説明

光触媒担持ボードを用いた浄化器具

【課題】光触媒担持ボードの機能を更に有効に発揮することを可能とし、室内等に設置する際に利便性を向上させた浄化器具を提供する。
【解決手段】浄化器具1aのハウジングは、本体部2と、通気用蓋部3と、取り付け用蓋部4と、を備える。本体部2は、空気の出入りを可能とする通気ハウジング面5a、5b、5cを備え、通気用蓋部3は通気ハウジング面6を備えている。本体部2は、内部が空洞部であり、この空洞部内には3枚の光触媒担持ボードが正三角柱を構成するように収容可能である。取り付け用蓋部4には、ねじが貫通することができる貫通孔8が形成され、通気ハウジング面5には、多数の通気口と、集光機能を有するレンズとが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の浄化や脱臭などの用途に好適な浄化器具に係り、より詳しくは、光触媒粒子、主として酸化チタンの微粒子を担持した光触媒担持ボードを用いた浄化器具に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒は、光の照射により触媒作用をもたらし、有機物の酸化や微生物の増殖抑制及び死滅等の顕著な効果を有することが知られている。このような光触媒を用いて環境大気中の汚染物質を除去する技術が、例えば下記特許文献1(特開平6−315614号公報)に記載されている。同公報に記載された技術では、二酸化チタン又は二酸化チタンと活性炭との混合物を主成分とする光触媒をフッ素樹脂などを用いて固定することによりシート状又はパネル状に形成された浄化材が構成される。
【0003】
この浄化材の設置場所の例として、ビルの外壁等の屋外に設置する場合だけではなく、屋内に設置する例が上記公報の段落[0026]に記載されている。更に図9に示すように、適宜の架台16を専用に設けて浄化材13を支持することによって、既存の建造物や構造物を利用することなく、浄化材を支持する例も記載されている。
【0004】
しかし、光触媒を担持した浄化材は、表面が白亜化するというチョーキングの問題があり、シート状又はパネル状に形成された浄化材は、空気との接触面を確保するためには有効面積が少なく光触媒の機能を完全に発揮させる上で難点があった。例えば、シート状の浄化材を壁面に取り付けた場合、室内空間に向かう面は光が照射され、空気が流れるため、脱臭等の効果を発揮することができるが、その裏面は、光が当たらず、通気性も良くないため有効利用ができないことになる。更に、浄化材を室内に設置する際には、24時間利用の光源を確保する必要性、設置場所の確保といった様々な課題に直面する。
【特許文献1】特開平6−315614号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、光触媒担持ボードの機能を更に有効に発揮することを可能とし、室内等に設置する際に利便性を向上させた浄化器具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、空気を浄化するための浄化器具であって、複数の通気口が形成された少なくとも1つの通気ハウジング面と、該通気ハウジング面によって画定された空洞部とを有するハウジングと、複数の光触媒担持ボードであって、該光触媒担持ボードの各々は、その両面が光触媒機能を有すると共に、前記通気口から前記空洞部内に入ってきた空気が該光触媒担持ボードの両面に沿って流れることを可能にするように前記空洞部内に配置されている、前記複数の光触媒担持ボードと、を備えて構成したものである。
【0007】
本発明によれば、通気ハウジングの通気口から空気が流入し、該光触媒担持ボードの両面に沿って流れた後、通気ハウジングの通気口を通して空気が流出する。また、通気口は光を入射することも可能なので、光触媒機能を有する光触媒担持ボードの両面に亘って空気が流れると共に、外光が照射される。従って、光触媒担持ボードを単に壁面に取り付けた場合と比べて、光触媒担持ボードの機能を有効に発揮させることができる。更に、光触媒担持ボードにチョーキングが発生したとしても、ボードはハウジングによって囲まれているため室内の美観等を損なうことがない。
【0008】
一例として、前記ハウジングは、頂部と、本体部と、底部と、を有し、少なくとも該本体部及び該底部の表面の少なくとも一部分が前記通気ハウジング面として構成されていてもよい。好ましい態様では、少なくとも3枚の前記光触媒担持ボードが、多角柱の側面を各々形成するように配置されている。例えば、光触媒担持ボードが3枚用意された場合、この多角柱は正三角柱となる。より好ましくは、光触媒担持ボードは、該光触媒担持ボードの少なくとも一面が前記本体部の通気ハウジング面と対面するように配置され、該光触媒担持ボードが前記底部の通気ハウジング面に対し略垂直となるように、配置されている。この配置によって、浄化器具を頂部から吊るしたり、天井に取り付けた場合、上昇気流などで底部から流入した空気が光触媒担持ボードの両面に沿って流れ、本体部の通気ハウジング面から出ることが可能となる。勿論、気流の流れによっては、本体部の通気ハウジング面から入った空気が底部の通気ハウジングから出ることもあり得る。いずれにしても光触媒担持ボードの両面を空気が流れる構成とすることができる。
【0009】
一態様では、通気ハウジング面は、網状部材を用いて構成されている。網状部材として例えば、多数の網目開口部を有する金網が挙げられる。好ましい網状部材は、網目部分に形成された、凸レンズ及び通気口を有する。この凸レンズの作用によって、外光が浄化器具内部の光触媒担持ボードに集光されるため、ボードの光触媒機能を更に向上させることができる。
【0010】
別の態様では、少なくとも前記本体部の前記通気ハウジング面が、格子を用いて構成されている。例えば、格子は複数の透明な柱状部材から構成されている。隣接する2つの柱状部材の間に空隙ができるため、該空隙が通気口として機能し、良好な通気性をもたらし、更に柱状部材は透明なので、採光の面でも有利となる。好ましくは、前記柱状部材は、前記ハウジングの外側方向に凸面が形成されている。これによって、光触媒担持ボードへ外光が集光されるので、光触媒機能を一段と向上させることができる。
