説明

光触媒及びその製造方法、並びに成形体

【課題】有機物等の吸着能に優れ安価な光触媒及びその低コストで簡便な製造方法、並びに該光触媒を用いた成形体の提供。
【解決手段】本発明の光触媒は、光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトを含む多孔質体を少なくとも有する。本発明の光触媒の製造方法は、本発明の前記光触媒を製造する方法であって、骨に含まれるアパタイト中に、光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープするドープ工程を少なくとも含む。本発明の成形体は、本発明の前記光触媒を用いて形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物等の吸着能に優れ安価な光触媒及びその低コストで簡便な製造方法、並びに該光触媒を用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酸化分解作用、抗菌作用、防汚作用等を発揮する、酸化チタン(TiO)等が有する光触媒活性が注目されており、該酸化チタンは、空気清浄機及びエアコン等のフィルターなどに広く利用されるに至っている。しかし、酸化チタン自体は、物質に対する吸着能に乏しいため、該酸化チタンの光触媒活性に基づき、酸化分解作用、抗菌作用、防汚作用等を発現させるためには、該酸化チタンの分解対象物に対する吸着能を向上させる必要がある。
そこで、酸化チタンは、例えば、活性炭に代表されるような吸着剤と併用されている。しかし、活性炭上に吸着した有機物等の分解対象物が総て酸化チタンにより分解することができるわけではなく、分解することができるのは、活性炭粒子と酸化チタン粒子とが隣接している部分に吸着した分解対象物のみに限られる。このため、分解対象物の分解効率は、高いとはいえない。
【0003】
また、分解対象物に対する吸着能に優れる材料として、カルシウムハイドロキシアパタイトCa10(PO(OH)等のアパタイトが、各種のカチオンやアニオンとイオン交換し易く、高い生体親和性及び吸着特性を有し、タンパク質等の有機物に対する特異的な吸着能を有していることから、該アパタイトの特性を利用した技術の研究開発が行われてきており、例えば、該アパタイト中のカルシウムイオンの一部をチタンイオンと交換してなる光触媒機能を有するカルシウム・チタンハイドロキシアパタイトCaTi(PO(OH)、いわゆる光触媒チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)が提案されている(特許文献1参照)。該光触媒チタンハイドロキシアパタイトにおいては、光触媒活性は、酸化チタンの半分程度であるものの、優れた吸着能を有するため、吸着及び分解効率は、酸化チタンよりも優れている。しかし、前記光触媒チタンアパタイトは、化学合成により製造され、その価格は、酸化チタンの約3倍と高価であり、光触媒を用いた種々の製品への応用に際し、高コスト化を招くという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−302220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、有機物等の吸着能に優れ安価な光触媒及びその低コストで簡便な製造方法、並びに該光触媒を用いた成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、後述の付記に記載の通りである。即ち、
本発明の光触媒は、光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトを含む多孔質体を少なくとも有することを特徴とする。
該光触媒においては、前記光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトが分解対象物に対する吸着能に優れ、特に、該アパタイトが前記多孔質体に含まれているため、該多孔質体の内部に存在する空隙により、前記分解対象物に対する吸着能がより高く、前記分解対象物が、より効率的に吸着される。すると、該光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトは、該アパタイト自体が、光触媒活性を有するので、所定の光が照射されると、該光触媒活性を有するアパタイトに光触媒活性が発現し、前記アパタイトの表面に吸着している前記分解対象物から電子を奪い取り、該分解対象物は酸化され、分解される。
該光触媒においては、前記多孔質体がカルシウムハイドロキシアパタイトを主成分とする骨等であり、例えば、家畜から得られ、本来廃棄物となる骨等を利用した場合、吸着能に優れるだけでなく、安価である。
【0007】
本発明の光触媒の製造方法は、本発明の前記光触媒を製造する方法であって、骨に含まれるアパタイト中に、光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープするドープ工程を少なくとも含むことを特徴とする。
該光触媒の製造方法では、前記ドープ工程において、前記骨に含まれるアパタイト中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がドープされる。その結果、光触媒が効率的に製造される。該光触媒の製造方法においては、前記光触媒の原料として、前記アパタイトを含む骨を使用するため、例えば、家畜から得られ、本来廃棄物となる骨等を利用すると、化学合成により光触媒を製造する方法に比して、低コストかつ簡便に前記光触媒を製造することができる。
【0008】
本発明の成形体は、本発明の前記光触媒を用いて形成されたことを特徴とする。該成形体は、例えば、OA機器、電子機器、電気製品、携帯情報端末、フィルター、壁紙、食品容器、医療機器、入れ歯、内外装材、乗り物、吊り輪、ハンドル、サドル、靴、鞄などとして、幅広い分野に適用可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、有機物等の吸着能に優れ安価な光触媒及びその低コストで簡便な製造方法、並びに該光触媒を用いた成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(光触媒)
