説明

光生体刺激を行なうための装置

本発明は一定の標的領域の加熱および/または冷却と組み合わせた光生体刺激により種々の病気および/または美顔の状況の治療効果を調節し、さらに/または、その治療効率を高めるための装置を提供している。一例の態様において、本発明の装置は一定の標的領域および/またはその周囲の組織部分の中の温度を制御することによりその標的領域の中の光生体刺激の効果を調節することに関連している。本発明の一部の態様によれば、高体温である組織に生体刺激を供給するために組織が加熱されている。あるいは、標的領域の種々の部分を冷却してその皮膚の表面下の一定の所望の深さにおける特定の領域を生体刺激の選択的な目標にすることができる。また、標的領域の温度を選択的に且つ正確に制御可能にするために一定のフィードバック機構も備えられている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先権
本発明は「メソッヅ・アンド・アパレイタス・フォー・パーフォーミング・フォトバイオスティミュレーション(Methods and Apparatus for Performing Photobiostimulation)」を発明の名称とする2002年、10月7日に出願されている米国仮特許出願第60/416,664号に対して優先権を主張している。
【0002】
発明の背景
本発明は組織の光生体刺激(photobiostimulation)を行なうための方法および装置に関連しており、特に、組織の温度制御した光生体刺激を行なうための方法および装置に関連している。
【0003】
種々の臨床的な状況を治療するために過去30年にわたり低出力発光レーザー(すなわち、100mWよりも低い)が世界中において用いられている。例えば、光がDNA合成を刺激し、酵素基質複合体を活性化し、プロスタグランジンを変換して微小循環作用を生じることが報告されている。さらに、細胞または組織内の内因性の発色団(すなわち、外因性の感光因子の適用を伴わない)を照射することにより生じる上記のような作用についての多数の報告が存在している。
【0004】
上記のような光化学的な応答を達成するための低レベルの光の使用は光生体刺激として一般的に呼ばれている。レーザー光に加えて、光生体刺激は別の単色または準単色の光源(例えば、LED等)を用いて、あるいは、広帯域の光源を適当に濾光すること(例えば、蛍光灯、ハロゲン・ランプ、白熱灯、放電ランプ、または自然の日光等の濾光)により達成することも可能である。なお、レーザー供給源により達成される生体刺激は低レベル・レーザー療法として呼ばれている。
【0005】
低レベルの光または低レベルのレーザーの療法は組織を刺激してその組織の中に深く侵入することにより治癒を促進して光生体刺激の過程を開始する。この光エネルギーは細胞ミトコンドリアおよび細胞膜の中のシトクロムおよびポルフィリンに吸収されて少量の一重項酸素を生じる。この結果、このような治療により多数の臨床調査において立証されているように治癒が生じる。一般的に、患者は急性の状況に対する4回から6回の処置後および慢性の状況に対する6回から8回の治療後に知覚可能な改善を感じることが予想できる。多くの場合において、光生体刺激が外科手術に対する一定の実行可能な代替手段になり得る。
【0006】
光生体刺激により生じる光化学的な過程は種々の生化学反応における細胞機構内への光子の一体化を含むと考えられている。一般に、光吸収の原理および細胞の呼吸工程内への光子エネルギーの一体化が一定の周知の自然現象である。さらに、光合成および映像がこの減少の二つの例である。また、これらの過程において、光受容体はそれぞれクロロフィルおよびロドプシンである。
【0007】
光生体刺激の場合に、幾つかの同時発生的な作用機構が生体外において立証されている。このようなメカニズムまたは機構の一例はシトクロムcオキシダーゼを含み、この酵素は低レベルの光の主要な細胞の光受容体である。このシトクロムcオキシダーゼは細胞ミトコンドリアの中に存在する一定の呼吸連鎖酵素であり、真核細胞の呼吸連鎖における末端酵素である。特に、このシトクロムcオキシダーゼはシトクロムcから分子の酸素への電子の移動を媒介する。さらに、このシトクロムcの関与はミトコンドリアの内膜を挟む一定の電気化学的な電位に変換されて最終的にアデノシン三リン酸(ATP)の生成を誘導する自由エネルギーの発生を引き起こす酸化還元作用の中心になることが知られている。従って、光生体刺激が細胞の代謝活性のために利用可能なエネルギーを増大する可能性を有することが仮定されている。
【0008】
さらに、光生体刺激が種々の治療効果を達成するための細胞増殖を増進するために使用可能であることが立証されている。ATP分子はサイクリックAMP(cAMP)に対する一定の基質として作用し、このcAMPはカルシウム・イオン(Ca2+)と共にDNAおよびRNAの合成を刺激する。さらに、このcAMPは信号変換、遺伝子発現、血液凝固および筋収縮等のような多数の生理学的な過程に影響する中枢の二次メッセンジャーである。従って、光生体刺激によるATP生成の一定の増加が細胞増殖およびタンパク質の生成を増加するための一定の手段を与えることができると仮定されている。
【0009】
光生体刺激により生じるような光刺激型のATP合成は波長依存性である。カル(Karu)(レーザーズ・イン・メディシン・アンド・デンティストリー(Lasers in Medicine and Dentistry),Z.シムノビック(Z. Simunovic)編集,ビトグラフ:リジェカ(Vitgraf:Rijeka),2000年,pp.97−125)は生体外において原核および真核の細胞が2種類の波長範囲、すなわち、一つが350乃至450nmおよび別の一つが600乃至830nmに対して感応性であることを立証している。また、上記カルは赤色波長の光受容体がレダクターゼ(デヒドロゲナーゼ)の黄色蛋白およびシトクロムcのシトクロムa/a3のセミキノン型(semichinon type)であることを立証している。また、シトクロムcオキシダーゼはその酸化状態の形態において800nm乃至830nmの波長範囲の特異的な発色団である。
【0010】
生体の刺激の別のメカニズムは真皮の血管内の血液細胞および壁部に対する極めて限定された刺激を生じることを含む。このことにより一定の低いレベルの炎症/増殖の応答が生じる。例えば、炎症性の種々の媒体が血管の壁部を通して放出されて、これらの媒体が線維芽細胞の活性を刺激して最終的に一定の「治癒(healing)」効果を生じる。
【0011】
上記のメカニズムおよび実際的な作用は多数の生体外の調査において立証されているが、臨床試行による結果はこれまでに結論に達していない。また、一部のグループは一定範囲の状況の治療において異なる程度の成功を報告しているが、別のグループはその効果を全くまたはほとんど観察していない。例えば、本明細書において参考文献として含まれる米国特許第5,514,168号、同第5,640,978号、同第5,989,245号、同第6,156,028号、同第6,214,035号、同第6,267,780号、および同第6,221,095号は生体刺激のための種々の方法および装置を例示している。このように、種々の生体刺激のための方法および装置が当該技術分野において存在しているが、治療の回数の少ない比較的に速やかに結果を生じるさらに効率的で効果的な治療方法が必要とされている。
【0012】
光生体刺激はGa−AsおよびGa−Al−As(例えば、赤外光の範囲(600乃至980nm)において発光する)等のような種々のダイオード・レーザーまたはLEDを含む比較的に安価な発光源を用いて一般的に行なわれている。低出力レーザー光の既存の発光源および発光ダイオード(LED)は1乃至100ミリワットの範囲の種々の出力レベルを配給し、従って、光生体刺激処置を行なうために必要な種々の出力密度がその光線の出力を一定の極めて小さいスポットの大きさ(一般的に10mm以下)に集光することにより達成される。これにより、1乃至100mW/cm2 の一定範囲内の典型的な出力密度が皮膚表面において生じる。しかしながら、このように小さい光線のサイズは大きな領域を治療するために一定の走査用の装置を必要にしている。さらに、たいていの調査において採用されている治療時間は5乃至30分の範囲内であり、多数回の治療が多くの場合に必要とされている。
【0013】
従って、病気および/または美顔の種々の状況の治療の効果を高めて、その治療の回数を減少する生体刺激のための改善された方法および装置に対する要望が当該技術分野において存在している。
【0014】
発明の概要
本発明は治療領域の加熱および/または冷却と組み合わせた光生体刺激により病気および/または美顔の種々の状況の治療の効果を調節し、さらに/または、その効率を高めるための方法および装置を提供している。一例の態様において、本発明の方法および装置は一定の標的領域および/またはその周囲の身体部分の中の温度を制御することによりその標的領域内の光生体刺激の効果を調節することに関連している。本発明の一部の態様によれば、生体刺激が高体温である組織に適用されるように組織が加熱される。あるいは、一定の標的領域の各部分がその皮膚表面下の一定の所望の深さにおける特定の領域を選択的に生体刺激の標的にするために冷却できる。さらに、上記標的領域の温度が選択的に且つ正確に制御可能になるように一定のフィードバック機構も提供されている。
【0015】
本発明は加熱が生体刺激の効果を高めると言う発見に部分的に基づいている。この加熱により向上した生体刺激は種々の形態を採ることができる。例えば、加熱は放射線誘発型のDNAの損傷の修復を遅らせて、修復されない損傷部分を多く残し、その標的領域内における遊離ラジカルの量を増やすことにより、生体刺激の効果を高める可能性がある。また、加熱は熱ショック蛋白の生成または活性を誘発して酵素による種々の過程の速度を調節することも可能である。現在では、従来の光生体刺激において用いられている治療の供給源および動作条件は治療組織のごくわずかな加熱(例えば、通常の体温よりも1℃高いかそれ以下)を行なっている。
【0016】
一例の態様において、本発明は一定の被験体の標的領域を生体刺激するための方法および装置を提供しており、この方法は一定の選択された継続時間にわたり生体刺激に適している少なくとも1個の選択された波長成分を有する一定の放射線供給源により発生される一定の放射線により一定の標的領域を照射する処理、およびその生体刺激の効果を調節するために上記生体刺激用の放射線とは別の一定の供給源により上記の照射した標的領域の温度を制御する処理を含む。上記の継続時間は標的領域の生体刺激を生じるように選択される。一部の実施形態において、上記標的領域は被験体の一定の皮膚表面下の一定の深さに定められる。また、上記の継続時間は所望の用途に基づいて選択できる。好ましくは、この継続時間は約10秒乃至約1時間の範囲内または約10分乃至約1時間の範囲内になるように選択される。また、上記温度は、例えば、上記標的領域を所定の温度を有する一定の表面に対して熱接触している状態で配置すること、その標的領域に対して熱接触している状態になるようにその標的領域の上における一定の流体または空気の流れを発生すること、その標的領域に電磁放射線または超音波を供給すること、またはその標的領域に一定の蒸発性のクリームまたは予備冷却および/または予備加熱したクリームまたはローションを供給することにより制御できる。なお、当業界における通常の熟練者であれば、上記標的領域および/またはその周囲の身体部分の温度を制御するために別の方法も使用可能であることが認識できる。
【0017】
上記波長成分はその所望の用途に応じて約380nm乃至約1250nmの範囲内、約380nm乃至約600nmの範囲内、約380nm乃至約450nmの範囲内、約600nm乃至700nmの範囲内、または約760nm乃至880nmの範囲内になるように選択できる。また、上記の放射線供給源は好ましくは一定の狭い帯域幅、例えば、約100nmよりも狭い帯域幅を有する放射線を発生できる。
【0018】
上記の放射線は標的領域に対して約1乃至約250mW/cm2 の範囲内、さらに好ましくは約10乃至約100mW/cm2 の範囲内の一定出力の線束を配給できる。さらに、この放射線はその照射時間中に照射される標的領域に対して約1ジュール/cm2 乃至約1000ジュール/cm2 の範囲内、さらに好ましくは約1ジュール/cm2 乃至約100ジュール/cm2 の範囲内の一定エネルギーの線束を配給できる。
【0019】
本発明の一部の態様によれば、上記の標的領域が約1cm2 乃至約10cm2 の範囲内の一定の断面積を有する一定の放射線に曝されることにより照射される。しかしながら、この放射線の断面はその用途に基づいて増大できる。
【0020】
一部の態様において、上記温度を制御する工程は生体刺激の効果を高めるために、本明細書において高体温(化)として呼ばれている、照射された標的領域を加熱する処理を含む。この加熱工程は接触加熱、対流、または超音波、マイクロ波、または赤外エネルギー等のような電磁放射線の供給により行なうことができる。なお、上記の高体温は通常の体温よりも高い一定温度になることとして本明細書において定められている。この場合に、通常の体温は1日の時間により36.1℃乃至37.2℃の範囲にできる。従って、本発明の実施において生体刺激が適用される標的領域の表面領域における温度は37乃至50℃、好ましくは37乃至45℃に高めることができる。一部の実施形態において、この標的領域の温度は約37乃至42℃の範囲内、あるいは、約38乃至42℃の範囲内になるように高めることができる。また、別の実施形態において、上記標的領域の温度は約38乃至41℃の一定範囲内になるように高められている。さらに、この温度は通常の体温よりも高くなることが好ましいが、痛みや相当な濃度の重要な生体分子の変性が生じる一定の温度よりも低い。
【0021】