【0011】
本発明の更なる態様では、前記頂部及び前記底部の少なくともいずれか一方が、前記本体部の開口部を閉じるための脱着可能な蓋部として構成されている。これによって、開口部を通して前記光触媒担持ボードを交換することが可能となる。好ましくは、前記本体部は、前記光触媒担持ボードを摺動可能に保持するためのボード取り付け手段を備える。更に好ましくは、前記蓋部を取り外したとき、前記光触媒担持ボードを、前記ボード取り付け手段に沿って摺動させることにより、前記本体部の前記開口部から取り出すことが可能となる。これによって、前記光触媒担持ボードの交換がきわめて容易となる。
【0012】
本発明の一態様では、前記蓋部は、該蓋部を壁面に取り付けるための取り付け手段を有する。従って、蓋部を壁面に取り付けた状態で、光触媒担持ボードを収容した本体部を該蓋部に取り付けることによって、浄化器具を簡単に壁面に取り付けることができる。また、光触媒担持ボードの交換も容易となる。例えば、取り付け手段は、前記壁面にねじ込み可能なねじを貫通させるための貫通孔、又は接着手段である。
【0013】
本発明の別の態様では、前記蓋部は、前記本体部に脱着可能な天板部と、該天板部の中央部から延在する支柱部と、該支柱部の上端部に取り付けられた取り付け用ディスクと、を有し、該取り付け用ディスクが前記取り付け手段を備える。従って、蓋部を壁面に取り付けた状態で、光触媒担持ボードを収容した本体部を該蓋部に取り付けることにより、或いは、蓋部及び本体部が連結された状態でも、浄化器具を簡単に壁面に取り付けることができる。また、光触媒担持ボードの交換も容易となる。好ましくは、前記天板部には、通気口が形成されている。これにより通気性を更に向上させることができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記空洞部内に発光手段を備える。更に好ましくは、前記発光手段は、前記光触媒担持ボードの前記通気ハウジング面に対面していない面に光を照射するように配置されている。複数の光触媒担持ボードを多角柱に配置する場合には、該多角柱の内部に発光手段を備える。従って、光触媒担持ボードの光触媒機能をより有効に活用することができる。省エネルギーの観点で前記発光手段の電源として太陽電池パネルを用いるのが好ましい。
【0015】
上記各態様において、前記光触媒担持ボードは、波状に形成されているのが好ましい。この波状形状により空気との接触面積が増加するので、脱臭効果等の光触媒機能を更に向上させることができる。
【0016】
本発明の好ましい一例としての設置方法によれば、本発明の浄化器具は、前記頂部が前記蓋部として構成されており、前記取り付け手段を用いて室内の天井に取り付けられる。
本発明の別の実施態様によれば、空気を浄化するため光触媒担持ボードを収容することが可能な浄化器具が提供される。該浄化器具は、複数の通気口が形成された少なくとも1つの通気ハウジング面と、該通気ハウジング面によって画定された空洞部とを有するハウジングを備え、前記ハウジングは、複数の光触媒担持ボードを収容することを可能にし、該光触媒担持ボードの各々は、その両面が光触媒機能を有すると共に、前記ハウジング内に収容されたとき、前記通気口から前記空洞部内に入ってきた空気が該光触媒担持ボードの両面に沿って流れることを可能にするように前記空洞部内に配置される。
【0017】
本発明のこの実施態様は、上述した各態様に係る発明の特徴を備えることができる。例えば、前記ハウジングは、頂部と、本体部と、底部と、を有し、少なくとも該本体部及び該底部の表面の少なくとも一部分が前記通気ハウジング面として構成され、少なくとも3枚の前記光触媒担持ボードが多角柱の側面を各々形成するように該光触媒担持ボードを配置可能である。また、前記通気ハウジング面は、集光機能を更に有する。更に、前記頂部及び前記底部の少なくともいずれか一方が、前記本体部の開口部を閉じるための脱着可能な蓋部として構成されている。前記本体部は、前記光触媒担持ボードを摺動可能に保持するためのボード取り付け手段を備える。前記蓋部は、該蓋部を壁面に取り付けるための取り付け手段を有する。前記空洞部内に発光手段が備えられる。
【実施例】
【0018】
[浄化器具]
以下、本発明の浄化器具の第1乃至第4の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
(浄化器具の第1実施例)
図1には、本発明の第1の実施例に係る浄化器具1aの分解斜視図が示されている。
【0019】
図1に示されるように、浄化器具1aのハウジングは、本体部2と、通気用蓋部3と、取り付け用蓋部4と、を備えている。本体部2は、第1のリング部9と、第2のリング部12と、該第1のリング部9と該第2のリング部12とを連結するように等間隔に配置された3つの柱部7a、7b、7cと、2つの隣接する柱部の間に各々配置された、空気の出入りを可能とする通気ハウジング面5a、5b、5cと、を備えている。第1のリング部9の外側外周面には、ねじ部10が形成され、第2のリング部12の外側外周面には、ねじ部13が形成されている。本体部2は、内部が空洞部であり、該空洞部は、通気ハウジング面5a、5b、5cと、柱部7a、7b、7cとによって画定されている。後述されるように、この空洞部内に光触媒担持ボードを収容することができる。
【0020】
通気用蓋部3は、平面部及び該平面面から延在する側壁とを有し、該平面部には、通気ハウジング面6が形成され、側壁の内側面には、第1のリング部9のねじ部10内にねじ込むことが可能なねじ部11が形成されている。
【0021】
取り付け用蓋部4は、平面部及び該平面面から延在する側壁とを有し、該平面部には、3個の貫通孔8が形成され、側壁の内側面には、第2のリング部12のねじ部13内にねじ込むことが可能なねじ部(図1には図示せず。図10の25)が形成されている。
【0022】
