説明

光断層画像化装置

【課題】観察対象物体の断層像を、高速にかつ高い解像力、諧調性、コントラストを持って観察できる光断層画像化装置を提供する。
【解決手段】低干渉性の光ビーム(1、2)が探索光として観察対象物体(25)に照射され、ガルバノミラー(16a)で所定の周波数で1次元走査される。この探索光(9c)と参照光(9b)はビームスプリッター(10)で干渉光(9d)として合成され、ガルバノミラー(16a)で上記走査と同一の走査周波数および同一の走査方向に再走査される。再走査された干渉光は、その走査周波数に応じたフレームレートで2次元撮像手段(32)により検出され、その映像信号から干渉情報が抽出されて対象物体内部の反射強度情報が取得される。このような構成では、2次元撮像手段を採用し、そのフレームレートに応じた低速の走査手段と低速な再走査手段で干渉情報が得られるので、走査型光学系を簡単に構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光断層画像化装置、更に詳細には、光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、当該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、低干渉性光ビーム(部分的コヒーレント光)の干渉現象を利用した観察対象物体の断層情報の画像化装置(Optical Coherence Tomography:OCT)は、非接触、非侵襲に対象物体の任意の断層像を画像化して観察できるために、特に生体の観察には有用とされ、眼科の一般臨床検査や皮膚科の診断、内視鏡への応用等の医学分野で利用され始めており、あるいは産業分野の検査機器として、応用が検討されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、初期のOCTとして、照射光の周波数をシフトさせた参照光を生成する手段と、測定対象物体からの反射光を参照光との間で合成して出力されるビート成分を検出することで、対象物体の反射断層像を画像化する構成が示されている。
【0004】
下記特許文献2には、短コヒーレンス長の特性を有する光源と光ファイバーを用いた干渉計と、サンプル試料へ向かう探索光の光路に配置された位相変調手段と横方向走査機構、参照光の光路に配置された超音波光変調素子と光軸方向の光路長の移動制御手段等を有する構成が開示されている。この特許文献2では、光ファイバーを介して導かれる探索光と参照光との間に生ずる干渉光を検出処理することにより、サンプル試料の断層像を画像化するための基本的な技術が示されている。
【0005】
下記特許文献3には、低干渉性の光を発生する光源と光ファイバー干渉計を用いた光断層観察装置を、干渉計の光路の一つを介して内視鏡や体腔鏡等の端部の構造と巧みに組み合わせる構成が開示されている。この特許文献3では、体腔内に装入する内視鏡等の利用によって、従来の観察装置として備えられたCCD等による2次元的な反射像と共に、干渉計を介して得られる干渉信号の検出処理によって患部組織の深さ方向の断層像を画像化できる技術が示されている。
【0006】
下記特許文献4には、光源からの光ビームをサンプルビーム経路と基準ビーム経路とに分け、両経路を介して戻ってくる光を重ね合わせて検出ビーム経路へと導き、検出器で得られる干渉信号を処理することによって被検眼の角膜の断層像を得る構成が示されている。この特許文献4では、参照光路に設けられたヘリカル基準ミラーによって光軸方向の走査を行ない、更に参照光路中に配置された反射ミラーを移動して奥行走査を角膜の湾曲に合わせる様にして、データ収集時間の短縮を図る技術等が開示されている。
【0007】
下記特許文献5には、光周波数の掃引が可能な半導体レーザー光源と、マイケルソン型干渉計と、1次元または2次元の撮像素子とを備え、光周波数の掃引期間中に出力された画像信号をフーリエ変換処理して断層画像を算出する構成が開示されている。この方式では、光軸方向の機械的な移動を伴う走査機構が不要となり、安定な干渉光学系を構成できると共に、短時間での測定が可能になるというメリットのあることが示されている。
【0008】
下記特許文献6には、光ビームを参照アームと測定アームとに分割し、測定アームを介した測定光が参照アームを介した参照光との間で干渉して現れる光の強度を、分光器を介して検出する構成が開示されている。参照アームには、光の位相を変化させる手段が付加され、分光器からの信号を分析処理することにより、透明、一部透明および不透明物体等に対して光学的な断層撮影を行う構成が示されている。
【0009】
下記特許文献7には、光ファイバー干渉計とバルク型の干渉計を組み合わせ、光路の一つに変調手段を導入すると共に、光路の長さを変更する手段を備え、干渉計からの出力信号に基づいて、対象物体の奥行き方向の断層情報の解像を行う光学マッピング装置の構成が開示されている。
【0010】
