説明

光硬化性樹脂組成物及び光学部材

【課題】 リアプロジェクションTV画面での青色抜けの改善されたフレネルレンズ用樹脂及びリアプロジェクションTV用フレネルレンズを提供する。
【解決手段】 (A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)式(1)
【化7】


で表されるジオールを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;(B)該(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物;(C)光重合開始剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、これを硬化させた硬化物のアッベ数が40以上であり、かつ、589nmにおける屈折率(n25)が1.55以上であることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシートやレンチキュラレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等の光学部材形成に有用な光硬化性樹脂組成物、及びその硬化物からなる光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等のレンズは、プレス法、キャスト法等の手法により製造されてきたが、両手法ともレンズの製作に長い時間を要し、生産性が悪かった。このような問題点を解決するために、近年、紫外線硬化性樹脂を用いてレンズを製作する検討がなされている。具体的には、レンズ形状の付いた金型と透明樹脂基板との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、基板側より紫外線を照射し、該組成物を硬化させることで短時間でレンズを製造することができる。さらに最近のプロジェクションテレビやビデオプロジェクターの薄型化、大型化に伴い、レンズを形成する樹脂に対して、高屈折率化や力学特性等の種々のレンズ特性に応じた様々な提案や検討がなされている。例えば、特許文献1には、(A)ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを反応させて得られるジオール(a)と芳香族有機ポリイソシアネート(b)を反応させたのち次いで水酸基含有(メタ)アクリレート(c)を反応させた反応物であるウレタン(メタ)アクリレート、(B)(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物、及び(C)光重合開始剤を含む透過型スクリーン用紫外線硬化型樹脂組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−255464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の紫外線硬化性樹脂組成物では、屈折率、各種プラスチック基材との密着性、金型からの剥離性、あるいは復元性等のレンズに求められる要求特性を十分満足できる硬化物を得ることはできなかった。
また、一般に、有機系材料の屈折率は、短波長側(〜365nm)の方が長波長側(589nm〜)より大きい。そのため、有機系材料で作製されたレンズは、長波長光(赤色)に比べ、短波長光(青色)を、より大きく屈折させやすい。近年主流の薄型のリアプロジェクションTVは、光源からフレネルレンズへの光の入射角が鋭角となり、短波長光が、さらに顕著に屈折されるため、TV画面での青色抜けが問題となる。
本発明は、リアプロジェクションTV画面での青色抜けの改善されたフレネルレンズ用樹脂及びリアプロジェクションTV用フレネルレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような従来の光硬化性樹脂組成物における課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の構造を有するジオールから一定の工程により構成されるウレタン(メタ)アクリレートとそれ以外のエチレン性不飽和基含有化合物、及び光重合開始剤とを組合せた紫外線硬化性樹脂組成物を用いて硬化物を製造することによって、高屈折率で、各種プラスチック基材に良好な密着性を示す優れた光学部材、とりわけフレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の透過型スクリーンが得られることを見出した。
さらに、上記の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物のアッベ数及び589nmにおける屈折率を特定値以上とすることで、青色抜けの問題を改善することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、下記紫外線硬化性樹脂組成物及びそれを用いたリアプロジェクションTV用フレネルレンズを提供する。
[1]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)式(1)
【化2】

(式中、Rは水素原子、メチル基、又はエチル基であり、1分子中のRにこれらが混在していてもよく、ただし、全Rのうち50モル%以上のRが水素原子以外のものである。Rは水素原子、又はメチル基を示す。m及びnはそれぞれ1〜20の数を示す)で表されるジオールを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;
(B)該(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物;
(C)光重合開始剤
を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、これを硬化させた硬化物のアッベ数が40以上であり、かつ、589nmにおける屈折率(n25)が1.55以上であることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
[2]前記(B)成分のアッベ数の平均値が41以上である上記[1]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[3](A)成分の分子量が350以上である上記[1]に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[4]光学部材形成用である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリアプロジェクションTV用フレネルレンズ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物によれば、各種プラスチック基材との密着性、金型からの剥離性、塗工性(粘度)、復元性等のレンズに求められる要求特性を十分満足する硬化物を与えることができる。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、特に薄型のリアプロジェクションTVにおける青色抜けを改善することができ、画質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
I.紫外線硬化性樹脂組成物
(A)成分
