説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】発光管の被照明領域側の封止部の端面から漏れ出る光を部品点数や組立工数を増加させることなく遮光できる光源装置およびプロジェクターを提供すること。
【解決手段】光源装置10は、管球部21と管球部21の両側に照明光軸OCに沿って延設された一対の封止部22a,22bとを有する発光管20と、管球部21から射出される光を被照明領域側に反射する反射部32を有するリフレクター30と、管球部21を間に挟んで反射部32に対向配置された反射部42と反射部42から被照明領域側に位置する封止部22aに沿って延設された固定部44とを有する副鏡40と、封止部22aと固定部44との間に配置され発光管20と副鏡40とを固着する接着剤Cとを備え、固定部44は封止部22aにおける端部よりも管球部21から離れた位置まで延設されており、接着剤Cは遮光性を有し封止部22aの端面22cを被覆していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、管球部と一対の封止部とを有する発光管と、管球部から射出される光を被照明領域側に反射するリフレクターと、リフレクターに対向配置され管球部から射出される光をリフレクター側に反射する副鏡とを備える光源装置が知られている。このような光源装置では、リフレクターの焦点に向かって集束する照明光束が被照明領域側に射出される。
【0003】
また、リフレクターを照明光軸と略直交する方向における一方側が削除された形状とすることで薄型化を図り、その一方で、発光管を間に挟んでリフレクターとは反対側にリフレクター側が削除された形状を有する副鏡を配置して、発光部から射出される光を照明光束として有効利用し輝度の低下を抑えた光源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような光源装置では、副鏡は、例えば接着剤によって発光管の下方側、すなわちリフレクターとは反対側に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−335196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような光源装置では、管球部から射出された光のうちの一部が、被照明領域側の封止部の端面から漏れ出てしまう。リフレクターで反射された光は照明光束として利用されるが、封止部の端面から漏れ出た光は、リフレクターの焦点位置に集束せず様々な方向に向かうため、照明光束として利用できない非利用光である。
【0006】
このような非利用光が照明光束と一緒にプロジェクターから投写されると、投写された画像において色むらが発生するという課題があった。また、このような非利用光が照射されると、照射された部材の発熱や光学部品の温度上昇が起こり、それらの部材や部品の品質劣化を招くという課題があった。
【0007】
特許文献1に記載の光源装置では、リフレクターの被照明領域側の開口部に位置する防爆ガラスの下方側に、封止部から漏れ出る光を遮光するための遮蔽体が設けられている。しかしながら、封止部の端面と遮蔽体との間に間隙があるため、この間隙から光が漏れ出てしまうおそれがあるという課題があった。
【0008】
また、遮蔽体を設けることで部品点数や型の増加、あるいは組立工数の増大を招き、製品コストの上昇につながるという課題があった。さらに、リフレクター側が削除された形状を有する副鏡が発光管の下方側に接着剤によって固着されるため、副鏡が発光管から脱落し易いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、を有する発光管と、前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部を有するリフレクターと、前記管球部を間に挟んで前記第1の反射部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記被照明領域側に位置する一方の前記封止部に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され、前記発光管と前記副鏡とを固着する接着剤と、を備え、前記固定部は、前記一方の前記封止部における端部よりも前記管球部から離れた位置まで延設されており、前記接着剤は、遮光性を有し、前記一方の前記封止部の前記端部の端面を被覆していることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、管球部の両側に延設された一対の封止部のうち被照明領域側に位置する封止部の端面が、遮光性を有する接着剤により被覆されている。このため、管球部から射出された光のうち、この封止部の端面から被照明領域側に向かう光が接着剤により遮光される。これにより、照明光束として利用できない非利用光の被照明領域側への照射が抑えられる。また、発光管と副鏡とを固着する接着剤が遮光部材を兼ねるので、遮光部材を別途必要とする構成に比べて部品点数や型の増加、あるいは組立工数の増大が避けられる。
【0012】
さらに、この構成によれば、副鏡の固定部が被照明領域側に位置する封止部における端部よりも管球部から離れた位置まで延設されている。このため、封止部と固定部との間に接着剤を配置する領域を広くできるので、発光管と副鏡との固着強度を高めることができる。また、封止部の端面を被覆する接着剤が固定部のうち封止部よりも被照明領域側に延びた部分で支持されるので、封止部の端面からの接着剤の脱落を抑えることができる。
【0013】
[適用例2]上記適用例に係る光源装置であって、前記接着剤は、前記一方の前記封止部と前記固定部との間から前記一方の前記封止部の前記端面に亘って連続して配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、封止部の端面を被覆する接着剤が発光管と副鏡とを固着する接着剤と一体に配置されるので、封止部の端面からの接着剤の脱落や剥離を抑えることができる。
【0015】
[適用例3]上記適用例に係る光源装置であって、前記固定部は、前記一方の前記封止部における前記端部側の外周を覆っていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、発光管と副鏡とを固着する接着剤を封止部の外周を覆う固定部と封止部との間のより広い領域に配置できるので、発光管と副鏡との固着力をさらに高めることができる。また、封止部の端面を被覆する接着剤の周囲が、固定部のうち封止部よりも被照明領域側に延びた部分で囲まれるので、接着剤の厚さがより均一になるとともに接着剤の脱落や剥離がより抑えられる。これにより、封止部の端面から被照明領域側に向かう光をより一層確実に遮光することができる。
