説明

光捕捉表面構造を備えたペイン

本発明は、ガラスを歪ませることなしに熱処理しかつ強化することのできる線形の構造の構成要素により良好な光捕捉特性を作り出す透明なガラス又は合成材料のペインに関する。本発明は、前記の結果が、平行な構成要素(1)のグループ(2)を基材の表面に全体的に形成し、該構成要素の縦方向の伸びの配向が1つのグループから次のグループへ互い違いであることによって達成されることを特徴としている。さらに、構成要素は、それらの縦方向の伸びに付加された曲げ備えることができ、それによって低遮へい効果の配向されていない反射画像を得ることが可能となる。このペインは、太陽エネルギーを利用するよう設計された太陽電池部品のカバーとして使用することが好ましいが、建築部門における装飾的な目的(ガラス張りのドア、飾り棚用のガラスペイン)のために使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明なペイン、透明なペインを製造する方法、及び特にはペインの独立請求項のプリアンブルに記載される特徴を有する表面構造を備えたガラスペインに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はまた、このような表面構造を有するペイン、方法の実施に適した装置又はツール(工具)、並びにペインの好ましい使用に関する。
【0003】
本発明はまた、本発明によるペインを含むアセンブリ、及びペインを横切った後の光エネルギーを捕集できる部材に関する。
【0004】
ガラスは、有機(又は合成)又は無機、即ち、シリカ系のものであることができる。それはすべての場合において硬質材料から作られる。
【0005】
欧州特許第0493202号明細書から、基材に付された構造が、互いに同一の角錐状のくぼみであって、該くぼみの最も大きな寸法よりも小さい距離だけ互いに離れた角錐状のくぼみから形成された規則的な表面構造を備えた透明なペインが知られている。図柄として与えられる角錐又は角錐部は、六角形又は正方形の底部領域によって作ることができるが、それらはすべてほぼ平坦な側面を有する。
【0006】
さらに、型押と底部から突き出た角錐との組み合わせが記載されている。とりわけ、調和した全体的につやのない外観のために、良好な光拡散特性及び構造を形成する個々の図柄の存在の視覚的検出の低下がこのようにして得られる。
【0007】
さらに、国際公開第03/046617号パンフレットから、特には、太陽熱収集器における太陽電池及び太陽光発電モジュール、平らなプラズマ放電ランプ、画像投影スクリーン及び投影機と組み合わせられるペインのために、光の伝達及び光効率を改善した幾何学的なレリーフ形態の表面構造を備えた透明なプレート(ペイン)の製造及び使用が知られている。幾何学的な構造の図柄は、特にはペインの構造化された側の表面全体に関して凹状であることができ、即ち、初期の基材に熱間圧延することができるか、又は別の適切な方法で形成することができる。一般的には、図柄は、サンドブラスト法又はエッチング法によって得られるものとは異なり周期的である。しかしながら、技術的な製造の理由(横行速度、成形シリンダーの軸を心出しする際のばらつき、シリンダー上の圧延材料の付着など)から、この周期性を所望の精度で再現することが常に可能であるというわけではない。
【0008】
このため、これらの構造化された表面のペイン上で、入射光が、同じ平面又は1つの及び同じペイン中で互いのそばに配置又は設置された同じ表面の図柄を備えたペインによって様々に反射される光学現象が確立される。とりわけ、取り付け位置に応じて、表面の一部がきらきらとそして輝いて反射することができ、一方で表面の直接隣接した平行部分がほぼつやのない外観を有する。
【0009】
たとえこの外観が純粋に視覚的及び美的なものであるとしても、この外観はペインの他方の側に位置する部材、例えば、検出器への光の伝達を低下させるものでは全くない。
【0010】
