光照射装置、画像読取装置および画像形成装置
【課題】本発明は、光源部と導光部材との相対位置を高い精度で位置決めすることを小型で容易に行える光照射装置を提供する。
【解決手段】直線状に配列された複数の点光源43と、点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材403とを備え、導光部材の入射面403aには点光源側に突出した突起部403cが点光源の配列方向に少なくとも2つ設けられ、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面43aを2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔Sを位置決めした。
【解決手段】直線状に配列された複数の点光源43と、点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材403とを備え、導光部材の入射面403aには点光源側に突出した突起部403cが点光源の配列方向に少なくとも2つ設けられ、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面43aを2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔Sを位置決めした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、イメージスキャナ等に使用される光照射装置と、この光照射装置を備えた画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置に用いられる画像読取装置には、原稿を照明する光源部として複数のLED(点光源)を直線状に配列した光照射装置が用いられたものがある。このような複数のLEDを光源部とした場合、照明対象物(原稿)におけるLEDの配列方向の照度リップル(照度分布のムラ)の発生があるため、照明対象物となる原稿と点光源との間に透明樹脂やガラス等からなる導光部材を配置することが多い。この導光部材は、複数の点光源から出射されて円形に拡散する照射光を原稿面に向けて原稿読取時の主走査方向に沿って導光することにより、照度リップルの発生を抑制している。これにより小さいLED等を光源部として用いても、ある幅を持った照明対象(原稿)に強度が大きい光を照射することが可能となる。このような構成を備えたものとしては、特許文献1,2が挙げられる。
しかし、特許文献1,2等に開示された構成では、複数のLEDと導光部材との位置関係にバラツキを生じると、原稿面を主走査方向に沿って均等に照明することが困難になるという課題がある。これはLED等のように比較的光照射強度が小さい光源部を用いる場合、その光源部から照射された光をなるべく多く導光部材へ入射させ、かつ、導光部材に入射した入射光の多くを照射対象に向けて出射させ、そのうえで光照射強度のムラも抑えることが望まれる。この要望に応えるためには、光源部と導光部材との相対的な位置決めに高い精度が要求される。
そこで、特許文献3では、光源部と導光部材との相対的位置を決めるために、LED(基板)の位置決め部材を設け、導光部材とLED(基板)の位置決めを行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献3のように位置決め部材を設けると、光源部と導光部材との相対的な位置決め精度を高められるのが、位置決め部材と言う部品が増加するため、光照射装置の小型化・薄型化を図ることが困難であった。また、LEDと導光部材の間に位置決め部材を設けると、部品の公差が積み上がり、光源部と導光部材とを相対的に高い位置決め精度で組み付けるという作業面での課題が懸念される。さらに、LEDの熱的な変動が加わると、光源部と導光部材との相対的な位置関係を確保するのが難しい。
本発明は、光源部と導光部材との相対位置を高い精度で位置決めすることが容易な光照射装置およびこれを用いた画像読取装置と画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る光照射装置は、直線状に配列された複数の点光源と、点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材とを備え、導光部材の入射面に点光源側に突出した突起部を点光源の配列方向に少なくとも2つ設け、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔を位置決めしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、導光部材の入射面に点光源側に出っ張った突起部を点光源の配列方向に少なくとも2つ設け、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔を位置決めしたので、点光源部と導光部材との相対位置を、省スペースで高い精度で位置決めすることが容易に行える。これにより、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置と画像読取装置および読取精度の良い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一形態を示す概略構成図。
【図2】本発明に係る画像読取装置の構成を示す側面図。
【図3】(a)は画像読取装置の概略正面図、(b)は画像読取装置の概略斜視図。
【図4】本発明に係る光照射装置の構成を示す断面図。
【図5】本発明に係る光照射装置の斜視図。
【図6】光照射装置が備えるカバー部材の構成を示す平面図。
【図7】光照射装置が備える導光部材の構成を示す斜視図。
【図8】導光部材とLEDの配置を示す拡大図。
【図9】導光部材とLEDの別な配置を示す拡大図。
【図10】入射面凸部に反射防止コート層を施した導光部材の構成を示す拡大図。
【図11】光照射装置の組付け工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は極力省略する。
(画像形成装置の説明)
図1は、電子写真方式の画像形成装置の1つの形態であるカラーの複写機の構成を示す図である。図1において、複写機10は、自動原稿搬送装置11、給紙部12,画像読取装置13および画像形成部14を備えている。
【0008】
自動原稿搬送装置11は、原稿トレイ16に載置された図示しない原稿を給紙ローラや分離ローラ等の各種ローラからなる分離給紙手段17によって透明部材で構成された原稿載置部としてのコンタクトガラス15上に搬送し、画像読取装置13による読取りが終了した原稿を搬送ベルト18によってコンタクトガラス15上から搬出した後、各種排紙ローラからなる排紙手段19によって排紙トレイ20に排紙するように構成されている。この自動原稿搬送装置11は、原稿の両面を読取る場合には、排紙手段19に設けられた分岐機構および搬送ベルト18によって原稿をコンタクトガラス15上に返送して未読取面の読取りを行うように構成されている。
【0009】
給紙部12は,異なるサイズの記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21a,21bと、給紙カセット21a,21bに収納された記録紙を転写位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段22とを備えている。
【0010】
画像読取装置13は、詳しくは後述するが、光照射装置400を備えた第1キャリッジ35と第2キャリッジ36を図1中、左右方向(副走査方向)に駆動して光照射装置400によりコンタクトガラス15に載置された原稿の面に光を照射して原稿面を読取り、この読取光をミラーで反射した後、レンズユニット37によってCCD等の撮像素子57に取り込むように構成されている。
【0011】
画像形成部14は,撮像素子57に取り込まれた読取信号に基づいて書き込み信号を形成する露光装置23と、露光装置23によって生成された書き込み信号が表面に形成される像担持体となる複数の感光体ドラム24と、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填され、各感光体ドラム24に異なる色のトナーをそれぞれ供給して書き込み信号を可視像化させる各現像装置25と、感光体ドラム24上に形成された可視像が重ねられて転写されることによりカラー画像が形成され、このカラー画像を給紙部12から給紙された記録紙に転写する中間転写体となる転写ベルト26と、記録紙に定着されたカラー画像を記録紙に定着する定着装置27とを備えている。
(画像読取装置の説明)
