説明

光触媒アルミニウム部材

【課題】 光照射により光触媒活性及び/または親水性を発現する光触媒アルミニウム部材を簡便な方法で提供する。
【解決手段】 ワックス性状を有する変性光触媒を含有する光触媒組成物で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーによって物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことから、環境浄化や防汚、防曇等の分野へ応用が知られている酸化チタンに代表される光触媒で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
【0003】
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究が盛んになってきている。この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法が非常に重要な役割を担う。
例えば、上記光触媒特性を有するアルミニウム又はアルミニウム合金(以下、アルミ合金という)製の建築部材を開発する場合、パネル材上に酸化チタン等の光触媒をコーティングすると、光触媒の強い酸化還元作用によってパネル表面が腐食(酸化)され易いという問題がある。また、アルミ合金基材と光触媒の充分な密着性が得られず、コーティングした光触媒の膜が剥離し易いという問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するべく、例えば特開平8−302498号公報には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、さらに該陽極酸化皮膜上に光触媒作用を有する半導体微粒子を含有もしくは担持した塗膜が形成されてなる建築材料が提案されている。本発明によれば、確かに、基材の表面に形成された陽極酸化皮膜はその上に形成される光触媒作用を有する半導体粒子を含有もしくは担持する塗膜との密着性を向上するが、光触媒を有する半導体微粒子の光酸化機能によるバインダ−塗料の劣化といった問題は解決されていない。また、複雑な形状を有する建材上に均一に光触媒をコーティングすることは困難であり、さらに、通常、光触媒をコーティングする場合、200℃を超える温度に基材を加熱する必要があり(特開昭60−118236号公報、特開平6−278241号公報)、このような温度にアルミ合金をさらすとアルミ合金の強度が著しく低下してしまうといった問題がある。
【0005】
上述した理由により、かねてよりセルフクリ−ニング性を有し、特別の装置を要することなく簡便な方法で、しかも穏和な条件において、外観良く光触媒をコーティングされた、メンテナンスフリーであり、しかも抗菌・防カビ性等の機能を有する光触媒膜を有するアルミニウム部材が切望されていた。
【特許文献1】特開平8−302498号公報
【特許文献2】特開昭60−118236号公報
【特許文献3】特開平6−278241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、光照射により光触媒活性及び/または親水性を発現する光触媒アルミニウム部材を、簡便な方法で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の変性剤化合物を用いて変性処理されたワックス性状の変性光触媒を含有する光触媒組成物は、簡便な方法で、室温等の穏和な条件において、外観良く光触媒をコーティングでき、該組成物によって処理された部材は、光照射により光触媒活性及び/または親水性を発現することを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 光触媒(a)を式(1)で表される変性剤化合物(b)を用いて変性処理されたワックス性状を有する変性光触媒(A)を含有する光触媒組成物(C)で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材。
SiO(4−x−y−z)/2 (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
Qは下式(2)で表される基又は下式(2)で表される基を含有する炭素数1〜30の有機基を表す。
−(O)O(RO) (2)
(式中R、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基を表す。aは0または1であり、bは1〜100の整数を表す。)
Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、又はハロゲン原子を表す。また、0≦x<4、0≦y<4、0<z<4、及び0<(x+y+z)<4である。)
【0009】
2. 光触媒組成物(C)が増感色素(D)を含有することを特徴とする前記発明1.の光触媒アルミニウム部材。
3. 光触媒組成物(C)が水及び/またはアルコールを含有することを特徴とする前記発明1.または2.のいずれかの光触媒アルミニウム部材。
4. 光触媒組成物(C)がアミノ基含有シランカップリング剤を含有することを特徴とする前記発明1.〜3.のいずれかの光触媒アルミニウム部材。
5. 光触媒組成物(C)が界面活性剤を含有することを特徴とする前記発明1.〜4.のいずれかの光触媒アルミニウム部材。
6. ワックス性状を有することを特徴とする前記発明1.〜5.のいずれかの光触媒組成物(C)で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材。
【0010】
7. 含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする前記発明1.の光触媒アルミニウム部材。
8. 含有する増感色素の吸収光及び/または含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする前記発明2.の光触媒アルミニウム部材。
9. 防汚性能を有することを特徴とする前記発明7.または8.の光触媒アルミニウム部材。
10. 抗菌性能を有することを特徴とする前記発明7.または8.の光触媒アルミニウム部材。
11. 前記発明1.〜5.のいずれかの光触媒組成物(C)をアルミニウム部材に塗布した後、塗り伸ばす事を特徴とするにアルミニウム部材の表面処理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光触媒組成物は、簡便な方法で、穏和な条件において、外観良く光触媒をコーティングできるため、該コーティングによって光照射により光触媒活性及び/または親水性を発現する光触媒アルミ建材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
本発明の光触媒アルミニウム部材は、ワックス性状を有する変性光触媒(A)を含有する光触媒組成物(C)によって表面処理されてなることを特徴とする。
ここで、本発明におけるワックス性状とはJIS K 2236試験における塗り広げやすさ及びふき取りやすさの評価に合格するものを意味する。
また、本発明におけるワックス性状を有する変性光触媒(A)は、下記塗り伸ばし性試験で測定した塗り伸ばし性が10cm以上あるものが好ましく、さらに塗り伸ばし性が50cm以上のものが好ましく、塗り伸ばし性が200cm以上のものが非常に好ましい。さらに、本発明の変性光触媒(A)を含有する光触媒組成物(C)は、下記塗り伸ばし性試験で測定した塗り伸ばし性が5cm以上あるものが好ましく、さらに塗り伸ばし性が50cm以上のものが好ましく、塗り伸ばし性が200cm以上のものが非常に好ましい。
【0013】
(塗り伸ばし性試験)
1)5質量%となるように溶媒(沸点100℃以下の溶媒、好ましくは水)に分散させた変性光触媒の分散液を約0.03g(スポイトで1滴)ガラス板の上に滴下し、105℃で30分間乾燥させる。
2)23℃、55%湿度の状態で30分冷却する。
3)ガラス板上の乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を塗り伸ばし性とする。
【0014】