通気用蓋部3を本体部2にねじ込み、取り付け用蓋部3を本体部2にねじ込むことによって、図2に示すように浄化器具1aが組み立てられる。なお、図3には、浄化器具1aを、通気蓋部側から見た底面図が示されている。
【0023】
図4には、浄化器具1aの内部に光触媒担持ボードを取り付けるためのボード取り付け機構20(図の例では3個の20a、20b、20cが設けられている)の一例が示されている。ボード取り付け機構20は、各々、合同に形成された柱状ブロック21a、21bを備えており、ブロック21a、21bには、各々、その長さ方向に形成されたスリット23a、23bが形成されている。また、ブロック21aとブロック21bとはスリット23a、bが所定の角度を向くように連結部22を介して背中合わせに連結されている。ボード取り付け機構20a、20b、20cは、図4に示すように、各々、柱部7a、7b、7cに図示しない連結手段(例えば柱部側からねじ込まれたボルト、又は、連結部22と柱部の内側面との間の接着剤など)によって連結されている。なお、ボード取り付け機構20のブロック、連結手段は一体に形成されていてもよい。
【0024】
図5に示されるように、3枚の光触媒担持ボード30a、30b及び30cを、その両端部を対向するスリット内に挿入することによって、本体部2の空洞部内に配置することができる。本実施例に係る光触媒担持ボード30a、30b及び30cは、図6に示されるように、各々同一サイズの平坦な矩形状に形成されており、両面に光触媒機能を有する。光触媒担持ボード30a、30b及び30cは、ボード取り付け機構20のスリットの端部から挿入すると、図6の矢印に示されるようにスリットに沿って移動可能となるため、容易に本体部2内に配置することができる。例えば、図7に示されるように、通気用蓋部3を本体部2にねじ込み、取り付け用蓋部4を取り付けていない状態で、第2のリング部12の開放口から光触媒担持ボード30を、対向するスリット間に各々挿入し、下方へと移動させることにより、光触媒担持ボードの最下端が、通気用蓋部3に当接し、取り付け完了となる。これによって、図7に示すように3枚の光触媒担持ボードを本体部2内に容易に取り付けることができる。取り付けられた3枚の光触媒担持ボードは、全体として正三角柱を形成し、該正三角柱の内部は、底部の通気ハウジング面6に対して開放され、正三角柱の各側面は、側部の通気ハウジング面5a、5b、5cに対面している。また、光触媒担持ボードの上端は、通気ハウジング面5の上端よりも低い位置にあり、本体部2の上方で空気の流れを可能にするスペースが存在していることが理解できる。
【0025】
光触媒担持ボードを取り外すときも、単に、光触媒担持ボードを持ち上げるだけで簡単に取り外すことができる。従って、光触媒担持ボードの交換の作業を非常に簡単に行うことができる。
【0026】
なお、通気ハウジング面5a、5b、5cは、図8に示されるように、多数の開口部を有する金網31aを、隣接する柱部5の間、並びに、第1及び第2のリング部9、12の間を張るように(接着剤やねじ等により)取り付けることによって、形成することができる。通気用蓋部3の通気ハウジング面6に関しても同様に、図9に示されるように、金網32の周辺部を通気用蓋部3の底縁平面24に取り付けることによって、容易に形成することができる。
【0027】
本実施例に係る浄化器具1aを設置する際には、図10に示されるように、取り付け用蓋部4を、例えば天井34等に押し当て、木ねじ33を貫通孔8を通して天井にねじ込むことによって、取り付け用蓋部4を天井に固定する。この状態で、下方から図7に示す光触媒担持ボードを収用した本体部2を押し当てて、そのねじ部13を蓋部4のねじ部25内へとねじ込むことによって、浄化器具1aを天井34に容易に設置することができる。
【0028】
図11には、本実施例に係る浄化器具1aを天井34に設置した例が示されている。白抜き矢印は、主要な空気の流れを示しており、室内の上昇気流が底部の通気ハウジング面6を通って、浄化器具1a内に入り込み、側部の通気ハウジング面5a、5b、5cから出て行く状態が示されている。
【0029】
より詳しくは、図12に示されるように、底部の通気ハウジング面6を通った空気流れA1、A2、A3、A4、A5、A6のうち空気流れA1、A2、A3は、3枚の光触媒担持ボード30が形成する正三角柱の内部を通過する。空気流れA1は取り付け用蓋部4の内壁面に当たって側方への空気流れA10、A11となって、通気ハウジング面5から出て行き、空気流れA2、A3は、光触媒担持ボード30の裏面(正三角柱の内部側の面)に沿って進行し、取り付け用蓋部4の内壁面により側方への空気流れA10、A11となって、通気ハウジング面5から出て行く。また、空気流れA4、A5は、3枚の光触媒担持ボード30が形成する正三角柱の外部を通過し、光触媒担持ボード30の表面(正三角柱の外部側の面)に沿って進行し、側方への空気流れA12、A13となって、通気ハウジング面5から出て行く。また、通気ハウジング面5から入った空気流れA6、A7は、光触媒担持ボード30が形成する正三角柱の外部に当たって流れを反転させ、再び通気ハウジング面5から出て行く。
【0030】
図11、12では、上昇気流が存在する場合の空気の流れを示したが、下降気流など他の気流が存在する状況では、図の例とは異なる流れとなることは当然である。いずれにしても、本実施例に係る浄化器具1aによれば、3枚の光触媒担持ボード30の表面及び裏面の両方に沿って空気の流れが円滑に発生する。更に通気ハウジング面は、多数の開口を有する金網でできているため、空気のみならず、外光を浄化器具内部に取り込むことができる。例えば、側方の通気ハウジング面5から入射した光は、光触媒担持ボード30a、b、cの各表面に照射し、底部の通気ハウジング面から入射した光は、光触媒担持ボード30a、b、cの各裏面に照射する。従って、本実施例に係る浄化器具1aを使用することにより、3枚の光触媒担持ボード30の光触媒機能を有する表面及び裏面を有効に活用することが可能となり、室内空気の脱臭を始めとした浄化作用を顕著に促進させることができる。