図2、図3は画像読取装置13の構成を示す図である。図2は画像読取装置13の各部品の位置関係を示す側面図を示す。図3は第2キャリッジ36の駆動用の駆動ワイヤ33と各プーリの関係を説明するための模式図であり、図3(a)はその側面図、図3(b)は駆動ワイヤ33の連結状態を平面視した状態を示す図である。
【0012】
図2、図3において、画像読取装置13は本体フレーム31、駆動軸32、駆動ワイヤ33、ワイヤ駆動プーリ34、第1キャリッジ35、第2キャリッジ36、レンズユニット37、張力スプリング39、キャリッジプーリ40、アイドラプーリ41,42および撮像素子57を備えている。
【0013】
本体フレーム31の内部には、図示しない第1レールと第2レールが設けられている。第1レールには走行体としての第1キャリッジ35が摺動自在に取付けられていると共に、第2レールには第2キャリッジ36が摺動自在に取付けられている。
【0014】
図示しないモータに連結されて駆動軸32の両端部にはワイヤ駆動プーリ34が取付けられている。このワイヤ駆動プーリ34には、所定方向である図3中、左右方向に延在している駆動ワイヤ33が巻回されている。駆動ワイヤ33は第1キャリッジ35の駆動用と第2キャリッジ36の駆動用の2本が用いられるが、図3では第2キャリッジ36の駆動用の駆動ワイヤ33のみを図示している。
【0015】
駆動ワイヤ33およびアイドラプーリ41,42は本体フレーム31の前後に1本ずつ設けられているが、いずれも同じ構成および機能を有するので、片側の駆動ワイヤ33,アイドラプーリ41,42について説明をする。すなわち、本実施の形態では,ワイヤ33が2本、アイドラプーリ41,42が本体フレーム31の四隅に4個設けられている。また、第2キャリッジ36にはキャリッジプーリ40が設けられており、駆動ワイヤ33はキャリッジプーリ40、アイドラプーリ41,42を経由するように各プーリに巻き掛けられている。
(光照射装置の説明)
図4、図5に示すように、第1キャリッジ35は、板金で平板状に形成されたベース407と、ベース407に垂下された一対の側板407bとを備えている。一対の側板407bの間には、反射部材となる第1ミラー44aが取付けられている。なお,図4では、紙面方向(主走査方向)に離隔して一対設けられた側板のうち、一方の側板407bのみを示している。
【0016】
ベース407には、固定及びカバー機能を備えたカバー部材406がネジ408によって取付けられている。カバー部材406は板金からなり、ベース407に対する取付面を有するベース取付部406aと、ベース407と所定の間隔hをなすようにベース407と略平行に形成された保持部406bとを有する。取付部406aと保持部406bは副走査方向に段差が設けられ、その間隔hは導光部材403と平板状の回路基板(以下、「LED基板」という)51を重ねた厚みよりもわずかに小さくなるように形成されている。
【0017】
カバー部材406の保持部406bには、導光部材403が位置決めされて固定されている。導光部材403は、アクリル等の透過率の高い樹脂等によって形成され、主走査方向に扁平な略直方体形状を、副走査方向に折り曲げた構造をしている。本形態の場合、導光部材403と一体形成(型成形)された3つの位置決めピン404(凸部)が、カバー部材406の保持部406bに向かって形成されていて、カバー部材406の表裏方向に貫通する3つのピン穴(図6の404a,404bに相当する)に挿入されている。3つの位置決めピン404は、図7に示すように、導光部材403に形成された複数の上面凸部405上の3箇所(長手方向の中央および両端)に形成されている。本形態において、導光部材403の上面凸部405は主走査方向に5箇所設けられており、各上面凸部405の上面405aで導光部材403とカバー部材406とが接触している。
【0018】
カバー部材406には、図4,図5に示すように、LED基板51が複数のネジ409によって取付けられている。ネジ409は、カバー部材406の取付部406a側(図4中、右側)に偏って配置され、LED基板51の主走査方向の中心と両端部を固定している。なおLED基板51の背面は、電気的に接触不可な箇所(Via等)を除き、ベース407に接触している。
【0019】
LED基板51には、点光源であり発光素子としてのサイドビュータイプの発光ダイオード(以下,LEDと記す)43が主走査方向に沿って複数個取付けられている。LED43は、LED基板51の駆動によって、LED43の照射面(図4中,左端面)43aから導光部材403の入射面(図4中,右端面)403aに向けて光を照射する。
【0020】
このように導光部材403及びLED基板51をベース407とカバー部材406の間で挟持して固定する場合、LED基板51から発生する熱によってLED基板51や導光部材403が変形する(反返って浮き上がる)ことが懸念される。熱変形が生じると、LED43の照射面43aが導光部材403の入射面403aから外れてしまい、主走査方向での光量ムラの原因となる。
【0021】
そこで、導光部材403の入射面403a側により、LED基板51のLEDアレイ付近を主走査方向にわたって押えるように、図7に示すように導光部材403の上面凸部405の厚みtがLED43の近傍で最も厚くなるように形成されている。また導光部材403とLED基板51を挟み込むカバー部材406の高さhは、導光部材403とLED基板51を重ねた厚みよりも小さく形成されている。このため、LED43の照射面43aが導光部材403の入射面403aの位置ずれが生じず、主走査方向にわたって導光部材403の入射面403aにLED43の出射光が入射されることになる。また、カバー部材406およびベース407は板金にて構成されているため、LED基板51から発生する熱は熱伝導によって放熱される。これらの構成により、LED基板51の変形を防ぐことができる。
【0022】
図4に示すように、導光部材403の照射面(図4中,左端面)403bと対向する側には、リフレクタ301が配置されていて、導光部材403内の全反射を利用してLED43から照射された光を、コンタクトガラス15に向けて均一に照射するように構成されているなっている。この場合、位置決めピン404は、図8に示すように、LED43と対向しないようにLED43同士の間に配置している。これは、導光部材403に入射した光が位置決めピン404に吸収されるのを避けるためである。
【0023】
LED43の照射面43aは、図4,図9に示すように、導光部材403の入射面403aに対向している。また、LED43の照射面43aは、導光部材403の入射面403aよりも小さい面積(図4中,上下幅)を有している。
【0024】
図7に示すように、導光部材403の入射面403aの端面403dには、LED43側に出っ張った主走査方向の両端部403e、403fの2箇所に突起部となる入射面凸部403cが形成されている。つまり、入射面403aは端面403dと入射面凸部403cで構成されることになる。この入射面凸部403cとLED43の照射面43aを両端部で等間隔(図4,左右方向)にすることで、導光部材403とLED43を所望の間隔にすることができる。また、LED43と導光部材403の位置決めを導光部材403の両端部403e、403fで行うことで、主走査方向に最も間隔の離れた位置で位置決めを行うことができ、主走査方向の全域に渡って精度良く導光部材403とLED43の間隔の調整を行うことができる。このとき導光部材403の各入射面凸部403cとLED43の照射面43aは間隔Sを零となるように接触させている。これにより、ただ両者を接触させるという組付け作業により、導光部材403とLED43の間隔の調整を行うことができるので、容易に組立を行うことができる。また、入射面凸部403cの位置で導光部材403に入射されるLED光量が増し、照明端部の照度が低くなりやすい位置での照度を増すことができるので、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0025】
つまり、導光部材403とLED43の間隔を位置決めしたことにより、所望の位置でLED43の発光面43aと導光部材403の入射面403aの高精度な位置決めを省スペースで達成することができるため、光照射強度のムラが少なく,また効率も良い光照射装置を実現することができる。また、導光部材403の入射面凸部403cをLED43の配列方向である主走査方向に平行な導光部材403の両端部403e、403fに設けたので、所望の位置で、部品の許容公差が最も大きい条件でLED43の発光面43aと導光部材403の入射面403aの高精度な位置決めを省スペースで達成することができ、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0026】
