説明

光断層撮像装置及びその制御方法

【課題】 断層画像からコヒーレントノイズによるアーチファクトを除去すること。
【解決手段】 本発明に係る光断層撮像装置は、光源からの光を分割して得られた参照光と、該分割により得られた測定光が、被検査物の複数の層で反射した複数の反射光とを合波して画像を得る際に、これら反射光の干渉により発生したアーチファクトを取得するアーチファクト取得手段と、アーチファクトと前記被検査物の第一の断層画像とに基づいて該被検査物の第二の断層画像を取得する取得手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光断層撮像装置及びその制御方法に関し、特に眼科診療等に用いられる光断層撮像装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、光学機器を用いた眼科用機器として、様々なものが使用されている。例えば、眼を観察する光学機器として、前眼部撮影機、眼底カメラ、共焦点レーザー走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)、等様々な機器が使用されている。中でも、多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)による光断層画像撮像装置は、試料の断層画像を高解像度に得ることができる装置であり、眼科用機器として網膜の専門外来では必要不可欠な装置になりつつある。以下、これをOCT装置と記す。
【0003】
上記OCT装置によると、低コヒーレント光である測定光を、サンプルに照射し、そのサンプルからの後方散乱光を、干渉系または干渉光学系を用いることで高感度に測定することができる。また、OCT装置は、該測定光を該サンプル上にスキャンすることで、高解像度の断層画像を得ることを可能とする。そのため、被検眼の眼底における網膜の断層画像が取得され、網膜の眼科診断等において広く利用されている。
【0004】
一方、断層画像を取得する際に被検物内に高反射層が複数存在すると、複数の高反射層で反射された光同士で干渉し合い、結果として断層画像中の本来構造がないはずの場所にアーチファクトが発生する。このアーチファクトはコヒーレントノイズと呼ばれる。コヒーレントノイズは前述の通り被検物内での干渉であり、被検物内の反射率が高く、OCT装置の感度が高いほど顕著に発生することが特徴である。また、高反射層の位置は被検物によって異なるため、コヒーレントノイズの位置および強度は、測定ごとに異なることも特徴である。
【0005】
非特許文献1においては、コヒーレントノイズを低減させる解決策の1つとして、OCT装置の感度を設計段階で低くしておくことが記載されている。
【0006】
また特許文献1においては、コヒーレントノイズではなく、断層画像の自己相関成分を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−038910号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Coherent noise−free ophthalmic imaging by spectral optical coherence tomography/J.Phys. D:Appl. Phys. 38(2005)2606−2611
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に開示される技術では、OCT装置の感度を設計段階で低くし、コヒーレントノイズをバックグランドのノイズレベルと同一にすることで、コヒーレントノイズを低減させている。これによりコヒーレントノイズを目立たなくすることが可能である。
【0010】
しかしながら、OCT装置の感度を設計段階で低くすることで、OCT装置の感度を犠牲にしているため、本来OCT画像として取得したい信号も同様に低下してしまう。それによって、観察したい構造が明瞭に取得できないといったことが発生する。
【0011】
一方特許文献1に開示される発明においては、測定光路と参照光路のそれぞれの光路中に配置された光の透過率を制御する手段を用いて自己相関成分を除去することを行っている。この自己相関成分は、0ディレイ位置に被検物の場所によらず均一の強度が得られるため、時間変動のみを測定すれば、自己相関を除去可能である。しかし、被検物の場所ごとに輝度が異なり、また常に出現するとは限らないコヒーレントノイズについてはこれを除去することが実質的にできない。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、本来OCT画像として取得したい信号を低下させることなく、場所ごとに異なるコヒーレントノイズを除去し、コヒーレントノイズのない断層画像の撮像ができる光断層撮像装置及びその制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、次のように構成した光断層撮像装置を提供するものである。
すなわち、本発明の光断層撮像装置は、測定光を照射した被検査物からの戻り光を、該測定光に対応する参照光とを合波した合波光に基づいて、該被検査物の断層画像を取得する光断層撮像装置であって、前記被検査物の複数の層で反射した複数の反射光の干渉により発生したアーチファクトを取得するアーチファクト取得手段と、前記アーチファクトと前記被検査物の第一の断層画像とに基づいて該被検査物の第二の断層画像を取得する取得手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、次のように構成した光断層撮像装置の制御方法を提供するものである。
