光源装置及びプロジェクタ
【課題】発光管を適切に冷却できる光源装置及びプロジェクタを提供すること。
【解決手段】光源装置5は、発光部511及び第1封止部512を備える発光管51と、略凹曲面状の反射面5221を有する第1反射鏡52と、これらを収納する収納体6とを備える。収納体6は、発光管51の上方に位置し、反射面5221により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が反射面5221により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部7を備える。ダクト部7は、第1反射鏡52の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部6134と、第1開口部6134における前記進行方向基端側の端縁を形成し、ダクト部7の終端となる壁部6135と、冷却空気を第1開口部6134が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部6132とを有する。
【解決手段】光源装置5は、発光部511及び第1封止部512を備える発光管51と、略凹曲面状の反射面5221を有する第1反射鏡52と、これらを収納する収納体6とを備える。収納体6は、発光管51の上方に位置し、反射面5221により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が反射面5221により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部7を備える。ダクト部7は、第1反射鏡52の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部6134と、第1開口部6134における前記進行方向基端側の端縁を形成し、ダクト部7の終端となる壁部6135と、冷却空気を第1開口部6134が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部6132とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の投射面上に拡大投射するプロジェクタが知られている。このような光源装置は、超高圧水銀ランプ等の放電型の発光管と、当該発光管から射出された光を反射する反射鏡とを備えた構成である場合が多く、当該発光管は、発光時に高温状態となる。
具体的に、プロジェクタに用いられる発光管は、略球状を有する発光部と、当該発光部の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部とを有し、当該発光部の内部には、水銀等の発光物質が封入されている。このような発光管の点灯時には、発光部における上部が最も高い温度となり、下部が最も低い温度となる。このような発光部上部の高温状態が継続すると失透が生じやすくなる一方で、当該上部と下部との温度差が大きくなると黒化が生じやすくなり、発光管が劣化しやすくなる。このため、当該発光管上部を効率よく冷却する必要がある。
【0003】
ところで、このようなプロジェクタは、例えば、机等の設置面に載置される正置き姿勢と、当該正置き姿勢とは上下が逆になるように天井等に固定される天吊り姿勢とで利用されることがあるが、正置き姿勢と天吊り姿勢とでは、プロジェクタ内部で熱を帯びた空気が滞留する箇所が異なる。このため、プロジェクタ内の構成を冷却する冷却空気の流路が予め設定されていると、正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれかで、光源装置を適切に冷却できないという問題がある。このような問題に対して、自重によって回動する風向変更板を設け、当該風向変更板により、正置き姿勢でも天吊り姿勢でも、発光部の上部に冷却空気を送風する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−189247号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光源装置では、発光部を冷却する冷却空気は、ダクト内を流通した後、風向変更板により、流通方向が緩やかな下向きに変更され、吸気口及び送風孔を介して、反射鏡(リフレクタ)内に導入される。このため、発光管に対して、角度を付けて冷却空気を送風することができず、発光管上部に適切に冷却空気を送風することができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、発光管を適切に冷却することができる光源装置及びプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の光源装置は、光を射出する発光部、及び、当該発光部の一端から延出する第1封止部を備える発光管と、前記第1封止部に取り付けられ、前記発光部から射出された光を反射する略凹曲面状の反射面を有する第1反射鏡と、前記発光管及び前記第1反射鏡を収納する収納体とを備え、前記収納体は、前記発光管の上方に位置し、前記反射面により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が、前記反射面により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部を備え、前記ダクト部は、前記発光管に向かって開口し、前記第1反射鏡の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部と、前記第1開口部における前記進行方向基端側の端縁を形成し、当該ダクト部の終端となる壁部と、前記第1開口部における前記進行方向先端側の端縁近傍に設けられ、前記冷却空気を、前記第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ダクト部内を流通する冷却空気は、第1開口部近傍に設けられた傾斜部により、当該第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜される。このため、当該冷却空気は、発光管に向かって開口した第1開口部を通過する際に、当該反対側の面及び壁部により、ダクト部内の流通方向に対して角度を変えて流通する。このような冷却空気の流通方向上に発光部を位置させることにより、当該発光部にダクト部内を流通した冷却空気を直線的に送風することができる。
また、ダクト部が発光管の上方に位置していることから、当該ダクト部内を流通した冷却空気は、発光部における上部に送風される。これによれば、冷却空気により発光部上部を積極的に冷却することができるほか、当該上部と下部との温度差を小さくすることができるので、発光管の劣化を抑制することができる。
従って、発光管上部を適切に冷却することができ、当該発光管の長寿命化を図ることができる。
【0009】
本発明では、前記壁部における前記進行方向基端側の端面には、前記第1反射鏡の開口端が当接することが好ましい。
本発明によれば、第1開口部と第1反射鏡の開口端とは、互いに近接する。これによれば、それぞれが互いに離間している場合に比べ、短い距離で直線的に冷却空気を発光部上部に送風することができる。従って、発光管上部に確実に冷却空気を送風することができる。
【0010】
本発明では、前記発光管は、前記発光部における前記第1封止部とは反対側の端部から延出する第2封止部を備え、前記ダクト部は、当該ダクト部内を流通する前記冷却空気の一部を分岐させて、前記第2封止部に導風する第2開口部を有する分岐部を備えることが好ましい。
本発明によれば、第1開口部を介して流通する冷却空気により、発光管の第1封止部側を冷却することができ、また、第2開口部を介して流通する冷却空気により、発光管の第2封止部側を冷却することができる。従って、発光管全体を冷却することができるので、当該発光管の更なる長寿命化を図ることができる。
【0011】
本発明では、前記発光管は、前記発光部における前記進行方向先端側を覆い、入射した光を前記第1反射鏡に向かって反射する第2反射鏡を備えることが好ましい。
本発明によれば、発光部から射出され、第1反射鏡に直接入射しない光の一部を、第2反射鏡により反射させて、当該第1反射鏡に入射させることができる。従って、発光部から射出された光の利用効率を向上することができる。
また、このような第2反射鏡により発光部が覆われている場合でも、第1開口部を介して流通する冷却空気は前述のように直線的に降下するので、第2反射鏡を避けて、当該冷却空気を発光部上部に送風することができる。従って、第2反射鏡を設けた場合でも、発光部上部を適切に冷却することができる。
【0012】
本発明では、前記ダクト部は、前記発光管の中央を中心として、対向するように配置され、それぞれ前記第1開口部、前記壁部及び前記傾斜部を有する第1ダクト部及び第2ダクト部と、自重によって移動して、前記第1ダクト部及び前記第2ダクト部のうち、前記発光管の上方に位置するダクト部に向かって前記冷却空気を流通させる整流部材とが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、収納体の上下を反転させた場合でも、自重によって移動する整流部材により、第1ダクト部及び第2ダクト部のうち、発光管の上方に位置するダクト部に冷却空気を流通させることができるので、前述のように、発光部上部に冷却空気を直接送風することができる。従って、第1ダクト部及び第2ダクト部のうちのいずれかが発光管の上方に位置するように、収納体が配置された場合でも、当該発光管を適切に冷却することができる。
【0013】
また、本発明のプロジェクタは、前述の光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して画像光を形成する光変調装置と、当該画像光を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光源装置と同様の効果を奏することができるほか、発光管、ひいては、光源装置の長寿命化を図ることができるので、光源装置の交換を頻繁に行う必要がなく、メンテナンスの手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における光源ランプを示す断面図。
【図3】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図4】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図5】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図6】前記実施形態における収納体本体を示す斜視図。
【図7】前記実施形態におけるダクト部材を示す斜視図。
【図8】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す斜視図。
【図9】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す斜視図。
【図10】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す断面図。
【図11】前記実施形態に対する比較例としての光源装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の構成を示す模式図である。
プロジェクタ1は、光源装置から射出された光束を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の投射面(図示省略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装を構成する平面視略矩形状の外装筐体2と、当該外装筐体2内に収納配置される装置本体3とを備えている。
このうち、外装筐体2は、プロジェクタ1の天面(図示省略)、正面2B、背面2C、左側面2D、右側面2E及び底面(図示省略)を形成し、当該底面には、図示を省略したが、複数の脚部が設けられている。これら脚部が設置面に接するように配置されることで、プロジェクタ1は正置き姿勢となり、また、正置き姿勢とは上下を逆にして底面を天井等に向けた状態で取り付けられることで、プロジェクタ1は、天吊り姿勢となる。
【0016】
装置本体3は、光学ユニット4及び冷却装置9を備えている。また、装置本体3は、図示を省略したが、プロジェクタ1の各構成部材に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクタ1の各構成部材の動作を制御する制御装置等を備えている。