図9は、導光部材403の入射面凸部403cとLED43の近傍の拡大図を示す。導光部材403の入射面凸部403cはLED基板51の最端部51aに実装された1つのLED43だけに接触する幅Lを有している。この幅Lは主走査方向に対する幅である。この時、導光部材403の入射面凸部403cは、LED43の中心部Oを避けて配置している。すなわち、入射面凸部403cの端部とLED43の中心部Oとは主走査方向にずれて配置されている。
【0027】
これにより、1つのLED43に対して1つの入射面凸部403cを対向させたことにより、入射面凸部403cに接触させるLED43を最小限の個数に抑えることができ、入射面凸部403cによる照明対照位置での照度分布への影響を最小限に抑えることができ、光照射強度のムラが少なく,また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0028】
また、LED43から最も強い強度の光線が出射される中心部Oを避けて導光部材403の入射面凸部403cを設置することができる。これにより最終的な原稿面上での照度分布に導光部材403の入射面凸部403cが望まない影響を及ぼすことを防ぐことができる。このため、入射面凸部403cによる照明対照位置での照度分布への影響を最小限に抑えることができ、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置を実現することができる。
【0029】
図10に示すように、導光部材403の入射面凸部403cに反射防止手段として例えば反射防止コート層410を設けると、入射面凸部403cの影響をより低減することができるので、LED43と導光部材403の配置に自由度を与えることができ、両者の設置精度に幅を持たせることができ、組付け作業性が良くなる。つまり、反射防止コート層410を設けることにより、入射面凸部403cでの導光部材403に入射されるLED光量が増し、照明端部の照度が低くなりやすい位置での照度を増すことができるので、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0030】
図10に示すように、入射面凸部403cの厚みt1(図中,上下方向)は、LED43の実装公差や導光部材403の部品公差等を積上げた値よりも大きく設定する。一般にサイドタイプのLEDの場合、構造上の制約から、実装用のパッドのサイズが小さくなり、実装強度が弱くなる傾向にある。しかし、導光部材403の入射面凸部403cの厚みを上記のように設定することで、導光部材403の入射面403aのうち,入射面凸部403cに対して凹部となる端面403dとLED43が接触することを防ぐことができる。つまり,導光部材403とLED43の接触を防止することができ、落下等の衝撃に強い光照射装置400を実現できる。
【0031】
ここで,光照射装置800の組立手順を説明する。
【0032】
図11(a)に示すように、カバー部材406を単体で図示しない治具に設置する。この時のカバー部材406は、図4,図5とは上下方向が反対になった状態となる。
【0033】
図11(b)に示すようにカバー部材406に導光部材403を取付ける。この時、前述のように、導光部材403に形成された位置決めピン404をカバー部材406に形成された穴404a及び404bに落とし込んで挿入する。穴404aは丸穴であるのに対し、両端部に形成された穴404bは図6に示すように、主走査方向に長軸を持つ長穴となっている。これにより,LED基板51の発熱により,導光部材403が熱膨張した場合でも,変形の大きな主走査方向の変形を吸収することができる。これにより、LED基板51から過度な発熱のある場合でも導光部材403は位置決めされた状態を維持することができる。
【0034】
図11(c)に示すように、この導光部材403の上にLED基板51、LED43が下側を向いた方向で乗せる。LED基板51は治具の図示しない位置決めピンによってラフに位置決めされた場所に設置する。カバー部材406には、図6にも示すように、その両端に実装されたLED43の延長線上に矩形の切り欠き406cが形成されている。この切り欠き406aからカメラ等を用いて、LED43と導光部材403の入射面に形成された入射面凸部403cの間隔をモニタリングすることができる。またLED基板51をラフに位置決めした治具の位置決めピンは、副走査方向に摺動可能になっている。LED43の出射面43aと導光部材403の入射面403cの間隔をモニタリングしながら治具の位置決めピンを副走査方向に摺動させることで、LED基板51の位置調整を行うことができる。
【0035】
図11(d)に示すように、この状態を維持したまま3個のネジ409でカバー部材406とLED基板51とを締結し、光照射装置400の組立が終了する。
【0036】
このように、導光部材403に入射面凸部403cを設けることで,調整の基準となり最近接するLED43の位置を所望の位置に設定することができる。これにより、その位置のみをカメラや作業者によってモニタリングすることで、導光部材403とLED43の位置関係を決めることができる。また、従来のようにLED基板の一部を位置決め基準とした場合に比べて、照度の分布に直接影響を及ぼすLED43の位置を基準として、導光部材403LED43の位置関係決めることで、部品公差の積み上がりが最小となる。これにより、LED43の出射面43aと導光部材403の入射面403aを近づけることができ、高効率で且つ照度ムラの少ない光照射装置400、及びこれを備えた画像読取装置13と画像形成装置10を提供することができる。
【0037】
以上手順でLED43と導光部材403とは、副走査方向において所定の間隙をもって配置されている。導光部材403の入射面403aの面積(図4中,上下幅)がLED43の出射面43aよりも大きいので、LED43から広角に照射される光を確実に入射する。また、導光部材403の形状が全反射に適した(導光する方向に十分な長さを有する)略直方体であるため、導光部材403に入射した光が内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。
【0038】
なお、導光部材403と対向するカバー部材406下面およびLED基板51の上面は、導光部材403の全反射を阻害しない程度に粗く加工されている。すなわち,図4に示すように、導光部材403と他の部材との間に隙間を設けることにより,導光部材403の導光する光が導光部材403と接する他の部材に吸収されないようにしている。LED43の照射光は導光部材403の入射面403aから入射し、導光部材403の上下面,側面で反射(全反射)しながら導光部材403内を進み、導光部材403の照射面403bからリフレクタ301およびコンタクトガラス15に向けて射出される。
【0039】
図4に示すように、反射部材としてのリフレクタ301は第1キャリッジ35に設けられている。リフレクタ301は,導光部材403の照射面403bと対向している。リフレクタ301の上部には、導光部材403から照射された光をコンタクトガラス15に導くことができるように、副走査方向、すなわち、第1キャリッジ35の走行方向リターン側に折り曲げられた折り曲げ部301aが形成されている。リフレクタ301は、導光部材403からの射出光を折り曲げ部301aで反射する。この反射により、例えば,切り貼り原稿を読取った際に、原稿Pの凹凸によって発生する影を無くすることができる。
【0040】
LED43の照射光は、導光部材403を透してリフレクタ301によって反射されて、コンタクトガラス15の照射領域Eの範囲に照射されるようになっている。照射領域Eは,原稿Pの副走査方向に延在する領域である。照射領域Eにおいて、コンタクトガラス15上に存在する被照射体としての原稿Pの画像が読取られる。また、導光部材403はLED43とコンタクトガラス15の間に位置するように配置されており、LED43はLED基板51の上面に設置されている。
【0041】
このため、カバー部材406によってコンタクトガラス15に対する照射領域E(図4中、点線で示す)に対して副走行方向右側、すなわち,第1キャリッジ35が原稿の副走査側に走行する方向に光が漏出するのを防止することができ、照射領域Eの範囲内に光を照射することができる。
【0042】
また、カバー部材406は、例えば黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高くて光を透過し難い光遮蔽部材から構成されている。よって、カバー部材406によって光を確実に遮蔽することができる。一方、ベース407には開口部304が形成されており、導光部材403から原稿Pに照射され、原稿Pから反射される光が開口部304を通して第1ミラー44aに入射されるように構成されている。
【0043】
キャリッジの駆動について説明する。
【0044】