本発明の光触媒は、光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトを含む多孔質体を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含んでなる。
【0011】
−多孔質体−
前記多孔質体としては、カルシウムハイドロキシアパタイト(以下、単に「アパタイト」と称することがある。)を含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カルシウムハイドロキシアパタイトを主成分とする、骨、歯などが好適に挙げられる。
前記骨及び歯としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、牛、豚、鶏などの家畜から得られるものが好適に挙げられる。これらは、畜産業において食肉用に使用された後、廃棄物となるため、安価かつ容易に入手することができ、製造コストの低減を図ることができる点で、有利である。
【0012】
−−光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイト−−
前記光触媒活性(光触媒能)を有するカルシウムハイドロキシアパタイトとしては、光触媒活性を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記カルシウムハイドロキシアパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子(以下、光触媒活性を発現可能な金属原子と称することがある。)を有してなるものなどが好適に挙げられる。前記カルシウムハイドロキシアパタイトが該光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有すると、該アパタイトに光が照射されると、該光触媒活性を有するのに必要な金属原子の作用により該アパタイトが活性化され、該アパタイトの表面に吸着している分解対象物から電子を奪い取ることができ、該分解対象物を酸化し、分解させることができる。
【0013】
前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)は、吸着性に優れるカルシウム原子(Ca)及び生体親和性が良好なリン原子(P)を含み、Ca10(PO(OH)で表される。
前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)は、カチオンに対してもアニオンに対してもイオン交換し易いため、各種の分解対象物に対する吸着特性に優れ、特にタンパク質等の有機物に対する吸着性に優れており、加えて、ウイルス、カビ、細菌等の微生物等に対する吸着特性にも優れ、これらの増殖を阻止乃至抑制し得る点で好ましい。
【0014】
なお、前記分解対象物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その成分としては、タンパク質、アミノ酸、脂質、糖質、などが挙げられる。該分解対象物は、これらを1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。該分解対象物の具体例としては、一般に、人間の皮膚に由来する汚れ成分、ゴミ、埃、汚泥、不要成分、廃液成分、土壌中乃至空気中の有害成分、微生物、ウイルス、などが挙げられる。なお、前記有害成分としては、例えば、アセトアルデヒドガスなどが挙げられる。前記微生物としては、特に制限はなく、原核生物及び真核生物のいずれであってもよいし、原生動物も含まれ、前記原核生物としては、例えば、大腸菌、黄色ブドウ球菌等の細菌などが挙げられ、前記真核生物としては、例えば、酵母菌類、カビ、放線菌等の糸状菌類などが挙げられる。前記ウイルスとしては、例えば、DNAウイルス、RNAウイルスなどが挙げられ、具体的には、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。これらの分解対象物は、固体状、液体状、及び気体状のいずれの態様で存在していてもよい。前記液体状の場合には、前記分解対象物としては、例えば、廃液、栄養液、循環液、などが挙げられる。また、前記気体状の場合には、前記分解対象物としては、例えば、空気、排ガス、循環ガス、などが挙げられる。
【0015】
前記カルシウムハイドロキシアパタイトの前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、85〜97mol%が好ましく、85〜90mol%がより好ましい。
前記カルシウムハイドロキシアパタイトの含有量が、85mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が充分でないことがあり、97mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、前記光触媒の分解対象物に対する吸着特性が低下することがある。
なお、前記アパタイトの前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析をすることにより測定することができる。
【0016】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としては、光触媒中心として機能し得る限り特に制限はなく、光触媒活性を有するものとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光触媒活性に優れる点で、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、鉄(Fe)、などから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。これらの中でも、特に前記光触媒活性(光触媒能)に優れる点で、チタン(Ti)が好ましい。
【0017】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記光触媒における全金属原子に対し、5〜15mol%が好ましく、8〜12mol%がより好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の含有量が、5mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が十分でないことがあり、15mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒の分解対象物に対する吸着特性や光触媒活性等が劣化することがある。