本発明の別の態様は生体刺激用の放射線が供給される一定の標的領域を冷却する処理に関連している。本発明の少なくとも一部の態様によれば、組織の領域の一定の部分が冷却されて、その皮膚が熱による損傷から保護され、さらに/または、その処理の深さを制御するためにその領域内の生体刺激の効果が低下される。この標的領域は約0℃乃至約36℃、または約10乃至36℃、または約15乃至36℃、または約20乃至36℃、または約28乃至36℃の一定範囲内の値まで冷却できる。
【0022】
一部の実施形態において、上記温度の制御は生体刺激用の放射線により照射した標的領域を加熱するために一定の別の放射線供給源を利用することを含む。この別の放射線供給源は一定の狭い帯域の供給源または広帯域の供給源を含むことができる。このような別の放射線供給源は約380nm乃至約2700nmの範囲内、好ましくは約1000nm乃至約1250nmの範囲内、さらに好ましくは約700nm乃至約900nmの範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生できる。
【0023】
本発明の一例の態様において、上記の照射した標的領域の温度を制御する工程はその標的領域の第1の選択された部分を加熱してその標的領域の第2の選択された部分を冷却する処理を含む。さらに、これらの加熱処理および冷却処理は同時でもよく連続的であってもよい。この場合に、有益な種々の作用が照射の各処理の前、その途中、またはその間において標的領域の温度を速やかに変化または変動することにより生じることができる。
【0024】
本発明の別の態様において、一定の患者の皮膚の下の一定の深さに定められているその患者の一定の標的領域を生体刺激する一定の方法が開示されている。この方法は一定の標的領域を照射するためにその標的領域に付随する一定の深さまで侵入できる少なくとも1個の選択された波長成分を有する一定の放射線に対して所定の継続時間にわたりその患者の皮膚の一定の部分を曝露する処理を含む。この標的領域に到達するために放射線が通過する少なくとも一部分の中の患者の身体部分の温度はその標的領域に対してその身体部分の中の生体刺激を調整するように制御される。なお、上記の波長成分および継続時間は標的領域内に生体刺激を生じるように選択される。また、上記温度は上記の身体部分を冷却してその内部の生体刺激を減少するように制御できる。例えば、この身体部分の温度は約0℃乃至約36℃の範囲内、好ましくは約15℃乃至約36℃の範囲内になるように低下できる。また、上記波長成分は約380nm乃至約1250nmの範囲内あるいは本明細書において記載されているさらに特定の範囲になるように選択できる。さらに、上記放射線供給源は約100nmよりも狭い一定の狭い帯域幅を有する放射線を発生できる。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は一定の標的領域内に生体刺激を生じるために適している1個以上の波長成分を有する電磁放射線を発生するための第1の供給源、その放射線を上記標的領域に配給するために上記供給源に光学的に連結している一定の放射線案内装置、および上記電磁放射線により生じる生体刺激の効果を調整するために上記標的領域の温度を制御するためにその標的領域に連絡している第2の供給源を含む一定の患者の標的領域を生体刺激するための一定の装置を開示している。上記第1の供給源は、例えば、約100nmよりも狭い一定の狭い帯域幅を有する放射線を発生できる。この第1の供給源は約380nm乃至約1250nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生できる。また、上記第2の供給源は生体刺激の効果を高めるために上記標的領域を加熱することに適している放射線を発生する一定の電磁放射線の供給源を含むことができる。例えば、この第2の供給源は約380nm乃至約2700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を発生できる。
【0026】
一定の関連している態様において、上記装置はさらに一定の光ファイバーを含むことができ、この光ファイバーはその入力部分において上記第1の放射線供給源に連結していて、その出力部分において上記放射線案内装置、例えば、一定のレンズ・システムに連結しており、上記放射線供給源により発生される光がこのレンズ・システムに送られるようになっている。このレンズ・システムは標的領域を照射するために上記第1の供給源により発生される一定の放射線の断面積を調節可能にするために少なくとも1個の可動レンズを有することができる。なお、このレンズ・システムは一定のフレネル・レンズを含むことができる。
【0027】
また、別の態様において、上記放射線案内装置は複数の光線部分を発生するために上記第1の供給源からの放射線を受容することに適合している一定のビーム・スプリッター、および標的領域を照射するために一定の患者の皮膚の表面に上記光線部分の内の1個以上を送り込むために上記ビーム・スプリッターに光学的に連結している1個以上の反射面を含むことができる。これらの反射面は上記皮膚表面の実質的に均一な照明を可能にできる。また、上記ビーム・スプリッターは、例えば、一定のプリズムとすることができ、上記反射面の少なくとも1個は一定の湾曲状の外形を有することができる。
【0028】
別の態様において、本発明は一定の標的領域内において生体刺激を生じることに適している1個以上の波長成分を有する放射線によりその標的領域を照射する処理、およびその標的領域の少なくとも一部分の温度を能動的に制御してその温度を所定の動作温度の範囲内に保つことを確実にすることによりその標的領域内の生体刺激の効果を調整する処理を含む一定の被験体の標的領域を生体刺激する方法を提供している。上記温度を能動的に制御する工程は標的領域に熱接触している状態でその患者の皮膚の一部分の温度を測定する処理および少なくとも1個の所定の閾値に対してその測定した温度を比較する処理を含む。この標的領域に配給されるか当該領域から取り出される熱の量は上記の所定の閾値に対する測定した温度の比較に応じて制御できる。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は一定の患者の皮膚の一部分の上に一定の放射線供給源を移動して生体刺激を生じることに適している少なくとも1個の波長成分を有する放射線により複数の標的領域を連続的に照射することによりその被験体の複数の標的領域を生体刺激するための方法を提供している。上記放射線供給源を移動する処理はそれぞれの領域の中に生体刺激を生じるために十分な放射線に対してそれぞれの領域を曝露するために選択される一定の速度で行なうことができる。これらの標的領域の温度はそれぞれの標的領域の中の生体刺激の効果を調整するためにその生体刺激用の放射線とは無関係な一定の供給源により制御できる。上記の移動する放射線供給源はそれぞれの標的領域を1回だけ、あるいは、多数回にわたり生体刺激用の放射線に曝すことができる。
【0030】
発明の説明
一例の態様において、本発明は一定の標的領域の温度を制御することによりその標的領域の中における光生体刺激の効果を制御することに関連している。この標的領域、すなわち、患者の皮膚、毛髪、目、歯、爪、またはその他の身体組織の加熱または冷却は光生体刺激と共同してさらに良好で効率的な結果を生じるために作用できる体内の種々の生物学的な過程を開始できる。この標的領域の温度は光生体刺激の途中、その前またはその間に調整される。このような放射線と温度調整との間の共同作用はその供給の程度および/または治療する病気または美顔の状況により変更可能である。一定の好ましい実施形態において、上記の温度および放射線の調整は同時に行なわれる。
【0031】
一例の実施形態において、一定の標的領域の温度が高められる。このような組織の加熱すなわち高体温化は局所的な組織の灌流を増加すると共に血液およびリンパ液の循環を増加する。さらに、この血流の増加は光生体刺激されている種々の組織に多数の作用を及ぼす。また、一部の酵素反応の速度は比較的に高い温度において高まるので、生体刺激による細胞の生化学的な反応が加速される。加えて、増加した細胞の代謝において比較的に多量の酸素が利用可能になり、血液およびリンパ液の循環を通して、毒性の代謝副産物が容易に除去できるようになる。さらに、血管の加熱はその血管の壁部および/または細胞壁の透過性を高めることができ、このことは種々の治療用の添加物(すなわち、ビタミン、酸化防止剤、ローション等)または薬物の標的領域への配給を改善する可能性がある。例えば、局所用の種々の薬物を種々の熱感応性のリポソームの中に封入して、これらのリポソームが熱に曝される時にそれぞれの薬物内容物を選択的に放出するようにできる。
【0032】
治療する組織内における高体温化は接触加熱、対流(例えば、加熱空気による)の使用、または電磁放射線の適用を含むがこれらに限定されない任意の適当な技法の使用により達成できる。一部の実施形態において、治療する一定の組織内における高体温化は組織を生体刺激するために用いる一定の生体刺激の供給源から入射した電磁放射線の一部分の吸収により達成される。例えば、このような電磁放射線の吸収はメラニン、ヘモグロビン、水、脂質等のような組織の発色団または組織の温度の一定の上昇を生じる光と熱の相互作用を引き起こす別の発色団により行なわれる。上記の高体温化は血管拡張の増大、血液循環の増加、熱ショック蛋白生成の増進等のような種々の現象の一定のカスケードを発生し、これらは光生体刺激と共同作用してその治療効果を高める。
【0033】
加えて、局所的な高体温化が熱ショック(HS)応答である熱耐性(thermotolerance)およびホルメシス(hormesis)を活性化することが知られている(P.ベルベケ(P. Verbeke)他,セル・バイオル・インター(Cell Biol Inter.),2001年,25巻,p.845−857)。この熱耐性の現象は熱的ストレスおよび回復の一定の工程の後に、この工程が無い場合に致命的になる第2のストレスに対して生き残る細胞の能力として定義されている。すなわち、穏やかな熱ショックの処理は種々のその後のストレスによる細胞死を防ぐ可能性がある。さらに、カロリー制限、運動、酸化性および浸透性のストレス、重金属、プロテオソーム抑制因子、アミノ酸類似体、エタノール、および代謝毒等のようなストレスに対する細胞および種々の生物の曝露と同様に、熱ショック処理は熱ショック蛋白(HSP)の選択的な転写および翻訳を生じる一定の細胞のストレス応答を誘発する。このような多数のHSPの系統群がこれまでに確認されている(P.ベルベケ(P. Verbeke)他,セル・バイオル・インター(Cell Biol Inter.),2001年,25巻,p.845−857)。
【0034】
一定の細胞が一定のストレスの供与体に遭遇すると、細胞骨格、細胞質構造、細胞の表面形態、細胞のレドックス状態、DNA合成の変更または変性および蛋白質代謝および蛋白質の安定性の変化が生じる。さらに、このようなストレスは一定の分子の再造形または損傷、特に異常なたたみ込み蛋白質を発生し、これらの蛋白質は凝集して一連のストレス応答を開始する可能性がある。上記HS応答の誘発は環境のストレスとそのストレス応答との間の分子レベルの連携により生じる。ストレスが蛋白質のたたみ込みを変性する場合に、あるいは、蛋白質がたたみ込み状態から展開して変性し始める場合に、上記HSPはその蛋白質を再びたたみ込むことを補助して、蛋白質の損傷に対してその細胞組織を保護し、凝集体をある程度可溶にして、重なり合って損傷している蛋白質を大きな凝集体にして可溶状態に留め、致命的に損傷している蛋白質を崩壊の標的にして、アポプトーシスの進行を妨げることが知られている(P.ベルベケ(P. Verbeke)他,セル・バイオル・インター(Cell Biol Inter.),2001年,25巻,p.845−857)。
【0035】
上記のような展開した蛋白質の再生に関与するHSPはシャペロンとして呼ばれている。これらのシャペロンは不自然なコンフォメーションであり疎水性のシーケンスを露出している別の蛋白質を認識してこれらに結合する。このようなHSPは種々の細胞の機能の維持に関係している多くの異なる組織を保護する。さらに、一部のHSPはストレス中のミトコンドリアの膜電位の保護に結び付く細胞のグルタチオン(GSH)量の増加を誘発する。また、HSP70およびHSP90の各要素は中心体に関連している。すなわち、これらはアクチン、チューブリンおよび微小管/微小フィラメントの網状構造に結合してこれらを安定化して、細胞の形態および形質導入の種々の経路において一定の役割を果たす。
【0036】
上記熱耐性は主にその後の種々の経験に対する一定の保護手段としての高分子の修復機構に結び付く小胞体およびサイトゾルの中における種々のHSPの発現および蓄積の組織化された調整によると考えられている。さらに、上記HSに対する応答の別の特徴は種々のHSPが可溶性であり、細胞膜をまたいで別の隣接している細胞に移動すると言うことである。この結果、保護性のストレス応答がそのような反応の起こり得ない隣接している細胞に移動可能になる。従って、次の治療が比較的に高い温度により行なえるようになる。このメカニズムは皮膚表面に対して適用される最大の許容可能な入射出力を高めるために利用できる。具体的に言えば、この出力を徐々に高めて、その生体が熱的ストレスに対して適応可能にすることにより、そのような適応能力を伴わない場合に可能になると考えられるよりも高いレベル高体温化に対して生存できるようになる。
【0037】
上記のHSP依存性の効果に加えて、HSP非依存性の効果も高体温化により生じることができる。すなわち、熱耐性の別のメカニズムは浸透性ストレスの保護因子の合成、細胞膜脂質の飽和状態の変性、およびラジカル・スカベンジャー等のような酵素の発現を含む。
【0038】