すなわち、本発明の光断層撮像装置の制御方法は、測定光を照射した被検査物からの戻り光と、前記測定光に対応する参照光とを合波した合波光に基づいて、前記被検査物の断層画像を取得する光断層撮像装置の制御方法において、前記被検査物の複数の層で反射した複数の反射光の干渉により発生したアーチファクトを取得する工程と、前記アーチファクトと前記被検査物の第一の断層画像とに基づいて前記被検査物の第二の断層画像を取得する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、OCT装置の感度を低くすることなく、眼底部における複数の層で反射し、複数の層で反射した複数の反射光どうしが干渉することにより発生するコヒーレントノイズを除去し、アーチファクトのないOCT画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態における光断層画像撮像装置の構成を示す図。
【図2】(a)は、本発明の第1及び第2の実施形態におけるOCT装置の断層画像の取得時の被検眼が観察されている状態について示す図。(b)は、被検眼の断層画像の一例を示す図。(c)は、網膜上で測定光をラスタースキャンする状態を示す図。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施形態における眼底の断層画像とコヒーレントノイズを説明する図であって、コヒーレントノイズが断層画像上に出現している場合を示す図。(b)は、コヒーレントノイズが断層画像上に出願していない場合を示す図。(c)は、参照光を遮断して測定光のみで取得した画像を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態における測定フローを示す図。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施形態におけるタイミングチャートを示す図。(b)は、プレスキャンと本スキャンとを順次切換えながら測定する際のタイミングチャートを示す図。
【図6】(a)は、本発明の第1の実施形態における網膜上のスキャンの方式を示す図であって、コヒーレントノイズが断層画像上に出現している場合の模式図。(b)は、(a)に対してコヒーレントノイズが出現していない場合の模式図。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態における眼底の断層画像とコヒーレントノイズを説明する図。
【図8】本発明の第2の実施形態における測定フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る光断層撮像装置は、複数の層を有する被検査物(例えば、網膜等の多層構造)の断層画像が表示手段の表示領域(フレーム内)にない状態から、コヒーレントノイズに基づくアーチファクトを取得することができる。なお、コヒーレントノイズとは、複数の層で反射した複数の反射光どうしが干渉することにより発生するノイズのことである。ここで、アーチファクトは、虚像とも呼ぶ。また、別の本発明の実施形態に係る光断層撮像装置は、表示手段の表示領域内における異なる位置の断層画像(すなわちコヒーレンスゲートが異なる断層画像)から、コヒーレントノイズに基づくアーチファクトを取得することができる。これらにより、断層画像(第一の断層画像とも呼ぶ)からコヒーレントノイズに基づくアーチファクトを除去することができるので、ノイズの少ない断層画像(第二の断層画像とも呼ぶ)を取得することができる。以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態:参照光を減光してコヒーレントノイズに基づく虚像を取得)
第1の実施形態では、本発明を適用した光断層撮像装置(OCT装置)について、図1を用いて説明する。
【0019】
本実施形態のOCT装置100は、図1に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成している。光源から出射された光を、まず測定光と参照光とに分割する。そして、測定光を測定光路及び被検査物を経由させることで戻り光を得、この測定光による戻り光と参照光路を経由した参照光とを合波して光干渉させた合波光を得、該合波光を用いて、被検査物の断層画像を撮像するOCTシステムを備えた構成を備えている。
【0020】
具体的には、図中、光源101から出射した光はシングルモードファイバ102−1に導かれて光カプラー103に入射し、該光カプラー103にて参照光路102−3と測定光路102−2とに分割する。
【0021】
このように分割された2つの光路による測定光路102−2の測定光は、観察対象及び被検査物である被検眼205における網膜等によって反射あるいは散乱された戻り光となって戻される。そして、光カプラー103によって、参照光路を経由してきた参照光路102−3の参照光と合波され合成光路102−4に導かれ、合成光となる。合成光は合波された後、分光器120に入射する。合成光は透過型回折格子122によって波長毎に分光され、ラインセンサ124に入射される。ラインセンサ124は各位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼205、特に眼底部の断層画像が構成される。
【0022】
次に、光源101の周辺について説明する。光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。波長は855nm、バンド幅100nmである。ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメータである。また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは855nmとする。観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
