説明

光触媒コーティング剤及び光触媒担持体

【課題】箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板の表面を微細孔を埋め尽くすことなく顔料により着色できるとともに、表面に十分な量の酸化チタンを担持させることができる光触媒コーティング剤及び光触媒担持体を提供する。
【解決手段】箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板2と、ケイ酸カルシウム板2の表面に形成される光触媒コーティング層5とを備える。光触媒コーティング層5は、ケイ酸カルシウム板2の表面に、無機系顔料9と、アナターゼ型酸化チタン8と、シリカ質粒子7と、それらを分散させる分散剤6とを含有する水溶液からなる光触媒コーティング剤を塗布することにより形成される。分散剤6の分散機能により、無機系顔料9が分散された状態でケイ酸カルシウム板の2表面に付着され、かつアナターゼ型酸化チタン8が無機系顔料9に埋め尽くされることなくケイ酸カルシウム板2の表面に担持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒コーティング剤及び光触媒担持体に関し、特に、アナターゼ型酸化チタンと無機系顔料とを含有させた光触媒コーティング剤、及びその光触媒コーティング剤をケイ酸カルシウム板の表面に塗布させることにより構成した光触媒担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の建築構造物の高気密化に伴い、シックハウス症候群の原因とされるアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の揮発性有害有機物質や異臭の強いアンモニア等の悪臭成分等の発生が深刻な問題となっている。このため、それらの有害有機物質や悪臭成分等を捕捉して無害化するための各種の研究、開発がなされており、その一例として、無機系多孔質基材(ケイ酸カルシウム板等)の表面に酸化チタンを担持させた建築資材としての光触媒担持体が提供されている。
【0003】
このような構成の光触媒担持体にあっては、表面に担持させた酸化チタンの光触媒機能を利用することにより、光のエネルギーを吸収して空気中の水分をヒドロキシラジカルに変化させ、この強い分解力をもったヒドロキシラジカルの作用によって有害有機物質や悪臭成分等を水と二酸化炭素に分解し、無害化することができるものである。
【0004】
ところで、図5に示すように、無機系多孔質基材12(ケイ酸カルシウム板等)の表面に無機系顔料19により着色しようとする場合、光触媒としての酸化チタン18を含有する光触媒コーティング剤に無機系顔料19を添加し、その無機系顔料19を添加した光触媒コーティング剤を無機系多孔質基材12の表面に塗布しているが、無機系顔料19の粒子の方が酸化チタン18の粒子よりも大きいために、無機系顔料19に酸化チタン18が埋もれてしまい、有害有機物質や悪臭成分等を分解して無害化するのに十分な光触媒機能が得られない。このため、光触媒コーティング剤に大量の酸化チタン18を添加しなければならず、コストが高くついてしまう。
【0005】
また、光触媒コーティング剤に無機系顔料19を添加した場合、光触媒コーティング剤中における無機系顔料19の分散性が悪いために、無機系多孔質基材12の表面を無機系顔料19によって綺麗に着色することができず、着色斑が生じてしまうこともあった。
【0006】
一方、着色可能で、かつ光触媒反応を効果的に発揮させる光触媒コーティング剤(商品名;ハイドロテクト(登録商標)、TOTO株式会社)が提供されている。しかし、この光触媒コーティング剤は、外壁タイル等の表面に一様な膜を形成するのには有効であるが、ケイ酸カルシウム板等の無機系多孔質基材の表面に適用した場合には、表面の微細孔を埋め尽くさないように塗布することが困難であるため、適用可能な範囲が制限されてしまい、箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板には使用することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板等の無機系多孔質基材の表面を微細孔を埋め尽くことなく顔料により綺麗に着色できるとともに、表面に十分な量の酸化チタンを担持させることができ、必要最低限の量の酸化チタンで空気中の有害有機物質や悪臭成分等を良好に分解して無害化することができる、光触媒コーティング剤及び光触媒担持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板の表面に光触媒機能を有する酸化チタンを担持させ、かつ酸化チタンの光触媒機能を阻害することなくケイ酸カルシウムの表面に着色するための光触媒コーティング剤であって、無機系顔料と、アナターゼ型酸化チタンと、シリカ質粒子と、それらを分散させる分散剤とを含有する水溶液からなることを特徴とする。