【0017】
[適用例4]上記適用例に係る光源装置であって、前記第1の反射部は、前記照明光軸と略直交する方向における前記第2の反射部側が削除された形状を有しており、前記第2の反射部は、前記照明光軸と略直交する方向における前記第1の反射部側が削除された形状を有していることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、リフレクターは、第1の反射部の照明光軸と略直交する方向における第2の反射部側が削除されて、薄型化されている。その一方で、発光管の発光部から第1の反射部の削除された側に射出される光は、副鏡の第2の反射部により反射され照明光束として有効利用される。したがって、光源装置における輝度の低下を抑えて薄型化を図ることが可能となる。
【0019】
[適用例5]本適用例に係るプロジェクターは、上記に記載の光源装置を備える照明装置と、前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、を備えていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、プロジェクターは、非利用光の被照明領域側への照射が抑えられた光源装置を備えている。これにより、投写された画像における色むらの発生が少なく部品の品質劣化が抑えられた信頼性の高いプロジェクターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る光源装置における副鏡の製造方法を説明する図。
【図4】第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図5】第2の実施形態に係る光源装置における副鏡の製造方法を説明する図。
【図6】第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0023】
(第1の実施形態)
<プロジェクター>
まず、第1の実施形態に係るプロジェクターについて、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【0024】
第1の実施形態に係るプロジェクター1000は、図1に示すように、照明装置100と、色分離導光光学系200と、3つの集光レンズ300R,300G,300Bと、電気光学変調装置としての3つの液晶装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写レンズ600と、冷却機構(図示省略)とを備えたプロジェクターである。
【0025】
照明装置100は、光源装置10と、凹レンズ90と、複数の第1小レンズ122を有する第1レンズアレイ120と、複数の第2小レンズ132を有する第2レンズアレイ130と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150とを備えている。
【0026】
光源装置10は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40とを備えている。リフレクター30は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である反射面31(図2参照)を有する。また、リフレクター30の第1焦点は、発光管20の管球部21(図2参照)内に位置する。光源装置10は、リフレクター30の第2焦点に向かって集束する照明光束を射出する。
【0027】
光源装置10は、発光管20が寿命となった場合等に、ユーザーが取り替え可能なように構成されている。光源装置10において、光束が射出される側、すなわちリフレクター30の開口側を被照明領域側とも呼ぶ。また、光源装置10において、被照明領域側(開口側)とは反対側を背面側とも呼ぶ。光源装置10の詳細構成については後述する。
【0028】
凹レンズ90は、光源装置10の被照明領域側に配置されている。凹レンズ90は、光源装置10からの集束光を略平行光として、第1レンズアレイ120に向けて射出する。第1レンズアレイ120は、凹レンズ90から射出される照明光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有する。第1レンズアレイ120は、照明光軸OCと略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第1小レンズ122を備えている。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に関して相似形である。
【0029】
第2レンズアレイ130は、上述した第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光するための光学素子である。第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応して、照明光軸OCに略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第2小レンズ132を備えている。
【0030】
偏光変換素子140は、第2レンズアレイ130からの各部分光束を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光に変換して射出する偏光変換素子である。偏光変換素子140は、光源装置10からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過し、他方の直線偏光成分を照明光軸OCに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸OCに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。
【0031】
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、および偏光変換素子140を経て射出される複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。なお、重畳レンズ150は、図1では1枚のレンズとして図示されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0032】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、照明装置100から射出される照明光束を赤色光、緑色光、および青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる液晶装置400R,400G,400Bに導く機能を有している。
