説明

光源装置、照明装置、車両用前照灯および車両

【課題】照明光の色の均一性を向上させる。
【解決手段】本命に係るヘッドランプシステム100は、レーザ光L1を出射する半導体レーザ素子11と、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光L1を受けて、レーザ光L1およびレーザ光L1の一部を波長変換した蛍光を、照明光L2として発する発光部16と、発光部16が発した照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光を混合する拡散板18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光の混色により照明光を得る光源装置に関するものであり、より詳細には、励起光と当該励起光の一部が波長変換された光との混色により可視光を得て、その可視光を照明光として利用する光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、青色帯(440〜460nm)でレーザ光を発振するLEDまたは半導体レーザ素子を励起光源とし、発光部に含まれる緑色帯から赤色帯で発光する蛍光体(例えば、黄色に発光するYAG系蛍光体)を励起し、レーザ光の青色成分と蛍光の緑色から赤色の成分とを混色することにより白色光を得て、この白色光により照明を行う装置が提案されている。例えば、半導体レーザ素子を用いた例としては、特許文献1および2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−354495号公報(2004年12月16日公開)
【特許文献2】特開2008−108553号公報(2008年05月08日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発光部を、指向性を有するレーザ光で励起すると、蛍光は、発光部から等方的に出射されるが、レーザ光は、発光部表面での鏡面反射成分はもちろん、一旦発光部内に入った成分についても元の指向性をある程度保持したまま放出される。
【0005】
その結果、見る角度(視角)によって照明光の色が大きく変化する問題というがある。例えば、青色レーザで黄色に発光するYAG蛍光体を含む発光部を励起した場合、視角によって青っぽく見えたり黄色っぽく見えたりし、照明光の色が不均一になる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、励起光と、当該励起光が波長変換された変換光とを混色して照明光を得る光源装置において、照明光の色の均一性を向上させた光源装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光源装置は、上記課題を解決するために、励起光を出射する励起光源と、前記励起光源から出射された励起光を受けて、前記励起光および当該励起光の一部を波長変換した波長変換光を、照明光として発する発光部と、前記発光部が発した前記照明光に含まれる前記励起光および前記波長変換光を混合する光混合部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記の構成では、発光部は、励起光源から出射された励起光を受けたとき、励起光と、当該励起光の一部を波長変換した波長変換光とを発し、光源装置はこれらの光を照明光として照射する。
【0009】
ここで、発光部の所定の領域を照射するために、励起光には、指向性の高い光が一般的に用いられる。このため、発光部に照射された励起光のうち、波長変換されずにそのまま発光部から発せられた励起光は、元の指向性を保持したまま、特定の放射角度に偏った角度分布で異方的に放出される。
【0010】
このため、発光部から発せられた励起光および波長変換光を、そのまま照明光として利用した場合、見る角度によって照明光の色が変化してしまい、照明光の色が不均一となる。
【0011】
そこで、本発明に係る光源装置では、発光部から発せられた励起光と波長変換光とを混合する光混合部を備え、当該光混合部により混合された励起光および波長変換光を、照明光として出射する。このように、励起光と波長変換光とを光混合部により混合することで、励起光をそのまま照明光として出射するよりも、照明光に含まれる励起光および波長変換光の分布を均一にすることができる。
【0012】
したがって、上記の構成によれば、照明光の色の均一性を向上させた光源装置を実現することができる。
【0013】
また、本発明に係る光源装置では、前記光混合部は、前記照明光を透過しつつ拡散する拡散板であることが好ましい。
【0014】
上記の構成のように、光混合部は、照明光を透過しつつ拡散する拡散板で実現することが可能である。拡散板には、例えば、入射面および出射面の少なくとも一方に、微小な凹凸が形成された投光性を有する板状の部材などを用いることが可能である。
【0015】
したがって、上記の構成によれば、励起光と波長変換光とを混合する光混合部を容易、且つ、低コストに製造することができるので、光混合部の製造コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る光源装置では、前記拡散板は、平行光を入射したときの出射光の光度分布の最大半値全幅が0.7度以上、3.0度以下であることが好ましい。
【0017】
拡散板の光度分布の最大半値全幅が0.7度未満の場合、励起光と波長変換光とを十分に混合することができないため、均一な色の照明光を得ることができない。
【0018】
一方、拡散板の光度分布の最大半値全幅が3.0度超の場合、拡散板における照明光の散乱により光量の損失が生じる。
【0019】
したがって、上記の構成のように、拡散板の光度分布の最大半値全幅を、0.7度以上、3.0度以下とすることにより、光量の低下を抑制しつつ、照明光の色の均一性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る光源装置では、前記拡散板には、マイクロレンズアレイパターンまたはサーフェスレリーフホログラムパターンが形成されていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、拡散板に、マイクロレンズアレイパターンまたはサーフェスレリーフホログラムパターンが形成されているので、透過させた照明光の拡がりを拡散板によって制御することが可能となる。
【0022】
したがって、上記の構成によれば、照明光の拡がりを制御して、光源装置の投光性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る光源装置では、前記発光部が発した前記照明光を、所定の方向に向けて投光する投光部をさらに備えることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、発光部が発した照明光を、所定の投光方向に投光する投光部をさらに備えるので、照明光を所望の領域に向けて照射することが可能となる。
【0025】
また、本発明に係る光源装置では、前記拡散板は、前記投光部により投光された前記照明光に含まれる前記励起光および前記波長変換光を混合することが好ましい。