本発明の変性光触媒(A)は、光触媒(a)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)、クーロン力または化学結合によるものである。と考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0015】
本発明において上記光触媒(a)とは、光照射によって酸化、還元反応を起こす物質のことを言う。すなわち伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質であり、このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。例えば、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒をアルミニウム部材の表面に担持させれば、アルミニウム部材に付着した種々の有機物(汚染物質)を、光エネルギーを利用して酸化分解することができ、さらにアルミニウム部材の表面を親水性に保つことが可能となる。
【0016】
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。例えば材料表面の、光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより表面が光触媒活性であるか否かを判定できる。光触媒活性を有する表面は、優れた細菌やカビ等の汚染有機物質の分解活性を有し、防汚性、抗菌性や防カビ性を発現する。
【0017】
本発明に有用に使用できる光触媒(a)としては、バンドギャップエネルギーが好ましくは1.2〜5.0eV、更に好ましくは1.5〜4.1eVの半導体化合物を挙げることができる。バンドギャップエネルギーが1.2eVより小さいと光照射による酸化、還元反応を起こす能力が非常に弱く好ましくない。バンドギャップエネルギーが5.0eVより大きいと、正孔と電子を生成させるのに必要な光のエネルギーが非常に大きくなるため好ましくない。バンドギャップエネルギーとは光触媒のような半導体における価電子帯(valence band)と伝導帯(conduction band)とのバンド間のエネルギー差で、通常は光吸収スペクトルの吸収開始波長の測定から計算して求めます。
【0018】
上記光触媒(a)の例としては、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を挙げることができる。
これらの光触媒(a)の中でTiO(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
【0019】
また、本発明に使用する光触媒(a)として、可視光(例えば約400〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現することが出来る可視光応答型光触媒を選択すると、本発明の光触媒組成物で表面処理された光触媒アルミニウム部材は、室内等の紫外線が十分に照射されない場所等における環境浄化効果や防汚効果が非常に大きなものとなるため好ましい。これらの可視光応答型光触媒のバンドギャップエネルギーは、好ましくは1.2〜3.1eV、より好ましくは1.5〜2.9eV、更に好ましくは1.5〜2.8eVである。
【0020】
上記可視光応答型光触媒は、可視光で光触媒活性及び/又は親水性を発現するものであれば全て使用することが出来るが、例えばTaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物(例えば特開2002−66333号公報参照)やSmTi等のオキシサルファイド化合物(例えば特開2002−233770号公報参照)、Ta等の窒化化合物、CaIn、SrIn、ZnGa、NaSb等のd10電子状態の金属イオンを含む酸化物(例えば特開2002−59008号公報参照)、アンモニアや尿素等の窒素含有化合物存在下でチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)や高表面酸化チタンを焼成して得られる窒素ドープ酸化チタン(例えば特開2002−29750号公報、特開2002−87818号公報、特開2002−154823号公報、特開2001−207082号公報参照)、チオ尿素等の硫黄化合物存在下にチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)を焼成して得られる硫黄ドープ酸化チタン、酸化チタンを水素プラズマ処理したり真空下で加熱処理したりすることによって得られる酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開2001−98219号公報参照)、さらには光触媒粒子をハロゲン化白金化合物で処理したり(例えば特開2002−239353号公報参照)、タングステンアルコキシドで処理(特開2001−286755号公報参照)することによって得られる表面処理光触媒等を好適に挙げることができる。
【0021】
上記可視光応答型光触媒の中でオキシナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、特に好適に使用することができる。
本発明において特に好適に使用できるオキシナイトライド化合物は、遷移金属を含むオキシナイトライドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシナイトライドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドであり、更に好ましくはCa、Sr、Ba、Rb、La、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドである。
【0022】
上記遷移金属を含むオキシナイトライドの例としては、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、LaTaON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、CaNbON、CaWON、SrWON等の一般式AMO(A=アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIB族金属;M=Ta、Nb、Ti、Zr、W;x+y=3)で表される化合物やTaON、NbON、WON、LiLaTaN等を挙げることができる。これらの中で、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、TaONが可視光での光触媒活性が非常に大きいため好ましい。
【0023】
本発明において特に好適に使用できるオキシサルファイド化合物は、遷移金属を含むオキシサルファイドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシサルファイドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドであり、更に好ましくは希土類元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドである。
上記遷移金属を含むオキシサルファイドの例としては、SmTi、NdTi、LaTi、PrTi、SmNbS等を挙げることができる。これらの中で、SmTi、NdTiが可視光での光触媒活性が非常に大きいため非常に好ましい。
【0024】
また、本発明における光触媒(a)として、アパタイト結晶中の金属イオンの一部を、光触媒作用を有する金属酸化物の金属イオン(例えばチタンイオン等)とイオン交換してなる金属修飾アパタイト(特開2000−327315号広報参照)も、菌やウィルス、汚れ等に対する吸着特性が優れるため好適に使用できる。
更に、上述した光触媒(a)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。
【0025】
上記光触媒(a)の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜5000nmであることが好ましく、より好ましくは1〜500nmの光触媒が好適に選択される。