第1キャリッジ35はワイヤ駆動プーリ34と第2キャリッジ36の間に配置され,第1キャリッジ35が駆動ワイヤ33に引かれて所定の速度Vで走行すると、光照射装置400を構成するカバー部材406、受け台405、導光部材403、LED基板51等がコンタクトガラス15に載置された原稿Pを照射する。
【0045】
導光部材403から原稿に照射されたときに原稿の反射光は、第1ミラー44aによって第2キャリッジ36に向けて折り返されるようになっており、この反射光は第2キャリッジ36に搭載された第2ミラー44bおよび第3ミラー44cによってさらに折り返された後、レンズユニット37に入射される。
【0046】
そして、この反射光はレンズユニット37に含まれる結像レンズによって焦点面に置かれたCCD等の撮像素子57に集光結像される。これにより、撮像素子57はLED43に沿った原稿上のラインを主走査する。
【0047】
また、第2キャリッジ36は、第2ミラー44bおよび第3ミラー44cによる光の折り返しに伴う光路の重複分を相殺するため、第1キャリッジ35の半分の速度,すなわちV/2の速度で第1キャリッジ35と同方向に走行するようになっており、第2キャリッジ36は第1キャリッジ35の走行距離Lの半分の走行距離(L/2)で走行する。この走行速度の関係により、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36の走行があっても、原稿面からレンズユニット37までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0048】
一方、駆動ワイヤ33は、ワイヤ駆動プーリ34に巻き付けられて左方向および右方向に延びる2つの系統がある。左方向に延びる駆動ワイヤの部分33aは,軸が本体フレーム31に固定されたアイドラプーリ41によって折り返されて部分33bとなり、外側キャリッジプーリ40bに至り,再びここで折り返されて部分33cとなって端部がアイドラプーリ41に固定される。
【0049】
右向に延びる駆動ワイヤ33の部分33dは、本体フレーム31に固定されたアイドラプーリ42によって折り返されて部分33eとなって内側キャリッジプーリ40aに至り、再びここで折り返されて部分33fとなってばね部材としての張力スプリング39を介してアイドラプーリ42に固定される。
【0050】
図2中、左側には図示しないホームポジションセンサが設けられており、第1キャリッジ35が図2中、左側に走行してホームポジションセンサを通過して駆動軸32を駆動するモータが所定パルスだけ駆動されると、モータを停止させるようになっている。
【0051】
このとき、駆動軸32を介してワイヤ駆動プーリ34を停止させる。この位置が第1キャリッジ35のホームポジション位置となり、原稿の読取りが終了したときには第1キャリッジ35は常にホームポジション位置に走行してこの位置から再び走行が開始されることになる。
【0052】
本実施の形態の第1キャリッジ35および第2キャリッジ36は、LED43から導光部材403を透して原稿Pに光を照射して原稿を走査する場合に、図1中、右側の走査方向に走行し、ホームポジション位置に復帰する場合には、図1中、左側のリターン方向に走行する。そしてリターン方向に走行する場合には、原稿Pの読取速度の影響を受けないので、原稿Pの生産性を上げるために、高速度で走行する。
【0053】
このような構成の画素読取装置13を備えた複写機10にあっては、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36を副走査方向に走行させることにより、LED43から導光部材403を透して原稿Pに光を照射する。このとき、導光部材403から照射された光の一部がリフレクタ301によって原稿Pに反射される。この結果、照射領域Eで示す範囲で原稿Pに光が照射される。
【0054】
原稿Pからの反射光は第1ミラー44a、第2ミラー44bおよび第3ミラー44cの順に折り返された後、レンズユニット37に入射され,レンズユニット37の結像レンズによって焦点面に置かれた撮像素子57に集光結像される。これにより,撮像素子57はLED43および導光部材403に沿った原稿上のラインを主走査方向および副走査方向に走査する。
【0055】
本発明に係る複写機10によれば、導光部材403の入射面凸部403cを設けてLED43の入射面43aとの位置決めを行っていることにより、両者の間隔を高精度に、部品の公差の積み上がりを最小限に抑えて位置決めすることができる。つまり,導光部材403の入射面403aとLEDの出射面43aを近づけることができる。これにより、LED43の照射光を導光部材403から照射領域Eに効率よく導くことができる。そして、照射領域Eに対して読取りに必要な光量を安定して供給することができる。これにより、高精度な画像読取りが可能となる。
【0056】
なお、LED基板51に位置決め基準の穴等を設けて導光部材403との位置決めを行なうことも考えられるが、この場合、導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aとの間の部品公差の積み上がりが大きくなり、両者の間隔を近づけることができず、結果として光量が確保出来ないので、好ましいとは言えない。
【0057】
上記形態においては、導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aの間隔を零としたが、これに限らず、非接触としても良い。その場合、治具を用いて導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aを接触させた後、LED基板51を保持している治具のピンをLED43から離れる方向に移動することで、この構成を実現することができる。これにより、LED43が他の部品に接触していない状態で固定されるため、LED43に衝撃が伝わり難くなり、さらに衝撃等に強い光照射装置を提供することができる。そしてひいては高品質な画像読取装置13が実現することができる。
【0058】
画像読取装置としては、上述の差動式の画像読取装置13に限らず,CISやCCDとレンズとミラー等の画像読取り光学系が一体となって走査する一体型の画像読取装置であってもよい。この場合にも同様の効果が得られ,高品質な画像読取りが実現可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10 画像形成装置
13 画像読取装置
43 複数の点光源
43a 導光部材の入射面
43b 点光源の出射面
403 導光部材
403c 導光部材の突起部
403e、403f 導光部材の両端部
400 光照射装置
410 反射防止手段
O 点光源の出射面の中心部
P 原稿
S 間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第3187280号公報
【特許文献2】特許第3659770号公報
【特許文献3】特許4625279号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、イメージスキャナ等に使用される光照射装置と、この光照射装置を備えた画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置に用いられる画像読取装置には、原稿を照明する光源部として複数のLED(点光源)を直線状に配列した光照射装置が用いられたものがある。このような複数のLEDを光源部とした場合、照明対象物(原稿)におけるLEDの配列方向の照度リップル(照度分布のムラ)の発生があるため、照明対象物となる原稿と点光源との間に透明樹脂やガラス等からなる導光部材を配置することが多い。この導光部材は、複数の点光源から出射されて円形に拡散する照射光を原稿面に向けて原稿読取時の主走査方向に沿って導光することにより、照度リップルの発生を抑制している。これにより小さいLED等を光源部として用いても、ある幅を持った照明対象(原稿)に強度が大きい光を照射することが可能となる。このような構成を備えたものとしては、特許文献1,2が挙げられる。
しかし、特許文献1,2等に開示された構成では、複数のLEDと導光部材との位置関係にバラツキを生じると、原稿面を主走査方向に沿って均等に照明することが困難になるという課題がある。これはLED等のように比較的光照射強度が小さい光源部を用いる場合、その光源部から照射された光をなるべく多く導光部材へ入射させ、かつ、導光部材に入射した入射光の多くを照射対象に向けて出射させ、そのうえで光照射強度のムラも抑えることが望まれる。この要望に応えるためには、光源部と導光部材との相対的な位置決めに高い精度が要求される。
