説明

光源装置および投影装置

【課題】フィルタの性能を維持しながら、光源の温度上昇を抑制すること。
【解決手段】光源装置は、光源部111およびフィルタ112を有する。光源部111は、後段の光学系に対して光を照射する。フィルタ112は、光源部111が発した入射光に含まれる紫外光および赤外光を反射し、紫外光および赤外光以外の光を透過する。フィルタ112は、紫外光および赤外光を含む反射光が当該フィルタ112よりも光源部111側へ向かい、反射光が光源部に照射されないように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を出射する光源装置、および、そのような光源装置を備えた投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンに画像を投影する投射型の投影装置が利用されている。投影装置は、光源を有する。投影装置は、光源からの光をR(Red)、G(Green)、B(Blue)の各成分の光に分離し、液晶パネルを介して各成分の光を合成する。投影装置は、合成した光を拡大して出射し、スクリーンに画像を投影する。
【0003】
ここで、投影装置では高強度の光源が用いられ、装置筐体内の各部位に照射される紫外線や赤外線の強度も大きい。しかし、投影装置に用いられる光学部品(偏光板や液晶パネルなど)は、赤外線の熱や紫外線の影響で劣化するおそれがある。
【0004】
そこで、光路に紫外線や赤外線を反射するフィルタを設け、後段の光学系に入射する紫外線や赤外線を減衰させる提案がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−171900号公報
【特許文献2】特開2009−169080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高強度の光源は発熱量も大きい。このため、光源に対する熱の影響が問題となる。例えば、上記フィルタで反射した赤外線が光源へ入射すると、光源が高温となり破損するおそれがある。そこで、フィルタで反射した赤外線が光源へ照射されないよう、フィルタの反射面を光軸に対して傾けて配設することが考えられる。
【0007】
一方、フィルタには所望の波長域の光を反射するよう反射材の膜が所定の厚さで形成される。フィルタを光軸に対して傾けると、フィルタに形成された反射材の膜厚が光の入射方向に対して変化する。このため、フィルタで反射する波長域が変化して、フィルタによる紫外光域や赤外光域の減衰効果が低減するという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、フィルタの性能を維持しながら、光源の温度上昇を抑制する光源装置および投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では上記課題を解決するために、光源装置が提供される。この光源装置は、光源部と、光源部が発した入射光に含まれる紫外光および赤外光を反射し、紫外光および赤外光以外の光を透過するフィルタと、を有する。フィルタは、紫外光および赤外光を含む反射光が当該フィルタよりも光源部側へ向かい、反射光が光源部に照射されないように設けられる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、上記光源装置と同様の構成を有する投影装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記光源装置および投影装置によれば、フィルタの性能を維持しながら、光源の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の投影装置の全体構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の分離合成光学系の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態のフィルタの構造を示す図である。
【図4】第1の実施の形態の光源装置を示す図である。
【図5】光源装置の第1の比較例を示す図である。
【図6】光源装置の第2の比較例を示す図である。
【図7】透過光の比較例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の光源装置の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態のフィルタ保持部材を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の光源装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の投影装置の全体構成を示す図である。投影装置100は、反射型液晶パネルによりRGBに分離した各光の空間変調を行う。投影装置100は、例えば、スクリーンの前面からスクリーンへ画像を投影するプロジェクタである。