【0009】
本発明による光触媒コーティング剤によれば、分散剤の分散機能により、水溶液中に無機系顔料とアナターゼ型酸化チタンとシリカ質粒子とが分散された状態で含有されることになるので、ケイ酸カルシウム板の表面に光触媒コーティング剤を塗布したときに、それらの粒子同士が結合して一次粒子から二次粒子、三次粒子……と大きくなるようなことはなく、大きくなった粒子によってケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔が塞がれるようなことはない。従って、ケイ酸カルシウム板の表面を無機系顔料によって斑が生じることなく着色することができるとともに、無機系顔料に埋め尽くされることなくケイ酸カルシウム板の表面に十分な量のアナターゼ型酸化チタンを担持させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光触媒コーティング剤であって、前記分散剤は、前記無機系顔料、前記アナターゼ型酸化チタン、及び前記シリカ質粒子よりも前記ケイ酸カルシウム板との親和性が高い性質を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明による光触媒コーティング剤によれば、光触媒コーティング剤をケイ酸カルシウム板の表面に塗布したときに、ケイ酸カルシウム板との親和性が最も高い分散剤がケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔内に先に配向され、この分散剤によってシリカ質粒子が微細孔から表面側に押し出されるように配向され、シリカ質粒子によってアナターゼ型酸化チタンが更に表面側に押し出されるように配向されることになる。従って、ケイ酸カルシウム板の表面に十分な量のアナターゼ型酸化チタンを配向することができ、必要最低限の量のアナターゼ型酸化チタンによって光触媒機能を十分に発揮させることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板と、該ケイ酸カルシウム板の表面に形成される光触媒コーティング層とからなる光触媒担持体であって、前記光触媒コーティング層は、前記ケイ酸カルシウム板の表面に、無機系顔料と、アナターゼ型酸化チタンと、シリカ質粒子と、それらを分散させる分散剤とを含有する水溶液からなる光触媒コーティング剤を塗布することにより形成され、前記分散剤の分散機能により、前記無機系顔料が分散された状態で前記ケイ酸カルシウム板の表面に付着され、かつ前記アナターゼ型酸化チタンが前記無機系顔料に埋め尽くされることなく前記ケイ酸カルシウム板の表面に担持されていることを特徴とする。
【0013】
本発明による光触媒担持体によれば、光触媒コーティング剤水溶液中の分散剤の分散機能により、水溶液中に無機系顔料とアナターゼ型酸化チタンとシリカ質粒子とが分散された状態で含有されることになるので、ケイ酸カルシウム板の表面に光触媒コーティング剤を塗布して光触媒コーティング層を形成するときに、それらの粒子同士が結合して一次粒子から二次粒子、三次粒子……と大きくなるようなことはなく、大きくなった粒子によってケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔が塞がれるようなことはない。