また、熱耐性と同様に、ホルメシスは繰り返される穏やかな応答に対する一定の応答であり、この応答は細胞の種々の防御過程を助長する。このホルメシスは細胞が漸進的なそれぞれの環境の変化に適応して他の場合において致命的な状況に対するその後の曝露に対して生存できるようになる一定の過程である。このような現象は照射、毒素、熱ショックおよびその他のストレスに関連して観察されている。ラタン(Ratan)他は人間の線維芽細胞における繰り返された穏やかなHSにおける老化防止のホルメシス効果を観察している(ラタン(Rattan)他,バイオケミカル・モレキュラー・バイオル・イント(Biochem Mol Biol Int),1998年,45巻,p.753−759)。また、ケベライティス(Kevelaitis)他は心筋に対する熱の局所的で短い適用(42.5℃、15分間)が心臓の収縮および拡張の機能を改善することを示している(ケベライティス(Kevelaitis)他,アニュアル・トラク・サージェリー(Ann Torac Surg),2001年,72巻,p.107−113)。
【0039】
上記は本発明の幾つかの態様によるシステムが生体刺激療法の臨床的な有用性および結果を当然に改善することを示している。さらに、本発明の幾つかの態様が細胞の光化学的な生体刺激および穏やかな組織の高体温化の共同的な効果を提供していると考えられ、これらの効果はHSP依存性のおよびHSP非依存性の熱耐性および/またはホルメシスを刺激する。このような共同作用は細胞損傷の修復および損なわれた細胞の改善された機能を引き起こす可能性がある。また、これらの効果は感染、急性および慢性の炎症、微視的な循環の停滞に付随する種々の状況の治療において役立ち、例えば、線維芽細胞の増殖の刺激または細胞内および細胞外の蛋白質、糖蛋白質および脂質可溶性の種々の分子の新しい合成を最終的に引き起こす種々の増殖因子の増加により、変性過程に置かれている種々の組織の再生および復活も刺激できる。また、本発明の別の態様は温度制御(例えば、一定の組織表面の加熱および/または冷却による)の使用を通して、さらに/または、放射線のスポット・サイズの制御を通して、深い種々の構造に光生体刺激用の光を選択的に配給することにより得られる生体刺激の効果を制御している。
【0040】
本発明の別の態様において、一定の所望の治療効果を達成するために光生体刺激の特定のメカニズムを制御するための一定の手段が提供されている。光生体刺激に対する生物学的な応答がその生物学的な組織の状態の一定の関数として変化し得ることが知られている。例えば、人間の線維芽細胞は外部の刺激に曝されると多様な応答を示す可能性がある(レーザーズ・イン・メディシン・アンド・デンティストリー(Lasers in Medicine and Dentistry),Z.シムノビック(Z. Simunovic)編集,ビトグラフ:リジェカ(Vitgraf:Rijeka),2000年,pp.97−125)。特に、線維芽細胞の増殖の刺激およびI型コラーゲンの生成における一定の増加の両方が報告されている。しかしながら、コラーゲンの生成は細胞増殖における影響とは逆の様式で影響を受け、増殖が増大すると、コラーゲンの生成は減少する。それゆえ、生体刺激の作用を一定の所望の経路に導くためにその標的組織の状態を操作できる。この場合に、生物学的な組織の状態に大きく影響する一つの要因は温度である。本発明は生体刺激を受けている領域の温度の制御を通してその結果として生じる生物学的な応答を微調整する一定の方法を提供している。
【0041】
本発明は生体刺激の効果を調整するための方法および装置を提供している。この用語の「効果を調整する(modulates efficacy)」は本明細書において用いられているように10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは100%以上の結果として生じる生体刺激の効果における一定の変化を意味する。また、この生体刺激の効果は一定の所望の外観、すなわち、しわまたは瘢痕組織の除去を達成するために必要な時間、または患者の満足、すなわち、痛みの軽減のために必要な時間、または潜在する酵素のメカニズムの割合に基づいて測定できる。例えば、一定の標的領域の生体刺激の効果を実質的に高めることは刺激されていない安定状態の状況に対する10%を超えるその標的領域内の酵素による過程の割合における一定の増加を意味することができる。さらに、この酵素による過程の割合は当業界において知られている方法の任意のものにより決定できる(例えば、T.バッグ(T. Bugg),アン・イントロダクション・トゥ・エンザイム・アンド・コエンザイム・ケミストリー(An Introduction to Enzyme and Coenzyme Chemistry),ブラックウェル(Blackwell),1997年、ライト(Wright)他,フォトケミカル・フォトバイオロジー(Photochem Photobiol.),2002年,7月,76(1)巻,p.35−46、ケーケモア(Koekemoer)他,コンプ・バイオケミカル・フィジオロジー・B・バイオケミカル・モレキュラー・バイオロジー(Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol.),2001年,7月,129(4)巻,p.797−807を参照されたい)。例えば、シトクロムcオキシダーゼの酵素による活性またはラジカル生成、すなわち、一重項酸素の生成速度は一定の標的領域内における生体刺激の測定手段として使用できる。例えば、上記の遊離ラジカルの生成は細胞質内のスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼまたはグルタチオン・パーオキシダーゼの量を測定することにより決定できる。加えて、酸化防止剤の消費による等のような遊離ラジカル生成の間接的な測定も使用可能である。
【0042】
上記のメカニズムは例示的であり、全てを網羅していない。従って、これらは本発明の範囲を限定しているものとして考えるべきではない。加えて、光生体刺激は新生の技術分野であり、一定の結果を達成する上記のようなメカニズムに関連する理論は多くの推論的な例として挙げられる。
【0043】
図1乃至図5は本発明の少なくとも一部の態様に従う組織の一部分の生体刺激および温度制御(高体温化および/または低体温化)を達成するための5種類の例示的な処理の概要をそれぞれ示しているシステムの概略的な断面図である。
【0044】
それぞれの治療または処理の概要において、生体刺激は当該生体刺激を達成するために適している一定の供給源から皮膚の表面に電磁放射線を供給することにより達成される。例えば、一定の適当な供給源は単色または準単色の供給源等のような一定の狭い帯域幅の供給源を含むことができる。さらに、適当な供給源は種々のレーザー、LEDまたは適当に濾光処理した広帯域の供給源(例えば、種々の濾光型ランプ)を含むことができる。本発明はまた一定の二次元のマトリクスの放射線供給源も利用できる。一定の適当な狭い帯域幅の供給源は好ましくは約100nm以下、さらに好ましくは約20nm以下、さらに好ましくは約10nm以下の一定の帯域幅(すなわち、波長領域)を有する。さらに、波長は任意の既知の生体刺激作用を達成するために選択できる。例えば、この放射線の波長は380乃至2700nmの一定範囲内にすることができる。この場合に、約380乃至600nmの一定範囲内の波長を有する放射線は表皮組織を治療するために利用でき、約600乃至1250nmの一定範囲内の波長を有する放射線は深層組織のために利用できる。一定の例示的な実施形態において、生体刺激に利用できる好ましい波長の範囲は380乃至450nm、600乃至700nm、および760乃至880nmである。しかしながら、この波長の選択はその特定の用途に応じて決まる。例えば、生体刺激は美顔、歯科、皮膚科、ENT(耳鼻咽喉科)、婦人科、および外科の種々の用途を有している。
【0045】
図15を参照して、この一例の例示的な実施形態においては、一定の二次元のマトリクスの放射線供給源が一定の標的領域内に生体刺激を生じるためにその標的領域を照射するのと同時に、あるいは、異なる時間の間隔を置いて、当該領域に熱を配給するために使用できる。この例示的な放射線のマトリクス1500は複数の放射線供給源1510(比較的に大きい円として示されている)を含み、これらは組織内に生体刺激を生じるために適している1個以上の波長成分を有する放射線を発生し、さらに上記マトリクス1500は複数の別の放射線供給源1520(比較的に小さい円として示されている)を含み、これらは一定の標的領域を加熱するために適している波長範囲を有する放射線を発生できる。この場合に、種々の放射線供給源、例えば、LEDまたはレーザー等が上記二次元の放射線マトリクス1500を形成するために使用できる。
【0046】
本発明の態様の適用例は皮膚組織の改善、瘢痕の除去または治癒、しわの除去、皮膚の引き締め、皮膚弾性の改善、皮膚の肥厚化、皮膚の若がえり、脂肪性浮腫の治療/脂肪低下、脈管およびリンパの再生、皮下コラーゲン構造の改善、アクネ治療、乾癬治療、脂肪低下、毛髪成長の刺激、脱毛症の治療、老年性黒子の治療、線条の治療、痛みの軽減、傷の治癒、表皮および皮膚炎の治癒、湿疹の治療、褥瘡性潰瘍の治療、血腫の治癒、皮膚表面の置換後の治療、臭気の減少、筋収縮弛緩、歯肉炎の減少、歯髄炎の減少、肝炎の治療、歯槽骨炎、アフタおよび充血の治療、水腫の減少、鼓膜の治癒、耳鳴の治療、微小瘢痕およびポリープ症の減少、子宮付属器炎、バルトリン腺炎、子宮頸炎、会陰切開、HPV、月経過多、および子宮傍組織炎および外陰炎を含むがこれらに限定されない。種々の病気および美顔状況を治療するために使用できる非限定的な波長範囲が以下の表1において見ることができる。
【0047】
【表1】

【0048】
処理時間は一般に治療する組織の高体温化を達成するために必要な時間および一定の所望の光生化学的な結果を達成するために十分な一定時間にわたり生体刺激用の放射線により高体温の皮膚の部分を照射するために必要な時間に基づいて選択される。
【0049】
本発明の一部の態様によれば、生体刺激用の放射線により高体温の皮膚の部分を照射するために必要な時間は人間の組織の中に約1023個の分子/cm3 が存在していて、1回の光生体刺激の治療の過程において各分子に最少でも1個の光子が配給されると言う一定の仮定により決定できる。例えば、1cm3 の治療部分に対して、1023個の光子を配給する必要がある。さらに、吸収される光子が均一に分布して光が1cm2 の窓を通して配給されると仮定すると、一定の皮膚表面における光の量は単色光の1個の光子のエネルギーの1023倍に等しくなり、この量をその供給源の光の出力で割った値が一般的な最小の治療時間を決定する。この場合に、一般的な治療時間は10秒乃至60分である。一部の実施形態において、そのパルスの持続時間は1分乃至1時間である。また、別の実施形態において、上記パルスの持続時間は10分乃至1時間である。さらに、これらの治療は必要に応じて行なうことができる。例えば、各治療の間に1日の間隔を置いて、5乃至10回行なうことができる。この場合に、一定の標的領域に配給される合計のエネルギーの一般的な量は1J/cm2 乃至1KJ/cm2 の範囲にすることができ、好ましくは1J/cm2 乃至100J/cm2 である。
【0050】
本発明によれば、上記の高体温化はそれぞれの方法の概要において指定される深さにおいて高体温化を達成する任意の既知の手段により達成できる。この高体温化の場合に、その供給源は一定の広帯域の放射線供給源または一定の狭い帯域の放射線供給源のいずれでもよく、パルス化されていてもよく、あるいは、連続波(cw)でもよい。さらに、一部の実施形態において、パルス化した光を一定の患者の生物学的な周期(例えば、その患者の心臓の鼓動等のような生物学的な周期)に同期化することができる。さらに、光高体温化に関する詳細が以下において論じられている。
【0051】
温度制御および生体刺激を達成するために以下において記載されている種々のパラメータ(例えば、波長の束、温度、面積等)の例示的な範囲は特定の治療を達成するために使用できる種々の値を示しており、これらの特定の治療のために用いられる値は患者の皮膚の種類または型、治療を受ける患者の体の部分、所望の治療、治療の深さ、治療部分の温度等を含むがこれらに限定されない多くの要因に応じて決まる。加えて、これらのパラメータが相互に関係していることも認識する必要がある。例えば、エネルギー/量および供給時間は逆の関係にあり、一定の標的部分における所望数の光子を供給するために一方が大きくなれば他方が減少する。所望の結果を提供する種々のパラメータの例が本明細書において記載されており、別の治療のための種々のパラメータが本明細書において記載されている情報および/または経験により当業界における通常の熟練者により決定できる。
【0052】
図1は本発明の一定の例示的な実施形態を示しており、この実施形態において、組織の一定の部分160がその組織における一定の高体温の部分に生体刺激を加えるように加熱され、この場合に、この組織の部分160が皮膚の表面115の表面から延在している。すなわち、この組織の部分160は一定の深さの部分130および一定の皮膚の表面領域150により定められている。また、この組織の部分160の側面152が皮膚の表面115に対して垂直であるように示されているが、図1における治療の領域ならびに図2乃至図5について以下において説明されている治療領域が一般的に組織による光の散乱により表面領域から下に深さと共に増大することが当然に理解されると考える。加えて、上記組織の部分16の境界が連続的な線により示されているが、その治療の実際の部分が極めて不規則になる可能性があり、これらの境界の外側の組織の領域も生体刺激および高体温化の両方を受ける可能性があるが、その生体刺激および/または高体温化が上記組織の部分160内の組織におけるよりも一定の低い程度になることが当然に理解されると考える。