【0014】
投影装置100は、光源装置110、レンズ120,160、フライアイレンズ130,140、偏光変換素子150、分離合成光学系170および投射光学系180を有する。
【0015】
光源装置110は、投影装置100の光源である。光源装置110は、後段の光学系に対して光を照射する光源部111、フィルタ112および吸収体113を有する。光源部111は、発光部111aおよび集光ミラー111bを有する。
【0016】
発光部111aは、白色光を放射する。発光部111aとして、例えば高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどのHID(High Intensity Discharge)ランプを利用できる。
【0017】
集光ミラー111bは、発光部111aが放射した光をレンズ120へ向けて集光する。集光ミラー111bには、例えば、楕円面鏡、または、放物面鏡を使用できる。
【0018】
フィルタ112は、光源部111側から入射した入射光のうち、紫外光および赤外光を反射し、紫外光および赤外光以外の光を透過する。フィルタ112は、紫外光および赤外光を含む反射光がフィルタ112よりも光源部111側へ向かい、反射光が光源部111に照射されないように設けられる。
【0019】
吸収体113は、フィルタ112からの反射光を吸収する。吸収体113は、例えばファン(図示せず)による送風を受けて冷却されてもよい。
【0020】
レンズ120,160は、光の進行方向を揃えるためのレンズである。レンズ120は、フィルタ112を透過して入射した光を平行光に揃える。レンズ160は、分離合成光学系170の所定位置に光を集束させる。
【0021】
フライアイレンズ130,140は、照度ムラを解消するためのレンズである。
【0022】
偏光変換素子150は、入射光の偏光軸を所定方向に揃える。例えば、P(Parallel)偏光以外の光をP偏光に変換する。
【0023】
分離合成光学系170は、レンズ160からの光をRGBに分離し、各光を液晶パネルで空間変調した後に合成して、その出射光により画像を形成する。分離合成光学系170の詳細は後述する。
【0024】
投射光学系180は、分離合成光学系170からの出射光を拡大してスクリーン(図示せず)へ投射する。
【0025】
なお、上記の例ではフィルタ112を光源部111の直後に設ける場合を例示したが、他の光学部品の後段に設けてもよい。例えば、レンズ120とフライアイレンズ130との間に設けてもよい。
【0026】
図2は、第1の実施の形態の分離合成光学系の構成を示す図である。分離合成光学系170は、ダイクロイックミラー171,171a,171b、反射ミラー172,172a、レンズ173,173a,173b、反射型偏光板174,174a,174b、反射型液晶パネル175,175a,175b、偏光板176、176a,176bおよび光合成プリズム177を有する。
【0027】
ダイクロイックミラー171,171a,171bは、RGBの各光をその波長帯域により選択して反射する。ダイクロイックミラー171は、RG光を反射ミラー172の方向へ反射する。ダイクロイックミラー171aは、G光をレンズ173aの方向へ反射し、R光をレンズ173の方向へ透過させる。ダイクロイックミラー171bは、B光を反射ミラー172aの方向へ反射する。
【0028】
反射ミラー172,172aは、入射した光を反射する。反射ミラー172は、ダイクロイックミラー171からのRG光をダイクロイックミラー171aの方向へ反射する。反射ミラー172aは、ダイクロイックミラー171bからのB光をレンズ173bの方向へ反射する。
【0029】
レンズ173,173a,173bは、RGBの各光を反射型液晶パネル175,175a,175bの全面へ向けて照射する。
【0030】
反射型偏光板174,174a,174bは、レンズ173,173a,173bからの光につき偏光軸が所定方向の光のみを透過し、偏光軸がそれ以外の方向の光は反射する。
【0031】
例えば、偏光変換素子150でP偏光に変換されている場合、反射型偏光板174,174a,174bは、P偏光の光を透過し、S(Senkrecht)偏光の光を反射する。
【0032】
その場合、反射型偏光板174は、レンズ173からのP偏光のR光を反射型液晶パネル175の方向へ透過させる。反射型偏光板174aは、レンズ173aからのP偏光のG光を反射型液晶パネル175aの方向へ透過させる。反射型偏光板174bは、レンズ173bからのP偏光のB光を反射型液晶パネル175bの方向へ透過させる。