【0023】
次に、参照光路102−3について説明する。光カプラー103によって分割された参照光路102−3の参照光は、偏光コントローラ104−3を通過し、レンズ111にて略平行光となって出射される。レンズ111のカプラー側には、光遮断機110があり、参照光の光を遮断することができる。光遮断機110は参照光路上に配置され、参照光を遮断することで当該参照光が光カップラー103に戻ることを一時的に妨げる。次に、参照光は分散補償用ガラス112を通過し、参照ミラー113にあたる。次に、参照光はミラー113にて方向を変え、再び光カプラー103に向かう。次に、参照光は光カプラー103を通過し、ラインセンサ124に導かれる。ここで、分散補償用ガラス112は被検眼205および走査光学系を測定光が往復した時の分散を、参照光に対して補償するものである。さらに、参照ミラー113は、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光の光路長を、調整・制御することができる。
【0024】
次に、測定光路102−2の光路について説明する。
光カプラー103によって分割された測定光は、偏光コントローラ104−2を通過し、レンズ201、202を透過する。レンズ202は矢印で図示している方向に移動することができ、被検眼205の網膜の所望の層に測定光を集光し、観察することができる。また、被検眼205が屈折異常を有している場合にも対応できる。
【0025】
これらレンズ201、202を経由した測定光は、走査光学系を構成するXYスキャナ203のミラーに入射される。測定光は、XYスキャナ203により、被検眼205の網膜上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンされる。レンズ204は測定光が被検眼205の網膜を走査するための光学系である。測定光網膜上の任意の位置に結像するように構成されている。
【0026】
上記任意位置を中心にXYスキャナ203を駆動し、それぞれのスキャン像を得る。測定光は被検眼205に入射すると、網膜からの反射や散乱により戻り光となり、光カプラー103を通過し、ラインセンサ124に導かれる。
【0027】
なお、上述したXYスキャナ203の動作、参照ミラー113の移動による参照光路の光路長の変化、及びラインセンサ124で得られた信号の以下に述べる処理、等はPCに例示される制御装置若しくは手段130によって行われる。
以上の構成をとることにより、測定光を被検眼205の網膜上でスキャンすることができる。
【0028】
次に、本実施形態のOCT装置における分光器120の構成について説明する。被検眼205の網膜にて反射や散乱された戻り光と参照光とは光カプラー103により合波される。そして、合波された合成光は、合成光路102−4である光ファイバのファイバ端から射出され、レンズ121によって略平行な光にされる。この略平行光は、検出手段を構成する透過型回折格子122に照射され、波長毎に分光される。分光された光は結像レンズ123で集光され、ラインセンサにて光の強度が各位置(波長)毎に電圧に変換される。ラインセンサ123上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
【0029】
以下に、OCT装置を用いた断層画像の取得について説明する。ここでは、図2(a)及び2(b)を用いて網膜の断層画像(光軸に平行な面)の取得について説明する。図2(a)は被検眼205がOCT装置100によって観察されている様子を示している。図1に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
【0030】
図2(a)に示すように、測定光は角膜207を通して、網膜206に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光208となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインセンサ124に到達する。図2(a)では、分かりやすくするために、軸を外して戻り光208を記載しているが、実際戻り光208は、測定光の光路を逆に辿って戻る光である。ここでは、光源101のバンド幅が広く、空間コヒーレンス長が短いために、参照光路の光路長と測定光路の光路長とが略等しい場合のみに、ラインセンサ124にて、干渉縞が検出できる。上述のように、ラインセンサ124で取得されるのは波長軸上のスペクトル領域の干渉縞となる。次に、波長軸上の情報である該干渉縞を、ラインセンサ124と透過型回折格子123との特性を考慮して、光周波数軸上の干渉縞に変換する。さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の情報が得られる。
【0031】
さらに、XYスキャナ203のX軸を駆動しながら、該干渉縞を検知すれば、各X軸の位置毎に干渉縞が得られる。つまり、各X軸の位置毎の深さ方向の情報を得ることができる。
【0032】
結果として、XZ面での戻り光208の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち断層画像210である(図2(b))。本来は、断層画像210は上記説明したように、該戻り光208の強度をアレイ状に並べたものであり、例えば該強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものである。ここでは得られた断層画像の境界のみ強調して表示している。
