説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】所望の方向に光を出射することができる光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置100は、第1の光を出射する発光素子と、第1の光L1により励起されて第2の光L2を発する第1蛍光発光部20aおよび第2蛍光発光部20bと、第1の光L1を透過させる窓部を有する第1筒状部30aと、第1筒状部30aの内側に配置された第2筒状部30bと、を含み、第1筒状部30aの内面34aと、第2筒状部30bの外面35bとは、対向し、第1蛍光発光部20aは、第1筒状部30aの内面34aに形成され、第2蛍光発光部20bは、第2筒状部30bの外面35bに形成され、第1筒状部30aの内面34aは、第1の光L1および第2の光L2を反射させる反射面であり、第2筒状部30bの外面35bは、第1の光L1を反射させる反射面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターや照明装置などの光源用の光源装置として、発光ダイオードや半導体レーザー等の発光素子を用いた光源装置が期待されている。例えば、特許文献1には、発光ダイオードが導光板の側面に配置された構造の光源装置において、発光ダイオードからの入射光を導光板内の蛍光体粒子に照射し、所定の波長光を出射する技術が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、蛍光体粒子からの波長光が発散してしまい、光の利用効率が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−16289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、所望の方向に光を出射することができる光源装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記光源装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光源装置は、
第1の光を出射する発光素子と、
前記第1の光により励起されて第2の光を発する第1蛍光発光部および第2蛍光発光部と、
前記第1の光を透過させる窓部を有する第1筒状部と、
前記第1筒状部の内側に配置された第2筒状部と、
を含み、
前記第1筒状部の内面と、前記第2筒状部の外面とは、対向し、
前記第1蛍光発光部は、前記第1筒状部の内面に形成され、
前記第2蛍光発光部は、前記第2筒状部の外面に形成され、
前記第1筒状部の内面は、前記第1の光および前記第2の光を反射させる反射面であり、
前記第2筒状部の外面は、前記第1の光を反射させる反射面である。
【0007】
このような光源装置によれば、第1蛍光発光部および第2蛍光発光部が発する第2の光を、第1筒状部の開口から外部に向けて出射することができる。すなわち、第2の光を、所望の方向に出射させることができる。
【0008】
本発明に係る光源装置において、
前記第1筒状部の内面の形状は、円柱面であり、
前記第1筒状部の内面の軸の方向から見て、前記第1筒状部の内面の形状は、円であり、
前記第2筒状部の外面の形状は、円柱面であり、
前記第2筒状部の外面の軸の方向から見て、前記第2筒状部の外面の形状は、円であり、
前記第1筒状部の内面の軸の方向と、前記第2筒状部の外面の軸の方向とは、同じであることができる。
【0009】
このような光源装置によれば、例えば、発光素子が、第1の光を第1筒状部の内面の軸に対して、垂直に入射させることで、第1の光を、第1筒状部の内面と第2筒状部の外面との間の空間に閉じ込めることができる。これにより、第1の光の利用効率を高めることができ、効率よく第1蛍光発光部および第2蛍光発光部を励起させることができる。
【0010】
本発明に係る光源装置において、
前記発光素子は、前記第1の光を前記第1筒状部の内面の軸に対して垂直に入射させることができる。
【0011】
このような光源装置によれば、第1の光を、第1筒状部の内面と第2筒状部の外面との間の空間に閉じ込めることができる。これにより、第1の光の利用効率を高めることができ、効率よく第1蛍光発光部および第2蛍光発光部を励起させることができる。
【0012】
本発明に係る光源装置において、
前記第2筒状部は、前記第2の光を透過させることができる。
【0013】
このような光源装置によれば、第1筒状部の開口から出射される第2の光の出射方向の光束の断面形状を円に近づけることができる。
【0014】
本発明に係る光源装置において、
前記第1筒状部の一方の開口に至る前記第2の光を反射させる鏡部を、さらに含むことができる。
【0015】
このような光源装置によれば、第1筒状部の一方の開口に至る第2の光を、鏡部で反射させることができる。したがって、第2の光を1つの方向に出射することができる。