下記特許文献8には、光源からの光ビームを、測定対象となる被検体を経由する信号光路と、所定の反射鏡を経由する参照光路とに分割すると共に、干渉光学系は検出光を二分割して受光するためのCCDセンサを二つ備え、かつ二分割された干渉光を周期的に遮断して受光する方式が開示されている。二つのCCDセンサは、位相の異なる干渉光パルスを受光して、かつ簡単な信号処理を介することで、被検体の内部層の画像情報が得られることが示されている。
【0011】
下記特許文献9には、干渉計を利用したOCT装置において、時間的に位相が異なる複数の干渉画像を発生させる手段と、複数の干渉画像を高速スイッチングにより切り出す手段とを備え、これら複数の切り出した干渉画像をCCD等のイメージセンサで検出して、複数の画像の間の演算を行うことにより断層画像を計測する装置が開示されている。
【0012】
下記特許文献10には、干渉計とスペクトロメータ(分光器)から構成される計測装置において、光源からの光ビームは被計測体に対してライン状に光を集光させて、被計測体からの観察光は、分光器を介して2次元の画像センサにより検出する構成が開示されている。画像センサからの検出信号に対して、フーリエ変換等の演算処理を施すことにより、被計測体の断面情報が、計算速度に応じて高速に得られることが示されている。
【0013】
下記特許文献11には、光源からの光ビームを探索光と参照光とに分割し、探索光の光ビームを、光軸方向に移動するための移動手段、および光軸と直交方向に走査するための走査手段とを介して測定対象物体に照射する構成が示されている。測定対象物体からの反射光は、固定反射面を介した参照光との間で合成されて干渉光となり、この干渉光を前記移動手段と走査手段の走査に応じて検出処理することにより、対象物体内部の反射強度情報を取得する方式が開示されている。
【特許文献1】特開平4−174345号(特公平6−35946号)公報
【特許文献2】特表平6−511312号(特許第3479069号)公報
【特許文献3】特開2000−126188号(特許第3318295号)公報
【特許文献4】特開平8−206075号(特許第3549961号)公報
【特許文献5】特開平10−332329号(特許第3332802号)公報
【特許文献6】特開平11−325849号公報
【特許文献7】特表2003−516531号公報
【特許文献8】特開2001−330558号(特許第3594875号)公報
【特許文献9】特開2005−245740号公報
【特許文献10】特開2006−116028号公報
【特許文献11】特開2006−322767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1〜4までに示された構成では、観察対象物体の奥行き方向(深さ方向)の走査は参照光に対する反射ミラーの光軸方向の移動制御によって行っているために、観察対象物体に向かう照射光(探索光)のフォーカス状態を断層画像の全域に渡って最適に維持することが出来ず、光軸(深さ方向)と直交する面内方向の高解像力化が困難である。また、これらの特許文献に示された構成では、参照光の光路における反射ミラーの移動によって、検出信号処理の速度も制限を受けるために、対象物体の断層画像を高速に得ることは困難である。
【0015】
一方、特許文献5に示された構成では、光源の波長掃引を用いたOCTの方式(「スウェプトソース法」とも呼ばれる)を開示している。この方式では、光の周波数を所望の範囲にわたって安定的に制御可能な特殊なレーザー光源が必要であり、この種の光源は品種や波長も限られており、光源自体が高価になるという問題がある。
【0016】
また、特許文献6に示された構成では、検出系に分光器を用いたOCTの方式(「スペクトラルドメイン法」とも呼ばれる)を開示している。この方式は、数値的な演算処理に基づき断層画像情報を抽出するため、深度方向のメカニカルな走査が不要というメリットはあるものの、深度方向の測定範囲が分光器の特性によって制限されるという難点があり、また深度方向とは直交する方向の解像力を向上させ難いという問題がある。
【0017】
さらに、特許文献7に示された構成では、走査反射像と断層像が同時に得られるというメリットはあるものの、撮像速度が光ビームの2軸方向の走査に依存しており、高価な変調手段や特殊な走査系を利用しない限り撮像速度の高速化は困難、という問題がある。
【0018】
また、特許文献8に示された構成では、簡単な演算処理を介して断層像をCCDカメラのビデオレートに応じて高速に抽出できるメリットがある。しかし、この方式では、二つのCCD素子の厳密な位置合わせが難しく、また、生体等の強い散乱体を観察した場合は検出器に直流成分として重畳する強い背景光の存在によって、断層情報を有する信号成分の諧調性を向上させ難いという問題がある。
【0019】
また、特許文献9に示された構成では、簡単な演算処理により高速な断層画像の取得が行えるというメリットがある一方で、光源の利用効率が悪く、実用化には高価で特殊なスイッチング光源その他の構成が必要になるという難点がある。また、生体等の強い散乱体を観察した場合は検出器に重畳する強い背景光の存在によって、断層情報を有する信号成分の諧調性を向上させ難いという、特許文献8と同様な問題がある。