なお、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
【0018】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、前記カルシウムハイドロキシアパタイトの結晶構造を構成する金属原子の一部として該アパタイトの結晶構造中に取り込まれる(置換等される)ことによって、該アパタイトの結晶構造内に、光触媒機能を発揮し得る「光触媒性部分構造」が形成される。
このような光触媒性部分構造を有する前記カルシウムハイドロキシアパタイトは、光触媒活性を有し、また、アパタイト構造部分が吸着特性に優れ、光触媒活性を有する公知の金属酸化物よりも、前記有害成分(分解対象物)に対する吸着特性に優れるため、分解作用、抗菌作用、防汚作用、カビや細菌等の増殖阻止乃至抑制作用に優れる。
【0019】
前記光触媒の形態としては、特に制限はなく、その形状、大きさ等については適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、粉状、粒子状(粒状)、タブレット状、ロッド状、プレート状、ブロック状、シート状、フィルム状、などが挙げられる。これらの中でも、取扱いが容易な点で、粉状が好ましい。
なお、前記光触媒の同定及び形態等の観察は、例えば、TEM、XRD、XPS、FT−IR等により行うことができる。
【0020】
前記光触媒の光触媒活性の発現に必要な光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外光乃至可視光等の広帯域の光に対して吸収性を示し、光触媒活性を発現可能であるのが好ましい。
【0021】
前記光触媒の特性(光触媒活性)は、分解対象物の濃度、分解生成物の濃度等を測定することにより評価することができる。前記分解対象物が例えばアルデヒドガスである場合には、評価対象となる前記光触媒に対し、紫外線光を特定条件下で照射して、該アセトアルデヒドガスの濃度(ppm)及びその分解生成物である炭酸ガス濃度(ppm)を分析し、モニターすることにより、該光触媒の光触媒活性を評価することができる。
なお、前記分解対象物又は前記分解生成物がガスである場合には、例えば、アセトアルデヒドガス等である場合には、その濃度は、ガスクロマトグラフィー等により測定することができる。
【0022】
−使用態様等−
本発明の前記光触媒は、それ自体単独で使用してもよいし、他の物質等と併用してもよく、液に分散等させてスラリー状等として使用してもよい。前記スラリー状として使用する場合、その液としては、水乃至アルコール系溶媒が好ましく、このスラリーを光触媒含有スラリーとして好適に使用することができる。
また、前記光触媒は、それ自体単独で使用してもよいし、粉砕してから、他の組成物等に混合等して混合組成物として使用してもよいし、あるいは基材等に付着、塗布、蒸着等して膜化(表面被膜)して使用してもよい。なお、基材等に付着、塗布、蒸着等する場合には、コーティング液を好適に使用することができる。
【0023】
前記粉砕の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミルなどを用いて粉砕する方法、などが好適に挙げられる。
前記他の組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷用インク、などが挙げられる。
前記混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混練装置、攪拌装置などを用いた方法、などが挙げられる。
前記基材としては、特に制限はなく、その材質、形状、構造、厚みなどについては公知のものの中から適宜選択することができ、該材質としては、例えば、紙、合成紙、織布、不織布、皮革、木材、ガラス、金属、セラミックス、合成樹脂などが挙げられ、該形状としては、例えば、箔、フィルム、シート、板などが挙げられる。
前記付着の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、噴霧法、などが挙げられる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、グラビヤコート法、インクジェット法、ディップ法などが挙げられる。
前記蒸着の方法としては、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、などが挙げられる。
【0024】
前記コーティング液としては、本発明の前記光触媒を含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光触媒をイソプロピルアルコール(IPA)等に添加して得たアルコール溶液を、無機コーティング液材としての常温硬化型無機コーティング剤(日本山村硝子株式会社製、商品名S00の液材と商品名UTE01の液材を、10:1で混合したもの)などに添加し混合して得られたもの、などが好適に挙げられる。
【0025】
−用途等−
本発明の前記光触媒は、前記分解対象物に対する吸着特性に優れるため、各種の分解対象物に対する光触媒活性乃至分解対象物の分解能に優れ、該分解対象物を効率的に分解可能である。