そこで、特許文献3では、光源部と導光部材との相対的位置を決めるために、LED(基板)の位置決め部材を設け、導光部材とLED(基板)の位置決めを行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献3のように位置決め部材を設けると、光源部と導光部材との相対的な位置決め精度を高められるのが、位置決め部材と言う部品が増加するため、光照射装置の小型化・薄型化を図ることが困難であった。また、LEDと導光部材の間に位置決め部材を設けると、部品の公差が積み上がり、光源部と導光部材とを相対的に高い位置決め精度で組み付けるという作業面での課題が懸念される。さらに、LEDの熱的な変動が加わると、光源部と導光部材との相対的な位置関係を確保するのが難しい。
本発明は、光源部と導光部材との相対位置を高い精度で位置決めすることが容易な光照射装置およびこれを用いた画像読取装置と画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る光照射装置は、直線状に配列された複数の点光源と、点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材とを備え、導光部材の入射面に点光源側に突出した突起部を点光源の配列方向に少なくとも2つ設け、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔を位置決めしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、導光部材の入射面に点光源側に出っ張った突起部を点光源の配列方向に少なくとも2つ設け、導光部材に設けた突起部と点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、導光部材と点光源の間隔を位置決めしたので、点光源部と導光部材との相対位置を、省スペースで高い精度で位置決めすることが容易に行える。これにより、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置と画像読取装置および読取精度の良い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一形態を示す概略構成図。
【図2】本発明に係る画像読取装置の構成を示す側面図。
【図3】(a)は画像読取装置の概略正面図、(b)は画像読取装置の概略斜視図。
【図4】本発明に係る光照射装置の構成を示す断面図。
【図5】本発明に係る光照射装置の斜視図。
【図6】光照射装置が備えるカバー部材の構成を示す平面図。
【図7】光照射装置が備える導光部材の構成を示す斜視図。
【図8】導光部材とLEDの配置を示す拡大図。
【図9】導光部材とLEDの別な配置を示す拡大図。
【図10】入射面凸部に反射防止コート層を施した導光部材の構成を示す拡大図。
【図11】光照射装置の組付け工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は極力省略する。
(画像形成装置の説明)
図1は、電子写真方式の画像形成装置の1つの形態であるカラーの複写機の構成を示す図である。図1において、複写機10は、自動原稿搬送装置11、給紙部12,画像読取装置13および画像形成部14を備えている。
【0008】
自動原稿搬送装置11は、原稿トレイ16に載置された図示しない原稿を給紙ローラや分離ローラ等の各種ローラからなる分離給紙手段17によって透明部材で構成された原稿載置部としてのコンタクトガラス15上に搬送し、画像読取装置13による読取りが終了した原稿を搬送ベルト18によってコンタクトガラス15上から搬出した後、各種排紙ローラからなる排紙手段19によって排紙トレイ20に排紙するように構成されている。この自動原稿搬送装置11は、原稿の両面を読取る場合には、排紙手段19に設けられた分岐機構および搬送ベルト18によって原稿をコンタクトガラス15上に返送して未読取面の読取りを行うように構成されている。
【0009】
給紙部12は,異なるサイズの記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21a,21bと、給紙カセット21a,21bに収納された記録紙を転写位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段22とを備えている。
【0010】
画像読取装置13は、詳しくは後述するが、光照射装置400を備えた第1キャリッジ35と第2キャリッジ36を図1中、左右方向(副走査方向)に駆動して光照射装置400によりコンタクトガラス15に載置された原稿の面に光を照射して原稿面を読取り、この読取光をミラーで反射した後、レンズユニット37によってCCD等の撮像素子57に取り込むように構成されている。
【0011】
画像形成部14は,撮像素子57に取り込まれた読取信号に基づいて書き込み信号を形成する露光装置23と、露光装置23によって生成された書き込み信号が表面に形成される像担持体となる複数の感光体ドラム24と、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填され、各感光体ドラム24に異なる色のトナーをそれぞれ供給して書き込み信号を可視像化させる各現像装置25と、感光体ドラム24上に形成された可視像が重ねられて転写されることによりカラー画像が形成され、このカラー画像を給紙部12から給紙された記録紙に転写する中間転写体となる転写ベルト26と、記録紙に定着されたカラー画像を記録紙に定着する定着装置27とを備えている。
(画像読取装置の説明)
図2、図3は画像読取装置13の構成を示す図である。図2は画像読取装置13の各部品の位置関係を示す側面図を示す。図3は第2キャリッジ36の駆動用の駆動ワイヤ33と各プーリの関係を説明するための模式図であり、図3(a)はその側面図、図3(b)は駆動ワイヤ33の連結状態を平面視した状態を示す図である。
【0012】
図2、図3において、画像読取装置13は本体フレーム31、駆動軸32、駆動ワイヤ33、ワイヤ駆動プーリ34、第1キャリッジ35、第2キャリッジ36、レンズユニット37、張力スプリング39、キャリッジプーリ40、アイドラプーリ41,42および撮像素子57を備えている。
【0013】
本体フレーム31の内部には、図示しない第1レールと第2レールが設けられている。第1レールには走行体としての第1キャリッジ35が摺動自在に取付けられていると共に、第2レールには第2キャリッジ36が摺動自在に取付けられている。
【0014】
図示しないモータに連結されて駆動軸32の両端部にはワイヤ駆動プーリ34が取付けられている。このワイヤ駆動プーリ34には、所定方向である図3中、左右方向に延在している駆動ワイヤ33が巻回されている。駆動ワイヤ33は第1キャリッジ35の駆動用と第2キャリッジ36の駆動用の2本が用いられるが、図3では第2キャリッジ36の駆動用の駆動ワイヤ33のみを図示している。
【0015】
駆動ワイヤ33およびアイドラプーリ41,42は本体フレーム31の前後に1本ずつ設けられているが、いずれも同じ構成および機能を有するので、片側の駆動ワイヤ33,アイドラプーリ41,42について説明をする。すなわち、本実施の形態では,ワイヤ33が2本、アイドラプーリ41,42が本体フレーム31の四隅に4個設けられている。また、第2キャリッジ36にはキャリッジプーリ40が設けられており、駆動ワイヤ33はキャリッジプーリ40、アイドラプーリ41,42を経由するように各プーリに巻き掛けられている。
(光照射装置の説明)
図4、図5に示すように、第1キャリッジ35は、板金で平板状に形成されたベース407と、ベース407に垂下された一対の側板407bとを備えている。一対の側板407bの間には、反射部材となる第1ミラー44aが取付けられている。なお,図4では、紙面方向(主走査方向)に離隔して一対設けられた側板のうち、一方の側板407bのみを示している。
【0016】
ベース407には、固定及びカバー機能を備えたカバー部材406がネジ408によって取付けられている。カバー部材406は板金からなり、ベース407に対する取付面を有するベース取付部406aと、ベース407と所定の間隔hをなすようにベース407と略平行に形成された保持部406bとを有する。取付部406aと保持部406bは副走査方向に段差が設けられ、その間隔hは導光部材403と平板状の回路基板(以下、「LED基板」という)51を重ねた厚みよりもわずかに小さくなるように形成されている。
【0017】
