説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】輝度の低下を抑えて薄型化を図るとともに、副鏡が脱落し難くかつ発光管の封止部の強度低下を抑えた光源装置およびプロジェクターを提供すること。
【解決手段】光源装置10は、管球部21と封止部22a,22bと金属箔26a,26bと電極24a,24bとを有する発光管20と、所定の平面Sで切断したとき一方側が削除された形状を有し管球部21から射出される光を被照明領域側に反射する反射部32を有するリフレクター30と、発光管20を間に挟んでリフレクター30とは反対側に配置されており管球部21に対向配置された反射部42と反射部42から延設された固定部44とを有する副鏡40と、封止部22aと固定部44との間に配置され発光管20と副鏡40とを固着する接着剤C1とを備え、接着剤C1は封止部22a側における電極24a,24bの端部よりも管球部21から離れた位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
管球部(バルブ部)とその両側に延設された一対の封止部と、各封止部内に封止された一対の導体箔と、一端部同士が互いに対向するように管球部内に封入され他端部が各導体箔に電気的に接続された一対の電極とを有する発光管と、管球部を間に挟んで互いの反射部が対向するように配置されたリフレクター(主反射鏡)と副鏡と、を備えた光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。副鏡は、例えば、接着剤により一方の封止部に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−309372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成を有する光源装置では、電極の端部が導体箔に接続された位置に副鏡が固着されていると、電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力に、封止部と接着剤との熱膨張率の差に起因する応力が加わり、封止部のその位置に応力が集中して強い負荷がかかってしまうという課題があった。強い負荷がかかると、発光管の封止部の強度の低下を招くこととなる。そこで、特許文献1では、副鏡が筒状の固定部を有しており、固定部において電極(電極軸)の端部から離れた位置に接着剤を配置することで、応力の集中を避けるようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光源装置の構成では、封止部における電極が位置する部分の全周が副鏡で覆われるとともに、電極に対して管球部(バルブ部)とは反対側が副鏡との間に配置された接着剤で塞がれた状態となっている。そのため、管球部から発せられた熱が封止部と副鏡との間に籠って放熱され難く、電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力を増大させてしまうおそれがあるという課題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の光源装置の構成では、筒状の形状を有する副鏡の固定部を長くするとリフレクターからの反射光が遮られてしまう。そのため、接着剤を配置できる範囲が制約され、接着剤を電極から十分離れた位置に配置できない場合や、接着剤の配置領域が小さくなり固着力が低下する場合があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、前記一対の封止部内にそれぞれ封止された一対の導体箔と、一端部同士が互いに対向するように前記管球部内に封入され他端部が前記一対の導体箔の前記管球部側に電気的に接続された一対の電極と、を有する発光管と、所定の平面で切断したとき一方側が削除された形状を有し、前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部を有するリフレクターと、前記発光管を間に挟んで前記リフレクターとは反対側に配置されており、前記管球部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され、前記発光管と前記副鏡とを固着する第1の接着剤と、を備え、前記第1の接着剤は、前記一方の前記封止部側における前記電極の前記他端部よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、リフレクターの一方側が削除されて薄型化されており、発光管の管球部からリフレクターの削除された側に射出される光は副鏡により反射され有効利用される。したがって、光源装置の輝度の低下を抑えて薄型化を図ることが可能となる。また、発光管と副鏡とを固着する第1の接着剤は、管球部に対して電極の他端部よりも離れた位置において、副鏡の固定部と封止部との間に配置されている。このため、第1の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置を、電極の端部が導体箔に接続された位置、すなわち電極と導体箔と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置に対して管球部から遠ざかる方向に離れさせて、この位置への応力の集中を避けることができる。
【0010】
さらに、この構成によれば、副鏡はリフレクターに対して発光管を間に挟んで反対側に配置されている。このため、管球部から発せられリフレクターで反射された光は副鏡により遮られないので、副鏡の固定部が筒状である場合に比べて、固定部を延ばして電極の端部が導体箔に接続された位置からより離れた位置に第1の接着剤を配置することができる。また、副鏡の固定部が筒状である場合に比べて、管球部から発せられた熱が封止部と副鏡との間に籠らず放熱され易いので、電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力の増大が抑えられる。
これらの結果、発光管の封止部の強度低下が抑えられるので、光源装置の品質および寿命を向上させることができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る光源装置であって、前記一対の導体箔における前記一対の電極が接続された側とは反対側に一端部がそれぞれ電気的に接続された一対のリード線をさらに備え、前記第1の接着剤は、前記一方の前記封止部において、前記リード線の前記一端部よりも前記管球部側の位置、または前記導体箔よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、リード線の端部が導体箔に接続された位置にはリード線と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わるが、この位置から離れた位置に第1の接着剤が配置される。