【0020】
さらに、特許文献10に示された構成では、特許文献6による発明を改良したスペクトラルドメイン法を開示しており、機械的な走査が一切不要で、かつ断面情報を高速に画像化できる可能性がある。しかしながら、この方式では、深度方向の測定範囲が分光器の特性によって制限されることと、深度方向とは直交する方向の解像力を向上させ難いという問題は、特許文献6による発明と同様に残っている。
【0021】
また、特許文献11による構成では、光軸と直交する方向の解像力を向上させると共に、装置のコストや光学系の調整の容易性等の現実面も考慮して改良を行い、実用性の高い方式を提案している。しかし、この発明による構成では、特に変調手段の高速化が困難であり、一枚の断層画像を得るのに要する時間に関して、例えば、毎秒2〜3コマ程度よりも早く高速化することは困難なため、動きの早い生体に応用するには問題がある。
【0022】
従って、本発明は上述の問題点を解決するために案出されたものであり、従来方式よりも低価格で簡単な装置構成を用いて、観察対象物体の断層像を、例えば毎秒30コマ、またはそれ以上高速に、かつ高い解像力、諧調性、コントラストを持って観察できる実用性の高い光断層画像化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明(請求項1)は、
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記参照光路を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための再走査手段と、
前記再走査手段を介した干渉光を、前記光走査手段および再走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明(請求項3)は、
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための再走査手段と、
前記再走査手段を介した干渉光を、前記光走査手段および再走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明(請求項11)は、
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を前記光走査手段へ導く回帰光学系と、
前記回帰光学系を通過した干渉光を、前記光走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明(請求項13)は、
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための第1の光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記第1の光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記第1の光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための第2の光走査手段と、
前記第2の光走査手段を通過した干渉光を、前記第1および第2の光走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の構成によれば、干渉光を検出する検出器として2次元撮像手段を採用し、光ビームを走査する走査手段として当該撮像手段のフレームレートに応じた低速の走査手段と低速な再走査手段を使用しているので、走査型光学系を簡単に構成することができ、電気的な制御も容易である、という効果が得られる。
【0028】
また、同時に、共焦点光学系と低コヒーレンス干渉計の効果を合わせ持ち、解像力が高く背景ノイズが少なく、諧調性とコントラストの高い断層画像(光軸に垂直な断面像)を撮像素子のフレームレートに応じて高速に取得することが可能である。特に、背景光を除去するための計算処理は、2次元撮像素子の水平方向に隣接する画素間での引き算を基本としているため処理が容易であり、画素間での露光の時間差が小さいことによって動きの早い対象物体に対してもブレが少なく、常に高精度な断層画像の観察が可能になる。
【0029】
そして、これらの特性を活かして、光ビームの深度走査手段を活用すれば、深度方向の走査に応じて光軸に垂直な断面像を連続的に収集することが可能であり、対象物体内部の3次元的な画像情報(3D画像)を取得することも可能になる。更に、2次元撮像素子をより高精細、高感度、高速なものに変更すれば、簡単に装置のバージョンアップも実現できるという、極めて実用的かつ経済的な光断層画像化装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1において、符号1及び2で示すものは、部分的コヒーレント光を射出する高輝度の発光ダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)であり、断層画像を観察するために必要な低干渉性(少しの干渉性)の性質を有する光源である。中心波長は、例えばそれぞれが、830nm、及び950nmという赤外線(不可視)の異なる帯域の光を発生するものとする。光源1、2からの光ビームは、レンズ3、4でコリメートされ、ミラー5とダイクロイックミラー6を介して同一の光軸上に合成される。