本発明に使用する光触媒(a)の形態としては、粉体、分散液、ゾルのいずれでも用いることが出来る。本発明における変性剤化合物(b)による変性処理は、効率性、均一性等の理由から光触媒ゾルまたは光触媒分散液を使用することが好ましい。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルおよび光触媒分散液とは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
【0026】
ここで、上記光触媒ゾルまたは光触媒分散液に使用される上記有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0027】
上記光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば、実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(例えば特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。
【0028】
例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
【0029】
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販もされている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
また、酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
【0030】
さらに、本発明で好適に使用できる可視光応答型の光触媒ゾルも市販されている。(例えば、昭和電工(株)製「NTB−200」、住友化学工業(株)製「TSS−4110」等)
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。
【0031】
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルも市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が20質量%程度以上含有されていることを意味する。
【0032】
本発明においては、用いる光触媒粒子(a)の性状が、変性光触媒(A)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒(a)としては、1次粒子と2次粒子との混合物(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)の数平均分散粒子径が5μm以下、好ましくは800nm以下の光触媒粒子がワックス性状が非常に良好となるため、望ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒粒子を使用した場合、生成する変性光触媒(A)からは透明性に優れた皮膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒が好適に選択される。なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、その多くは一次粒子の径(結晶粒子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
【0033】
本発明の光触媒組成物に用いる変性光触媒(A)は、光触媒(a)を式(1)で表される変性剤化合物(b)を用いて変性処理されたワックス性状を有する光触媒である。
SiO(4−x−y−z)/2 (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
【0034】
Qは下式(2)で表される基又は下式(2)で表される基を含有する炭素数1〜30の有機基を表す。
−(O)O(RO) (2)
(式中R、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基を表す。aは0または1であり、bは1〜100の整数を表す。)
Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、又はハロゲン原子を表す。また、0≦x<4、0≦y<4、0<z<4、及び0<(x+y+z)<4である。)
【0035】
本発明において、式(1)で表される変性剤化合物(b)における上記式(2)の基として、変性光触媒(A)にワックス性状を付与する点において特に数平均分子量が200〜5000の基が好適に選択できる。また、上記式(2)の基の変性剤化合物(b)中における含有量は、好ましくは30〜99.9質量%、さらに好ましくは50〜99質量%であり、特に70〜90質量%のものを選択すると変性光触媒(A)へのワックス性状付与効果が非常に大きくなり好ましい。
【0036】
本発明において上記式(2)の基として特に好適な具体例としては、例えば数平均分子量200〜5000である、モノメチルポリオキシエチレン基、モノメチルポリオキシプロピレン基、モノメチルポリオキシテトラメチレン基、モノメチルポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基、モノメチルポリ(オキシエチレン−オキシテトラメチレン)基等を例示することができる。
さらに、本発明の光触媒組成物(C)が水系である場合は、上記式(2)の基としてポリオキシエチレン単位を有する変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A)を含有するものが、変性光触媒(A)の水分散安定性とワックス性状の両立の観点から非常に好ましい。
【0037】
また、本発明において、光触媒(a)の変性に使用される変性剤化合物(b)として反応性基(X)を有するもの(式(1)において0<y<4)を用いると、光触媒(a)と変性剤化合物(b)の相互作用が非常に大きくなるため好ましい。
本発明において、光触媒(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(a)と変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b)=10/90〜99/0.1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱、または(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
【0038】
上記変性処理に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0039】
本発明において、光触媒(a)の変性に使用される変性剤化合物(b)としてSi−H基を含有するものを用いると、非常に効率よく光触媒(a)の粒子表面を変性することができるため好ましい。
上記Si−H基を有する変性剤化合物(b)の好ましい例として、例えば式(3)及び/または式(4)で表されるSi−H基含有化合物(b1)を例示することができる。
H−(RSiO)−SiR−Q (3)
(式中、RおよびQは式(1)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2 (4)
(式中、RおよびQは式(1)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
【0040】
本発明において、光触媒(a)の式(3)及び/または式(4)で表されるSi−H基含有化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b1)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。
この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(a)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均粒子径の増加が観察される。
また、光触媒(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少、あるいは消失として観測される。
【0041】