【0033】
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。光路前段に配置されるダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射し、青色光成分を透過するミラーである。
【0034】
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置400Rの画像形成領域に入射する。集光レンズ300Rは、重畳レンズ150からの各部分光束を各主光線に対して略平行な光束に変換するために設けられている。他の液晶装置400G,400Bの光路前段に配設される集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
【0035】
ダイクロイックミラー210を通過した緑色光成分および青色光成分のうち緑色光成分は、ダイクロイックミラー220によって反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶装置400Gの画像形成領域に入射する。一方、青色光成分は、ダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、および集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶装置400Bの画像形成領域に入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置400Bまで導く機能を有している。
【0036】
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。第1の実施形態に係るプロジェクター1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成としてもよい。
【0037】
液晶装置400R,400G,400Bは、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調するものであり、照明装置100の照明対象となっている。図示を省略するが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置され、各液晶装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置されている。
【0038】
これら入射側偏光板、液晶装置400R,400G,400B、および射出側偏光板によって、入射する各色光の光変調が行われる。液晶装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものである。液晶装置400R,400G,400Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム500は、3つの液晶装置400R,400G,400Bによって変調され、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0040】
投写レンズ600は、クロスダイクロイックプリズム500によって合成されたカラー画像をスクリーンSCR等の投写面に拡大投写する。これにより、スクリーンSCR等の投写面上に画像が形成される。
【0041】
<光源装置>
次に、第1の実施形態に係る光源装置について、図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図2(a)は光源装置10の要部の構成を示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)中のA−A’線に沿った断面図である。なお、図2(a)ではリード線28a,28bの図示を省略している。
【0042】
以下では、プロジェクター1000をいわゆる据え置き状態に配置する場合を例にとり説明する。図2(a)および(b)における光源装置10の各構成要素の配置は、プロジェクター1000の据え置き状態に対応している。なお、プロジェクター1000の据え置き状態において、重力方向はリフレクター30側から副鏡40側に向かう方向となる。
【0043】
第1の実施形態に係る光源装置10は、図2(a)および(b)に示すように、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40と、接着剤Cとを備えている。
【0044】
発光管20は、管球部21と、一対の封止部22a,22bと、一対の電極24a,24bと、一対の金属箔26a,26bと、一対のリード線28a,28bとを有している。発光管20としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を採用できる。
【0045】
封止部22a,22bは、管球部21から両側に照明光軸OCに沿って延設されている。封止部22aは管球部21の被照明領域側に配置されており、封止部22bは管球部21の被照明領域側とは反対側、すなわち背面側に配置されている。管球部21および封止部22a,22bは、例えば石英ガラスからなり、一体に形成されている。管球部21内には、例えば、水銀、希ガスおよび少量のハロゲンが封入されている。
【0046】
図2(b)に示すように、電極24a,24bは、管球部21内に封入された一端部同士が互いに対向するように配置されている。電極24a,24bの互いに対向する一端部には、放電部が形成されている。電極24aは照明光軸OCに沿って封止部22a側に延在しており、その端部は金属箔26aに電気的に接続されている。電極24bは照明光軸OCに沿って封止部22b側に延在しており、その端部は金属箔26bに電気的に接続されている。電極24a,24bは、例えば、タングステン等の金属からなる。
【0047】
金属箔26a,26bは、照明光軸OCに沿って延在している。金属箔26aは封止部22a内に封止されており、金属箔26bは封止部22b内に封止されている。金属箔26a,26bは、例えば、モリブデン等の金属からなる。
【0048】
リード線28a,28bは、照明光軸OCに沿って延在している。リード線28aの一端部側は、封止部22a内に封止され、金属箔26aに電気的に接続されている。リード線28aの他端部は、封止部22aの端面22cから延出している。リード線28bの一端部側は、封止部22b内に封止され、金属箔26bに電気的に接続されている。リード線28bの他端部は、封止部22bから延出している。リード線28a,28bは、例えば、モリブデン、タングステン等の金属からなる。リード線28a,28bに電圧が印加されると、電極24a,24b間に電位差が発生し、管球部21内で放電が生じてアーク像が生成される。