このうち、冷却装置9は、複数のファン91〜94により構成され、光学ユニット4、電源装置及び制御装置に、外装筐体2外から導入した空気を送風して、これら各装置を冷却する。これらファン91〜94のうち、後述する投射光学装置45を挟むように配置された一対のファン91,92は、シロッコファンで構成され、外装筐体2に形成された吸気口(図示省略)から外部の冷却空気を導入し、当該冷却空気を後述する光学装置44に送風する。
【0017】
また、後述する光源装置5近傍に配置されたファン93,94のうち、プロジェクタ1の背面2C側に位置するファン93はシロッコファンで構成され、外装筐体2内の空気を吸引して、光源装置5に送風する。また、ファン94は軸流ファンで構成され、光源装置5を冷却した空気を吸引して、プロジェクタ1の正面2Bに向かって排出し、ひいては、当該空気を正面2Bに形成された排気口2B1を介して外装筐体2外に排出する。なお、ファン93は軸流ファンであってもよく、ファン94はシロッコファンであってもよい。また、排気口2B1は、外装筐体2のどの面に形成されていてもよい。
【0018】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット4は、前述の制御装置による制御の下、画像情報に応じた画像光を形成する。この光学ユニット4は、光源装置5、照明光学装置41、色分離光学装置42、リレー光学装置43、光学装置44、投射光学装置45、光学部品用筐体46及び光源収納部材47を備えている。
【0019】
図2は、光源ランプ50を示す断面図である。
光源装置5は、石英ガラスにより形成された発光管51と、当該発光管51に取り付けられる主反射鏡52とを有する光源ランプ50と、平行化凹レンズ53とを備えるほか、これらを内部に収納する収納体6とを備えている。なお、収納体6の構成については、後に詳述する。
発光管51は、図2に示すように、略球状に膨出する発光部511と、発光部511を挟み、当該発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513(図2における主反射鏡52側の封止部を512、当該主反射鏡52側とは反対側の封止部を513とする)とを有している。これらのうち、封止部512は、本発明の第1封止部に相当し、封止部513は、本発明の第2封止部に相当する。
【0020】
発光部511の内部には、タングステンにより形成された一対の電極E(E1,E2)が配置され、当該一対の電極E1,E2間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間Sが形成されている。
一対の封止部512,513の内部には、電極E1,E2とそれぞれ電気的に接続されるモリブデン製の金属箔5121,5131が挿入され、当該一対の封止部512,513における発光部511とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。これら各金属箔5121,5131には、発光管51の外部まで延出する電極引出線514,515がそれぞれ接続され、これら電極引出線514,515に対して、電圧を印加すると、発光部511内部が発光する。
【0021】
このような発光管51には、発光部511から封止部513側に射出された光を主反射鏡52側に反射する第2反射鏡としての副反射鏡54が固定されている。この副反射鏡54は、封止部513が挿通される開口5411を有する略円筒状の首状部541と、当該首状部541から拡がる反射部542とを有している。
反射部542は、発光部511における封止部513側を覆うように配置され、発光部511における封止部513側の外形に沿うように断面視略凹状に形成されている。この反射部542における発光部511と対向する面には反射面5421が形成されており、当該反射面5421は、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過するコールドミラーとして形成されている。
【0022】
主反射鏡52は、本発明の第1反射鏡に相当し、入射した光を反射して、照明光軸A上の焦点位置に収束させるガラス製の一体成形品である。この主反射鏡52は、封止部512に接着剤Bにより固定される。このような主反射鏡52には、封止部512が挿通される開口5211を有する略円筒状の首状部521と、当該首状部521から拡がる凹曲面状の反射部522とが形成されている。
【0023】
このうち、反射部522において発光部511に対向する面には、金属薄膜が蒸着された反射面5221が形成されている。この反射面5221は、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過するコールドミラーとして形成されている。
なお、本実施形態では、主反射鏡52は、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ53を省略した構成とすることができる。さらに、主反射鏡52は、自由曲面リフレクタで構成してもよい。
【0024】
そして、前述の副反射鏡54を発光管51に取り付けることにより、発光部511から射出された光のうち、主反射鏡52側とは反対側(すなわち、封止部513側)に射出された光は、反射面5421により、反射面5221に入射する。このため、当該光は、発光部511から反射面5221に直接入射する光と同様に、当該反射面5221にて反射されて集束される。これにより、光源装置5の光路後段に位置するレンズアレイ411(図1参照)に入射しない光を低減することができる。
【0025】
トリガー線55は、発光管51の点灯性を向上するための始動補助線であり、一端が封止部512にコイル状に巻回され、中央が発光部511、副反射鏡54及び封止部513に沿ってこれらの外側に配置され、他端が接続部516を介して電極引出線515に接続される。この接続部516には、反射部522における端縁近傍に形成された挿通孔5222を介して、当該主反射鏡52の外部に延出するリード線517の一端が接続され、当該リード線517の他端は、電極引出線515及びトリガー線53に電圧を印加するための端子56に接続されている。
このようなトリガー線55を設け、当該トリガー線55に高圧パルス電圧を印加することにより、発光管51の点灯性を向上することができる。
【0026】
図1に戻り、照明光学装置41は、一対のレンズアレイ411,412、偏光変換素子413及び重畳レンズ414を備えている。
色分離光学装置42は、ダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備えている。
【0027】
光学装置44は、フィールドレンズ441と、光変調装置としての3つの液晶パネル442(赤色光用の液晶パネルを442R、緑色光用の液晶パネルを442G、青色光用の液晶パネルを442Bとする)と、それぞれ3つの入射側偏光板443、視野角補償板444及び射出側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備えている。
投射光学装置45は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、光学装置44により形成された画像光を投射面上に拡大投射する。
【0028】
光学部品用筐体46は、前述の各光学装置41〜44を内部に収納する平面視略L字形状に形成された箱状筐体である。この光学部品用筐体46には、内部に設定された照明光軸Aに対する所定位置に、当該各光学装置41〜44を配置及び収納する。
光源収納部材47は、光学部品用筐体46の一端に接続され、内部に光源装置5を収納する。
【0029】
このような光学ユニット4では、前述の構成により、光源装置5から射出された光束は、照明光学装置41により照明領域内の照度が均一化された後、色分離光学装置42にてR(赤),G(緑),B(青)の3つの色光に分離される。これら分離された各色光は、対応する各液晶パネル442にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像光が形成される。そして、色光毎の画像光は、クロスダイクロイックプリズム446にて合成され、投射光学装置45により投射面上に拡大投射される。
【0030】
〔収納体の構成〕
図3〜図5は、光源装置5を示す斜視図である。具体的に、図3及び図4は、光源装置5を光束射出方向先端側で、かつ、当該光源装置5に向かって右側及び左側から見た斜視図であり、図5は、光束射出方向基端側から見た斜視図である。なお、以下の図及び説明では、プロジェクタ1を水平面上に正置き姿勢で載置した際に、水平方向に沿う方向である光源装置5(詳しくは、後述する主反射鏡52)の光束射出方向をZ方向とし、当該Z方向先端側を正面側、基端側を背面側とする。また、当該Z方向に直交する方向のうち、水平方向に沿い、かつ、Z方向先端側(正面側)から見て左方向をX方向とし、当該X方向基端側を右側面側、先端側を左側面側とする。更に、これらZ方向及びX方向に直交する上方向をY方向とし、当該Y方向先端側を上面側、基端側を底面側する。すなわち、X,Y,Zで示される各方向は、それぞれ互いに直交する。
【0031】
光源装置5は、前述のように、光源ランプ50及び平行化凹レンズ53(ともに図1参照)と、これらを内部に収納する収納体6とを備えたユニットとして構成されている。
このうち、収納体6は、ガラスフィラーが含まれる合成樹脂により形成され、図3〜図5に示すように、収納体本体61と、当該収納体本体61のZ方向先端側で、かつ、X方向基端側を覆うダクト部材62と、当該ダクト部材62内に設けられ、自重によって回動する整流板63(図3)と、当該整流板63を軸支する支持部材64(図7参照)とを備えている。そして、詳しくは後述するが、収納体本体61の外面と、ダクト部材62の内面とにより、光源装置5の外部から導入した冷却空気を分岐させる分岐部7A,並びに、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢にある場合に、分岐された冷却空気をそれぞれ発光部511に導く第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cにより構成されるダクト部7が形成される。
【0032】
〔収納体本体の構成〕
図6は、収納体本体61を示す斜視図である。換言すると、図6は、図3に示した状態からダクト部材62を取り外した状態を示す斜視図である。
収納体本体61は、図6に示すように、正面部611、右側面部612、上面部613、下面部614及び左側面部615を有する筒状体様をなしており、これら各面部611〜615により、光源ランプ50を収納するランプ収納部616(図8参照)が内部に形成される。そして、当該ランプ収納部616には、図5に示したように、発光管51が固定された主反射鏡52が、Z方向基端側から収納される。
このうち、正面部611には、光源ランプ50から射出された光が透過する略円形状の開口部6111が形成され、当該開口部6111には、平行化凹レンズ53が嵌め込まれる。
【0033】
右側面部612のZ方向先端側の領域は、ダクト部材62と組み合わさることで、分岐部7Aを形成する。この右側面部612には、図6に示すように、後述する整流板63の回動を規制する一対の回動規制部6121,6122(Y方向基端側の回動規制部を6121とし、先端側の回動規制部を6122とする)が、当該右側面部612の面外方向に突出するように形成されている。これら回動規制部6121,6122は、Z方向基端側が互いに近接し、Z方向先端側が互いに離間した形状を有しており、それぞれZ方向に対して、同角度傾斜している。
また、これら回動規制部6121,6122に挟まれるように、Y方向に沿うスリット状の開口部6123が形成されている。この開口部6123は、本発明の第2開口部に相当し、右側面部612を貫通するように形成されている。このため、ダクト部材62内に導入された冷却空気の一部は、ランプ収納部616(図8参照)内に導入され、当該ランプ収納部616内に収納された発光管51の封止部513側を冷却する。
【0034】
更に、右側面部612のZ方向基端側には、面外方向に突出する一対のボス6124,6125が突設されている。これらのうち、Y方向基端側のボス6124は、ダクト部材62を位置決めするための位置決め部であり、また、Y方向先端側のボス6125は、ダクト部材62を固定するねじが螺合する固定部である。
【0035】
上面部613のZ方向先端側の領域は、ダクト部材62と組み合わさることで、第1ダクト部7Bを形成する。この領域において、X方向基端側には、当該上面部613の略中央より低い段差部6131が形成されている。また、当該領域において、X方向略中央には、Z方向基端側に向かうに従って、Y方向先端側に向かって傾斜した傾斜部6132が形成されている。この傾斜部6132のZ方向基端側の端部には、当該Z方向基端側に向かうに従って、Y方向先端側に反るように湾曲した湾曲部61321が形成されている。