【0026】
上記の構成では、拡散板は、投光部により投光された照明光に含まれる励起光と波長変換光とを混合する。すなわち、上記の構成では、照明光の投光方向における光の進行方向に沿って、上流側に投光部が配され、下流側に拡散板が配置された構成である。
【0027】
したがって、上記の構成によれば、投光部によって投光された照明光の光路上に、拡散板を配置すればよいため、既存の光源装置に、拡散板を組み入れることが容易となる。
【0028】
また、本発明に係る光源装置では、前記投光部は、投影レンズであり、前記投影レンズは、前記拡散板に当接して設けられていることが好ましい。
【0029】
上記の構成では、光源装置は、拡散板に当接して設けられた投影レンズを、投光部として備えるので、拡散板と投光部と一体的に形成することができる。
【0030】
したがって、上記の構成によれば、光源装置を小型化することができる。
【0031】
また、本発明に係る光源装置では、前記発光部が発した前記照明光を、前記光混合部に集光する集光部と、前記光混合部により混合された前記照明光を、所定の投光方向に投光する投光部と、をさらに備え、前記光混合部は、前記集光部により集光された光を内部で反射させて、前記投光部に向けて出射することが好ましい。
【0032】
上記の構成では、発光部が発した照明光を、光混合部に集光する集光部と、光混合部により混合された前記照明光を、所定の投光方向に投光する投光部とをさらに備える。そして、光混合部は、発光部により集光された照明光を内部で反射させて、投光部に向けて出射する。
【0033】
このため、励起光および波長変換光は、光混合部の内部で反射される過程において混合されるので、励起光と波長変換光との混合効率を高めることが可能となる。
【0034】
したがって、上記の構成によれば、光源装置から照射される照明光の色の均一性をさらに向上させることができる。
【0035】
また、本発明に係る光源装置では、前記励起光源は、半導体レーザ素子または発光ダイオードであり、前記励起光は、前記半導体レーザ素子または前記発光ダイオードから出射された可視光であることが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、励起光源は、半導体レーザ素子または発光ダイオードであり、半導体レーザ素子または発光ダイオードレーザ光から出射された可視光を照明光の一部として利用することができる。
【0037】
また、本発明に係る光源装置では、前記励起光は、レーザ光であることが好ましい。
【0038】
上記の構成では、励起光としてレーザ光を用いるので、発光部を効率的に励起することが可能となる。
【0039】
したがって、上記の構成によれば、輝度の高い照明光を得ることができる。
【0040】
また、本発明に係る光源装置では、前記発光部は、前記励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含み、前記波長変換光は、前記励起光により励起された前記蛍光が発する蛍光であることが好ましい。
【0041】
上記の構成では、発光部は、励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含み、蛍光体から放射された蛍光を照明光の一部として利用する。
【0042】
したがって、上記の構成によれば、励起光源から出射された励起光と、蛍光体から放射された蛍光とを混合して照明光を得ることができるので、励起光源と蛍光体との組み合わせを変更することで、様々な色の照明光を得ることができる。
【0043】
また、本発明に係る光源装置では、前記発光部は、前記励起光が照射される面である被照射面から、前記波長変換光を発することが好ましい。
【0044】
上記の構成のように、励起光が照射される面である被照射面から波長変換光を発する発光部(反射型の発光部)では、放出される励起光の放射角度に偏りが生じ易い。
【0045】
したがって、このような反射型の発光部を備える光源装置に対して、本発明を適用することで、照明光の色の均一性を効果的に改善することができる。
【0046】
また、本発明に係る照明装置は、上記課題を解決するために、上記光源装置を備えていることを特徴としている。
【0047】
したがって、上記の構成によれば、照明光の色の均一性を向上させた照明装置を実現することができる。
【0048】
また、本発明に係る車両用前照灯は、上記課題を解決するために、上記光源装置を備えていることを特徴としている。
【0049】
したがって、上記の構成によれば、照明光の色の均一性を向上させた車両用前照灯を実現することができる。
【0050】
また、本発明に係る車両用前照灯は、前記光源装置を備えた車両用前照灯であって、前記拡散板は、前記光源装置を外部環境から保護するための車両用前照灯カバーとして構成されていることが好ましい。
【0051】
上記の構成では、拡散板は、光源装置を外部環境から保護するための車両用前照灯カバーを兼ねているため、車両用前照灯の部品数を減少させることができる。
【0052】
したがって、上記の構成によれば、照明光の色の均一性を向上させた車両用前照灯を、低コストで実現することができる。
【0053】
また、本発明に係る車両は、上記課題を解決するために、上記車両用前照灯を備えることを特徴としている。
【0054】
上記の構成によれば、色の均一性を向上させた照明光を照射可能な車両を実現することができる。
【発明の効果】
【0055】
以上のように、本発明に係る光源装置は、励起光を出射する励起光源と、前記励起光源から出射された励起光を受けて、前記励起光および当該励起光の一部を波長変換した波長変換光を、照明光として発する発光部と、前記発光部が発した前記照明光に含まれる前記励起光および前記波長変換光を混合する光混合部とを備える。
【0056】
それゆえ、本発明によれば、照明光の色の均一性を向上させた光源装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1に係るヘッドランプシステムの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示されるリフレクタの回転放物面を示す概念図である。
【図3】投光部材として、投影レンズを備えた光源装置の概略構成を示す断面図であり、(a)は、反射型の発光部を備えた光源装置を示し、(b)は、透過型の発光部を備えた光源装置を示す。
【図4】図1に示されるヘッドランプシステムの変形例の概略構成を示す断面図である。
【図5】実施形態2に係る光源装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】集光部材として、集光レンズを備えた光源装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】投光部材として、リフレクタを備えた光源装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】本発明に係る光源装置の、第1の実施例の概略構成を示す断面図である。
