例としては、例えば、チバ・ジャパン社から市販されている「イルガキュア(登録商標)184」を挙げることができる。
【0094】
前記光重合開始剤の添加量は、バインダー樹脂中の多官能モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは7質量部以下である。
【0095】
なお、有機粒子含有組成物に光重合開始剤を添加する場合には、光増感剤を併用することが好ましい。前記光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
【0096】
前記レベリング剤を添加することにより、有機粒子含有組成物を基材フィルムへ塗工する時や乾燥時に、塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性を向上させることができる。前記レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系のものが挙げられる。レベリング剤の具体例としては、例えば、ビックケミー社から市販されている「BYK320」が挙げられる。
【0097】
前記無機フィラーを添加することにより、有機粒子含有組成物から形成される硬化層の屈折率を高めることができる。無機フィラーを添加する場合、無機フィラーの添加量は、有機粒子含有組成物の固形分全質量の10質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、90質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
【0098】
前記無機フィラーとしては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズおよびアンチモンの群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物からなるものが好ましい。前記無機フィラーの平均粒子径は、0.2μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.06μm以下である。このような平均粒子径を有する無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分に小さいために散乱が生じず、バインダー樹脂に当該無機フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として作用する。なお、無機フィラーの平均粒子径は、体積平均粒子径を指すものとし、動的光散乱原理を使用した粒度分布測定装置により測定される値とする。
【0099】
本発明の有機粒子含有組成物中の有機粒子含有量は0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。有機粒子含有量が0.5質量%以上であれば、有機粒子含有組成物中の有機粒子密度が低くなりすぎず、自己凝集によってより良好な2次粒子を形成でき、80質量%以下であれば、有機粒子含有組成物中の有機粒子密度が高くなりすぎず、組成物調製段階で有機粒子をより良好に分散できる。
【0100】
前記有機粒子含有組成物から溶媒を揮発させることにより形成される2次粒子は、各々の2次粒子を構成する1次粒子の個数が5個以上であることが好ましく、より好ましくは10個以上である。2次粒子を構成する1次粒子の個数が上記範囲であれば、有機粒子による艶消し効果がより良好となる。なお、有機粒子含有組成物から得られる2次粒子を構成する1次粒子の個数は、有機粒子含有組成物中の有機粒子含有量、溶媒およびバインダー樹脂の種類などを変更することにより、適宜調整することができる。
【0101】
用途
本発明の有機粒子および有機粒子含有組成物は、化粧品、つや消し膜、マットフィルムや、光拡散フィルム、光拡散膜付き光拡散板、反射フィルム、反射防止防眩フィルムなどの光拡散媒体に好適に使用される。
【実施例】
【0102】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。各種測定および評価方法は以下に従って行った。
【0103】
(1)平均粒子径
精密粒度分布測定装置(商品名「コールターマルチサイザーIII」、ベックマンコールター株式会社製)を用いて、有機粒子の平均粒子径、標準偏差を測定した。また、得られた測定結果から、下記式を用いて有機粒子の粒子径の変動係数を算出した。
変動係数(%)=100×(標準偏差/平均粒子径)
【0104】
(2)屈折率
有機粒子0.5gを二硫化炭素40gに分散させて有機粒子分散液を調製した。次いで、スターラー用いて有機粒子分散液を撹拌しながら、この有機粒子分散液にエタノールを滴下していき、当該有機粒子分散液が目視で透明と判断されるまでエタノールを滴下した。有機粒子が透明になるまでに滴下したエタノールの質量と二硫化炭素の質量(40g)から、有機粒子分散液が透明となった時点でのエタノール/二硫化炭素質量比に相当する二硫化炭素−エタノール混合液を調製し、この混合液の屈折率をアッベ屈折計(アタゴ社製、NAR−1T)にて測定し、得られた値を有機粒子の屈折率とした。
【0105】
(3)疎水性指数
底部に撹拌子を置いた200mlのガラスビーカーに、イオン交換水50mlを投入し、水面に有機粒子0.2gを浮かべた後、撹拌子を緩やかに回転させる。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端を沈め、撹拌子を緩やかに回転させながら、前記有機粒子添加から5分後に、ビュレットからメタノールを徐々に導入する。メタノールは1mlずつ導入し、1ml導入する度に3分撹拌を行い、また1mlずつ導入した。水面の有機粒子の全量が完全に水中に沈むまで(水面に浮いている有機粒子がなくなった状態)メタノールの導入を続け、水中に有機粒子が完全に沈んだときのメタノール導入量(ml)を測定し、下式に基づき疎水性指数を求めた。
疎水性指数(%)=100×メタノール導入量(ml)/(イオン交換水の量(ml)+メタノール導入量(ml))
なお、ビュレットからメタノールを添加する前に、水面に浮かべた有機粒子が水中に完全に沈んだ場合は、疎水性指数を0と判定した。
【0106】
(4)有機粒子含有組成物中での分散安定性および溶媒乾燥後の凝集性