このため、第1の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置を、リード線の端部が導体箔に接続された位置から離れさせて、この位置への応力の集中を避けることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る光源装置であって、前記副鏡の前記固定部は、前記一方の前記封止部における端部の位置まで延設されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、副鏡の固定部が封止部の端部の位置まで延設されているので、第1の接着剤を配置する領域を広くして固着力を増大させることができる。また、第1の接着剤の配置位置の設定における自由度を高めることができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に係る光源装置であって、前記リフレクターは、前記第1の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された基部を有し、前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置され、前記発光管と前記リフレクターとを固着する第2の接着剤をさらに備え、前記第2の接着剤は、前記一方の前記封止部における前記電極の前記他端部よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1の接着剤が配置されている一方の封止部において、電極の他端部よりも管球部から離れた位置に発光管とリフレクターとを固着する第2の接着剤が配置される。このため、第2の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置を、電極の端部が導体箔に接続された位置に対して管球部から遠ざかる方向に離れさせて、この位置への応力の集中を避けることができる。
【0017】
[適用例5]上記適用例に係る光源装置であって、前記第2の接着剤は、前記第1の接着剤が配置された前記一方の前記封止部に配置されており、前記第1の接着剤および前記第2の接着剤のいずれか一方は、他方よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、一方の封止部における第1の接着剤が配置される位置と第2の接着剤が配置される位置とが互いに離れた位置となる。このため、第1の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置、および第2の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置を互いに異ならせるとともに、それぞれの位置を電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置と異ならせて、これらの応力を分散させることができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る光源装置であって、前記第1の接着剤は、前記リード線の前記一端部よりも前記管球部側の位置に配置されており、前記第2の接着剤は、前記導体箔よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置と、リード線と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置と、第1の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置と、第2の接着剤と封止部との熱膨張率の差に起因する応力が加わる位置とを互いに異ならせて、それぞれの応力を分散させることができる。
【0021】
[適用例7]本適用例に係るプロジェクターは、上記に記載の光源装置を備える照明装置と、前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、を備えていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、発光管の封止部の強度低下が抑えられ品質および寿命の向上が図られた光源装置を備えるため、信頼性の高いプロジェクターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る光源装置における副鏡の製造方法を説明する図。
【図4】第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図5】第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図6】第4の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0025】
(第1の実施形態)
<プロジェクター>
まず、第1の実施形態に係るプロジェクターについて、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【0026】
第1の実施形態に係るプロジェクター1000は、図1に示すように、照明装置100と、色分離導光光学系200と、3つの集光レンズ300R,300G,300Bと、電気光学変調装置としての3つの液晶装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写レンズ600と、冷却機構(図示省略)とを備えたプロジェクターである。
【0027】
照明装置100は、光源装置10と、凹レンズ90と、複数の第1小レンズ122を有する第1レンズアレイ120と、複数の第2小レンズ132を有する第2レンズアレイ130と、偏光変換素子140と、重畳レンズ150とを備えている。
【0028】
光源装置10は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40とを備えている。リフレクター30は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である反射面31(図2参照)を有する。また、リフレクター30の第1焦点は、発光管20の管球部21(図2参照)内に位置する。光源装置10は、リフレクター30の第2焦点に向かって集束する照明光束を射出する。
【0029】
光源装置10は、発光管20が寿命となった場合等に、ユーザーが取り替え可能なように構成されている。光源装置10において、光束が射出される側、すなわちリフレクター30の開口側を被照明領域側とも呼ぶ。また、光源装置10において、被照明領域側(開口側)とは反対側を背面側とも呼ぶ。光源装置10の詳細構成については後述する。
【0030】
凹レンズ90は、光源装置10の被照明領域側に配置されている。凹レンズ90は、光源装置10からの集束光を略平行光として、第1レンズアレイ120に向けて射出する。第1レンズアレイ120は、凹レンズ90から射出される照明光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有する。第1レンズアレイ120は、照明光軸OCと略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第1小レンズ122を備えている。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に関して相似形である。
【0031】