【図9】本発明に係る光源装置の、第2の実施例の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明に係る光源装置の、第3の実施例の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
〔実施形態1〕
本発明に係る光源装置の第1の実施形態について、図1〜図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態では、光源装置を自動車用のヘッドランプシステムに適用した場合について説明する。ただし、本発明に係る光源装置は、自動車以外の車両用前照灯、或いは、その他の照明装置に適用することも可能である。
【0059】
1.ヘッドランプシステム100の構成
まず、本実施形態に係るヘッドランプシステム(車両用前照灯)100の構成について図1および図2を参照して説明する。
【0060】
図1は、本実施形態に係るヘッドランプシステム100の概略構成を示す断面図である。図1に示されるように、ヘッドランプシステム100は、光源装置1と、ハウジング2と、ヘッドランプカバー3とを備えている。ヘッドランプシステム100は、搭載される自動車の前側両端部に、それぞれ1つずつ配置される。
【0061】
(1)光源装置
光源装置1は、半導体レーザ素子11と、集光レンズ12と、光ファイバ13と、凸レンズ14と、反射ミラー15と、発光部16と、リフレクタ17と、拡散板18と、金属ベース19とを備えている。
【0062】
(1−1)半導体レーザ素子
半導体レーザ素子(励起光源)11は、レーザ光(励起光)L1を発振する励起光源として機能するものである。半導体レーザ素子11は、複数設けられていてもよい。その場合、複数の半導体レーザ素子11のそれぞれからレーザ光L1が発振される。
【0063】
半導体レーザ素子11から発振されるレーザ光L1は、空間的および時間的に位相が揃っており、その波長は単一波長である。励起光としてレーザ光L1を用いることで、後述する発光部16に含まれる蛍光体を効率的に励起することが可能となるので、輝度の高い照明光L2を得ることができる。
【0064】
半導体レーザ素子11は、1チップに1個の発光点を有するものであり、例えば、青色レーザ光(440nm・450nm)、緑色レーザ光(530nm・533nm)、赤色レーザ光(640nm)などのレーザ光L1を発振する。半導体レーザ素子11が発振するレーザ光L1の波長は、必要に応じて適宜変更可能である。
【0065】
なお、光源装置1は、励起光源として半導体レーザ素子11を備えているが、励起光源は半導体レーザ素子11に限定されない。半導体レーザ素子11に代えて、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などで励起光源を実現してもよい。
【0066】
(1−2)集光レンズ
集光レンズ12は、半導体レーザ素子11から発振されたレーザ光L1を、光ファイバ13の一方の端部である入力端部に集光させるためのレンズである。このような機能を有するレンズであれば、集光レンズ12の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の光の透過率が高く、且つ、耐熱性のよい材料であることが好ましい。
【0067】
(1−3)光ファイバ
光ファイバ13は、半導体レーザ素子11が発振したレーザ光L1を凸レンズ14へと導く導光部材である。光ファイバ13は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造を有している。入力端部から入力されたレーザ光L1は、光ファイバ13の内部を通り、他方の端部である出力端部から出力される。光ファイバ13の出力端部はフェルールなどにより束ねられている。
【0068】
(1−4)凸レンズ
凸レンズ14は、光ファイバ13の出力端部から出力されたレーザ光L1のビーム径を、発光部16の被照射面16a全体に照射されるように調整するものである。凸レンズ14は、光ファイバ13の出力端部から出力されたレーザ光L1を反射ミラー15に向けて出射するように位置決めされている。
【0069】
(1−5)反射ミラー
反射ミラー15は、凸レンズ14によってビーム径が調整されたレーザ光L1を、発光部16に向けて反射するものである。反射ミラー15によって反射されたレーザ光L1は、リフレクタ17の窓部17bを通って発光部16へと導かれる。
【0070】
(1−6)発光部
発光部16は、半導体レーザ素子11から発振されたレーザ光L1を受けて、レーザ光L1およびレーザ光L1の一部を波長変換した蛍光を、照明光L2として発するものである。本実施形態では、発光部16は、蛍光(波長変換光)を発する蛍光体(蛍光物質)を含んでいる。
【0071】
具体的には、発光部16は、蛍光体の粒子をガラス樹脂などに混ぜて固めたもの、蛍光体の粒子をバインダーに混ぜて塗布したもの、蛍光体の粒子を焼結・プレス成形などで固めたもの、蛍光体の粒子を何らかの方法でバルク状に加工したもの、バルク内に蛍光体の粒子を分散させたもの、熱伝導率の高い材質からなる基板上にバインダーに覆われた蛍光体の粒子を堆積させたもの、或いは、樹脂などに蛍光体の粒子を混ぜて薄膜状に形成したものなどである。
【0072】
蛍光体としては、例えば、酸窒化物系蛍光体(例えば、サイアロン蛍光体)またはIII−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体(例えば、インジュウムリン:InP)などを用いることができる。これらの蛍光体は、半導体レーザ素子11から発振された高い出力(および/または光密度)のレーザ光L1に対しての熱耐性が高いので、発光部16に含まれる蛍光体として最適である。
【0073】
ただし、発光部16に含まれる蛍光体は、上述したものに限定されず、窒化物蛍光体など、その他の蛍光体であってもよい。
【0074】
また、ヘッドランプシステム100の照明光L2の色は、法律により規定されており、所定の範囲の色度を有する白色にしなければならない。そこで、照明光L2を白色とするために、レーザ光L1と蛍光体との組み合わせが適宜選択される。
【0075】
例えば、青色レーザ光を、黄色蛍光体を含む発光部16に照射することにより、青色レーザの青色成分と黄色蛍光とを混色して白色の照明光L2を生成することができる。
【0076】
また、青色レーザ光を、赤色蛍光体および黄色蛍光体を含む発光部16に照射することにより、青色レーザの青色成分と、赤色蛍光および緑色蛍光とを混色して白色の照明光L2を生成することができる。
【0077】
さらに、青色レーザ光および緑色レーザ光を、赤色蛍光体を含む発光部16に照射することにより、青色レーザの青色成分および緑色レーザ光の緑色成分と、赤色蛍光とを混色して白色の照明光L2を生成することができる。
【0078】
或いは、青色レーザ光、緑色レーザ光および赤色レーザ光を、黄色蛍光体を含む発光部16に照射することにより、青色レーザの青色成分、緑色レーザ光の緑色成分および赤色レーザの赤色成分と、黄色蛍光とを混色して白色の照明光L2を生成することができる。
【0079】