【0032】
光源1と2に関して、二つの波長域を合成して広帯域の光源として利用することも可能であり、あるいは、必要に応じて波長域を使い分ける様にしても良い。また、図1の光源として、可能光(例えば、波長670nm程度の赤色)の光を射出するSLDまたはLD(Laser Diode:半導体レーザー)等の光源を一つ備え、これは、測定用の不可視の赤外線に対して、可視光で光ビームの光路を確認するための補助光源として利用することもできる。
【0033】
ミラー5とダイクロイックミラー6を介した光ビームは、ビームエキスパンダー7とシリンドリカルレンズ(円柱状レンズ)8を介して扁平なラインビーム(焦点面において線状に結像する光ビーム)へと変形された後、ビームスプリッター(BS)10に入射する。ビームスプリッター10の位置において、光路は、光源側の光路9a、参照光路9b、探索光路9c、検出光路9dの4方向に分割されている。
【0034】
参照光路9bを進むラインビームは、シリンドリカルレンズ11を介して、再び断面が円形(または楕円形)の光ビームに変換される。レンズ11を通過した光ビームは、ミラー12と、レンズ13を介して、光路に垂直な平面ミラー(参照ミラー)14に到達し、そこで反射される。ミラー14は、圧電素子(圧電振動子)15に装着されており、この振動子は例えば数十kHz程度の高周波で光軸方向(矢印15aの方向)にミラー14を微細振動させ、光ビームの変調(周期的な位相シフト)を行なうものである。これらの参照ミラーと圧電振動子は、参照光路における光の変調手段を構成している。
【0035】
なお、参照光路9bの光路長は、探索光路9cの光路長と距離が等しくなるように合わせる必要があり、適宜設定される。また、参照光路9bの途中には、必要に応じて、光量を調節するためのNDフィルター等(不図示)が配置されるものとする。
【0036】
一方、探索光路9cを進むラインビームは、ガルバノメーター16に装着されたミラー(ガルバノミラー)16aに入射する。ガルバノミラー16aは、光軸に対して直交する方向に、光ビームの1次元的な走査を行う光走査手段を構成する。ガルバノミラー16aによる走査は、通常のTVカメラのフレーム周波数と同一の、例えば30Hz(または、60Hz等)の走査周波数で行われる。
【0037】
ガルバノミラー16aによって走査されたラインビームは、ミラー17を介した後、ミラー18a、18bで反射され、更にレンズ19を介して導かれる。ミラー18a、18bは、部材20を介してモーター21(ステッピングモーター等)に接続されており、一方レンズ19は、部材22を介してモーター23(または、モーター21に連動した所定の制御機構23)に接続されている。ミラー18a、18bとレンズ19は、モーター21、23等の作用によって光軸方向(矢印20a、22aの方向)に移動させることができる。
【0038】
この時、二つの部材の移動(矢印20a、22aの移動)を同時に行うと共に、二つの部材の移動量は、1対2に設定しておく。この移動量の条件によって、レンズ19とガルバノミラー16aとの共役関係を維持したまま、光ビームの深度方向の走査(光路長の伸縮と焦点位置の移動)を行うことができる。すなわち、これらのミラー18a、18bと、レンズ19は、探索光の光路において、光ビームの焦点位置と光路長を所定の範囲で変化させるための深度走査手段を形成している。
【0039】
ミラー18a、18bで反射され、レンズ19を介した光ビームは、ミラー24を介した後、観察対象物体25の所定位置に線状にフォーカスされる。このフォーカスされたラインビームは、ガルバノミラー16a(光走査手段)の作用によって、ビームの線状方向(Y軸、紙面に垂直な方向)とは直交する方向(X軸、矢印25aの方向)に走査される。これによって、観察対象物体25の内部の所定面(X−Y断面)を走査することが可能である。同時に、前述した深度走査手段の作用によって、深さ方向(Z軸、矢印25bの方向)の走査を行うことも可能である。なお、この図1の実施例では、観察対象物体25として、生体の皮下組織等の生物試料、あるいは食品や植物のサンプル、高分子性工業用部品等、光に対してある程度の透過性を示すものであれば任意の観察対象を想定している。
【0040】