【0049】
リフレクター30は、図2(a)および(b)に示すように、第1の反射部としての反射部32と、基部34とを有している。反射部32と基部34とは、一体に形成されている。リフレクター30の基材の材料としては、例えば、結晶化ガラスやアルミナ(Al23)等を好適に用いることができる。
【0050】
反射部32は、楕円面を照明光軸OCを回転中心軸として回転させた楕円球の略1/4の形状を有している。より具体的には、反射部32は、楕円球のうち照明光軸OCに沿った方向における略1/2が削除されるとともに、照明光軸OCを含む所定の平面Sで切断したとき、照明光軸OCと略直交する方向における副鏡40(反射部42)側の端部30zが削除された形状を有している(図2(a)参照)。したがって、反射部32の開口側(被照明領域側)の端部は、略半円形状である。リフレクター30の反射部32をこのような形状とすることにより、光源装置10を薄型化することができる。
【0051】
反射部32は、発光管20に対向する内面側に反射面31を有している。反射面31は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である。反射部32は、発光管20に対して、第1焦点近傍に管球部21が位置するように配置されている。反射部32は、反射面31において、管球部21から射出された光を被照明領域側の第2焦点位置に向けて反射する。反射面31には、例えば、酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる可視光反射層が形成されている。
【0052】
基部34は、反射部32から背面側に封止部22bに沿って延設されている。基部34は、例えば、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうち副鏡40の側の略1/2が削除された形状を有している。基部34と封止部22bとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによってリフレクター30と発光管20とが互いに固着されている。
【0053】
接着剤Cは、遮光性を有する接着剤であり、例えば、シリカ系やアルミナ系の無機接着剤である。このような無機接着剤として、例えば、住友化学工業(株)の「スミセラム(登録商標)」を用いることができる。
【0054】
副鏡40は、発光管20を間に挟んでリフレクター30とは反対側、すなわちリフレクター30の端部30zが削除された側に配置されている。つまり、副鏡40は、発光管20の重力方向における下方側に位置している。副鏡40は、第2の反射部としての反射部42と、固定部44とを有している。反射部42と固定部44とは、一体に形成されている。副鏡40は、例えば、硬質ガラスや石英ガラス等からなる。副鏡40の材料は、金属であってもよい。
【0055】
反射部42は、球体のうち照明光軸OCと略直交する方向におけるリフレクター30側の略1/2が削除された略半球形状を有している。反射部42は、管球部21のリフレクター30とは反対側を覆うように配置されている。反射部42は、管球部21に対向する内面側に反射面41を有している。
【0056】
反射部42は、反射面41において、管球部21から副鏡40側に射出される光を管球部21(反射面31)へ向けて反射する。これにより、管球部21から副鏡40側に射出される光をリフレクター30側へ戻して、照明光束として有効利用することができる。反射面41には、例えば、酸化タンタル(Ta25)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる反射層が形成されている。
【0057】
固定部44は、反射部42から被照明領域側に封止部22aに沿って延設されており、封止部22aにおける被照明領域側の端部よりも管球部21から離れた位置まで延在している。固定部44は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうちリフレクター30側の略1/2が削除された形状を有している。したがって、固定部44が封止部22aの端部よりも被照明領域側の位置まで延在していても、リフレクター30で反射され第2焦点位置に向かう光が固定部44で遮られることはない。
【0058】
固定部44と封止部22aとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによって発光管20と副鏡40とが互いに固着されている。接着剤Cは、固定部44の被照明領域側の端部まで配置されているとともに、封止部22aにおける被照明領域側の端面22cを被覆している。つまり、接着剤Cは、固定部44と封止部22aとの間から封止部22aの端面22cに亘って連続して配置されている。接着剤Cは、さらに封止部22aの上方(リフレクター30側)を覆うように配置されていてもよい。
【0059】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、リフレクター30は、副鏡40側の端部30zが削除されて、薄型化されている。また、その一方で、発光管20から副鏡40側に射出される光を反射部42で反射して照明光束として有効利用できるので、リフレクター30の端部30zが削除されたことによる輝度の低下が抑えられる。したがって、輝度の低下を抑えて光源装置10を薄型化することができる。
【0060】
ところで、管球部21から射出された光のうちの一部は、封止部22a内を被照明領域側に向かって伝播する。このように封止部22a内を伝播する光は、リフレクター30の第2焦点に向かって集束せず様々な方向に向かうため、照明光束として利用できない非利用光である。このような非利用光が封止部22aの端面22cから漏れ出て照明光束と一緒にプロジェクター1000から投写されると、投写された画像において色むらを発生させてしまう。また、このような非利用光が封止部22aの端面22cから漏れ出て照射されると、プロジェクター1000内の周辺の部材の発熱や光学部品の温度上昇が起こり、それらの部材や部品の品質劣化を招いてしまう。
【0061】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、被照明領域側に位置する封止部22aの端面22cが遮光性を有する接着剤Cにより被覆されているので、封止部22aの端面22cから被照明領域側に向かう非利用光が接着剤Cにより遮光される。これにより非利用光の被照明領域側への照射が抑えられるので、光源装置10を備えたプロジェクター1000から投写される画像における色むらが抑えられ、光源装置10周辺の部材の光による品質劣化が抑えられる。
