説明

光源装置

【課題】 二つの光源装置の機能を満足しながらも、小型で且つ安価な光源装置を提供する。
【解決手段】 ランプ光源ユニット(2)が同ユニットベース(13)上に取り付けられた状態そのままで、好ましくは光源装置本体(1)に固設された移動手段(19)であるスライドレールに沿って、該本体前方(光軸方向)に一体的に移動させてランプ光源ユニット(2)を取り外し、別光源であるLED用回路ユニット(5)と交換する。この際、LED用回路ユニット(5)の接続コネクタ(7)に、LED照射ユニット(6)を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理検査装置の照明や、医療用あるいはイルミネーション用照明に用いられる光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生産ラインでの検査工程や光硬化性樹脂の硬化工程等においては、従来のハロゲン等のランプ光源と光ファイバー束とからなるライトガイド方式の光源装置に替わって、低消費電力型で尚且つ耐久性に優れたLED(発光ダイオード)光源装置が使用されるようになってきた。
しかしながら、LED光源装置は、ライトガイド方式の光源装置と比較した場合、光量が劣り、さらには上市済みの青色LEDさえ、未だ完全な白色光源を得るには至っていない現状にある。したがって、対象物の種類あるいは、用途によっては、LED光源装置のみでは対応できないという問題が未解決のまま残されている。
勿論、上記の不利益は、ライトガイド方式の光源装置とLED光源装置とを併用することにより解消されるものの、2台の光源装置を購入し、常時保管・維持するための必要コスト及びスペースは無視できない。別の対応策として、単一(一台)の光源装置に従来のライトガイド方式の光源装置とLED光源装置の両方の機能を組み込むことも考えられる。しかし、この場合は、いかんせん装置の大型化は避けられず、結局、上記2台の光源装置を併用する場合と大差ないことになってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に上記二つの光源装置の機能を満足しながらも、小型で且つ安価な光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、単一の光源装置本体に少なくとも二種類の、ランプ光源ユニットおよび/または発光体用回路ユニットを互換的に装着する構成を採ることにより、ユニット単位での光源交換を実現するに至った。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、単一の光源装置において、ランプ光源ユニット(または発光体用回路ユニット)が装着されるスペースに、発光体用回路ユニット(またはランプ光源ユニット)を互換的に装着する構成としたので、以下のような格別顕著な効果が得られる。
a.照射光の異なる2台以上の光源装置を必要とせず、単一の光源装置において、一方のユニットを他のユニットと交換することにより、2台分の照射状態が容易に得られる。
b.ランプは、これを含むランプ光源ユニット単位で交換される。したがって、ランプに直接触れることがないので、火傷の心配もなく、さらには、レンズ等の光学部品に直接触れる必要も無いので、手指の損傷(切りきず)の懸念も無く、照射光の変更が安全かつ容易に遂行される。
c.光源装置自体の小型・軽量化、及びコストダウンが実現される。
d.ユニットを一体的に取り出して交換するので、ランプ光源ユニットの場合の光学系の再調整が不要でメンテナンスが楽になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を、2種類のユニットとしてランプ光源ユニットとLED発光用回路ユニットとを用い、これらを取り換えるようにした光源装置の例について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、ライトガイド方式の光源装置の斜視図である。
図2は、図1の光源装置における光源装置本体の内部構成を示す略線図である。
図3は、図2のランプ光源ユニットが光源装置本体から取り出された状態を示す斜視図である。
図4は、図2のランプ光源ユニットをLED発光用回路ユニットと取り換えた際のLED光源装置の斜視図である。
図5は、図4のLED光源装置における光源装置本体の内部構成を示す略線図である。
図1において、(1)は光源装置本体、(2a)は、図2に示すランプ光源ユニット(2)の前面パネル、(3)はランプからの光を対象物に当てるための照射手段、そして、(4)は照射手段(3)とランプ光源ユニット(2)とを接続する光コネクタである。ランプ光源ユニット(2)は、後述するように、光源装置本体(1)に着脱自在に装着されている。また、この例における照射手段(3)は光ファイバー束(3a)が金属外套管(3b)に挿入されてなるライトガイドとして図示されている。