カバー部材406の保持部406bには、導光部材403が位置決めされて固定されている。導光部材403は、アクリル等の透過率の高い樹脂等によって形成され、主走査方向に扁平な略直方体形状を、副走査方向に折り曲げた構造をしている。本形態の場合、導光部材403と一体形成(型成形)された3つの位置決めピン404(凸部)が、カバー部材406の保持部406bに向かって形成されていて、カバー部材406の表裏方向に貫通する3つのピン穴(図6の404a,404bに相当する)に挿入されている。3つの位置決めピン404は、図7に示すように、導光部材403に形成された複数の上面凸部405上の3箇所(長手方向の中央および両端)に形成されている。本形態において、導光部材403の上面凸部405は主走査方向に5箇所設けられており、各上面凸部405の上面405aで導光部材403とカバー部材406とが接触している。
【0018】
カバー部材406には、図4,図5に示すように、LED基板51が複数のネジ409によって取付けられている。ネジ409は、カバー部材406の取付部406a側(図4中、右側)に偏って配置され、LED基板51の主走査方向の中心と両端部を固定している。なおLED基板51の背面は、電気的に接触不可な箇所(Via等)を除き、ベース407に接触している。
【0019】
LED基板51には、点光源であり発光素子としてのサイドビュータイプの発光ダイオード(以下,LEDと記す)43が主走査方向に沿って複数個取付けられている。LED43は、LED基板51の駆動によって、LED43の照射面(図4中,左端面)43aから導光部材403の入射面(図4中,右端面)403aに向けて光を照射する。
【0020】
このように導光部材403及びLED基板51をベース407とカバー部材406の間で挟持して固定する場合、LED基板51から発生する熱によってLED基板51や導光部材403が変形する(反返って浮き上がる)ことが懸念される。熱変形が生じると、LED43の照射面43aが導光部材403の入射面403aから外れてしまい、主走査方向での光量ムラの原因となる。
【0021】
そこで、導光部材403の入射面403a側により、LED基板51のLEDアレイ付近を主走査方向にわたって押えるように、図7に示すように導光部材403の上面凸部405の厚みtがLED43の近傍で最も厚くなるように形成されている。また導光部材403とLED基板51を挟み込むカバー部材406の高さhは、導光部材403とLED基板51を重ねた厚みよりも小さく形成されている。このため、LED43の照射面43aが導光部材403の入射面403aの位置ずれが生じず、主走査方向にわたって導光部材403の入射面403aにLED43の出射光が入射されることになる。また、カバー部材406およびベース407は板金にて構成されているため、LED基板51から発生する熱は熱伝導によって放熱される。これらの構成により、LED基板51の変形を防ぐことができる。
【0022】
図4に示すように、導光部材403の照射面(図4中,左端面)403bと対向する側には、リフレクタ301が配置されていて、導光部材403内の全反射を利用してLED43から照射された光を、コンタクトガラス15に向けて均一に照射するように構成されているなっている。この場合、位置決めピン404は、図8に示すように、LED43と対向しないようにLED43同士の間に配置している。これは、導光部材403に入射した光が位置決めピン404に吸収されるのを避けるためである。
【0023】
LED43の照射面43aは、図4,図9に示すように、導光部材403の入射面403aに対向している。また、LED43の照射面43aは、導光部材403の入射面403aよりも小さい面積(図4中,上下幅)を有している。
【0024】
図7に示すように、導光部材403の入射面403aの端面403dには、LED43側に出っ張った主走査方向の両端部403e、403fの2箇所に突起部となる入射面凸部403cが形成されている。つまり、入射面403aは端面403dと入射面凸部403cで構成されることになる。この入射面凸部403cとLED43の照射面43aを両端部で等間隔(図4,左右方向)にすることで、導光部材403とLED43を所望の間隔にすることができる。また、LED43と導光部材403の位置決めを導光部材403の両端部403e、403fで行うことで、主走査方向に最も間隔の離れた位置で位置決めを行うことができ、主走査方向の全域に渡って精度良く導光部材403とLED43の間隔の調整を行うことができる。このとき導光部材403の各入射面凸部403cとLED43の照射面43aは間隔Sを零となるように接触させている。これにより、ただ両者を接触させるという組付け作業により、導光部材403とLED43の間隔の調整を行うことができるので、容易に組立を行うことができる。また、入射面凸部403cの位置で導光部材403に入射されるLED光量が増し、照明端部の照度が低くなりやすい位置での照度を増すことができるので、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0025】
つまり、導光部材403とLED43の間隔を位置決めしたことにより、所望の位置でLED43の発光面43aと導光部材403の入射面403aの高精度な位置決めを省スペースで達成することができるため、光照射強度のムラが少なく,また効率も良い光照射装置を実現することができる。また、導光部材403の入射面凸部403cをLED43の配列方向である主走査方向に平行な導光部材403の両端部403e、403fに設けたので、所望の位置で、部品の許容公差が最も大きい条件でLED43の発光面43aと導光部材403の入射面403aの高精度な位置決めを省スペースで達成することができ、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0026】
図9は、導光部材403の入射面凸部403cとLED43の近傍の拡大図を示す。導光部材403の入射面凸部403cはLED基板51の最端部51aに実装された1つのLED43だけに接触する幅Lを有している。この幅Lは主走査方向に対する幅である。この時、導光部材403の入射面凸部403cは、LED43の中心部Oを避けて配置している。すなわち、入射面凸部403cの端部とLED43の中心部Oとは主走査方向にずれて配置されている。
【0027】
これにより、1つのLED43に対して1つの入射面凸部403cを対向させたことにより、入射面凸部403cに接触させるLED43を最小限の個数に抑えることができ、入射面凸部403cによる照明対照位置での照度分布への影響を最小限に抑えることができ、光照射強度のムラが少なく,また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0028】
また、LED43から最も強い強度の光線が出射される中心部Oを避けて導光部材403の入射面凸部403cを設置することができる。これにより最終的な原稿面上での照度分布に導光部材403の入射面凸部403cが望まない影響を及ぼすことを防ぐことができる。このため、入射面凸部403cによる照明対照位置での照度分布への影響を最小限に抑えることができ、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置を実現することができる。
【0029】
図10に示すように、導光部材403の入射面凸部403cに反射防止手段として例えば反射防止コート層410を設けると、入射面凸部403cの影響をより低減することができるので、LED43と導光部材403の配置に自由度を与えることができ、両者の設置精度に幅を持たせることができ、組付け作業性が良くなる。つまり、反射防止コート層410を設けることにより、入射面凸部403cでの導光部材403に入射されるLED光量が増し、照明端部の照度が低くなりやすい位置での照度を増すことができるので、光照射強度のムラが少なく、また効率も良い光照射装置400を実現することができる。
【0030】
図10に示すように、入射面凸部403cの厚みt1(図中,上下方向)は、LED43の実装公差や導光部材403の部品公差等を積上げた値よりも大きく設定する。一般にサイドタイプのLEDの場合、構造上の制約から、実装用のパッドのサイズが小さくなり、実装強度が弱くなる傾向にある。しかし、導光部材403の入射面凸部403cの厚みを上記のように設定することで、導光部材403の入射面403aのうち,入射面凸部403cに対して凹部となる端面403dとLED43が接触することを防ぐことができる。つまり,導光部材403とLED43の接触を防止することができ、落下等の衝撃に強い光照射装置400を実現できる。
【0031】
ここで,光照射装置800の組立手順を説明する。
【0032】
図11(a)に示すように、カバー部材406を単体で図示しない治具に設置する。この時のカバー部材406は、図4,図5とは上下方向が反対になった状態となる。
【0033】