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に使用される(A)成分は、(a)水酸基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)前記式(1)で表されるジオールを反応させた反応物であるウレタン(メタ)アクリレートである。
【0009】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(3)
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、vは1〜15の数を示す)で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0012】
また、有機ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0013】
さらに、ジオールは前記式(1)で表されるものである。式(1)において、Rは水素原子、メチル基、又はエチル基であり、1分子中のRにこれらが混在していてもよく、ただし、全Rのうち50モル%以上のRが水素原子以外のものである。Rが水素原子以外のものである割合は、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、全てのRがメチル基であることが最も好ましい。Rの50モル%以上が水素原子であると、基材への密着性が低下し、レンズを形成した場合、レンズが基材から剥離しレンズとして用いた場合に不具合を生ずる恐れがある。Rは水素原子、又はメチル基を示し、メチル基が特に好ましい。m、nはそれぞれ1〜20の数であり、m+nの平均値が4〜30、特に6〜25であることが好ましい。m+nの平均値が2以下であると、基材との接着性が低下し、逆に40を越えるとレンズに必要とする屈折率を得ることが難しくなる。上記のジオールのうち市販品としては、例えばユニオールDB−360、DB−400、DB−800、DB−900(以上、日本油脂(株)製)等が挙げられる。
【0014】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、まず水酸基含有(メタ)アクリレートと有機ポリイソシアネートを反応させ、次いで前記ジオールを反応させる方法により製造される。全ての成分を一括添加して製造したり、有機イソシアネートとジオールをまず反応させた後、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる等の別の製造法では、粘度が高くなり取り扱いにくくなる場合があるので好ましくない。
【0015】
この際、ジオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートのそれぞれの使用割合は、ジオールに含まれる水酸基1当量に対して有機ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が1.1〜2当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.1〜1当量となるようにするのが好ましい。さらに、ジオールに含まれる水酸基1当量に対して有機ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が1.3〜2当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.3〜1当量となるようにするのが特に好ましい。この好適範囲から外れると、粘度が高くなる等して液状での取り扱いが困難になる。
【0016】
上記ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミン等のウレタン化触媒が反応原料の総量に対して0.01〜1質量%の量で用いられる。尚、反応温度は通常、10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
【0017】
成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートの好ましい数平均分子量は500から20,000であり、特に1,000〜15,000であることが好ましい。成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量が500未満であると、本樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の基材への密着性が低下し、逆に数平均分子量が20,000を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり取り扱いにくくなり易い。
【0018】
成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートは、全樹脂組成物中に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%を配合される。配合量の下限は、硬化物に適度な靱性等の力学特性を付与する点、基材への密着性を付与する点から上記範囲が好ましい。また、配合量の上限は、組成物の粘度が上昇し、作業性や塗工性が悪化するのを防ぐ点で上記範囲が好ましい。
【0019】
(B)成分
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に使用される(B)成分は、成分(A)以外のエチレン性不飽和基含有化合物であり、(メタ)アクリロイル基、又はビニル基を含有する化合物(以下、「不飽和モノマー」という)を使用することができる。このような不飽和モノマーとしては、単官能モノマー、及び多官能モノマーを使用することができ、単官能モノマーとしては例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等のビニルモノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル及び下記式(4)、(5)
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、wは1〜8の数を示す)
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、R11及びR13はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、xは1〜8の数を示す)で表される単官能モノマー等、又は、
【0024】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等の多官能モノマーが挙げられる。
【0025】
鋭意検討した結果、硬化物のアッベ数が40以上であり、かつ、589nmにおける屈折率(n25)が1.55以上で、樹脂液の塗工性、硬化物の基材への密着性、硬化物の復元性の全てを満足する組成を得るためには、トリシクロデカン基を有するモノマーが必須であり、含有量としては10重量部以上必要であることを見出した。
【0026】
