説明

光源制御装置及び映像表示装置

【課題】固体光源が発する光量を迅速に目標光量とすることを可能とする光源制御装置及び映像表示装置を提供する。
【解決手段】制御部22は、光源ドライバ24から供給される駆動電流と光センサ21によって検出される出射光量との関係に応じて、LED11の環境温度に対応するテーブル(駆動電流−光量特性)を取得し、取得されたテーブルに基づいて、出射光量が目標光量となるように駆動電流を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体光源を備えた光源制御装置及び映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの固体光源と、固体光源が発する光を変調する光変調素子とを備えた映像表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。ここで、固体光源に電流が供給されると、固体光源が熱を生じる。固体光源の環境温度が高くなると、固体光源が発する光量が減少する。
【0003】
なお、固体光源が生じる熱による光量の減少を抑制するために、固体光源を冷却する冷却素子が設けられた映像表示装置も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
ここで、LED(発光ダイオード)光源を例に挙げると、LED光源の駆動電流−光量特性は、LED光源の環境温度の変化によって変化することが知られている。
【0005】
例えば、赤色LEDは、図3に示すように、駆動電流の上昇に応じて出射光量がある程度まで上昇するが、途中から逆に出射光量が降下してしまう特性(以下、オーバーロールということがある)を有する。また、赤色LEDは、同じ駆動電流が与えられても、環境温度が高いときには、出射光量が大きく低下する特性を有する。ここで、例えば、図中のT1を室温とし(例えば、20℃とする)、T2を光源点灯時の定常的温度とし(例えば、80℃とする)、T3を定常的温度よりも高い温度とする。すなわち、環境温度の関係は、T1<T2<T3である。
【0006】
一般的に、固体光源に供給される駆動電流の制御は、所定のステップ幅(ΔC)単位で行われる。すなわち、固体光源が発する光量が不足している場合には、所定のステップ幅で駆動電流を増加した上で、固体光源が発する光量が目標光量に達したか否かを判定する。このような処理を繰り返すことによって、固体光源が発する光量が一定光量(目標光量)となるように、駆動電流の制御が行われる。
【特許文献1】特開2006−18196号公報
【特許文献2】特開2004−144794号公報(請求項1、[0036]、[0037]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、駆動電流の制御が所定のステップ幅単位で行われるため、固体光源が発する光量が迅速に目標光量とならないケースがある。すなわち、図3に示したように、駆動電流−光量特性は、固体光源の環境温度の影響を受けるため、固体光源が発する光量が目標光量となるように、固体光源の駆動電流の増加量を決定することが困難である。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、固体光源が発する光量を迅速に目標光量とすることを可能とする光源制御装置及び映像表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、固体光源及び冷却素子に課される負荷を抑制しながら、映像の輝度向上を図ることを可能とする映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の特徴では、光源制御装置は、固体光源に駆動電流を供給する光源ドライバと、前記固体光源の出射光量を検出する光量センサと、前記駆動電流と前記出射光量との関係を示す特性情報を前記固体光源の環境温度毎に保持する記憶手段と、前記光源ドライバから供給される前記駆動電流を制御する制御手段とを光源制御装置が備える。前記制御手段は、前記光源ドライバから供給される前記駆動電流と前記光量センサによって検出される前記出射光量との関係に応じて、前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報を前記記憶手段から取得し、取得された前記特性情報に基づいて、前記出射光量が目標光量となるように前記駆動電流を制御する。
【0011】
かかる特徴によれば、制御手段は、光源ドライバから供給される駆動電流と光量センサによって検出される出射光量との関係に応じて、固体光源の環境温度に対応する特性情報を取得して、取得された特性情報(駆動電流−光量特性)に基づいて、出射光量が目標光量となるように駆動電流を制御する。
【0012】
すなわち、固体光源の環境温度に対応する特性情報(駆動電流−光量特性)を把握した状態で、固体光源の駆動電流が制御されるため、出射光量が目標光量とするための駆動電流の制御を容易に決定することができる。従って、固体光源が発する光量を迅速に目標光量とすることができる。
【0013】
本発明の上述した特徴において、前記制御手段は、前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報が前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記記憶手段に記憶された前記特性情報の中から、前記固体光源の環境温度に近接する環境温度に対応する前記特性情報を特定し、特定された前記特性情報に基づいて、前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報を算出し、算出された前記特性情報に基づいて、前記出射光量が目標光量となるように前記駆動電流を制御することが好ましい。
【0014】
本発明の上述した特徴において、前記制御手段は、取得された前記特性情報において、前記出射光量が最大となる前記駆動電流である最大駆動電流を超えない範囲で、前記光源ドライバから供給される前記駆動電流を制御することが好ましい。
【0015】
本発明の一の特徴では、映像表示装置は、固体光源の出射光を変調する少なくとも一つの光変調素子と、前記少なくとも一つの光変調素子によって変調された光を投写する投写レンズと、本発明の上述した特徴に係る光源制御装置とを備える。
【0016】
本発明の一の特徴では、複数の固体光源の出射光を変調する少なくとも一つの光変調素子と、前記少なくとも一つの光変調素子によって変調された光を投写する投写レンズと、本発明の上述した特徴に係る光源制御装置とを備える。前記制御手段は、前記複数の固体光源に含まれる一の固体光源の前記駆動電流を、前記最大駆動電流を超えて制御する場合に、前記複数の固体光源の出射光によって再現されるホワイトバランスを維持しながら、前記複数の固体光源に含まれる他の固体光源の前記駆動電流を制御する。
【0017】
本発明の一の特徴では、映像表示装置は、固体光源(固体光源110)と、前記固体光源が発する光を変調する光変調素子(液晶パネル150)と、前記固体光源を冷却する冷却素子(ペルチェ素子120)と、前記光変調素子の変調量を定める映像信号を受付ける信号受付部(映像信号受付部310)と、前記信号受付部によって受付けられた前記映像信号に応じて、前記冷却素子の冷却力を制御する冷却力制御部(冷却力制御部330)とを備える。