【0031】
図13には、浄化器具1aの通気ハウジング面で用いられる金網において光収集機能を向上させた金網35の別の構成例が示されている。金網35は、通気用の開口部37と、凸レンズ36が埋め込まれた集光部36と、を交互に配置して構成されている。集光部36の作用により外光が光触媒担持ボードに集光されるためボードの光触媒機能を更に向上させることができる。
【0032】
また、図19には、別の例としての光触媒担持ボード60a、60b、60cが示されている。光触媒担持ボード60は、高さ方向が直線状に形成され、高さ方向に垂直な幅方向に波状に形成されている。光触媒担持ボード60a、60b、60cを平坦な光触媒担持ボード30a、30b、30cの代わりに挿入することによって、光触媒担持ボードの表面積を増加させ、空気との接触面積を増やして浄化作用をより効果的にもたらすことができる。
(浄化器具の第2実施例)
図14には、本発明の第2の実施例に係る浄化器具1bが示されている。なお、第1の実施例の浄化器具1aと同一の構成要件については同一の符合を附して詳細な説明を省略する。
【0033】
第2の実施例に係る浄化器具1bは、第1の実施例に係る浄化器具1aの取り付け用蓋部4の代わりに、図14に示す取り付け用蓋部40を用いたものである。本体部2及び通気用蓋部3、光触媒担持ボードの取り付け機構などは、第1の実施例と同様である。
【0034】
取り付け用蓋部40は、本体部2にねじ込み可能な天板部44と、該天板部44の中央部から延在する支柱部41と、該支柱部41の上端部に取り付けられた取り付け用ディスク42と、を備えている。天板部44には、通気用の長孔45が形成され、取り付け用ディスク42には、貫通孔43が形成されている。長45の分布状態は、図15に詳しく示されている。長孔45と支柱部41との間の壁面にも孔を形成することもできる。
【0035】
浄化器具1bを設置する際には、第1の実施例に関する図10に参照されるように、取り付け用ディスク42を例えば天井等に押し当て、木ねじを貫通孔43を通して天井にねじ込むことにより、取り付け用蓋部40を天井に固定しておき、この状態で該取り付け用蓋部40に本体部2をねじ込んでもよい。しかし、第2の実施例では、貫通孔43の下方にスペースが存在するため、図14に示されるように浄化器具1bを組み立てた状態で取り付け用ディスク42を天井等に押し当て、木ねじを貫通孔43を通して天井にねじ込むことにより浄化器具1bを迅速に設置することができる。
【0036】
第1の実施例の浄化器具では、取り付け用蓋部には孔が無いため、底部又は側部から入ってきた空気は、側部から出て行くしかなかった。これに対して、第2の実施例の浄化器具1bは、天井などに設置した状態でも、天板部44とディスク42との間にスペースが存在し、長孔45から空気が出ることを可能にしているため、浄化器具内部への空気の出入りがよりスムーズになり、光触媒担持ボードによる浄化機能を更に向上させることができる。
(浄化器具の第3実施例)
図16には、本発明の第3の実施例に係る浄化器具1cが示されている。なお、第1及び第2の実施例の浄化器具1a、1bと同一の構成要件については同一の符合を附して詳細な説明を省略する。
【0037】
第3の実施例に係る浄化器具1cは、第1及び第2の実施例のように金網を用いた通気ハウジング面を有する本体部2の代わりに、図16に示されるように、複数の透明な柱状部材51を配列して通気ハウジング面を構成した本体部50を用いている。第1のリング部9、通気用蓋部3、第2のリング部12は、第1及び第2の実施例のものと同様であるが、柱状部材51の上端及び下端は、各々、第2のリング部12及び第1のリング部9に固定連結されている。取り付け用蓋部に関しては、第1の実施例の蓋部4及び第2の実施例の蓋部40のいずれを用いてもよい。ボード取り付け機構20に関しては、選択された幾つかの柱状部材51の内側面に取り付けても、或いは、第1の実施例のように、柱部3を設け、この柱部に取り付けてもよい。なお、柱状部材51は、例えば透明なアクリル等から構成することができる。
【0038】
複数の柱状部材51により構成された本体部50は、隣接する柱状部材間の空隙により、通気性が格段に向上している。更に、柱状部材51は、図17(a)に示されるように、凸面と平面とを有する半円柱として形成され、図16に示すように凸面が外側に向くように配置されている。従って、図17(b)に示すように、外光は、凸面の作用により集光され、本体部50の内部に配置された光触媒担持ボード30に届くことになる。これによって、第3の実施例の浄化器具1cによれば、通気性のみならず、集光性を更に向上させて、光触媒による浄化作用を大幅に増加させることができる。
(浄化器具の第4実施例)
上記第1ないし第3の実施例では、光触媒担持ボードを内部に収用した際に、光触媒担持ボードの表面が側部の通気ハウジング面に対向するようにしたため、その裏面側には、底部の通気ハウジングから外光が照射される。しかし、光触媒担持ボードの裏面側に、より強い光を照射して、光触媒機能の向上を促進させるため、浄化器具の第4の実施例では、図18に示すように、3枚の光触媒担持ボード30a、30b、30cからなる正三角柱の内部に照明手段55と、該照明手段55にワイヤ57を介して接続された電源56と、を設けたことを特徴としている。この照明手段55として、例えばLED又はムギ球などを用いることができる。照明手段55から発光される光により光触媒担持ボードの裏面側にも十分な光が届き、よって光触媒担持ボードの表裏両面を有効利用することで浄化作用の更なる向上を図ることができる。
【0039】
電源56として、乾電池、水銀電池などの電池の他、家庭用電源として用いられる交流コンセントからAC−DCコンバータを介して照明手段55に電力を供給するようにしてもよい。電池を使用する場合、例えば取り付け用蓋部4、40の裏側など、通気や採光の妨害にならない箇所に取り付けるのが好ましい。
【0040】