【0016】
本発明に係る光源装置において、
前記鏡部の鏡面の形状は、楕円面であることができる。
【0017】
このような光源装置によれば、集束光を得ることができる。すなわち、利用効率の高い光を得ることができる。
【0018】
本発明に係る光源装置において、
前記第2の光を平行光に変換するためのレンズを、さらに含み、
前記鏡面は、
前記第1筒状部の一方の開口側の第1焦点と、
前記第1筒状部の他方の開口側の第2焦点と、
を有し、
前記レンズの前側焦点の位置は、前記第2焦点の位置と同じであることができる。
【0019】
このような光源装置によれば、効率良く平行光を得ることができる。
【0020】
本発明に係る光源装置において、
前記第1筒状部の内面から延出し、前記第1筒状部の他方の開口の一部を覆う延出部を、さらに含むことができる。
【0021】
このような光源装置によれば、第1筒状部の他方の開口において、第2の光が通過できる領域を狭めることができる。したがって、点光源化を図ることができる。
【0022】
本発明に係る光源装置において、
前記第1筒状部に形成された放熱部を、さらに含むことができる。
【0023】
このような光源装置によれば、第2の光を発する際に第1蛍光発光部に生じる熱や、第1の光が照射されることによって第1蛍光発光部に生じる熱を逃がすことができる。したがって、第1蛍光発光部の温度上昇を抑えることができ、第1蛍光発光部の波長変換効率を向上させることができる。
【0024】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る光源装置と、
前記光源装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0025】
このようなプロジェクターによれば、光源装置が所望の方向に光を出射することができるため、光の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る光源装置を模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る光源装置を模式的に示す斜視図。
【図3】本実施形態に係る光源装置を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る光源装置を模式的に示す平面図。
【図5】本実施形態の第1変形例に係る光源装置を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態の第1変形例に係る光源装置を模式的に示す図。
【図7】本実施形態の第2変形例に係る光源装置を模式的に示す図。
【図8】本実施形態係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
1. 光源装置
まず、本実施形態に係る光源装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る光源装置100を模式的に示す第2開口4側から見た斜視図である。図2は、光源装置100を模式的に示す第1開口2側から見た斜視図である。図3は、光源装置100を模式的に示す断面図である。図4は、光源装置100を模式的に示す平面図である。なお、図3は、図4のIII−III線断面図である。また、図3および図4では、便宜上、放熱部40の図示を省略している。
【0029】
光源装置100は、図1〜図4に示すように、発光素子10と、第1蛍光発光部20aと、第2蛍光発光部20bと、第1筒状部30aと、第2筒状部30bと、を含む。光源装置100は、さらに、放熱部40を含むことができる。
【0030】
発光素子10は、第1の光L1を出射する。図4に示すように、第1の光L1は、第1筒状部30aの窓部32を透過し、第2筒状部30bの外面35bに形成された第2蛍光発光部20bを照射する。第2蛍光発光部20bは、第1の光L1により励起されて第2の光L2を発する。第1の光L1のうちの第2蛍光発光部20bで励起に寄与しなかった光は、第2蛍光発光部20bを透過して、第2筒状部30bの外面35bで反射される。この第2筒状部30bの外面35bで反射された光は、第1蛍光発光部20aを照射し、第1蛍光発光部20aは、この光により励起されて第2の光L2を発する。すなわち、第1の光L1は、蛍光発光部20a,20bを励起させるための光であり、第2の光L2は、第1の光L1により励起された蛍光光である。第1の光L1のうちの励起に寄与しなかった光は、第1蛍光発光部20aを透過して、第1筒状部30aの内面34aで反射される。この第1筒状部30aの内面34aで反射された光は、再び、第2蛍光発光部20bを照射する。すなわち、第1の光L1のうちの励起に寄与しなかった光は、第1筒状部30aの内面34aと第2筒状部30bの外面35bとの間で反射を繰り返し、蛍光発光部20a,20bを繰り返し照射する。第1の光L1は、第1筒状部30aの内面34aにおける反射、第2筒状部30bの外面35bにおける反射、蛍光発光部20a,20bの励起を繰り返しながら、減衰していく。