【0033】
また、図2(c)に示す様に、XYスキャナ203を制御して、測定光を網膜上にラスタースキャンすれば、網膜上の任意の箇所の断層画像を取得することができる。ここでは、XYスキャナの主走査方向をX軸方向、副走査方法をY軸方向として、スキャンする場合を示し、結果として複数のXZ面の断層画像を得ることができる。
【0034】
次に、断層画像取得方法について、具体的に説明する。
図3(a)〜3(c)に、眼底の断層画像の模式図を示す。図3(a)は、コヒーレントノイズが断層画像に出現している場合、図3(b)はコヒーレントノイズが断層画像にない場合の模式図である。図3(a)に出現しているコヒーレントノイズは、眼底内の高反射層の間で干渉が生じ、断層画像内の測定光と参照光の光路長が等しい位置(0ディレイ位置:図3(a)の場合には、断層画像の上の部分)から高反射層間の距離分だけ離れた位置にアーチファクトとして生じるものである。ここで高反射層とは、例えば、眼底の断層画像を取得する場合には、内境界膜:ILM、視細胞内節外節境界:IS/OS、網膜色素上皮:RPEの層などが挙げられる。この高反射を示す位置は場所によって異なり、図3(a)のように1つの断層画像の中でもコヒーレントノイズが生じる箇所と生じない箇所があることが特徴である。また、コヒーレントノイズは測定光路のみの干渉で生じるものであり、参照光が遮蔽してある状態でも出現することも特徴である。図3(c)に参照光を遮断して測定光のみで取得した画像を示す。参照光を遮断しているので、測定光と参照光の干渉による眼底の断層画像は得られず、コヒーレントノイズが検出される。
【0035】
図4に本実施形態の測定フローを示す。
工程S101で、測定を開始する。この状態は、OCT装置が起動され、網膜上の測定範囲および位置、スキャンパターン、取得画素数、重ね合わせ枚数などの測定に必要な測定パラメータが決まっている状態である。
【0036】
工程S102からS107は、コヒーレントノイズを抽出するコヒーレントノイズ抽出工程である。また、工程S108からS109およびS118からS119は、網膜の断層画像を取得する断層画像取得工程であり、S110からS111およびS121は、OCT画像を最終的に構築するOCT画像構築工程である。
【0037】
工程S102で、光遮断機110を用いて参照光を遮断する。光遮断機110は、シャッターなどの遮蔽物で構成されている。参照光を遮断することにより、測定光による戻り光のみが分光器120へ入射することとなる。
【0038】
工程S103で、XYスキャナ203を駆動し、測定光を被検眼205の網膜上でスキャンする。本工程でのスキャンはプレスキャンであり、参照光を遮断するスキャンであるため、工程S108からS109およびS118からS119の断層画像取得工程での本スキャンと区別して用いる。プレスキャンは本スキャンと同一のスキャンパターンであることが望ましい。ただし、再測定時や経過観察時など、被検眼205が既知の場合には、コヒーレントノイズの位置が予測できる。コヒーレントノイズが出現する場所は、網膜206内の高反射層間の距離に起因する。そのため、網膜206内の高反射の層が既知であれば、高反射層間の間隔からコヒーレントノイズの場所を求めることができる。それによりXYスキャンで2次元スキャンを省略し、XあるいはYスキャンで1断面の断層画像のみのプレスキャンを行ってもよい。
【0039】
工程S104で、測定光のみで画像(CN)を構築する。工程S103でスキャンされた網膜上の各ポイントからの戻り光を分光器120において検知することにより、各ポイントの位置毎に干渉縞を得る。通常、網膜の断層画像の取得においては、測定光による戻り光と参照光とを合波させた合成光を分光器120に入射し画像を構築するが、本工程S104においては、測定光による戻り光のみで画像の構築を行う。得られた干渉縞を光周波数軸の干渉縞に変換し、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、各ポイントのコヒーレントノイズ算出のための画像を得ることができる。それにより、図3Cに示す画像(CN)を取得することが可能となる。
【0040】
被検査物である眼底部には複数の反射層が存在するが、これら複数の反射層により測定光が反射されることで生じた測定光については、前述した高反射層の存在によって各々の反射光同士の干渉によってアーチファクト、すなわちコヒーレントノイズが発生する。
【0041】
工程S105で、画像(CN)中のコヒーレントノイズの有無を判断するためのノイズレベルを決定する。ノイズレベルの決定について以下で説明する。まず、画像(CN)におけるノイズ取得領域を定める。ノイズ取得領域はコヒーレンスノイズが出現しない位置とすることが望ましく、OCTで観察可能な網膜の厚みが約1mm程度とすると、コヒーレントノイズが出現した位置より最低でも1mm以上で望ましくは1.5mmよりも離れた位置にこれを設定する。ノイズ取得領域における平均値を求め、それをノイズレベルとする。また、画像を複数回取得する場合には、複数の画像間でノイズレベルは同じレベルになるので、複数の画像ごとにノイズレベルを求めずに、1つ画像のノイズレベルを複数の画像のノイズレベルに定めてもよい。
【0042】
工程S106で、画像(CN)中に、S105で決定したノイズレベル以上の輝度があるかどうかを判定する。画像(CN)中にノイズレベル以上の輝度があれば、それをコヒーレントノイズと判定し、コヒーレントノイズを除去する工程に移る。ノイズレベル以上の輝度がなければ、コヒーレントノイズを除去する必要がないため、コヒーレントノイズの除去を行わない。この工程を行うことにより、コヒーレントノイズがないにもかかわらずコヒーレントノイズを除去する工程を行うといった処理時間を短縮することができる。