有機粒子含有組成物を顕微鏡により観察し、有機粒子含有組成物中での有機粒子の分散安定性を下記の基準で評価した。次いで、有機粒子含有組成物をバーコーターNo.10を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、放置して溶媒を乾燥させた。溶媒が乾燥した後、顕微鏡により有機粒子の凝集性を観察し、下記の基準で評価した。
評価基準
組成物中での分散安定性
○:ほとんどの粒子が凝集せず1次粒子として均一に分散し、粒子の沈降も見られない。△:1次粒子と2次粒子が混在している、もしくは一部の粒子が沈降している。
×:ほとんどの粒子が凝集し、2次粒子を形成している。
溶媒乾燥後の凝集性
○:ほとんどの粒子が凝集し、2次粒子を形成している。
×:ほとんどの粒子が個々に分散し、1次粒子として存在している。
【0107】
製造例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水526質量部と25モル%アンモニア水溶液1.6質量部、メタノール118質量部を入れ、撹拌しながらこの混合液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−503)20質量部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合を行ってシード粒子となるポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は1.2μmであった。
【0108】
続いて、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業社製、ハイテノールNF−08)2.0質量部をイオン交換水175質量部で溶解した溶液に、単量体としてのスチレン(St)165質量部、t−ブチルメタクリレート(t−BMA)65質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2質量部を溶解した溶液を加えてTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により6000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションをポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、ポリシロキサン粒子が単量体組成物を吸収して肥大化していることが確認された。
【0109】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し単量体組成物のラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、定量濾紙No.5C)を用いて濾過して、重合生成物のケーキを濾取した。次いで、得られたケーキをメタノールで洗浄し再度濾過を行い、濾取したケーキを100℃で6時間乾燥した。乾燥後の粒子を、粉砕機(日本ニューマチック工業社製、「実験室用超音速ジェット粉砕機 LJ Type」)にて、粉砕圧4kgf/cmで粉砕し有機粒子1を得た。得られた有機粒子1の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0110】
製造例2
イオン交換水を426質量部、メタノールを218質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして有機粒子2を得た。
【0111】
製造例3
イオン交換水を376質量部、メタノールを268質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして有機粒子3を得た。
【0112】
製造例4
単量体を、スチレン(St)190質量部、t−ブチルメタクリレート(t−BMA)40質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子4を作製した。得られた有機粒子4の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0113】
製造例5
単量体を、スチレン(St)210質量部、t−ブチルメタクリレート(t−BMA)20質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子5を作製した。得られた有機粒子5の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0114】
製造例6
単量体を、スチレン(St)165質量部、n−ブチルメタクリレート(n−BMA)65質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子6を作製した。得られた有機粒子6の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0115】
製造例7
単量体を、スチレン(St)103質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)175質量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学株式会社製、DVB960)22質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子7を作製した。得られた有機粒子7の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0116】
製造例8
単量体を、スチレン(St)103質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)175質量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学株式会社製、DVB960)22質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子8を作製した。得られた有機粒子8の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0117】
製造例9
単量体を、スチレン(St)103質量部、ラウリルメタクリレート(LMA)175質量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学株式会社製、DVB960)22質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子9を作製した。得られた有機粒子9の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0118】