【0031】
発光素子10としては、例えば、半導体レーザーを用いることができる。半導体レーザーは、他の光源と比べて、高いコヒーレンスを有する光を出射することができる。したがって、他の光源と比べて、第1の光L1の放射角を小さくすることができる。そのため、より第1筒状部30aの内面34aと第2筒状部30bの外面35bとの間の空間に第1の光L1を閉じ込めることができる。第1の光L1は、例えば、波長変換効率の良い青色光や近紫外光などの短波長の光である。なお、発光素子10としては、半導体レーザーに限定されず、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いてもよい。また、図示の例では、発光素子10は、1つだが、複数の発光素子10が形成されていてもよい。これにより、高輝度化を図ることができる。
【0032】
第1蛍光発光部20aは、第1筒状部30aの内面34aに形成されている。図示の例では、第1蛍光発光部20aは、第1筒状部30aの内面34aの一部に形成されているが、内面34aの全部に形成されていてもよい。
【0033】
第2蛍光発光部20bは、第2筒状部30bの外面35bに形成されている。図示の例では、第2蛍光発光部20bは、第2筒状部30bの外面35bの一部に形成されているが、外面35bの全部に形成されていてもよい。
【0034】
蛍光発光部20a,20bは、第1の光L1により励起されて第2の光L2を発する。第2の光L2は、第1筒状部30aの2つの開口(第1開口2および第2開口4)から外部に向けて出射される。第2の光L2は、直接、開口2,4から出射されてもよいし、第1筒状部30aの内面34aで反射された後、開口2,4から出射されてもよい。また、第2の光L2は、第2筒状部30bを透過して、開口2,4から出射されてもよい。開口2,4から出射された第2の光L2は、照明光として外部を照明する。蛍光発光部20a,20bは、例えば、第1の光L1により励起されて発光する発光体、および蛍光体を分散させるための樹脂またはガラスで構成されている。
【0035】
第2の光L2の色は、蛍光体を励起させる第1の光L1の色(波長)と、蛍光体の組成との組み合わせにより決定される。すなわち、第1の光L1の色(波長)に応じて蛍光体の組成を変えることで第2の光L2の色を制御することができる。蛍光体の組成の一例として、以下のものを挙げることができる。
【0036】
第1の光L1が青色の場合、第2の光L2が赤色となる蛍光体の組成の例としては、(Ca,Sr)Si:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSiN:Euを挙げることができる。第1の光L1が青色の場合、第2の光L2が緑色となる蛍光体の組成の例としては、ZnS:Cu,Al、SrGa:Eu、(Ba,Sr)SiO:Eu、SrAl:Eu、(Si,Al)(O,N):Euを挙げることができる。第1の光L1が青色の場合、第2の光L2が黄色となる蛍光体の組成の例としては、YAlO1:Ce(YAG系)、CaGa:Eu、SrSiO:Euを挙げることができる。
【0037】
第1の光L1が近紫外光の場合、第2の光L2が赤色となる蛍光体の組成の例としては、YS:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mnを挙げることができる。第1の光L1が近紫外光の場合、第2の光L2が青緑色となる蛍光体の組成の例としては、BaMgAl1017:Eu,Mn、LaAl(SiAl)O:Ceを挙げることができる。第1の光L1が近紫外光の場合、第2の光L2が青色となる蛍光体の組成の例としては、(Ca,Sr)(POCl:Eu、Sr:Eu、BaMgAl1017:Euを挙げることができる。
【0038】
また、上述した組成の蛍光体を混合して蛍光発光部20a,20bを形成することにより、複数の色の蛍光光を発光させて、所望の色の光を得てもよい。例えば、第1の光L1が近紫外光の場合、蛍光光が赤色となる蛍光体、蛍光光が青色となる蛍光体、および蛍光光が緑色となる蛍光体を所定の割合で混合して蛍光発光部20a,20bを形成することにより、白色の光を得ることができる。
【0039】
第1筒状部30aは、第1の光L1を透過させる窓部32を有している。窓部32は、発光素子10から出射された第1の光L1を第1筒状部30aの内側(内面34aで区画された空間)に導くことができる。窓部32の材質は、例えば、第1の光L1を透過させるダイクロイックミラー等である。窓部32は、例えば、第1筒状部30aを貫通する孔、又は透明ガラスであってもよい。第1筒状部30aの内面34aは、第1の光L1および第2の光L2を反射させる反射面である。