【0036】
また、傾斜部6132のX方向先端側には、上面部613から面外方向に起立する起立部6133が形成され、傾斜部6132のZ方向基端側には、第1開口部としての略矩形の開口部6134が形成されている。更に、この開口部6134のZ方向基端側には、X方向及びY方向に沿う壁部6135が形成されている。このうち、開口部6134のZ方向先端側及び基端側、並びに、X方向先端側の端縁は、傾斜部6132、起立部6133及び壁部6135により形成されている。
【0037】
また、起立部6133のX方向先端側には、Z方向に沿い、かつ、Y方向先端側に向かって起立する起立部6136が形成され、当該起立部6136は、後述するダクト部材62の起立部6243と当接する。
更に、壁部6135のZ方向基端側には、X方向に沿って配置された一対の開口部6137が形成されており、当該開口部6137を介して、主反射鏡52の外周を冷却する冷却空気が導入される。
【0038】
なお、上面部613とは反対側の下面部614においても、段差部6131、傾斜部6132、起立部6133、開口部6134、壁部6135と同様の段差部6141、傾斜部6142、起立部6143、開口部6144、壁部6145(図8参照)が形成されており、収納体本体61とダクト部材62とが組み合わさった際には、これらにより、第2ダクト部7Cが形成される。
【0039】
左側面部615には、図4に示すように、ランプ収納部616内の光源ランプ50を冷却した冷却空気を排出するための略矩形の開口部6151が、Z方向先端側に形成されている。この開口部6151の形成位置は、主反射鏡52よりZ方向先端側に位置している。そして、当該開口部6151内には、メッシュが貼付された枠体6152が取り付けられ、当該枠体6152により、発光管51が破損した場合に、当該発光管51の破片が飛散することを防ぐ。
また、左側面部615のZ方向基端側には、内側に凹んだコネクタ収納部6153が形成され、当該コネクタ収納部6153内に、前述の端子56及び電極引出線514に接続されるコネクタCNが取り付けられる。
【0040】
〔ダクト部材の構成〕
図7は、ダクト部材62を示す斜視図である。
ダクト部材62は、収納体本体61にねじ等により取り付けられ、当該収納体本体61の右側面部612、上面部613及び下面部614(図6参照)とダクト部材62の内面とにより、前述のダクト部7を形成する。このダクト部材62は、図7に示すように、Z方向基端側から見て、X方向先端側が開口した略逆C字状に形成されている。このようなダクト部材62は、正面部621、背面部622、右側面部623、天面部624及び底面部625を備えている。そして、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際には、右側面部623、天面部624及び底面部625は、それぞれ、右側面部612、上面部613及び下面部614に対向する。
【0041】
正面部621は、各面部612,613,614の外形に応じた切欠6221を有し、これにより、正面部621と正面部611とは面一となる。
また、正面部621におけるX方向基端側には、Y方向に長手方向を有する略矩形の導入口6212が形成されている。導入口6212は、前述の冷却ファン93(図1参照)の吐出口に接続され、当該冷却ファン93から吐出された冷却空気をダクト部材62内部に導入する。この導入口6212の内側には、メッシュが貼付された枠体6213が嵌め込まれており、前述の枠体6152と同様に、発光管51の破片が飛散することを防ぐ。
更に、正面部621におけるZ方向基端側の面には、導入口6212のY方向基端側及び先端側の端縁から、面外方向に突出する突出部6214がそれぞれ形成されている。これら突出部6214のうちの一方には、自重によって回動した整流板63の端部が当接する。
【0042】
背面部622は、収納体本体61の外側で、正面部621と対向し、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際に、当該正面部621及び右側面部623とともに、分岐部7A及び各ダクト部7B,7Cの一部を構成する。
この背面部622のX方向先端側の端縁には、整流板63を軸支する支持部材64が取り付けられる凹部6211が形成されている。
【0043】
右側面部623の内面(X方向先端側の面)には、前述の一対の回動規制部6121,6122に対応する位置に、同様の形状を有する一対の回動規制部6231,6232(Y方向基端側の回動規制部を6231とし、先端側の回動規制部を6232とする)が、突設されている。また、これら回動規制部6231,6232に挟まれ、かつ、当該回動規制部6231,6232が最も近接する位置に、略円形状の凹部6233が形成され、当該凹部6233には、後述する整流板63の回動軸となる延出部632が挿入される。また、右側面部623の内面におけるZ方向基端側には、支持部材64を固定するねじ65が螺合するねじ孔(図示省略)が形成されている。
【0044】
天面部624は、上面部613に形成された段差部6131、傾斜部6132、起立部6133、開口部6134及び壁部6135を被覆する。この際、天面部624のY方向基端側の面と、起立部6133のY方向先端側の端縁、及び、壁部6135のZ方向先端側の端縁とは、互いに当接し、これら天面部624、上面部613、正面部621及び背面部622により、内部に第1ダクト部7Bが形成される。
【0045】
また、天面部624には、Y方向先端側に向かって突出する突出部6241が形成され、当該突出部6241には、開口部6137を介して、ランプ収納部616に収納された主反射鏡52の外周に冷却空気を流通させるための開口部6242が形成されている。しかしながら、当該開口部6242は、第1ダクト部7Bとは連通せず、開口部6242を流通する冷却空気の流路と、第1ダクト部7B内を流通する冷却空気の流路とは、それぞれ独立している。
【0046】
天面部624のX方向先端側には、Y方向先端側に向かって起立する起立部6243が形成され、当該起立部6243は、上面部613に形成された起立部6136に当接し、収納体本体61に対するダクト部材62の位置決めを行っている。
また、天面部624の内面(Y方向基端側の面)624Aには、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際の開口部6134に応じた位置に、金属製の板状体624A1(図10参照)が取り付けられている。この板状体624A1は、開口部6134を介して発光部511から射出された光が天面部624に直接入射し、当該光の入射位置が劣化することを防ぐ。
【0047】
底面部625は、略平坦に形成され、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際に、天面部624と同様に、下面部614に形成された段差部6141、傾斜部6142、起立部6143、開口部6144及び壁部6145を被覆する。そして、これら底面部625、下面部614、正面部621及び背面部622により、内部に第2ダクト部7Cが形成される。なお、底面部625の内面625Aにおいても、開口部6144に応じた位置に、金属製の板状体625A1(図10参照)が取り付けられている。
【0048】
〔整流板の構成〕
整流板63は、本発明の整流部材に相当し、前述のように、分岐部7A内に配置され、回動規制部6121,6231から回動規制部6122,6232までの範囲内で自重によって回動して、導入口6212から導入された冷却空気のうち、一部の冷却空気の流通方向を第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cに変更する。この整流板63は、板状体として形成され、中央に位置する整流部631と、当該整流部631の一端側に形成され、互いに離間する方向に延出する延出部632とを備えている。
【0049】
このうち、一方の延出部632は、凹部6233に挿入され、また、他方の延出部632は、支持部材64に形成された孔部641に挿入される。そして、この支持部材64が右側面部623に形成された前述のねじ孔に固定されることにより、整流板63は、当該延出部632を回動軸として軸支される。
整流部631は、冷却空気の流通方向を上方向に変更する部位である。この整流部631は、整流板63が自重によって回動した際に、鉛直方向先端側に位置する回動規制部(プロジェクタ1が正置き姿勢の場合では回動規制部6121,6231、天吊り姿勢の場合では回動規制部6122,6232)に当接するとともに、鉛直方向先端側に位置する突出部6214に当接する。これにより、導入口6212を介して導入された一部の冷却空気は、その流通方向を上方に変更される。なお、他の冷却空気は、前述の開口部6123(図6参照)を介して、ランプ収納部616内に導入される。
【0050】
〔冷却空気の流路〕
以下、光源ランプ50を冷却する冷却空気の流路について説明する。なお、以下の説明では、プロジェクタ1が正置き姿勢である場合について述べる。
図8から図10は、光源ランプ50を冷却する冷却空気の流路を示す図である。換言すると、図8及び図10は、光源ランプ50の中心軸を含む水平面及び鉛直面での光源装置5を示す横断面図及び縦断面図である。また、図9は、想像線でダクト部材62を示した光源装置5を示す斜視図である。
図8に示すように、ファン93から吐出された冷却空気はD1方向に進行し、導入口6212を介して、分岐部7A内に導入される。この冷却空気のうち、一部の冷却空気は、D2方向(X方向先端側に向かう方向)に分岐し、スリット状の開口部6123を介して、ランプ収納部616内に導入される。そして、当該冷却空気は、発光管51の封止部513側を冷却する。
一方、他の冷却空気は、回動規制部6121,6231に当接するまで自重によって鉛直方向に回動した整流板63により、D3方向(Y方向先端側に向かう方向)に分岐し、分岐部7A内を第1ダクト部7Bに向かって流通する。
【0051】
D3方向に流通した冷却空気は、図9に示すように、収納体本体61の上面部613、並びに、ダクト部材62の正面部621、背面部622及び天面部624により囲まれた第1ダクト部7B内に進入する。そして、当該冷却空気は、第1ダクト部7B内をD4方向(X方向先端側に向かう方向)に沿って流通する。
【0052】
D4方向に流通した冷却空気の流通方向は、図10に示すように、起立部6133により、D5方向(Z方向基端側に向かう方向)に変更される。
この後、冷却空気は、天面部624、傾斜部6132及び起立部6133に沿って流通した後、第1ダクト部7Bの終端となる壁部6135に当たることで、開口部6134を介して、ランプ収納部616内に進入する。この際、傾斜部6132は、Z方向基端側に向かうに従ってY方向先端側に向かって傾斜しており、また、当該傾斜部6132のZ方向基端側の端部には、Y方向先端側に向かって反る湾曲部61321が形成されている。更に、開口部6134の端縁を形成する壁部6135は、天面部624の内面624A(収納体本体61の上面部613に対向する面624A)に対して垂直な壁となっている。このため、傾斜部6132に沿って流通した冷却空気は、傾斜部6132、湾曲部61321、内面624A、壁部6135によって、D6方向、すなわち、発光部511の上部に向かう方向に直線的に流通方向が変更する。
【0053】
そして、D6方向に流通した冷却空気は、当該D6方向と同方向であるD7方向に流通し、当該D7方向上に位置する発光部511の上部に送風される。この際、壁部6135のZ方向基端側の端面には、主反射鏡52の開口端(反射部522のZ方向先端側の端縁)が当接されているので、開口部6134からランプ収納部616内に導入された冷却空気の進行方向が変わることなく、発光部511上部に、当該冷却空気を送風することができる。これにより、第1ダクト部7Bを流通した冷却空気は、主反射鏡52の反射面5221に沿って流通するのではなく、発光部511の上部に直接送風され、当該発光部511の上部を効果的に冷却することができる。
このような発光部511を冷却した冷却空気、及び、分岐部7Aにて開口部6123を介して導入され、かつ、封止部513を冷却した冷却空気は、当該開口部6123とは反対側の左側面部615に形成された開口部6151を介して、ファン94により吸引され、収納体6の外部に排出される。
【0054】
なお、光源装置5の上下が反転された場合、すなわち、プロジェクタ1が天吊り姿勢とされた場合には、整流板63の回動方向が反転し、分岐部7Aにて分岐された冷却空気は、第2ダクト部7C内を流通する。この際、第2ダクト部7Cは、第1ダクト部7Bと同様の構成を備えているので、当該天吊り姿勢でも、第2ダクト部7C内を流通した冷却空気は、発光部511上部に送風され、当該上部が効果的に冷却される。