【0053】
生体刺激は上述したような一定の適当な光生体刺激の供給源110からの放射線により達成できる。例えば、この供給源110は約1乃至250mW/cm2 の範囲内、好ましくは約10乃至100mW/cm2 の範囲内の一定の線束を有する放射線を皮膚表面115に配給する。この場合に、生体刺激が達成される一定の深さの領域130は供給源110からの光の線束および波長、および領域150の大きさにより決定される。例えば、一定の線束1乃至250mW/cm2 において380乃至1250nmの一定の波長を有する放射線による照射は1cmよりも大きい一定の直径を有する光線の場合に10mmまでの深さまで生体刺激を達成する。なお、上記領域150が円形であるように示されているが、この領域150(および図2乃至図5について以下に説明されている別の皮膚の表面領域)が卵形、正方形、長方形、六角形でもよく、あるいは、別の任意の適当な形状を有していてもよいことが当然に理解されると考える。また、上記供給源110は皮膚の表面115に接触して動作することができ、あるいは、一定の距離から皮膚の表面115の上に放射線を照射することも可能である。
【0054】
上記皮膚の部分160内の高体温すなわち一定の高められた温度は当該部分160の温度を約37乃至50℃、好ましくは約37乃至45℃の一定範囲内の値に高めることのできる任意の既知の供給源120により達成できる。通常の体温は1日の時間により36.1℃乃至37.2℃の範囲であると言える。一部の実施形態において、その標的領域の温度は約37乃至42℃の一定範囲内に高めることができる。また、一部の実施形態において、その標的領域の温度は約38乃至42℃の一定範囲内に高められる。さらに、別の実施形態において、その標的領域の温度は約38乃至41℃の範囲内に高められる。さらに、別の実施形態において、その標的領域の温度は約38℃に高めることができる。さらに別の実施形態においては、その標的領域の温度は約39℃に高めることができる。さらに別の実施形態においては、その標的領域の温度は約40℃に高めることができる。例えば、上記高体温は熱風を上記領域150に噴射すること、ACまたはDCの電流を供給すること、または一定の導電性の熱源(すなわち、上記表面115に接触している一定の加熱プレートまたは加熱用のパッド等のような装置)を用いることにより達成できる。さらに、一定の組織を加熱する別の例は米国特許第5,230,334号および米国特許第4,776,086号において記載されているような超音波およびマイクロ波の放射線を用いる処理を含み、これらの文献はそれぞれ本明細書において参考文献として含まれる。また、接触加熱が望まれる場合には、生体刺激がその熱源を通して組織に供給可能になるようにその熱源を生体刺激用の放射線に対して透過性にすることができる。さらに、この加熱は光生体刺激の治療の各処理の前、その途中またはそれらの間のいずれにおいても適用可能である。
【0055】
随意的に、供給源120は高体温化を達成できる一定の発光源とすることができる。このような放射線により達成される高体温化は光高体温化とも呼ばれる。さらに、この発光源120は生体刺激の達成に影響しない任意の適当な発光源とすることができる。また、上記の高体温化を達成するために、その加熱処理は組織の一定の所望の温度を達成するために選択される一定の広帯域の供給源または一定の狭い帯域の供給源のいずれかを用いて得ることができる。また、この高体温化は任意の適当な1個以上の波長の電磁放射線を用いて達成することができ、例えば、この放射線は380乃至2700nmの範囲内、好ましくは500乃至1250nmの範囲内、さらに好ましくは650乃至900nmの範囲内および/または1000乃至1250nmの範囲内にすることができる。例えば、図6において含まれている各供給源は一定の適当な温度プロファイルを形成するために一定の重み付けした様式で組み合わせることができる。さらに、上記の発光源120は皮膚表面115に接触して動作することができ、あるいは、一定の距離から皮膚表面115の上に放射線を照射することも可能である。
【0056】
生体刺激の供給源110および上記供給源120の組み合わされた出力のスペクトルの密度が生体刺激を行なう波長により支配されていれば、発光源120が生体刺激の達成に対して影響しないと考えられる。例えば、この生体刺激を行なう帯域内の波長のスペクトル密度は任意の他の帯域内の光のスペクトル密度の100倍以上、好ましくは1,000倍以上である。なお、この語句の「スペクトル(の)密度(spectral density)」は本明細書において特定の帯域幅(例えば、生体刺激が達成される帯域幅)の中における光子の数を表現するために定められている。
【0057】
本発明の種々の態様による生体刺激は照射の一定の従来の小さい領域(例えば、10mm2よりも小さい直径の一定のスポットの大きさを有する丸い領域)に適用されるか、あるいは一定の比較的に大きな領域(例えば、1cm2 乃至200cm2 またはそれ以上で人間の体全体を含む一定のスポットの大きさを有する丸い領域)に適用される種々の供給源を用いて達成することができる。同様に、本発明の種々の態様による光高体温化は一定の従来の小さい領域内(例えば、10mm2よりも小さい直径の一定のスポットの大きさを有する丸い領域)に適用されるか、あるいは一定の比較的に大きな領域(例えば、1cm2 乃至200cm2 またはそれ以上の一定のスポットの大きさを有する丸い領域)に適用される種々の供給源を用いて達成することができる。さらに、大きな領域は処理時間の短縮を含むがこれに限定されない種々の利点を提供する。例えば、大きな領域は一定の顔面、首、背中または腿等のような組織の大きな領域を治療するために使用できる。さらに、このような大きな領域の照射を達成する方法が以下において図8乃至図11および図13に基づいて詳細に説明されている。
【0058】
本発明は照射する部分が増大するほど境界部分の効果が低下することを認識している。すなわち、標的領域の部分が増大すると、散乱した放射線がその照射した部分の中に留まる可能性が高まる。それゆえ、一定の比較的に大きな照射ビームおよび/または一定の比較的に大きな標的領域を用いる場合に一定の比較的に深い深さまでその標的組織の中に侵入できる。従って、一部の実施形態において、治療が一定の組織の相当な深さにまで及ぶ場合に、一定の大きな領域の照射がその治療を行なうために用いられる。これに対して、従来の生体刺激装置は狭い領域の入射ビームを用いており、このようなビームは強く減衰されるので、そのビームを構成している光子が所望の生体刺激を達成するための十分に高い濃度でその皮膚および皮下組織(さらに/または筋肉および骨)の中に深く到達できない。加えて、従来の生体刺激装置においては、一定の時間に小さな領域のみが治療されるので、組織の大きな領域の治療により生じる有益な効果が存在しない。例えば、一部の実施形態において、光生体刺激用の放射線は約0.8cm2 (例えば、1cm2 よりも大きい一定の円形スポットの大きさ)よりも大きい、好ましくは1.6cm2 よりも大きい一定の照射面積により皮膚表面に照射されていて、1回に一定の大きな領域を治療することにより時間効率を達成している。一例の態様において、本発明はこのような治療を行なうことのできる装置を提供している。
【0059】
図2は本発明の別の実施形態を示しており、この実施形態において、一定の組織の部分260が加熱されてその組織の高体温の部分260に生体刺激が供給されるようになっており、この場合に、その組織の部分260は皮膚の表面115の近くにあり、生体刺激(高体温化を伴わない)を受ける一定の組織の部分270が上記組織部分260の下方に存在している。この組織の部分260は一定の深さの領域230および一定の領域250により定められている。本発明のこの態様によれば、同一の光源210が組織の部分260における高体温化および生体刺激の両方を生じるために用いられている。さらに、この光源210は一定の深さの領域240内の部分270の中にも生体刺激を生じる。
【0060】
本発明の上記の態様に従う実施形態の付加的な利点は図1において供給されている線束に対して供給源210の線束を増加することにより生体刺激領域の深さが効果的に増大すると言うことである。例えば、100mW/cm2 から200mW/cm2 への皮膚表面115における線束の入射の増加は顕著な高体温化を誘発するために十分であり、30%(すなわち、図1における深さの領域130に比べた場合にそれぞれの深さの領域230および240を含む合計の生体刺激の深さの増加分)までだけ有効な生体刺激の深さも増大する。
【0061】
上記の高体温化および生体刺激は一定の領域250の上に一定の狭い帯域幅の供給源210から電磁放射線を照射することにより組織の部分260の中に達成される。この供給源210の波長は一定の所望の光生体刺激の結果を達成するために選択され、この供給源210の線束は図6および図7により示されているように所定の温度プロファイルを達成するために選択される。一方、上記組織部分270(一定の深さの領域240および領域250により定められている)の中の生体刺激は図2において示されているように光の強度が生体刺激を達成するために十分ではあるが一定の高体温の温度を達成するために十分でない(すなわち、温度が38℃よりも低い)場合に達成される。なお、生体刺激の効果は一定の深さの領域240内に高体温化が存在しないことによりこの深さの領域240よりも上記の深さの領域230の中において弱いことを認識する必要がある。
【0062】
本発明の第2の態様による生体刺激および高体温化は一定の従来の小さな照射領域(例えば、10mm2よりも小さい直径の一定のスポットの大きさを有する丸い領域)に適用されるか、あるいは一定の比較的に大きな領域(例えば、1cm2 乃至200cm2 またはそれ以上の一定のスポットの大きさを有する丸い領域)を用いて達成することができる。一般に、上記の領域が大きくなるほど、それぞれの深さの領域230および240が散乱の効果の一定の減少により表面115からさらに深く延在する。例えば、一定の線束0.1乃至1.0mW/cm2 における一定の波長600乃至1250nmおよび一定のスポットの大きさ1乃至200cmを伴う照射は露光後80秒において30mmまでの一定の深さに到る加熱および生体刺激および30乃至50mmに到る生体刺激(高体温化を伴わない)を達成する。
【0063】
図6および図7は皮膚の冷却を伴わない(図6)または同時の皮膚の冷却を伴う(図7)単色光の例示的な波長を用いて一定の選択された温度プロファイルを達成するためのグラフのデータをそれぞれ示している。具体的に言えば、以下の表2および表3における番号付けした各項目が図6および図7におけるそれぞれ対応している番号付けした安定状態の温度プロファイルを達成するために必要な皮膚表面における線束および時間をそれぞれ記載している。なお、図6および図7における各波長が例示的であり、任意の適当な波長の光が高体温化を達成するために使用できることが当然に理解されると考える。図6における例示的なプロファイル7は皮膚の表面(図6において皮膚の深さ0として示されている)から延在している一定の組織部分(例えば、組織部分260)の中の高体温化を示している。また、例示的なプロファイル1乃至6および8乃至10に対応する各供給源もまた一定の組織部分(例えば、組織部分260)の中の高体温化を達成するために使用可能であり、この高体温化は供給源の出力を適当に増加して一定の比較的に大きな線束を達成することにより皮膚の表面から延在する。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
図12Aは680mW/cm2 の一定の線束における一定の800nmの放射線に対する露光時間の関数としての皮膚表面における温度を示しており、この場合に各ビームは2.5cmよりも大きい一定の直径を有している。図12Aにおいて示されているデータは以下の仮定、すなわち、一定の3mmの皮膚の厚さ、一定の5mmの皮下脂肪の厚さ、皮下脂肪の下に延在している筋肉、および37℃の一定の体温を含む一定のコンピュータ・モデルにより計算されている。また、図12Bは図2の実施形態に相当する温度プロファイルを示しており、この場合に、皮膚表面は36℃に冷却されて維持されている。さらに、この図12Bの各温度プロファイルは上記表3のデータにそれぞれ対応している。また、この図12Bにおいて示されているデータは以下の仮定:すなわち、一定の3mmの皮膚の厚さ、一定の5mmの皮下脂肪の厚さ、皮下脂肪の下に延在している筋肉、および36℃の一定の体温を含む一定のコンピュータ・モデルをにより計算されている。
【0067】
図3は皮膚の表面115の下の一定の深さの領域330の中の組織の部分360の中に光生体刺激を発生するための本発明の第3の態様を示しており、冷却が皮膚115の表面に加えられている。この光刺激は皮膚の表面115を冷却することにより一定の深さの領域320の中における組織の部分380の中の効果を抑制または低下することができる。また、組織の部分360は一定の深さの領域330および一定の領域350により定められている。この場合に、高体温化は組織部分360のいずれの部分においても生じない。
【0068】
上記組織部分380の中における抑制された生体刺激または低下した効果の生体刺激を伴って組織部分360の中において生体刺激(高体温化を伴わない)を達成するために、一定の供給源310は1乃至10,000mW/cm2 の範囲内で放射線を放射し、冷却器312は一定の低体温(すなわち、通常の体温よりも低い一定の温度)まで領域350および一定の深さの領域320により定められている一定の部分380の中の温度を下げるために皮膚表面に冷却を加える。この冷却器312は、例えば、一定のファン、冷温(36℃以下)流体(すなわち、液体または気体)の流れ、凍結剤スプレー、蒸発性のクリーム、皮膚に接触している冷温プレートまたはウインドウ、またはその他の接触式または非接触式の冷却器等のような任意の適当な冷却器とすることができる。