第2レンズアレイ130は、上述した第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光するための光学素子である。第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応して、照明光軸OCに略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第2小レンズ132を備えている。
【0032】
偏光変換素子140は、第2レンズアレイ130からの各部分光束を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光に変換して射出する偏光変換素子である。偏光変換素子140は、光源装置10からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過し、他方の直線偏光成分を照明光軸OCに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸OCに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。
【0033】
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、および偏光変換素子140を経て射出される複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。なお、重畳レンズ150は、図1では1枚のレンズとして図示されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0034】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、照明装置100から射出される照明光束を赤色光、緑色光、および青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる液晶装置400R,400G,400Bに導く機能を有している。
【0035】
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。光路前段に配置されるダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射し、青色光成分を透過するミラーである。
【0036】
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置400Rの画像形成領域に入射する。集光レンズ300Rは、重畳レンズ150からの各部分光束を各主光線に対して略平行な光束に変換するために設けられている。他の液晶装置400G,400Bの光路前段に配設される集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
【0037】
ダイクロイックミラー210を通過した緑色光成分および青色光成分のうち緑色光成分は、ダイクロイックミラー220によって反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶装置400Gの画像形成領域に入射する。一方、青色光成分は、ダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、および集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶装置400Bの画像形成領域に入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置400Bまで導く機能を有している。
【0038】
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。第1の実施形態に係るプロジェクター1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270、および反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成としてもよい。
【0039】
液晶装置400R,400G,400Bは、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調するものであり、照明装置100の照明対象となっている。図示を省略するが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置され、各液晶装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置されている。
【0040】
これら入射側偏光板、液晶装置400R,400G,400B、および射出側偏光板によって、入射する各色光の光変調が行われる。液晶装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものである。液晶装置400R,400G,400Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
【0041】
クロスダイクロイックプリズム500は、3つの液晶装置400R,400G,400Bによって変調され、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0042】
投写レンズ600は、クロスダイクロイックプリズム500によって合成されたカラー画像をスクリーンSCR等の投写面に拡大投写する。これにより、スクリーンSCR等の投写面上に画像が形成される。
【0043】
<光源装置>
次に、第1の実施形態に係る光源装置について、図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図2(a)は光源装置10の要部の構成を示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)中のA−A’線に沿った断面図である。なお、図2(a)ではリード線28a,28bおよび接着剤C1,C2の図示を省略している。
【0044】
以下では、プロジェクター1000をいわゆる据え置き状態に配置する場合を例にとり説明する。図2(a)および(b)における光源装置10の各構成要素の配置は、プロジェクター1000の据え置き状態に対応している。なお、プロジェクター1000の据え置き状態において、重力方向は、リフレクター30側から副鏡40側に向かう方向となる。
【0045】
第1の実施形態に係る光源装置10は、図2(a)および(b)に示すように、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40と、第1の接着剤としての接着剤C1と、第2の接着剤としての接着剤C2と、を備えている。
【0046】
発光管20は、管球部21と、一対の封止部22a,22bと、一対の電極24a,24bと、一対の導体箔としての金属箔26a,26bと、一対のリード線28a,28bとを有している。発光管20としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を採用できる。
【0047】