【0040】
第1筒状部30aの内側には、第1筒状部30aの内面34aで区画される空間があり、当該空間は、第1筒状部30aの一方の開口(第1開口)2から他方の開口(第2開口)4まで延びている。第1筒状部30aの内面34aの形状は、円柱面である。ここで、円柱面とは、空間内の定直線に平行しつつ、当該定直線と同一平面上にない与えられた円周を通過して運動する直線がつくる曲面をいう。図4に示すように、第1筒状部30aの内面34aの軸(円柱面の軸)Aの方向(図示の例では、Z方向)から見た第1筒状部30aの内面34aの形状は、円である。言い換えると、第1筒状部30aの内面34aの軸Aに対して垂直な平面(図示の例では、X−Y平面)における第1筒状部30aの内面34aの形状は、円である。ここで、円柱面の軸とは、円周の中心を通り、上述の定直線に平行な直線をいう。
【0041】
第1筒状部30aの材質としては、例えば、アルミなどの金属、樹脂、ガラスなどを用いることができる。第1筒状部30aの材質として、特に、アルミ等の金属は、第1蛍光発光部20aに生じる熱を逃がすことができるので好ましい。第1筒状部30aの内面34aは、例えば、鏡面加工により形成される。また、例えば、アルミニウムや銀などを蒸着することにより形成される。これにより、第1筒状部30aの内面34aを反射面とすることができる。図示の例では、第1筒状部30aの内面34aの全部が反射面であるが、例えば、第1の光L1の光路にあたる内面34aの領域のみが反射面であってもよい。
【0042】
第2筒状部30bは、第1筒状部30aの内側に配置されている。第2筒状部30bは、例えば、支持部(図示しない)によって、第1筒状部30aの内側に支持されている。第1筒状部30aの内面34aと、第2筒状部30bの外面35bとは、対向している。第2筒状部30bの外面35bには、第2蛍光発光部20bが形成されている。第2筒状部30bの外面35bは、第1の光L1を反射させる反射面である。第2筒状部30bの外面35bは、第2の光L2を透過させる。第2筒状部30bは、例えば、第1の光L1を反射し、第2の光L2を透過させるダイクロイックミラーである。
【0043】
なお、第2筒状部30bは、例えば、第2の光L2を透過させなくてもよい。例えば、第2筒状部30bは、第2の光L2を反射させてもよい。
【0044】
第2筒状部30bの外面35bの形状は、円柱面である。図4に示すように、第2筒状部30bの外面35bの軸(円柱面の軸)Bの方向(図示の例では、Z方向)から見た第2筒状部30bの外面35bの形状は、円である。言い換えると、第2筒状部30bの外面35bの軸Bに対して垂直な平面(図示の例では、X−Y平面)における第2筒状部30bの外面35bの形状は、円である。第1筒状部30aの内面34aの軸Aの方向と、第2筒状部30bの外面35bの軸Bの方向とは、同じ方向である。図示の例では、第1筒状部30aの内面34aの軸Aと、第2筒状部30bの外面35bの軸Bとは、一致している。すなわち、第1筒状部30aの内面34aと、第2筒状部30bの外面35bとは、円柱面の軸Aの方向から見て、同心円状である。
【0045】
発光素子10は、第1の光L1を軸Aに対して垂直に入射させる。軸Aの方向と軸Bの方向とは、同じであるため、第1の光L1は、軸Bに対しても垂直に入射する。そのため、第1の光L1を、第1筒状部30aの内側において、軸A(軸B)に対して垂直な平面(図示の例では、X−Y平面)内に位置させることができる。したがって、第1の光L1が第1筒状部30aの内面34aと第2筒状部30bの外面35bとの間で反射を繰り返しても、第1の光L1を、第1筒状部30aの内面34aと第2筒状部30bの外面35bとの間の空間に閉じ込めることができる。なお、軸A(軸B)の方向(図示の例では、Z方向)から見て、第1の光L1の第1筒状部30aの内面34aに対する入射角、および第1の光L1の第2筒状部30bの外面35bに対する入射角は、第1の光L1が蛍光発光部20a、20bを局所的に照射しないように、0度でないことが望ましい。
【0046】
放熱部40は、第1筒状部30aに形成されている。放熱部40は、第2の光L2を発する際に第1蛍光発光部20aに生じる熱や、第1の光L1が照射されることによって第1蛍光発光部20aに生じる熱を逃がすことができる。さらに、放熱部40は、発光素子10の放熱を兼ねていてもよい。放熱部40は、例えば、金属で形成された板である。放熱部40の形状は、特に限定されない。放熱部40の排熱の方法は、特に限定されず、例えば、空冷、液冷、ペルティエ素子を用いた冷却などが挙げられる。
【0047】
光源装置100は、例えば、ディスプレイ、照明装置、後述するプロジェクターなどの光源に適用されることができる。
【0048】
光源装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0049】