【0069】
上記標的領域の温度は約0乃至36℃または約10乃至36℃、または約15乃至36℃、または約20乃至36℃、または約28乃至36℃に低下できる。このような低体温化は照射により発生する熱により生じる損傷から皮膚を保護するために使用できる。加えて、温度を低下することにより、生体刺激の効果を低下するか生体刺激を抑制することができる。この効力の低下は血液の微小循環の低下、比較的に低い温度による関連の生化学的な反応の減速を含む種々の要因に帰することができる。また、標的領域の冷却は代謝および生理学的な種々の過程を減速して細胞、特に神経における酸素の必要性を低下する可能性がある。ただし、0℃よりも低い温度において生じる可能性のある凍傷を防ぐために注意する必要がある。加えて、全身の温度(すなわち、直腸の温度)は約28℃以下に低下してはならず、この温度において通常の温度に戻る能力が失われる。ただし、一部の実施形態において、0℃よりも低い温度を短時間にわたり一定の小さい標的領域において使用できる場合もある。
【0070】
一部の態様において、低体温化は高められた生体刺激を生じる可能性がある。すなわち、温度を下げることは特定の冷温ショック蛋白の発生、および細胞膜または脂肪細胞の脂質構造における相転移を引き起こす。これらの標的領域に対する変化は特定の病気または美顔の状況の治療のための生体刺激の効果を高めることができる。
【0071】
例えば、高体温化を伴わない生体刺激を達成するために、60秒よりも大きな一定の時間間隔において1乃至1,000mW/cm2 の線束および0.8cm2 のビーム面積(例えば、1cm2 よりも大きい標的領域において一定のスポットの大きさを生じる一定の丸形の領域)における500乃至1200nmの一定波長による照射が25mmの一定の深さまでの生体刺激を達成する。この場合に、皮膚表面115が0乃至32℃に維持されると、低体温化が上記治療部分360の上の一定の組織部分380の中に存在してこの部分の中における生体刺激が減少または抑制される。また、一部の実施形態において、上記の低体温化が生体刺激を高めることも有り得る。
【0072】
図4は本発明の別の態様を示しており、この態様において、一定の組織部分460は生体刺激を一定の高体温の組織部分460に加えるように加熱され、この場合に、この組織部分460は皮膚の表面115の下の所定の深さにあり、別の部分(高体温化を伴わない)465,470が上記の組織部分460の上下にそれぞれ存在している。この場合に、高体温化は一定の冷却器412により組織部分465の中において抑制されており、組織部分470は高体温化を達成するほど十分には加熱されていない。また、上記の組織部分460は一定の深さの領域430および一定の領域450により定められている。
【0073】
上記組織部分460の中における光生体刺激および高体温化を達成するために、一定の供給源410は100乃至10,000mW/cm2 の範囲内の放射線を放射し、冷却器412は皮膚表面115における高体温化を抑制するためにその皮膚表面に冷却を供給する(0乃至30℃)。図4の治療等のような治療は一定の比較的に大面積の照射(例えば、1cm乃至200cmまたはそれ以上の一定の直径を伴う一定のスポットの大きさを有する丸形の領域)により適用される一定の生体刺激の供給源により達成できる。このような組織部分が皮膚の表面下の所定の深さにある場合の一定の組織部分を加熱する処理が「メソッド・アンド・アパレイタス・フォー・フォトサーマル・トリートメント・オブ・ティシュー・アット・ア・デプス(Method and Apparatus for Photothermal Treatment of Tissue at a Depth)」を発明の名称とする2002年,6月19日に出願されている米国仮特許出願第60/389,871号において記載されており、この文献の内容は本明細書において参考文献として含まれる。
【0074】
例えば、本発明の態様に従って光生体刺激および高体温化を達成するために、曝露の60秒後における100乃至10,000mW/cm2 の一定の線束および0.8cm2 の照射面積における500乃至1250nmの一定波長による照射は皮膚表面下の0乃至50mmの一定範囲内の深さにおいて生体刺激を達成し、その皮膚表面が0乃至30℃に維持される場合には、その高体温化は皮膚表面下の0.2乃至30mmの一定範囲の深さにおいて達成される。本発明のこの態様による治療は一定の比較的に大きな領域(例えば、1cm乃至200cmまたはそれ以上の一定のスポットの大きさの直径を有する丸形の領域)を用いて達成できる。
【0075】
図5は高体温の組織部分において高められた生体刺激が生じるように一定の組織部分560が供給源510により加熱される本発明の別の態様を示しており、この組織部分560は皮膚表面115の下の所定の深さに存在している。この場合に、皮膚表面550は同時にまたは連続的に加熱しながら冷却供給源512により冷却できる。さらに、生体刺激(高体温化を伴わない)が上記組織部分560の下に存在している一定の組織部分540の中において生じる。また、組織部分560は一定の深さの領域530および一定の領域550により定められている。
【0076】
図4に関連して上述されているように、生体刺激の効力は皮膚表面の近くにおける一定の組織部分520の中において抑制される。しかしながら、本発明のこの態様によれば、高体温化が組織部分560のみにおいて生じる。
【0077】
例えば、本発明の上記の態様により光生体刺激および高体温化を達成するために、曝露の60秒後において100乃至10,000W/cm2 の一定の線束および0.8cm2 よりも大きい一定の照射面積における500乃至1250nmの一定波長を伴う照射が皮膚表面下の0.1乃至50mmの一定範囲内の深さにおいて生体刺激を達成し、この皮膚表面が0乃至30℃に維持される場合には、その高体温化が皮膚表面下の0.2乃至30mmの一定範囲内の深さにおいて達成される。本発明のこの態様による治療は一定の比較的に大きな領域(例えば、1cm乃至200cmまたはそれ以上の一定のスポットの大きさの直径を有する丸形の領域)を用いて達成できる。
【0078】
図7は単色光の例示的な波長を用いて所定の温度プロファイルを達成するためのグラフによるデータおよびこれに対応する表のデータを示しており、この場合に、皮膚表面は10℃の一定温度に冷却されており、光生体刺激は皮膚表面の近くの一定の組織の領域内において抑制されている。具体的に言えば、表3において番号付けされている各項目は図7においてそれぞれ対応して番号付けされている安定状態の温度プロファイルを達成するために必要な皮膚表面における線束および時間を記載している。なお、図6および図7における各波長が例示的であり任意の適当な波長の光が高体温化および生体刺激を達成するために使用可能であることが当然に理解されると考える。
【0079】
上記の説明は静的(すなわち、移動しない)放射線供給源を論じているが、所望の組織温度を達成し、さらに/または生体刺激を達成するための所望量の光を配給するために、所望の光生体刺激および光高体温化を皮膚表面の全体にわたり一定の放射線供給源の出力ヘッド部分を移動することにより達成できる。このヘッド部分は所望の治療効果を達成するために必要に応じて1回または多数回にわたりそれぞれの皮膚表面の領域の上に移動可能である。さらに、一定の供給源を皮膚表面の全体にわたり移動することは組織全体の比較的に長い熱の緩和時間による組織の一定部分の中における高体温化を達成するために使用できる。このような供給源の移動および組織の加熱に関する詳細が2001年、8月14日にアルトシュラー(Altshuler)他に発行されている「メソッド・アンド・アパレイタス・フォー・ダーマトロジー・トリートメント(Method and Apparatus for Dermatology Treatment)」を発明の名称とする米国特許第6,273,884B1号において記載されており、この文献の内容は本明細書において参考文献として含まれる。このようにして、光生体刺激は所望数の光子が組織の治療部分に配給されるように一定の速度および/または多数の繰り返しにおいて皮膚全体にわたり上記供給源の出力ヘッド部分を移動することにより達成できる。
【0080】
本発明の上記の態様は組織の一定の高体温および/または一定の低体温の部分に生体刺激を加えることに関連している。これらの態様において、その加熱供給源および生体刺激用の放射線供給源は同時に適用することができ、さらに一部の実施形態において、同一の供給源にすることも可能であり、あるいは、加熱供給源を生体刺激用の放射線の供給中に休止することもでき、あるいは、この加熱供給源を高体温化の状況を維持するために一定の減少した量で供給することも可能である。
【0081】
図8は上記図2に従う本発明の態様と共に使用することに適している一定の光投射システム800の概略図である。この光投射システム800は一定の放射線供給源802および一定のレンズ・システム820により構成されている。この放射線供給源は図2に関連して上述されている本発明の一定の実施形態に従って高体温化および生体刺激を発生するための任意の適当な狭い帯域幅の供給源にすることができる。例えば、この供給源は一定のレーザー(例えば、90Wの出力により805nmで発光する一定の連続波形のダイオード・レーザー)または複数のレーザーの一定のアレイ、一定のLED(または複数のLEDの一定のアレイ)または一定の電灯とすることができる。さらに、この供給源802からの放射線は一定の光ファイバー803(例えば、一定の1mmのコアの石英−ポリマーのファイバー)または一定の適当なファイバーの束に連結可能であり、これらはその基端部において光源802に連結している。
【0082】
上記レンズ・システム820は図2に関連して上述されているような一定の線束およびビーム・サイズを有する光を光源802から一定の患者の皮膚表面に伝達するための任意の適当なレンズ・システムにすることができる。一例の実施形態において、このレンズ・システム820は一定の凹レンズ806および一定の凸レンズ808を含み、この凸レンズ808は視準化した出力ビーム810を形成する。上記システム800の一例の実施形態において、上記レンズ806は一定の屈折レンズであり、レンズ808は一定のフレネル・レンズである。このフレネル・レンズは種々の安全効果(例えば、スペックルの一定の減少による比較的に均一な照明パタン)を与えることができる。このような実施例の一例として、レンズ806は25mmの焦点距離および25mmの直径を有する一定の凹レンズであり、レンズ808は152mmの焦点距離を有する152mmの直径の一定のフレネル・レンズであり、放射線供給源802とレンズ806との間の距離は20mmであり、各レンズ806と808との間の距離は105mmである。
【0083】
本発明の一部の態様によれば、比較的に大きな直径を有する出力ビームが小さなビーム・サイズを発光する従来の低出力のレーザー供給源よりもさらに深く皮膚および皮下組織の中に狭い帯域幅の光(例えば、レーザーまたは単色光の濾光された光)を供給するために用いられている。例えば、上記レンズ・システム820の例示的な実施形態によれば、一定の90Wの供給源の場合に、このレンズ・システム820は160mmの直径を有する一定の出力ビームを生成して、(レンズ808から23cmの一定の距離において)200mW/cm2 乃至2000mW/cm2 の一定の出力線束を有する。
【0084】
図13Aは図1および図3、図4および図5において示されている様式に従って本発明を実施することを可能にしている本発明の態様に従う一定の光投射システム1300の一定の例示的な実施形態である。例えば、この投射システム1300は皮膚表面1350において適当な直径および線束を有する一定の出力ビームを供給する任意のシステムにすることができる。一例の実施形態において、この投射システム1300は一定の光源1302、および光学要素1304,1306,1312,1314および1308を含む。この場合のレンズ・パラメータの組の一例が図13Bにおいて示されている。
【0085】
光学要素1306および1314は出力ビーム1310が一定の可変の直径を有するように光学軸1301に沿って移動可能にできる。例えば、これらのレンズ1306および1314は一定の剛体のフレーム1316(例えば、一定の移動ステージ)に連結していて、システム1300の光学軸1301に沿うこれらのレンズ1306および1314の同時的な移動を可能にすることができる。このような移動は出力ビーム1310のビーム幅を変化し(例えば、スポットの大きさが変化する)、これに対応して皮膚表面1350上の線束を変化する。例えば、上記システム1300は4cm乃至8cmにわたりスポットの大きさを連続的に変化すると共に、7W/cm2 乃至2W/cm2 の対応する範囲に線束を変化できる(光源1302が一定の90Wの光源であると仮定した場合)。なお、上記の各要素および光源1302の適当な選択により、上記レンズ・システム1300が本明細書において記載されているような任意の出力ビーム1310および本明細書において記載されているような任意の出力密度を達成するように設計できることが当然に認識されると考える。
【0086】
上記システム1300は、基端部において一定の冷風または熱風の供給源(図示されていない)に連結していて先端部において一定の患者の皮膚1350に向けられた空気の流れ1320を供給する、少なくとも1個のエア・チューブ1318を含む。例えば、この少なくとも1個のエア・チューブ1318からの全体の空気の流れは図3乃至図5において示されている各実施形態に従って空気の温度を変化するために少なくとも50m3 /分にすることができ(例えば、皮膚表面1350において温度は0℃乃至45℃になる)、さらに図1に従って、一定の熱風を皮膚表面1350に供給できる。このように、ビームの直径および空気の温度を変化することにより、図1、図3、図4および図5の全ての様式が図13Aのシステムを用いて実現できる。なお、図8および図13Aはビームの直径を特定することによる態様について記載されているが、適当な穴あけにより任意の形状のビームを達成することも可能である。