従って、ケイ酸カルシウム板の表面を無機系顔料によって斑が生じることなく着色することができるとともに、無機系顔料に埋め尽くされることなくケイ酸カルシウム板の表面に十分な量のアナターゼ型酸化チタンを担持させることができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の光触媒担持体であって、前記分散剤は、前記無機系顔料、前記アナターゼ型酸化チタン、及び前記シリカ質粒子よりも前記ケイ酸カルシウム板との親和性が高い性質を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明による光触媒担持体によれば、ケイ酸カルシウム板の表面に光触媒コーティング剤を塗布したときに、ケイ酸カルシウム板との親和性が最も高い分散剤がケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔内に先に配向され、この分散剤によってシリカ質粒子が微細孔から表面側に押し出されるように配向され、シリカ質粒子によってアナターゼ型酸化チタンが更に表面側に押し出されるように配向され、顔料が良好に分散された状態でケイ酸カルシウム板の表面側に付着されることになる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明の光触媒コーティング剤及び光触媒担持体によれば、光触媒コーティング剤の水溶液中に分散剤の分散機能によって無機系顔料とアナターゼ型酸化チタンとシリカ質粒子とが分散された状態で含有されることになるので、ケイ酸カルシウム板の表面に光触媒コーティング剤を塗布したときに、それらの粒子が互いに結合して一次粒子から二次粒子、三次粒子……と大きくなるようなことはなく、大きくなった粒子によってケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔が埋め尽くされるようなことはない。従って、ケイ酸カルシウム板としての機能(調湿機能や吸着機能等)を維持した状態で、ケイ酸カルシウム板の表面を無機系顔料によって斑が生じることなく着色できる。また、ケイ酸カルシウム板の表面に十分な量のアナターゼ型酸化チタンを担持させることができるので、光触媒機能を十分に発揮させることができ、空気中の有害有機物質や悪臭成分等を良好に分解して無害化することができる。
【0017】
さらに、光触媒コーティング剤をケイ酸カルシウム板の表面に塗布したときに、ケイ酸カルシウム板との親和性が最も高い分散剤がケイ酸カルシウム板の箔状、板状及び針状結晶の微細孔内に先に配向され、この分散剤によってシリカ質粒子が微細孔から表面側に押し出されるように配向され、シリカ質粒子によってアナターゼ型酸化チタンが更に表面側に押し出されるように配向されるので、必要最低限の量のアナターゼ型酸化チタンで良好な光触媒機能を得ることができ、コストを安く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4には、本発明による光触媒コーティング剤及び光触媒担持体の一実施の形態が示されていて、図1は光触媒担持体をモデルした説明図、図2は図1のA部の拡大図、図3は分散剤とシリカ質粒子とアナターゼ型酸化チタンとの関係を示した説明図、図4はケイ酸カルシウム板の表面の一部を示した顕微鏡写真図である。
【0019】
すなわち、本実施の形態に示す光触媒コーティング剤は、図1及び図2に示すように、無機系多孔質基材であるケイ酸カルシウム板2の表面に酸化チタン8を担持させ、かつ酸化チタン8の機能を阻害することなく、ケイ酸カルシウム板2の表面を着色するのに有効なものであって、無機系顔料9と酸化チタン8とシリカ質粒子7と分散剤6とを含有する水溶液状をなしている。
【0020】
無機系顔料9は、ケイ酸カルシウム板2の表面に着色し、ケイ酸カルシウム板2の意匠性を高める目的で光触媒コーティング剤に所定量添加されている。無機系顔料9としては、例えば、赤色酸化クロム、黄色酸化鉄、水酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化イットリウム、水酸化マンガン等の酸化物及び水酸化物が挙げられる。但し、これらに限定されることなく、ケイ酸カルシウム板2の表面に着色し、意匠性を高めることができるものであればよい。
【0021】
酸化チタン8は、光触媒機能を有するものであって、本実施の形態においては酸化チタン8にアナターゼ型酸化チタン8を使用している。ケイ酸カルシウム板2の表面にアナターゼ型酸化チタン8を担持させることにより、アナターゼ型酸化チタン8が光のエネルギーを吸収して空気中の水分を酸化反応でヒドロキシラジカルに変化させ、この強い分解力をもったヒドロキシラジカルの働きによって空気中の有害有機物質や悪臭成分等が水と二酸化炭素に分解され、無害化される。
【0022】