ペインの位置による明るさの印象の変化の原因は以下のとおりである。理想的なケースの完全に規則的な構造は、光の所与の入射角度に関して、反射が完全に特定された方向に生じ、その付近の角度範囲では生じない特徴的な反射の図柄を有する。ガラスのある領域において、上記した製造のばらつきのために、構造が(わずかに)異なる仕方でガラス表面に形成されると、ガラスのその領域の反射の特徴的な方向は(別の角度で)別の方向に配向される。結果として、観測者がガラスの一部の反射方向にいるがガラスの他の部分の反射方向にはいない状況が生じる。したがって、ガラスの1つの領域は明るい外観(反射)を有し、残りの領域は暗い外観を有する。原則として、この効果はまた、滑らかな表面を有するガラス上で生じるが、その表面は、例えば、湾曲し、太陽及び観測者の所与の位置に関して特定の場所でのみ明るい反射の外観を同様に有する。
【0011】
しかしながら、避けられない製造のばらつきにもかかわらず、特定の取り付け状況において光の反射の規則的な様子をこれらのガラスに与える可能性を求めることが可能である。
【0012】
また、その縦方向の伸びが横方向の寸法を明らかに超える基材の表面において、溝又はリブによって良好な光捕捉特性を獲得できることが知られている。米国特許第4,411,493号明細書は、夏(空調)と冬(加熱)の両方においてエネルギーの節約に寄与しなければならない建物の窓のためのペインを開示している。平行なラインの線形の図柄により、光の入射角に強く依存した反射又は吸収挙動がこの構成で得られる。取り付け位置に応じて、(雨)水は溝に沿って流れることができ、したがって固体粒子を運ぶことができるので、これらの表面は汚れの影響を受けにくい。
【0013】
Solar Energy,53,2,171〜176頁(1994)「A.Scheydecker,A.Goetsberger,V.Wittwer,Reduction of reflection losses of PV−modules by structured surfaces」では、真っすぐなライン(溝)において構造化されたガラス表面によって光を捕捉する作用が記載されている。
【0014】
上記の規則的な表面構造に関する反射の問題に加えて、そのようにして提供されるガラスペインが熱硬化されなければならない場合に、真っすぐなラインにおいて伸びる長い構造に関して別の問題が生じることがある。連続的な溝が同時にペインの厚さ断面において凸凹(不均一性)を構成し、ガラス表面上に特別な(優先的な)方向を特徴付けると、これらの構造が存在している場合に、ガラスペインが変形又は波状に動くのを防ぐことができず、したがって、多くの適用において平坦でなくなり実用的でなくなることを防ぐことができない。同様の問題は、その波形が表面の溝と類似し、特定の方向が他の方向よりも優先するという事実によっても特徴付けられる波形シートに関して知られている。波形シートはこの方向に対して垂直には容易に曲げることができるが、他の方向には曲げることができない。基本的には、ガラスにおいて、ガラスの一方の方向が他の方向よりも強い機械的性質を有する場合に、硬化の際に材料において生じる応力が曲げを生じさせるという結果が同じ状況である。
【0015】
ガラスを硬化する際のそりや曲げの問題を解決するために、改質された表面構造が可能な限り汚れをくっつけ難いものでなければならず、かつそれが容易に洗浄されなければならないという事実に注意を払うことも必要である。
【0016】
表面が互いに平行なラインを備えるが、そのラインの幾つかは真っすぐなラインにおいて伸び、他のラインが円弧状に伸びるラインを備えた粗いはけ筋タイプの構造を有する「SGG Paint」という商品名のペインが知られている。個々のはけ筋は、すべて限定的な長さを有し、様々な方向に伸び、区別して配列されていない。
【0017】
「SGG Geo」ガラスパターン(独国実用新案第9109087.3号明細書)は、互いに平行で、かつ30°の角度による方向の変化によって不規則な蛇行において配置された複数のラインである幾何学的形状を有する。
【0018】
主として固体ガラスドアのための装飾的な目的で用いられ、家具のためのグレージングとして用いられるガラスの公知の実用新案の両方は、最初に記載した細かい表面構造(ミリメートル程度以下の寸法を有する)と比較して、その詳細が遠距離でさえ肉眼で検知することができる非常に大きな寸法(長さ、レリーフ)を有する。
【0019】
さらに、これらの公知の構造化はあまり深くなく、フランクの角度は光捕捉効果を作り出すのに十分鋭くない。このガラスの実用新案の実施態様では、実際、ペインはどんな場合でも硬化されなければならないという事実が考慮されている。