【0087】
図9Aは一定の患者の頭部または腿等のような平坦でない表面部分950に対する実質的に均一な照明を行なうための一定の光投射システム900の第1の例示的な実施形態である。一定の供給源からの一定の視準化されたビームが複数のビーム部分905a乃至905cを形成するために一定のビーム・スプリッター904に供給される。この図示の実施形態において、上記ビーム・スプリッター904は3個の成分のビーム部分905a,905bおよび905cを形成しているが、さらに2個以上のビーム部分を有する一定の光投射システム900が有利であると考えられる。この場合に、ビーム部分905bは表面950に直接的に向けられているが、ビーム部分905aおよび905cはそれぞれミラー901aおよび910bに向けられた後に、表面950の各側面にそれぞれ方向を変えている。なお、ビーム・スプリッターの透明な各孔、ミラー910a,910bまたはその他の孔は表面950における照射の任意の所望の面積(例えば、1乃至200cm2 )を達成するために選択可能である。また、上記の投射システム900は(例えば、一定の患者の顔面の一方の側面を治療するために)ビーム910aおよび910bの一方を遮断することにより変更可能である。
【0088】
図9Bはビーム・スプリッター904の一例の概略図である。このビーム・スプリッター904は上記ミラー910a,910bに光をそれぞれ向けるために適当に角度付けされている2個の平坦な表面部分912a,912b、および表面950の前部に光を拡張するために一定の負の屈折力を有する一定の表面部分913を有する一定のプリズムである。
【0089】
図10は一定の平坦でない表面950において実質的に均一な照明を形成するための一定の光投射システム1000の第2の例示的な実施形態の概略図である。この光投射システム1000は光を2方向に投射することに適合している一定のヘッド部分1002を有している。この場合に、光の第1の部分1006は一定の湾曲している反射器1004の上に第1の方向で向けられてから表面950上に向かっており、第2の部分1008は表面950上に向かって第2の方向に向けられている。この光の第1の部分1006は反射器1004に直接的にまたは一定の光学要素(レンズ1005)を介して投射され、第2の部分1008は表面950に直接的に向けられているか一定の光学要素(例えば、レンズ1009)を介して向けられている。
【0090】
上記反射器1004は所定の治療を達成するための任意の適当な形状を有することができる。一部の実施形態において、この反射器1004は上記表面部分950の中心1010(例えば、一定の患者の頭部の中心)が当該反射器1004の曲率の中心において実質的に存在するように設計されている。あるいは、上記反射器1004は一定の楕円形の曲率を有することができ、上記表面950の中心1010(例えば、一定の患者の頭部の中心)はその反射器1004の一定の焦点において実質的に存在しているか、この表面950の中心1010はその反射器1004の第2の焦点において存在している。一例の実施形態において、上記反射器1004は一定の拡散反射器とすることができる。
【0091】
上記の投射システム1000は一定の電力供給源および制御用の電子機器を含む一定のコントロール・モジュール1016を含むことができる。加えて、一定の光源(図示されていない)をヘッド部分1002の中に取り付けることができ、あるいは、一定の光源を上記モジュール1016の中に取り付けて、光を一定の光ファイバーまたは一定のファイバーの束によりヘッド部分1002に配給することも可能である。これらの光源は狭い帯域幅用(例えば、ダイオード・レーザー、LED等)、または広帯域用(例えば、濾光型ランプ等)とすることができる。あるいは、上記の光源は狭い帯域幅用および広帯域用の供給源の一定の組み合わせにすることも可能である。随意的に、上記の実施形態に従って、冷風または熱風をヘッド部分1002から表面950上に送り込むことも可能である。
【0092】
図11A、図11Bおよび図11Cはそれぞれ一定の平坦でない表面部分950の上に実質的に均一な照明を形成するための一定の光投射システム1100の実施形態の第3の実施例の概略図であり、この場合に、一定の回転可能なヘッド部分1102が一定の表面部分1110から表面950の上に光を反射している。図11Aにおいて、回転可能なヘッド部分1102は光が表面950の正面の部分に向けられるように配置されている。また、図11Bにおいては、回転可能なヘッド部分1102は光が表面950の第1の側面の部分に向けられるように配置されている。さらに、図11Cにおいては、回転可能なヘッド部分1102は光が表面950の第2の側面の部分に向けられるように配置されている。
【0093】
随意的に、ヘッド部分1102は省略することが可能であり、表面1110上に取り付けた一定の供給源に置き換えることができ、この供給源が光を図11A乃至図11Cにおいて示されているそれぞれの部分に向けるために表面1110上における種々の位置に移動する。あるいは、複数の供給源を表面1110上に取り付けて光を上記のそれぞれの部分に向けるために選択的に照明することも可能である。
【0094】
また、別の態様において、本発明は一定の標的領域および/または当該標的領域の上、下、またはこれに近接している一定の組織部分の中に生体刺激を発生しながら、一定の選択された範囲内の標的領域の温度を制御するための一定のフィードバック機構を提供している。このフィードバック機構は標的領域の加熱および冷却の両方を制御するために使用できる。図14を参照して、一定の例示的な実施形態において、電磁放射線の供給源1410は患者の皮膚の表面領域1450の一部分を照明してその皮膚の一定の深さ1430まで皮膚の表面1415から延在している患者の組織の一部分1460を照射するための放射線を発生する。この放射線は照射した組織の部分1460の生体刺激を生じることのできる1個以上の波長成分を含む。さらに、別の供給源1420、例えば、電磁放射線の別の供給源が、例えば、組織を加熱するために適している波長成分を有する放射線により皮膚の表面領域1450を照射することにより、上記の照射した部分の温度を制御する。また、一定のセンサー1470、例えば、一定の光学的な高温計が皮膚の部分1450の温度を測定して、その測定した温度情報を一定のフィードバック制御用の回路1480に送る。さらに、このフィードバック回路1480はその測定した温度を少なくとも1個の閾値の温度と比べて、必要に応じて、フィードバック信号をその比較に基づいて供給源1420に送る。例えば、患者の皮膚の表面領域1450の部分が高体温化を生じるために加熱されている場合等において、この測定した温度が所定の上限の閾値を超える場合には、上記フィードバック回路はその皮膚の部分1450に配給される熱の量を下げるための一定の信号を供給源1420に送ることができる。あるいは、上記フィードバック回路は、上記の測定した温度が所定の下限の閾値を下回る場合に、皮膚の部分1450に配給される熱の量を増加するように供給源1420に命令することもできる。このような様式において、照射した皮膚部分1450の温度およびその結果としての標的領域1460の温度は一定の動作温度の近辺の所定の範囲内に能動的に維持できる。例えば、上記のフィードバック機構は動作温度を39℃の±1℃の範囲内に保つことを確実にできる。なお、本発明の実施において使用することに適している種々のセンサーおよびフィードバック回路が当業界において知られている。
【0095】
当業界における熟練者であれば、上記の種々の実施形態に基づいて本発明のさらに別の特徴および利点を日常的な実験の範囲内において認識または確認することができる。従って、本発明は、特許請求の範囲の各項により示されている内容を除いて、特定的に図示および説明されている内容により限定されないと考えるべきである。また、本特許出願の全体を通して引用されている全ての参考文献、特許および公開特許出願の内容は本明細書において参考文献として含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一定の実施形態を概略的に示しており、この場合に、生体刺激が組織の一定の高体温の部分に供給されるように一定の深さまで皮膚の表面から延在している一定の標的領域が加熱されることを示す図である。
【図2】本発明の別の実施形態を概略的に示しており、この場合に、生体刺激が皮膚の表面の近くの一定の加熱された領域に供給されていると共に、生体刺激がこれと同時にその標的領域の下の一定の加熱されていない部分に供給されていることを示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態を概略的に示しており、この場合に、光生体刺激が皮膚の表面の下の一定の深さの領域における組織の部分の中に発生していると共に、その皮膚の表面に冷却処理が適用されていることを示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態を概略的に示しており、この場合に、生体刺激が皮膚の表面の下の一定の深さにおける組織の一定の高体温の部分に供給されており、加熱されていない部分がその組織の高体温の部分の上および下にそれぞれ存在していることを示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態を概略的に示しており、この場合に、高められた生体刺激が組織の第1の部分の中に生じており、この第1の部分は高体温であり且つその皮膚の表面の下の一定の深さに存在しており、さらに生体刺激(高体温化を伴わない)が上記組織の第1の部分よりも下に存在している組織の第2の部分の中に生じていることを示す図である。
【図6】皮膚の冷却を伴わない単色光の例示的な波長によるII型の皮膚の選択された温度プロファイルのグラフ図である。
【図7】同時の皮膚の冷却を伴う単色光の例示的な波長によるII型の皮膚の選択された温度プロファイルのグラフ図である。
【図8】本発明の教示に従う一定の標的領域を生体刺激するための一定の光投射システムの概略図である。
【図9A】一定の平坦でない表面の実質的に均一な照明の状態を形成するための一定の光投射システムの例示的な実施形態を示す図である。
【図9B】本発明の教示に従う一定の装置の中において使用するために適している例示的なビーム・スプリッターの概略図である。
【図10】一定の平坦でない表面における実質的に均一な照明の状態を形成するための一定の光投射システムの別の例示的な実施形態の概略図である。
【図11A】本発明の教示に従う一定の光投射システムの別の実施形態の概略図であり、このシステムは一定の平坦でない表面に対する実質的に均一な照明の状態を形成するための一定の回転可能なヘッド部分を利用しており、この場合に、この回転可能なヘッド部分が上記の平坦でない表面の前方の部分に光を送り込むように配置されていることを示す図である。
【図11B】本発明の教示に従う一定の光投射システムの別の実施形態の概略図であり、このシステムは一定の平坦でない表面に対する実質的に均一な照明の状態を形成するための一定の回転可能なヘッド部分を利用しており、この場合に、この回転可能なヘッド部分が上記の平坦でない表面の第1の側方の部分に光を送り込むように配置されていることを示す図である。
【図11C】本発明の教示に従う一定の光投射システムの別の実施形態の概略図であり、このシステムは一定の平坦でない表面に対する実質的に均一な照明の状態を形成するための一定の回転可能なヘッド部分を利用しており、この場合に、この回転可能なヘッド部分が上記の平坦でない表面の第2の側方の部分に光を送り込むように配置されていることを示す図である。
【図12A】680mW/cm2 の一定の線束における800nmの放射線に対する曝露における時間の関数としてのII型の皮膚表面の温度のグラフ図であり、この場合に上記放射線は2.5cmよりも大きな一定の直径を有している。
【図12B】本発明に従って、II型の皮膚表面が36℃に冷却されて維持されていると共に、異なる波長の放射線に曝されている状態における温度プロファイルのグラフ図である。
【図13A】本発明において使用するための一定の光投射システムの例示的な実施形態を示す図である。
【図13B】本発明によるレンズ・パラメータの例示的な組み合わせを示している図である。
【図14】一定の標的領域を照射して一定のフィードバック機構によりその領域の温度を制御できる本発明に従う一定の装置の例示的な実施形態を示している図である。
【図15】一定の標的領域を照射して一定の二次元のマトリクスの放射線供給源を用いることができる本発明に従う一定の装置の例示的な実施形態を示している図である。
【符号の説明】
【0097】
110 光生体刺激供給源
115 皮膚
120 既知の放射線供給源
130 一定の深さの領域
150 皮膚の表面領域
152 組織部分の側面
160 組織部分
210 供給源
230,240 所定の深さの領域
250 皮膚の一定の領域
260 組織部分
310 供給源
312 冷却器
330 一定の深さの領域
350 皮膚の一定の領域
360 組織部分
410 供給源
412 冷却器
430 一定の深さの領域
450 皮膚の一定の領域
460 組織部分
510 供給源
512 冷却供給源
530 一定の深さの領域
550 皮膚の一定の領域
560 組織部分
800 光投射システム
802 放射線供給源
820 レンズ・システム
900 光投射システム
904 ビーム・スプリッター
950 平坦でない表面部分
1000 光投射システム
1002 ヘッド部分