封止部22a,22bは、管球部21から両側に照明光軸OCに沿って延設されている。封止部22a,22bのうち、封止部22aは管球部21の被照明領域側に配置されており、封止部22bは管球部21の被照明領域側とは反対側、すなわち背面側に配置されている。管球部21および封止部22a,22bは、例えば石英ガラスからなり、一体に形成されている。管球部21内には、例えば、水銀、希ガスおよび少量のハロゲンが封入されている。
【0048】
電極24a,24bは、一端部同士が互いに対向するように管球部21内に封入されている。電極24a,24bの互いに対向する一端部には、放電部が形成されている。電極24aは照明光軸OCに沿って封止部22a側に延在しており、電極24bは照明光軸OCに沿って封止部22b側に延在している。電極24aの封止部22a側の端部は、接続部25aで金属箔26aの管球部21側に電気的に接続されている。電極24bの封止部22b側の端部は、接続部25bで金属箔26bの管球部21側に電気的に接続されている。電極24a,24bは、例えば、タングステン等の金属からなる。
【0049】
金属箔26a,26bは、照明光軸OCに沿って延在しており、封止部22a,22b内にそれぞれ封止されている。金属箔26a,26bは、例えば、モリブデン等の金属からなる。電極24aと金属箔26aとは、接続部25aにおいて、例えば溶接により固定されている。電極24bと金属箔26bとは、接続部25bにおいて、例えば溶接により固定されている。
【0050】
リード線28a,28bは照明光軸OCに沿って延在しており、一端部側が封止部22a,22b内にそれぞれ封止されている。リード線28aの一端部は、金属箔26aにおける接続部25aとは反対側に位置する接続部27aで電気的に接続されている。リード線28bの一端部は、金属箔26bにおける接続部25bとは反対側に位置する接続部27bで電気的に接続されている。
【0051】
リード線28a,28bは、例えば、モリブデン、タングステン等の金属からなる。金属箔26a,26bとリード線28a,28bとは、接続部27a,27bにおいて、例えば溶接により固定されている。リード線28aの他端部は封止部22aから被照明領域側に延出しており、リード線28bの他端部は封止部22bから背面側に延出している。リード線28a,28bに電圧が印加されると、電極24a,24b間に電位差が発生し、管球部21内で放電が生じてアーク像が生成される。
【0052】
リフレクター30は、図2(a)および(b)に示すように、第1の反射部としての反射部32と、基部34とを有している。反射部32と基部34とは、一体に形成されている。リフレクター30の基材の材料としては、例えば、結晶化ガラスやアルミナ(Al23)等を好適に用いることができる。
【0053】
反射部32は、楕円面を照明光軸OCを回転中心軸として回転させた楕円球の略1/4の形状を有している。より具体的には、反射部32は、楕円球のうち照明光軸OCに沿った方向における略1/2が削除されるとともに、照明光軸OCを含む所定の平面Sで切断したとき、一方側、すなわち発光管20に対して副鏡40の側の端部30zが削除された形状を有している(図2(a)参照)。したがって、反射部32の開口側(被照明領域側)の端部は、略半円形状である。反射部32をこのような形状とすることにより、光源装置10を薄型化することができる。
【0054】
反射部32は、発光管20に対向する内面側に反射面31を有している。反射面31は、照明光軸OC上に第1焦点と第2焦点とを有する回転楕円面の一部である。反射部32は、発光管20に対して、第1焦点近傍に管球部21が位置するように配置されている。反射部32は、反射面31において、管球部21から射出された光を被照明領域側の第2焦点位置に向けて反射する。反射面31には、例えば、酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる可視光反射層が形成されている。
【0055】
基部34は、反射部32から背面側に封止部22bに沿って延設されている。基部34は、例えば、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうち副鏡40の側の略1/2が削除された形状を有している。基部34と封止部22bとの間には接着剤C2が充填されており、接着剤C2によってリフレクター30と発光管20とが互いに固着されている。
【0056】
接着剤C2は、電極24bの金属箔26bに接続された側の端部よりも管球部21から離れた位置で封止部22bの表面に配置されている。つまり、接着剤C2は、リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、電極24bと金属箔26bとが接続された接続部25bに重ならない位置に配置されている。接着剤C2は、例えば、シリカ系やアルミナ系の無機接着剤である。このような無機接着剤として、例えば、住友化学工業(株)の「スミセラム(登録商標)」を用いることができる。
【0057】
副鏡40は、発光管20を間に挟んでリフレクター30とは反対側、すなわちリフレクター30の端部30zが削除された側に配置されている。副鏡40は、第2の反射部としての反射部42と、固定部44とを有している。反射部42と固定部44とは、一体に形成されている。副鏡40は、例えば、硬質ガラスや石英ガラス等からなる。副鏡40の材料は、金属であってもよい。
【0058】
反射部42は、球体のうち照明光軸OCと略直交する方向におけるリフレクター30側の略1/2が削除された略半球形状を有している。反射部42は、管球部21のリフレクター30とは反対側を覆うように配置されている。反射部42は、管球部21に対向する内面側に反射面41を有している。反射部42は、反射面41において、管球部21から射出される光を管球部21(反射面31)へ向けて反射する。これにより、管球部21から副鏡40側に射出される光を照明光束として有効利用することができる。反射面41には、例えば、酸化タンタル(Ta25)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる反射層が形成されている。
【0059】
固定部44は、反射部42から封止部22aに沿って被照明領域側に延設されている。固定部44は、例えば、封止部22aにおける被照明領域側の端部の位置まで延設されている。固定部44は、照明光軸OCに沿って延在する略円筒形のうちリフレクター30側の略1/2が削除された形状を有している。したがって、固定部44が封止部22aにおける被照明領域側の端部の位置まで延設されていても、リフレクター30で反射され第2焦点位置に向かう光が固定部44で遮られることはない。固定部44と封止部22aとの間には接着剤C1が充填されており、接着剤C1によって発光管20と副鏡40とが互いに固着されている。
【0060】
接着剤C1は、電極24aの金属箔26aに接続された側の端部よりも管球部21から離れた位置で封止部22aの表面に配置されている。つまり、接着剤C1は、リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、電極24aと金属箔26aとが接続された接続部25aに重ならない位置に配置されている。接着剤C1としては、接着剤C2と同様に、シリカ系やアルミナ系の無機接着剤を用いることができる。