【0018】
かかる特徴によれば、冷却力制御部が、信号受付部によって受付けられた映像信号に応じて、冷却素子の冷却力を制御することによって、冷却素子に高電流を継続的に流さずに、固体光源の環境温度を適切に下げることができる。従って、固体光源に供給される電流量を増やさなくても、必要に応じて映像の輝度向上を図ることができる。
【0019】
すなわち、固体光源及び冷却素子に課される負荷を抑制しながら、映像の輝度向上を図ることができる。
【0020】
本発明の上述した特徴において、前記固体光源は、前記光変調素子に設けられた複数の分割領域毎に設けられた複数の固体光源であり、前記冷却素子は、前記複数の固体光源毎に設けられた複数の冷却素子であり、前記冷却力制御部は、前記分割領域に対応する前記映像信号に応じて、前記複数の冷却素子の冷却力を制御することが好ましい。
【0021】
本発明の上述した特徴において、前記冷却素子は、電流の供給によって熱が奪われる吸熱面(吸熱面21)と、電流の供給によって前記吸熱面から奪われた熱が伝わる放熱面(放熱面22)とを有するペルチェ素子であり、前記吸熱面には、前記固体光源が設けられており、前記放熱面には、前記放熱面に伝わった熱を放出する放熱部材(ヒートシンク130)が設けられていることが好ましい。
【0022】
本発明の上述した特徴において、映像表示装置は、前記固体光源の駆動電流を制御する駆動電流制御部(駆動電流制御部340)と、前記固体光源の環境温度を検出する検出部(温度センサ70)とをさらに備え、前記冷却力制御部は、前記映像信号に応じて表示される映像の輝度が所定閾値を超えると判定された場合に、前記所定閾値を輝度が超える映像が表示される前に、前記冷却素子の冷却力を強化し、前記駆動電流制御部は、前記固体光源の環境温度の低下に連動して前記固体光源の駆動電流を低減し、前記所定閾値を輝度が超える映像が表示される際に、前記固体光源の駆動電流を増大することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、固体光源が発する光量を迅速に目標光量とすることを可能とする光源制御装置及び映像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下において、本発明の実施形態に係る映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0025】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0026】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について図1乃至図4に基づいて説明していく。
【0027】
図1は投写型映像表示装置の光学系を例示した説明図である。この投写型映像表示装置は、3つの照明装置51R,51G,51Bを備える。各照明装置51は、光源であるLED(発光ダイオード)11と、ロッドインテグレータと、を備える。前記ロッドインテグレータは、例えば、テーパ型ロッドインテグレータ部12と直方体形状ロッドインテグレータ部13とから成る。各照明装置51の光出口側には光変調素子としての液晶表示パネル1R,1G,1Bが配置される。
【0028】
前記LED11は、LEDチップ11aとヒートシンク(放熱板)11bとから成る。照明装置51RにおけるLEDチップ11aは赤色光を出射し、照明装置51GにおけるLEDチップ11aは緑色光を出射し、照明装置51BにおけるLEDチップ11aは青色光を出射する。
【0029】
各照明装置51から出射された各色光が各色用の液晶表示パネル1R,1G,1Bを透過することによって各色映像光が生成される。そして、各色映像光はクロスダイクロイックプリズム2(クロスダイクロイックミラーでもよい)によって合成されてカラー映像光となる。このカラー映像光は投写レンズ3によって投写される。
【0030】
なお、図示はしていないが、ヒートシンク(放熱板)11bに向けて送風を行うファンを設けたり(空冷)、ヒートシンク11bに冷却液を循環させてLEDチップ11aの温度上昇を抑制するようにしてもよい。
【0031】
図2は光源制御装置の一例を示したブロック図である。光量センサ21は照明光路上の近傍位置に設けられている。具体的には、LEDチップ11aの斜め側方位置であってテーパ型ロッドインテグレータ部12の光入口面から少し外れた位置に設けられている。光量センサ21の出力は制御部22が受け取る。光量センサ21は例えば、フォトダイオード、或いは光量で抵抗値が変化する素子などから成る。また、光源ドライバ24は、制御部22から指示された電流値によってLEDチップ11aを駆動する。
【0032】
テーブル部23には、図4に示すように、複数の温度下での前記LEDチップ11aの駆動電流−光量特性をデータテーブルとして保持する。例えば、テーブル部23は、先述した図3におけるT1,T2,T3における駆動電流−光量特性をディジタルデータ化してメモリに記憶している。なお、各テーブルは、頂上点以降の駆動電流−光量特性についてのデータを持たなくてもよい(各テーブルの最大駆動電流値は頂上点手前の電流値となる)。或いは、頂上点以降の駆動電流−光量特性についてのデータを持っていてもよいが、頂上点となる駆動電流の値を別途持っておくのがよい。或いは、制御部22がテーブル内を検索して各テーブルの頂上点となる駆動電流の値を知ることも可能である。
【0033】
制御部22は、以下に示す処理(制御)を実行する。この制御内容は、テーブル選出処理(選出テーブルの切替/維持判断を含む)と、選出したテーブルに基づく駆動電流値生成処理とからなる。
【0034】
(1)制御部22は、現時点の駆動電流値(C)に基づきテーブル部23から各テーブル(T1テーブル,T2テーブル,T3テーブル)が持つ当該現時点の駆動電流値(C)に対応する光量値データ(L)を取り出す。例えば、図4の例示によれば、制御部22は、現時点の駆動電流値C1に基づき、T1テーブルからは光量値データ(L2)を取り出し、T2テーブルからは光量値データ(L1)を取り出す。T3テーブルからも所定の光量値データを取り出す。
【0035】
(2)制御部22は、前記テーブルから取り出した各光量値データ(L)と光量センサ21から受け取ったセンサ出力に基づいて得られる現時点光量値との差を求め、差がゼロ(0)である(合致する)テーブルを選出する。例えば、現時点の駆動電流値がC1であり、光量センサ21から受け取ったセンサ出力に基づいて得られる現時点光量値がL2であるならば、T1テーブルを選出することになる。すなわち、制御部22は、光源ドライバ24から供給される駆動電流と光センサ21によって検出される出射光量との関係に応じて、LED11の環境温度に対応する特性情報(T1テーブル)をテーブル部23から取得する。差が0とならないときには、差が最も小さくて且つこの差が所定の許容範囲内である(合致する)テーブルを選出する。すなわち、制御部22は、光源ドライバ24から供給される駆動電流と光センサ21によって検出される出射光量との関係に応じて、LED11の環境温度に近い環境温度に対応する特性情報(テーブル)をテーブル部23から取得する。合致するテーブルが無いときには、当該時点の光量センサ出力値及び駆動電流値に近似して隣り合う二つのデータテーブルの中間値を求めて暫定的な仮テーブルを生成して保持してもよい(図3中の点線参照)。すなわち、制御部22は、LED11の環境温度に対応する特性情報(テーブル)がテーブル部23に記憶されていない場合に、テーブル部23に記憶された特性情報の中から、LED11の環境温度に近接する環境温度に対応する特性情報を特定し、特定された特性情報に基づいて、LED11の環境温度に対応する特性情報を算出する。中間値は前記二つのテーブルのどちらのテーブルにより近いかで重み付けを行ってもよい。なお、テーブル数が多ければ多いほど前記合致が得られやすくなる(精度が向上する)一方で、大きなメモリ容量が必要になるので、精度とメモリ容量との兼ね合いでテーブル数を決めることになる。