【0055】
図11は、本実施形態に対する比較例としての光源装置5Aを示す断面図であり、換言すると、傾斜部6132に代えて平坦部6132Aが形成された光源装置5Aを示す縦断面図である。
ここで、傾斜部6132が形成されていない場合の冷却空気の流路について説明する。なお、以下に示す光源装置5Aは、傾斜部6132に代えて、Z方向及びX方向に沿う平坦部6132Aを備えるほかは、光源装置5と同様の構成を備えており、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
光源装置5Aにおける第1ダクト部7B内に流通した冷却空気は、天面部624、平坦部6132A及び起立部6133に沿って、F5方向(Z方向基端側に向かう方向)に流通する。ここで、平坦部6132Aは、対向する内面624Aとともに、Z方向に沿う平坦面を有しているので、当該冷却空気は、壁部6135に沿ってF6方向に流通し、開口部6134を介してランプ収納部616内に進入する。
【0057】
ランプ収納部616内に進入した冷却空気は、当該ランプ収納部616内で拡散する。このうち、一部の冷却空気は、主反射鏡52の反射面5221に沿ってF7方向に流通する。この冷却空気は、反射面5221と発光部511との間に向かって流通し、当該冷却空気の更に一部が、発光部511上部に送風される。このため、傾斜部6132が形成された光源装置5に比べて、発光部511上部に送風される冷却空気の流量及び風圧は低く、当該上部の冷却効率は低い。
【0058】
以上説明した本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果がある。
第1ダクト部7B内を流通する冷却空気は、傾斜部6132により、開口部6134が形成された上面部613に対向する内面624Aに向かって傾斜して流通する。このため、当該冷却空気は、これら傾斜部6132、内面624A及び壁部6135により、開口部6134を介して、発光部511に向かって流通方向が変更されて進行する。これにより、副反射鏡54を避けて、発光部511上部に対して開口部6134から直線的に冷却空気を送風することができるので、当該発光部511上部を効果的に冷却することができる。なお、傾斜部6132のZ方向基端側には、Y方向先端側に向かって反った湾曲部61321が形成されているので、発光部511の上部に向かって、一層角度を付けて冷却空気を送風することができる。
【0059】
更に、光源装置5への冷却空気の送風方向が、当該光源装置5の正面側からとしても、前述の構成により、発光部511上部に冷却空気を適切に送風することができ、光源装置5を冷却するファン93をプロジェクタ1のサイズに影響しない位置に配置することができる。従って、プロジェクタ1のサイズを大きくすることなく、光源装置5の冷却を効率よく行うことができる。
【0060】
また、第1ダクト部7B、及び、当該第1ダクト部7Bと同様の構成の第2ダクト部7Cが、収納体6の上下、すなわち、発光管51の上下に位置しているので、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれの場合でも、発光部511上部に冷却空気を送風することができる。従って、発光部511上部を積極的に冷却することができ、発光部511における上部と下部との温度差を小さくすることができるので、発光管51の劣化を一層抑制することができる。
【0061】
壁部6135のZ方向基端側の端面には、主反射鏡52の開口端が当接される。これによれば、当該壁部6135により端縁が形成される開口部6134と、主反射鏡52の開口端とは、互いに近接するので、これらが互いに離間している場合に比べ、短い距離で直線的に冷却空気を発光部511上部に送風することができる。従って、発光部511における上部に確実に冷却空気を送風することができ、当該上部の冷却効率を向上できる。
【0062】
分岐部7Aに導入された冷却空気のうち、一部の冷却空気は、開口部6123を介して、ランプ収納部616内に導入され、発光管51の封止部513側を冷却する。これによれば、第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cを流通する冷却空気とともに、発光管51全体を冷却することができるので、発光管51の冷却効率を高め、当該発光管51の更なる長寿命化を図ることができる。
【0063】
発光管51には、発光部511における封止部513側を覆う副反射鏡54が設けられているので、主反射鏡52に直接入射しない光の一部を、副反射鏡54により主反射鏡52に入射させることができる。従って、発光部511から射出された光の利用効率を向上することができる。
また、前述のように、当該副反射鏡54が設けられている場合でも、発光部511における上部に冷却空気を直線的に送風することができるので、当該副反射鏡54を避けて、発光部511上部を適切に冷却することができる。
【0064】
分岐部7A内には、自重によって回動する整流板63が設けられ、当該整流板63により、第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cのうち、発光管51の上方に位置するダクト部に冷却空気を流通させることができる。従って、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれかの姿勢であっても、発光部511における上部に冷却空気を送風して、当該上部を適切に冷却することができる。
【0065】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、傾斜部6132には、Z方向基端側に、Y方向先端側に向かって反った湾曲部61321が形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、湾曲部61321が形成されていなくてもよい。また、前述の平坦部6132Aが、Z方向基端側の開口部6134近傍に、Y方向先端側に反った傾斜部を有する構成としてもよい。この場合、当該傾斜部が、本発明の傾斜部に相当する。なお、傾斜部6142においても同様である。
【0066】
前記実施形態では、壁部6135は、天面部624の内面624Aに対する垂直な壁となるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該壁部の内面624Aに対する角度は、第1ダクト部7B内を流通する冷却空気が、発光部511における上部に送風されるような角度であればよく、適宜設定してよい。なお、壁部6145においても同様である。
【0067】
前記実施形態では、壁部6135のZ方向基端側には、主反射鏡52の開口端が当接されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該壁部6135により端縁が形成される開口部6134と、主反射鏡52の開口端とが離間していてもよい。なお、開口部6144及び壁部6145においても同様である。
【0068】
前記実施形態では、発光管51は、略球状の発光部511と、当該発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513とを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、発光部と、当該発光部の一端から延出する封止部とがあればよい。また、副反射鏡54は、無くても良い。
【0069】
前記実施形態では、整流板63は、延出部632を回動軸とし、自重によって回動することで、分岐部7A内に導入された冷却空気の一部を、第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cに導風するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、自重によって移動して、第1ダクト部及び第2ダクト部のうちの下方に位置するダクト部への流路を遮蔽し、上方に位置するダクト部に冷却空気を導風する整流部材を採用してもよい。
【0070】
前記実施形態では、光源装置5は、内部に整流板63が配置される分岐部7A、第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cを備える構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、プロジェクタ1を天吊り姿勢としない場合は、第2ダクト部7C及び整流板63を設けない構成としてもよい。
【0071】
前記実施形態では、プロジェクタ1は、3つの液晶パネル442R,442G,442Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも、本発明を適用可能である。
また、前記実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
さらに、前記実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【0072】
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネル442を備えたプロジェクタ1を例示したが、入射光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクタにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板443,445は省略することができる。
【0073】
前記実施形態では、光源装置5を、プロジェクタ1に採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような光源装置5は、スタンド等の照明装置に利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、光源装置に利用することができ、特にプロジェクタに採用される光源装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…プロジェクタ、5…光源装置、6…収納体、7…ダクト部、51…発光管、52…主反射鏡(第1反射鏡)、54…副反射鏡(第2反射鏡)、63…整流板(整流部材)、7A…分岐部、7B…第1ダクト部、7C…第2ダクト部、511…発光部、512…封止部(第1封止部)、513…封止部(第2封止部)、5221…反射面、6123…開口部(第2開口部)、6132,6142…傾斜部、6134,6144…開口部(第1開口部)、6135,6145…壁部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の投射面上に拡大投射するプロジェクタが知られている。このような光源装置は、超高圧水銀ランプ等の放電型の発光管と、当該発光管から射出された光を反射する反射鏡とを備えた構成である場合が多く、当該発光管は、発光時に高温状態となる。
具体的に、プロジェクタに用いられる発光管は、略球状を有する発光部と、当該発光部の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部とを有し、当該発光部の内部には、水銀等の発光物質が封入されている。このような発光管の点灯時には、発光部における上部が最も高い温度となり、下部が最も低い温度となる。このような発光部上部の高温状態が継続すると失透が生じやすくなる一方で、当該上部と下部との温度差が大きくなると黒化が生じやすくなり、発光管が劣化しやすくなる。このため、当該発光管上部を効率よく冷却する必要がある。
【0003】