図11(b)に示すようにカバー部材406に導光部材403を取付ける。この時、前述のように、導光部材403に形成された位置決めピン404をカバー部材406に形成された穴404a及び404bに落とし込んで挿入する。穴404aは丸穴であるのに対し、両端部に形成された穴404bは図6に示すように、主走査方向に長軸を持つ長穴となっている。これにより,LED基板51の発熱により,導光部材403が熱膨張した場合でも,変形の大きな主走査方向の変形を吸収することができる。これにより、LED基板51から過度な発熱のある場合でも導光部材403は位置決めされた状態を維持することができる。
【0034】
図11(c)に示すように、この導光部材403の上にLED基板51、LED43が下側を向いた方向で乗せる。LED基板51は治具の図示しない位置決めピンによってラフに位置決めされた場所に設置する。カバー部材406には、図6にも示すように、その両端に実装されたLED43の延長線上に矩形の切り欠き406cが形成されている。この切り欠き406aからカメラ等を用いて、LED43と導光部材403の入射面に形成された入射面凸部403cの間隔をモニタリングすることができる。またLED基板51をラフに位置決めした治具の位置決めピンは、副走査方向に摺動可能になっている。LED43の出射面43aと導光部材403の入射面403cの間隔をモニタリングしながら治具の位置決めピンを副走査方向に摺動させることで、LED基板51の位置調整を行うことができる。
【0035】
図11(d)に示すように、この状態を維持したまま3個のネジ409でカバー部材406とLED基板51とを締結し、光照射装置400の組立が終了する。
【0036】
このように、導光部材403に入射面凸部403cを設けることで,調整の基準となり最近接するLED43の位置を所望の位置に設定することができる。これにより、その位置のみをカメラや作業者によってモニタリングすることで、導光部材403とLED43の位置関係を決めることができる。また、従来のようにLED基板の一部を位置決め基準とした場合に比べて、照度の分布に直接影響を及ぼすLED43の位置を基準として、導光部材403LED43の位置関係決めることで、部品公差の積み上がりが最小となる。これにより、LED43の出射面43aと導光部材403の入射面403aを近づけることができ、高効率で且つ照度ムラの少ない光照射装置400、及びこれを備えた画像読取装置13と画像形成装置10を提供することができる。
【0037】
以上手順でLED43と導光部材403とは、副走査方向において所定の間隙をもって配置されている。導光部材403の入射面403aの面積(図4中,上下幅)がLED43の出射面43aよりも大きいので、LED43から広角に照射される光を確実に入射する。また、導光部材403の形状が全反射に適した(導光する方向に十分な長さを有する)略直方体であるため、導光部材403に入射した光が内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。
【0038】
なお、導光部材403と対向するカバー部材406下面およびLED基板51の上面は、導光部材403の全反射を阻害しない程度に粗く加工されている。すなわち,図4に示すように、導光部材403と他の部材との間に隙間を設けることにより,導光部材403の導光する光が導光部材403と接する他の部材に吸収されないようにしている。LED43の照射光は導光部材403の入射面403aから入射し、導光部材403の上下面,側面で反射(全反射)しながら導光部材403内を進み、導光部材403の照射面403bからリフレクタ301およびコンタクトガラス15に向けて射出される。
【0039】
図4に示すように、反射部材としてのリフレクタ301は第1キャリッジ35に設けられている。リフレクタ301は,導光部材403の照射面403bと対向している。リフレクタ301の上部には、導光部材403から照射された光をコンタクトガラス15に導くことができるように、副走査方向、すなわち、第1キャリッジ35の走行方向リターン側に折り曲げられた折り曲げ部301aが形成されている。リフレクタ301は、導光部材403からの射出光を折り曲げ部301aで反射する。この反射により、例えば,切り貼り原稿を読取った際に、原稿Pの凹凸によって発生する影を無くすることができる。
【0040】
LED43の照射光は、導光部材403を透してリフレクタ301によって反射されて、コンタクトガラス15の照射領域Eの範囲に照射されるようになっている。照射領域Eは,原稿Pの副走査方向に延在する領域である。照射領域Eにおいて、コンタクトガラス15上に存在する被照射体としての原稿Pの画像が読取られる。また、導光部材403はLED43とコンタクトガラス15の間に位置するように配置されており、LED43はLED基板51の上面に設置されている。
【0041】
このため、カバー部材406によってコンタクトガラス15に対する照射領域E(図4中、点線で示す)に対して副走行方向右側、すなわち,第1キャリッジ35が原稿の副走査側に走行する方向に光が漏出するのを防止することができ、照射領域Eの範囲内に光を照射することができる。
【0042】
また、カバー部材406は、例えば黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高くて光を透過し難い光遮蔽部材から構成されている。よって、カバー部材406によって光を確実に遮蔽することができる。一方、ベース407には開口部304が形成されており、導光部材403から原稿Pに照射され、原稿Pから反射される光が開口部304を通して第1ミラー44aに入射されるように構成されている。
【0043】
キャリッジの駆動について説明する。
【0044】
第1キャリッジ35はワイヤ駆動プーリ34と第2キャリッジ36の間に配置され,第1キャリッジ35が駆動ワイヤ33に引かれて所定の速度Vで走行すると、光照射装置400を構成するカバー部材406、受け台405、導光部材403、LED基板51等がコンタクトガラス15に載置された原稿Pを照射する。
【0045】
導光部材403から原稿に照射されたときに原稿の反射光は、第1ミラー44aによって第2キャリッジ36に向けて折り返されるようになっており、この反射光は第2キャリッジ36に搭載された第2ミラー44bおよび第3ミラー44cによってさらに折り返された後、レンズユニット37に入射される。
【0046】
そして、この反射光はレンズユニット37に含まれる結像レンズによって焦点面に置かれたCCD等の撮像素子57に集光結像される。これにより、撮像素子57はLED43に沿った原稿上のラインを主走査する。
【0047】
また、第2キャリッジ36は、第2ミラー44bおよび第3ミラー44cによる光の折り返しに伴う光路の重複分を相殺するため、第1キャリッジ35の半分の速度,すなわちV/2の速度で第1キャリッジ35と同方向に走行するようになっており、第2キャリッジ36は第1キャリッジ35の走行距離Lの半分の走行距離(L/2)で走行する。この走行速度の関係により、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36の走行があっても、原稿面からレンズユニット37までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0048】
一方、駆動ワイヤ33は、ワイヤ駆動プーリ34に巻き付けられて左方向および右方向に延びる2つの系統がある。左方向に延びる駆動ワイヤの部分33aは,軸が本体フレーム31に固定されたアイドラプーリ41によって折り返されて部分33bとなり、外側キャリッジプーリ40bに至り,再びここで折り返されて部分33cとなって端部がアイドラプーリ41に固定される。
【0049】
右向に延びる駆動ワイヤ33の部分33dは、本体フレーム31に固定されたアイドラプーリ42によって折り返されて部分33eとなって内側キャリッジプーリ40aに至り、再びここで折り返されて部分33fとなってばね部材としての張力スプリング39を介してアイドラプーリ42に固定される。
【0050】
図2中、左側には図示しないホームポジションセンサが設けられており、第1キャリッジ35が図2中、左側に走行してホームポジションセンサを通過して駆動軸32を駆動するモータが所定パルスだけ駆動されると、モータを停止させるようになっている。
【0051】
このとき、駆動軸32を介してワイヤ駆動プーリ34を停止させる。この位置が第1キャリッジ35のホームポジション位置となり、原稿の読取りが終了したときには第1キャリッジ35は常にホームポジション位置に走行してこの位置から再び走行が開始されることになる。
【0052】
本実施の形態の第1キャリッジ35および第2キャリッジ36は、LED43から導光部材403を透して原稿Pに光を照射して原稿を走査する場合に、図1中、右側の走査方向に走行し、ホームポジション位置に復帰する場合には、図1中、左側のリターン方向に走行する。そしてリターン方向に走行する場合には、原稿Pの読取速度の影響を受けないので、原稿Pの生産性を上げるために、高速度で走行する。