これにより、青色レーザ光、緑色レーザ光および赤色レーザ光によって白色の照明光を生成した際の演色性の悪化を、黄色蛍光体による広い波長の蛍光により好適に補うことができる。なお、これらの組み合わせによれば、緑色・黄色・燈色・赤色に至る照明光L2の色再現性を高めることが可能となる。
【0080】
この発光部16は、金属ベース19上であり、且つ、リフレクタ17のほぼ焦点位置に配置されてり、被照射面16aに照射されたレーザ光L1を受けて、レーザ光L1および蛍光を、主に被照射面16aから照明光L2として発する。このため、発光部16から発せられた照明光L2は、リフレクタ17の反射曲面によって反射されることで、その光路が制御される。
【0081】
なお、ヘッドランプシステム100では、レーザ光L1が照射される被照射面16aから蛍光を発する発光部(反射型の発光部)16を備えた構成である。しかしながら、これに代えて、被照射面16aに照射されたレーザ光L1を透過させ、被照射面16aと対向する面から蛍光を発する発光部(透過型の発光部)16を備えた構成としてもよい。
【0082】
(1−7)リフレクタ
リフレクタ(投光部)17は、発光部16が発した照明光L2を、所定の方向に向けて投光する投光部材であり、本実施形態では、拡散板18に向けて照明光L2を反射させる。このリフレクタ17は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であってもよいし、金属製の部材であってもよい。
【0083】
図2は、本実施形態に係るリフレクタ17の回転放物面を示す概念図である。図2に示されるように、本実施形態では、放物線の対称軸を回転軸として当該放物線を回転させることによって形成される曲面(放物曲面)を、上記の回転軸を含む平面で切断することによって得られるハーフパラボラミラーのリフレクタ17を用いている。
【0084】
本実施形態では、リフレクタ17は、レーザ光L1を反射する方向に半円形の開口部17aが形成されている。
【0085】
また、半導体レーザ素子11は、リフレクタ17の外部に配置されており、リフレクタ17には、レーザ光L1を透過または通過させる窓部17bが形成されている。この窓部17bは、貫通孔であってもよいし、レーザ光L1を透過可能な透明部材を含むものであってもよい。
【0086】
さらに、窓部17bは、本実施形態のように複数の半導体レーザ素子11に共通のものが1つ設けられていてもよいし、各半導体レーザ素子11に対応した複数の窓部17bが設けられていてもよい。
【0087】
なお、リフレクタ17は、閉じた円形の開口部17aを有するパラボラミラーまたはその一部を含むものであってもよい。また、リフレクタ17は、パラボラミラーに限定されず、楕円形状や自由曲面形状、或いはマルチファセット化されたマルチリフレクタであってもよい。
【0088】
(1−8)拡散板
拡散板(光混合部)18は、発光部16が発した照明光L2を透過しつつ、照明光L2に含まれるレーザ光L1と蛍光とを混合する光混合部材である。拡散板18は、リフレクタ17によって反射された照明光L2のすべてが透過するように、リフレクタ17の開口部17aを塞ぐように、リフレクタ17の端部に当接して配置されている。
【0089】
ここで、発光部16に照射されたレーザ光L1のうち、蛍光体によって波長変換されずにそのまま発光部16から発せられたレーザ光L1は、指向性を保持したまま、特定の放射角度に偏った角度分布で異方的に放出される。
【0090】
このため、発光部16から発せられたレーザ光L1および蛍光をリフレクタ17で反射して、そのまま照明光L2としてヘッドランプシステム100から出射した場合、見る角度によって照明光L2の色が変化してしまい、均一な色の照明光L2を得ることができない。
【0091】
そこで、本実施形態に係るヘッドランプシステム100では、発光部16から発せられた照明光L2を混合する拡散板18を備え、拡散板18によって照明光L2に含まれるレーザ光L1と蛍光とを混合した後、照明光L2として出射する。このように、レーザ光L1と蛍光とを拡散板18によって混合することで、照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光の分布の不均一性を改善することができる。
【0092】
この拡散板18は、ポリカーボネート、ガラスまたはアクリルなどの光透過性を有する材質から構成することができる。例えば、拡散板18は、照明光L2が入射される入射面18a、および照明光L2を出射する出射面18bの少なくとも一方に、微小な凹凸を形成することで実現することができる。このように、入射面18aまたは出射面18bの少なくとも一方に、微小な凹凸を形成して拡散板18を構成することにより、光混合部材の製造コストを低減することができる。
【0093】
また、拡散板18の、入射面18aおよび出射面18bの少なくとも一方に、マイクロレンズアレイパターンまたはサーフェスレリーフホログラムパターンが形成されていてもよい。このように、入射面18aまたは出射面18bの少なくとも一方に、マイクロレンズアレイパターンまたはサーフェスレリーフホログラムパターンが形成された拡散板18を用いることにより、出射した照明光L2の拡がりを拡散板18によって制御することができるため、照明光L2の投光性を向上させることができる。
【0094】
このような拡散板18は、平行光を入射したときの出射光の光度分布の最大半値全幅が0.7度以上、3.0度以下であることが好ましい。拡散板18の光度分布の最大半値全幅が0.7度未満の場合、レーザ光L1と蛍光とを十分に混合することができないため、均一な色の照明光L2を得ることができない。
【0095】
一方、拡散板18の光度分布の最大半値全幅が3.0超の場合、拡散板18における照明光L2の散乱により光量の損失が生じる。
【0096】
したがって、拡散板18の光度分布の最大半値全幅を、0.7度以上、3.0度以下とすることにより、光量の低下を抑制しつつ、照明光L2の色の均一性を向上させることができる。
【0097】
また、拡散板18は、リフレクタ17によって反射された後の照明光L2を透過させて、照明光L2に含まれるレーザ光L1と蛍光とを混合することが好ましい。これにより、リフレクタ17よって反射された照明光L2の光路上に拡散板18を配置すればよいため、既存の光源装置に、拡散板18を組み入れることが容易となる。
【0098】
(1−9)金属ベース
金属ベース19は、発光部16などを支持する板状の支持部材であり、例えば、銅や鉄などの金属からなる。このため、金属ベース10は熱伝導性が高く、発光部16で発生した熱を効率的に放熱させることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、金属ベース19を金属で構成しているが、金属からなるものに限定されず、金属以外の熱伝導性が高い物質(ガラス、サファイアなど)を含む部材で構成でもよい。
【0100】
ただし、発光部16と当接する金属ベース19の表面は、反射加工が施されて、反射面として機能することが好ましい。当該表面を反射面として機能させることにより、発光部16の被照射面(上面)16aから入射したレーザ光L1、および蛍光体から放射された蛍光を、当該反射面によって反射させることで、照明光L2をリフレクタ17へ向かわせることができる。