【0061】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、リフレクター30の一方側の端部30zが削除されているので、光源装置10を薄型化することができる。また、その一方で、管球部21のリフレクター30とは反対側を覆うように副鏡40が配置されており、発光管20から副鏡40側に射出される光を反射しリフレクター30側へ戻して有効利用できるので、リフレクター30の一方側が削除されたことによる輝度の低下が抑えられる。
【0062】
さらに、副鏡40の固定部44は、リフレクター30側の略1/2が削除された形状を有している。したがって、固定部44を封止部22aの端部の位置まで長くしても、管球部21から発せられリフレクター30で反射された光は副鏡40により遮られない。これにより、接着剤C1を配置する領域を広くして固着力を増大させることができる。また、接着剤C1の配置位置の設定における自由度を高めることができる。
【0063】
ところで、発光管20は管球部21で発光する際に発熱する。発光管20において、封止部22a,22b、電極24a,24b、および金属箔26a,26bは、それぞれ異なる材料からなるため、互いに異なる熱膨張率を有している。したがって、封止部22a内に電極24aと金属箔26aとが封止されている部分、および封止部22b内に電極24bと金属箔26bとが封止されている部分では、それらの熱膨張率の差に起因する応力がそれぞれで発生する。
【0064】
中でも、電極24aと金属箔26aとが固定された接続部25aに重なる部分では、封止部22a、電極24a、および金属箔26aの互いの熱膨張率の差に起因する応力により強い負荷がかかる。また、電極24bと金属箔26bとが固定された接続部25bに重なる部分でも、封止部22b、電極24b、および金属箔26bの互いの熱膨張率の差に起因する応力により強い負荷がかかる。
【0065】
一方、接着剤C1が配置された部分では、封止部22aの表面が接着剤C1で覆われることにより表面からの放熱が妨げられるとともに、封止部22aと接着剤C1との熱膨張率の差に起因する応力が発生する。また、接着剤C2が配置された部分でも、封止部22bの表面が接着剤C2で覆われることにより表面からの放熱が妨げられるとともに、封止部22bと接着剤C2との熱膨張率の差に起因する応力が発生する。
【0066】
そのため、仮に、リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、封止部22aにおいて接着剤C1が接続部25aに重なる位置に配置された場合、封止部22aの表面からの放熱が妨げられるとともに、これら異なる材料の熱膨張率の差に起因する応力が加えられてしまう。また、封止部22bにおいて接着剤C2が接続部25bに重なる位置に配置された場合も、封止部22bの表面からの放熱が妨げられるとともに、これら異なる材料の熱膨張率の差に起因する応力が加えられてしまう。そうすると、接続部25a,25bの位置に応力が集中してさらに強い負荷がかかり、発光管20(封止部22a,22b)の強度の低下を招くこととなる。
【0067】
第1の実施形態に係る光源装置10では、接着剤C1,C2が、それぞれ接続部25a,25bに重ならない位置で封止部22a,22bの表面に配置されている。換言すれば、封止部22a、電極24a、金属箔26a、および接着剤C1のすべてが照明光軸OCに沿った方向と直交する同一面内に共存することのないように配置されるとともに、封止部22b、電極24b、金属箔26b、および接着剤C2のすべてが照明光軸OCに沿った方向と直交する同一面内に共存することのないように配置されている。このため、封止部22a,22bのそれぞれにおけるこの部分での放熱が妨げられず、かつ、この部分への応力の集中が避けられる。これにより、発光管20(封止部22a,22b)の強度の低下が抑えられる。
【0068】
なお、接着剤C1,C2は金属箔26a,26bが封止されている部分と重なっているが、金属箔26a,26bはその厚さが極めて薄いため、封止部22a,22bと金属箔26a,26bとの熱膨張率の差に起因する応力の影響は、接続部25a,25bに重なる位置に比べてさほど問題とはならない。
【0069】
また、特許文献1に記載の光源装置の構成では、発光管の管球部(バルブ部)の照明光軸に沿った方向におけるリフレクター(主反射鏡)とは反対側が、副鏡の反射部(反射基部)で覆われている。そして、電極(電極軸)の終端よりも管球部から遠ざかる位置において、発光管の封止部と副鏡の固定部(筒部)との間に接着剤が配置されている。つまり、封止部における電極が位置する部分の全周が副鏡で覆われるとともに、電極に対して管球部とは反対側が接着剤で塞がれた状態となっている。そのため、管球部から発せられた熱が封止部と副鏡との間に籠って放熱され難く、電極と封止部との熱膨張率の差に起因する応力を増大させてしまうおそれがある。
【0070】
これに対して光源装置10では、副鏡40の固定部44がリフレクター30側の略1/2が削除された形状を有しているので、副鏡の固定部が筒状である場合に比べて、管球部21から発せられた熱が封止部22aと固定部44との間に籠らず放熱され易い。そのため、接続部25aの位置における熱膨張が抑えられるので、熱膨張率の差に起因する応力の増大が抑えられる。
【0071】
また、固定部44が封止部22aの被照明領域側端部の位置まで延設されているので、接着剤C1を配置できる範囲を広くすることができる。これにより、接着剤C1を発熱源である管球部21からより離れた位置に配置することや、接着剤C1を配置する領域を広くして発光管20と副鏡40との固着力を増大させることができる。
【0072】
なお、封止部22bにおいても、リフレクター30の基部34が略円筒形のうち副鏡40の側の略1/2が削除された形状を有しているので、封止部22bと基部34との間においても熱が籠らず放熱され易い。そのため、接続部25bの位置における熱膨張も抑えられる。
【0073】
<光源装置の製造方法>
次に、光源装置の製造方法について説明する。第1の実施形態に係る光源装置の製造方法は、発光管20、リフレクター30、および副鏡40をあらかじめ準備しておき、副鏡40を発光管20に固着し、発光管20をリフレクター30に固着する。ここでは、副鏡40の製造方法を、図3を参照して説明する。なお、発光管20およびリフレクター30は、公知の製造方法を用いて製造することができる。
【0074】
図3は、第1の実施形態に係る副鏡の製造方法を説明する図である。詳しくは、図3(a)〜図3(f)は、副鏡の製造工程における各工程を示す図であり、図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、実際の工程では切断するときに切りしろが発生するが、図3においては図示を省略している。
【0075】
(1.管状部材準備工程)
まず、図3(a)に示すように、管状部材50を準備する。管状部材50の内径寸法は、発光管20の封止部22aの外径寸法、および封止部22aと固定部44との間隙等に応じて適宜設定される。管状部材50の材料としては、硬質ガラスや石英ガラスを用いることができる。石英ガラスは、熱膨張率が低く内部歪が残らないためアニール処理をする必要がないので、管状部材50の材料として好適である。