観察対象物体25からの反射光は、上述した光学系を逆進し、すなわちミラー24、レンズ19、ミラー18b、18a、ミラー17、ガルバノミラー16aを経由して、ビームスプリッター10に至る。探索光路9cを逆進して、ビームスプリッター10のところで反射された観察対象物体25からの反射光は、参照光路9bから戻ってくる参照光と合成され、検出光路9dにおいて干渉光が発生する。この干渉光は、検出光としてレンズ26とミラー27を介して、ガルバノミラー16aの走査方向に間隙の制限された検出開口(スリット)28を通過し、更にミラー29とレンズ30を介して、ガルバノミラー16aの裏側の鏡面に入射し反射される。ガルバノミラー16aを介した検出光は、レンズ31によって2次元撮像素子(CCDカメラ等の2次元撮像手段)32の撮像面上に投影される。
【0041】
この光学系において、スリット28は、不要な迷光や散乱光によるノイズを排除して、検出される干渉信号のSN(信号対雑音特性)を向上させると共に、バックグラウンドの光量レベルを減らすことによって、撮像素子からの映像信号に関して信号成分の諧調性を向上させる、という効果的な役割を果たしている。すなわち、ガルバノミラー16aは、表面での反射作用によって探索光路の光ビームを走査すると同時に、裏面での反射作用によって、スリット28を通過したラインビームを再走査して、撮像素子32の撮像面への2次元的な結像を可能にするためのものである。
【0042】
言い換えれば、レンズ26、ミラー27、スリット28、ミラー29とレンズ30は、ガルバノミラー(光走査手段)16aとビームスプリッター10を介して導かれる検出光を、再びガルバノミラー(再走査手段)16aを経由して撮像素子32の2次元的な撮像面へと導く回帰光学系を形成している。図1の実施例において、ガルバノミラー16aは、その鏡の表面と裏面での反射作用により、探索光の光走査手段と、検出光の再走査手段とを兼用したものと考えることができる。
【0043】
2次元撮像素子32からの出力信号は、それに続く信号処理回路33に送られ、映像信号に関わる各種の信号処理が行われる。信号処理回路33は、内部に対数増幅回路、フィルター回路、遅延回路、引き算回路、A/Dコンバーター、各種のデジタル信号処理回路等、アナログとデジタルの両技術による信号処理を行なうための複数の電子回路を含んでおり、そこで処理され生成された出力信号が、コンピューター(Personal Computer:PC)34に送られる。
【0044】
PC34は、光学系の動作全般を制御すると共に、2次元撮像素子32と信号処理回路33を介して得られる映像信号を、液晶テレビモニター等の表示装置35に出力して表示をさせると共に、必要に応じて、記憶装置36に転送して記憶させる制御等を行うことができる。
【0045】
図2は、図1の構成において、2次元撮像素子32から得られる映像信号を、信号処理回路33を介して処理する場合の原理を説明するための模式図である。図2(a)において、横軸(X軸)は2次元撮像素子32の撮像面の水平方向に、縦軸(Y軸)は当該撮像面の垂直方向に対応するものとする。撮像素子32の撮像面上には、前述した光学系の作用により、所定の瞬間のスリット像37が、暗いバックグラウンド38の中に写りこんでいる。このスリット像37は、光走査手段と再走査手段(図1のガルバノミラー16a)の走査に応じて、時間経過と共に図2(a)のX軸方向(矢印37aの方向)に周期的に移動することとなる。
【0046】
一方、光変調手段(図1における14、15)の作用によって、参照光路の光ビームは光軸方向の微細振動(周期的な位相シフト)を受けるが、その状況が図2(b)において、振動波形39として模式的に描かれている。図2(b)においては、光走査手段(ガルバノミラー)の走査周期が、波形40として模式的に描かれており、この図のとおり、光変調手段による微細振動39は、ガルバノミラーの走査周波数(波形40、撮像素子32のフレームレートに対応)よりも高速に高い周波数で制御される。実施例の一つとして、撮像素子32が毎秒60コマで撮像を行うとすれば、光走査手段(及び再走査手段)16aの走査周波数も60Hzであり、それに対して、光変調手段の変調周波数は、例えば30kHz〜50kHz程度に設定される。この変調周波数は、圧電素子15の制御によって容易に実現可能である。
【0047】
OCTの干渉光学系によれば、参照光路と探索光路のそれぞれの光路長が一致し、かつ対象物体の内部からの反射成分(すなわち反射率の異なる境界面からの反射成分等)があった場合に、所定のパターンの干渉縞が撮像素子から検出される。この検出された干渉縞の信号に対して各種の信号処理を行い、結果的に得られた検出波形の一例が、図2(c)において模式的に、波形41として示されている。検出波形41は、更に処理が施された後に、対象物体内部の反射強度情報を示す信号成分へと変換される。
【0048】
一般的に、OCTによって人の生体組織や生物試料等の拡散性の強い物体を観察した場合、背景光として重畳する直流成分(DC成分)の影響により、検出される干渉縞のコントラストは低く、断層像の信号成分(AC成分)は、DC成分に比較して桁違いに小さくなる場合が多い。このDC成分の影響は、2次元撮像素子32からの映像信号に関して、隣接する画素間での演算を行うことによって取り除くことができる。すなわち、水平方向(X軸方向)に隣接する画素間で引き算を行えば、不要なDC成分は除去されると共に、対象物体の内部からの反射強度情報は、AC成分として抽出される。