【0033】
また、反射型偏光板174は、反射型液晶パネル175からのS偏光のR光を合成プリズム177の光入射面177aへ向けて反射する。反射型偏光板174aは、反射型液晶パネル175aからのS偏光のG光を合成プリズム177の光入射面177bへ向けて反射する。反射型偏光板174bは、反射型液晶パネル175bからのS偏光のB光を合成プリズム177の光入射面177cへ向けて反射する。
【0034】
更に、反射型偏光板174,174a,174bは、反射型液晶パネル175,175a,175bからのP偏光の光をレンズ173,173a,173bの方向へ透過させる。
【0035】
偏光板176,176a,176bは、その偏光軸が反射型液晶パネル175,175a,175bによる空間変調後の偏光軸と同一方向である偏光子を備えている。例えば、反射型液晶パネル175,175a,175bにおいて、P偏光がS偏光へ変換される場合、偏光板176,176a,176bの偏光軸はS方向である。このように、光合成プリズム177の直前に偏光板176,176a,176bを設けることで、例えば反射型偏光板174,174a,174bでP偏光であるにも関わらず反射された微量の光を遮蔽できる。これにより、コントラスト性能を向上することができる。
【0036】
光合成プリズム177は、その光入射面177a,177b,177cから入射したRGB光を合成して、光出射面177dより投射光学系180へ向けて出射する。
【0037】
図3は、第1の実施の形態のフィルタの構造を示す図である。(A)は、第1の例を示している。(B)は、第2の例を示している。フィルタ112は、基板層112a、赤外線反射層112bおよび紫外線反射層112cを有する。
【0038】
基板層112aは、透明基板である。基板層112aには耐熱性や耐腐食性を考慮した部材が選択される。基板層112aには、例えば、パイレックス(コーニングインコーポレイテッドの登録商標)ガラスを用いることができる。
【0039】
赤外線反射層112bは、赤外線を反射させ、それ以外の光を透過させる多層膜層である。紫外線反射層112cは、紫外線を反射させ、それ以外の光を透過させる多層膜層である。赤外線反射層112bおよび紫外線反射層112cは、例えば、誘電体薄膜を複数層積層して形成される。誘電体材料としては、例えば、MgF2,CaF2,SiO2,TiO2などを用いることができる。赤外線反射層112bは、赤外光の波長域の光を反射できるよう、誘電体薄膜の層が所定の厚さで形成されている。同様に、紫外線反射層112cは、紫外光の波長域の光を反射できるよう、誘電体薄膜の層が所定の厚さで形成されている。これら薄膜の厚さは、一般に、光がフィルタの透過面に垂直に入射した際に、所定の波長域の光を反射できるよう決定される。
【0040】
ここで、図3(A)では、基板層112aに対して、紫外線反射層112cが基板層112aの光入射面側または光出射面側であり、赤外線反射層112bがそれとは反対側の側面に積層された場合を例示している。何れの層を光入射面側、光出射面側にするかは任意に決定できる。また、図3(B)では、基板層112aの光入射面側に、赤外線反射層112bおよび紫外線反射層112cが積層された場合を例示している。なお、紫外線反射層112cを赤外線反射層112bと基板層112aとの間に設けてもよい。また、基板層112aの光出射面側に赤外線反射層112bおよび紫外線反射層112cを設けてもよい。
【0041】
図4は、第1の実施の形態の光源装置を示す図である。フィルタ112は、光軸A1に対して所定の角度Z1だけ傾けて設けられている。ここで、光軸A2は、フィルタ112が反射した反射光の光軸である。フィルタ112の傾け角度Z1は、光軸A1に垂直な平面と、フィルタ112の光が入射する面とのなす角で表される。傾け角度Z1は、次の(1)、(2)の要件を満たす角度として決定される。
【0042】
(1)光源部111に反射光が照射されない角度である。
(2)反射光がフィルタ112よりも光源部111側へ向かう角度である。
【0043】
ここで、以下の説明において光源部111の幅をL1とする。また、光源部111から、集光ミラー111bの焦点F2までの距離をL2とする。ここで、焦点F2は、焦点F1にある光源から発せられた光が、集光ミラー111bの楕円面で反射して略集束する点である。更に、光源部111とフィルタ112との間の距離をL3とする。
【0044】
例えば、幅L1=約4.8cmであり、距離L2=約5.4cmである場合を考える。この場合、投影装置100にフィルタ112を距離L3=約4.8cmで傾け角度Z1=約25度となるように配設する。これにより、上記(1)、(2)の要件を満たすことができる。