また、次工程で示すコヒーレントノイズの場所と輝度を記憶する必要もないため、メモリの節約にも繋がる。コヒーレントノイズがあると判定された場合には工程S107へ移行し、コヒーレントノイズがないと判定された場合には工程S118へ移行する。
【0043】
工程S107で、S105においてノイズレベル以上と判定された輝度の、位置と輝度値を画像(CN)の中から抽出し記憶する。記憶手段はPCのメモリなどである。
【0044】
以上のコヒーレントノイズすなわちアーチファクトを抽出する一連の操作に関する要素は、本発明におけるアーチファクト抽出手段或いはアーチファクト取得手段を構成する。従って、本実施形態では、参照光路を遮断する光遮断機110及び当該構成に付随する諸構成は、当該アーチファクト抽出手段に含まれる。換言すれば、本実施形態においては、前述したアーチファクト抽出手段は、光遮断機110で参照光を遮断した状態で得た被検査物の画像と、光遮断機を光路外に離脱させることで参照光を透過させた状態で得た被検査物の画像とから、アーチファクトを抽出している。また、以上の操作は本発明におけるアーチファクトを抽出する工程であって、異なる参照光の条件で得た同一領域より得られる少なくとも2つの断層画像を比較することによってアーチファクトを抽出する工程対応する。
【0045】
工程S108で、光遮断機110を光が透過する状態にし、参照光がラインセンサ124へ入射可能な状態となる。それにより測定光による戻り光と参照光の合波光が分光器120へ入射することとなり、網膜の断層画像が取得可能な状態となる。
【0046】
工程S109で、OCT画像(S)の取得を行う。この工程では工程S103のプレスキャンに対して本スキャンである。本スキャンは、S101で決定している測定パラメータでスキャンを行う。XYスキャナ203を駆動し、測定光を被検眼205の網膜上でスキャンする。スキャンされた網膜上の各ポイントからの戻り光と参照光とを合波させた合成光を分光器120において検知することにより、網膜上の各ポイントの位置毎に干渉縞を得る。得られた干渉縞を光周波数軸の干渉縞に変換し、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、各ポイントの断層画像を得ることができる。この工程では、図3(a)の断層画像が得られ、画像にコヒーレントノイズが含まれていることになる。
【0047】
工程S110で、S107で記憶したコヒーレントノイズの情報を元に、工程S110で取得した断層画像からコヒーレントノイズがない断層画像を得る。S110で取得した画像はコヒーレントノイズが含まれる画像(S)から、S107で記憶した位置での輝度値を差し引くことにより、コヒーレントノイズがないOCT画像を得ることができる。図3(a)の画像から図3(c)の画像を差し引くことで、図3(b)の画像を取得することができる。
【0048】
工程S111で、S110で取得したOCT画像をプレビュー画面などに表示する。なお、当該表示は前述したPCにより構築される表示制御手段により実行されるが、該表示時においてコヒーレントノイズ或いは所定の輝度値以上の輝度からなるアーチファクトを例えば赤色等によって重ねて表示することとしても良い。或いは、コヒーレントノイズ除去前の断層画像中で赤色等により該ノイズに対応する部分を重ねて表示する、若しくはノイズを除去した断層画像と、除去前の断層画像とを並べて表示する態様としてもよい。若しくはノイズを除去した断層画像の表示と、除去前の断層画像との表示とを切り換えて表示する態様としても良い。表示を切り換える場合、ユーザが表示を切り換えるためのスイッチ等を押下しても良いし、ノイズを除去する前の断層画像を表示してから所定時間経過後に(例えば、ノイズを除去するための解析時間の経過後に)ノイズを除去した断層画像を表示しても良い。また、ノイズを除去した断層画像を表示する場合には、ユーザの利便性向上のため、ノイズ除去を示す表示の態様を断層画像と一緒に表示させることが好ましい。これら表示は前述した表示制御手段によって行われる。当該構成を配することによって、操作者は断層画像中におけるコヒーレントノイズを容易に識別することが可能となる。
【0049】
一方、工程S106で、画像CN中にノイズレベル以上の輝度がない(コヒーレントノイズがない)と判断された場合には、工程S118においてS108と同様に光遮断機110を光が透過する状態にし、参照光を取得する。
【0050】
すなわち、本実施形態において、前述した制御手段130は、被検査物の画像のノイズレベルを決定し、被検査物の該画像にノイズレベル以上の輝度値がある場合には、ノイズレベル以上の輝度値と、該輝度値を示す該断層画像中の位置を記憶し、更に被検査物の第一の断層画像中において先に記憶した位置において記憶されている輝度値を差し引くこと操作を実行する。
【0051】
次に、S119において工程S109と同様にOCT画像(S)の取得を行う。工程S121において、工程S119で得られたOCT画像を表示し、工程S112へと移行する。これらのS118からS121の工程においては、コヒーレントノイズがないと判断されているため、コヒーレントノイズを除去する工程を含める必要がない。
【0052】
工程S112で、セグメンテーションと層厚の測定、健常眼のデータとの比較などのOCT画像解析を行い、測定結果を保存する。以上の操作は、本発明におけるアーチファクトを被検査物の断層画像から差し引いて、新たな断層画像を得てこれを少なくとも表示、または保存、または解析を行う工程に対応し、これら工程は本発明における制御手段130により実行される。