【0049】
上述の概念を、より分かり易く簡単な数式を用いて説明すると、以下のとおりである。例えば、2次元撮像素子32において、水平方向に隣接する画素(一例として3つの画素)で検出される干渉縞の信号は、簡易的に、以下のように記述できる。
【0050】
n−1=I+I(−sinα)
=I+I(cosα)
n+1=I+I(sinα)
ここで、In−1 、I 、In+1 はそれぞれ隣接する画素での信号強度、Iは直流成分、Iは交流成分(断層像の信号成分)、αは干渉縞の位相である。上述の式では、隣接する画素間での干渉縞の位相差が、互いに90度であること想定しており、このような条件は、光変調手段の駆動周波数と振幅を、光走査手段の制御に応じて適切に設定することで実現できる。
【0051】
実際の測定系においては、通常、I ≫I 、すなわち直流成分は、求めようとする信号成分よりも圧倒的に大きい場合が多いため、ここでは一例として、以下のような計算を行う。
【0052】
(I− In−1 = I(1+2cosα×sinα)
(In+1 − I = I(1−2cosα×sinα)
従って、
(I− In−1+(In+1 − I =2I
すなわち、隣接する画素間で引き算を行うことにより、不要なDC成分は確実に除去することができ、更に、隣接する3画素の検出信号に関して加減算と乗算を含む簡単な計算を実行すれば、付随する位相項も排除することができる。このような演算処理によって、必要とするAC成分(信号成分)は、簡単に抽出することが可能である。
【0053】
実用的には、上述した水平方向の画素間の引き算を含む演算は、アナログ的な遅延回路と引き算回路等によって簡単かつ高速に、しかもデジタル的な諧調に依存することなく高精度に実行可能である。このようなアナログ処理の後に、A/D変換回路とデジタル演算回路を介することによって、更にノイズの低減や画質の改善を考慮した、より複雑な演算を実行することも可能であり、比較的簡単に対象物体内部の反射強度情報を抽出することができる。また、本発明の方式によれば、光学的な原理として、隣接する画素間における露光時刻の違いは極めて小さいため、仮に、対象物体が動きを伴う生体であったとしても、撮像時のブレが少なく、解像力や諧調性、コントラストの優れた高精度な画像を得ることが可能である。
【実施例2】
【0054】
図3は、本発明の実施例として図1とは異なるシステムの構成を示したものである。図3では、観察対象物体として人の目の眼球を想定しており、検眼を行なうのに好適な光学系の実施例を示している。図3においては、図1の構成要素と同等の要素には共通の符号を付けて示しており、以下、図1との相違点について主に説明する。
【0055】
断層像観察用の光源(SLD)1または2からの光ビーム(シリンドリカルレンズ8を介して、焦点位置で線状となるラインビーム)は、ビームスプリッター10において、参照光路9bと探索光路9cの二つの方向に分割される。参照光路9bを進んだ光ビームは、シリンドリカルレンズ11、ミラー12、レンズ13を介して、更にレンズ42を介して導かれた後、ミラー14で反射される。ミラー14は、圧電素子15に装着されており、参照光の光ビームの変調(周期的な位相シフト)を行うことができる。
【0056】
参照光路の途中、ミラー14の近傍には、シャッター43が備えられている。このシャッター43は、必要に応じて、参照光路を遮断することによって、干渉像とは異なる通常の反射像を得るために利用することができる。
【0057】
一方、探索光路9cを進む光ビームは、ガルバノミラー16aによって1次元方向に走査される。この走査された光ビームは、ミラー18a、18b、レンズ19、ミラー24を介した後、更にレンズ44を通過して、被検眼45(前眼部45a、または眼底45b)に入射する。ここで、レンズ19と44は、テレセントリック光学系を構成しており、ガルバノミラーと被検眼との共役関係が一定に保たれているものとする。
【0058】
ミラー18aと18bは、図1の実施例と同様に、部材20によって不図示のモーター(図1のモーター21に対応)に固定されており、光軸方向の移動(矢印20aの方向)が可能となっている。一方、レンズ19は、不図示のモーター(図1のモーター23に対応)により移動される部材22に保持されており、部材20の移動と同時に、部材22の移動(矢印22aの方向)が可能な構造となっている。この時、部材20と22の移動量を1対2に設定しておけば、ガルバノミラー16aと被検眼の前眼部45aとの共役関係を維持したまま、光ビームの深度方向の走査(光路長の伸縮と、焦点位置の移動)を正確に行うことができる。
【0059】
被検眼の所定部位、例えば眼底45bからの反射光は、上述の光路を逆行して、ビームスプリッター10において参照光路9bを介した参照光と合成され、検出光路9dに導かれ、そこで干渉信号は、レンズ26を介して検出開口(スリット)28を通過する。検出開口28は、不要な光ノイズを除去して干渉信号のSNを向上させると共に、信号のコントラストと階調性を向上させる効果がある。