【発明の開示】
【0020】
本発明の根底にある課題は、良好な光捕捉特性を有し、汚れにくく、そして熱処理、例えば、硬化の際に歪みにくい表面構造を備えたガラスペインを製造する方法を提案することである。当該方法の実施に特に適した装置を作り出すこともまた必要である。
【0021】
方法に関して、この課題は、方法の独立請求項の特徴を有する本発明によって解決される。
【0022】
装置の独立請求項の特徴は、対応する成形装置を提案している。使用の独立請求項の特徴は、方法及び/又は装置に従って製造される透明なペインの特に好ましい使用を記載している。各独立請求項に従属する下位の請求項の特徴は、本発明の有利な開発を与えている。
【0023】
本発明の基本的な目的は、光捕捉特性を有し、一方で、水の流れによる自己洗浄の良好な特性を有し、歪むことなしに熱処理、例えば、ガラスペインの硬化に適した表面を得ることである。
【0024】
とりわけ、観察角度の小さな変更のために反射の強さにおける鋭い(顕著な)変化の形成を回避することが必要である。
【0025】
基本的には、これは、主として、一般に細長いこれらの構成要素にもかかわらず、構造が反射光の配向の優先的な方向を有しておらず、機械的な観点から弱い領域の存在をさらに回避するという事実によって得られる。
【0026】
これらの構成要素(部材)は、一般的にはペイン自体の表面に直接作り出される。したがって、それらは、ペイン自体と同じ材料からその表面上に構成される。それゆえ、これらの構成要素(又はこの模様)はペインに固定された追加の層から生じる。これらの構成要素は、例えば、角柱タイプであることができ、断面において見ると、これらの構成要素は、例えば、三角形の断面を有することができる。
【0027】
第1の解決策においては、アセンブリ全体は、互いに平行な細長い構成要素によって構成される構造グループ(くぼみ/溝及び/又はレリーフ/リブ)において形成することにより得られ、各グループはそれ自体分離可能であり、2つのすぐ連続するグループの構成要素の縦方向の配向が互いに斜めに配置されている。上記の公知の実用新案「SGG Geo」とは異なり、2つの隣接するグループの構成要素間の直接的な移行はこの構成では得られない。
【0028】
本発明による別の解決策では、構造の平行な構成要素はすべて規則的な曲線において、好ましくは規則的な波状起伏の形態において伸びる。
【0029】
有利な開発においては、グループに配置される平行な構成要素の縦方向の伸びに沿ってこれらの規則的な曲線を形成し、それゆえ、一方で光の反射を非常により強く分散させ、もう一方で光の捕捉効果をさらに最適化することも可能である。
【0030】
有利な実施態様では、構造の構成要素を三日月の形に曲げることができる。この場合、各グループの平行な構造の構成要素は、同時に互いに入れ子にすることができる。
【0031】
有利な開発では、平坦な表面全体(角錐の面、真っすぐなラインの溝のフランクなど)はペインの表面上には形成されず、それどころか、反射表面のすべてが湾曲している。たとえこれらの曲線がペインの表面全体に沿って伸びているとしても、構成要素のくぼみ又はレリーフの方向において曲部を達成することができる。
【0032】
「ペインの表面全体」という語は、ペインの主要な表面の表面又は平面を意味するものである。
【0033】
したがって、得られる結果は、観察の同じ方向において光(平行な光線のビーム)の大きな反射を投影する可能性のある連続的な表面がないということになる。このことは、結果として、観察角度(又は光の入射角)の小さな変更がある場合でさえ、ペインの表面上に同じ反射ピークがもはや見られないことを意味している。反射方向の横方向の長さの規模の構造の幅又はサイズに関するこの大きく速い変化のために、実際、すべての方向に伝播し、それゆえ、光を非常に大きく拡散する反射が得られる。
【0034】
他方では、しかしながら、これらの形状は、直接放射線であるか又は拡散光であるかにかかわらず、入射光の非常に大きな割合を捕捉することも可能である。それゆえ、このように具備されたペインは、好ましくは太陽エネルギーを使用することを意図した(とりわけ平坦な)部材(太陽電池又は光起電力セル又は光エネルギーによって加熱されることを意図した物体、例えば、黒体、例えば、加熱に必要とされる水を含むダクト又はタンク)の被覆に適している。