S113で、測定終了となる。
【0053】
以上述べたコヒーレントノイズの断層画像からの差し引き、該操作から得られるOCT画像の表示、保存、或いは解析といった新たな断層画像を得て行われる操作は本発明における制御手段によって実行され、該制御手段は前述したPC等により構築される。
【0054】
本測定フローにおいては、工程S102からS107のコヒーレントノイズ抽出工程を行い、次に工程S108からS109の断層画像取得工程を行うこととしたが、このコヒーレントノイズ抽出工程と断層画像取得工程は逆でもよい。すなわち、先にOCT画像(S)を取得し、その後に参照光路の光を遮断することでコヒーレントノイズを抽出し、OCT画像(S)からコヒーレントノイズを差し引くことも可能である。換言すれば、先の被検査物についての第一と第二の断層画像については、いずれかの画像を取得後に他方の画像を取得することとすれば良い。
【0055】
また、プレスキャンと本スキャンの取得タイミングを変えても良い。図5(a)及び5(b)にタイミングチャートを示す。図5(a)は、上述したフローでのタイミングチャートである。コヒーレントノイズを抽出した後に、本スキャンを行うことで、コヒーレントノイズを除去する。プレスキャンと本スキャンの間の時間は、光遮断機110の駆動時間である。図6(a)に、上述のフローでのプレスキャンと本スキャンの模式図を示す。円状に表している部位が網膜206である。網膜206上のOCT取得領域において2次元プレスキャンを行った後に、2次元上に本スキャンを行う。
【0056】
一方、図5(b)に、プレスキャンと本スキャン順次切り替えながら測定を行う場合のタイミングチャートを示す。隣り合うプレスキャンと本スキャンは、同じ位置を取得していることを示している。同じ位置でプレスキャンと本スキャンを測定した後、スキャナ203を駆動させて別の位置を取得する。すなわち、被検査物のアーチファクトと第一の断層画像について、いずれかの画像の一部を取得後に他方の画像の一部を取得することを繰り返し行うこととし、この場合にその一部が予め指定された領域であって、該断層画像が当該領域に対応するものであれば良い。
【0057】
図5(a)と同様、プレスキャンと本スキャンの間の時間は、光遮断機110の駆動時間である。図5(b)のように、プレスキャンと本スキャン順次切り替えながら測定する際には、図5(a)の場合と比較して光遮断機110の駆動回数が増えトータルの測定時間が増加する。しかし、プレスキャンと本スキャンの間の時間差が少ないため、眼の固視微動などに代表されるOCT装置100と被検眼205の相対的なずれが小さくなる。そのため、プレスキャンと本スキャンのずれが小さくなり、コヒーレントノイズ除去の精度が高くなるのがこの方式での特徴である。図6(b)に、プレスキャンと本スキャン順次切り替えながら測定を行う場合の模式図を示す。例えば1つのBスキャンでのプレスキャンが終了した後に、同じ場所の本スキャンを行う。その後Bスキャン位置をずらして再度プレスキャンを行う。これらを繰り返すことで、コヒーレントノイズの除去を行うことが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、光遮断機110により参照光を完全に遮断してコヒーレントノイズの有無の判断や抽出を行っている。しかし、本形態では、コヒーレントノイズを分離可能となる状態まで参照光を減光することによっても同様の効果が得られる。従って、参照光の光路を一時的に変更して合波光の生成を中断することとしても良い。また、NDフィルタ等を光路に挿入して減光することにより、コヒーレントノイズが容易に抽出できる状態を生成することとしても良い。従って、上述した光遮断機は、参照光を減光する減光手段として定義されることが好ましい。また、この場合、上述したステップS108は減光を停止する工程となる。
【0059】
(第2の実施形態:参照光の光路長を変更してコヒーレントノイズに基づく虚像を取得) 第1の実施形態では、コヒーレントノイズ除去のために、参照光路に配置した光遮断機110を用いた。本実施形態では、光遮断機110を用いずに参照ミラー113の駆動によって除去することを行う。
【0060】
本実施形態におけるOCT装置の構成は、第1の実施形態の図1に示すものと同じであるため説明を省略する。ただし、光遮断機110がない構成であってもよい。
ここでは、断層画像取得方法について、具体的に説明する。
【0061】
図7に、眼底の断層画像の模式図を示す。図7(a)は、コヒーレントノイズが断層画像に出現している場合、図7(b)はコヒーレントノイズが断層画像にない場合の模式図である。コヒーレントノイズは、眼底内の高反射層の間で干渉が生じ、断層画像内の0ディレイ位置から高反射層間の距離分だけ離れた位置にアーチファクトとして生じる。そのため、コヒーレントノイズの位置は参照ミラー113の位置に寄らず一定である。一方、網膜205の断層画像は参照ミラー113の位置が変わると、OCT画像中での位置が変化する。図7(c)および図7(d)に参照ミラー113の位置を動かした際に得られるOCT画像を示す。これら図面に示されるように、網膜の断層画像の位置は変化するが、コヒーレントノイズの位置は変化しない。ゆえに、参照ミラー113を動かした際に得られるOCT画像を比較して、動いていない画像を検出することによりコヒーレントノイズを抽出することが可能となる。
【0062】
図8に本実施形態の測定フローを示す。