【0045】
図5は、光源装置の第1の比較例を示す図である。フィルタ201は、フィルタ112に代えて投影装置100に設けられる。フィルタ201は、フィルタ112に対応するものであり、フィルタ112と同様、赤外光や紫外光を反射し、それ以外の光を透過する。フィルタ201自体の構造はフィルタ112と同一であるとする。
【0046】
フィルタ201は、光軸に対して垂直に設けられている。フィルタ201が光軸に対して垂直に設けられている場合は、傾け角度0度の場合に対応する。
【0047】
この場合、フィルタ201で反射した反射光は光源部111に向かい、発光部111aに反射光が照射されてしまう。また、集光ミラー111bで更に反射光が反射されて発光部111aに照射される可能性もある。すなわち、図4の説明中(1)で示した要件を満たしていない。このため、発光部111aが赤外光の影響で高温となり、破損するおそれがある。この問題は、発光部111aの光強度が増大するほど顕著となる。
【0048】
これに対し、フィルタ112は、図4の説明中(1)で示したように光源部111に反射光が照射されない角度で設けられる。このため、発光部111aに対する反射光の熱の影響を低減できる。
【0049】
図6は、光源装置の第2の比較例を示す図である。フィルタ202は、フィルタ112に代えて投影装置100に設けられる。フィルタ202は、フィルタ112に対応するものであり、フィルタ112と同様、赤外光や紫外光を反射し、それ以外の光を透過する。フィルタ201自体の構造は、フィルタ112と同一であるとする。
【0050】
フィルタ202は、傾け角度45度で設けられている。傾け角度45度は、図4の説明中(2)で示した要件を満たしていない。具体的には、フィルタ202の反射光の一部がフィルタ112よりも後ろ(光源部111とは反対の方向)へ向かっている。図6ではフィルタ112よりも後ろへ向かう光路の例として、光路B1が示されている。
【0051】
このように傾け角度を大きくとった場合、光の入射方向に対するフィルタ202の膜厚が、フィルタ201のように光軸に対して垂直に設けた場合よりも大幅に厚くなる。このため、フィルタ202による赤外光や紫外光の反射性能が大幅に低減する。フィルタ202を透過した紫外光や赤外光は、熱などによって後段の各種レンズなどの光学部品を劣化させ、投影装置100の性能を低下させる要因となる。特に、紫外光はフィルタ202の傾け角度の影響を受け易く、後段の光学系への透過量が大きくなる可能性がある。
【0052】
また、例えば光路B1の反射光が吸収体113で更に反射されると、この再反射光が後段の光学系へ到達するおそれもある。このため、当該再反射光による光学部品の劣化も問題となる。更に、吸収体113で反射された光がフィルタ202により光源部111側に反射されて、発光部111aを直接熱してしまうおそれもある。
【0053】
次に、フィルタ112およびフィルタ202を透過する透過光を比較する。
図7は、透過光の比較例を示す図である。グラフ300は、フィルタ112,202を透過した透過光のスペクトルを比較するものである。グラフ300には横軸に波長(nm)、縦軸にフィルタ112,202を透過した光の割合を示す透過率が示されている。更に、グラフ300には、スペクトル310,320が示されている。スペクトル310は、フィルタ112の透過光のスペクトルである。スペクトル320は、フィルタ202の透過光のスペクトルである。
【0054】
スペクトル320では、傾け角度(45度)の影響が顕著となり、紫外線の波長域(450nm近傍)および赤外光の波長域(800nm近傍)で、フィルタ112よりも多量の紫外線および赤外線が反射されずにフィルタ202を透過していることが分かる。
【0055】
これに対し、スペクトル310では、紫外光の波長域および赤外光の波長域において、フィルタ202よりも紫外光および赤外光の反射効率が向上することが分かる。このように、フィルタ112では、傾け角度を小さくすることで、紫外光および赤外光の反射性能の低下を抑制できる。傾け角度により反射性能の低下し易い紫外線反射層112cを有するフィルタ112に本実施の形態の方法を適用する場合、特に有効である。
【0056】
ここで、傾け角度Z1は小さい角度であるほど望ましいが、小さくしすぎた場合には上述したように発光部111aの熱による破損が問題となる。この点、次のようにして、より小さい傾け角度を決定できる。
【0057】