1100 光投射システム
1102 ヘッド部分
1300 光投射システム
1302 光供給源
1304、1306,1308,1312,1314 光学要素
1350 皮膚表面
1410 放射線供給源
1420 別の供給源
1430 一定の深さの領域
1450 皮膚の表面領域
1460 組織部分
1470 センサー
1500 放射線のマトリクス
1510 放射線供給源
1520 別の放射線供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の患者の標的領域を生体刺激するための装置において、
前記標的領域の中に生体刺激を生じるために適している1個以上の波長成分を有する電磁放射線を発生するための第1の供給源、
前記標的領域に前記放射線を配給するために前記供給源に随意的に連結されている一定の放射線案内装置、および
前記電磁放射線により生じる生体刺激の効果を調節するために前記標的領域の温度を制御するために当該標的領域に対して連絡している第2の供給源を備えている装置。
【請求項2】
前記第1の供給源が約100nmよりも狭い一定の帯域幅を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の供給源が一定の実質的に単色光の放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の供給源が約380nm乃至約1250nmの一定範囲内における1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の供給源が生体刺激の効果を高めるために前記標的領域を加熱するために適している放射線を発生する一定の電磁放射線の供給源を含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の供給源が約380nm乃至約2700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線案内装置が前記第1の供給源から前記標的領域に生体刺激用の放射線を配給するための一定のレンズ・システムを含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記レンズ・システムが一定のフレネル・レンズを含む請求項5に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記第1の放射線供給源により発生される光を前記レンズ・システムに送り込むために一定の入力部分において前記第1の放射線供給源に連結しており一定の出力部分において前記レンズ・システムに連結している一定の光ファイバーを備えている請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記レンズ・システムが前記標的領域を照射するために前記第1の供給源により発生される一定の放射線ビームの断面積を調節可能にするための少なくとも1個の可動のレンズを含む請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記放射線案内装置が
前記第1の供給源から一定の放射線ビームを受け取り複数のビーム部分を発生することに適合している一定のビーム・スプリッター、および
前記ビーム・スプリッターに光学的に連結していて、前記ビーム部分の1個以上を前記患者の皮膚の一定の表面部分に送り込むことにより前記標的部分を照射するための1個以上の反射性の表面部分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記反射性の表面部分が前記皮膚の表面の一定の実質的に均一な照明を可能にする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ビーム・スプリッターが一定のプリズムを含む請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記反射性の表面部分の少なくとも1個が一定の湾曲状の外形を有している請求項11に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の患者の標的領域を生体刺激するための装置において、
前記標的領域の中に生体刺激を生じるために適している1個以上の波長成分を有する電磁放射線の一定のビームを発生するための第1の供給源、
前記電磁放射線により生じる生体刺激の効果を調節するために前記標的領域の温度を制御するために当該標的領域に連絡している第2のエネルギー供給源を備えており、
前記患者の皮膚における1cm2 よりも大きい一定の領域を露光することに適合している前記第1の供給源により特徴付けられていて、
前記標的領域に前記放射線を配給するために前記第1の供給源に光学的に連結していて、前記面積および焦点の深さを調節するための少なくとも1個の可動のレンズを有している一定の放射線案内装置を随意的に含む装置。
【請求項2】
前記第1の供給源が約100nmよりも狭い一定の帯域幅を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の供給源が一定の実質的に単色光の放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の供給源が約380nm乃至約1250nmの一定範囲内における1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の供給源が生体刺激の効果を高めるために前記標的領域を加熱するために適している放射線を発生する一定の電磁放射線の供給源を含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の供給源が約380nm乃至約2700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線案内装置が前記第1の供給源から前記標的領域に生体刺激用の放射線を配給するための一定のレンズ・システムを含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記レンズ・システムが一定のフレネル・レンズを含む請求項5に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記第1の放射線供給源により発生される光を前記レンズ・システムに送り込むために一定の入力部分において前記第1の放射線供給源に連結しており一定の出力部分において前記レンズ・システムに連結している一定の光ファイバーを備えている請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記レンズ・システムが前記標的領域を照射するために前記第1の供給源により発生される一定の放射線ビームの断面積を調節可能にするための少なくとも1個の可動のレンズを含む請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記放射線案内装置が
前記第1の供給源から一定の放射線ビームを受け取り複数のビーム部分を発生することに適合している一定のビーム・スプリッター、および
前記ビーム・スプリッターに光学的に連結していて、前記ビーム部分の1個以上を前記患者の皮膚の一定の表面部分に送り込むことにより前記標的部分を照射するための1個以上の反射性の表面部分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記反射性の表面部分が前記皮膚の表面の一定の実質的に均一な照明を可能にする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ビーム・スプリッターが一定のプリズムを含む請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記反射性の表面部分の少なくとも1個が一定の湾曲状の外形を有している請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の供給源がアクネ症に対して適している強度で約390nm乃至約450nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の供給源がアクネ症の治療に対して適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の供給源が瘢痕の減少に適している強度で約380nm乃至約420nm、約620nm乃至約680nm、および約760nm乃至約830nmから成る範囲の群から選択される1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の供給源がしわを調整するために適している強度で約620nm乃至約680nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の供給源が脂肪性浮腫を調整するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の供給源が線条を調整するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の供給源が老年性黒子を調整するために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の供給源が脱毛症を調整するために適している強度で約620nm乃至約680nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の供給源が皮膚を若返らせるために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の供給源が毛髪の増殖の刺激のために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の供給源が乾癬を調整するために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の供給源が歯肉炎を調整するために適している強度で約380nm乃至約450nmの一定範囲内または約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の供給源が歯ぐきの炎症を調整するために適している強度で約380nm乃至約450nmの一定範囲内または約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の供給源がやけどを治療するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の供給源が痛みを軽減するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記第1の供給源が傷を治癒するために適している強度で約380nm乃至約1250nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の患者の標的領域を生体刺激するための装置において、
前記標的領域の中に生体刺激を生じるために適している1個以上の波長成分を有する電磁放射線の一定のビームを発生するための第1の供給源を備えており、この場合に、この第1の供給源は前記患者の皮膚における1cm2 よりも大きい一定の領域を露光することに適合しており、さらに
前記電磁放射線により生じる生体刺激の効果を調節するために前記標的領域の温度を制御するためにその標的領域に対して連絡している第2のエネルギー供給源を備えている装置。
【請求項2】
前記電磁放射線の一定のビームを発生するための第1の供給源が約100mW/cm2 乃至約10,000W/cm2 の一定範囲内の放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置がさらに前記放射線を前記標的領域に配給するために前記第1の供給源に光学的に連結している一定の放射線案内装置を含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記案内装置が前記面積および焦点の深さを調節するための少なくとも1個の可動のレンズを含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の供給源が約100nmよりも狭い一定の帯域幅を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の供給源が一定の実質的に単色光の放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の供給源が約380nm乃至約1250nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の供給源が生体刺激の効果を高めるために前記標的領域を加熱するために適している放射線を発生する一定の電磁放射線の供給源を含む請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の供給源が約380nm乃至約2700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記放射線案内装置が前記第1の供給源から前記標的領域に生体刺激用の放射線を配給するための一定のレンズ・システムを含む請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記レンズ・システムが一定のフレネル・レンズを含む請求項8に記載の装置。
【請求項12】