【0036】
制御部22は、上記テーブルの選出処理(選出テーブルの切替/維持判断)を例えば1秒間隔、5秒間隔、10秒間隔などで実行する。
【0037】
(3)制御部22は、選出したテーブル(又は仮テーブル)から、所望の光量(L)を得るための駆動電流値(C)を知得し、この駆動電流値(C)を光源ドライバ24に与える。光源ドライバ24は、制御部22から指示された駆動電流値(C)によってLEDチップ11aを駆動する。例えば、選出されたテーブルがT1テーブルであり、所望の光量(目的光量)がL1であれば、駆動電流値はC2となる。
【0038】
繰り返し述べることになるが、前記図3において光量L1は所望の光量であるとし、光源点灯時の定常的温度(T2)の想定下での必要駆動電流がC1であることから、先ずは、点灯開始時、光源ドライバ24は駆動電流C1でLEDチップ11aを駆動することとする。LEDチップ11aへの通電当初はその温度は室温(T1)であるから駆動電流C1でLEDチップ11aを駆動すると光量値はL2となるはずであり、制御部22は、テーブル選出処理において、現時点光量値(センサ出力)に基づきT1テーブルを選出することになる。そして、制御部22は、選出テーブルから目的光量L1を得るための駆動電流値としてC2を知得し、光源ドライバ24は駆動電流値C2によってLEDチップ11aを駆動する。そのうちにLEDチップ11aの温度は上昇するから、次回或いはそれ以降のテーブル選出処理(選出テーブルの切替/維持判断)でT2テーブルが選出される。そして、制御部22は、T2テーブルから目的光量L1を得るための駆動電流値としてC1を得ることになり、光源ドライバ24は駆動電流値C1によってLEDチップ11aを駆動することになる。
【0039】
また、LEDチップ11aの温度が何かの不具合で温度T3に幾分近づいたと仮定すると、T3テーブル或いは仮テーブルが選出されることになる。しかしながら、データテーブルに頂上以降の電流値を記述しておかないことにより(各テーブルの最大駆動電流値は頂上手前の電流値となる)、或いは、制御部22が頂上点を知得しておくことにより、頂上点を超えた側での電流供給となる事態を防止できることになる。
【0040】
上述した光源制御は、3原色の全ての照明装置51について行ってもよい。すなわち、LEDの構成材料にもよるが、例えば、青色LEDや緑色LEDについても温度によって駆動電流−光量特性が変化したり、オーバーロールを生じたりする場合もある。それぞれの色用のLEDについて駆動電流−光量特性データテーブルを備えて光源制御を行うことにより、各色照明装置の出射光量を適切に制御できることになる。
【0041】
また、温度による駆動電流−光量特性の変化が大である(更には、オーバーロール特性を持つ)一つ又は二つの色光源に対してだけ本願発明にかかる光源制御を実行し、温度による駆動電流−光量特性の変化が小である(また、オーバーロール特性を持たない)他の光源については単なるフィードバック制御(従来項参照)を行うこととしてもよい。なお、それぞれの色光源において目的光量を設定し、これら目的光量を維持する制御が行われるということは、ホワイトバランスが維持されるということになる。
【0042】
また、或る色光源の前記駆動電流−光量特性における光量の頂上点よりも更に光量増加が要求されるときには(そのような映像信号が入力されることきには)、ホワイトバランス保持のために他の色光源の駆動電流を制限することとしてもよい。別言すれば、前記駆動電流−光量特性における頂上点を超えた側での電流供給となる事態の防止とホワイトバランスの保持との観点から、白色輝度が各色光源の駆動電流−光量特性における頂上点の制限を受けることとなる制御を行ってもよい。
【0043】
また、制御部22は、映像信号(RGB信号)を入力し、この映像信号における一フレーム映像を解析するようになっていてもよい。具体的には、一フレーム映像を構成する各画素の赤色強度(赤色階調信号)、緑色強度(緑色階調信号)、青色強度(青色階調信号)を検出する。ここで、各色強度が0〜99であるとし、100階調で各液晶表示パネル1の光透過量が制御されるものとし、また、各照明装置51も100段階で光量調整が行なえるものとする。一フレーム映像のなかで赤色強度が全ての画素において0であるならば、制御部22は、光源ドライバ24に対して、照明装置51Rのゲインを0(最低光量)とするための制御信号を与える。光源ドライバ24は前記制御信号を受けて照明装置51Rへの供給電流を制御する。また、制御部22は、図示しないLCD信号処理部に対して液晶表示パネル1Rの全画素について例えば光透過量0とする駆動指令を与える。LCD信号処理部は前記駆動指令に基づいて液晶表示パネル1Rの画素を駆動することになる。一フレーム映像のなかで赤色強度の最高値が50のとき、当該50の値とされる画素についてはその光透過量を100とし、照明装置51Rについてはその出射光量を50とする(T2テーブルを選択している状態であれば、L1/2の光量に対応する電流値Cを求めて光源を駆動する)。他の赤色強度を持つ画素については、その元々の映像信号による赤色強度に対して前記照明装置51Rの出射光量を50としたことによる補正をかければよい。このように制御するのが照明装置51における電力消費を最も少なくできるのであるが、このような制御に限らず、例えば、前記50の値とされる画素について光透過量を70とし、照明装置51Rの出射光量を70とするような制御を行なってもよい。この場合も、他の赤色強度を持つ画素については、その元々の映像信号による赤色強度に対して前記照明装置51Rの出射光量を70としたことによる補正をかければよい。また、他の色についても、同様の制御を行なえばよい。
【0044】
ここで、上記のごとく光源(LED)自体の発光量を映像信号に合わせて制御する場合、光源の温度は光源点灯時の定常的温度(T2)を維持できないものとなり、その温度は時間軸上で頻繁に変化すると考えられる。本願発明であれば、このように光源の温度が頻繁に変化したとしてもそれに迅速に追従して光源を目的光量で発光させることが可能になる。
【0045】
また、上記の例では、3板式の投写型映像表示装置を示したが、白色光を出射する光源(白色LEDを有する光源、或いは、発光色が互いに異なる各色LEDからの光をクロスダイクロイックキューブ等で合成する光源)を有する単板式の投写型映像表示装置或いは、白色光光源からの光を例えばダイクロイックミラーで色分離する3板式の投写型映像表示装置においても本願の光源制御を適用することができる。勿論、光を変調するライトバルブは透過型の液晶パネルに限らず、反射型の液晶パネルを用いてもよいし、微小ミラーを多数配置して成るライトバルブを用いてもよいものである。