【0062】
さらに、発光管20とリフレクター30とを固着する接着剤Cを遮光部材として用いるので、特許文献1に記載の光源装置のように遮光部材を別途必要とする構成に比べて、部品点数や型の増加、あるいは組立工数の増大が避けられる。そして、封止部22aの端面22cをほぼ間隙がない状態で被覆できるので、特許文献1に記載の光源装置に比べて、封止部22aの端面22cから被照明領域側に向かう非利用光をより確実に遮光できる。
【0063】
また、第1の実施形態に係る光源装置10では、固定部44が封止部22aの端部よりも管球部21から離れた位置まで延設されている。このため、封止部22aと固定部44との間に接着剤Cを配置する領域を広くできるので、発光管20と副鏡40との固着強度を高めることができる。これにより、副鏡40の脱落を抑えることができる。
【0064】
封止部22aの端面22cは重力方向に略平行であるため、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cを脱落させる方向に重力が働く。しかしながら、光源装置10では、固定部44のうち封止部22aよりも被照明領域側に延びた部分で、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cを重力方向の下方側から支持することができる。そして、接着剤Cが固定部44と封止部22aとの間から封止部22aの端面22cに亘って一体に配置されているので、接着剤Cの封止部22aの端面22cからの脱落や剥離が抑えられる。
【0065】
<光源装置の製造方法>
次に、光源装置の製造方法について説明する。第1の実施形態に係る光源装置の製造方法は、発光管20、リフレクター30、および副鏡40をあらかじめ準備しておき、副鏡40を発光管20に固着し、発光管20をリフレクター30に固着する。ここでは、副鏡40の製造方法を、図3を参照して説明する。なお、発光管20およびリフレクター30は、公知の製造方法を用いて製造することができる。
【0066】
図3は、第1の実施形態に係る副鏡の製造方法を説明する図である。詳しくは、図3(a)〜図3(f)は、副鏡の製造工程における各工程を示す図であり、図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、実際の工程では切断するときに切りしろが発生するが、図3においては図示を省略している。
【0067】
(1.管状部材準備工程)
まず、図3(a)に示すように、管状部材50を準備する。管状部材50の内径寸法は、発光管20の封止部22aの外径寸法、および封止部22aと固定部44との間隙等に応じて適宜設定される。管状部材50の材料としては、硬質ガラスや石英ガラスを用いることができる。石英ガラスは、熱膨張率が低く内部歪が残らないためアニール処理をする必要がないので、管状部材50の材料として好適である。
【0068】
なお、軸50axは、管状部材50の断面の中心を通り、管状部材50の延在方向に沿った軸である。また、この段階では見た目上の差異はないものの、便宜上、管状部材50を軸50axを含む平面に沿って2分割した場合の一方の部材を50aとし、他方の部材を50bとする。ここでは、部材50aから副鏡40を製造する場合を例にとり説明するが、部材50bから同様にして副鏡40を製造してもよい。
【0069】
(2.膨張部形成工程)
次に、図3(b)に示すように、管状部材50を加熱して成形型(図示しない)に入れた後、不活性ガスにより内圧をかける。そして、管状部材50における一部の内面形状が反射部42に対応した所定の形状となるように膨張させて、膨張部52を形成する。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスや窒素ガスを好適に用いることができる。これにより、管状部材50は、部材50a側および部材50b側のそれぞれの側に、膨張部52と、膨張部52の両側に接続された一対の管状部51a,51bとを有する構成となる。
【0070】
(3.切断工程)
(3−1.第1切断工程)
次に、図3(c)に示すように、例えばスライサーを用いて、管状部材50の軸50axを含む平面に沿って切り込みX1を入れる。そして、管状部材50を、部材50aと部材50bとに分断する。これにより、膨張部52と一対の管状部51a,51bとを有する部材50a,50bが得られる。次の工程からは、部材50aに対して加工を行うこととする。
【0071】
(3−2.第2切断工程)
次に、図3(d)に示すように、部材50aにおける膨張部52と管状部51bとの接続部に、第1切断工程で切り込みX1が入れられた側あるいはその反対側から、軸50axと略直交する方向に切り込みX2を入れる。そして、部材50aを切り込みX2の位置で切断し管状部51bを分離する。また、同様に、部材50aにおける管状部51aの所定の位置に切り込みX3を入れて切断し、管状部51aの切り込みX3の位置よりも外側(膨張部52から離れた側)の部分を分離する。
【0072】
これにより、図3(e)に示すように、膨張部52と管状部54とで構成される基材50cが得られる。基材50cは、副鏡40の基材となる。膨張部52は副鏡40の反射部42となり、管状部54は副鏡40の固定部44となる。
【0073】
ここで、管状部51aに切り込みX3を入れる位置は、固定部44(管状部54)が発光管20の封止部22aの端部よりも管球部21から離れた位置まで延在するように(図2(b)参照)、封止部22aの長さに応じて適宜調整する。このように、管状部51aに切り込みX3を入れる位置を調整することで、固定部44の延在方向における長さを所望の長さに設定することができる。
【0074】
(4.反射層形成工程)
次に、図3(f)に示すように、基材50cの膨張部52(反射部42)の内面である反射面41に反射層を形成する。反射層としては、例えば、酸化タンタル(Ta25)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる反射層を好適に用いることができる。反射層形成工程が終了すると、膨張部52に対応する反射部42と、管状部54に対応する固定部44とで構成される副鏡40が完成する。
【0075】
第1の実施形態に係る副鏡の製造方法によれば、第1切断工程における切り込みX1、および第2切断工程における切り込みX2,X3を入れる位置や角度等を適宜設定することにより、管状部材50から所望の形状および寸法の副鏡40を容易に得ることができる。
【0076】