電源56の好ましい例として太陽電池パネルを使用することができる。この場合、太陽電池パネルは、浄化器具の外部に配置されてもよく、或いは、蓋部3、4、40、柱部7などの表面に取り付けられてもよい。
【0041】
以上が、本発明の浄化器具の各実施例であるが、本発明の浄化器具は、上記例にのみ限定されるものではない。例えば、3枚の光触媒担持ボードを正三角柱の形態に組み立てて本体部内に収容したが、本体部内に入ってきた空気が該光触媒担持ボードの両面に沿って流れることを可能にする限り、任意枚数の光触媒担持ボードを任意の形態に組み立てることができる。例えば、四角柱、五角柱などの多角柱に構成してもよい。また、図25に示すように、複数の光触媒担持ボードをジグザグの形態に配置することもできる。図25の浄化器具の外部にブラックライト55’を配置することにより、浄化器具の内部の光触媒担持ボードを照明するようにしてもよい。なお、ブラックライト55’を複数用意し、複数の方向から光触媒担持ボードを照明するようにしてもよい。
【0042】
また、蓋部3、4、40は、本体部2、50にねじ込み可能としたが、バヨネット等、他の係合手段で取り付けられるようにしてもよい。なお、通気用蓋部3を本体部2に脱着可能としたが、取り付け用蓋部が脱着可能であれば、通気用蓋部3が本体部2に固定され、又は、一体に形成されていてもよい。
【0043】
また、上記例では、取り付け用蓋部を壁面に取り付ける際に、木ねじ33を用いたが、取り付け用蓋部4又はディスク42と壁面との接触面に接着剤、両面テープ、マジックテープ(登録商標)等を用いることもできる。
【0044】
図14の実施例では、浄化器具を設置するため天板部44から延在するディスク44を用いたが、天板部44にフック、紐、チェーンなどを取り付けて、浄化器具を吊るすようにしてもよい。また、上記実施例では、浄化器具を天井に取り付ける例を示したが、それ以外の箇所、例えば机の上や、天井以外の壁等に取り付けることも可能である。また、取り付け用蓋部が上側となる配置だけに限定されず、取り付け用蓋部を下側に、通気用蓋部を上側に配置する態様もあり得る。更には、浄化器具を水平、斜めに置く配置もあり得る。更に、浄化器具を固定して取り付ける態様だけでなく、浄化器具を固定しないで机上等に単に置くだけの態様も考えられる。
【0045】
光触媒担持ボードの形状も矩形に限られず、矩形以外の多角形、円形、楕円形等、他の形態に作成してもよい。また、図19に光担持ボードを波状に構成する例を示したが、一方向に波状だけではなく、ボードの表面積を増加させるため、高さ及び幅の両方向に波状に形成したり、表面に凹凸やしわ等を形成することも考えられる。
【0046】
また、上記各実施例では、外枠を持っていない光触媒担持ボードを示したが、後述されるように外枠を有する光触媒担持ボードを用いることもできる。
その他、本体部や蓋部の形状、サイズ比率などは、光触媒担持ボードのサイズ等に合わせて任意好適に変更可能である。
[光触媒担持ボード]
以下、図20乃至23に基づいて、本発明の上記実施例に係る浄化器具で用いることが可能な光触媒担時ボードの実施例1、2を詳細に説明する。
(光担持ボードの実施例1)
図20は実施例1に係る光触媒担時ボード作製に使用するエキスパンドメタルの部分拡大図付斜視図であり、図21は混合粉末を充填したエキスパンドメタルにゴム製スポンジシート及びゴムシートを重ね、金属製の上下加圧用押し型により加圧成形している状態を示す概略断面図であり、図22は実施例1に係る光触媒担時ボードの完成品の部分拡大図付一部切欠斜視図であり、図23は実施例1に係る光触媒担時ボードの完成品の断面図である。
(混合粉末の作製)
アナターゼ型酸化チタン粉末90g(テイカ株式会社製、品番;AMT100、同社のカタログによる仕様:結晶形;アナタース、比表面積;260m/g、平均粒子径;6nm)とフィブリル化可能なPTFE粉末10g(ダイキン工業株式会社製、品番;ファインパウダーF104)とを、混合機(SUNBEAM−OSTER社製、PHOENIXBLENDER‐KB‐1)で混合した粉末を50℃の恒温下において、回転数16800rpmで2分間攪拌しての混合粉末Aを作製した。
(光触媒担持ボード未焼成品の作製)
図20に示すように、厚み1.55mm、1つの孔部の面積15mmのアルミニウム製エキスパンドメタルE(関西鉄工株式会社製、カンテツエキスパンドメタル4mm(メッシュ短目方向の中心間距離)×8mm(メッシュ長目方向の中心間距離)×0.8mm(板厚)×0.8mm(刻み巾))に、図21に示すように、上記の混合粉末Aを、前記エキスパンドメタルEの孔部eが閉塞するように充填する。そして、少なくともエキスパンドメタルEにおける混合粉末Aを充填した部分e’に、上下から厚み2mmのゴム製スポンジシートSを重ね、さらにその上下両外側に厚み1mmのゴムシートGを重ね、さらにその上下両外側から金属製の上下加圧用押し型Pにより50kg/cmで加圧成形した。なお、混合粉末Aを使用して作製した光触媒担持ボード未焼成品をボードAと称する。ここで作製したボードAを水槽に浸漬したところ、水槽は即座に白濁し酸化チタン粒子が流出した。
(光触媒担持ボードの作製)
そこで、上記ボードAを、PTFEの融点を少し超える370℃に加熱された電気炉で10分間加熱処理を行って焼成し、焼成後の該ボードAを、外法11cm、内法10cm四方のステンレス製の補強枠体Fに挟持されるように嵌め込んで光触媒担持ボードLの完成品を得た。この完成品を図22及び図23に示す。前記補強枠体Fの内側面にはボードAが狭持できる内溝fが形成されている。外側面には他の補強枠体と接合可能な凹凸f’が形成されていて、タイルを敷き詰めるように平面的に連結したり、立方体形状に立体的に連結して組み立てることができるようになっている。なお、混合粉末Aを使用して作製した光触媒担持ボード完成品をボードAHと称する。このボードAHを水槽に浸漬しても水槽は白濁しなかった。
【0047】
なお、本実施例の製造工程のフローチャートを図24に示す。
(実施例2)
(混合粉末の作製)