シリカ質粒子7及び分散剤6は、シリカ質粒子7に分散剤6を添加して構成したバインダー水溶液であって、アナターゼ型酸化チタン8を分散させる目的、及びアナターゼ型酸化チタン8のケイ酸カルシウム板2との付着性を高める目的で配合される。シリカ質バインダーは、アナターゼ型酸化チタン8をケイ酸カルシウム板2の最表面へ押し出す機能も有している。
【0023】
シリカ質粒子7は、非常に小さい微粒子(5nm〜100nm)であって、光触媒コーティング剤を箔状、板状及び針状結晶3構造を有するケイ酸カルシウム板2の表面に塗布したときに、ケイ酸カルシウム板2の微細孔4(1nm〜1000nm)内に入り込み、この微細孔4内に入り込んだシリカ質粒子7により、アナターゼ型酸化チタン8がケイ酸カルシウム板2の最表面に押し出される。
【0024】
分散剤6は、無機系顔料9とシリカ質粒子7とアナターゼ型酸化チタン8とを分散させ、水溶液中でそれらが相互に結合して、一次粒子から二次粒子、三次粒子……と大きくなるのを防止している。分散剤6は、シリカ質粒子7、無機系顔料9、及びアナターゼ型酸化チタン8よりもケイ酸カルシウム板2との親和性が高い性質を有している。
【0025】
分散剤6としては、例えばイオン性界面活性剤、高分子系の分散剤等が挙げられる。分散剤6としてイオン性界面活性剤を使用した場合には、分散剤6がシリカ質粒子7の表面に吸着することにより、その立体障害によってシリカ質粒子7同士の反発を導き、シリカ質粒子7が良好に分散する。そして、シリカ質粒子7の分散によりシリカ質粒子7に吸着したアナターゼ型酸化チタン8が良好に分散する。
【0026】
イオン性界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤と陽イオン界面活性剤と非イオン活性剤とがあり、陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸系(ラウリル硫酸エステル、バルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、スルホン酸塩系(エチルヘキシルアルキルベンゼンスルホン酸塩、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル)、硫酸エステル塩(アルキル硫酸エステル塩、ドデシル硫酸エステル塩)、燐酸系が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては、ドデシルアミン酢酸塩、第4級アンモニウム塩が挙げられ、非イオン活性剤としては、脂肪酸エステル型が挙げられる。
【0027】
分散剤6としてケイ酸カルシウム板2と非常に相性の良い(接着性の良好な)高分子系の分散剤(例えば、ポリアクリル酸系等)を使用した場合には、シラノール基をケイ酸カルシウム板2の針状結晶3の微細孔4に配向し、吸着させる。一方、シリカ質粒子7と立体障害を起こす官能基により、シリカ質粒子7を分散させる。シリカ質粒子7が分散すると、シリカ質粒子7に吸着したアナターゼ型酸化チタン8が分散する。なお、分子鎖には、シリカ質粒子7と立体障害を起こしやすいものが多数付与していた方がよい。
高分子系界面活性剤としては、シリコーン系、ポリアクリル酸系が挙げられる。
【0028】
上記のような構成の光触媒コーティング剤を用いて構成される本発明による光触媒担持体1は、図1に示すように、無機系多孔質基材である箔状、板状及び針状結晶3構造を有するケイ酸カルシウム板2と、ケイ酸カルシウム板2の表面に光触媒コーティング剤を塗布することにより形成される光触媒コーティング層5とを備えている。ここで、ケイ酸カルシウム板2の針状結晶構造の例として、図4の顕微鏡写真では箔状結晶間に微細孔4が形成されているのが示されている。
【0029】
光触媒コーティング層5を形成する光触媒コーティング剤は、分散剤6の分散機能によって水溶液中に無機系顔料9とアナターゼ型酸化チタン8とシリカ質粒子7とが分散された状態で含有されているので、それらの粒子同士が互いに結合して、一次粒子から二次粒子、三次粒子……と大きくなるようなことはなく、それらの粒子は分散された状態でケイ酸カルシウム板2の表面に付着されることになる。
【0030】
従って、大きくなった粒子によってケイ酸カルシウム板2の箔状、板状及び針状結晶3の微細孔4が埋め尽くされるようなことはなく、多孔質基材である針状結晶3構造を有するケイ酸カルシウム板2の機能(調湿機能、吸着機能等)を維持し続けることができる。