【0046】
また、上記の光量センサ21は、光源であるLED11の近傍に設けているため、LED11からの熱による影響を受けて、正確な温度検出ができないおそれがある。そこで、光量センサ21の背面にヒートシンクを設けてもよい。また、上記の光量センサ冷却用のヒートシンクは、LED11冷却のためのヒートシンク11bと一体形成されるものであってもよい。また、この一体形成されたヒートシンクの内部に冷却用の液体を流すようにしてもよい。更に、LED11及び光量センサ21を、空冷ファンや液冷などの強制冷却手段により冷却するようにしてもよい。また、上記の各照明装置51の外側には、LED11からの光が直接スクリーン等へ照射されることを防止するための(迷光発生防止のための)光遮蔽部材を設けることがある。この際、光量センサ21をこの光遮蔽部材上に設けるようにしてもよい。また、この光遮蔽部材を熱伝導性の高い材質で構成し、この光遮蔽部材が光量センサ21のヒートシンクを兼ねるものであってもよい。
【0047】
また、複数の温度下での前記光源の駆動電流に対する光量の特性情報としては、上述した駆動電流−光量特性データベースの他、駆動電流−光量特性の関数式であってもよい。
【0048】
なお、第1実施形態では、固体光源としてLEDを挙げて説明したが、これに限定されるものではない。固体光源はLD(Laser Diode)であってもよいことは勿論である。
【0049】
[第2実施形態]
(映像表示装置の概略)
以下において、第2実施形態に係る映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置200の概略を示す図である。
【0050】
図5に示すように、投写型映像表示装置200は、投写レンズユニット210を有しており、投写レンズユニット210によって拡大された映像光をスクリーン300上に投写する。投写レンズユニット210は、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの固体光源を光源として有する。
【0051】
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第2実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る照明ユニット220の概略構成を示す図である。
【0052】
図6に示すように、照明ユニット220は、複数の固体光源110(固体光源110R、固体光源110G及び固体光源110B)と、複数のペルチェ素子120(ペルチェ素子120R、ペルチェ素子120G及びペルチェ素子120B)と、複数のヒートシンク130(ヒートシンク130R、ヒートシンク130G及びヒートシンク130B)と、複数の回折素子140(回折素子140R、回折素子140G及び回折素子140B)と、複数の液晶パネル150(液晶パネル150R、液晶パネル150G及び液晶パネル150B)と、クロスダイクロイックキューブ160とを有する。
【0053】
固体光源110Rは、赤成分光を発するLEDやLDなどの固体光源である。固体光源110Rは指向性を有しており、固体光源110Rが発する赤成分光はスポット光である。同様に、固体光源110G及び固体光源110Bは、緑成分光及び青成分光を発するLEDやLDなどの固体光源である。固体光源110G及び固体光源110Bは指向性を有しており、固体光源110G及び固体光源110Bが発する緑成分光及び青成分光はスポット光である。なお、各固体光源が発するスポット光の形状は、特殊レンズなどによってライン形状(長方形)に調節されてもよいことに留意すべきである。
【0054】
ペルチェ素子120Rは、電流の供給によって熱が奪われる吸熱面121Rと、電流の供給によって吸熱面121Rから奪われた熱が伝わる放熱面122Rとを有する。吸熱面121Rには、固体光源110Rが設けられており、放熱面122Rには、ヒートシンク130Rが設けられている。
【0055】
同様に、ペルチェ素子120Gは、吸熱面121Gと放熱面122Gとを有しており、吸熱面121Gには、固体光源110Gが設けられており、放熱面122Gには、ヒートシンク130Gが設けられている。ペルチェ素子120Bは、吸熱面121Bと放熱面122Bとを有しており、吸熱面121Bには、固体光源110Bが設けられており、放熱面122Bには、ヒートシンク130Bが設けられている。
【0056】
ここで、ペルチェ素子120R、ペルチェ素子120G及びペルチェ素子120Bの冷却力は、後述する制御回路250から取得する制御信号(制御信号C、制御信号C及び制御信号C)によって制御される。
【0057】
ヒートシンク130Rは、金属などの熱伝導性部材によって構成されており、ペルチェ素子120Rの放熱面122Rに伝わった熱を放熱する。同様に、ヒートシンク130G及びヒートシンク130Bは、金属などの熱伝導性部材によって構成されており、ペルチェ素子120Gの放熱面122G及びペルチェ素子120Bの放熱面122Bに伝わった熱を放熱する。なお、ヒートシンク130R、ヒートシンク130G及びヒートシンク130Bは、投写レンズユニット210の外側に連通する冷却ファン(不図示)によって冷却されることが好ましい。
【0058】
回折素子140Rは、固体光源110Rが発する赤成分光を均一化し、均一化された赤成分光は、液晶パネル150Rに照射される。同様に、回折素子140G及び回折素子140Bは、固体光源110G及び固体光源110Bが発する緑成分光及び青成分光を均一化し、均一化された緑成分光及び青成分光は、液晶パネル150G及び液晶パネル150Bに照射される。
【0059】
液晶パネル150Rは、赤入力信号Rinに応じて固体光源110Rが発する赤成分光を変調して、スクリーン300上に投写される赤成分光の光量を制御する光変調素子である。同様に、液晶パネル150G及び液晶パネル150Bは、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて固体光源110G及び固体光源110Bが発する緑成分光及び青成分光を変調して、スクリーン300上に投写される緑成分光及び青成分光の光量を制御する光変調素子である。
【0060】
クロスダイクロイックキューブ160は、液晶パネル150R、液晶パネル150G及び液晶パネル150Bから出射された赤成分光、緑成分光及び青成分光を合成する。具体的には、クロスダイクロイックキューブ160は、赤成分光を投写レンズユニット210側に反射して、緑成分光を投写レンズユニット210側に透過するミラー面161aと、青成分光を投写レンズユニット210側に反射して、緑成分光を投写レンズユニット210側に透過するミラー面161bとを有する。
【0061】
照明ユニット220(ペルチェ素子120及び液晶パネル150)には、制御回路250が接続されている。
【0062】