(B)成分の例示の中で、本発明の組成物を硬化させた硬化物のアッベ数を40以上とし、かつ、589nmにおける屈折率(n25)を1.55以上とするためには、各(B)成分のアッベ数が40以上であることが好ましく、さらに好ましくは50以上であり、特に好ましくは60以上である。ただし、複数の(B)成分を併用する場合において、アッベ数が40未満である(B)成分を、上記硬化物のアッベ数を40未満に低下させない範囲で併用してもよい。
【0027】
また、屈折率については、各(B)成分の屈折率が1.54以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.56以上である。ただし、複数の(B)成分を併用する場合において、屈折率が1.54未満である(B)成分を、上記硬化物のアッベ数を40未満に低下させない範囲で併用してもよい。
【0028】
アッベ数と屈折率の観点から、好ましい単官能モノマーとしては、N−ビニルカプロラクタム(アッベ数47.1、屈折率1.54)、アクリロイルモルホリン(アッベ数44.4、屈折率1.55)等が挙げられる。同じく好ましい多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート(アッベ数45.7、屈折率1.51)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(アッベ数51.3、屈折率1.50)、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(アッベ数53.0、屈折率1.53)、ノナンジオールジアクリレート(アッベ数57.7、屈折率1.50)、トリシクロデカン-3,8-ジイルジメチルジアクリレート(アッベ数62.0、屈折率1.53)等が挙げられる。
【0029】
単官能モノマーの市販品としては、例えばニューフロンティアPHE(第一工業製薬(株)製)、アロニックス M110、M120、M150、M156(以上、東亞合成(株)製)、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD TC110S(日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF社製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
【0030】
また、多官能モノマーの市販品としては、例えばニューフロンティアLA−9A(第一工業製薬(株)製)、ネオポール V779(日本ユピカ製)、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート #195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬(株)製)、アロニックス M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子(株)製)等が挙げられる。
【0031】
本発明で用いる成分(B)のうち、レンズに求められる屈折率を達成する上で、式(2)で示される(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0032】
【化6】

【0033】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を、Rは−(OCHCH)p−、−(OCHCH(CH))−、又はOCHCH(OH)CH−を示し、Rはそれぞれ単独して水素原子、又はフッ素を除くハロゲン原子を示し、Rは水素原子、フッ素を除くハロゲン原子、又はPh−C(CH−、Ph−(ここで、Phはフェニル基を示す)、炭素数1〜20のアルキル基を示し、p及びqはそれぞれ1〜10の数を示す)
【0034】
例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを複数モル変性させたフェノキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、4モルのエチレンオキサイドを変性したフェノキシアクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
【0035】
市販品としては、アロニックス M101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220(以上、大阪有機化学工業(株)製)、KAYARAD R−564、R−128H(以上、日本化薬(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学(株)製)、PHE、CEA、PHE−2、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0036】
成分(B)は、全組成物中に、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%配合される。配合量の下限は、組成物の粘度と硬化物の屈折率の点から上記範囲が好ましい。配合量の上限は、十分な力学特性を保持する点及び塗工性の点から上記範囲が好ましい。
【0037】
(C)成分
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、紫外線によって硬化される。光硬化反応には、成分(C)である光重合開始剤を必要とし、必要に応じて、さらに光増感剤を添加する。光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればいずれでもよく、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0038】
光重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0039】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させるために最適な光重合開始剤の配合量は、全組成物中に、0.01〜10質量%、特に0.5〜7質量%が好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性及び光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
【0040】
また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、例えばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0041】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、必要に応じて熱重合開始剤も併用することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば過酸化物、アゾ化合物を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0042】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、前記の成分以外に、必要に応じて本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の特性を損なわない範囲で硬化性の他のオリゴマー又はポリマーを配合することができる。硬化性の他のオリゴマー又はポリマーとしては、例えば成分(A)以外のポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジルメタアクリレートとそのほかの重合性モノマーとの共重合体と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる反応性ポリマー等が挙げられる。