【0035】
同時に、本発明によれば、透明なペインが屋外で用いられた場合(例えば、太陽エネルギーを使用することを意図しかつ水平に対して傾斜して取り付けられた平坦な部材のカバーとして特に好ましい適用)、細長い構造の構成要素の間に基材の表面全体に対して平行なほぼ平坦な狭いラインが常に形成され、水のための流路が形成されるので、構造化された表面は汚れの影響をあまり受けないことを確実にすることが可能である。
【0036】
したがって、本発明はまた、野外で、好ましくは水平に対して傾斜した位置において、雨水がその模様付けされた表面上を流れることができるように、本発明によるペインの屋外での使用にも関する。実際、本発明による図柄を含む表面は、光源(この場合は太陽)に対面していることを意図され、光源に対面する側からペインの他方の側に配置された捕集部材に光を伝達するために光を可能な限り多く捕捉することを意図される。
【0037】
ペインが取り付け位置にある場合には、構造の構成要素の縦方向の伸び全体が取り付け勾配に対して少なくとも斜めに配向されるようにペインを配向することが推奨される。構造の構成要素の縦方向の伸び全体は、これらの端部間の接続によって大体規定することができるか、又は波状起伏のある構造の構成要素の場合には、波状起伏が振動する中心ラインによって規定することができる。構造の構成要素の縦方向の伸びに付加される形状として曲げ又は波状起伏を考慮することができる。
【0038】
構造の構成要素の細長くかつわずかに湾曲した構成はまた、特に縦方向の伸びのすべてが水平に対して斜めに取り付けられる場合には、自然の成り行きで水の流れに有利に働く。
【0039】
これは、構造の構成要素が基材表面にくぼみの形態で作られる場合又はそれらが突き出る(レリーフの形態で構造の構成要素から突き出る)ように作られる場合に起こる。くぼんだ構成要素とレリーフの構成要素から構成される混合形状も可能である。しかしながら、移行又は境界領域では、基材又はペインの表面の初期の平面にほぼ配置される少なくとも幾つかの中間ラインが見出される。
【0040】
流水(雨水であるか又は洗浄水であるかにかかわらず)は、公知であるように、汚れの粒子を運び、それゆえ、表面上の汚れの残留物を低減する。本発明による構成要素のグループの構造では、たとえ水が重力及び取り付け勾配のために真っすぐなラインで簡単に流れることができないとしても、水はグループとグループの間に形成されるジグザクの下方の通路を見つけ、それによって流れる。
【0041】
好ましい開発では、構造の構成要素は、各グループが規定の数の平行な曲線状の構成要素、好ましくは縦方向に湾曲した規定の数の平行な曲線状の構成要素によって構成されるように、規定の長さのグループにおいて組み立てられる。したがって、各グループは明確な視覚的な縦方向の配向を有し、(外部の)構成要素の曲げに対応する曲線状又は波状起伏の横方向のラインを示す。本発明によれば、互い違いの配向を有するこれらのグループのすべては相互に隣接しており、中間の空間がない。
【0042】
このような要件の結果は、グループが一般に各グループにおいて多角形(好ましくは四角形又は正方形)を形成する角を有するということである。
【0043】
グループの詰まった連続及びそれらの配向の相互のオフセット(埋め合わせ)のために、構造の構成要素の両側から端部に接続される各グループの横方向のラインが、場合により構造の構成要素において存在する湾曲に対応するよう湾曲していなければならない。なぜなら90°ずれかつ湾曲した横方向の縁を備えた別のグループがこれらのグループのそれぞれに直接接続されるからである。これは、第一に図面を観察すると直ちに知ることができる。各グループの外部の構造の構成要素は、ある角度、好ましくは当該グループの構造の構成要素の縦方向の伸びに対して直角に伸びる。
【0044】
個々の構造の構成要素が曲線である場合、複数のグループの間の上記境界における中間ラインは、真っすぐなラインにおいてもはや伸びることができないが、その伸びの全体的な方向(又は整列ライン)は多かれ少なかれ強い波状起伏を示す。それゆえ、その厚さがすぐ近くの厚さよりも局所的に小さいペインの幅又は長さ全体にわたって(真の溝を構成する)連続した真っすぐなラインはもはやない。ペインを局所的に薄くする溝又は真っすぐなラインがないために、ペインの局所的な弱化が避けられる。