制御回路250は、入力映像信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)に応じて、ペルチェ素子120の冷却力及び液晶パネル150の変調量を制御する。具体的には、制御回路250は、入力映像信号に応じて定められる制御信号(制御信号CR、制御信号CG及び制御信号CB)を各ペルチェ素子120に入力する。制御回路250は、入力映像信号に応じて定められる出力映像信号(赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Bout)を各液晶パネル150に入力する。
【0063】
(制御回路の構成)
以下において、第2実施形態に係る制御回路の構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る制御回路250の構成を示すブロック図である。
【0064】
図7に示すように、制御回路250は、映像信号受付部310と、変調量制御部320と、冷却力制御部330とを有する。
【0065】
映像信号受付部310は、入力映像信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)を受付けるインターフェースである。映像信号受付部310は、変調量制御部320及び冷却力制御部330に入力映像信号を入力する。
【0066】
変調量制御部320は、入力映像信号に応じて、各液晶パネル150の変調量を制御する。具体的には、変調量制御部320は、赤入力信号Rinに応じて赤出力信号Routを決定して、赤出力信号Routを液晶パネル150Rに入力する。同様に、変調量制御部320は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて緑出力信号Gout及び青出力信号Boutを決定して、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutを液晶パネル150G及び液晶パネル150Bに入力する。
【0067】
ここで、変調量制御部320は、必要に応じてγ補正処理などを行うことに留意すべきである。
【0068】
冷却力制御部330は、入力映像信号に応じて、各ペルチェ素子120の冷却力を制御する。具体的には、冷却力制御部330は、赤入力信号Rinに応じて制御信号CRを決定して、制御信号CRをペルチェ素子120Rに入力する。ここで、冷却力制御部330は、赤入力信号Rinに基づいてスクリーン300上に投写される赤成分光の輝度を特定して、赤成分光の輝度が高ければ高いほど、ペルチェ素子120Rの冷却力を強化する制御信号CRをペルチェ素子120Rに入力する。
【0069】
同様に、冷却力制御部330は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて制御信号CG及び制御信号CBを決定して、制御信号CG及び制御信号CBをペルチェ素子120G及びペルチェ素子120Bに入力する。ここで、冷却力制御部330は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに基づいてスクリーン300上に投写される緑成分光及び青成分光の輝度を特定して、緑成分光及び青成分光の輝度が高ければ高いほど、ペルチェ素子120G及びペルチェ素子120Bの冷却力を強化する制御信号CG及び制御信号CBをペルチェ素子120G及びペルチェ素子120Bに入力する。
【0070】
例えば、冷却力制御部330は、入力映像信号に応じて特定される輝度が所定閾値以下である場合には、各ペルチェ素子120の冷却力を通常能力モードで制御して、入力映像信号に応じて特定される輝度が所定閾値を超える場合には、各ペルチェ素子120の冷却力を高能力モードで制御する。高能力モードとは、通常能力モードよりも冷却力が強化されるモードである。
【0071】
なお、冷却力制御部330は、色成分光の輝度とペルチェ素子120の冷却力とを対応付けるテーブルを有しており、該テーブルを参照して制御信号を決定してもよい。ここで、このテーブルでは、輝度が高ければ高いほどペルチェ素子120の冷却力が高いことに留意すべきである。
【0072】
(固体光源の発光特性の一例)
以下において、第2実施形態に係る固体光源の発光特性の一例について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る固体光源110の発光特性の一例を示す図である。
【0073】
図8に示すように、固体光源110の光出力(光量)は、固体光源110の環境温度(Tc)に依存する。具体的には、固体光源110の環境温度(Tc)が低いほど、固体光源110の光出力が大きい。すなわち、ペルチェ素子120の冷却力が高いほど、固体光源110の光出力が大きい。
【0074】
(冷却素子の冷却力の制御方法)
以下において、第2実施形態に係る冷却素子の冷却力の制御方法について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を示す図である。
【0075】
図9(a)に示すように、フレームf〜フレームfの輝度が他のフレーム(フレームf、フレームf及びフレームf)の輝度よりも高い場合を例に挙げる。
【0076】
図9(b)に示すように、フレームf〜フレームfに対応する時間帯では、他のフレーム(フレームf、フレームf及びフレームf)に対応する時間帯よりも、固体光源110の環境温度(Tc)が低くなるように、ペルチェ素子120の冷却力が制御される。
【0077】
従って、図9(c)に示すように、フレームf〜フレームfに対応する時間帯では、他のフレーム(フレームf、フレームf及びフレームf)に対応する時間帯よりも、ペルチェ素子120に供給電流される電流量が多い。
【0078】
すなわち、フレーム(フレームf、フレームf及びフレームf)に対応する時間帯では、各ペルチェ素子120の冷却応力は通常能力モードで制御され、フレームf〜フレームfに対応する時間帯では、各ペルチェ素子120の冷却応力は高能力モードで制御される。
【0079】
(映像表示装置の動作)
以下において、第2実施形態に係る映像表示装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置200の動作を示すフロー図である。
【0080】
図10に示すように、ステップ10において、投写型映像表示装置200は、入力映像信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)を受付ける。
【0081】
ステップ20において、投写型映像表示装置200は、入力映像信号に応じて出力映像信号(赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Bout)を決定して、出力映像信号に応じて各液晶パネル150の変調量を制御する。
【0082】
ステップ30において、投写型映像表示装置200は、入力映像信号に応じて、スクリーン300上に投写される映像の輝度を判定する。具体的には、投写型映像表示装置200は、赤入力信号Rinに応じて赤成分光の輝度を判定する。同様に、投写型映像表示装置200は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて、緑成分光及び青成分光の輝度を判定する。
【0083】
ステップ40において、投写型映像表示装置200は、赤成分光、緑成分光及び青成分光の輝度が所定閾値を超えるか否かをそれぞれ判定する。また、投写型映像表示装置200は、映像(赤成分光、緑成分光及び青成分光)の輝度が所定閾値を超える場合にはステップ60の処理に移り、映像(赤成分光、緑成分光及び青成分光)の輝度が所定閾値を超えない場合にはステップ50の処理に移る。