ところで、このようなプロジェクタは、例えば、机等の設置面に載置される正置き姿勢と、当該正置き姿勢とは上下が逆になるように天井等に固定される天吊り姿勢とで利用されることがあるが、正置き姿勢と天吊り姿勢とでは、プロジェクタ内部で熱を帯びた空気が滞留する箇所が異なる。このため、プロジェクタ内の構成を冷却する冷却空気の流路が予め設定されていると、正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれかで、光源装置を適切に冷却できないという問題がある。このような問題に対して、自重によって回動する風向変更板を設け、当該風向変更板により、正置き姿勢でも天吊り姿勢でも、発光部の上部に冷却空気を送風する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−189247号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光源装置では、発光部を冷却する冷却空気は、ダクト内を流通した後、風向変更板により、流通方向が緩やかな下向きに変更され、吸気口及び送風孔を介して、反射鏡(リフレクタ)内に導入される。このため、発光管に対して、角度を付けて冷却空気を送風することができず、発光管上部に適切に冷却空気を送風することができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、発光管を適切に冷却することができる光源装置及びプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の光源装置は、光を射出する発光部、及び、当該発光部の一端から延出する第1封止部を備える発光管と、前記第1封止部に取り付けられ、前記発光部から射出された光を反射する略凹曲面状の反射面を有する第1反射鏡と、前記発光管及び前記第1反射鏡を収納する収納体とを備え、前記収納体は、前記発光管の上方に位置し、前記反射面により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が、前記反射面により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部を備え、前記ダクト部は、前記発光管に向かって開口し、前記第1反射鏡の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部と、前記第1開口部における前記進行方向基端側の端縁を形成し、当該ダクト部の終端となる壁部と、前記第1開口部における前記進行方向先端側の端縁近傍に設けられ、前記冷却空気を、前記第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ダクト部内を流通する冷却空気は、第1開口部近傍に設けられた傾斜部により、当該第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜される。このため、当該冷却空気は、発光管に向かって開口した第1開口部を通過する際に、当該反対側の面及び壁部により、ダクト部内の流通方向に対して角度を変えて流通する。このような冷却空気の流通方向上に発光部を位置させることにより、当該発光部にダクト部内を流通した冷却空気を直線的に送風することができる。
また、ダクト部が発光管の上方に位置していることから、当該ダクト部内を流通した冷却空気は、発光部における上部に送風される。これによれば、冷却空気により発光部上部を積極的に冷却することができるほか、当該上部と下部との温度差を小さくすることができるので、発光管の劣化を抑制することができる。
従って、発光管上部を適切に冷却することができ、当該発光管の長寿命化を図ることができる。
【0009】
本発明では、前記壁部における前記進行方向基端側の端面には、前記第1反射鏡の開口端が当接することが好ましい。
本発明によれば、第1開口部と第1反射鏡の開口端とは、互いに近接する。これによれば、それぞれが互いに離間している場合に比べ、短い距離で直線的に冷却空気を発光部上部に送風することができる。従って、発光管上部に確実に冷却空気を送風することができる。
【0010】
本発明では、前記発光管は、前記発光部における前記第1封止部とは反対側の端部から延出する第2封止部を備え、前記ダクト部は、当該ダクト部内を流通する前記冷却空気の一部を分岐させて、前記第2封止部に導風する第2開口部を有する分岐部を備えることが好ましい。
本発明によれば、第1開口部を介して流通する冷却空気により、発光管の第1封止部側を冷却することができ、また、第2開口部を介して流通する冷却空気により、発光管の第2封止部側を冷却することができる。従って、発光管全体を冷却することができるので、当該発光管の更なる長寿命化を図ることができる。
【0011】
本発明では、前記発光管は、前記発光部における前記進行方向先端側を覆い、入射した光を前記第1反射鏡に向かって反射する第2反射鏡を備えることが好ましい。
本発明によれば、発光部から射出され、第1反射鏡に直接入射しない光の一部を、第2反射鏡により反射させて、当該第1反射鏡に入射させることができる。従って、発光部から射出された光の利用効率を向上することができる。
また、このような第2反射鏡により発光部が覆われている場合でも、第1開口部を介して流通する冷却空気は前述のように直線的に降下するので、第2反射鏡を避けて、当該冷却空気を発光部上部に送風することができる。従って、第2反射鏡を設けた場合でも、発光部上部を適切に冷却することができる。
【0012】
本発明では、前記ダクト部は、前記発光管の中央を中心として、対向するように配置され、それぞれ前記第1開口部、前記壁部及び前記傾斜部を有する第1ダクト部及び第2ダクト部と、自重によって移動して、前記第1ダクト部及び前記第2ダクト部のうち、前記発光管の上方に位置するダクト部に向かって前記冷却空気を流通させる整流部材とが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、収納体の上下を反転させた場合でも、自重によって移動する整流部材により、第1ダクト部及び第2ダクト部のうち、発光管の上方に位置するダクト部に冷却空気を流通させることができるので、前述のように、発光部上部に冷却空気を直接送風することができる。従って、第1ダクト部及び第2ダクト部のうちのいずれかが発光管の上方に位置するように、収納体が配置された場合でも、当該発光管を適切に冷却することができる。
【0013】
また、本発明のプロジェクタは、前述の光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して画像光を形成する光変調装置と、当該画像光を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光源装置と同様の効果を奏することができるほか、発光管、ひいては、光源装置の長寿命化を図ることができるので、光源装置の交換を頻繁に行う必要がなく、メンテナンスの手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における光源ランプを示す断面図。
【図3】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図4】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図5】前記実施形態における光源装置を示す斜視図。
【図6】前記実施形態における収納体本体を示す斜視図。
【図7】前記実施形態におけるダクト部材を示す斜視図。
【図8】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す斜視図。
【図9】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す斜視図。
【図10】前記実施形態における光源装置を冷却する冷却空気の流路を示す断面図。
【図11】前記実施形態に対する比較例としての光源装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の構成を示す模式図である。
プロジェクタ1は、光源装置から射出された光束を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の投射面(図示省略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装を構成する平面視略矩形状の外装筐体2と、当該外装筐体2内に収納配置される装置本体3とを備えている。
このうち、外装筐体2は、プロジェクタ1の天面(図示省略)、正面2B、背面2C、左側面2D、右側面2E及び底面(図示省略)を形成し、当該底面には、図示を省略したが、複数の脚部が設けられている。これら脚部が設置面に接するように配置されることで、プロジェクタ1は正置き姿勢となり、また、正置き姿勢とは上下を逆にして底面を天井等に向けた状態で取り付けられることで、プロジェクタ1は、天吊り姿勢となる。
【0016】
装置本体3は、光学ユニット4及び冷却装置9を備えている。また、装置本体3は、図示を省略したが、プロジェクタ1の各構成部材に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクタ1の各構成部材の動作を制御する制御装置等を備えている。
このうち、冷却装置9は、複数のファン91〜94により構成され、光学ユニット4、電源装置及び制御装置に、外装筐体2外から導入した空気を送風して、これら各装置を冷却する。これらファン91〜94のうち、後述する投射光学装置45を挟むように配置された一対のファン91,92は、シロッコファンで構成され、外装筐体2に形成された吸気口(図示省略)から外部の冷却空気を導入し、当該冷却空気を後述する光学装置44に送風する。
【0017】
また、後述する光源装置5近傍に配置されたファン93,94のうち、プロジェクタ1の背面2C側に位置するファン93はシロッコファンで構成され、外装筐体2内の空気を吸引して、光源装置5に送風する。また、ファン94は軸流ファンで構成され、光源装置5を冷却した空気を吸引して、プロジェクタ1の正面2Bに向かって排出し、ひいては、当該空気を正面2Bに形成された排気口2B1を介して外装筐体2外に排出する。なお、ファン93は軸流ファンであってもよく、ファン94はシロッコファンであってもよい。また、排気口2B1は、外装筐体2のどの面に形成されていてもよい。
【0018】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット4は、前述の制御装置による制御の下、画像情報に応じた画像光を形成する。この光学ユニット4は、光源装置5、照明光学装置41、色分離光学装置42、リレー光学装置43、光学装置44、投射光学装置45、光学部品用筐体46及び光源収納部材47を備えている。
【0019】
図2は、光源ランプ50を示す断面図である。
光源装置5は、石英ガラスにより形成された発光管51と、当該発光管51に取り付けられる主反射鏡52とを有する光源ランプ50と、平行化凹レンズ53とを備えるほか、これらを内部に収納する収納体6とを備えている。なお、収納体6の構成については、後に詳述する。
発光管51は、図2に示すように、略球状に膨出する発光部511と、発光部511を挟み、当該発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513(図2における主反射鏡52側の封止部を512、当該主反射鏡52側とは反対側の封止部を513とする)とを有している。これらのうち、封止部512は、本発明の第1封止部に相当し、封止部513は、本発明の第2封止部に相当する。
【0020】
発光部511の内部には、タングステンにより形成された一対の電極E(E1,E2)が配置され、当該一対の電極E1,E2間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間Sが形成されている。
一対の封止部512,513の内部には、電極E1,E2とそれぞれ電気的に接続されるモリブデン製の金属箔5121,5131が挿入され、当該一対の封止部512,513における発光部511とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。これら各金属箔5121,5131には、発光管51の外部まで延出する電極引出線514,515がそれぞれ接続され、これら電極引出線514,515に対して、電圧を印加すると、発光部511内部が発光する。
【0021】
このような発光管51には、発光部511から封止部513側に射出された光を主反射鏡52側に反射する第2反射鏡としての副反射鏡54が固定されている。この副反射鏡54は、封止部513が挿通される開口5411を有する略円筒状の首状部541と、当該首状部541から拡がる反射部542とを有している。
反射部542は、発光部511における封止部513側を覆うように配置され、発光部511における封止部513側の外形に沿うように断面視略凹状に形成されている。この反射部542における発光部511と対向する面には反射面5421が形成されており、当該反射面5421は、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過するコールドミラーとして形成されている。
【0022】
主反射鏡52は、本発明の第1反射鏡に相当し、入射した光を反射して、照明光軸A上の焦点位置に収束させるガラス製の一体成形品である。この主反射鏡52は、封止部512に接着剤Bにより固定される。このような主反射鏡52には、封止部512が挿通される開口5211を有する略円筒状の首状部521と、当該首状部521から拡がる凹曲面状の反射部522とが形成されている。