【0101】
この金属ベース19は、リフレクタ17によって覆われているため、リフレクタ17の反射曲面と対向する面を有していると言える。
【0102】
なお、本実施形態では、金属ベース19の発光部16が設けられている側の表面は、リフレクタ17の回転放物面の回転軸と概ね平行であり、当該回転軸を概ね含んでいるが、これに限定されるものではない。
【0103】
(2)ハウジング
ハウジング2は、その内部に、光源装置1を収容する筐体部材である。ハウジング2からその外部に向けて、半導体レーザ素子11に設けられた2つの電極リード線が出ており、それら2つの電極リード線はレーザ駆動回路(図示省略)に接続されている。そのレーザ駆動回路は、2つの電極リード線の間に連続的に、或いは、間欠的に、所定の電位差を印加することによって、半導体レーザ素子11を駆動するための駆動電流を半導体レーザ素子11に注入する。なお、ハウジング2は、遮光性を有する遮光部材で構成することが好ましい。
【0104】
(3)ヘッドランプカバー
ヘッドランプカバー(車両用前照灯カバー)3は、光源装置1を外部環境から保護するためのものである。ヘッドランプカバー3は、リフレクタ17の開口部17aと対向するように設けられており、光源装置1からの照明光L2を透過させる。この照明光L2を透過させるという観点からいえば、ヘッドランプカバー3は、光源装置1からの照明光L2が通過する領域のみ透過材質で形成されていてもよい。
【0105】
ヘッドランプカバー3は、透明であればどのような材質であってもよく、耐久性、製造コストなどの条件に応じて、最適な材料を選択することができる。
【0106】
2.ヘッドランプシステムの動作
次に、ヘッドランプシステム100の動作について説明する。各半導体レーザ素子11が発振したレーザ光L1は、それぞれ集光レンズ12を通って光ファイバ13の入力端部で結合される。各光ファイバ13は束ねられ、光ファイバ13の出力端部側に設けられた凸レンズ14によってレーザ光L1のビーム径が調整されて反射ミラー15に出射される。これにより、発光部16の被照射面16a全体にレーザ光L1が照射されるように、光スポットの大きさを調整することができる。
【0107】
反射ミラー15によって反射されたレーザ光L1は、リフレクタ17の一部に開けた窓部17bを通って発光部16の被照射面16aに照射される。発光部16に照射されたレーザ光L1は、発光部16に含まれる蛍光体によって、その一部が吸収されて波長変換された蛍光となる。
【0108】
そして、発光部16は、レーザ光L1および蛍光を、照明光L2として発する。このとき、蛍光は、発光部から等方的(全方位)に発せられるが、レーザ光L1は、発光部16から特定の放射角度に偏った角度分布で異方的に放出される。
【0109】
発光部16から発せられた照明光L2は、リフレクタ17によって開口部17aの方向に反射され、拡散板18を透過する。このとき、照明光L2が拡散板18によって拡散されることにより、照明光L2に含まれるレーザ光L1と蛍光とが混合される。これにより、照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光の分布の不均一性が改善されるので、照明光L2の色の均一性を向上させることができる。
【0110】
3.変形例
次に、本実施形態に係る光源装置1およびヘッドランプシステム100の変形例について、図3および図4を参照して説明する。
【0111】
(1)変形例1
ヘッドランプシステム100では、光源装置1は、投光部材としてリフレクタ17を備えているが、投光部材はリフレクタ17に限定されない。発光部16が発した照明光L2を、所定の方向に向けて投光する機能を有するものであれば、投光部材として用いることが可能である。
【0112】
図3は、投光部材として、投影レンズ20を備えた光源装置1a・1bの概略構成を示す断面図であり、(a)は、反射型の発光部16を備えた光源装置1aを示し、(b)は透過型の発光部16を備えた光源装置1bを示す。
【0113】
図3(a)に示される光源装置1aのように、リフレクタ17を設けずに、発光部16の被照射面16aに対向する位置に、拡散板18および投影レンズ(投光部)20を並べて配置した構成としてもよい。
【0114】
投影レンズ20は、拡散板18を透過した照明光L2を、所定の角度範囲で投影する凸レンズである。
【0115】
ヒートシンク21は、レーザ光L1が照射されることで発光部16に生じる熱を、発光部16と接触する接触面を介して放熱させる。ヒートシンク21は、熱が伝導しやすいアルミや銅などの金属材料が用いることが好ましいが、熱伝導性の高い材料であれば特に限定されない。
【0116】
反射型の発光部16を備える光源装置1aでは、発光部16は、ヒートシンク21上に配置されており、発光部16と当接するヒートシンク21の表面には、反射加工が施され、反射面として機能する。これにより、発光部16の被照射面16aから入射したレーザ光L1および蛍光を、当該反射面で反射させることで、照明光L2を拡散板18へ向かわせることができる。
【0117】
また、図3(b)に示される透過型の発光部16を備える光源装置1bでは、発光部16は、ガラスなどの透明板22上に配置されており、透明板22を介して、発光部16の被照射面16aにレーザ光L1が照射される。これにより、発光部16の被照射面16aから入射したレーザ光L1を透過させ、レーザ光L1および蛍光を、被照射面16aと対向する出射面16bから拡散板18に向けて、出射することができる。
【0118】
ここで、投光部材として投影レンズ20を備える光源装置1a・1bでは、投影レンズ20を、拡散板18に当接させて設けることが好ましい。拡散板18に投影レンズ20を当接させて配置することで、拡散板18と投影レンズ20とを一体的に形成することができるので、光源装置1aを小型化することができる。
【0119】
(2)変形例2
また、ヘッドランプシステム100では、拡散板18がリフレクタ17の開口部17aを塞ぐように、リフレクタ17の端部に当接して配置されているが、拡散板18の配置位置は特に限定されない。発光部16によって発せられた照明光L2が透過するように、拡散板18が配置されていればよい。
【0120】
例えば、拡散板18は、リフレクタ17がレーザ光L1を投光する方向に、リフレクタ17から所定の間隔をおいて配置されていてもよい。このように、拡散板18が配置される位置は、光源装置1の使用態様などに応じて適宜変更することができる。
【0121】
図4は、ヘッドランプシステム100の変形例の概略構成を示す断面図である。図4に示されるように、ヘッドランプシステム100aでは、光源装置1を外部環境から保護するためのヘッドランプカバー(車両用前照灯カバー)として、拡散板18Aが構成されている。
【0122】
このように、ヘッドランプカバーを拡散板18Aで構成することにより、ヘッドランプシステム100aの部品数を減少させることができるので、ヘッドランプシステム100aの製造コストを低減することができる。
【0123】
4.実施形態1の総括