【0045】
構造化の作成後に硬化される無機ガラスペインに本方法が適用される場合には、同時に、硬化操作の際に従来技術の幾つかのペインに関して生じる場合のあるガラスペインの変形/曲げが大きく回避される。
【0046】
これらの表面構造の本明細書で記載される適用(光電池、光捕捉作用の向上)は1つの側及び1つの面上での構造化が好ましいが、そして両方の面上での構造化は所望の効果に関して有害な場合があるが、本明細書で記載される表面構造は、明らかにペインの両面の上に作り出すことができるか、又は装飾的な目的で製品(例えば、ガラス張りのドア又は家具用のペイン)上に存在することができる。
【0047】
好ましい製造方法、即ち、圧延のみによる製造方法が本明細書において記載される場合でも、他の方法、例えば、ダイを用いた型押又は型による鋳造は除外されない。射出鋳造用型のキャビティの壁に適切な表面構造を付与することによる合成材料からなるペインのための圧力注入法において、本発明による表面構造を使用することを考慮することさえ可能である。
【0048】
これらのペインの製造方法を実施するための本発明による装置は、結果として、少なくとも1つのツール(シリンダー又は平坦なプレス表面、例えば、射出成形のキャビティの壁)を、ツールとの接触によってペインの表面に付されなければならない構造のネガティブ型の形態である表面上に含む。
【0049】
いずれの場合においても、ペインの塑性的に変形可能な材料は、高温でツールと接触され、塑性変形により、ツールによって規定される構造化がその接触表面において次第に高まる。理想的な構造に関する上記のばらつきは明らかには避けることができないが、ペインの特定の材料の挙動とツールの詳細な構造の調和によって低減することができる。
【0050】
本発明はまた、本発明によるペインを含むアセンブリ、及び該ペインを横切る光エネルギーを捕集することのできる部材に関し、部材はペインに対面して配置され、ペインは部材の側とは反対側に表面構造を含む。それゆえ、ペインは両方の面に構造を有することもできるが、必ずしも必要ではない。それゆえ、表面構造は、いやおうなしに光エネルギーの捕集部材の側とは少なくとも反対側にある。部材は、特には光起電力セル又は光エネルギーによって加熱されることを意図した物体(例えば、黒体)、例えば、加熱に必要とされる水を含むダクト又はタンクであることができる。この部材が光起電力セルである場合には、ペイン及び部材は一般に並置され、ペインを構成する材料の屈折率よりも大きな屈折率を有する樹脂が必要に応じてペインと光起電力セルの間に置かれる。
【0051】
本発明の主題の他の詳細及び利点は、例となる実施態様の図及び以下に与えられるその説明から明らかになろう。
【0052】
図は簡略化されており、原寸に比例していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図1は、長さ方向において中断されるか又は規定長さの構成要素1に分割され、かつただ1つの縦方向の寸法を本質的に有する構造に基づいたペインPの光捕捉表面構造のデザインの例を示す。各構成要素1は、ペインの表面において溝の形でくぼみをつけられている。しかしながら、本発明の範囲内で、レリーフの構成要素(ポジティブ型の構成要素又はリブの形の構成要素)、及びくぼんだ構成要素とレリーフの構成要素を有する混合形態を使用することも可能である。
【0054】
ペインの表面構造は、これらの細長い構成要素1の表面セクション又はグループ2に分割される。その長さがわずかに湾曲した4つの個々の構成要素1によってすべて構成されるこれらのグループ2は、ペインPの表面全体にわたってチェック(市松模様)パターンにおいて分布し、互いに隣接するグループの配向は、(ペイン又は表面の平面において)互いに90°回転している。それゆえ、グループは規則的な周期的繰り返しによって形成される。それをより明確に示すために、3つの隣接するグループ2をグループの角によって画定される正方形3で囲んでいる。
【0055】