図8は、第1の実施の形態の光源装置の変形例を示す図である。フィルタ112は、光軸A1に対して所定の角度Z2だけ傾けて設けられている。ここで、傾け角度Z2は傾け角度Z1よりも小さい角度である。光軸A2aは、フィルタ112が反射した反射光の光軸である。距離L2aは、光源部111と焦点F2との距離である。距離L3aは、光源部111とフィルタ112との距離である。更に、集束点F3は、フィルタ112が反射した反射光が略集束する点である。
【0058】
フィルタ112の傾け角度Z2は、傾け角度Z1と同様、光軸A1に垂直な平面と、フィルタ112の光が入射する面とのなす角で表される。傾け角度Z2は、傾け角度Z1と同様に図4の説明で示した(1)、(2)の要件を満たす角度として決定される。ただし、図8におけるフィルタ112の配置は図4で示した配置に対して以下の点で異なっている。
【0059】
すなわち、フィルタ112は、その反射光の集束点F3が光源部111のフィルタ112側の外縁部に近接して形成されるように配設される。ここで、幅W1,W2は、集束点F3以外の各所定位置において反射光が占める空間の幅を示している。集束点F3の前後では反射光が占める空間の幅が小さくなり、より小さな傾け角度Z2を決定できる。具体的には、次の通りである。
【0060】
例えば、反射光が占める空間のうち幅W1の部分が光源部111の外縁部に近接する場合、幅W1の縁に存在する反射光が光源部111に当たらないように傾け角度Z2よりも大きな傾け角度をとる必要がある。これに対し、集束点F3が光源部111の外縁部に近接するようフィルタ112を設ければ、集束点F3では反射光が占める空間の幅は極小となるので、距離L2aに対して、より小さい傾け角度Z2を決定できる。特に、集束点F3が光源部111の外縁部に位置するように設ければ、傾け角度Z2を最小とすることができる。
【0061】
このようにして、傾け角度Z1よりも小さい傾け角度Z2でフィルタ112を設けることができる。その結果、フィルタ112の反射性能をより高く維持しつつ、光源部111の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0062】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態との相違点について主に説明し、同様の事項に関しては説明を省略する。
【0063】
ここで、第2の実施の形態の投影装置の構成は、図1で説明した投影装置100と同様であるため説明を省略する。また、第2の実施の形態の分離合成光学系の構成は、図2で説明した分離合成光学系170の構成と同一であるため説明を省略する。ただし、第2の実施の形態ではフィルタ112を光軸に対して回転させるフィルタ保持部材190を更に設ける。そして、回転するフィルタ112からの反射光の照射を受ける吸収体を投影装置100内に複数設ける。これにより、吸収体の高温化を抑制し、光源部111周辺の熱対策を容易とすることができる。
【0064】
図9は、第2の実施の形態のフィルタ保持部材を示す図である。(A)は、フィルタ保持部材190の平面図を示している。(B)は、フィルタ保持部材190の視点Vから見た側面図(一部省略)を示している。
【0065】
フィルタ保持部材190は、フィルタ112を保持するとともに、光軸A1に対して所定方向に回転させる。フィルタ保持部材190は、支持部材191、回転部192および保持部193,194,195,196を有する。
【0066】
支持部材191は、フィルタ保持部材190を投影装置100に固定するための部材である。支持部材191は板状に形成されており、その中央部には回転部192やフィルタ112を設けるための空間が設けられている。
【0067】
回転部192は、リング状の部材であり、支持部材191に光軸A1に対して回転可能に保持される。回転の方向は、反時計回りでもよいし、時計回りでもよい。図中の矢印R1は、反時計回りに回転させることを例示している。ここで、以下では回転部192による回転角をθで表すこととする。
【0068】
保持部193,194,195,196は、フィルタ112を回転部192の中央に保持する柱状の部材であり、回転部192に固定されている。保持部193,194は、光の入射方向とは反対側からフィルタ112を保持している。保持部195,196は、光の入射方向側からフィルタ112を保持している。保持部193,194,195,196は、フィルタ112を図4の説明で示した(1)、(2)の要件を満たす傾け角度で保持する。
【0069】
なお、間隙S1,S2,S3,S4は、回転部192とフィルタ112との間の空間である。
【0070】