以上のように、本実施形態に係るヘッドランプシステム100は、レーザ光L1を出射する半導体レーザ素子11と、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光L1を受けて、レーザ光L1およびレーザ光L1の一部を波長変換した蛍光を、照明光L2として発する発光部16と、発光部16が発した照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光を混合する拡散板18と、を備える。
【0124】
ヘッドランプシステム100によれば、拡散板18によって混合されたレーザ光L1および蛍光を、照明光L2として出射するため、照明光L2に含まれるレーザ光および蛍光の分布の不均一性を改善することができる。
【0125】
それゆえ、本実施形態によれば、照明光L2の色の均一性を向上させたヘッドランプシステム100を実現することができる。
【0126】
〔実施形態2〕
本発明に係る光源装置の第2の実施形態について、図5〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。前記実施形態では、光混合部として拡散板18を備えた光源装置1について説明したが、本実施形態では、光混合部としてロッドレンズを備えた光源装置について説明する。
【0127】
なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記して説明する。
【0128】
1.光源装置の構成
まず、本実施形態に係る光源装置の構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光源装置51の要部構成を示す断面図である。図5に示されるように、光源装置51は、発光部16と、ヒートシンク21と、楕円ミラー52と、ロッドレンズ(光混合部)53と、投影レンズ20とを備えている。なお、説明の便宜上、図5では、半導体レーザ素子11など、光源装置51が備える一部の部材については省略している。
【0129】
(1)楕円ミラー
楕円ミラー(集光部)52は、発光部16から発せられた照明光L2を、ロッドレンズ53に向けて集光する集光部材である。楕円ミラー52は、回転軸上に、第1の焦点および第2の焦点を有している。楕円ミラー52の第1の焦点には、ヒートシンク21によって支持された発光部16が配置されており、第2の焦点には、ロッドレンズ53の入射端部53aが配置されている。これにより、楕円ミラー52は、発光部16から発せられた照明光L2を、ロッドレンズ53の入射端部53aに向けて集光することができる。
【0130】
(2)ロッドレンズ
ロッドレンズ53は、楕円ミラー52によって集光された照明光L2に含まれるレーザ光L1と蛍光とを混合する光混合部材である。ロッドレンズ53は、楕円ミラー52によって集光された光を入射端部53aから入射させ、内部で反射させながら出射端部53bにまで導光し、出射端部53bから投影レンズ20に向けて出射する。照明光L2は、ロッドレンズ53の内部で反射される過程においてレーザ光L1と蛍光とが十分に混合されるので、レーザ光L1と蛍光とを効率的に混合することができる。
【0131】
このように、レーザ光L1と蛍光とをロッドレンズ53によって混合することで、照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光の分布の不均一性を改善して、照明光L2の色の均一性をさらに向上させることができる。
【0132】
なお、ロッドレンズ53は、例えば、直径が2mmであり、入射端部53aから出射端部53bまでの長さが10mmmのガラスなどで実現することができる。また、ロッドレンズ53の形状は、円柱状でも角柱状でもよく、所望される照明光のスポットの形状に合わせて選択すればよい。
【0133】
2.変形例
次に、本実施形態に係る光源装置51の変形例について、図6および図7を参照して説明する。
【0134】
(1)変形例1
光源装置51では、集光部材として楕円ミラー52を備えているが、集光部材は楕円ミラー52に限定されない。発光部16から発せられた照明光L2を、ロッドレンズ53に向けて集光する機能を有するものであれば、集光部材として用いることが可能である。
【0135】
図6は、集光部材として、集光レンズ54を備えた光源装置51aの概略構成を示す断面図である。図6に示される光源装置51aのように、楕円ミラー52を設けずに、発光部16とロッドレンズ53との間に、集光レンズ(集光部)54を配置した構成としてもよい。
【0136】
このように、集光部材として集光レンズ54を備えることにより、拡散板18と光源装置51aを小型化することができる。
【0137】
(2)変形例2
また、光源装置51は、投光部材として投影レンズ20を備えているが、投光部材は投影レンズ20に限定されない。ロッドレンズ53を備えた構成においても、投光部材として、実施形態1で説明したリフレクタ17を用いることが可能である。
【0138】
図7は、投光部材として、リフレクタ17を備えた光源装置51bの概略構成を示す断面図である。図7に示されるように、光源装置51bは、投影レンズ20に代えて、リフレクタ17を備え、ロッドレンズ53の出射端部53bが、リフレクタ17のほぼ焦点位置に配置される。これにより、光源装置51bでは、ロッドレンズ53の出射端部53bから出射された照明光L2を、リフレクタ17射曲面によって反射させることで、その光路を制御することができる。
【0139】
なお、光源装置51bのように、リフレクタ17を投光部材といて用いた場合、ロッドレンズ53は、入射端部53aから出射端部53bに向けて徐々に先細りしたテーパー形状であることが好ましい。これにより、出射端部53bを小径化することができるので、リフレクタ17の焦点位置に出射端部53bを配置した場合に、出射端部53bがリフレクタ17に対する点光源として機能し、リフレクタ17によって、照明光L2の光路をより正確に制御することができる。
【0140】
3.実施形態2の総括
以上のように、本実施形態に係る光源装置51は、レーザ光L1を出射する半導体レーザ素子11と、半導体レーザ素子11から出射されたレーザ光L1を受けて、レーザ光L1およびレーザ光L1の一部を波長変換した蛍光を、照明光L2として発する発光部16と、発光部16が発した照明光L2を集光する楕円ミラー52と、楕円ミラー52によって集光された照明光L2を内部で反射させて、照明光L2に含まれるレーザ光L1および蛍光を混合するロッドレンズ53と、を備えている。
【0141】
光源装置51によれば、レーザ光L1および蛍光とは、ロッドレンズ53の内部で反射される過程において混合されるので、レーザ光L1と蛍光との混合効率を高めることが可能となる。
【0142】
したがって、本実施形態によれば、照明光L2の色の均一性をさらに向上させた光源装置51を実現することができる。
【実施例1】
【0143】
本発明に係る光源装置に関する第1の実施例について、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記して説明する。
【0144】