このようにして、(図面において斜めの)チェックパターン又は「織り込まれた」表面の全体的な外観が得られる。観察の各角度において反射される画像では、平行な入射(太陽)光がグループの半分だけしか観測者の方へ反射されないことが予想されなければならない。この結果は、グループ間の配向が互い違いであることから生じる。
【0056】
図面では、記される四角形の辺が弦(コード)を形成するラインを振動させることですべての辺に関してグループの境界が定められることが明らかにわかる。構成要素10の縦方向の伸びでは、これは単にその湾曲から生じる。構成要素の2つの端部で、湾曲の効果は、次に続くグループの湾曲した横方向の縁が90°回転した外側の構成要素に接続されなければならないという事実によって与えられる。
【0057】
他方で、図2は、真っすぐな構成要素1’が形成され、しかしながら、図1と同様に、その配向角度が一定である4つのグループ(正方形)に厳密に同じように配置されているという事実によって図1のものとは区別された変形態様を示す。
【0058】
たとえ図1及び2のこれらの好ましい実施態様において、各グループの角が正方形を制限するとしても、これは必須の規定ではない。それどころか、グループは、本発明による構成の原則から逸脱することなく、長方形又は他の多角形のような形状の周囲を有することもできる。グループは、もっぱら、それらがそれぞれの方向において、可能であれば接続なしで、連続して配置することができなければならず、そして上記タイプの弱い真っすぐなラインの場所がグループ間に伸びることがないという条件に従っていなければならない。グループの構成要素の平行性は、表面の全体的な規則的で視覚的な外観を得るために有利である。
【0059】
したがって、いずれの場合においても、表面構造のこの実施態様は、真っすぐなラインで伸びる弱い場所がペイン中に形成されないという利点を有する。なぜならこの実施態様はすべての方向において湾曲及び歪曲に対して実質的に一定の抵抗性を有するからである。
【0060】
構造の個々の構成要素は、ペインの厚さに調製された長さを有することができる。言い換えると、ガラスが厚くなると、構造の構成要素の可能性のある幅寸法が大きくなる。この依存は、フランク角が好ましくは少なくとも45°でなければならず、それゆえ、その寸法が最小の有利な深さを規定するという事実から生じる。くぼんだ構造のケースでは、基材に「穴を開ける」ことを避けることが望ましい場合に、構造の深さは明らかにペインの厚さを超えることはない。理論は、小さい値の方向における寸法に限定を課すものではない。実際、短い長さの限定は、表面を形づくる技術的な条件から生じる。表面がガラスの圧延又は鋳造操作において成形される場合には、表面構造は、構造化されたシリンダーの助けを借りて約1000度で高温のガラスに型押しされ、実際に現在の技術水準で有効に使用することができる最も小さい横方向の寸法は約1mmであるということがわかっている。
【0061】
これまで横方向の寸法に関して説明したことは、個々の構造化された構成要素の構造の幅に関するのみであり、それゆえ、個々の構造の構成要素の縦方向の伸びに垂直な伸びに関するものである。縦方向の伸びの長さは、すべての方向において実質的に一定の機械的性質を確実にするためにペインの横方向の縁の合計長さよりも短い。
【0062】
図3は、互いに平行に伸び、図1及び2に示される構成要素1と同様に、もっぱら1つの縦方向の寸法を本質的に有する波状起伏形態の構造の構成要素10を備えたペインPの表面の別の実施態様を示す。これは、縦方向に対して横方向の構成要素の寸法が縦方向の伸びの値よりも小さいことを意味する。構造の構成要素10の縦方向の伸びに対して横方向の断面プロファイルはジグザグ又は波状起伏のラインを与え、フランクの(平均)角度は要件に従って変更することができる。好ましくは、縦方向の伸びの局所的な配向に対して垂直な表面のフランクの勾配は45°であり、この結果は、上記の断面において、直角又は二等辺三角形の連続が得られるということである。
【0063】
しかしながら、フランクの表面は、構造の構成要素が縦方向の伸びにおいて湾曲している場合に、フランクの球状に湾曲した表面を得ることができるように、交互に上下していることができる。さらに、ピークと谷は平坦であってもよいし又は丸くてもよい。この場合、さらに、少なくとも45°でなければならない平均のフランク角を規定することが可能である。