光源装置100によれば、上述のように、蛍光発光部20a,20bが発する第2の光L2を、第1筒状部30aの開口2,4から外部に向けて出射することができる。すなわち、光源装置100では、第2の光L2を、所望の方向に出射することができる。
【0050】
光源装置100では、上述のとおり、第1の光L1を、第1筒状部30aの内面34aと第2筒状部30bの外面35bとの間の空間に閉じ込めることができる。これにより、第1の光L1の利用効率を高めることができ、より効率よく蛍光発光部20a,20bを励起させることができる。さらに、第1の光L1としてコヒーレント光(レーザー光)を用いても、第1の光L1が外部を照射しないため、安全である。
【0051】
光源装置100では、第2筒状部30bは、第2の光L1を透過させることができる。そのため、第1筒状部30aの開口2,4から出射される第2の光L2の出射方向の光束の断面形状を円に近づけることができる。
【0052】
光源装置100では、第1筒状部30aに形成された放熱部40を有している。そのため、第2の光L2を発する際に第1蛍光発光部20aに生じる熱や、第1の光L1が照射されることによって第1蛍光発光部20aに生じる熱を逃がすことができる。したがって、第1蛍光発光部20aの温度上昇を抑えることができ、第1蛍光発光部20aの波長変換効率を向上させることができる。
【0053】
2. 光源装置の変形例
2.1. 第1変形例に係る光源装置
次に、本実施形態の第1変形例に係る光源装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態の第1変形例に係る光源装置200を模式的に示す断面図である。図6は、光源装置200を模式的に示す図である。なお、図5では、便宜上、放熱部40の図示を省略している。以下、本実施形態の第1変形例に係る光源装置200において、本実施形態に係る光源装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
光源装置200は、図5に示すように、鏡部210と、延出部220と、を有する。
【0055】
鏡部210は、第1開口2に至る第2の光L2を反射させる。鏡部210で反射された第2の光L2は、第2開口4に向かって進行する。したがって、光源装置200では、第2の光L2を第2開口4からのみ出射することができる。第2筒状部30bは、図5に示すように、鏡部210と接していてもよい。第2筒状部30bは、例えば、鏡部210によって支持されていてもよい。
【0056】
鏡部210の鏡面(光を反射させる面)212の形状は、図示の例では、楕円面(回転楕円面)である。鏡面212は、第1開口2側の第1焦点f1と、第2開口4側の第2焦点f2と、を有する。光源装置200では、鏡面212の形状が楕円面であるため、第1焦点f1の位置を通って、鏡面212で反射された第2の光L2を、第2焦点f2の位置に集束させることができる。
【0057】
延出部220は、第1筒状部30aの内面34aから延出して、第2開口4の一部を覆っている。これにより、第2開口4において、第2の光L2が通過できる領域を狭めることができる。延出部220は、例えば、第2の光L2を反射させてもよい。これにより、第1焦点f1の位置を通って鏡面212で反射される第2の光L2の量を、増やすことができる。したがって、第2焦点f2の位置に集束する光の量を増やすことができる。
【0058】
図6に示すように、光源装置200は、さらに、レンズ(第1レンズ230、第2レンズ232、第3レンズ234)を有している。
【0059】
第1レンズ230は、第2開口4から出射される第2の光L2を平行光に変換するためのレンズである。第1レンズ230の前側焦点ffの位置は、鏡面212の第2焦点f2の位置と同じである。すなわち、第1レンズ230は、第2焦点f2に集束された第2の光L2を平行光に変換することができる。
【0060】
第2レンズ232は、第1レンズ230から射出された光を集束させるためのレンズである。第2レンズ232で集束された光は、第3レンズ234に入射する。
【0061】
第3レンズ234は、第2レンズ232から射出された光を、平行光に変換することができる。第1〜第3レンズ230,232,234により、例えば、所望のビーム径を有する平行光を得ることができる。第1〜第3レンズ230,232,234は、例えば、凸レンズである。
【0062】
光源装置200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0063】
光源装置200では、第1開口2に至る第2の光L2を反射させる鏡部210を有する。したがって、第2の光L2を第2開口4からのみ出射させることができる。すなわち、光源装置200によれば、第2の光L2を、1つの方向に出射することができる。
【0064】