【0084】
ステップ50において、投写型映像表示装置200は、ペルチェ素子120(ペルチェ素子120R、ペルチェ素子120G又はペルチェ素子120B)の冷却力を通常能力モードで制御する。なお、ステップ50の処理は、所定閾値を超えないと判定された色成分光に対応するペルチェ素子120のみを対象とすることに留意すべきである。
【0085】
ステップ60において、投写型映像表示装置200は、ペルチェ素子120(ペルチェ素子120R、ペルチェ素子120G又はペルチェ素子120B)の冷却力を高能力モードで制御する。なお、ステップ60の処理は、所定閾値を超えると判定された色成分光に対応するペルチェ素子120のみを対象とすることに留意すべきである。
【0086】
なお、ステップ20の処理とステップ50(又は、ステップ60)の処理とは同期して行われることは勿論である。ステップ20の処理とステップ50(又は、ステップ60)の処理とを同期させるために、1フレームに対応する入力映像信号を蓄積可能なフレームバッファを用いてもよい。
【0087】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置200によれば、冷却力制御部330が、映像信号受付部310によって受付けられた入力映像信号に応じて、ペルチェ素子120の冷却力を制御することによって、ペルチェ素子120に高電流を継続的に流さずに、固体光源110の環境温度を適切に下げることができる。従って、固体光源110に供給される電流量を増やさなくても、必要に応じて映像の輝度向上を図ることができる。
【0088】
すなわち、固体光源110及びペルチェ素子120に課される負荷を抑制しながら、映像の輝度向上を図ることができる。
【0089】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第2実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
【0090】
具体的には、上述した第2実施形態では特に触れていないが、第3実施形態では、固体光源は、光変調素子に設けられた複数の分割領域毎に設けられており、冷却素子は、複数の固体光源毎に設けられている。各冷却素子は、分割領域に対応する入力映像信号に応じて制御される。
【0091】
(冷却素子の冷却力の制御方法)
以下において、第3実施形態に係る冷却素子の冷却力の制御方法について、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を説明するためのイメージ図である。
【0092】
図11(a)に示すように、各固体光源110(固体光源1101−1〜固体光源1105−3)は、複数の分割領域(分割領域1−1〜分割領域5−3)毎に設けられており、アレイ状に配置されている。各ペルチェ素子120(ペルチェ素子1201−1〜ペルチェ素子1205−3)は、複数の固体光源110毎に設けられている。
【0093】
図11(b)に示すように、分割領域3−1、分割領域2−2、分割領域3−2及び分割領域4−2(高輝度分割領域)が他の分割領域(通常輝度分割領域)よりも輝度が高い場合を例に挙げる。
【0094】
高輝度分割領域に対応するペルチェ素子120(ペルチェ素子1203−1、ペルチェ素子1202−2、ペルチェ素子1203−2及びペルチェ素子1204−2)の冷却力は、高能力モードで制御される。一方で、通常輝度分割領域に対応するペルチェ素子120の冷却力は、通常能力モードで制御される。
【0095】
(作用及び効果)
第3実施形態に係る投写型映像表示装置200によれば、冷却力制御部330が、分割領域に対応する入力映像信号に応じて、複数の分割領域毎に設けられたペルチェ素子120の冷却力をそれぞれ制御することによって、固体光源110及びペルチェ素子120に課される負荷を抑制しながら、映像の輝度向上をさらに適切に図ることができる。
【0096】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第2実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0097】
具体的には、上述した第2実施形態では、固体光源110の駆動電流について特に触れていないが、第4実施形態では、ペルチェ素子120の冷却力に加えて、固体光源110の駆動電流が制御される。
【0098】
(制御回路の構成)
以下において、第4実施形態に係る制御回路の構成について、図面を参照しながら説明する。図12は、第4実施形態に係る制御回路250の構成を示すブロック図である。なお、図12では、上述した第2実施形態と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0099】
図12に示すように、制御回路250は、図7に示した構成に加えて、駆動電流制御部340を有する。また、各固体光源110には、各固体光源110の環境温度を測定する温度センサ170(温度センサ170R、温度センサ170G、温度センサ170B)が併設されている。
【0100】
ここで、第4実施形態では、冷却力制御部330は、入力映像信号に応じて定められる映像の輝度が高いと判定された場合に、輝度が高い映像が表示される前に、各ペルチェ素子120の冷却力を予め強化することに留意すべきである。
【0101】
具体的には、冷却力制御部330は、1〜複数のフレームに対応する入力映像信号を蓄積するフレームバッファを有する。冷却力制御部330は、現在のフレームの所定間隔後に表示されるフレームである判定フレーム(映像)の輝度が所定閾値を超えるか否かを判定する。冷却力制御部330は、判定フレーム(映像)の輝度が所定閾値を超える場合には、現在のフレームが表示されているときに、各ペルチェ素子120の冷却力を強化する。
【0102】
ここで、現在のフレームと判定フレームとの所定間隔は、例えば、ペルチェ素子120の冷却力の強化が指示されてから固体光源110が実際に冷却されるまでの期間(冷却期間)に応じて定められることに留意すべきである。
【0103】
駆動電流制御部340は、映像信号受付部310から取得する入力映像信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)と、各温度センサ170から取得する固体光源110の環境温度(環境温度T、環境温度T及び環境温度T)とに基づいて、各固体光源110の駆動電流を制御する。
【0104】
具体的には、駆動電流制御部340は、赤入力信号Rinに応じて特定される赤成分光の輝度が所定閾値以下であり(通常能力モード)、固体光源110Rの環境温度TRが低下する場合には、環境温度TRに連動して固体光源110Rの駆動電流の減少を指示する制御信号Iを固体光源110Rに入力する。一方で、駆動電流制御部340は、赤入力信号Rinに応じて特定される赤成分光の輝度が所定閾値を超える場合には、固体光源110Rの駆動電流の増大を指示する制御信号IRを固体光源110Rに入力する。
【0105】