なお、上述の切断工程において、第1切断工程の前に第2切断工程を行うようにしてもよい。すなわち、図3(b)に示す膨張部形成工程の後、管状部材50に図3(d)に示す切り込みX2,X3を入れて管状部51bおよび管状部51aを切断し、その後で図3(c)に示す切り込みX1を入れて部材50aと部材50bとに分断するようにしてもよい。
【0077】
副鏡40が完成した後、図2(b)に示すように、副鏡40の固定部44と封止部22aとの間に接着剤Cを配置することにより、副鏡40を発光管20に固着する。このとき、接着剤Cを、固定部44と封止部22aとの間から封止部22aの端面22cに亘って連続して配置して、端面22cを接着剤Cで被覆する。
【0078】
また、リフレクター30の基部34と封止部22bとの間に接着剤Cを配置することにより、発光管20をリフレクター30に固着する。なお、副鏡40と発光管20との固着、および発光管20とリフレクター30との固着は、どちらを先に行ってもよい。以上により、光源装置10が完成する。
【0079】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0080】
(1)副鏡40側の略1/2が削除された形状を有するリフレクター30に対して、発光管20を間に挟んで反対側に、リフレクター30側の略1/2が削除された形状を有する副鏡40が配置されているので、光源装置10の輝度の低下を抑えつつ薄型化を図ることができる。
【0081】
(2)発光管20と副鏡40とを固着する接着剤Cにより封止部22aの端面22cから被照明領域側に向かう光が遮光されるので、部品点数や型の増加、あるいは組立工数の増大を避けつつ、プロジェクター1000から投写される画像における色むらや周辺の部材の品質劣化を抑えることができる。
【0082】
(3)固定部44が封止部22aの端部よりも被照明領域側の位置まで延設されているので、接着剤Cを配置する領域を広くして発光管20と副鏡40との固着強度を高めることができる。また、接着剤Cは、固定部44と封止部22aとの間から封止部22aの端面22cに亘って一体に配置されるとともに、固定部44のうち封止部22aよりも被照明領域側に延びた部分で下方側から支持されるので、封止部22aの端面22cからの接着剤Cの脱落や剥離が抑えられる。
【0083】
これらにより、薄型で投写される画像の色むらや周辺の部材の品質劣化が抑えられた信頼性の高い光源装置10、および光源装置10を備えた信頼性の高いプロジェクター1000を提供できる。なお、プロジェクター1000をいわゆる天吊り状態に配置する場合においては、各構成要素の重力方向における位置関係が反転するが、据え置き状態の場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0084】
(第2の実施形態)
<光源装置>
次に、第2の実施形態に係る光源装置について、図4を参照して説明する。第2の実施形態に係る光源装置は、第1の実施形態に係る光源装置に対して、副鏡の固定部の形状が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。
【0085】
図4は、第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図4は図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0086】
第2の実施形態に係る光源装置12は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40Aと、接着剤Cとを備えている。
【0087】
副鏡40Aは、反射部42と接続部43と固定部45とを有している。接続部43は、反射部42の被照明領域側に設けられており、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうちリフレクター30側の略1/2が削除された形状を有している。固定部45は、接続部43から被照明領域側に封止部22aに沿って、封止部22aの端部よりも管球部21から離れた位置まで延設されている。固定部45は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形状を有しており、封止部22aの外周の全周を覆っている。
【0088】
発光管20と副鏡40Aとを固着する接着剤Cは、封止部22aの外周を覆う固定部45と封止部22aとの間に充填されている。また、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cは、固定部45のうち封止部22aよりも被照明領域側に延びた部分で周囲を囲まれた内側の領域に充填されている。つまり、接着剤Cは、封止部22aにおける固定部45に重なる部分の外周と端面22cとを覆うように一体に配置されている。
【0089】
第2の実施形態に係る光源装置12の構成によれば、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cが、固定部45のうち封止部22aよりも被照明領域側に位置する部分で周囲を囲まれるとともに、封止部22aの外周を覆う接着剤Cと一体に配置されている。このため、第1の実施形態に比べて、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cを重力方向における上方側と下方側とでより均一な厚さで配置することができ、接着剤Cの封止部22aの端面22cからの剥離がより抑えられる。これにより、封止部22aの端面22cから被照明領域側に向かう非利用光をより一層確実に遮光することができる。
【0090】
また、第1の実施形態に比べて、接着剤Cが封止部22aの外周の全周を覆うとともにより広い領域に配置されるので、封止部22aと固定部45との固着強度をより高めることができ、振動や衝撃に対する耐性を向上させることができる。
【0091】
なお、固定部45には、リフレクター30側における被照明領域側のコーナー部55c(図5(d)参照)が削除されて形成された斜面45aが設けられていることが好ましい。固定部45に斜面45aを設けることで、リフレクター30で反射され第2焦点位置に向かう光が固定部45で遮られないようにすることができる。斜面45aの照明光軸OCに対する角度や長さは、リフレクター30の第2焦点位置や封止部22aの長さ等に応じて適宜設定される。
【0092】
<光源装置の製造方法>
次に、第2の実施形態に係る光源装置の製造方法について説明する。第2の実施形態に係る光源装置の製造方法は、副鏡の製造方法における切断工程が第1の実施形態に係る製造方法と異なっているが、その他の製造方法はほぼ同じである。図5は、第2の実施形態に係る光源装置における副鏡の製造方法を説明する図である。詳しくは、図5(a)〜図5(e)は、副鏡の製造工程における各工程を示す図であり、図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。