【0060】
この検出開口を通過した干渉光は、レンズ30を介して、ガルバノメーター46に装着されたガルバノミラー46aに導かれる。ガルバノミラー46a(第2の光走査手段)は、ガルバノミラー16a(第1の光走査手段)と同一の走査方向に、検出光の走査を行うための再走査手段であり、その走査周波数は二つのガルバノミラー16a、46aに関して、それぞれ同一に設定されている。ガルバノミラー46aで再走査された検出光(干渉光)は、レンズ31を介して、CCD等で構成される2次元撮像素子32に結像される。
【0061】
図3の構成では、一例として、2次元撮像素子32のフレームレートが、毎秒60コマであれば、ガルバノミラー16aと46aの走査周波数も、それぞれ60Hzである。この図の構成では、ガルバノミラーを結果的に2つ使っているが、図1の構成で必要としていた折り返し用のミラー(27、29)が不要となり、検出光学系の効率を向上できると共に、光路の調整も容易になるというメリットがある。
【0062】
撮像素子32から出力される映像信号は、信号処理回路33を介して隣接画素間での処理に基づく各種の演算処理が行われ、所定の断層画像が抽出される。得られた断層画像は、PC34を介して液晶モニター等の表示手段35に表示され、必要に応じて、記憶装置36に記憶させることができる。
【0063】
図4は、測定対象物体として、人の眼球を想定した場合の説明図であり、図4(a)では、眼球に関して想定され得る座標系を示している。図4(a)に示したように、人眼の測定系では、被検眼45の光軸(眼球軸)に対して直交する方向のX−Y画像と、被検眼の光軸に沿った方向のY−Z画像(または、図4(a)で不図示のX−Z画像等)が考えられる。本発明における光学系においては、撮像素子32と信号処理回路33を介して得られる映像信号は、光軸に直交する方向の断面を検出したX−Y画像を示している。従って、これらのX−Y画像を、図4(b)に示した如く、深度走査手段(図3の18a、18b、19)の走査に応じて、Z軸方向に複数枚、採取して行けば、被検眼内部の3次元情報を収集することが可能である。
【0064】
図4(c)は、被検眼内部の、例えば眼底の3次元情報を採取した後に、ソフトウェアによる各種の画像処理をPC34(図3参照)によって行い、視覚的に表示できるように処理して表示装置35のモニター画面に表示したところの例示図である。
【0065】
図4(d)は、(b)に示した様式で採取した画像データに対して更なる画像処理を行い、眼底のX−Z方向の断面を表示したところの例示図である。このような眼底の断面画像は、OCTの臨床医学における重要な応用例の一つとして、各種の網膜変性症や網膜剥離等の重篤な眼科疾患の精密診断や手術計画に際して効果的に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に関わる光断層画像化装置の一実施例を示したシステムの構成図である。
【図2】本発明の信号処理の方式を説明するための説明図である。
【図3】本発明に関わる光断層画像化装置の、図1とは異なる他の実施例を示したシステムの構成図である。
【図4】医学的な応用の一つとして、被検眼の測定を想定した場合の説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2 光源
8、11 シリンドリカルレンズ
10 ビームスプリッター
14 参照ミラー
16a、46a ガルバノミラー
25 観察対象物体
28 検出開口
32 2次元撮像素子
35 表示装置
45 被検眼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記参照光路を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための再走査手段と、
前記再走査手段を介した干渉光を、前記光走査手段および再走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項2】
前記2次元撮像手段から出力される映像信号の隣接する画素間の演算処理によって該映像信号から直流成分を除去し、対象物体内部の反射強度情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像化装置。
【請求項3】
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための再走査手段と、
前記再走査手段を介した干渉光を、前記光走査手段および再走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項4】
前記2次元撮像手段から出力される映像信号の隣接する画素間の演算処理によって該映像信号から直流成分を除去して干渉情報を抽出し、対象物体内部の反射強度情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の光断層画像化装置。