図10は、第2の実施の形態の光源装置を示す図である。フィルタ112は、フィルタ保持部材190で保持されて、光源部111の後段に配設される。ただし、図10ではフィルタ保持部材190の図示を省略している。(A)はθ=0度の場合、(B)はθ=180度の場合を例示している。ここで、(A)の場合には、フィルタ112で反射された反射光は吸収体113により吸収される。(B)の場合には、当該反射光は吸収体113aにより吸収される。
【0071】
フィルタ保持部材190は、回転角θを0度〜360度まで変化させる。フィルタ保持部材190は、所定の周期で断続的に所定の角度ずつθを変化させてもよい。あるいは、フィルタ保持部材190は、例えば所定の角速度でθを変化させてもよい。これにより、フィルタ112の投影装置100内の反射光の被照射位置は変化する。投影装置100には、各被照射位置で反射光を吸収できるよう複数の吸収体が設けられる。吸収体113,113aはその複数の吸収体の一部である。
【0072】
このように、フィルタ112を光軸に対して回転可能に設けることで、複数の吸収体に対して反射光を照射できる。これにより、単一の吸収体で反射光を受けるよりも、当該吸収体の高温化を抑制できる。例えば、第1の実施の形態のように、単一の吸収体113で反射光を吸収する場合、光強度が増大すると吸収体113が一層高温化する。この場合、例えば吸収体113の周囲に生じた高温の熱だまりが光源部111の高温化を助長するおそれもある。
【0073】
これに対し、第2の実施の形態のように複数の吸収体で反射光を受けることで、複数の吸収体に熱が分散され、各吸収体の蓄熱量を低減できる。よって、吸収体自体およびその周囲の冷却を容易に行える。その結果、第1の実施の形態で示した効果に加えて、光源部111やその周囲の高温化を一層抑制できる。
【0074】
なお、上記の説明では反射型液晶方式の投影装置100を例示して説明したがこれに限らない。例えば、透過型液晶方式の投影装置、あるいは、それに用いる光源装置に適用することもできる。
【0075】
以上、本発明の光源装置および投影装置を図示の実施の形態に基づいて説明したが、これらに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。更に、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
100……投影装置、110……光源装置、111……光源部、111a……発光部、111b……集光ミラー、112……フィルタ、112a……基板層、112b……赤外線反射層、112c……紫外線反射層、113,113a……吸収体、120,160……レンズ、130,140……フライアイレンズ、150……偏光変換素子、170……分離合成光学系、180……投射光学系、190……フィルタ保持部材、191……支持部材、192……回転部、193,194,195,196……保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部が発した入射光に含まれる紫外光および赤外光を反射し、前記紫外光および前記赤外光以外の光を透過するフィルタと、
を有し、
前記フィルタは、前記紫外光および前記赤外光を含む反射光が当該フィルタよりも前記光源部側へ向かい、前記反射光が前記光源部に照射されないように設けられる、
光源装置。
【請求項2】
前記フィルタは、前記入射光の光軸と垂直な平面と当該フィルタの光入射面とのなす角度が、前記反射光が前記光源部に照射されない最小の角度で設けられる、
請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記フィルタを前記入射光の光軸に対して回転させる回転部、
を有する請求項1または2の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項4】
前記回転部により回転された前記フィルタからの前記反射光を吸収する複数の吸収体、 を有する請求項1乃至3の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
光源部と、
前記光源部が発した入射光に含まれる紫外光および赤外光を反射し、前記紫外光および前記赤外光以外の光を透過するフィルタと、
を有し、
前記フィルタは、前記紫外光および前記赤外光を含む反射光が当該フィルタよりも前記光源部側へ向かい、前記反射光が前記光源部に照射されないように設けられる、
投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−253077(P2011−253077A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127496(P2010−127496)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】