【0064】
表面がこのように構成されると、入射光の反射角は、観察の角度に応じて各ラインに沿って非常に素早く変化し、これは、入射光が拡散して(矢印20のグループ)又は平行な光線(矢印30のグループ)において達するという事実に関係なく起こる。したがって、反射光の良好な拡散を得ることができる。反射した画像では、これらの波状の構造の構成要素は、グループ化された短い構成要素のものと同様の効果を有し、図1に示された互いに関するオフセットを有する。
【0065】
この配置の本質的な効果はまた、このように処理されたペインのすべての方向における高い剛性であり、特には構造の構成要素の全体的な縦方向の伸びに平行に伸びる軸の周りの曲げに対する高い抵抗性である。真っすぐなラインで伸びる構造の構成要素とは異なり、ペインの取扱いの際、また、記載したように、このようにして構造化されたガラスペインの硬化の際に、うねりや破壊を生じさせる場合のある真っすぐなラインにおいて得られる「弱い点」がない。
【0066】
最後に、表面構造は、むしろ長い距離で、(例えば、好ましくは1mm未満の幅で作られる)構造の構成要素の細かさに応じて、波状の図柄の形状を見ることができないような高い平坦性を示す。
【0067】
図4は、その主要な表面31及び32が構成要素の縦方向の伸びにおいて曲がっている4つの平行な角柱の構成要素のグループを示す。これらの平行な構成要素の角柱形状の断面(三角形の断面)によって光の捕捉が改善される。これらの構成要素は対称な平面58を含む。対称な平面58に平行な平面に含まれる各二等分線33は、プレート34の一般的な平面に対して垂直である。複数のこれらの構成要素は、図1に示されるように、即ち、一方のグループから別のグループへ互い違いの配向を有する伸びによって組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】制限された長さの平行に曲げられた構成要素がその配向が互い違いであるグループにおいて配置された本発明による表面構造の第1の実施態様を示す。
【図2】制限された長さの平行な構成要素が曲げられていない本発明による表面構造の第2の実施態様を示す。
【図3】表面に伸びる平行な構成要素が長さ方向に波状起伏を示す本発明による表面構造の第3の実施態様を示す。
【図4】2つの主要な表面31及び32が構成要素の縦方向の伸びにおいて曲げられている4つの平行な角柱の構成要素のグループを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面上に形成され、その伸びが本質的に縦方向でありかつ横方向の伸びよりも本質的に大きい構成要素を含む三次元表面構造を有する、透明なペイン、特にはガラスからなる透明なペインであって、全体として、平行な構成要素(1)のグループ(2)が前記基材の表面上に形成され、該構成要素の縦方向の伸びの配向が1つのグループから別のグループへ互い違いであることを特徴とする、透明なペイン。
【請求項2】
前記グループ(2)が多角形の範囲内で記すことができることを特徴とする、請求項1に記載のペイン。
【請求項3】
前記グループの角が長方形又は正方形(3)を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のペイン。
【請求項4】
前記グループ(2)が互いに直接隣接していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項5】
チェックの視覚的な外観が得られるように、互いに隣接するグループ(2)の平行な構造の構成要素(1)の縦方向の伸びが全体としてグループ(2)間で90°の角度で形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項6】
構造の構成要素(1)が、横方向と縦方向の伸びとにおけるフランクの勾配が平均で少なくとも45°である溝及び/又はリブの形態で作られたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項7】
各グループ(2)の互いに平行な構成要素(1)がそれらの縦方向の伸びに対して曲げて形成されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項8】