これらのことより、式(3)及び/または式(4)で表されるSi−H基含有化合物(b1)で変性処理されてなる変性光触媒(A)はSi−H基含有化合物(b1)と光触媒(a)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できる。
実際、この様にして得られた変性光触媒(A)は、溶媒に対する分散安定性、ワックス性、透明性、化学的安定性、耐久性等において非常に優れたものとなる。
本発明の変性光触媒(A)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)との混合物の数平均分散粒子径が5μm以下、さらに好ましくは1nm以上800nm以下、特に好ましくは5nm以上100nm以下である。ゾルまたは水分散体の状態であることが好ましい。数平均分散粒子径が小さいほど、少量で大きな面積をカバーでき、表面に付着したとき目立たないのでより望ましい。
【0042】
本発明の光触媒組成物(C)として増感色素(D)を含有するものを用いると、該光触媒組成物(C)で表面処理されてなるアルミニウム部材は、光触媒(a)が酸化チタンの様な可視光領域の光に対して光触媒活性を示さないものであっても、増感色素(D)が吸収する可視光の照射によって光触媒活性を発現するため好ましい。ここで、本発明に使用できる増感色素(D)とは、可視光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素を示す。この様な増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
【0043】
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒の伝導帯のエネルギー準位より高いものが好ましく選択される。このような分光増感色素の選択は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(T.Tani,Photogr.Sci.Eng.,14,72(1970)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(T.Tani,etal.,Photogr.Sci.Eng.,11,129(1967)等)、更には光触媒と分光増感色素によって作成したグレッツェル型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって実施することができる。
【0044】
この様な観点から見た好ましい増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物(フロオレセイン、エオシンY、エオシンB、ローズベンガル、ローダミンB、フロキシン、ピロガロール、ウラニン、アシッドレッド等)や2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ルテニウムレッド、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
本発明の光触媒組成物において、変性光触媒(A)と増感色素(D)との質量比は、好ましくは(A)/(D)=1/99〜99.999/0.001、より好ましくは(A)/(D)=50/50〜99.99/0.01である。
【0045】
本発明の光触媒組成物(C)は、可塑剤(E)を変性光触媒(A)に対し質量比(A)/(E)=1/99〜99/1で添加するとワックス性がより向上し非常に好ましい。
該可塑剤としては、沸点が150℃以上で分子量が50000以下の化合物が好ましく、例えばシリコーン誘導体、アルキレンオキサイド誘導体、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸トリエステル類、グリコールエステル類、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジラウリルフタレート等のフタル酸ジエステル類、テトラリンパラフィン、イソパラフィン等を挙げることができる。
【0046】
これら可塑剤(E)の中で、エチレングリコール誘導体、プロピレングリコール誘導体が、本発明の変性光触媒(A)との相溶性が良好で好ましい。これらの具体例としては、例えば数平均分子量200〜5000であるポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)等を好適に挙げることができる。
本発明の光触媒組成物は、溶媒を含有するものがアルミニウム部材を表面処理する上で非常に好ましい。この際、該変性光触媒(A)が均一に溶媒に分散した状態が好ましい。また、溶媒の量としては、変性光触媒(A)と増感色素(D)との総含有量が、好ましくは0.0001〜30質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。
【0047】
本発明の光触媒組成物に好適に使用できる溶媒としては、例えば水及び/又は有機溶剤を挙げることができる。
上記有機溶剤としては、炭素数8〜20の炭化水素系溶剤、アルコール、多価アルコール等のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。該炭化水素系溶剤の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィンもしくはイソパラフィン等が挙げられ、アルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2―ブタノール、変性エタノール(8−アセチル蔗糖変性アルコール)、エチレングリコールもしくはグリセリン等が挙げられ、エーテル系溶剤の具体例としては、アルキル鎖の炭素数が1〜12のモノアルキルモノグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
【0048】
本発明の光触媒組成物に好適に用いる溶媒としては、水及び/又はアルコールが好ましい。該アルコールとしては、エタノール、変性エタノール、グリセリン、アルキル鎖の炭素数が3〜8のモノアルキルモノグリセリルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。特に水/エタノール=95/5〜10/90質量比の混合物を溶媒として用いると、本発明の光触媒組成物のアルミニウム部材への濡れ性が非常に良好になり好ましい。
【0049】
本発明の光触媒組成物において、さらにアミノ基含有シランカップリング剤(F)を変性光触媒(A)に対して質量比(A)/(F)=99.9/0.1〜10/90で含有させると光触媒組成物の部材への定着性が非常に向上するため好ましい。該アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルジメチルメトキシシラン等を好適に例示することができる。
【0050】
また、本発明の光触媒組成物には、部材や汚れ成分への濡れ性を良好にし、密着性や塗工性、塗り伸ばし性、さらには変性光触媒(A)の溶媒に対する分散性を向上させる目的で、界面活性剤(G)を変性光触媒(A)に対して質量比(A)/(G)=99.99/0.01〜10/90で添加するのが好ましい。添加できる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種から様々な部材に応じて適意選定するのが望ましい。
【0051】
上記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリプロピレングリコールアルキルエステル、アルキルアミンポリエチレングリコールエーテル、アルキルアミンポリプロピレングリコールエーテル、アルキルジアミンポリエチレングリコールエーテル、アルキルジアミンポリプロピレングリコールエーテル、アルキルアミドポリエチレングリコールエーテル、アルキルアミドポリプロレングリコールエーテル、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、フルオロアルキル基含有エチレンオキシド付加物、フルオロアルキル基含有プロピレンオキシド付加物、オルガノポリシロキサンエチレンオキシド付加物、オルガノポリシロキサンプロピレンオキシド付加物があげられる。アルキル基を含むもののアルキル基の炭素数は6〜22が好ましい。
【0052】