【0023】
このうち、反射部522において発光部511に対向する面には、金属薄膜が蒸着された反射面5221が形成されている。この反射面5221は、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過するコールドミラーとして形成されている。
なお、本実施形態では、主反射鏡52は、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ53を省略した構成とすることができる。さらに、主反射鏡52は、自由曲面リフレクタで構成してもよい。
【0024】
そして、前述の副反射鏡54を発光管51に取り付けることにより、発光部511から射出された光のうち、主反射鏡52側とは反対側(すなわち、封止部513側)に射出された光は、反射面5421により、反射面5221に入射する。このため、当該光は、発光部511から反射面5221に直接入射する光と同様に、当該反射面5221にて反射されて集束される。これにより、光源装置5の光路後段に位置するレンズアレイ411(図1参照)に入射しない光を低減することができる。
【0025】
トリガー線55は、発光管51の点灯性を向上するための始動補助線であり、一端が封止部512にコイル状に巻回され、中央が発光部511、副反射鏡54及び封止部513に沿ってこれらの外側に配置され、他端が接続部516を介して電極引出線515に接続される。この接続部516には、反射部522における端縁近傍に形成された挿通孔5222を介して、当該主反射鏡52の外部に延出するリード線517の一端が接続され、当該リード線517の他端は、電極引出線515及びトリガー線53に電圧を印加するための端子56に接続されている。
このようなトリガー線55を設け、当該トリガー線55に高圧パルス電圧を印加することにより、発光管51の点灯性を向上することができる。
【0026】
図1に戻り、照明光学装置41は、一対のレンズアレイ411,412、偏光変換素子413及び重畳レンズ414を備えている。
色分離光学装置42は、ダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備えている。
【0027】
光学装置44は、フィールドレンズ441と、光変調装置としての3つの液晶パネル442(赤色光用の液晶パネルを442R、緑色光用の液晶パネルを442G、青色光用の液晶パネルを442Bとする)と、それぞれ3つの入射側偏光板443、視野角補償板444及び射出側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備えている。
投射光学装置45は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、光学装置44により形成された画像光を投射面上に拡大投射する。
【0028】
光学部品用筐体46は、前述の各光学装置41〜44を内部に収納する平面視略L字形状に形成された箱状筐体である。この光学部品用筐体46には、内部に設定された照明光軸Aに対する所定位置に、当該各光学装置41〜44を配置及び収納する。
光源収納部材47は、光学部品用筐体46の一端に接続され、内部に光源装置5を収納する。
【0029】
このような光学ユニット4では、前述の構成により、光源装置5から射出された光束は、照明光学装置41により照明領域内の照度が均一化された後、色分離光学装置42にてR(赤),G(緑),B(青)の3つの色光に分離される。これら分離された各色光は、対応する各液晶パネル442にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像光が形成される。そして、色光毎の画像光は、クロスダイクロイックプリズム446にて合成され、投射光学装置45により投射面上に拡大投射される。
【0030】
〔収納体の構成〕
図3〜図5は、光源装置5を示す斜視図である。具体的に、図3及び図4は、光源装置5を光束射出方向先端側で、かつ、当該光源装置5に向かって右側及び左側から見た斜視図であり、図5は、光束射出方向基端側から見た斜視図である。なお、以下の図及び説明では、プロジェクタ1を水平面上に正置き姿勢で載置した際に、水平方向に沿う方向である光源装置5(詳しくは、後述する主反射鏡52)の光束射出方向をZ方向とし、当該Z方向先端側を正面側、基端側を背面側とする。また、当該Z方向に直交する方向のうち、水平方向に沿い、かつ、Z方向先端側(正面側)から見て左方向をX方向とし、当該X方向基端側を右側面側、先端側を左側面側とする。更に、これらZ方向及びX方向に直交する上方向をY方向とし、当該Y方向先端側を上面側、基端側を底面側する。すなわち、X,Y,Zで示される各方向は、それぞれ互いに直交する。
【0031】
光源装置5は、前述のように、光源ランプ50及び平行化凹レンズ53(ともに図1参照)と、これらを内部に収納する収納体6とを備えたユニットとして構成されている。
このうち、収納体6は、ガラスフィラーが含まれる合成樹脂により形成され、図3〜図5に示すように、収納体本体61と、当該収納体本体61のZ方向先端側で、かつ、X方向基端側を覆うダクト部材62と、当該ダクト部材62内に設けられ、自重によって回動する整流板63(図3)と、当該整流板63を軸支する支持部材64(図7参照)とを備えている。そして、詳しくは後述するが、収納体本体61の外面と、ダクト部材62の内面とにより、光源装置5の外部から導入した冷却空気を分岐させる分岐部7A,並びに、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢にある場合に、分岐された冷却空気をそれぞれ発光部511に導く第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cにより構成されるダクト部7が形成される。
【0032】
〔収納体本体の構成〕
図6は、収納体本体61を示す斜視図である。換言すると、図6は、図3に示した状態からダクト部材62を取り外した状態を示す斜視図である。
収納体本体61は、図6に示すように、正面部611、右側面部612、上面部613、下面部614及び左側面部615を有する筒状体様をなしており、これら各面部611〜615により、光源ランプ50を収納するランプ収納部616(図8参照)が内部に形成される。そして、当該ランプ収納部616には、図5に示したように、発光管51が固定された主反射鏡52が、Z方向基端側から収納される。
このうち、正面部611には、光源ランプ50から射出された光が透過する略円形状の開口部6111が形成され、当該開口部6111には、平行化凹レンズ53が嵌め込まれる。
【0033】
右側面部612のZ方向先端側の領域は、ダクト部材62と組み合わさることで、分岐部7Aを形成する。この右側面部612には、図6に示すように、後述する整流板63の回動を規制する一対の回動規制部6121,6122(Y方向基端側の回動規制部を6121とし、先端側の回動規制部を6122とする)が、当該右側面部612の面外方向に突出するように形成されている。これら回動規制部6121,6122は、Z方向基端側が互いに近接し、Z方向先端側が互いに離間した形状を有しており、それぞれZ方向に対して、同角度傾斜している。
また、これら回動規制部6121,6122に挟まれるように、Y方向に沿うスリット状の開口部6123が形成されている。この開口部6123は、本発明の第2開口部に相当し、右側面部612を貫通するように形成されている。このため、ダクト部材62内に導入された冷却空気の一部は、ランプ収納部616(図8参照)内に導入され、当該ランプ収納部616内に収納された発光管51の封止部513側を冷却する。
【0034】
更に、右側面部612のZ方向基端側には、面外方向に突出する一対のボス6124,6125が突設されている。これらのうち、Y方向基端側のボス6124は、ダクト部材62を位置決めするための位置決め部であり、また、Y方向先端側のボス6125は、ダクト部材62を固定するねじが螺合する固定部である。
【0035】
上面部613のZ方向先端側の領域は、ダクト部材62と組み合わさることで、第1ダクト部7Bを形成する。この領域において、X方向基端側には、当該上面部613の略中央より低い段差部6131が形成されている。また、当該領域において、X方向略中央には、Z方向基端側に向かうに従って、Y方向先端側に向かって傾斜した傾斜部6132が形成されている。この傾斜部6132のZ方向基端側の端部には、当該Z方向基端側に向かうに従って、Y方向先端側に反るように湾曲した湾曲部61321が形成されている。
【0036】
また、傾斜部6132のX方向先端側には、上面部613から面外方向に起立する起立部6133が形成され、傾斜部6132のZ方向基端側には、第1開口部としての略矩形の開口部6134が形成されている。更に、この開口部6134のZ方向基端側には、X方向及びY方向に沿う壁部6135が形成されている。このうち、開口部6134のZ方向先端側及び基端側、並びに、X方向先端側の端縁は、傾斜部6132、起立部6133及び壁部6135により形成されている。
【0037】
また、起立部6133のX方向先端側には、Z方向に沿い、かつ、Y方向先端側に向かって起立する起立部6136が形成され、当該起立部6136は、後述するダクト部材62の起立部6243と当接する。
更に、壁部6135のZ方向基端側には、X方向に沿って配置された一対の開口部6137が形成されており、当該開口部6137を介して、主反射鏡52の外周を冷却する冷却空気が導入される。
【0038】
なお、上面部613とは反対側の下面部614においても、段差部6131、傾斜部6132、起立部6133、開口部6134、壁部6135と同様の段差部6141、傾斜部6142、起立部6143、開口部6144、壁部6145(図8参照)が形成されており、収納体本体61とダクト部材62とが組み合わさった際には、これらにより、第2ダクト部7Cが形成される。
【0039】
左側面部615には、図4に示すように、ランプ収納部616内の光源ランプ50を冷却した冷却空気を排出するための略矩形の開口部6151が、Z方向先端側に形成されている。この開口部6151の形成位置は、主反射鏡52よりZ方向先端側に位置している。そして、当該開口部6151内には、メッシュが貼付された枠体6152が取り付けられ、当該枠体6152により、発光管51が破損した場合に、当該発光管51の破片が飛散することを防ぐ。
また、左側面部615のZ方向基端側には、内側に凹んだコネクタ収納部6153が形成され、当該コネクタ収納部6153内に、前述の端子56及び電極引出線514に接続されるコネクタCNが取り付けられる。
【0040】
〔ダクト部材の構成〕
図7は、ダクト部材62を示す斜視図である。
ダクト部材62は、収納体本体61にねじ等により取り付けられ、当該収納体本体61の右側面部612、上面部613及び下面部614(図6参照)とダクト部材62の内面とにより、前述のダクト部7を形成する。このダクト部材62は、図7に示すように、Z方向基端側から見て、X方向先端側が開口した略逆C字状に形成されている。このようなダクト部材62は、正面部621、背面部622、右側面部623、天面部624及び底面部625を備えている。そして、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際には、右側面部623、天面部624及び底面部625は、それぞれ、右側面部612、上面部613及び下面部614に対向する。
【0041】
正面部621は、各面部612,613,614の外形に応じた切欠6221を有し、これにより、正面部621と正面部611とは面一となる。
また、正面部621におけるX方向基端側には、Y方向に長手方向を有する略矩形の導入口6212が形成されている。導入口6212は、前述の冷却ファン93(図1参照)の吐出口に接続され、当該冷却ファン93から吐出された冷却空気をダクト部材62内部に導入する。この導入口6212の内側には、メッシュが貼付された枠体6213が嵌め込まれており、前述の枠体6152と同様に、発光管51の破片が飛散することを防ぐ。
更に、正面部621におけるZ方向基端側の面には、導入口6212のY方向基端側及び先端側の端縁から、面外方向に突出する突出部6214がそれぞれ形成されている。これら突出部6214のうちの一方には、自重によって回動した整流板63の端部が当接する。
【0042】
背面部622は、収納体本体61の外側で、正面部621と対向し、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際に、当該正面部621及び右側面部623とともに、分岐部7A及び各ダクト部7B,7Cの一部を構成する。