【0076】
なお、軸50axは、管状部材50の断面の中心を通り、管状部材50の延在方向に沿った軸である。また、この段階では見た目上の差異はないものの、便宜上、管状部材50を軸50axを含む平面に沿って2分割した場合の一方の部材を50aとし、他方の部材を50bとする。ここでは、部材50aから副鏡40を製造する場合を例にとり説明するが、部材50bから同様にして副鏡40を製造してもよい。
【0077】
(2.膨張部形成工程)
次に、図3(b)に示すように、管状部材50を加熱して成形型(図示しない)に入れた後、不活性ガスにより内圧をかける。そして、管状部材50における一部の内面形状が反射部42に対応した所定の形状となるように膨張させて、膨張部52を形成する。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスや窒素ガスを好適に用いることができる。これにより、管状部材50は、部材50a側および部材50b側のそれぞれの側に、膨張部52と、膨張部52の両側に接続された一対の管状部51a,51bとを有する構成となる。
【0078】
(3.切断工程)
(3−1.第1切断工程)
次に、図3(c)に示すように、例えばスライサーを用いて、管状部材50の軸50axを含む平面に沿って切り込みX1を入れる。そして、管状部材50を、部材50aと部材50bとに分断する。これにより、膨張部52と一対の管状部51a,51bとを有する部材50a,50bが得られる。次の工程からは、部材50aに対して加工を行うこととする。
【0079】
(3−2.第2切断工程)
次に、図3(d)に示すように、部材50aにおける膨張部52と管状部51bとの接続部に、第1切断工程で切り込みX1が入れられた側あるいはその反対側から、管状部51bの延在方向と略直交する方向に切り込みX2を入れる。そして、部材50aを切り込みX2の位置で切断し管状部51bを分離する。また、同様に、部材50aにおける管状部51aの所定の位置に切り込みX3を入れて切断し、管状部51aの切り込みX3の位置よりも外側(膨張部52から離れた側)の部分を分離する。これにより、図3(e)に示すように、膨張部52と管状部54とで構成される基材50cが得られる。基材50cは、副鏡40の基材となる。膨張部52は副鏡40の反射部42となり、管状部54は副鏡40の固定部44となる。
【0080】
ここで、管状部51aに切り込みX3を入れる位置は、固定部44(管状部54)が発光管20の封止部22aの端部の位置まで延在するように(図2(b)参照)、封止部22aの長さに応じて適宜調整する。このように、管状部51aに切り込みX3を入れる位置を調整することで、固定部44の延在方向における長さを所望の長さに設定することができる。
【0081】
(4.反射層形成工程)
次に、図3(f)に示すように、基材50cの膨張部52(反射部42)の内面である反射面41に反射層を形成する。反射層としては、例えば、酸化タンタル(Ta25)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜からなる反射層を好適に用いることができる。反射層形成工程が終了すると、膨張部52に対応する反射部42と、管状部54に対応する固定部44とで構成される副鏡40が完成する。
【0082】
第1の実施形態に係る副鏡の製造方法によれば、第1切断工程における切り込みX1、および第2切断工程における切り込みX2,X3を入れる位置や角度等を適宜設定することにより、管状部材50から所望の形状および寸法の副鏡40を容易に得ることができる。
【0083】
なお、上述の副鏡の製造方法の切断工程において、第2切断工程を第1切断工程の前に行うようにしてもよい。すなわち、図3(b)に示す膨張部形成工程の後、管状部材50に図3(d)に示す切り込みX2,X3を入れて管状部51bおよび管状部51aを切断し、その後で図3(c)に示す切り込みX1を入れて部材50aと部材50bとに分断するようにしてもよい。
【0084】
副鏡40が完成した後、図2(b)に示すように、副鏡40の固定部44と封止部22aとの間に接着剤C1を配置することにより、副鏡40を発光管20に固着する。また、リフレクター30の基部34と封止部22bとの間に接着剤C2を配置することにより、発光管20をリフレクター30に固着する。このとき、接着剤C1,C2を、それぞれ接続部25a,25bに重ならない位置に配置する。なお、副鏡40と発光管20との固着、および発光管20とリフレクター30との固着は、どちらを先に行ってもよい。以上により、光源装置10が完成する。
【0085】
第1の実施形態に係る光源装置10の構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0086】
(1)副鏡40側の略1/2が削除された形状を有するリフレクター30に対して、リフレクター30側の略1/2が削除された形状を有する副鏡40が、発光管20を間に挟んで対向配置されている。このため、特許文献1に記載の光源装置の構成に比べて、光源装置10の輝度の低下を抑えつつ薄型化を図るとともに、発光管20から発せられた熱が籠りにくく放熱され易くなる。これにより、封止部22a,22b内に接続部25a,25bが位置する部分における熱膨張が抑えられるので、これらの熱膨張率の差に起因する応力の増大が抑えられる。
【0087】
(2)接着剤C1,C2が接続部25a,25bに重ならない位置に配置されているので、封止部22a,22bにおけるこの部分での放熱が接着剤C1,C2によって妨げられず、かつ、この部分への封止部22a,22b、電極24a,24b、および金属箔26a,26bの熱膨張率の差に起因する応力の集中が避けられる。
【0088】
(3)副鏡40がリフレクター30からの反射光を遮らないので、固定部44を封止部22aの端部まで延設することができる。これにより、接着剤C1を管球部21からより離れた位置に配置することや、接着剤C1を配置する領域を広くして発光管20と副鏡40との固着力を増大させることができる。
【0089】
これらにより、薄型で発光管20(封止部22a,22b)の強度低下が抑えられた信頼性の高い光源装置10、および光源装置10を備えた信頼性の高いプロジェクター1000を提供できる。なお、プロジェクター1000をいわゆる天吊り状態に配置する場合においては、各構成要素の重力方向における位置関係が反転するが、据え置き状態の場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0090】
(第2の実施形態)
<光源装置>
次に、第2の実施形態に係る光源装置について、図4を参照して説明する。第2の実施形態に係る光源装置は、第1の実施形態に係る光源装置に対して、副鏡の固定部の長さと接着剤の配置位置が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。
【0091】
図4は、第2の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図4は図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0092】