【0093】
(1.管状部材準備工程、および、2.膨張部形成工程)
管状部材準備工程(図3(a)参照)および膨張部形成工程(図3(b)参照)は、第1の実施形態に係る副鏡の製造方法と同様であるので説明を省略する。なお、第2の実施形態に係る副鏡の製造方法では管状部材50を軸50axを含む平面に沿って2分割しないが、便宜上、2分割した場合の一方の部材側を50aと表示し他方の部材側を50bと表示している。管状部材50において、部材50bの側がリフレクター30側となる。
【0094】
(3.切断工程)
(3−1.第1切断工程)
膨張部形成工程の後に、図5(a)に示すように、管状部材50における膨張部52と管状部51bとの接続部に、軸50axと略直交する方向に切り込みX2を入れ、切り込みX2の位置で切断する。これにより、管状部51bが分離され、図5(b)に示す管状部材50dが得られる。
【0095】
(3−2.第2切断工程)
次に、図5(b)に示すように、管状部材50dの管状部51aの延在方向における所定の位置に、軸50axと略直交する方向に、部材50b側から軸50axに到達するまで切り込みX4を入れる。切り込みX4を入れる位置は、封止部22aに対する固定部45の位置関係(図4参照)等に応じて適宜設定される。続いて、管状部51bが分離された側から軸50axを含む平面に沿って、切り込みX4に到達するまで切り込みX5を入れる。そして、管状部材50dから切り込みX4,X5が入れられた部材50b側の部分56を分離する。これにより、図5(c)に示すように、膨張部52と管状部53と筒状部57とを有する管状部材50eが得られる。
【0096】
(3−3.第3切断工程)
次に、図5(c)に示すように、管状部材50eの筒状部57の所定の位置に、軸50axと略直交する方向に切り込みX3を入れて切断し、筒状部57の切り込みX3の位置よりも外側(膨張部52から離れた側)の部分を分離する。切り込みX3を入れる位置は、封止部22aの長さ等に応じて適宜設定される。
【0097】
これにより、図5(d)に示すように、膨張部52と管状部53と筒状部55とを有する基材50fが得られる。基材50fは、副鏡40Aの基材となる。また、膨張部52、管状部53、筒状部55は、それぞれ副鏡40Aの反射部42、接続部43、固定部45となる。
【0098】
(4.斜面形成工程)
次に、図5(d)に示すように、筒状部55の膨張部52から離れた側の端部における部材50b側(リフレクター30側)のコーナー部55cに斜めに切り込みX6を入れて、コーナー部55cを切除し斜面55aを形成する。コーナー部55cは、グラインダー等を用いて切削し除去してもよい。
【0099】
(5.反射層形成工程)
次に、図5(e)に示すように、基材50fの膨張部52(反射部42)の内面である反射面41に反射層を形成する。反射層形成工程が終了すると、膨張部52に対応する反射部42と、管状部53に対応する接続部43と、筒状部55に対応する固定部45とで構成され、斜面45aを有する副鏡40Aが完成する。なお、第2切断工程の前に第3切断工程を行うようにしてもよい。
【0100】
副鏡40Aが完成した後、図4に示すように、副鏡40Aの固定部45と封止部22aとの間に接着剤Cを配置することにより、副鏡40Aを発光管20に固着する。このとき、接着剤Cを、固定部45と封止部22aとの間に充填するとともに、固定部45のうち封止部22aよりも被照明領域側に延びた部分で周囲を囲まれた内側の領域にも充填する。これにより、封止部22aの端面22cが接着剤Cで被覆される。
【0101】
また、リフレクター30の基部34と封止部22bとの間に接着剤Cを配置することにより、発光管20をリフレクター30に固着する。以上により、光源装置12が完成する。
【0102】
(第3の実施形態)
<光源装置>
次に、第3の実施形態に係る光源装置について、図6を参照して説明する。第3の実施形態に係る光源装置は、上記実施形態に係る光源装置に対して、リフレクターおよび副鏡の反射部の開口側が略円形状である点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。
【0103】
図6は、第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図6は図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0104】
第3の実施形態に係る光源装置14は、発光管20と、リフレクター60と、副鏡70と、接着剤Cとを備えている。
【0105】
リフレクター60は、楕円面または方物面を照明光軸OCを回転中心軸として回転させた楕円球または方物球のうち、照明光軸OCに沿った方向における略1/2が削除された形状を有している。リフレクター60の開口側(被照明領域側)の端部は、略円形状である。
【0106】
リフレクター60は、第1の反射部としての反射部62と、基部64とを有している。反射部62と基部64とは、一体に形成されている。反射部62は、発光管20に対向する内面側に反射面61を有している。
【0107】
基部64は、反射部62から背面側に封止部22bに沿って延設されている。基部64は、例えば、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形状を有している。基部64と封止部22bとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによってリフレクター60と発光管20とが互いに固着されている。
【0108】
副鏡70は、発光管20の管球部21を間に挟んでリフレクター60とは反対側、すなわち管球部21の被照明領域側に配置されている。副鏡70は、第2の反射部としての反射部72と、固定部74とを有している。反射部72と固定部74とは、一体に形成されている。
【0109】
反射部72は、球体のうち照明光軸OCに沿った方向におけるリフレクター60側の略1/2が削除された略半球形状を有している。反射部72は、管球部21に対向する内面側に反射面71を有している。反射部72は、反射面71において、管球部21から射出される光を管球部21(反射面61)へ向けて反射する。
【0110】