【0053】
このような構成の画素読取装置13を備えた複写機10にあっては、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36を副走査方向に走行させることにより、LED43から導光部材403を透して原稿Pに光を照射する。このとき、導光部材403から照射された光の一部がリフレクタ301によって原稿Pに反射される。この結果、照射領域Eで示す範囲で原稿Pに光が照射される。
【0054】
原稿Pからの反射光は第1ミラー44a、第2ミラー44bおよび第3ミラー44cの順に折り返された後、レンズユニット37に入射され,レンズユニット37の結像レンズによって焦点面に置かれた撮像素子57に集光結像される。これにより,撮像素子57はLED43および導光部材403に沿った原稿上のラインを主走査方向および副走査方向に走査する。
【0055】
本発明に係る複写機10によれば、導光部材403の入射面凸部403cを設けてLED43の入射面43aとの位置決めを行っていることにより、両者の間隔を高精度に、部品の公差の積み上がりを最小限に抑えて位置決めすることができる。つまり,導光部材403の入射面403aとLEDの出射面43aを近づけることができる。これにより、LED43の照射光を導光部材403から照射領域Eに効率よく導くことができる。そして、照射領域Eに対して読取りに必要な光量を安定して供給することができる。これにより、高精度な画像読取りが可能となる。
【0056】
なお、LED基板51に位置決め基準の穴等を設けて導光部材403との位置決めを行なうことも考えられるが、この場合、導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aとの間の部品公差の積み上がりが大きくなり、両者の間隔を近づけることができず、結果として光量が確保出来ないので、好ましいとは言えない。
【0057】
上記形態においては、導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aの間隔を零としたが、これに限らず、非接触としても良い。その場合、治具を用いて導光部材403の入射面403aとLED43の出射面43aを接触させた後、LED基板51を保持している治具のピンをLED43から離れる方向に移動することで、この構成を実現することができる。これにより、LED43が他の部品に接触していない状態で固定されるため、LED43に衝撃が伝わり難くなり、さらに衝撃等に強い光照射装置を提供することができる。そしてひいては高品質な画像読取装置13が実現することができる。
【0058】
画像読取装置としては、上述の差動式の画像読取装置13に限らず,CISやCCDとレンズとミラー等の画像読取り光学系が一体となって走査する一体型の画像読取装置であってもよい。この場合にも同様の効果が得られ,高品質な画像読取りが実現可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10 画像形成装置
13 画像読取装置
43 複数の点光源
43a 導光部材の入射面
43b 点光源の出射面
403 導光部材
403c 導光部材の突起部
403e、403f 導光部材の両端部
400 光照射装置
410 反射防止手段
O 点光源の出射面の中心部
P 原稿
S 間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第3187280号公報
【特許文献2】特許第3659770号公報
【特許文献3】特許4625279号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に配列された複数の点光源と、前記点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材とを備えた光照射装置において、
前記導光部材の入射面には点光源側に突出した突起部が前記点光源の配列方向に少なくとも2つ設けられ、前記導光部材に設けた突起部と前記点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、前記導光部材と前記点光源の間隔を位置決めしたことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記導光部材の突起部が、前記点光源の配列方向に略平行な前記導光部材の両端部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
1つの点光源に対して1つの前記導光部材の突起部を対向させたことを特徴とする請求項1または2記載の光照射装置。
【請求項4】
前記点光源の出射面の中心部を除く位置に前記導光部材の突起部を配置したことを特徴とする請求項3の光照射装置。
【請求項5】
前記導光部材の突起部と前記点光源の出射面との間隔を零としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記導光部材の突起部に反射防止手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光照射装置.
【請求項7】
原稿面に対して光照射装置から光を照射し、前記原稿面からの光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取装置において、
前記光照射装置として請求項1乃至6の何れか1項に記載の光照射装置を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
原稿面に対して光照射装置から光を照射し、前記原稿面からの光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取装置を備えた画像形成装置において、
前記画像読取装置として請求項7記載の画像読取装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
直線状に配列された複数の点光源と、前記点光源から出射された光の出射方向前方側に配置され、入射した光を特定の方向に案内して光照射面に向かって出射する透光性材料からなる導光部材とを備えた光照射装置において、
前記導光部材の入射面には点光源側に突出した突起部が前記点光源の配列方向に少なくとも2つ設けられ、前記導光部材に設けた突起部と前記点光源の出射面を2箇所で等しい間隔にすることにより、前記導光部材と前記点光源の間隔を位置決めしたことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記導光部材の突起部が、前記点光源の配列方向に略平行な前記導光部材の両端部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
1つの点光源に対して1つの前記導光部材の突起部を対向させたことを特徴とする請求項1または2記載の光照射装置。
【請求項4】
前記点光源の出射面の中心部を除く位置に前記導光部材の突起部を配置したことを特徴とする請求項3の光照射装置。
【請求項5】
前記導光部材の突起部と前記点光源の出射面との間隔を零としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記導光部材の突起部に反射防止手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光照射装置.
【請求項7】
原稿面に対して光照射装置から光を照射し、前記原稿面からの光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取装置において、
前記光照射装置として請求項1乃至6の何れか1項に記載の光照射装置を備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
原稿面に対して光照射装置から光を照射し、前記原稿面からの光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取装置を備えた画像形成装置において、
前記画像読取装置として請求項7記載の画像読取装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115763(P2013−115763A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262754(P2011−262754)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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