図8は、本実施例に係る光源装置1cの概略構成を示す断面図である。図8に示されるように、光源装置1cは、半導体レーザ素子11と、集光レンズ12と、光ファイバ13と、凸レンズ14と、反射ミラー15と、発光部16と、リフレクタ17と、拡散板18と、金属ベース19とを備えている。
【0145】
本実施例に係る光源装置1cでは、青色レーザ光(450nm)を発振し、出力が1Wである半導体レーザ素子11を4つ備えている。
【0146】
発光部16は、青色レーザ光を受けて黄色蛍光を発する黄色蛍光体を含んでおり、黄色蛍光体の成分は、(Y1−x−yGdCeAl12(0.1≦x≦0.55、0.01≦y≦0.4)である。発光部16のサイズは、直径2mm×厚さ0.1mmの円盤状であり、黄色蛍光体の粒子が樹脂に混ぜられて金属ベース19に塗布している。
【0147】
リフレクタ17は、半径30mmの半円形の開口部17aを有するハーフパラボラミラーであり、その奥行きは30mmである。リフレクタ17には、レーザ光L1を透過または通過させる窓部17bを形成している。発光部16は、Alが蒸着された銅製の金属ベース19上にあるリフレクタ17の焦点位置に配置している。
【0148】
拡散板18の材質はポリカーボネートであり、厚さ1mmである。また、拡散板18の入射面18aには、表面がスリガラス状となるように微小な凹凸を形成しており、平行光を入射したときの出射光の光度分布の最大半値全幅は、2.0度である。
【0149】
拡散板18は、リフレクタ17の開口部17aを塞ぐように、リフレクタ17の端部に当接して配置している。
【0150】
このような構成の光源装置1cでは、各半導体レーザ素子11が発振したレーザ光L1は、それぞれ集光レンズ12を通して光ファイバ13の出力端部で結合される。レーザ光L1は、光ファイバ13の出力端部側に設けられた凸レンズ14によって、ビーム径が調整されて反射ミラー15に照射される。
【0151】
反射ミラー15によって反射されたレーザ光L1は、リフレクタ17の一部に開けた窓部17bを通して発光部16に照射される。光源装置1cでは、発光部16の被照射面16aに対してレーザ光L1が45°の角度で照射される。発光部16に照射されたレーザ光L1は、一部が黄色蛍光体に吸収されて波長変換されて黄色蛍光となり、他の一部がそのまま外部に異方的に放出される。
【0152】
発光部16から外部に発せられた青色レーザ光と黄色蛍光とは、リフレクタ17によって開口部17aの方向に反射され、拡散板18を透過して混合されてから光源装置1から照明光L2として出射される。
【0153】
本実施例では、青色レーザの青色成分と黄色蛍光とが混合された、色ムラの少ない白色の照明光L2が、拡散板18の出射面18bから出射された。
【0154】
このように、本実施例に係る光源装置1cによれば、青色レーザ光および黄色蛍光を用いて、色の均一性を向上させた白色の照明光L2を得ることができた。
【実施例2】
【0155】
本発明に係る光源装置に関する第2の実施例について、図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記して説明する。
【0156】
図9は、本実施例に係る光源装置1dの概略構成を示す断面図である。図9に示されるように、光源装置1dは、半導体レーザ素子11と、集光レンズ12と、光ファイバ13と、凸レンズ14と、発光部16と、リフレクタ17と、拡散板18とを備えている。
【0157】
本実施例に係る光源装置1dでは、青色レーザ光(450nm)を発振し、出力が1Wである半導体レーザ素子11を3つ備えている。
【0158】
発光部16は、青色レーザ光を受けて黄色蛍光を発する黄色蛍光体、および青色レーザ光を受けて赤色蛍光を発する赤色蛍光体を含んでいる。黄色蛍光体の成分は、(Y1−x−yGdCeAl12(0.1≦x≦0.55、0.01≦y≦0.4)であり、赤色蛍光体の成分は、CaAlSiN:Euである。発光部16のサイズは、直径1.0mm×厚さ0.1mmであり、黄色蛍光体および赤色蛍光体の粒子が電気泳動法により製膜している。
【0159】
リフレクタ17は、半径50mmの円形の開口部17aを有するパラボラミラーであり、その奥行きは120mmである。リフレクタ17の回転軸上に位置する底部には、窓部17bを形成している。発光部16は、窓部17bを塞ぐように、リフレクタ17の底部に高熱伝導性接着剤で貼付して配置している。
【0160】
拡散板18の材質はガラスであり、厚さ1mmである。拡散板18の入射面18aには、表面がスリガラス状となるように微小な凹凸を形成している。拡散板18は、リフレクタ17の内部において、リフレクタ17の内周面に当接して配置している。
【0161】
光源装置1dでは、凸レンズ14と、発光部16と、拡散板18とは、リフレクタ17の回転軸に沿ってそれぞれ配置されている。
【0162】
このような構成の光源装置1dでは、各半導体レーザ素子11が発振したレーザ光L1は、それぞれ集光レンズ12を通して光ファイバ13の出力端部で結合される。レーザ光L1は、光ファイバ13の出力端部側に設けられた凸レンズ14によってビーム径が調整されて、リフレクタ17の底部に開けた窓部17bを通して発光部16に照射される。光源装置1dでは、発光部16に対してレーザ光L1がリフレクタ17の回転軸に沿って照射される。
【0163】
発光部16に照射されたレーザ光L1は、一部が黄色蛍光体および赤色蛍光体に吸収されて波長変換されて黄色蛍光または赤色蛍光となり、他の一部がそのまま外部に放出される。
【0164】
発光部16から外部に発せられたレーザ光L1と黄色蛍光および赤色蛍光とは、リフレクタ17によって開口部17aの方向に反射され、拡散板18を透過して、光源装置1dから照明光L2として出射される。
【0165】
本実施例では、青色レーザ光の青色成分と黄色および赤色蛍光とが混合された色ムラの少ない白色の照明光L2が、拡散板18の出射面18bから出射された。
【0166】
このように、本実施例に係る光源装置1dによれば、青色レーザ光、黄色蛍光および赤色蛍光を用いて、色の均一性を向上させた白色の照明光L2を得ることができた。
【実施例3】
【0167】
本発明に係る光源装置に関する第3の実施例について、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記して説明する。
【0168】
図10は、本実施例に係る光源装置1eの概略構成を示す断面図である。図10に示されるように、光源装置1eは、半導体レーザ素子11と、集光レンズ12と、光ファイバ13と、凸レンズ14と、発光部16と、反射部55と、拡散板18と、投影レンズ20とを備えている。
【0169】
本実施例に係る光源装置1eでは、青色レーザ光(450nm)を発振し、出力1Wである半導体レーザ素子11を2つ、並びに、緑色レーザ光(530nm)を発振し、出力が0.5Wである半導体レーザ素子11を3つ備えている。
【0170】
発光部16は、青色レーザ光を受けて赤色蛍光を発する赤蛍光体を含んでいる。赤色蛍光体の成分は、CaAlSiN:Euである。発光部16のサイズは、直径1mm×厚さ1.0mmであり、樹脂に蛍光を分散させて形成している。
【0171】