【0043】
さらにまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤等を必要に応じて配合することができる。ここで、酸化防止剤としては、例えばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、例えばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、例えばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤が挙げられ、市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウコーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)等が挙げられる。
【0044】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、前記各成分を常法により混合して製造することができる。このようにして調製される本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の粘度は、通常200〜50,000mPa・s/25℃、好ましくは1,500〜10,000mPa・s/25℃である。粘度が高すぎると、レンズを製造する際、塗布むらやうねりが生じたり、目的とするレンズ厚を得るのが難しくなり、レンズとしての性能を十分に発揮できない。逆に低すぎるとレンズ厚のコントロールが難しく、一定厚の均一なレンズを形成できない場合がある。
【0045】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、復元性が良好である。ここで、硬化物の復元性とは、例えば、レンズ金型から剥離したレンズ基板のレンズ表面に一定の荷重をかけた後、レンズ表面に残った圧迫の跡が消失する特性をいう。復元性が良好であるため、レンズを段積みして輸送する際に加わる荷重により生じる接触跡が速やかに消失する。この接触跡が残るとTVにセットした場合の画質の低下を招くが、その問題が起こらない。
【0046】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、アッベ数が40以上、かつ、589nmにおける屈折率が1.55以上である。ここで、アッベ数が大きいということは、屈折率の分散性が小さい、すなわち、可視領域全体に渡り、屈折率のばらつきが小さく、青色光と赤色光との間の屈折率差が小さいことを意味する。
【0047】
本発明において、アッベ数は、42以上であることがより好ましく、45以上であることがさらに好ましい。また、436nm(赤色光)と589nm(青色光)の屈折率の差が、0.015以下であることが好ましく、0.010以下であることがより好ましい。
【0048】
589nmにおける屈折率が高いことにより、従来の有機系樹脂よりも赤色側の光(短波長光)が大きく屈折されるため、TV画面での青色抜けが生じず、例えば、リアプロジェクションTVの厚さをより薄く設計することが可能となる。また、フレネルレンズの角度を鋭角にしなくても、青抜けを生じないので、フレネルレンズの製造が容易となる利点もある。
また、屈折率が1.55未満であると、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を用いて透過型スクリーンを形成した場合、十分な正面輝度を確保することができない場合が生ずる。
【0049】
アッベ数及び589nmにおける屈折率の両者が高い硬化物を得るためには、アッベ数及び屈折率の高い単量体((A)及び(B)成分)を組み合わせることが有効である。
さらに、塗工性(粘度)及び硬化物の復元性をも同時に付与するには、上記の他、粘度特性や復元性の良好な単量体を組み合わせることが有効である。
【0050】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、上記の有利な特性を備えることにより、光学用部品の製造材料として有用である。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、リアプロジェクションTVの厚さをより薄く設計するために有用なフレネルレンズ用材料である。
【0051】
II.リアプロジェクションTV用フレネルレンズ
本発明は、紫外線硬化性樹脂組成物のリアプロジェクションTVフレネルレンズ用途に要求される物性を最適化を図ったものである。
本発明のリアプロジェクションTV用フレネルレンズは、上述のように屈折率の分散性が小さく、青色光の屈折率が高いため、青色抜けを生じることがないため、画質が向上し、より視認性に優れたリアプロジェクションTVを構成することができる。
【実施例】
【0052】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】
ウレタン(メタ)アクリレートの合成例1
撹拌機を備えた反応容器に2,4−トリレンジイソシアネート16.72質量%、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.08質量%、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02質量%を仕込み、5〜10℃に冷却した。撹拌しながら温度が30℃以下に保たれるように2−ヒドロキシエチルアクリレート11.14質量%を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、前記式(1)記載のジオール(全R及びRはメチル基、m+n=22;平均分子量=1,500)を72.04質量%加え、50〜70℃で2時間反応を続けた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。この手法により得られたウレタンアクリレートをA−1とした。
【0054】
ウレタン(メタ)アクリレートの合成例2
撹拌機を備えた反応容器に2,4−トリレンジイソシアネート35.47重量%、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.08重量%、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02重量%を仕込んだ。撹拌しながら温度が30℃以下に保たれるように2−ヒドロキシエチルアクリレート23.65重量%を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、ビスフェノールAエチレンオキシド付加ジオール(全R及びRは水素、m+n=2;平均分子量=320)を40.77重量%加え、50〜70℃で2時間反応を続けた。残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時を反応終了とした。この手法により得られたウレタンアクリレートをA−2とした。