このため、該光触媒は、各種分野において好適に使用することができ、例えば、OA機器(パソコンの筐体、マウス、キーボード)、電子機器(電話機、コピー機、ファクシミリ、各種プリンター、デジタルカメラ、ビデオ、CD装置、DVD装置、エアコン、リモコン装置など)、電気製品(食器洗浄機、食器乾燥機、衣類乾燥機、洗濯機、空気清浄機、加湿器、扇風機、換気扇、掃除機、厨芥処理機など)、携帯情報端末(PDA、携帯電話など)、フィルター(気体用:空気清浄機、エアコン等に使用されるものなど、液体用:水耕栽培の液処理用など、固体用:土壌改良用など、カメラ用フィルターなど)、壁紙、食品容器(繰返し使用タイプ、使い捨てタイプなど)、医療機器・衛星用品(酸素吸入器のマスク部、包帯、マスク、防菌手袋など)、衣料等の繊維製品、入れ歯、内外装材(樹脂製、紙製、布製、セラッミク製、金属製など、風呂、プール、建材など、人間が使用する時には蛍光灯の光が照射され、人間が使用しない時には紫外光が照射されるような医療施設用、バイオ実験室用、クリーンベンチ用など)、乗り物(内装材、車両用後方確認ミラ−など)、吊り輪(電車、バスなど)、ハンドル(自転車、三輪車、自動二輪車、乗用車など)、サドル(自転車、三輪車、自動二輪車など)、靴(布製、樹脂製、人工皮革製、合成樹脂製など)、鞄(布製、樹脂製、人工皮革製、合成樹脂製など)、塗料(塗膜など)、汚水・排水処理材(例えば、多孔質シリカ中に該広帯域光吸収性光触媒を混入させたもの)、シート(土壌処理シートなど)、バイオチップの電極(有機色素との組合せによる)、鏡(浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡など)、レンズ(眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズ)、プリズム、ガラス(建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;冷凍食品陳列ケースのガラス、中華饅頭等の保温食品の陳列ケースのガラスなど)、ゴーグル(防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグルなど)、シールド(防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールドなど)、カバー(計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー)、レンズ(レーザー歯科治療器等の集束レンズなど)、カバー(車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、フィルム、シート、シール、ワッペンなど)、などに好適に使用可能である。これらの中でも、前記フィルターに特に好適に使用可能である。
【0026】
本発明の前記光触媒は、適宜選択した方法に従って製造することができるが、以下に説明する本発明の光触媒の製造方法により特に好適に製造することができる。
【0027】
(光触媒の製造方法)
本発明の光触媒の製造方法は、ドープ工程を少なくとも含み、好ましくは熱処理工程を含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
【0028】
<ドープ工程>
前記ドープ工程は、骨に含まれるアパタイト中に、光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープする工程である。
なお、前記骨、前記アパタイト、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子などの詳細については、本発明の上記光触媒の説明において、上述した通りであり、前記骨としては、家畜の骨が好適に挙げられ、前記アパタイトとしては、カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)が好適に挙げられ、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としては、チタン(Ti)が好適に挙げられる。
【0029】
前記ドープ工程におけるドープの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、置換、化学結合、吸着などが挙げられる。これらの中でも、反応の制御が容易であり、ドープされた後で前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が脱離等することがなく、前記光触媒中で安定に保持させることができる点で、置換が好ましい。
前記置換の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アパタイトとしての前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)における、カルシウム原子(Ca)の少なくとも一部を、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子により置換させる態様、などが好適に挙げられる。この態様の場合には、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、前記アパタイトに脱落不能に保持される点で有利である。
【0030】
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子による置換の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換、などが好適に挙げられる。該置換がイオン交換の場合には、置換効率に優れる点で有利である。
【0031】
前記ドープ工程における前記ドープの具体的な方法、即ち、前記アパタイト中への前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の具体的なドープ方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アパタイトを含む骨を、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子のイオンを含む水溶液中に浸漬すること(浸漬法)により行うのが好ましい。
なお、前記水溶液は、静置しておいてもよいが、攪拌した方が、前記置換が効率的に行われる点で好ましい。なお、該攪拌は、公知の装置、手段を用いて行うことができ、例えば、マグネティックスターラーを用いてもよいし、攪拌装置を用いてもよい。
前記攪拌の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がチタン(Ti)である場合、3〜5分間程度が好ましい。該チタン(Ti)イオンのイオン交換は、非常に高速であるため、5分間を超えても、それに見合う効果が得られないことがある。
【0032】
前記ドープの際の前記水溶液中での前記骨に含まれるアパタイトの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.3〜1.0質量%が好ましく、0.4〜0.6質量%がより好ましい。