アナターゼ型酸化チタン粉末80g(テイカ株式会社製、品番;AMT100、同社のカタログによる仕様:結晶形;アナタース、比表面積;260m/g、平均粒子径;6nm)とフィブリル化可能なPTFE粉末20g(ダイキン工業株式会社製、品番;ファインパウダーF104)とを、混合機(SUNBEAM−OSTER社製、PHOENIXBLENDER‐KB‐1)で混合した粉末を50℃の恒温下において、回転数16800rpmで2分間攪拌しての混合粉末Bを作製した。
(光触媒担持ボード未焼成品の作製)
厚み1.55mm、1つの開口部の面積15mmのアルミニウム製エキスパンドメタル(関西鉄工株式会社製、カンテツエキスパンドメタル4mm(メッシュ短目方向の中心間距離)×8mm(メッシュ長目方向の中心間距離)×0.8mm(板厚)×0.8mm(刻み巾))に、上記の混合粉末Bを前記エキスパンドメタルの孔部が閉塞するように充填する。そして、少なくともエキスパンドメタルにおける混合粉末Bを充填した部分に、上下から厚み2mmのゴム製スポンジシートを重ね、さらにその上下両外側に厚み1mmのゴムシートを重ね、さらにその上下両外側に金属製の上下加圧用押し型により50kg/cmで加圧成形した。なお、混合粉末Bを使用して作製した光触媒担持ボード未焼成品をボードBと称する。ここで作製したボードBを水槽に浸漬したところ、水槽は即座に白濁し酸化チタン粒子が流出した。
(光触媒担持ボードの作製)
そこで、上記ボードBを、PTFEの融点を少し超える370℃に加熱された電気炉で10分間加熱処理を行って焼成し、焼成後のボードBを、外法11cm、内法10cm四方のステンレス製の補強枠体に挟持されるように嵌め込んで光触媒担持ボードの完成品を得た。前記補強枠体の内側面にはボードBが狭持できる溝が形成されている。外側面には他の補強枠体と接合可能な凹凸が形成されていて、タイルを敷き詰めるように平面的に連結したり、立方体形状に立体的に連結して組み立てることができるようになっている。なお、混合粉末Bを使用して作製した光触媒担持ボード完成品をボードBHと称する。このボードBHを水槽に浸漬しても水槽は白濁しなかった。
[比較例1]
上記実施例1は、酸化チタン粉末90g、PTFE粉末10gを混合して光触媒担持ボードを作製したが、本比較例1は、酸化チタン粉末60g、PTFE粉末40gに変更して光触媒担持ボードを作製したものである。
【0048】
すなわち、酸化チタン粉末60g(テイカ株式会社製、品番;AMT100、同社のカタログによる仕様:結晶形;アナタース、比表面積;260m/g、平均粒子径;6nm)とフィブリル化可能なPTFE粉末40g(ダイキン工業株式会社製、品番;ファインパウダーF104)とを使用し、実施例1に示す混合粉末の作製と同様の作製方法により混合粉末Cを作製する。この混合粉末Cを使用して、実施例1に示す光触媒担持ボード未焼成品の作製と同様の作製方法により光触媒担持ボード未焼成品を作製し、これをボードCと称する。そして、このボードCを使用し、実施例1に示す光触媒担持ボードの作製と同様の作製方法により光触媒担持ボードを作製し、これをボードCHと称する。
[比較例2]
上記実施例1は、酸化チタン粉末90g、PTFE粉末10gを混合して光触媒担持ボードを作製したが、本比較例2は、酸化チタン粉末30g、PTFE粉末70gに変更して光触媒担持ボードを作製したものである。
【0049】
すなわち、酸化チタン粉末30g(テイカ株式会社製、品番;AMT100、同社のカタログによる仕様:結晶形;アナタース、比表面積;260m/g、平均粒子径;6nm)とフィブリル化可能なPTFE粉末70g(ダイキン工業株式会社製、品番;ファインパウダーF104)とを使用し、実施例1に示す混合粉末の作製と同様の作製方法により混合粉末Cを作製する。この混合粉末Cを使用して、実施例1に示す光触媒担持ボード未焼成品の作製と同様の作製方法により光触媒担持ボード未焼成品を作製し、これをボードDと称する。そして、このボードDを使用し、実施例1に示す光触媒担持ボードの作製と同様の作製方法により光触媒担持ボードを作製し、これをボードDHと称する。
【0050】
上記の実施例により作製した混合粉末A及び混合粉末Bと、比較例により作製した混合粉末C及び混合粉末Dの各成分の重量を表1に示す。
【0051】
【表1】



【0052】
[比較試験]
上記実施例におけるボードAH及びボードBH、比較例におけるボードCH及びボードDHに対して、以下のように空気中及び水中においてアンモニアが中和するに至る時間を測定する試験を行い、実施例におけるボードAH及びボードBHが短時間でアンモニアを中和させ、光触媒作用が顕著であることを実証した。
【0053】
なお、比較の参考として、市販の光触媒セラミックボール(発売元大塚濾過槽研究所、光触媒・特殊セラミック、商品名「ストリカ」、1個の直径約6.6mmの球状)約70gをほぼ10cm四方に敷き詰めたものを使用し、同様の測定を行った。さらに、リファレンスとしてアンモニアのみを注入してアンモニアの経時変化を確認した。
[空気中におけるアンモニアの中和試験]
・試験方法
ボードAH、ボードBH、ボードCH及びボードDHを、それぞれポリプロピレン製で無色透明の蓋付き密閉容器(11.5cm四方、高さ3cm)に収納し、リトマス試験紙(アドバンテック東洋株式会社製;幅9mm)をほぼ正方形に切断して各ボードの隅角部と中央部に載置する。そして、各容器の片隅にピペットを用いて濃度28%のアンモニアの水溶液0・05ml(化学天秤で校正した重量は0.047g)を注入してリトマス試験紙が中和に達する時間を測定した。
・測定環境
5月の晴れの日、大阪において、午前10時に測定を開始し、24時間後に終了した。日中は直射日光下で、日没後の午後6時頃から翌朝日の出後の午前6時頃までは蛍光灯下で測定した。
・確認方法
PHの数値は、試験によりリトマス試験紙が表示する色とリトマス試験紙規定の標準色とを比較して決定する。また、標準色との比較において中間的な状態、例えばリトマス試験紙が表示する色がPH7とPH8の標準色の中間的な色を呈している場合には大きい方の数値、すなわちPH8を採用した。さらに、PH7と判断される場合には、無臭であることを確認した。