製造例10
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水90質量部、スチレン10質量部、n−デシルメルカプタン0.5質量部、NaCl0.1質量部を入れ、1時間窒素を流して反応器内の窒素置換を行った。その後反応液を70℃に昇温させて、続いて0.1質量部の過硫酸カリウムを溶解させたイオン交換水溶液を、注射器を用いて反応液に注ぎ込んだ。その後、70℃で24時間反応を行った。反応終了後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄して、シード粒子となるポリスチレン粒子を調製した。得られたポリスチレン粒子を、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は1.2μm、粒子の変動係数は8.9%であった。
【0119】
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、上記で得たポリスチレン粒子0.5質量部、イオン交換水50質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05質量部を加え均一に分散させた。さらにポリビニルアルコールの3質量%水溶液20質量部を加えて、撹拌しポリスチレン粒子の分散液を調製した。
【0120】
続いて、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水50質量部で溶解した溶液に、単量体としてのスチレン(St)3.80質量部、t−ブチルメタクリレート(t−BMA)8.68質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)1.41質量部、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル0.70質量部を溶解した溶液を加えてホモジナイザーにより乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションを上記で調製したポリスチレン粒子の分散液に添加して、さらに撹拌を行った。
【0121】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で70℃に昇温させて、70℃で2時間保持し単量体組成物のラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、定量濾紙No.5C)を用いて濾過して、重合生成物を濾取した。得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄して、80℃で12時間真空乾燥させて有機粒子10を得た。得られた有機粒子10の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0122】
製造例11
単量体を、スチレン(St)3.80質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)8.86質量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学株式会社製、DVB960)1.41質量部に変更したこと以外は製造例9と同様にして有機粒子11を作製した。得られた有機粒子11の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0123】
製造例12
単量体を、スチレン(St)165質量部、メチルメタクリレート(MMA)65質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子12を作製した。得られた有機粒子12の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0124】
製造例13
単量体を、スチレン(St)103質量部、メチルメタクリレート(MMA)175質量部、ジビニルベンゼン(新日鐵化学株式会社製、DVB960)22質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子13を作製した。得られた有機粒子13の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0125】
製造例14
単量体を、スチレン(St)165質量部、ライトエステルL−8(共栄社化学社製、アルキル(炭素数12〜炭素数15)メタクリレート)(L−8)65質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子14を作製した。得られた有機粒子14の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0126】
製造例15
単量体を、スチレン(St)165質量部、ライトエステルIM−A(共栄社化学社製、イソミリスチルアクリレート(炭素数14))(IMA)65質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)70質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして有機粒子15を作製した。得られた有機粒子15の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0127】
製造例16
単量体を、スチレン(St)3.8質量部、メチルメタクリレート(MMA)8.86質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)1.41質量部に変更したこと以外は製造例9と同様にして有機粒子16を作製した。得られた有機粒子16の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0128】
製造例17
単量体を、スチレン(St)3.8質量部、ライトエステルL−8(共栄化学社製)8.86質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)1.41質量部に変更したこと以外は製造例9と同様にして有機粒子17を作製した。得られた有機粒子17の単量体組成および、各評価結果を表1に示した。