前記アパタイトの濃度が、0.3質量%未満であると、光触媒活性が低下することがあり、1.0質量%を超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
【0033】
前記ドープの際の前記水溶液中での前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1×10−2M以下が好ましく、1×10−4〜1×10−2Mがより好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の濃度が、1×10−2Mを超えると、耐酸性の低いアパタイトが溶解し、前記光触媒の収率が低下することがある。一方、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の濃度が低すぎると、前記アパタイト中への前記光触媒を有するのに必要な金属原子のドープ量が低下することがある。
【0034】
前記ドープを行う反応系としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、液中、空気中、などで行うことができるが、液中で行うのが好ましい。
この場合、該液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水乃至水を主体にした液が好ましい。
なお、該液を収容する容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ラージスケールであれば混合器、攪拌器などが挙げられ、スモールスケールであればビーカーなどが好適に挙げられる。
【0035】
前記ドープの際の条件としては、特に制限はなく、温度、時間、圧力等については目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、通常、0〜100℃程度であり、室温(20〜30℃)が好ましい。
前記時間としては、特に制限はなく、材料の種類や量比に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、10秒〜30分間程度であり、1〜10分間がより好ましく、例えば、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がチタン(Ti)である場合、3〜5分間程度が好ましい。該チタン(Ti)イオンのイオン交換は、非常に高速であるため、5分間を超えても、それに見合う効果が得られないことがある。
前記圧力としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、大気圧であるが好ましい。
【0036】
<熱処理工程>
前記熱処理工程は、前記ドープ工程の後、アパタイトを含む骨を300度以上で熱処理する工程である。
前記熱処理工程においては、前記骨に含まれる前記アパタイト中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープさせた後(前記ドープ工程の後)、ドープが完了した該アパタイトを含む骨を300℃以上で熱処理する。該熱処理温度としては、500〜800℃が好ましく、600〜650℃がより好ましい。
前記熱処理の温度が、300℃未満であると、前記骨に含まれるコラーゲン等の燃焼がすることによる前記骨の多孔質化が不十分となり、分解対象物の吸着性に劣ることがあり、また、前記光触媒の光触媒活性が最大とならないことがある。
【0037】
前記熱処理の条件、例えば、時間、雰囲気、圧力、装置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記時間としては、前記ドープが完了したアパタイトの量等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、1時間以上が好ましく、1〜2時間がより好ましい。前記雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、大気雰囲気などが挙げられるが、大気雰囲気が好ましい。前記圧力としては、例えば、大気圧などが挙げられる。前記装置としては、公知の焼成装置を使用することができる。
【0038】
以上の工程により、前記ドープ工程の後、前記アパタイトを含む骨が300度以上で熱処理され、前記骨に含まれるコラーゲン等が燃焼して、前記骨が多孔質化される。その結果、前記光触媒における光触媒能(吸着特性、光触媒活性などを含む)をより高めることができる。
【0039】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、濾過工程、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
前記濾過工程は、前記浸漬法により、前記水溶液中で、前記骨に含まれるアパタイト中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープさせた後、前記水溶液中に存在する、ドープが完了した前記骨を濾過する工程である。
前記洗浄工程は、前記濾過工程の後で、濾過した前記骨(前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がドープされてなるアパタイトを含んでいるもの)を洗浄する工程である。
前記乾燥工程は、前記洗浄工程の後で、洗浄した前記骨(前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がドープされてなるアパタイトを含んでいるもの)を乾燥する工程である。該乾燥工程における乾燥の温度、時間等の条件については、前記骨を充分に乾燥させることができる限り特に制限はなく、例えば、前記温度としては、100℃程度であり、前記時間としては、1時間程度である。
【0040】