さらに、前記第1の放射線供給源により発生される光を前記レンズ・システムに送り込むために一定の入力部分において前記第1の放射線供給源に連結しており一定の出力部分において前記レンズ・システムに連結している一定の光ファイバーを備えている請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記レンズ・システムが前記標的領域を照射するために前記第1の供給源により発生される一定の放射線ビームの断面積を調節可能にするための少なくとも1個の可動のレンズを含む請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記放射線案内装置が
前記第1の供給源から一定の放射線ビームを受け取り複数のビーム部分を発生することに適合している一定のビーム・スプリッター、および
前記ビーム・スプリッターに光学的に連結していて、前記ビーム部分の1個以上を前記患者の皮膚の一定の表面部分に送り込むことにより前記標的部分を照射するための1個以上の反射性の表面部分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記反射性の表面部分が前記皮膚の表面の一定の実質的に均一な照明を可能にする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ビーム・スプリッターが一定のプリズムを含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記反射性の表面部分の少なくとも1個が一定の湾曲状の外形を有している請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の供給源がアクネ症に対して適している強度で約390nm乃至約450nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の供給源がアクネ症の治療に対して適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の供給源が瘢痕の減少に適している強度で約380nm乃至約420nm、約620nm乃至約680nm、および約760nm乃至約830nmから成る範囲の群から選択される1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の供給源がしわを調整するために適している強度で約620nm乃至約680nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の供給源が脂肪性浮腫を調整するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の供給源が線条を調整するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の供給源が老年性黒子を調整するために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の供給源が脱毛症を調整するために適している強度で約620nm乃至約680nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の供給源が皮膚を若返らせるために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の供給源が毛髪の増殖の刺激のために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内または約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の供給源が乾癬を調整するために適している強度で約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の供給源が歯肉炎を調整するために適している強度で約380nm乃至約450nmの一定範囲内または約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記第1の供給源が歯ぐきの炎症を調整するために適している強度で約380nm乃至約450nmの一定範囲内または約600nm乃至約700nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の供給源がやけどを治療するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の供給源が痛みを軽減するために適している強度で約760nm乃至約880nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の供給源が傷を治癒するために適している強度で約380nm乃至約1250nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項1に記載の装置。
【請求項34】
一定の被験体における一定の標的領域を生体刺激するための方法において、
一定の選択された継続時間にわたり、生体刺激に適している少なくとも1個の選択された波長成分を有するように一定の放射線供給源により発生される一定の放射線により前記標的領域を照射する処理を含み、前記継続時間が前記標的領域の生体刺激を生じるように選択され、さらに
前記生体刺激の効力を調整するために前記生体刺激用の放射線とは無関係の一定の供給源により前記照射された標的領域の温度を制御する処理を含む方法。
【請求項35】
さらに、前記波長成分を約380nm乃至約1250nmの一定範囲内、約380nm乃至約600nmの一定範囲内、または約380nm乃至約450nmの一定範囲内、または約600nm乃至約700nmの一定範囲内、または約760乃至約880nmの一定範囲内になるように選択する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記放射線供給源が一定の狭い帯域幅を有する放射線を発生する請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記狭い帯域幅が約100nmよりも狭い請求項36に記載の方法。
【請求項38】
さらに、前記継続時間を約10秒乃至約1時間の一定範囲内、または約10分乃至約1時間の一定範囲内になるように選択する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記放射線が前記標的領域に約1乃至約250mW/cm2 の一定範囲内、または前記標的領域に約10乃至約100mW/cm2 の一定範囲内の出力の線束を配給する請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線が前記継続時間中に前記照射された標的領域に約1ジュール/cm2 乃至約1000ジュール/cm2 の一定範囲内、または前記係属時間中に前記照射された標的領域に約1ジュール/cm2 乃至約100ジュール/cm2 の一定範囲内のエネルギーの線束を配給する請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記標的領域を照射する処理がその標的領域を約1cm2 乃至約200cm2 の一定範囲内の断面積を有する一定の放射線のビームに対して曝露する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記温度を制御する工程が前記生体刺激の効力を高めるために前記照射される標的領域を加熱する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記加熱工程が接触加熱、対流、および電磁放射線の適用から成る群から選択される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記加熱工程が前記照射される標的領域に超音波またはマイクロ波の放射線の少なくとも一つを供給する処理を含む請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記加熱処理が前記標的領域の温度の温度を約37℃乃至約50℃の一定範囲内、約37℃乃至約45℃の一定範囲内、または約37℃乃至約42℃の一定範囲内の一定の値に高める請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記温度を制御する工程が前記生体刺激の効力を低下するために前記標的領域を冷却する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記冷却処理が前記標的領域の温度を約0℃乃至約36℃の一定範囲内、または約15℃乃至約36℃の一定範囲内の一定の値に下げる請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記温度を制御する処理が前記生体刺激用の放射線により照射される標的領域を加熱するために一定の別の放射線供給源を利用する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項49】
前記別の放射線供給源が約380nm乃至約2700nmの一定範囲内、または約1000nm乃至約1250nmの一定範囲内、または約700nm乃至約900nmの一定範囲内の1個以上の波長成分を有する放射線を発生する請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記温度を制御する処理が前記標的領域を所定の温度を有する一定の表面部分に対して熱的に接触した状態で配置する処理、前記標的領域に対して熱的に接触した状態になるようにその標的領域の上に一定の流体の流れを発生する処理、または一定の蒸発性のクリームを前記標的領域に供給する処理の内の少なくとも一つを含む請求項34に記載の方法。
【請求項51】
前記標的領域が前記被験体の一定の皮膚の表面下の一定の深さに定められている請求項34に記載の方法。
【請求項52】
前記照射される標的領域の温度を制御する工程がさらに前記放射線がその標的領域に到達するために少なくとも一部分の中を伝達する前記患者の一定の組織部分の温度を制御して前記標的領域に対してその組織部分の中の生体刺激を調整する処理を含む請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記温度を制御する処理が前記組織部分の中の生体刺激を減少するためにその組織部分を冷却する処理を含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記冷却処理が前記組織部分の温度を約0℃乃至約36℃の一定範囲内、または約15℃乃至約36℃の一定範囲内の一定の値に下げる請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記組織部分を冷却する処理がその組織部分の近くの患者の皮膚の一部分を冷却する処理を含む請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記照射される標的領域の温度を制御する工程がその標的領域の第1の選択された部分を加熱してその標的領域の第2の選択された部分を冷却する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項57】
前記加熱および冷却の各工程が同時であるか連続的である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記照射される標的領域の温度を冷却する工程がさらにその標的領域内の生体刺激の効力を調整するために当該標的領域の少なくとも一部分の温度を一定の動作温度の所定範囲内に保つことを確実にするようにその温度を能動的に制御する処理を含む請求項34に記載の方法。
【請求項59】
前記温度を能動的に制御する工程が前記標的領域に対して熱的に接触している前記患者の皮膚の一部分の温度を測定する処理を含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記温度を能動的に制御する工程が前記測定した温度を少なくとも1個の所定の閾値に対して比較する処理を含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記温度を能動的に制御する工程が前記測定した温度の前記所定の閾値に対する比較に応じて前記標的領域に対して配給されるか当該標的領域から取り出される一定量の熱を変更する処理を含む請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記方法がさらに前記放射線供給源を前記被験体の皮膚の一部分の上において移動して生体刺激を生じるために適している少なくとも1個の波長成分を有する放射線により複数の標的領域を連続的に照射する処理を含み、前記放射線供給源の移動がそれぞれの標的領域内において生体刺激を生じるために十分な放射線にそれぞれの標的領域を曝露させるために選択される一定の速度で行なわれる請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−501960(P2006−501960A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543475(P2004−543475)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/031774
【国際公開番号】WO2004/033040
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504464748)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】PALOMAR MEDICAL TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】82 Cambridge Street,Burlington,MA 01803,U.S.A.
【Fターム(参考)】