上記両性界面活性剤としては、イミダゾリニウムベタイン型、アミドプロピルベタイン型、グリシン型、アラニン型のものがあげられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、トリエチルフェニルアンモニウム塩、トリブチルフェニルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジエチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジブチルベンジルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジアルカノールポリエチレングリコールエーテルアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリプロピレングリコールアルカノールエーテルアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩、ポリエチレングリコールアルカノールエーテルアミン塩、ポリプロレングリコールアルカノールエーテルアミン塩があげられる。アルキル基を含むもののアルキル基の炭素数は6〜22が好ましい。
【0053】
上記アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、アラニネート塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルカノール硝酸エステル、カルボン酸硝酸エステル、アルカノールリン酸エステル、フルオロアルキル基含有スルホン酸塩、フルオロアルキル基含有カルボン酸塩、オルガノポリシロキサン含有スルホン酸塩、オルガノポリシロキサン含有カルボン酸塩があげられる。アルキル基を含むもののアルキル基の炭素数は6〜22が好ましい。
【0054】
本発明の光触媒組成物において、抗菌性金属(H)を変性光触媒(A)に対して質量比(A)/(H)=99.999/0.001〜90/10で含有するものを選択すると、抗菌・防カビ機能がより効率的に発現できるため好ましい。すなわち抗菌性金属は、もともとその金属が細菌やカビなどの細胞中の活性中心と結合する力が強く、抗菌性があるものとして知られており、光照射時での光触媒による抗菌・防カビ効果と暗所での抗菌性金属による抗菌・防カビ効果とを複合させることができるため非常に好ましい。
本発明に用いることが出来る上記抗菌性金属としては、例えば銀、銅、白金、金、パラジウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、ニオブ、スズなどの金属及び/またはこれらの酸化物やその混合物を挙げることができる。これらの中で、銀あるいは銅を用いることが好ましい。
【0055】
また、上記抗菌性金属は光触媒組成物に単に添加したり、変性光触媒(A)に固定化したりして用いることが可能である。抗菌性金属を変性光触媒(A)に固定化する方法としては、抗菌性金属を物理吸着させる方法や光還元法や熱処理によって固定化する方法が挙げられる。また、光触媒(a)に該抗菌性金属を物理吸着や光還元法、熱処理等によって固定化した後、変性剤化合物(b)を用いて前述した方法で変性処理を行うことによっても実施できる。
また、本発明の光触媒組成物には、アルミニウム部材への定着性を補助する目的で、樹脂(I)を、本発明の変性光触媒(A)に対し、質量比(A)/(I)=1/99〜99/1、好ましくは(A)/(I)=10/90〜90/10で含有させても良い。この際、本発明の光触媒組成物の塗りのばし性を阻害する樹脂の含有は好ましくない為、樹脂の含有量は光触媒組成物がJISK 2236試験における塗り広げやすさ及びふき取りやすさの評価に合格できる範囲とするのが好ましい。
【0056】
本発明の光触媒組成物に含有できる樹脂(I)としては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能である。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、さらには水ガラスやジルコニウム化合物、過酸化チタン等の無機系化合物等を挙げることができる。
【0057】
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
これらの樹脂の中で、光触媒に対し難分解性であるシリコン系樹脂が好ましく用いられる。このようなシリコン系樹脂としては、例えばアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカ、さらにはシリコン含有量1〜80重量%のアクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、ウレタン−シリコン樹脂やアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカを1〜80重量%含有する樹脂等が挙げられる。これらのシリコン系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体タイプのいずれであっても良く、また架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていても良い。
【0058】
上記アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n-プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、
【0059】
2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、
ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等を挙げることができる。これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、またトリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、またジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。また、これらのアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0060】
上記アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランが加水分解生成物(ポリシロキサン)として使用されるとき、該部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは400〜100000、さらに好ましくは800〜50000である。
また、本発明の光触媒組成物には、必要により消泡剤、ワックス類、香料、防カビ剤、キレート剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機フィラー、架橋剤、光安定剤、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて含有させることができる。
【0061】
本発明の光触媒組成物に含有される変性光触媒(A)は、光触媒(a)表面が光触媒活性によって骨格構造が変化しない変性剤化合物(b)で変性処理されているため、光触媒(a)が直接に部材等に接触しにくい。そのため、本発明の変性光触媒(A)をアルミニウム部材の処理に用いる場合においても、アルミニウム部材を腐食等から保護するためのベースコートを必須とはせずに、含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光及び/または含有する増感色素(D)の吸収光を照射することにより優れた光触媒活性及び/又は親水性を示し、汚れ分解性能や環境浄化機能を長期にわたり発現することができる。
【0062】