さらに、光源装置200では、鏡部210の鏡面212の形状が楕円面である。これにより、第1焦点f1の位置を通って、鏡面212で反射された第2の光L2を、第2焦点f2の位置に集束させることができる。すなわち、光源装置200によれば、第2焦点f2の位置に集束させた集束光を得ることができる。このように、光源装置200によれば、利用効率の高い光を得ることができる。
【0065】
光源装置200では、第1筒状部30aの内面34aから延出して、第2開口4の一部を覆う延出部220を有する。これにより、第2開口4において、第2の光L2が通過できる領域を狭めることができる。したがって、光源装置200によれば、点光源化を図ることができる。
【0066】
光源装置200によれば、第1レンズ230を有しているため、第2焦点f2の位置に集束された第2の光L2を用いて、効率良く平行光を得ることができる。例えば、散乱光を平行光に変換する場合、光の利用効率が悪かったり、平行光に変換するためのレンズの設計が複雑になったりする。光源装置200によれば、このような問題が生じないため、効率よく平行光を得ることができる。
【0067】
2.2. 第2変形例に係る光源装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る光源装置について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の第2変形例に係る光源装置300を模式的に示す断面図である。以下、本実施形態の第2変形例に係る光源装置300において、第1変形例に係る光源装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0068】
光源装置200の例では、図5に示すように、鏡部210の鏡面212の形状は、楕円面(回転楕円面)であった。光源装置300では、鏡部210の鏡面212の形状は、放物面(回転放物面)である。このため、光源装置300では、鏡面212の第3焦点f3を通って、鏡面212で反射された第2の光L2を、平行光として外部に向けて出射することができる。
【0069】
3. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係るプロジェクター1000を模式的に示す図である。なお、図8では、便宜上、プロジェクター1000を構成する筐体は省略している。
【0070】
プロジェクター1000は、図8に示すように、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R,緑色光源100G、青色光源100Bを有する。
【0071】
赤色光源100Rとしては、赤色光を発する(第2の光L2が赤色となる)蛍光発光部20a,20bを備えた、本発明に係る光源装置(以下の例では、光源装置100)を用いることができる。緑色光源100Gとしては、緑色光を発する(第2の光L2が緑色となる)蛍光発光部20a,20bを備えた光源装置100を用いることができる。青色光源100Bとしては、青色の光を出射する発光素子を用いてもよいし、発光素子から出射された近紫外光(第1の光L1)によって、青色光を発する(第2の光L2が青色となる)蛍光発光部20a,20bを備えた光源装置100を用いてもよい。
【0072】
プロジェクター1000は、光源100R,100G,100Bから出射された光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)1004R,1004G,1004Bと、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって形成された像を拡大してスクリーン(表示面)1010に投射する投射レンズ(投射装置)1008と、を備えている。また、プロジェクター1000は、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bから出射された光を合成して投写レンズ1008に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)1006を備えていることができる。
【0073】
さらに、プロジェクター1000は、光源100R,100G,100Bから出射された光の照度分布を均一化させるため、各光源100R,100G,100Bよりも光路下流側に、均一化光学系1002R,1002G,1002Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bを照明している。均一化光学系1002R,1002G、1002Bは、例えば、ホログラム1002aおよびフィールドレンズ1002bによって構成される。
【0074】