固定部74は、反射部72から被照明領域側に封止部22aに沿って延設されており、封止部22aにおける被照明領域側の端部よりも管球部21から離れた位置まで延在している。固定部74は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形状を有している。固定部74には、被照明領域側の端部の周囲に斜面74aが設けられていることが好ましい。斜面74aを設けることで、リフレクター60で反射され第2焦点位置に向かう光が固定部74で遮られないようにすることができる。
【0111】
固定部74と封止部22aとの間には接着剤Cが充填されており、接着剤Cによって発光管20と副鏡70とが互いに固着されている。接着剤Cは、封止部22aと固定部74との間、および固定部74のうち封止部22aよりも被照明領域側に位置する部分の内側に充填されている。
【0112】
第3の実施形態に係る光源装置14の構成によれば、封止部22aの端面22cを被覆する接着剤Cが、固定部74のうち封止部22aよりも被照明領域側に位置する部分で周囲を囲まれるとともに、封止部22aの外周を覆う接着剤Cと一体に配置されている。これにより、第3の実施形態に係る光源装置14の構成においても、第2の実施形態に係る光源装置12と同様に、封止部22aの端面22cから被照明領域側に向かう非利用光を確実に遮光することができる。
【0113】
以上、本発明の光源装置およびプロジェクターを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0114】
(変形例1)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、光均一化光学系として第1レンズアレイおよび第2レンズアレイからなるレンズインテグレーター光学系を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。光均一化光学系として、例えば、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
【0115】
(変形例2)
上記実施形態におけるプロジェクターは透過型のプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、反射型のプロジェクターであってもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0116】
(変形例3)
上記実施形態におけるプロジェクターは3つの液晶装置を用いたプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、1つ、2つまたは4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクターにも適用することができる。
【0117】
(変形例4)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、電気光学変調装置として液晶装置を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0118】
(変形例5)
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクター、および、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用することが可能である。
【0119】
(変形例6)
上記実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の光源装置を、例えば、光ディスク装置等他の光学機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0120】
10,12,14…光源装置、20…発光管、21…管球部、22a,22b…一対の封止部、22c…端面、30,60…リフレクター、32,62…第1の反射部としての反射部、34,64…基部、40,40A,70…副鏡、42,72…第2の反射部としての反射部、44,74…固定部、100…照明装置、400R,400G,400B…電気光学変調装置としての液晶装置、600…投写レンズ、1000…プロジェクター、C…接着剤、OC…照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、を有する発光管と、
前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部を有するリフレクターと、
前記管球部を間に挟んで前記第1の反射部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記被照明領域側に位置する一方の前記封止部に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、
前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され、前記発光管と前記副鏡とを固着する接着剤と、を備え、
前記固定部は、前記一方の前記封止部における端部よりも前記管球部から離れた位置まで延設されており、
前記接着剤は、遮光性を有し、前記一方の前記封止部の前記端部の端面を被覆していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記接着剤は、前記一方の前記封止部と前記固定部との間から前記一方の前記封止部の前記端面に亘って連続して配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置であって、
前記固定部は、前記一方の前記封止部における前記端部側の外周を覆っていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置であって、
前記第1の反射部は、前記照明光軸と略直交する方向における前記第2の反射部側が削除された形状を有しており、
前記第2の反射部は、前記照明光軸と略直交する方向における前記第1の反射部側が削除された形状を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光源装置を備える照明装置と、
前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、
を備えていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−181308(P2011−181308A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43847(P2010−43847)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】