また、本発明の光触媒組成物(C)が、例えば光触媒(a)を下式(1)’で表される変性剤化合物(b’)を用いて変性処理された変性光触媒(A)を含有する場合、該光触媒組成物(C)で処理されてなる光触媒アルミニウム部材は含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光及び/または含有する増感色素(D)の吸収光の照射により、最初に水接触角が上昇(疎水化)し、ついで水接触角が低下(親水化)するという特異な挙動を示す。この現象は、光照射により最初に親水性のポリオキシエチレン単位が光触媒作用により分解されることによる疎水化と、ついで疎水性のSi−R基の少なくとも1部が親水性のSi−OH基に光触媒作用によって変換されることによる親水化によるものと推定される。
Q’SiO(4−x−y−z)/2 (1)’
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
【0063】
Q’は下式(2)’で表される基又は下式(2)’で表される基を含有する炭素数1〜30の有機基を表す。
−(O)CHCHO(CHCHO) (2)’
(式中、Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基を表す。aは0または1であり、bは1〜100の整数を表す。)
Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、又はハロゲン原子を表す。また、0<t<4、0<y<4、0<z<4、及び0<(x+y+z)<4である。)
【0064】
本発明において、光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光や増感色素(D)の吸収光を含む光の光源としては、例えば太陽光や街灯、常夜灯等の環境にある光源、さらには一般照明が利用できる。一般照明としては蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、キセノンランプ、水銀灯、LED等が好適に利用できる。
本発明の光触媒組成物でアルミニウム部材の表面処理をする場合、変性光触媒(A)のアルミニウム部材への固定化量は、処理するアルミニウム部材の面積に対して、好ましくは0.0001g/m〜100g/mであり、より好ましくは0.001g/m〜10g/mである。
【0065】
本発明における光触媒組成物を部材に固定化させる方法としては、例えば上記光触媒組成物を部材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは−20℃〜500℃、より好ましくは10℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行う方法を挙げることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、パッディング法、キャスティング法、スポンジ塗り法、ナイフコ−ト法、グラビアコ−ト法、スクリ−ンコ−ト法、彫刻ロ−ルコ−ト法、フレキソコ−ト法等の方法が挙げられる。
【0066】
さらに、本発明の光触媒組成物は、含有する変性光触媒(A)の特異なワックス性状を利用して、部材に塗り伸ばしながら固定化する方法や、部材に過剰に塗布した後に布等で余剰分を拭き取る方法で、変性光触媒(A)を好適に部材に固定化させることができる。この際、アルミニウム部材は洗浄してから光触媒組成物で処理しても良いし、光触媒組成物で部材を洗浄しながら変性光触媒(A)をアルミニウム部材に固定化させても良い。
本発明におい、光触媒組成物で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材における変性光触媒(A)の固定化状態は、連続膜であっても、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
【0067】
本発明の光触媒アルミニウム部材は、アルミニウムやアルミ合金からなる部材に直接に変性光触媒(A)が固定化されていても良いが、アルミニウムまたはアルミ合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜が形成され、さらにこの陽極酸化皮膜上に変性光触媒(A)が固定化されたものが好ましい。陽極酸化皮膜は絶縁膜であり、しかも表面に直径約5nm〜200nmの細孔が無数に開いた微多孔質で、しかも凹凸のある構造を有している。従って、その絶縁効果によってアルミ合金地金に対する光触媒の酸化還元作用がある程度バリヤーされ、しかも、微多孔質構造によるアンカー効果によって、本発明の光触媒含有皮膜の密着性を向上させることができる。
【0068】
本発明の光触媒アルミニウム部材を得るのに使用できるアルミニウム部材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。表面処理としては、例えば、研磨、脱脂、メッキ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理などを挙げることができる。
本発明によって提供される光触媒アルミニウム部材は、建材として非常に好適に使用できる。
例えば、本発明によって提供される光触媒アルミニウム部材であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防かび、脱臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水や生活空間等の環境浄化等の用途に使用することができ、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、構造部材、住宅等建築設備、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、流し、キッチンフード、ドア−、ドアノブ等や乗物の外装および内装、さらには医療用や公共施設等への用途に使用できる。
【0069】
また、本発明によって提供される光触媒部材であって、光照射により20℃における水との接触角が30゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のものは、建築内外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能であり、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、構造部材、住宅等建築設備等への用途に使用できる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明する。実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
【0071】
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgelG2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:テトラヒドロフラン
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法:移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
【0072】
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.ワックス性状(塗り広げやすさ、ふき取りやすさ)
JIS K 2236に準じて実施した。
【0073】
5.塗り伸ばし性
下記手順に従い、評価した。
1)0.03gに秤量した5質量%の変性光触媒を含有するサンプルをスポイトでガラス板の上に滴下した。
2)サンプルを滴下したガラス板を105℃で30分間乾燥させた後、23℃、55%湿度の状態で30分冷却した。
3)乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を計算し、この値を塗り伸ばし性とした。
【0074】
6.水の接触角
試料の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
7.抗菌性試験
5cm×1cmの試料を殺菌されたプラスチックシャ−レに入れ、大腸菌の菌数が約10個/mlとなるように調整された菌液を、それぞれのシャ−レ中の試料に0.5mlずつ滴下し、シャ−レをポリエチレンフィルムで覆い外気と遮断し、検体試料上の菌液の乾燥と外部からの菌の侵入を防止した。続いて、シャーレの外から東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光を4時間照射した後、シャ−レの試料から菌液を洗い出し、培地に移して、その生菌数を測定し、次式により求めた死滅率に基づき、抗菌性を以下の3段階で評価した。