第2の実施形態に係る光源装置12は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40aと、接着剤C1,C2とを備えている。接着剤C2は、電極24bの金属箔26bに接続された側の端部よりも管球部21から離れた位置であって、かつ、リード線28bの金属箔26bに接続された側の端部よりも管球部21側の位置において封止部22bの表面に配置されている。つまり、接着剤C2は、リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、封止部22bにおける接続部25bと接続部27bとの間の部分に位置している。
【0093】
副鏡40aは、反射部42と固定部44aとを有している。固定部44aは、反射部42から封止部22aに沿って接続部27aの手前の位置まで延設されている。なお、副鏡40aは第1の実施形態に係る副鏡の製造方法と同様の方法で製造されるが、図3(d)に示す第2切断工程において切り込みX3を入れる位置が、封止部22aにおける接続部27aの位置に応じて調整されている。これにより、固定部44aの延在方向における長さは、第1の実施形態における固定部44の長さよりも短く設定されている。
【0094】
接着剤C1は、電極24aの金属箔26aに接続された側の端部よりも管球部21から離れた位置であって、かつ、リード線28aの金属箔26aに接続された側の端部よりも管球部21側の位置において封止部22aの表面に配置されている。つまり、接着剤C1は、リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、封止部22aにおける接続部25aと接続部27aとの間の部分に位置している。
【0095】
接続部27aにおいて封止部22a内で金属箔26aとリード線28aとが固定され、接続部27bにおいても封止部22b内で金属箔26bとリード線28bとが固定されている。したがって、リード線28a,28bの材料として、例えばタングステン等、金属箔26a,26bとは異なる材料を用いる場合、接続部27a,27bに重なる部分においても熱膨張率の差に起因する応力により強い負荷がかかる。
【0096】
第2の実施形態に係る光源装置12では、接着剤C1が接続部25aだけでなく接続部27aにも重ならない位置で封止部22aの表面に配置され、接着剤C2が接続部25bだけでなく接続部27bにも重ならない位置で封止部22bの表面に配置されている。このため、封止部22a,22bにおけるこれらの部分での放熱が接着剤C1,C2によって妨げられず、かつ、これらの部分への応力の集中が避けられる。これにより、発光管20(封止部22a,22b)の強度の低下がより抑えられる。
【0097】
なお、基部34が接続部27bよりも背面側の位置まで延設されており、接着剤C2が接続部27bよりも背面側に配置されていてもよい。同様に、固定部44aが封止部22aにおける被照明領域側の端部の位置まで延設されており、接着剤C1が接続部27aよりも被照明領域側に配置されていてもよい。このような構成においても、封止部22a,22bにおける接続部25a,25bおよび接続部27a,27bの部分での放熱が接着剤C1,C2によって妨げられず、かつ、これらの部分への応力の集中が避けられる。
【0098】
(第3の実施形態)
<光源装置>
次に、第3の実施形態に係る光源装置について、図5を参照して説明する。第3の実施形態に係る光源装置は、上記実施形態に係る光源装置に対して、副鏡の固定部が背面側に延設されている点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。
【0099】
図5は、第3の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図5は図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0100】
第3の実施形態に係る光源装置14は、発光管20と、リフレクター30と、副鏡40aと、接着剤C1,C2とを備えている。光源装置14では、副鏡40aは、固定部44aが反射部42の背面側、すなわち封止部22b側に位置するように配置されている。したがって、基部34と固定部44aとはともに管球部21よりも背面側に位置しており、接着剤C1と接着剤C2とはともに封止部22bの表面に配置されている。
【0101】
リフレクター30側から副鏡40側を見た平面視で、接着剤C1は接続部25bと接続部27bとの間に配置されており、接着剤C2は接着剤C1よりも管球部21から離れた位置に配置されている。つまり、接着剤C1と接着剤C2とは、ともに接続部25bに重ならない位置であって、かつ、互いに重ならない位置に配置されている。
【0102】
したがって、第3の実施形態に係る光源装置14では、封止部22bと接着剤C1との熱膨張率の差に起因する応力、および封止部22bと接着剤C2との熱膨張率の差に起因する応力が封止部22bの同じ部分に集中することが避けられるとともに、これらの応力のいずれも接続部25bの部分には集中しない。また、接着剤C1と接着剤C2とが互いに重なる位置に配置されることによる放熱の低下も避けられる。これにより、接着剤C1,C2がともに封止部22bの表面に配置されていても、発光管20(封止部22b)の強度の低下を抑えることができる。
【0103】
(第4の実施形態)
<光源装置>
次に、第4の実施形態に係る光源装置について、図6を参照して説明する。第4の実施形態に係る光源装置は、第3の実施形態に係る光源装置に対して、リフレクターが基部に接続された筒状部を有している点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。
【0104】
図6は、第4の実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。詳しくは、図6は図2(a)中のA−A’線に沿った断面に対応する断面図である。なお、上記実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0105】
第4の実施形態に係る光源装置16は、発光管20と、リフレクター30aと、副鏡40aと、接着剤C1,C2とを備えている。リフレクター30aは、反射部32と基部34と筒状部36とを有している。筒状部36は、基部34の背面側に接続されている。換言すれば、反射部32と筒状部36とが基部34により接続されている。筒状部36は、金属箔26bよりも管球部21から離れた位置、すなわち接続部27bよりも背面側に配置されており、封止部22bの外周の全周を覆っている。接着剤C2は、封止部22bと筒状部36との間に配置されている。
【0106】
第4の実施形態に係る光源装置16では、接着剤C1が接続部25bと接続部27bとの間に配置されており、接着剤C2が接続部27bよりも背面側に配置されている。つまり、接着剤C1と接着剤C2とは、ともに接続部25bおよび接続部27bのいずれにも重ならない位置であって、かつ互いに重ならない位置に配置されている。
【0107】