【0054】
各ボードの測定結果を表2に示す。なお、粉末重量は、各ボードの形成に使用された各混合粉末の重量である。また、アンモニア中和速度係数とは、アンモニアが中和に至る速度であり、一定濃度下のアンモニアの分子数を光触媒担持ボードの両表面積と中和に至った時間との積で除した値である。当該中和試験におけるアンモニアの分子数は、0.047g(アンモニア水溶液の重量)×28%(濃度)÷17g(1モル当たりのアンモニアの重量)×6×1023(アボガドロ数)=4.6×1020個(有効数字2桁)である。この分子数を光触媒担持ボードの両表面積0.02mと中和に至った時間との積で割ればアンモニア中和速度係数が算出される。
【0055】
【表2】



【0056】
[評価]
上記の試験結果により、ボードAHを収納した容器内の気体は、PH11のアンモニアが、試験開始から1時間で中和に達し、ボードAHの光触媒作用が顕著に発揮されることを確認した。また、ボードBHを収納した容器内の気体は5時間で中和し、ボードBHについても光触媒作用が十分に発揮されることを確認した。これに対し、ボードCHを収納した容器内の気体は24時間でようやく中和に達し、ボードCHの光触媒作用が十分でないことを確認した。また、ボードDH及びセラミックボールを収納した容器内の気体は24時間経過しても中和に達せず、光触媒としての実用性が低いことを確認した。以上の結果により、光触媒担持ボードのアンモニア中和速度係数が、2.3×1021個/m・時間以上である場合には、極めて優れた光触媒作用の効果が発揮できる大気中専用の光触媒担持ボードが得られることが実証され、光触媒担持ボード製造に使用する混合粉末における光触媒粒子の含有量を75%以上、PTFEの含有量を25%以下にすれば達成可能である。なお、リファレンスは24時間経過しても容器内の気体のPHが変化せず、これにより試験方法が正確であり、かつ、測定結果が信頼できるものであることを確認した。
[水中におけるアンモニアの中和試験]
・試験方法
前記の「空気中におけるアンモニアの中和試験」において使用したのと同様の容器に、200mlの水を入れ、ピペットを用いて濃度28%のアンモニアの水溶液0・05ml(化学天秤で校正した重量は0.047g)を注入した後、各容器に、ボードAH、ボードBH、ボードCH及びボードDHを収納し、一定時間経過毎にそれぞれの容器から注入した水一滴を採取し、リトマス試験紙に滴下してPHの変化を測定した。
・測定環境
5月の晴れの日、大阪において、午前10時に測定を開始し、48時間後に終了した。日中は直射日光を避けた屋外で、日没後の午後6時頃から翌朝日の出後の午前6時頃までは蛍光灯下で測定した。
【0057】
なお、確認方法は、前記の「空気中におけるアンモニアの中和試験」における確認方法と同じである。
測定結果を表3に示す。なお、各ボードの形成に使用された粉末重量は、前記の「空気中におけるアンモニアの中和試験」における粉末重量と同じである。また、アンモニア中和速度係数は、「空気中におけるアンモニアの中和試験」で述べた方法により算出される。
【0058】
【表3】



【0059】
[評価]
上記の試験結果により、ボードAHを収納した容器内の液体は、PH11のアンモニアが、試験開始から5時間で中和に達し、ボードAHの光触媒作用が顕著であることを確認した。また、ボードBHを収納した容器内の液体は24時間で中和し、ボードBHについても十分な光触媒作用があることを確認した。これに対し、ボードCHを収納した容器内の液体は48時間でようやく中和に達し、ボードCHの光触媒作用が十分でないことを確認した。また、ボードDH及びセラミックボールを収納した容器内の空気は48時間経過しても中和に達せず、光触媒として実用性が低いことを確認した。以上の結果により、光触媒担持ボードのアンモニア中和速度係数が、7.5×1020個/m・時間以上である場合には、極めて優れた光触媒作用の効果が発揮できる水中専用の光触媒担持ボードが得られることが実証され、光触媒担持ボード製造に使用する混合粉末における光触媒粒子の含有量を75%以上、PTFEの含有量を25%以下にすれば達成可能である。なお、リファレンスは24時間経過しても容器内の液体のPHが変化せず、これにより試験方法が正確であり、かつ、測定結果が信頼できるものであることを確認した。
[光触媒担持ボードを用いた実験及び効果]
本発明の実施例に係る光触媒担持ボードとブラックライトとの組み合わせを用いて実験を行った。被験者は、被験者A(OL女性(にきび、ふきでもの、子宮に持病がある女性)、被験者B(健康体の女性)及び被験者C(全身にアトピーがる女性)の計3名である。
【0060】
被験者Aに関しては、6畳一間のワンルームに8枚の光触媒担持ボードを設置したところ、ストレスのない睡眠をとることができるだけではなく、化粧ののりが良くなり、にきび等がなくなった。
【0061】
健康に悩みを持たない被験者Bに関しては、寝室に4枚の光触媒担持ボードを設置したところ、「よいかもしれない」との感想が得られた。
被験者Cに関しては、6畳一間のワンルームに8枚の光触媒担持ボードを設置したところ、良く眠れ、化粧ののりもよくなった。またテスト開始から2週間目にアトピーが改善されたのが自分でも分かるようになった。
【0062】
以上のとおり、本発明の実施例の光触媒担持ボードは、従来のように単に消臭や汚れないといった使用方法のみならず、ストレスの軽減、睡眠の改善並びに病気の予防といったことにも優れた効果を奏する。そして、本発明の実施例に係る浄化器具は、このような光触媒担持ボードを生活に取り入れるための有用な手段を提供するものである。
【0063】
上記効果をもたらす要因として以下のことが推測される。
タバコ、電磁波、ストレス、食品添加物、工場排煙、排気ガス、お酒、地球温暖化(紫外線)の要因で、体内に大量の活性酸素が発生している。活性酸素は、人間の体を酸化(錆びる)させており、これが原因で、ガン・アトピー・アレルギー等の現代病を引き起こしている。更に、通常の室内にもタバコ、ストレス、シックハウスガスが存在している。