死滅率={(当初生菌数−試験後の生菌数)/当初生菌数}×100
○:死滅率80%以上
△:死滅率20%以上80%未満
×:死滅率20%未満
紫外線強度は、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整した。
【0075】
8.防汚性能
5cm×1cmに切り出した試料を120mlのガラス製瓶に入れ、たばこ5本分の煙を充満させ、試料にたばこのヤニを付着させた後、試料に東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光を4時間照射し、試料の外観(目視で評価)に基づき、防汚性能を以下の3段階で評価した。このとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整した。
○:たばこのヤニによる着色が完全に消失
△:たばこのヤニによる着色が薄くなる
×:たばこのヤニによる着色に変化無し
【0076】
9.耐候性(外観)
スガ試験器製DPWL−5R型デューパネル光コントロールウェザーメーターを使用して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40℃4時間)を行った。曝露1000時間後の試料の外観(目視で評価)に基づき、耐候性を以下の3段階で評価した。
○:外観変化なし
△:白化が生じる
×:光触媒含有皮膜の剥がれが生じる
【0077】
[参考例1]
変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に、LS−8600[1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]474g、LS−8620[オクタメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]76.4g、LS−8490[1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサンの商品名(信越化学工業製)408g、LS−7130[ヘキサメチルジシロキサンの商品名(信越化学工業製)40.5g、及び硫酸化ジルコニア20gを仕込み、50℃で3時間攪拌した後、さらに80℃に加熱したまま5時間攪拌した。硫酸化ジルコニアをろ過したのち、130℃、真空下で低沸分を除去し、重量平均分子量6600、Si−H基含量7.93mmol/gのメチルハイドロジェンシロキサン−メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(合成シリコーン化合物)780gを得た。
【0078】
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に上記合成シリコーン化合物40gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]200gと脱水したメチルエチルケトン200g、および塩化白金酸6水和物5質量%イソプロパノール溶液1.0gを混合した溶液を攪拌下で約1時間かけて添加し、さらに80℃にて5時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有化合物溶液(1)を得た。
得られたSi−H基含有化合物溶液(1)4gに水100gを加えると、透明な水溶液となった。
【0079】
また、得られたSi−H基含有化合物溶液(1)3.97gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において15.8mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有化合物溶液(1)1g当りのSi−H基含量は0.16mmol/g(合成シリコーン化合物1g当たりに換算したSi−H基含量は約1.78mmol/g)であった。
【0080】
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TKS−203[酸化チタンヒドロゾルの商品名(テイカ製)、中性、TiO濃度19.2質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの]252.0gと水748.0gを入れた後、これに合成したSi−H基含有化合物溶液(1)61.1gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて8.3質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−1)を得た。この時、Si−H基含有化合物溶液(1)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において160mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾル(A−1)をKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
【0081】
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は75nm)であり、さらに変性処理前のTKS203の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A1)は、JIS K2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は380cmで有り、非常に良好であった。
【0082】
[参考例2]
変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TSS4110[可視光応答型酸化チタンゾルの商品名(住友化学工業製)、光触媒濃度10質量%]15gと水15gを入れた後、これに参考例1で合成したSi−H基含有化合物溶液(1)2.9gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて5質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−2)を得た。この時、Si−H基含有化合物溶液(1)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において19mlであった。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は21nm)であり、さらに変性処理前のTSS4110の単一分散(数平均粒子径は13nm)の粒径分布が大きな粒径側に移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A2)は、JIS K2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は320cmで有り、非常に良好であった。
【0083】
[実施例1]
参考例1で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A1)10gにユニオックスM550[ポリオキシエチレンモノメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量550]を0.1gとγ−アミノプロピルトリエトキシシランの1質量%水溶液1.5gを室温で撹拌下に添加し、1時間撹拌を続け、88.5gの水−エタノール混合溶媒(水53.1gとエタノール35.4g)を室温にて撹拌下に添加して光触媒組成物(C1)を得た。光触媒組成物(C1)はJISK 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。
【0084】
硫酸電解浴中で膜厚10μmの陽極酸化皮膜を形成した10cm×10cmのアルミニウム板に、得られた光触媒組成物(C1)を吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばすことにより光触媒アルミニウム部材(K1)を作成した。