【0129】
【表1】

【0130】
有機粒子1〜11は、いずれも単量体として特定有機基含有単量体(炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基または環状アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体)を含有するものである。これらの有機粒子1〜11は、疎水性指数が37〜61であった。有機粒子12,13,16は、単量体として、炭素数4未満の直鎖状アルキル基を有する非架橋性メタクリル酸単量体を含有するものであるが、いずれも疎水性指数が22〜30と低い値であった。有機粒子14,15,17は、単量体として炭素数10超の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基または環状アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体を含有するものであるが、いずれも疎水性指数が70〜74と高い値であった。
【0131】
製造例18
表2に記載の配合となるように、上記で得た有機粒子1〜17、溶媒およびバインダー樹脂を十分に混合して有機粒子含有組成物を調製した。各有機粒子含有組成物について、有機粒子含有組成物中での分散安定性および溶媒乾燥後の凝集性を評価し、結果を表3に示した。
【0132】
【表2】

MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
TMP−A:トリメチロールプロパントリアクリレート
【0133】
【表3】

【0134】
疎水性指数が35〜65である有機粒子1〜11を用いた有機粒子含有組成物は、溶媒としてトルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールのいずれを用いた場合でも、組成物中での有機粒子の分散安定性が良好であった。また、これらの有機粒子1〜11を用いた有機粒子含有組成物は、さらにバインダーとしてトリメチロールプロパントリアクリレートを含有させた場合でも、組成物中の有機粒子の分散安定性が良好であった。
【0135】
そして、上記の有機粒子1〜11を用いた有機粒子含有組成物は、いずれも溶媒乾燥後の有機粒子の凝集性が良好であった。有機粒子1を用いた有機粒子含有組成物(配合No.1−1)の溶媒乾燥後のマイクロスコープ観察写真(倍率1000倍で撮影)を図1に示した。ほとんどの有機粒子が凝集して、二次粒子を形成していることが確認できた。
【0136】
疎水性指数が35未満である有機粒子12,13,16を用いた有機粒子含有組成物は、溶媒としてトルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールのいずれを用いた場合でも、組成物中での有機粒子の分散安定性が良好であった。また、これらの有機粒子12,13,16を用いた有機粒子含有組成物は、さらにバインダーとしてトリメチロールプロパントリアクリレートを含有させた場合でも、組成物中の有機粒子の分散安定性が良好であった。しかしながら、これらの有機粒子12,13,16を用いた有機粒子含有組成物は、いずれも溶媒乾燥後の有機粒子の凝集性が悪かった。有機粒子12を用いた有機粒子含有組成物(配合No.1−1)の溶媒乾燥後のマイクロスコープ観察写真(倍率1000倍で撮影)を図2に示した。ほとんどの有機粒子が凝集することなく個々に分散し、一次粒子のままで存在していることが確認できた。
【0137】
疎水性指数が65超である有機粒子14,15,17を用いた有機粒子含有組成物は、溶媒としてトルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールのいずれを用いた場合でも、組成物中での有機粒子の分散安定性が悪かった。また、これらの有機粒子14,15,17を用いた有機粒子含有組成物は、さらにバインダーとしてトリメチロールプロパントリアクリレートを含有させた場合でも、組成物中の有機粒子の分散安定性が悪かった。なお、これらの有機粒子14,15,17を用いた有機粒子含有組成物は、いずれも溶媒乾燥後の有機粒子の凝集性が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の有機粒子および有機粒子含有組成物は、化粧品、つや消し膜、マットフィルムや、光拡散フィルム、光拡散膜付き光拡散板、反射フィルム、反射防止防眩フィルムなどの光拡散媒体に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体組成物を重合して得られる有機粒子であって、
粒子径の変動係数が20%以下であり、疎水性指数が35〜65であることを特徴とする有機粒子。
【請求項2】
前記単量体組成物が、炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体を含有するものである請求項1に記載の有機粒子。
【請求項3】
前記単量体組成物に含まれる全単量体100質量%中の前記炭素数4〜10の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する非架橋性(メタ)アクリル系単量体の含有率が、5質量%以上である請求項1または2に記載の有機粒子。
【請求項4】
有機重合体骨格と、ポリシロキサン骨格とを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機粒子。
【請求項5】
平均粒子径が0.5μm〜40μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機粒子と溶媒とを含有することを特徴とする有機粒子含有組成物。
【請求項7】
さらにバインダー樹脂を含有する請求項6に記載の有機粒子含有組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−57177(P2012−57177A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278725(P2011−278725)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2008−253802(P2008−253802)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】