【0055】
実施例1
撹拌機を備えた反応容器に、(A)成分としてA−1を37質量%、(B)成分としてフェノキシエトキシエチルアクリレートを11質量%、p−クミルフェノキシエチレングリコールアクリレートを21質量%、ビニルカプロラクタムを14質量%、トリシクロデカン−3,8−ジイルジメチルジアクリレートを14質量%、(C)成分として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを3.0質量%の配合割合で仕込み、液温度を50〜60℃に制御しながら1時間撹拌し、均一な液状硬化性樹脂組成物を得た。
【0056】
実施例2、3及び比較例1、2
実施例2、3、及び比較例1、2に関しても、表1に示す組成の各成分を反応容器に仕込み、各液状硬化性樹脂組成物を得た。
【0057】
<硬化物の物性測定方法及び評価方法>
上記実施例1〜3及び比較例1、2で得られた液状硬化性樹脂組成物を用いて下記の手法で試験片(硬化物)を作成し、下記の如く屈折率(n25)、アッベ数、塗工性(粘度)、及び復元性の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0058】
なお、各実施例及び比較例で用いた(A)成分及び(B)成分の各単量体のアッベ数、屈折率(n25)、粘度及び復元性を同様に測定又は評価した結果を下記表1に示す。
【0059】
(1)屈折率(n25)測定:ガラス板上に膜厚が200μmとなるようにアプリケーターバーを用いて樹脂組成物を塗布し、1.0J/cmの紫外線を窒素下で照射し、試験片を作製した。JIS K7105に従い、(株)アタゴ製アッベ屈折計を用いて、25℃における屈折率を測定した。
なお、(A)成分及び(B)成分の屈折率(n25)の判定は、1.54以下の場合を「×」、1.54を超え1.55以下の場合を「△」、1.55を超え1.56以下の場合を「○」、1.56を超える場合を「◎」とした。
【0060】
(2)アッベ数測定:
(株)アタゴ社の多波長アッベ屈折計で求めた、D線(589nm)、F線(486nm)、C線(656nm)の屈折率から算出した。
なお、(A)成分及び(B)成分のアッベ数の判定は、40未満の場合を「×」、40を超え50未満の場合を「○」、50を超え60未満の場合を「◎」、60を超える場合を「◎◎」とした。
【0061】
(3)塗工性(粘度):
試料を25℃に保ち、B型粘度計を用いてJIS K−7117に準じて測定した。
25℃における粘度が4000mPasを超える場合を「○」、4000mPas以下の場合を「×」とした。
【0062】
(4)復元性:上記のレンズ金型から剥離したレンズ基板のレンズ表面に、0.4mmφの金属製のボール圧子を30g荷重で1分間押しつけた後のレンズ表面に残ったボール跡の消失時間を測定した。この際、ボール跡がつかなかったり、30分以内でボール跡が消失した場合を「○」、30分以上1時間以内にボール跡が消失した場合を「△」、1時間を越えてもボール跡が消失しなかった場合を「×」とした。
【0063】
【表1】

【0064】
表1において、
(B)成分:
フェノキシエチルアクリレート:第一工業製薬(株)製、ニューフロンティアPHE
p−クミルフェノキシエチレングリコールアクリレート(1モルのエチレンオキシドを変性させたp−クミルフェノールのアクリレート):東亞合成(株)製、アロニックス M110
ビニルカプロラクタム:BASF製
アクリロイルモルホリン:興人(株)製、ACMO
テトラブロモビスフェノールAエポキシアクリレート:昭和高分子(株)製、VR77
EO変性ビスフェノールAジアクリレート:大阪有機化学工業(株)製、ビスコート700
トリシクロデカン−3,8−ジイルジメチルジアクリレート:三菱化学(株)製、ユピマーUV SA1002
ノナンジオールジアクリレート:第一工業製薬(株)製、ニューフロンティアLA−9A
テトラブロモビスフェノールAエポキシアクリレート:日本ユピカ(株)製、ネオポール V779
トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート:東亞合成(株)製、アロニックスM315
トリメチロールプロパントリアクリレート:大阪有機化学工業(株)製、ビスコート295
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製、DPHA
【0065】
(C)成分:
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュアー184
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、高い屈折率(n25)や優れた基材との密着性、復元性を有する硬化物を与え、また連続生産時の金型への付着も生じず生産性が良好なため、レンズシート等の光学部材の作製に適したものである。
【0067】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、アッベ数が高く、かつ589nmにおける屈折率が高いため、波長による屈折率の分散性が小さく、特に薄型のリアプロジェクションTV用フレネルレンズとして用いた場合に、従来の有機系樹脂からなるレンズで問題となる青色抜けが生じず、良好な画質を与える。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、メチル基、又はエチル基であり、1分子中のRにこれらが混在していてもよく、ただし、全Rのうち50モル%以上のRが水素原子以外のものである。Rは水素原子、又はメチル基を示す。m及びnはそれぞれ1〜20の数を示す)で表されるジオールを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;
(B)該(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物;
(C)光重合開始剤
を含有する紫外線硬化性樹脂組成物であって、これを硬化させた硬化物のアッベ数が40以上であり、かつ、589nmにおける屈折率(n25)が1.55以上であることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)成分のアッベ数の平均値が41以上である請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分の分子量が350以上である請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
光学部材形成用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリアプロジェクションTV用フレネルレンズ。


【公開番号】特開2006−152105(P2006−152105A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344002(P2004−344002)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(592109732)日本特殊コーティング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】