ここで、前記光触媒の製造方法の一例について説明する。前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により浸漬法で行う場合、まず、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としてのチタン(Ti)を含む硫酸チタン水溶液を調製する。ビーカーに前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)を含む骨粉(前記骨)を秤量し、そこに前記硫酸チタン水溶液を添加する(以上が、前記ドープ工程である)。この混合液をマグネティックスターラーで5分間攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い(以上が、前記濾過工程である)、純水で洗浄し(以上が前記洗浄工程である)、100℃のオーブンで1時間乾燥することにより(以上が前記乾燥工程である)、前記チタンをドープさせた前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)を含む骨粉が得られる。その後、電気炉で650℃にて1時間の熱処理(大気雰囲気)を行うと、前記骨粉におけるコラーゲン等が燃焼して、前記骨粉が多孔質化される(以上が前記熱処理工程である)。以上により、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としてのチタン(Ti)をドープさせた骨粉(前記光触媒活性を有するアパタイトを含む多孔質体)を少なくとも有する光触媒が製造される。
【0041】
(成形体)
本発明の成形体は、上述した本発明の光触媒を成形してなること以外には、特に制限はなく、その形状、構造、大きさ等については目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
前記成形の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、フィルム成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形、熱成形、流動成形、積層成形、あるいは、型を用いた圧縮成形、などが挙げられる。これらの中でも、該成形体をパソコンの筐体、キーボード、マウス、携帯情報端末、等の電子部品などとして得る場合には、フィルム成形、押出成形及び射出成形から選択されるいずれかであるのが好ましい。
前記成形体においては、前記光触媒を表面及び内部の少なくともいずれかに有してなる。
なお、前記成形体の具体例としては、上述した本発明の光触媒の用途として例示した各種製品等と同様のものが挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
−光触媒の製造−
図1に示すように、まず、カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)を主成分として含む牛の骨粉3gを秤量した。次いで、該骨粉を、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子であるチタン(Ti)を含む、1×10−2Mの硫酸チタン水溶液300mlに添加し、混合液を調製した。該混合液をマグネティックスターラーで5分間攪拌し、イオン交換を行った。以上が前記ドープ工程である。その後、該混合液の吸引濾過を行った。以上が前記濾過工程である。得られた濾過物を純水で洗浄した。以上が前記洗浄工程である。次に、該濾過物を100℃のオーブンで2時間乾燥した。以上が前記乾燥工程である。その後、電気炉で650℃にて1時間にわたって熱処理(大気雰囲気)を行った。該熱処理により、前記骨中のコラーゲン等が燃焼することにより空隙が生じ、前記骨粉が多孔質化された。以上が前記熱処理工程である。以上により、実施例1の光触媒(粉状)として、カルシウムハイドロキシアパタイト中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子であるチタンがドープされた牛の骨粉(光触媒活性を有するのに必要な金属原子(チタン)を含有してなるアパタイトを含む多孔質体)を得た。
【0045】
<光触媒活性の評価>
実施例1で得られた光触媒(以下、「骨粉TiHAP」と称することがある)、及び化学合成により製造された市販品の光触媒(カルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP;太平化学産業株式会社製、PHOTOHAP PCAP−100))のそれぞれの粉体を1gずつ秤量し、容量500mlの密閉容器に入れ、合成空気(酸素30容量%−窒素70容量%)で容器内部を置換した。次に、アセトアルデヒドガス12mlをシリンジで容器内部に注入し、アセトアルデヒドガスが光触媒粉体と吸着平衡に達するまで暗所で放置した(約2時間)。その後、暗所で1時間放置後、紫外光を照射し、その1時間後、2時間後、3時間後及び4時間後において、前記容器内部のガスをシリンジで抜き取り、ガスクロマトグラフィー(GC−390B、GLサイエンス社製)を用いて、アセトアルデヒドガスの分解により発生する炭酸ガス濃度を計測した。結果を図2に示す。なお、紫外光の照射にはブラックライト(1mW/cm)を用いた。
【0046】
<吸着能の評価>
前記<光触媒活性の評価>と同様にして、実施例1で得られた骨粉TiHAP、及び化学合成により製造された市販品のTiHAPのそれぞれの粉体を1gずつ秤量して、密閉容器に入れ、合成空気で容器内部を置換した後、アセトアルデヒドガス12mlをシリンジで容器内部に注入し、アセトアルデヒドガスが光触媒粉体と吸着平衡に達するまで暗所で放置した(約2時間)。その後、暗所で1時間放置後、紫外光を照射し、その1時間後、2時間後、3時間後、4時間後及び5時間後において、前記容器内部のガスをシリンジで抜き取り、ガスクロマトグラフィー(GC−390B、GLサイエンス社製)を用いて、アセトアルデヒドガスの濃度を計測した。結果を図3に示す。
【0047】
図2より、実施例1で得られた骨粉TiHAPの光触媒活性は、化学合成により得られたTiHAPの3分の1程度であったが、図3に示すように、骨粉TiHAPでは、化学合成によるTiHAPに比して、アセトアルデヒド濃度が低くなっており、アセトアルデヒドの初期吸着量は1.7倍であり、優れた吸着能を有していることが判った。
【0048】
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトを含む多孔質体を少なくとも有することを特徴とする光触媒。
(付記2) 多孔質体が骨である付記1に記載の光触媒。
(付記3) カルシウムハイドロキシアパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなる付記1から2のいずれかに記載の光触媒。
(付記4) 光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、及び鉄(Fe)から選択される少なくとも1種である付記3に記載の光触媒。
(付記5) 光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、チタン(Ti)である付記4に記載の光触媒。
(付記6) 付記1から5のいずれかに記載の光触媒を製造する方法であって、
骨に含まれるアパタイト中に、光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープするドープ工程を少なくとも含むことを特徴とする光触媒の製造方法。
(付記7) アパタイトが、カルシウムハイドロキシアパタイトである付記6に記載の光触媒の製造方法。
(付記8) 光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、及び鉄(Fe)から選択される少なくとも1種である付記6から7のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
(付記9) 光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、チタン(Ti)である付記8に記載の光触媒の製造方法。
(付記10) ドープ工程におけるドープが、アパタイト中の金属原子の少なくとも一部を、光触媒活性を有するのに必要な金属原子により置換させることにより行われる付記6から9のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
(付記11) 光触媒活性を有するのに必要な金属原子による置換が、イオン交換である付記10に記載の光触媒の製造方法。
(付記12) ドープ工程が、アパタイトを含む骨を、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を含む水溶液中に浸漬することにより行われる付記6から11のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
(付記13) ドープ工程の後、アパタイトを含む骨を300℃以上で熱処理する熱処理工程を含む付記6から12のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
(付記14) 付記1から5のいずれかに記載の光触媒を用いて形成されたことを特徴とする成形体。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の光触媒は、有機物等の吸着能に優れ、安価であるため、各種分野において好適に使用することができ、例えば、フィルター(気体用:空気清浄機、エアコン等に使用されるものなど、液体用:水耕栽培の液処理用など、固体用:土壌改良用など、カメラ用フィルターなど)、壁紙などに好適に使用可能である。
本発明の光触媒の製造方法は、光触媒を低コストで簡便に製造することができ、本発明の前記光触媒の製造方法に好適に使用可能である。
本発明の成形体は、本発明の前記光触媒を有しているため、本発明の前記光触媒について上述した用途と同様な用途に好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の光触媒の製造方法の一例における製造工程を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の光触媒及び市販品の光触媒の光触媒活性の評価結果を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の光触媒及び市販品の光触媒の吸着能の評価結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒活性を有するカルシウムハイドロキシアパタイトを含む多孔質体を少なくとも有することを特徴とする光触媒。
【請求項2】
多孔質体が骨である請求項1に記載の光触媒。
【請求項3】
カルシウムハイドロキシアパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなる請求項1から2のいずれかに記載の光触媒。
【請求項4】
光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、チタン(Ti)である請求項3に記載の光触媒。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光触媒を製造する方法であって、
骨に含まれるアパタイト中に、光触媒活性を有するのに必要な金属原子をドープするドープ工程を少なくとも含むことを特徴とする光触媒の製造方法。
【請求項6】
ドープ工程におけるドープが、アパタイト中の金属原子の少なくとも一部を、光触媒活性を有するのに必要な金属原子により置換させることにより行われる請求項5に記載の光触媒の製造方法。
【請求項7】
光触媒活性を有するのに必要な金属原子による置換が、イオン交換である請求項6に記載の光触媒の製造方法。
【請求項8】
ドープ工程が、アパタイトを含む骨を、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を含む水溶液中に浸漬することにより行われる請求項5から7のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
【請求項9】
ドープ工程の後、アパタイトを含む骨を300℃以上で熱処理する熱処理工程を含む請求項5から8のいずれかに記載の光触媒の製造方法。
【請求項10】
請求項1から4のいずれかに記載の光触媒を用いて形成されたことを特徴とする成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−252983(P2007−252983A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77260(P2006−77260)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】