工程S201で、測定を開始する。この状態は、OCT装置が起動され、網膜上の測定範囲および位置、スキャンパターン、取得画素数、重ね合わせ枚数などの測定に必要な測定パラメータが決まっている状態である。
【0063】
工程S202からS207は、コヒーレントノイズを抽出するコヒーレントノイズ抽出工程である。また、工程S208からS209およびS218からS219は、網膜の断層画像を取得する断層画像取得工程であり、S210からS211およびS221は、OCT画像を最終的に構築するOCT画像構築工程である。
【0064】
工程S202で、参照ミラー113を駆動する。参照ミラーを駆動することにより、ある参照光位置での断層画像が得られることになる。ここでは網膜206の断層画像が、画像中に観察されなくてもよい。
【0065】
工程S203で、XYスキャナ203を駆動し、測定光を被検眼205の網膜上でスキャンする。本工程でのスキャンはプレスキャンであり、工程S208からS209およびS218からS219の断層画像取得工程での本スキャンと区別して用いる。プレスキャンは本スキャンと同一のスキャンパターンであることが望ましい。ただし、再測定時や経過観察時など、被検眼205が既知の場合には、コヒーレントノイズの位置が予測できるため、XYスキャンで2次元スキャンを省略し、XあるいはYスキャンで1断面の断層画像のみのプレスキャンを行ってもよい。コヒーレントノイズの位置の予測については、前述の通りである。
ここで工程S202と工程S203は、複数回行う必要がある。複数回のそれぞれの測定は、参照ミラー113が異なる位置でなければならない。
【0066】
工程S204で、異なる参照ミラー位置で取得したプレスキャン画像を比較し、不動パターンを検出する。例えば複数の画像間で相関係数を取得し、相関が高い画像のみを抽出することで不動パターンを検出する。また複数の画像間で引き算を行い、引き算によってノイズレベルとなる画像を抽出することによって不動パターンとして検出することができる。
【0067】
工程S205で、S203で得られたプレスキャン画像からノイズレベルを決定する。
ノイズレベルの決定は前述した通りである。
【0068】
工程S206で、工程S204で検出した不動パターンが、S205で決定したノイズレベル以上の輝度があるかどうかを判定する。不動パターンがノイズレベル以上の輝度を持てば、それをコヒーレントノイズと判定し、コヒーレントノイズを除去する工程に移る。ノイズレベル以上の輝度を持たなければ、コヒーレントノイズを除去する必要がないため、コヒーレントノイズの除去を行わない。この工程を行う利点は第1の実施形態の工程S106で説明した通りである。
【0069】
本実施形態において、前述したアーチファクト抽出手段は、測定光路と参照光路の光路長を相対的に変化させる光路長変更手段である参照ミラー113を持ち、該光路長変化手段によって設定された少なくとも2つ参照光路長から得られる2つの干渉信号から、アーチファクトを抽出している。ここでは、光路長変更手段を参照ミラー113としたが、該変更手段は測定光路と参照光路の光路長差を相対的或いは単に変化させればよく、測定光路の方に光路長変化手段を設けてもよい。この場合、アーチファクト抽出手段は少なくとも2つの光路長差夫々に対応する少なくとも2つの干渉信号から、アーチファクトを抽出する。
【0070】
工程S207で、S205においてノイズレベル以上と判定された不動パターンの、位置と輝度値を記憶する。記憶手段はPCのメモリなどである。
【0071】
工程S208で、参照ミラー113を網膜206の断層画像を取得するのに適した位置に固定する。参照ミラーの移動は、分光器120で検出される干渉縞の周期がある位置に来るまで自動で行ってもよく、また、断層画像を検者が観察しながら手動で行ってもよい。
【0072】
工程S206で不動パターンがノイズレベル以上の輝度を持たないと判定された場合にはS218へ移行する。
【0073】
本実施形態では、前述した制御手段は、少なくとも2つの干渉信号のノイズレベルを決定し、ノイズレベル以上の輝度がある場合にはノイズレベル以上の輝度値と、該輝度値を持つ画像中の位置とを記憶し、被検査物の断層画像から記憶した位置の記憶した輝度値を差し引く、以上に述べた操作を実行する。
【0074】
工程S218においてS208と同様に参照ミラー113を網膜206の断層画像を取得するのに適した位置に固定する。
ここで、工程S209から測定終了の工程S213まで、および工程S219から工程S221までの工程は、それぞれ第1の実施形態の工程S109から測定終了の工程S113まで、および工程S119から工程S121までの工程と同様である。そのため、個々では説明を省略する。
【0075】
本実施においても工程S202からS207のコヒーレントノイズ抽出工程を行い、次に工程S208からS209の断層画像取得工程を行うこととしたが、このコヒーレントノイズ抽出工程と断層画像取得工程は逆でもよい。すなわち、先にOCT画像(S)を取得し、その後に参照ミラー位置を動かすことで不動パターンを検出し、OCT画像(S)からコヒーレントノイズを差し引くことも可能である。
【0076】
なお、本実施形態では制御手段130が参照ミラー113を移動させて参照光路の光路長を変化させる場合について例示したが、測定光路における光路長を変化させた場合でも同様の効果が得られる。よって、本発明における光路長の変化は参照光路及び測定光路各々の光路長の相対的な変化として把握されるべきであり、光路長変換手段は、両光路の光路長の何れかを変化させるものであれば良い。
【0077】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