この背面部622のX方向先端側の端縁には、整流板63を軸支する支持部材64が取り付けられる凹部6211が形成されている。
【0043】
右側面部623の内面(X方向先端側の面)には、前述の一対の回動規制部6121,6122に対応する位置に、同様の形状を有する一対の回動規制部6231,6232(Y方向基端側の回動規制部を6231とし、先端側の回動規制部を6232とする)が、突設されている。また、これら回動規制部6231,6232に挟まれ、かつ、当該回動規制部6231,6232が最も近接する位置に、略円形状の凹部6233が形成され、当該凹部6233には、後述する整流板63の回動軸となる延出部632が挿入される。また、右側面部623の内面におけるZ方向基端側には、支持部材64を固定するねじ65が螺合するねじ孔(図示省略)が形成されている。
【0044】
天面部624は、上面部613に形成された段差部6131、傾斜部6132、起立部6133、開口部6134及び壁部6135を被覆する。この際、天面部624のY方向基端側の面と、起立部6133のY方向先端側の端縁、及び、壁部6135のZ方向先端側の端縁とは、互いに当接し、これら天面部624、上面部613、正面部621及び背面部622により、内部に第1ダクト部7Bが形成される。
【0045】
また、天面部624には、Y方向先端側に向かって突出する突出部6241が形成され、当該突出部6241には、開口部6137を介して、ランプ収納部616に収納された主反射鏡52の外周に冷却空気を流通させるための開口部6242が形成されている。しかしながら、当該開口部6242は、第1ダクト部7Bとは連通せず、開口部6242を流通する冷却空気の流路と、第1ダクト部7B内を流通する冷却空気の流路とは、それぞれ独立している。
【0046】
天面部624のX方向先端側には、Y方向先端側に向かって起立する起立部6243が形成され、当該起立部6243は、上面部613に形成された起立部6136に当接し、収納体本体61に対するダクト部材62の位置決めを行っている。
また、天面部624の内面(Y方向基端側の面)624Aには、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際の開口部6134に応じた位置に、金属製の板状体624A1(図10参照)が取り付けられている。この板状体624A1は、開口部6134を介して発光部511から射出された光が天面部624に直接入射し、当該光の入射位置が劣化することを防ぐ。
【0047】
底面部625は、略平坦に形成され、ダクト部材62が収納体本体61に取り付けられた際に、天面部624と同様に、下面部614に形成された段差部6141、傾斜部6142、起立部6143、開口部6144及び壁部6145を被覆する。そして、これら底面部625、下面部614、正面部621及び背面部622により、内部に第2ダクト部7Cが形成される。なお、底面部625の内面625Aにおいても、開口部6144に応じた位置に、金属製の板状体625A1(図10参照)が取り付けられている。
【0048】
〔整流板の構成〕
整流板63は、本発明の整流部材に相当し、前述のように、分岐部7A内に配置され、回動規制部6121,6231から回動規制部6122,6232までの範囲内で自重によって回動して、導入口6212から導入された冷却空気のうち、一部の冷却空気の流通方向を第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cに変更する。この整流板63は、板状体として形成され、中央に位置する整流部631と、当該整流部631の一端側に形成され、互いに離間する方向に延出する延出部632とを備えている。
【0049】
このうち、一方の延出部632は、凹部6233に挿入され、また、他方の延出部632は、支持部材64に形成された孔部641に挿入される。そして、この支持部材64が右側面部623に形成された前述のねじ孔に固定されることにより、整流板63は、当該延出部632を回動軸として軸支される。
整流部631は、冷却空気の流通方向を上方向に変更する部位である。この整流部631は、整流板63が自重によって回動した際に、鉛直方向先端側に位置する回動規制部(プロジェクタ1が正置き姿勢の場合では回動規制部6121,6231、天吊り姿勢の場合では回動規制部6122,6232)に当接するとともに、鉛直方向先端側に位置する突出部6214に当接する。これにより、導入口6212を介して導入された一部の冷却空気は、その流通方向を上方に変更される。なお、他の冷却空気は、前述の開口部6123(図6参照)を介して、ランプ収納部616内に導入される。
【0050】
〔冷却空気の流路〕
以下、光源ランプ50を冷却する冷却空気の流路について説明する。なお、以下の説明では、プロジェクタ1が正置き姿勢である場合について述べる。
図8から図10は、光源ランプ50を冷却する冷却空気の流路を示す図である。換言すると、図8及び図10は、光源ランプ50の中心軸を含む水平面及び鉛直面での光源装置5を示す横断面図及び縦断面図である。また、図9は、想像線でダクト部材62を示した光源装置5を示す斜視図である。
図8に示すように、ファン93から吐出された冷却空気はD1方向に進行し、導入口6212を介して、分岐部7A内に導入される。この冷却空気のうち、一部の冷却空気は、D2方向(X方向先端側に向かう方向)に分岐し、スリット状の開口部6123を介して、ランプ収納部616内に導入される。そして、当該冷却空気は、発光管51の封止部513側を冷却する。
一方、他の冷却空気は、回動規制部6121,6231に当接するまで自重によって鉛直方向に回動した整流板63により、D3方向(Y方向先端側に向かう方向)に分岐し、分岐部7A内を第1ダクト部7Bに向かって流通する。
【0051】
D3方向に流通した冷却空気は、図9に示すように、収納体本体61の上面部613、並びに、ダクト部材62の正面部621、背面部622及び天面部624により囲まれた第1ダクト部7B内に進入する。そして、当該冷却空気は、第1ダクト部7B内をD4方向(X方向先端側に向かう方向)に沿って流通する。
【0052】
D4方向に流通した冷却空気の流通方向は、図10に示すように、起立部6133により、D5方向(Z方向基端側に向かう方向)に変更される。
この後、冷却空気は、天面部624、傾斜部6132及び起立部6133に沿って流通した後、第1ダクト部7Bの終端となる壁部6135に当たることで、開口部6134を介して、ランプ収納部616内に進入する。この際、傾斜部6132は、Z方向基端側に向かうに従ってY方向先端側に向かって傾斜しており、また、当該傾斜部6132のZ方向基端側の端部には、Y方向先端側に向かって反る湾曲部61321が形成されている。更に、開口部6134の端縁を形成する壁部6135は、天面部624の内面624A(収納体本体61の上面部613に対向する面624A)に対して垂直な壁となっている。このため、傾斜部6132に沿って流通した冷却空気は、傾斜部6132、湾曲部61321、内面624A、壁部6135によって、D6方向、すなわち、発光部511の上部に向かう方向に直線的に流通方向が変更する。
【0053】
そして、D6方向に流通した冷却空気は、当該D6方向と同方向であるD7方向に流通し、当該D7方向上に位置する発光部511の上部に送風される。この際、壁部6135のZ方向基端側の端面には、主反射鏡52の開口端(反射部522のZ方向先端側の端縁)が当接されているので、開口部6134からランプ収納部616内に導入された冷却空気の進行方向が変わることなく、発光部511上部に、当該冷却空気を送風することができる。これにより、第1ダクト部7Bを流通した冷却空気は、主反射鏡52の反射面5221に沿って流通するのではなく、発光部511の上部に直接送風され、当該発光部511の上部を効果的に冷却することができる。
このような発光部511を冷却した冷却空気、及び、分岐部7Aにて開口部6123を介して導入され、かつ、封止部513を冷却した冷却空気は、当該開口部6123とは反対側の左側面部615に形成された開口部6151を介して、ファン94により吸引され、収納体6の外部に排出される。
【0054】
なお、光源装置5の上下が反転された場合、すなわち、プロジェクタ1が天吊り姿勢とされた場合には、整流板63の回動方向が反転し、分岐部7Aにて分岐された冷却空気は、第2ダクト部7C内を流通する。この際、第2ダクト部7Cは、第1ダクト部7Bと同様の構成を備えているので、当該天吊り姿勢でも、第2ダクト部7C内を流通した冷却空気は、発光部511上部に送風され、当該上部が効果的に冷却される。
【0055】
図11は、本実施形態に対する比較例としての光源装置5Aを示す断面図であり、換言すると、傾斜部6132に代えて平坦部6132Aが形成された光源装置5Aを示す縦断面図である。
ここで、傾斜部6132が形成されていない場合の冷却空気の流路について説明する。なお、以下に示す光源装置5Aは、傾斜部6132に代えて、Z方向及びX方向に沿う平坦部6132Aを備えるほかは、光源装置5と同様の構成を備えており、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
光源装置5Aにおける第1ダクト部7B内に流通した冷却空気は、天面部624、平坦部6132A及び起立部6133に沿って、F5方向(Z方向基端側に向かう方向)に流通する。ここで、平坦部6132Aは、対向する内面624Aとともに、Z方向に沿う平坦面を有しているので、当該冷却空気は、壁部6135に沿ってF6方向に流通し、開口部6134を介してランプ収納部616内に進入する。
【0057】
ランプ収納部616内に進入した冷却空気は、当該ランプ収納部616内で拡散する。このうち、一部の冷却空気は、主反射鏡52の反射面5221に沿ってF7方向に流通する。この冷却空気は、反射面5221と発光部511との間に向かって流通し、当該冷却空気の更に一部が、発光部511上部に送風される。このため、傾斜部6132が形成された光源装置5に比べて、発光部511上部に送風される冷却空気の流量及び風圧は低く、当該上部の冷却効率は低い。
【0058】
以上説明した本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果がある。
第1ダクト部7B内を流通する冷却空気は、傾斜部6132により、開口部6134が形成された上面部613に対向する内面624Aに向かって傾斜して流通する。このため、当該冷却空気は、これら傾斜部6132、内面624A及び壁部6135により、開口部6134を介して、発光部511に向かって流通方向が変更されて進行する。これにより、副反射鏡54を避けて、発光部511上部に対して開口部6134から直線的に冷却空気を送風することができるので、当該発光部511上部を効果的に冷却することができる。なお、傾斜部6132のZ方向基端側には、Y方向先端側に向かって反った湾曲部61321が形成されているので、発光部511の上部に向かって、一層角度を付けて冷却空気を送風することができる。
【0059】
更に、光源装置5への冷却空気の送風方向が、当該光源装置5の正面側からとしても、前述の構成により、発光部511上部に冷却空気を適切に送風することができ、光源装置5を冷却するファン93をプロジェクタ1のサイズに影響しない位置に配置することができる。従って、プロジェクタ1のサイズを大きくすることなく、光源装置5の冷却を効率よく行うことができる。
【0060】
また、第1ダクト部7B、及び、当該第1ダクト部7Bと同様の構成の第2ダクト部7Cが、収納体6の上下、すなわち、発光管51の上下に位置しているので、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれの場合でも、発光部511上部に冷却空気を送風することができる。従って、発光部511上部を積極的に冷却することができ、発光部511における上部と下部との温度差を小さくすることができるので、発光管51の劣化を一層抑制することができる。
【0061】
壁部6135のZ方向基端側の端面には、主反射鏡52の開口端が当接される。これによれば、当該壁部6135により端縁が形成される開口部6134と、主反射鏡52の開口端とは、互いに近接するので、これらが互いに離間している場合に比べ、短い距離で直線的に冷却空気を発光部511上部に送風することができる。従って、発光部511における上部に確実に冷却空気を送風することができ、当該上部の冷却効率を向上できる。
【0062】
分岐部7Aに導入された冷却空気のうち、一部の冷却空気は、開口部6123を介して、ランプ収納部616内に導入され、発光管51の封止部513側を冷却する。これによれば、第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cを流通する冷却空気とともに、発光管51全体を冷却することができるので、発光管51の冷却効率を高め、当該発光管51の更なる長寿命化を図ることができる。