同様に、駆動電流制御部340は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて特定される緑成分光及び青成分光の輝度が所定閾値以下であり(通常能力モード)、環境温度TG及び環境温度TBが低下する場合には、環境温度TG及び環境温度TBに連動して固体光源110G及び固体光源110Bの駆動電流の減少を指示する制御信号I及び制御信号Iを固体光源110G及び固体光源110Bに入力する。一方で、駆動電流制御部340は、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに応じて特定される緑成分光及び青成分光の輝度が所定閾値を超える場合には、固体光源110G及び固体光源110Bの駆動電流の増大を指示する制御信号IG及び制御信号IBを固体光源110G及び固体光源110Bに入力する。
【0106】
なお、変調量制御部320、冷却力制御部330及び駆動電流制御部340の動作は、入力映像信号を蓄積可能なフレームバッファなどによって同期がとられていることは勿論である。
【0107】
(冷却素子の冷却力の制御方法)
以下において、第4実施形態に係る冷却素子の冷却力の制御方法について、図面を参照しながら説明する。図13は、第4実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を示す図である。
【0108】
図13(a)に示すように、フレームfの輝度が他のフレーム(フレームf〜フレームf)の輝度よりも高い場合を例に挙げる。
【0109】
図13(b)に示すように、フレームfに対応する時間帯において(すなわち、輝度が高いフレームfに対応する時間帯よりも所定間隔前において)、フレームfの輝度が所定閾値を超えると判定されて、固体光源110の環境温度(Tc)が低くなるように、ペルチェ素子120の冷却力が制御される。
【0110】
図13(c)に示すように、固体光源110の環境温度(Tc)に連動して、固体光源110の駆動電流が減少するように制御される。一方で、輝度が高いフレームfに対応する時間帯において、固体光源110の駆動電流が増大するように制御される。
【0111】
従って、図13(d)に示すように、フレームf〜フレームfに対応する時間帯において映像の輝度が一定に保たれ、輝度が高いフレームfに対応する時間帯において映像の輝度が増大する。
【0112】
(作用及び効果)
第4実施形態に係る投写型映像表示装置200によれば、冷却力制御部330は、入力映像信号に応じて定められる映像の輝度が高いと判定された場合に、輝度が高い映像が表示される前に、各ペルチェ素子120の冷却力を予め強化する。
【0113】
また、駆動電流制御部340は、固体光源110の環境温度(Tc)に連動して固体光源110の駆動電流を減少させる。一方で、駆動電流制御部340は、輝度が高い映像が表示される際に、固体光源110の駆動電流を増大させる。
【0114】
従って、入力映像信号に応じて定められる映像の輝度が低い場合に、固体光源110が発する光量を一定に保つととともに、入力映像信号に応じて定められる映像の輝度が高い場合に、固体光源110が発する光量を増大させることができる。また、固体光源110の駆動電流の制御によれば、ペルチェ素子120の冷却力によって固体光源110が発する光量を増大させる場合に比べて、固体光源110が発する光量を素早く増大させることができる。
【0115】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0116】
例えば、上述した実施形態では、映像表示装置は、投写型映像表示装置200であるが、映像を表示する装置であればよく、投写型装置に限定されるものではない。
【0117】
上述した実施形態では特に触れていないが、投写型映像表示装置200は、入力映像信号に応じて冷却素子の冷却力に加えて、固体光源に供給される電流を制御してもよい。この場合には、固体光源の環境温度と固体光源に供給される電流との関係(図8を参照)を考慮して、冷却素子の冷却力及び固体光源に供給される電流が制御される。
【0118】
上述した実施形態では、ペルチェ素子120の冷却力は、2段階(通常能力モードと高能力モード)で制御されるが、これに限定されるものではない。具体的には、ペルチェ素子120の冷却力は、3段階以上で制御されてもよく、段階的にではなくてリニアに制御されてもよい。
【0119】
上述した実施形態では、透過型液晶パネル(液晶パネル150)が光変調素子として用いられるが、これに限定されるものではない。具体的には、光変調素子は、DMD(Digital Micro−mirror Device)やLCOS(Liquid Crystal on Silicon)であってもよい。
【0120】
上述した実施形態では、ペルチェ素子120の放熱面22に伝わった熱を放熱する放熱部材がヒートシンクであるが、これに限定されるものではない。具体的には、ペルチェ素子120の放熱面22に伝わった熱を液冷によって放熱してもよい。
【0121】
上述した実施形態において、変調量制御部320は、入力映像信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)の組合せに応じて、出力映像信号(赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Bout)を調整してもよい。さらに、変調量制御部320は、入力映像信号に加えて、各固体光源110に固有のパラメータ(駆動電流量、発熱量、色度座標など)に応じて、出力映像信号を調整してもよい。
【0122】
上述した実施形態において、変調量制御部320は、ペルチェ素子120の冷却力(制御信号CR、制御信号CG及び制御信号CB)に応じて、出力映像信号(赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Bout)を調整してもよい。
【0123】
上述した実施形態において、冷却力制御部330は、入力映像信号の輝度情報だけではなくて、入力映像信号の彩度や色相などの情報を用いて、ペルチェ素子120の冷却力を制御してもよい。
【0124】
上述した実施形態において、ペルチェ素子120の冷却力の強化が指示されてから固体光源110が実際に冷却されるまでの期間(冷却期間)を確保するために、1〜複数のフレームに対応する入力映像信号をフレームバッファに蓄積して、フレームバッファに蓄積された入力映像信号に応じてペルチェ素子120の冷却力を制御してもよい(フィードフォワード方式)。フィードフォワード方式では、ペルチェ素子120の応答速度(冷却期間)によって大容量のフレームバッファが必要となる場合がある。
【0125】
一方で、フレームバッファの容量が小さい場合やフレームバッファを用いないケースであっても、高能力モードが適する映像が所定フレームに亘って続く場合には、映像の高輝度化を図ることが可能な状態が徐々に作り出されることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】第1実施形態の投写型映像表示装置の光学系の例を示した説明図である。
【図2】第1実施形態の光源制御装置を例示した説明図である。
【図3】温度による駆動電流−光量特性を示したグラフである。
【図4】第1実施形態のテーブルの内容を示した説明図である。