また、上述した実施形態では被検査物として人体の眼を例示し、特に多層膜として網膜を例示している。しかし本発明の態様は当該形態に限定されず、多層膜からなる種々の被検体の光断層撮像装置あるいは方法として適用可能である。例示として、眼科装置以外の内視鏡等用の撮像装置に適用することが考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該測定光に対応する参照光とを合波した合波光に基づいて、該被検査物の断層画像を取得する光断層撮像装置であって、
前記被検査物の複数の層で反射した複数の反射光の干渉により発生したアーチファクトを取得するアーチファクト取得手段と、
前記アーチファクトと前記被検査物の第一の断層画像とに基づいて該被検査物の第二の断層画像を取得する取得手段と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置。
【請求項2】
前記参照光の光路上に配置される該参照光を減光する減光手段を有し、
前記アーチファクト取得手段は、前記減光手段により前記参照光を減光した状態で得た画像から、前記アーチファクトを取得することを特徴とする請求項1に記載の光断層撮像装置。
【請求項3】
前記減光手段は、前記参照光の光路に対して挿入、離脱が可能であって挿入した時に参照光を遮断する光遮断機を有することを特徴とする請求項2に記載の光断層撮像装置。
【請求項4】
前記減光手段は、前記第一の断層画像を取得後に前記参照光の減光を行い、前記アーチファクト取得の後に前記減光を停止することを特徴とする請求項2に記載の光断層撮像装置。
【請求項5】
前記被検査物の前記アーチファクトのノイズレベルを決定し、前記アーチファクトに前記ノイズレベル以上の輝度値を示す位置がある場合には、前記ノイズレベル以上の前記輝度値と、前記輝度値を持つ位置とを記憶し、前記被検査物の前記第一の断層画像中において前記記憶した位置において記憶されている輝度値を差し引く制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光断層撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第一の断層画像と前記アーチファクトとのうちいずれか一方を取得後に他方を取得することを特徴とする請求項5に記載の光断層撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第一の断層画像と前記アーチファクトとのうちいずれか一方の一部を取得後に他方の一部を取得することを繰り返し行い、前記一部は指定された領域であって、前記断層画像が前記領域の画像に対応することを特徴とする請求項5に記載の光断層撮像装置。
【請求項8】
前記測定光の光路と前記参照光の光路との光路長差を変更する変更手段を有し、
前記アーチファクト抽出手段は、少なくとも2つの前記光路長差にそれぞれ対応する少なくとも2つの干渉信号から、前記アーチファクトを抽出することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光断層撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記少なくとも2つの干渉信号のノイズレベルを決定し、ノイズレベル以上の輝度値を示す位置がある場合には、前記ノイズレベル以上の前記輝度値と、前記輝度値を持つ画像中の位置とを記憶し、前記被検査物の断層画像中において前記記憶した位置において記憶されている位置の輝度値を差し引くことを特徴とする請求項8に記載の光断層撮像装置。
【請求項10】
前記アーチファクトが除去された前記第二の断層画像と、前記アーチファクトを示す表示の態様とを表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光断層撮像装置。
【請求項11】
前記第一の断層画像を表示してから所定時間経過後に、前記アーチファクトが除去された前記第二の断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光断層撮像装置。
【請求項12】
測定光を照射した被検査物からの戻り光と、前記測定光に対応する参照光とを合波した合波光に基づいて、前記被検査物の断層画像を取得する光断層撮像装置の制御方法において、
前記被検査物の複数の層で反射した複数の反射光の干渉により発生したアーチファクトを取得する工程と、
前記アーチファクトと前記被検査物の第一の断層画像とに基づいて前記被検査物の第二の断層画像を取得する工程と、
を有することを特徴とする光断層撮像装置の制御方法。
【請求項13】
前記アーチファクト取得工程では、前記参照光を減光した状態で前記戻り光からの画像を取得し、前記画像に基づいて前記アーチファクトを取得することを特徴とする請求項12に記載の光断層撮像装置の制御方法。
【請求項14】
前記アーチファクト取得工程では、前記参照光の光路と前記測定光の光路との光路長差を変更した場合に得られる少なくとも2つの干渉信号に基づいて、前記アーチファクトを取得することを特徴とする請求項12に記載の光断層撮像装置の制御方法。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか一項に記載の光断層撮像装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213617(P2012−213617A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63897(P2012−63897)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】