【0063】
発光管51には、発光部511における封止部513側を覆う副反射鏡54が設けられているので、主反射鏡52に直接入射しない光の一部を、副反射鏡54により主反射鏡52に入射させることができる。従って、発光部511から射出された光の利用効率を向上することができる。
また、前述のように、当該副反射鏡54が設けられている場合でも、発光部511における上部に冷却空気を直線的に送風することができるので、当該副反射鏡54を避けて、発光部511上部を適切に冷却することができる。
【0064】
分岐部7A内には、自重によって回動する整流板63が設けられ、当該整流板63により、第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cのうち、発光管51の上方に位置するダクト部に冷却空気を流通させることができる。従って、プロジェクタ1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれかの姿勢であっても、発光部511における上部に冷却空気を送風して、当該上部を適切に冷却することができる。
【0065】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、傾斜部6132には、Z方向基端側に、Y方向先端側に向かって反った湾曲部61321が形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、湾曲部61321が形成されていなくてもよい。また、前述の平坦部6132Aが、Z方向基端側の開口部6134近傍に、Y方向先端側に反った傾斜部を有する構成としてもよい。この場合、当該傾斜部が、本発明の傾斜部に相当する。なお、傾斜部6142においても同様である。
【0066】
前記実施形態では、壁部6135は、天面部624の内面624Aに対する垂直な壁となるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該壁部の内面624Aに対する角度は、第1ダクト部7B内を流通する冷却空気が、発光部511における上部に送風されるような角度であればよく、適宜設定してよい。なお、壁部6145においても同様である。
【0067】
前記実施形態では、壁部6135のZ方向基端側には、主反射鏡52の開口端が当接されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該壁部6135により端縁が形成される開口部6134と、主反射鏡52の開口端とが離間していてもよい。なお、開口部6144及び壁部6145においても同様である。
【0068】
前記実施形態では、発光管51は、略球状の発光部511と、当該発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513とを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、発光部と、当該発光部の一端から延出する封止部とがあればよい。また、副反射鏡54は、無くても良い。
【0069】
前記実施形態では、整流板63は、延出部632を回動軸とし、自重によって回動することで、分岐部7A内に導入された冷却空気の一部を、第1ダクト部7B又は第2ダクト部7Cに導風するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、自重によって移動して、第1ダクト部及び第2ダクト部のうちの下方に位置するダクト部への流路を遮蔽し、上方に位置するダクト部に冷却空気を導風する整流部材を採用してもよい。
【0070】
前記実施形態では、光源装置5は、内部に整流板63が配置される分岐部7A、第1ダクト部7B及び第2ダクト部7Cを備える構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、プロジェクタ1を天吊り姿勢としない場合は、第2ダクト部7C及び整流板63を設けない構成としてもよい。
【0071】
前記実施形態では、プロジェクタ1は、3つの液晶パネル442R,442G,442Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも、本発明を適用可能である。
また、前記実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
さらに、前記実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【0072】
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネル442を備えたプロジェクタ1を例示したが、入射光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクタにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板443,445は省略することができる。
【0073】
前記実施形態では、光源装置5を、プロジェクタ1に採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような光源装置5は、スタンド等の照明装置に利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、光源装置に利用することができ、特にプロジェクタに採用される光源装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…プロジェクタ、5…光源装置、6…収納体、7…ダクト部、51…発光管、52…主反射鏡(第1反射鏡)、54…副反射鏡(第2反射鏡)、63…整流板(整流部材)、7A…分岐部、7B…第1ダクト部、7C…第2ダクト部、511…発光部、512…封止部(第1封止部)、513…封止部(第2封止部)、5221…反射面、6123…開口部(第2開口部)、6132,6142…傾斜部、6134,6144…開口部(第1開口部)、6135,6145…壁部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光部、及び、当該発光部の一端から延出する第1封止部を備える発光管と、
前記第1封止部に取り付けられ、前記発光部から射出された光を反射する略凹曲面状の反射面を有する第1反射鏡と、
前記発光管及び前記第1反射鏡を収納する収納体とを備え、
前記収納体は、前記発光管の上方に位置し、前記反射面により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が、前記反射面により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部を備え、
前記ダクト部は、
前記発光管に向かって開口し、前記第1反射鏡の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部と、
前記第1開口部における前記進行方向基端側の端縁を形成し、当該ダクト部の終端となる壁部と、
前記第1開口部における前記進行方向先端側の端縁近傍に設けられ、前記冷却空気を、前記第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部とを有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記壁部における前記進行方向基端側の端面には、前記第1反射鏡の開口端が当接することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光源装置において、
前記発光管は、前記発光部における前記第1封止部とは反対側の端部から延出する第2封止部を備え、
前記ダクト部は、当該ダクト部内を流通する前記冷却空気の一部を分岐させて、前記第2封止部に導風する第2開口部を有する分岐部を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置において、
前記発光管は、前記発光部における前記進行方向先端側を覆い、入射した光を前記第1反射鏡に向かって反射する第2反射鏡を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置において、
前記ダクト部は、
前記発光管の中央を中心として、対向するように配置され、それぞれ前記第1開口部、前記壁部及び前記傾斜部を有する第1ダクト部及び第2ダクト部と、
自重によって移動して、前記第1ダクト部及び前記第2ダクト部のうち、前記発光管の上方に位置するダクト部に向かって前記冷却空気を流通させる整流部材とが設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して画像光を形成する光変調装置と、当該画像光を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項1】
光を射出する発光部、及び、当該発光部の一端から延出する第1封止部を備える発光管と、
前記第1封止部に取り付けられ、前記発光部から射出された光を反射する略凹曲面状の反射面を有する第1反射鏡と、
前記発光管及び前記第1反射鏡を収納する収納体とを備え、
前記収納体は、前記発光管の上方に位置し、前記反射面により反射される光束の中心軸に沿って延出して、冷却空気が、前記反射面により反射された光の進行方向とは反対方向に向かって流通するダクト部を備え、
前記ダクト部は、
前記発光管に向かって開口し、前記第1反射鏡の開口端より前記進行方向先端側に位置する第1開口部と、
前記第1開口部における前記進行方向基端側の端縁を形成し、当該ダクト部の終端となる壁部と、
前記第1開口部における前記進行方向先端側の端縁近傍に設けられ、前記冷却空気を、前記第1開口部が形成された面とは反対側の面に向かって傾斜させる傾斜部とを有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記壁部における前記進行方向基端側の端面には、前記第1反射鏡の開口端が当接することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光源装置において、
前記発光管は、前記発光部における前記第1封止部とは反対側の端部から延出する第2封止部を備え、
前記ダクト部は、当該ダクト部内を流通する前記冷却空気の一部を分岐させて、前記第2封止部に導風する第2開口部を有する分岐部を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置において、
前記発光管は、前記発光部における前記進行方向先端側を覆い、入射した光を前記第1反射鏡に向かって反射する第2反射鏡を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置において、
前記ダクト部は、
前記発光管の中央を中心として、対向するように配置され、それぞれ前記第1開口部、前記壁部及び前記傾斜部を有する第1ダクト部及び第2ダクト部と、
自重によって移動して、前記第1ダクト部及び前記第2ダクト部のうち、前記発光管の上方に位置するダクト部に向かって前記冷却空気を流通させる整流部材とが設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光源装置と、当該光源装置から射出された光を変調して画像光を形成する光変調装置と、当該画像光を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とするプロジェクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−77024(P2013−77024A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281847(P2012−281847)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−276913(P2008−276913)の分割
【原出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−276913(P2008−276913)の分割
【原出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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