得られた光触媒部材(K1)の水の接触角は10゜であった。光触媒部材(K1)に東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度(UD−36型受光部)が2mW/cmとなるように調整]を12時間照射すると、水の接触角は100゜となり、更に48時間照射すると水の接触角は3゜となった。この光照射した光触媒アルミニウム部材(K1)の抗菌性は非常に良好(○)であった。さらに、防汚性能を評価したところ、非常に良好な結果(○)となった。また、この光触媒アルミニウム部材(K1)の耐候性試験における外観変化は非常に良好(○)であった。
【0085】
[実施例2]
参考例1で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の代わりに、参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒組成物(C2)を得た。光触媒組成物(C2)はJISK 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。
得られた光触媒組成物(C2)を用い、実施例1と同様の処理によって光触媒アルミニウム部材(K2)を作成した。
得られた光触媒部材(K2)の水接触角は8゜であった。光触媒部材(K2)に紫外線遮蔽型の蛍光灯紫外線遮蔽型の蛍光灯(ネオラインデラックスFL20S−N−SDL・NU/東芝ライテック製)[トプコン製UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度(UD−36型受光部)が0.2〜0.3μW/cm、同紫外線強度計を用いて測定した可視光強度(UD−40型受光部)が750〜800μW/cmとなるように調整]を24時間照射すると、水の接触角は100゜となり、更に120時間照射すると水の接触角は14゜となった。この紫外線遮蔽型の蛍光灯を照射した光触媒アルミニウム部材(K2)の抗菌性は非常に良好(○)であった。さらに、防汚性能を評価したところ、非常に良好な結果(○)となった。また、この光触媒アルミニウム部材(K2)の耐候性試験における外観変化は非常に良好(○)であった。
【0086】
[実施例3]
実施例1で調整した光触媒組成物(C1)に増感色素としてエオシンYの0.1質量%水溶液1.0gを室温にて撹拌下に添加することにより光触媒組成物(C3)を得た。光触媒組成物(C3)はJISK 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。
得られた光触媒組成物(C3)を用い、実施例1と同様の処理によって光触媒アルミニウム部材(K3)を作成した。
得られた光触媒部材(K3)の水接触角は11゜であった。光触媒部材(K2)に紫外線遮蔽型の蛍光灯紫外線遮蔽型の蛍光灯(ネオラインデラックスFL20S−N−SDL・NU/東芝ライテック製)[トプコン製UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度(UD−36型受光部)が0.2〜0.3μW/cm、同紫外線強度計を用いて測定した可視光強度(UD−40型受光部)が750〜800μW/cmとなるように調整]を24時間照射すると、水の接触角は105゜となり、更に72時間照射すると水の接触角は10゜となった。この紫外線遮蔽型の蛍光灯を照射した光触媒アルミニウム部材(K3)の抗菌性は非常に良好(○)であった。さらに、防汚性能を評価したところ、非常に良好な結果(○)となった。また、この光触媒アルミニウム部材(K3)の耐候性試験における外観変化は非常に良好(○)であった。
【0087】
[比較例1]
参考例1で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の代わりに、TKS203(参考例1と同じ)を5質量%に水で希釈したものを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒組成物(C4)を得た。光触媒組成物(C4)はJISK 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格しなかった。
硫酸電解浴中で膜厚10μmの陽極酸化皮膜を形成した10cm×10cmのアルミニウム板に得られた光触媒組成物(C4)を吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばそうとしたが不可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の光触媒アルミニウム部材は、生活空間の環境浄化や抗菌、防汚等の用途に使用することができ、特に機能性建材として広く利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒(a)を式(1)で表される変性剤化合物(b)を用いて変性処理されたワックス性状を有する変性光触媒(A)を含有する光触媒組成物(C)で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材。
SiO(4−x−y−z)/2 (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
Qは下式(2)で表される基又は下式(2)で表される基を含有する炭素数1〜30の有機基を表す。
−(O)O(RO) (2)
(式中R、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基を表す。aは0または1であり、bは1〜100の整数を表す。)
Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、又はハロゲン原子を表す。また、0≦x<4、0≦y<4、0<z<4、及び0<(x+y+z)<4である。)
【請求項2】
光触媒組成物(C)が増感色素(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項3】
光触媒組成物(C)が水及び/またはアルコールを含有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項4】
光触媒組成物(C)がアミノ基含有シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項5】
光触媒組成物(C)が界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項6】
ワックス性状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒組成物(C)で表面処理されてなる光触媒アルミニウム部材。
【請求項7】
含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項1に記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項8】
含有する増感色素の吸収光及び/または含有する光触媒(a)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項2に記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項9】
防汚性能を有することを特徴とする請求項7または8に記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項10】
抗菌性能を有することを特徴とする請求項7または8に記載の光触媒アルミニウム部材。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の光触媒組成物(C)をアルミニウム部材に塗布した後、塗り伸ばす事を特徴とするにアルミニウム部材の表面処理方法。

【公開番号】特開2006−136782(P2006−136782A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327659(P2004−327659)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】