【0031】
また、分散剤6によって無機系顔料9が良好に分散されることになるので、ケイ酸カルシウム板2の箔状、板状及び針状結晶3の微細孔4を塞ぐことなく、ケイ酸カルシウム板2の表面を無機系顔料9によって斑が生じることなく綺麗に着色することができ、ケイ酸カルシウム板2の意匠性を高めることができる。
【0032】
さらに、ケイ酸カルシウム板2の表面に光触媒コーティング剤を塗布したときに、ケイ酸カルシウム板2との親和性が最も高い分散剤6が針状結晶3の微細孔4内に先に配向されて吸着され、この分散剤6は多数の水酸基を表面側(外側)に向けた状態で微細孔4内に配向されるので、分散剤6の表面側に向けた水酸基によってシリカ質粒子7が表面側に押し出されるように配向されることになる。
【0033】
従って、シリカ質粒子7と結合しているアナターゼ型酸化チタン8がシリカ質粒子7によって最表面側に押し出されることになるので、ケイ酸カルシウム板2の表面側に十分な量のアナターゼ酸化チタン8を配向することができ、必要最低限の量のアナターゼ型酸化チタン8で光触媒機能を十分に発揮させることができ、空気中の有害有機物質、悪臭成分等を良好に分解して無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による光触媒担持体の一実施の形態を示した説明図であって、光触媒担持体をモデル化した説明図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】分散剤とシリカ質粒子とアナターゼ型酸化チタンとの関係を示した説明図である。
【図4】ケイ酸カルシウム板の表面の一部を示した顕微鏡写真図である。
【図5】従来の光触媒担持体の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 光触媒担持体
2 ケイ酸カルシウム板
3 ケイ酸カルシウム結晶
4 微細孔
5 光触媒コーティング層
6 分散剤
7 シリカ質粒子
8、18 酸化チタン(アナターゼ型酸化チタン)
9、19 無機系顔料
12 無機系多孔質材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板の表面に光触媒機能を有する酸化チタンを担持させ、かつ酸化チタンの光触媒機能を阻害することなくケイ酸カルシウムの表面に着色するための光触媒コーティング剤であって、
無機系顔料と、アナターゼ型酸化チタンと、シリカ質粒子と、それらを分散させる分散剤とを含有する水溶液からなることを特徴とする光触媒コーティング剤。
【請求項2】
前記分散剤は、前記無機系顔料、前記アナターゼ型酸化チタン、及び前記シリカ質粒子よりも前記ケイ酸カルシウム板との親和性が高い性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の光触媒コーティング剤。
【請求項3】
箔状、板状及び針状結晶構造を有するケイ酸カルシウム板と、該ケイ酸カルシウム板の表面に形成される光触媒コーティング層とからなる光触媒担持体であって、
前記光触媒コーティング層は、前記ケイ酸カルシウム板の表面に、無機系顔料と、アナターゼ型酸化チタンと、シリカ質粒子と、それらを分散させる分散剤とを含有する水溶液からなる光触媒コーティング剤を塗布することにより形成され、
前記分散剤の分散機能により、前記無機系顔料が分散された状態で前記ケイ酸カルシウム板の表面に付着され、かつ前記アナターゼ型酸化チタンが前記無機系顔料に埋め尽くされることなく前記ケイ酸カルシウム板の表面に担持されていることを特徴とする光触媒担持体。
【請求項4】
前記分散剤は、前記無機系顔料、前記アナターゼ型酸化チタン、及び前記シリカ質粒子よりも前記ケイ酸カルシウム板との親和性が高い性質を有していることを特徴とする請求項3に記載の光触媒担持体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−262150(P2007−262150A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86168(P2006−86168)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(390036722)神島化学工業株式会社 (54)
【Fターム(参考)】