各液晶ライトバルブ1004R,1004G,1004Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム1006に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ1008によりスクリーン1010上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0075】
プロジェクター1000によれば、上述のように、所望の方向に光を出射させることができる光源装置100を有することができる。そのため、プロジェクター1000では、光の利用効率を向上させることができる。
【0076】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0077】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0078】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0079】
2 第1開口、4 第2開口、10 発光素子、20a 第1蛍光発光部、
20b 第2蛍光発光部、30a 第1筒状部、30b 第2筒状部、32 窓部、
34a 内面、35b 外面、40 放熱部、100,200 光源装置、
210 鏡部、212 鏡面、220 延出部、230 第1レンズ、
232 第2レンズ、234 第3レンズ、1000 プロジェクター、
1002 均一化光学系、1002a ホログラム、1002b フィールドレンズ、
1004 液晶ライトバルブ、1006 クロスダイクロイックプリズム、
1008 投写レンズ、1010 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する発光素子と、
前記第1の光により励起されて第2の光を発する第1蛍光発光部および第2蛍光発光部と、
前記第1の光を透過させる窓部を有する第1筒状部と、
前記第1筒状部の内側に配置された第2筒状部と、
を含み、
前記第1筒状部の内面と、前記第2筒状部の外面とは、対向し、
前記第1蛍光発光部は、前記第1筒状部の内面に形成され、
前記第2蛍光発光部は、前記第2筒状部の外面に形成され、
前記第1筒状部の内面は、前記第1の光および前記第2の光を反射させる反射面であり、
前記第2筒状部の外面は、前記第1の光を反射させる反射面である、光源装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1筒状部の内面の形状は、円柱面であり、
前記第1筒状部の内面の軸の方向から見て、前記第1筒状部の内面の形状は、円であり、
前記第2筒状部の外面の形状は、円柱面であり、
前記第2筒状部の外面の軸の方向から見て、前記第2筒状部の外面の形状は、円であり、
前記第1筒状部の内面の軸の方向と、前記第2筒状部の外面の軸の方向とは、同じである、光源装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記発光素子は、前記第1の光を前記第1筒状部の内面の軸に対して垂直に入射させる、光源装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第2筒状部は、前記第2の光を透過させる、光源装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1筒状部の一方の開口に至る前記第2の光を反射させる鏡部を、さらに含む、光源装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記鏡部の鏡面の形状は、楕円面である、光源装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の光を平行光に変換するためのレンズを、さらに含み、
前記鏡面は、
前記第1筒状部の一方の開口側の第1焦点と、
前記第1筒状部の他方の開口側の第2焦点と、
を有し、
前記レンズの前側焦点の位置は、前記第2焦点の位置と同じである、光源装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項において、
前記第1筒状部の内面から延出し、前記第1筒状部の他方の開口の一部を覆う延出部を、さらに含む、光源装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、
前記第1筒状部に形成された放熱部を、さらに含む、光源装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−253750(P2011−253750A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127588(P2010−127588)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】