平行な構造の構成要素が三日月の形状を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項9】
基材の表面上に形成され、横方向の伸びよりも本質的に大きい本質的に細長い伸びを有する構成要素を含む三次元表面構造を備えた、透明なペイン、特にはガラスからなる透明なペインであって、該構成要素が互いに平行に形成され、それらの縦方向の伸び全体にわたって互い違いの曲げ又は波状起伏を有することを特徴とする、透明なペイン。
【請求項10】
構造の構成要素(1)のフランクの表面が、くぼみ又はレリーフの方向に変更された勾配で形成されたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項11】
この方法によって製造されたガラスペインが、次いで熱的又は化学的に硬化されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のペイン。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のペインを圧延又は型押によって製造する方法。
【請求項13】
くぼみの形態の個々の図柄を示す1つ又は複数のシリンダーを用いて圧延により構造が作られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ペインがガラスからなり、型押又は圧延後、それが熱的又は化学的に硬化されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のペインと、該ペインを横切る光エネルギーを捕集することができる部材とを含むアセンブリであって、該部材が該ペインに対面して配置され、該ペインが該部材に対面する側と反対側に表面構造を含む、アセンブリ。
【請求項16】
前記部材が光起電力セルであることを特徴とする、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記ペインと前記部材が並置され、該ペインを構成する材料の屈折率よりも高い屈折率を有する樹脂が必要に応じて該ペインと前記光起電力セルの間に配置されたことを特徴とする、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法を実施するために、少なくとも1つの型表面がペインに適用されなければならない表面構造のネガティブ形状を有する、表面構造を備えた透明なガラスからなるペインを製造するための成形装置であって、該ネガティブ形状が、全体的に縦方向の伸びを有する平行な構造の構成要素のグループを有し、第1のグループの構造の構成要素の端部が隣接するグループの外部の構造の構成要素の縦方向の伸びに沿って配置されるように、直接に連続するグループが縦方向の伸びに沿って互いに回転していることを特徴とする、成形装置。
【請求項19】
前記構造の構成要素が、縦方向の伸びに付加された曲げを示すことを特徴とする、請求項18に記載の成形装置。
【請求項20】
前記構造の構成要素が、縦方向の伸びに対して垂直な方向に伸びるフランクで曲げをさらに示すことを特徴とする、請求項18又は19に記載の成形装置。
【請求項21】
太陽エネルギーを使用することを意図した建物部材を被覆するためのペインとしての、請求項1〜11のいずれか1項に記載のペイン(P)の使用。
【請求項22】
前記ペインが鉛直方向に対して傾いた位置に取り付けられ、構成要素の縦方向の伸びが水平に対して、好ましくは常に45°傾いていることを特徴とする、請求項21に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−508147(P2009−508147A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516390(P2008−516390)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050550
【国際公開番号】WO2006/134300
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】