一方、上述した光源装置本体(1)のランプ光源ユニット(2)を、図5に示すLED発光用回路ユニット(5)と取り換えた際の態様を示すのが図4である。該図において、(5a)は、図5に示すLED発光用回路ユニット(5)の前面パネル、(6)は照射手段、そして、(7)はLED発光用回路ユニット(5)と給電線(6b)とを接続するコネクタである。LED発光用回路ユニット(5)は、後述するように、光源装置本体(1)に脱着自在に装着されている。また、この例における照射手段(6)は、LEDチップ(6a)を環状に配列してなる照射部と、該チップ(6a)と、該チップ(6a)への給電線であるリード線(6b)とからなる構成として図示してある。このリード線(6b)は、上記のライトガイドの場合と同様に金属外套管(3b)に挿入されている。
本発明において、特徴的なことは、単一の光源装置で複数の所望照射光を得ることにある。上記の例で言えば、ランプ光源ユニット(2)をLED発光用回路ユニット(5)と交換することにより、単一の光源装置でありながらランプによる照射状態とLEDによる照射状態の2種類の照射状態が得られる。
以下、光源装置本体(1)に既に装着されている一方のユニットを他のユニットで取り換える態様について、図2〜3および図5に基づいて説明する。
図2において、ランプ光源ユニット(2)は、ハロゲンランプや放電管等で代表されるランプ(8)、熱線吸収フィルタ(9)、メカニカルシャッタ(10)、カラーフィルタ(11)、ランプ固定板(12)、これらの光学部品(8)〜(13)が一体的に取り付けられたユニットベース(13)、および該ユニットベース(13)の先端に固定された光コネクタ(4)付き前面パネル(2a)から構成されている。ここで、ユニットベース(13)は、上記の光学部品(8)〜(13)を一体的に光源装置本体(1)の外部に取り出すためのものである。
さらに、光源装置本体(1)には、上記のランプ光源ユニット(2)に加えて、ランプ(8)用の電源部(14)、ランプ(8)と電源部(14)とを調光回路(15)経由で接続するためリード線(16)、ランプ(8)背面の導体部とリード線(16)の終端とを接続するコネクタ(17)、さらには、冷却ファン(18)等が固定状態で内蔵される。そして、これらの(14)〜(18)の部材は、後述するように、互換性のある各ユニットに対して共用部分として機能する。
このような光源装置において、ランプ光源ユニット(2)は光源装置本体(1)に着脱自在に装着される。その一手段として、ランプ光源ユニット(2)を光源装置本体(1)の前面から該本体外部に移動させてから取り外すための移動手段(19)が設けられる。具体的な移動手段(19)としては、該ユニットを載置して移動させるようなスライドレール方式や回転式等が挙げられる。さらに、取り出し方向も、光源装置本体(1)の左右側面あるいは上下面取り出し等各種の方向があるが、その中でも、スペースが無い所でも対応できる前面スライド取り出し方式が特に好ましい。
図3には、図2に示したランプ光源ユニット(2)が、光源装置本体(1)に固設された移動手段(19)であるスライドレールに沿って外方に移動した状態が示されている。ここでは、ランプ光源ユニット(2)は該スライドレールに載置された状態でレール方向に沿って、光源装置本体(1)の前方(光軸方向)に一体的に移動し、該ユニット上の全ての光学部品が該本体(1)の外部に露出した状態となる。この状態でランプ光源ユニット(2)は光源装置本体(1)から取り外され、替って、LED発光用回路ユニット(5)がスライドレールに載置され、光源装置本体(1)内に移動して装着される。
このLED発光用回路ユニット(5)は、図5に示すように、ランプ光源ユニット(2)の場合と同一寸法のユニットベース(13)上に電圧変換回路基板(20)、基板固定板(21)、電圧変換回路基板(20)に接続する光量調整ボリューム(22)、および、前面パネル(5a)に取り付けられたコネクタ(7)等から構成される。このとき、LED発光用回路ユニット(5)も上記のスライドレール方式で移動させることにより一体的に移動する。なお、電圧変換回路基板(20)は、調光回路(15)からの出力を受けて、LED光源に適した電圧に変換(降圧)する機能を有する。
本発明においては、光源装置本体(1)に内蔵される、LED発光用回路ユニット(5)以外の部品である電源部(14)、調光回路(15)、リード線(16)、リード線コネクタ(17)、冷却ファン(18)、および移動手段(19)等は、図2のランプ光源ユニットの場合と同一として、両光源に対して共用化することで、光源装置の小型・軽量化、及びコストダウンが実現する。また、ランプ光源ユニット(2)の場合、光学系を一体的に取り出しているので、ユニット交換の際、光学系がずれることがなくなり、光学系の再調整が不要となる。
この場合、各ユニットは、上述の移動、共用部分からの切り離し、更には、取り換えたユニットと共用部分の接続等を考慮し、本態様のようにコネクタ(17)を介してリード線(16)に接続する方式が望ましい。
本発明において使用するライトガイド(3)としては、斯界で常用されている、多数本のガラス乃至プラスチック製の光ファイバー素線束が好ましく用いられる。照射端の形状も、使用・用途に応じて、円形、方形、リング状等各種の態様が採択される。一方、照射部を形成するLEDについても、各種のLEDが使用できるとともに、照射端の形状も、使用・用途に応じて、円形、方形、リング状等各種の態様が採択される。