したがって、封止部22bと接着剤C1との熱膨張率の差に起因する応力、および封止部22bと接着剤C2との熱膨張率の差に起因する応力が封止部22bにおける同じ部分に集中することが避けられるとともに、これらの応力のいずれも接続部25bおよび接続部27bの部分には集中しない。これにより、発光管20(封止部22b)の強度の低下をより抑えることができる。
【0108】
また、接着剤C2が封止部22bの外周の全周に亘って筒状部36との間に配置されるので、上記実施形態に比べて、発光管20とリフレクター30aとをより確実に固着することができる。
【0109】
以上、本発明の光源装置およびプロジェクターを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0110】
(変形例1)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、光均一化光学系として第1レンズアレイおよび第2レンズアレイからなるレンズインテグレーター光学系を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。光均一化光学系として、例えば、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
【0111】
(変形例2)
上記実施形態におけるプロジェクターは透過型のプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、反射型のプロジェクターであってもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0112】
(変形例3)
上記実施形態におけるプロジェクターは3つの液晶装置を用いたプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、1つ、2つまたは4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクターにも適用することができる。
【0113】
(変形例4)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、電気光学変調装置として液晶装置を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0114】
(変形例5)
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクター、および、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用することが可能である。
【0115】
(変形例6)
上記実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の光源装置を、例えば、光ディスク装置等他の光学機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0116】
10,12,14,16…光源装置、20…発光管、21…管球部、22a,22b…一対の封止部、24a,24b…一対の電極、26a,26b…一対の導体箔としての金属箔、28a,28b…一対のリード線、30,30a…リフレクター、32…第1の反射部としての反射部、34…基部、40,40a…副鏡、42…第2の反射部としての反射部、44,44a…固定部、100…照明装置、400R,400G,400B…電気光学変調装置としての液晶装置、600…投写レンズ、1000…プロジェクター、C1…第1の接着剤としての接着剤、C2…第2の接着剤としての接着剤、OC…照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管球部と、前記管球部の両側に照明光軸に沿って延設された一対の封止部と、前記一対の封止部内にそれぞれ封止された一対の導体箔と、一端部同士が互いに対向するように前記管球部内に封入され他端部が前記一対の導体箔の前記管球部側に電気的に接続された一対の電極と、を有する発光管と、
所定の平面で切断したとき一方側が削除された形状を有し、前記管球部から射出される光を被照明領域側に反射する第1の反射部を有するリフレクターと、
前記発光管を間に挟んで前記リフレクターとは反対側に配置されており、前記管球部に対向配置された第2の反射部と、前記第2の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された固定部と、を有する副鏡と、
前記一方の前記封止部と前記固定部との間に配置され、前記発光管と前記副鏡とを固着する第1の接着剤と、を備え、
前記第1の接着剤は、前記一方の前記封止部側における前記電極の前記他端部よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記一対の導体箔における前記一対の電極が接続された側とは反対側に一端部がそれぞれ電気的に接続された一対のリード線をさらに備え、
前記第1の接着剤は、前記一方の前記封止部において、前記リード線の前記一端部よりも前記管球部側の位置、または前記導体箔よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置であって、
前記副鏡の前記固定部は、前記一方の前記封止部における端部の位置まで延設されていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置であって、
前記リフレクターは、前記第1の反射部から前記一対の封止部の一方に沿って延設された基部を有し、
前記一方の前記封止部と前記基部との間に配置され、前記発光管と前記リフレクターとを固着する第2の接着剤をさらに備え、
前記第2の接着剤は、前記一方の前記封止部における前記電極の前記他端部よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光源装置であって、
前記第2の接着剤は、前記第1の接着剤が配置された前記一方の前記封止部に配置されており、
前記第1の接着剤および前記第2の接着剤のいずれか一方は、他方よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光源装置であって、
前記第1の接着剤は、前記リード線の前記一端部よりも前記管球部側の位置に配置されており、
前記第2の接着剤は、前記導体箔よりも前記管球部から離れた位置に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光源装置を備える照明装置と、
前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置からの変調光を投写する投写レンズと、
を備えていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−181430(P2011−181430A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46283(P2010−46283)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】