【図5】第2実施形態に係る投写型映像表示装置200の概略を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る照明ユニット220の概略構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る制御回路250の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る固体光源110の発光特性の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る投写型映像表示装置200の動作を示すフロー図である。
【図11】第3実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を説明するためのイメージ図である。
【図12】第4実施形態に係る制御回路250の構成を示すブロック図である。
【図13】第4実施形態に係るペルチェ素子120の冷却力の制御方法を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
1・・・液晶表示パネル、2・・・クロスダイクロイックプリズム、3・・・投写レンズ、11・・・LED、21・・・光センサ、22・・・制御部、23・・・テーブル部、24・・・光源ドライバ、51・・・照明装置、110・・・固体光源、120・・・ペルチェ素子、121・・・吸熱面、122・・・放熱面、130・・・ヒートシンク、140・・・回折素子、150・・・液晶パネル、160・・・クロスダイクロイックキューブ、161a・・・ミラー面、161b・・・ミラー面、170・・・温度センサ、200・・・投写型映像表示装置、210・・・投写レンズユニット、220・・・照明ユニット、250・・・制御回路、300・・・スクリーン、310・・・映像信号受付部、320・・・変調量制御部、330・・・冷却力制御部、340・・・駆動電流制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体光源に駆動電流を供給する光源ドライバと、
前記固体光源の出射光量を検出する光量センサと、
前記駆動電流と前記出射光量との関係を示す特性情報を前記固体光源の環境温度毎に保持する記憶手段と、
前記光源ドライバから供給される前記駆動電流を制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、
前記光源ドライバから供給される前記駆動電流と前記光量センサによって検出される前記出射光量との関係に応じて、前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報を前記記憶手段から取得し、
取得された前記特性情報に基づいて、前記出射光量が目標光量となるように前記駆動電流を制御することを特徴とする光源制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報が前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記記憶手段に記憶された前記特性情報の中から、前記固体光源の環境温度に近接する環境温度に対応する前記特性情報を特定し、
特定された前記特性情報に基づいて、前記固体光源の環境温度に対応する前記特性情報を算出し、
算出された前記特性情報に基づいて、前記出射光量が目標光量となるように前記駆動電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の光源制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記出射光量が最大となる前記駆動電流である最大駆動電流を超えない範囲で、前記光源ドライバから供給される前記駆動電流を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源制御装置。
【請求項4】
固体光源の出射光を変調する少なくとも一つの光変調素子と、
前記少なくとも一つの光変調素子によって変調された光を投写する投写レンズと、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光源制御装置とを備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
複数の固体光源の出射光を変調する少なくとも一つの光変調素子と、
前記少なくとも一つの光変調素子によって変調された光を投写する投写レンズと、
請求項3に記載の光源制御装置とを備え、
前記制御手段は、前記複数の固体光源に含まれる一の固体光源の前記駆動電流を、前記最大駆動電流を超えて制御する場合に、前記複数の固体光源の出射光によって再現されるホワイトバランスを維持しながら、前記複数の固体光源に含まれる他の固体光源の前記駆動電流を制御することを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
固体光源と、
前記固体光源が発する光を変調する光変調素子と、
前記固体光源を冷却する冷却素子と、
前記光変調素子の変調量を定める映像信号を受付ける信号受付部と、
前記信号受付部によって受付けられた前記映像信号に応じて、前記冷却素子の冷却力を制御する冷却力制御部とを備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
前記固体光源は、前記光変調素子に設けられた複数の分割領域毎に設けられた複数の固体光源であり、
前記冷却素子は、前記複数の固体光源毎に設けられた複数の冷却素子であり、
前記冷却力制御部は、前記分割領域に対応する前記映像信号に応じて、前記複数の冷却素子の冷却力を制御することを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記冷却素子は、電流の供給によって熱が奪われる吸熱面と、電流の供給によって前記吸熱面から奪われた熱が伝わる放熱面とを有するペルチェ素子であり、
前記吸熱面には、前記固体光源が設けられており、
前記放熱面には、前記放熱面に伝わった熱を放出する放熱部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記固体光源の駆動電流を制御する駆動電流制御部と、
前記固体光源の環境温度を検出する検出部とをさらに備え、
前記冷却力制御部は、前記映像信号に応じて表示される映像の輝度が所定閾値を超えると判定された場合に、前記所定閾値を輝度が超える映像が表示される前に、前記冷却素子の冷却力を強化し、
前記駆動電流制御部は、前記固体光源の環境温度の低下に連動して前記固体光源の駆動電流を低減し、前記所定閾値を輝度が超える映像が表示される際に、前記固体光源の駆動電流を増大することを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−134588(P2008−134588A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125323(P2007−125323)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【復代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
【Fターム(参考)】