【0007】
以上に述べた態様では、光源であるLEDを光源装置本体外部の照射部に設けたが、ランプ光源ユニットのランプに替えて、LEDを内蔵させたLED光源ユニットとしてもよい。
又、以上に述べた態様は、光源装置本体の前面からランプ光源ユニットを取り出し、他のユニットと交換する例であるが、これ以外に、スペースとの関係において、該本体の背面、側面、更には底面から取り出す構成としてもよい。同様なことは、既に述べた光学部品(9)〜(13)や共用部分(15)〜(19)についても言える。例えば、光学部品としては他にも、
偏光フィルタ、偏光レンズ、電気シャッタ、更には光センサ等があるので、必要に応じて、つまり必要とされる光源ユニットの機能に応じて、これらを適宜組み合わせればよい。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明の光源装置は、工業用あるいは歯科用光硬化性樹脂の硬化装置用光源装置として有用であるばかりか、赤外線を照射する美容用の光源装置ディスプレイ用照明としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る、ライトガイド方式の光源装置の斜視図である。
【図2】図1の光源装置における光源装置本体の内部構成を示す略線図である。
【図3】図2のランプ光源ユニットが光源装置本体から取り出された状態を示す斜視図である。
【図4】図2のランプ光源ユニットをLED発光用回路ユニットと取り換えた際のLED光源装置の斜視図である。
【図5】図4の光源装置における光源装置本体の内部構成を示す略線図である。
【符号の説明】
【0010】
1 光源装置本体
2 ランプ光源ユニット
2a ランプ光源ユニットの前面パネル
3 ライトガイド
3a 光ファイバ束
3b 金属外套管
4 光コネクタ
5 LED発光用回路ユニット
5a LED用発光用回路ユニットの前面パネル
6 LEDを利用した照射手段
6a 環状に配列されたLEDチップ
6b LEDへの給電線(リード線)
7 電気コネクタ
8 ランプ
9 熱線吸収フィルタ
10 メカニカルシャッタ
11 カラーフィルタ
12 ランプ固定板
13 ユニットベース
14 電源部
15 調光回路
16 リード線
17 リード線コネクタ
18 冷却ファン
19 ユニットの移動手段(スライドレール)
20 電圧変換回路基板
21 基板固定板
22 調整ボリューム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ光源ユニットまたは発光体用回路ユニットを内蔵する光源装置本体と、該ユニットに接続し且つ該光源装置本体の外部に延びる照射手段とを含む光源装置において、該ランプ光源ユニットと発光体用回路ユニットとが該光源装置本体に互換的に装着されるように構成され、これにより、単一の光源装置で各ユニットに対応した複数の照射状態を得るようにしたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
該ランプ光源ユニットと該照射手段とが光コネクタを介して接続されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
該照射手段が光ファイバー束からなるライトガイドである請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
該発光体用回路ユニットがLED発光用ユニットである請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
該LED発光用回路ユニットが電圧変換回路基板を含む請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
該LED発光用回路ユニットが光量調節のための調整ボリュームを含む請求項4または5に記載の光源装置。
【請求項7】
該照射手段がLEDと給電線とからなる請求項4〜6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
該LED発光用回路ユニットと該給電線とが電気コネクタを介して接続されている請求項4〜7のいずれかに記載の光源装置。
【請求項9】
該光源装置本体が、各ユニットを一体的に取り出し自在とする移動手段を有する請求項1〜8のいずれかに記載の光源装置。
【請求項10】
該移動手段がスライドレールである請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
該移動手段の移動方向が該光源装置本体の光軸方向である請求項9または10に記載の光源装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−17563(P2006−17563A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194990(P2004−194990)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】