【請求項5】
前記探索光の光路には、光ビームの焦点位置と光路長を変化させるための深度走査手段が付加されており、当該手段による深度方向の走査によって、対象物体内部の3次元的な断層画像情報が取得可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光断層画像化装置。
【請求項6】
前記光ビームは、スリット状の光ビームであり、前記干渉光は、前記光走査手段と再走査手段の間に配置されたスリット状の検出開口を介して前記2次元撮像手段へと導かれることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光断層画像化装置。
【請求項7】
前記光走査手段は、ガルバノメーターに装着された反射ミラーによって構成され、該走査手段による走査方向は、前記2次元撮像手段の水平撮像方向に対応することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光断層画像化装置。
【請求項8】
前記再走査手段は、前記光走査手段とガルバノメーターを共通に利用し、該光走査手段による反射ミラーとは反対側の反射面を利用して2次元撮像手段への干渉光の走査が行われることを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置。
【請求項9】
前記再走査手段は、前記光走査手段のガルバノメーターとは異なる第2のガルバノメーターを利用し、該第2のガルバノメーターに装着された反射ミラーによって2次元撮像手段への干渉光の走査が行われることを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置。
【請求項10】
前記光変調手段による位相シフトの繰返し周波数は、前記光走査手段と再走査手段の走査周波数、及び前記2次元撮像手段のフレームレートよりも2桁以上高速に設定されることを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の光断層画像化装置。
【請求項11】
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を前記光走査手段へ導く回帰光学系と、
前記回帰光学系を通過した干渉光を、前記光走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項12】
前記回帰光学系の光路には、前記光走査手段の走査方向に間隙の制限された所定の検出開口が配置され、前記干渉光は、該検出開口を介して前記2次元撮像手段へと導かれることを特徴とする請求項11に記載の光断層画像化装置。
【請求項13】
光源からの光ビームを走査して観察対象物体の所定部位に照射し、該対象物体からの反射光を光学的な干渉現象を利用して検出処理することにより対象物体の断層画像情報を取得する光断層画像化装置において、
低干渉性の光ビームを発生する光源と、
前記光源からの光ビームを対象物体へ向かう探索光と、所定の参照光路へ向かう参照光とに分割するための光分割部材と、
前記探索光の光ビームを所定の周波数で1次元走査するための第1の光走査手段と、
前記参照光の光ビームを前記第1の光走査手段の走査周波数よりも高い周波数で周期的に位相シフトさせるための光変調手段と、
前記対象物体を介した探索光と前記光変調手段を介した参照光との間で合成される干渉光を、前記第1の光走査手段と同一の走査周波数および同一の走査方向に走査するための第2の光走査手段と、
前記第2の光走査手段を通過した干渉光を、前記第1および第2の光走査手段の走査周波数に応じたフレームレートで検出するための2次元撮像手段と、
前記2次元撮像手段から出力される映像信号から前記光変調手段による光変調に応じた干渉情報を抽出して対象物体内部の反射強度情報を取得する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項14】
前記第1および第2の光走査手段の間の光路には、該光走査手段の走査方向に間隙の制限された所定の検出開口が配置され、前記干渉光は、該検出開口を介して前記2次元撮像手段へと導かれることを特徴とする請求項13に記載の光断層画像化装置。
【請求項15】
前記2次元撮像手段から出力される映像信号の隣接する画素間の演算処理によって該映像信号から直流成分を除去して干渉情報を抽出し、対象物体内部の反射強度情報を取得することを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の光断層画像化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−309613(P2008−309613A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157304(P2007−157304)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】