リフレクタ17は、半径50mmの円形の開口部17aを有するパラボラミラーであり、その奥行きは100mmである。リフレクタ17の回転軸上に位置する底部には、窓部17bを形成している。発光部16は、リフレクタ17の回転軸上にあるリフレクタ17の第1の焦点f1に、金属製の支持棒(図示省略)によって支持されている。
【0172】
拡散板18の材質はアクリルであり、厚さ0.2mmである。拡散板18の入射面18aには、表面がスリガラス状となるように微小な凹凸を形成している。拡散板18は、リフレクタ17の開口部17aを塞ぐように、リフレクタ17の端部に当接して配置している。
【0173】
投影レンズ20は、拡散板18を透過した照明光L2を所定の角度範囲で投影するものであり、拡散板18の出射面18bに当接して配置されている。
【0174】
このような構成の光源装置1eでは、各半導体レーザ素子11が発振したレーザ光L1は、それぞれ集光レンズ12を通して光ファイバ13の出力端部で結合される。レーザ光L1は、光ファイバ13の出力端部側に設けられた凸レンズ14によってビーム径が調整されて、リフレクタ17の底部に開けた窓部17bを通して発光部16に照射される。光源装置1eでは、発光部16に対してレーザ光L1がリフレクタ17の回転軸に沿って照射される。発光部16に照射されたレーザ光L1は、一部が赤色蛍光体に吸収されて波長変換されて赤色蛍光となり、他の一部がそのまま外部に放出される。
【0175】
第1の焦点f1に配置された発光部16から外部に発せられたレーザ光L1および赤色蛍光は、リフレクタ17によって第2の焦点f2に向かって反射され、第2の焦点f2を通過したあと、拡散板18を透過する。拡散板18を透過して混合されたレーザ光L1および赤色蛍光は、投影レンズ20によって所定の角度範囲で投影される。
【0176】
本実施例では、青色レーザ光の青色成分および緑色レーザ光の緑色成分と、赤色蛍光とが混合された、色ムラの少ない白色の照明光L2が投影レンズ20から出射された。
【0177】
このように、本実施例に係る光源装置1eによれば、青色レーザ光、緑色レーザ光および赤色蛍光を用いて、色の均一性を向上させた、白色の照明光L2を得ることができる。
【0178】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、光源装置や照明装置、特に車両用などのヘッドランプに好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 光源装置
1a 光源装置
1b 光源装置
1c 光源装置
1d 光源装置
3 ヘッドランプカバー(車両用前照灯カバー)
11 半導体レーザ素子(励起光源)
16 発光部
16a 被照射面
17 リフレクタ(投光部)
18 拡散板(光混合部)
18A 拡散板(光混合部)
20 投影レンズ(投光部)
51 光源装置
51a 光源装置
51b 光源装置
52 楕円ミラー(集光部)
53 ロッドレンズ(光混合部)
54 集光レンズ(集光部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する励起光源と、
前記励起光源から出射された励起光を受けて、前記励起光および当該励起光の一部を波長変換した波長変換光を、照明光として発する発光部と、
前記発光部が発した前記照明光に含まれる前記励起光および前記波長変換光を混合する光混合部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光混合部は、前記照明光を透過しつつ拡散する拡散板であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記拡散板は、平行光を入射したときの出射光の光度分布の最大半値全幅が0.7度以上、3.0度以下であることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記拡散板には、マイクロレンズアレイパターンまたはサーフェスレリーフホログラムパターンが形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光部が発した前記照明光を、所定の方向に向けて投光する投光部をさらに備えることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記拡散板は、前記投光部により投光された前記照明光に含まれる前記励起光および前記波長変換光を混合することを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記投光部は、投影レンズであり、
前記投影レンズは、前記拡散板に当接して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項8】
前記発光部が発した前記照明光を、前記光混合部に集光する集光部と、
前記光混合部により混合された前記照明光を、所定の投光方向に投光する投光部と、
をさらに備え、
前記光混合部は、前記集光部により集光された光を内部で反射させて、前記投光部に向けて出射することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記励起光源は、半導体レーザ素子または発光ダイオードであり、
前記励起光は、前記半導体レーザ素子または前記発光ダイオードから出射された可視光であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記励起光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記発光部は、前記励起光を受けて蛍光を発する蛍光体を含み、
前記波長変換光は、前記励起光により励起された前記蛍光が発する蛍光であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記発光部は、前記励起光が照射される面である被照射面から、前記波長変換光を発することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の光源装置を備えていることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項1から12の何れか1項に記載の光源装置を備えていることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項15】
請求項6に記載の光源装置を備えた車両用前照灯であって、
前記拡散板は、前記光源装置を外部環境から保護するための車両用前照灯カバーとして構成されていることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項16】
請求項15に記載の車両用前照灯を備えることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−26161(P2013−26161A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162604(P2011−162604)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】