【0064】
本実施例の光触媒担持ボードは、上記した要因を除去し、ストレスがない呼吸を可能にするものである。ストレスがない呼吸によって、一定時間、室内にいると、活性酸素の発生が抑えられ、深い睡眠であるレム睡眠に入ることができる。従って、疲れやストレスを速やかに除去することができ、皮膚、肺などを始めとして人体の酸化を防止、改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る光触媒担持ボード、並びに、該光触媒担持ボードを収用した浄化器具は、これを使用すると空気などの脱臭及び浄化作用が顕著である。したがって、産業上の利用価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例に係る浄化器具の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1の浄化器具を組み立て状態の斜視図である。
【図3】図3は、図1の浄化器具の底面図である。
【図4】図4は、第1の実施例に係る浄化器具内に光触媒担持ボードを取り付ける機構を示すための浄化器具内部の平面図である。
【図5】図5は、図4の浄化器具の内部に光触媒担持ボードを取り付けた状態を示す浄化器具内部の平面図である。
【図6】図6は、光触媒担持ボードを取り付ける機構の作用を説明するための斜視図である。
【図7】図7は、図1の浄化器具の内部に光触媒担持ボードを取り付けた状態の斜視図である。
【図8】図8は、図1の浄化器具の本体側面部に金網を取り付けるときの該浄化器具の斜視図である。
【図9】図9は、図1の浄化器具の底面部に金網を取り付けるときの該浄化器具の斜視図である。
【図10】図10は、図1の浄化器具を天井壁に取り付けるときの手順を示すための該浄化器具の斜視図である。
【図11】図11は、天井壁に取り付けたときの図1の浄化器具の斜視図である。
【図12】図12は、図1の浄化器具内部の空気の流れを示す該浄化器具の側面図である。
【図13】図13は、通気ハウジングの金網の構成を示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の第2の実施例に係る浄化器具の斜視図である。
【図15】図15は、図14の浄化器具に用いられる蓋部の主要部の平面図である。
【図16】図16は、本発明の第3の実施例に係る浄化器具の斜視図である。
【図17】図17は、図16の浄化器具に用いられるアクリル製バー部材の図であって、(a)はバー部材の斜視図、(b)はバー部材の作用を説明するための図である。
【図18】図18は、本発明の各実施例に係る浄化器具の内部に照明手段を設けたときの概略図である。
【図19】図19は、本発明の各実施例に係る浄化器具の内部に配置される光触媒担持ボードの別の例を示す斜視図である。
【図20】図20は、実施例1に係る光触媒担時ボード作製に使用するエキスパンドメタルの部分拡大図付斜視図である。
【図21】混合粉末を充填したエキスパンドメタルにゴム製スポンジシート及びゴムシートを重ね、金属製の上下加圧用押し型により加圧成形している状態を示す概略断面図である。
【図22】実施例1に係る光触媒担時ボードの完成品の部分拡大図付一部切欠斜視図である。
【図23】実施例1に係る光触媒担時ボードの完成品の断面図である。
【図24】実施例1に係る光触媒担持ボードの製造工程を示すフローチャートである。
【図25】図25は、光触媒担持ボードの別の配置例を示す、本発明の実施例に係る浄化器具の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1a 第1の実施例に係る浄化器具
1b 第2の実施例に係る浄化器具
1c 第3の実施例に係る浄化器具
2 本体部
3 通気用蓋部
4 取り付け用蓋部
5a、5b、5c 側面の通気ハウジング面
6 底部の通気ハウジング面
7a、7b、7c 柱部
8 貫通孔
9 第1のリング部
10 ねじ部
11 ねじ部
12 第2のリング部
13 ねじ部
20(20a、20b、20c) ボード取り付け機構
21a、21b 柱状ブロック
22 連結部
23a、23b スリット
24 底縁平面
30(30a、30b、30c) 光触媒担持ボード
31a 金網
32 金網
33 木ねじ
34 天井
35 集光機能を有する金網
36 集光部
37 開口部
40 蓋部
42 ディスク
44 天板部
60(60a、60b、60c) 光触媒担持ボード
50 本体部
51 柱状部材
55 照明手段
55’ ブラックライト
56 電源
57 ワイヤ
A・・・混合粉末
E・・・エキスパンドメタル
e・・・孔部
e’・・混合粉末を充填した部分
S・・・ゴム製スポンジシート
G・・・ゴムシート
P・・・金属製の上下加圧用押し型
F・・・補強枠体
f・・・補強枠体の内溝
f’・・接合可能な凹凸
L・・・光触媒担持ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を浄化するための浄化器具であって、
複数の通気口が形成された少なくとも1つの通気ハウジング面と、該通気ハウジング面によって画定された空洞部とを有するハウジングと、
複数の光触媒担持ボードであって、該光触媒担持ボードの各々は、その両面が光触媒機能を有すると共に、前記通気口から前記空洞部内に入ってきた空気が該光触媒担持ボードの両面に沿って流れることを可能にするように前記空洞部内に配置されている、前記複数の光触媒担持ボードと、
を備える、浄化器具。
【請求項2】
前記ハウジングは、頂部と、本体部と、底部と、を有し、少なくとも該本体部及び該底部の表面の少なくとも一部分が前記通気ハウジング面として構成されている、請求項1に記載の浄化器具。
【請求項3】
少なくとも3枚の前記光触媒担持ボードが、多角柱の側面を各々形成するように配置されている、請求項2に記載の浄化器具。
【請求項4】
前記光触媒担持ボードが3枚用意され、前記多角柱は正三角柱である、請求項3に記載の浄化器具。
【請求項5】
前記光触媒担持ボードは、該光触媒担持ボードの少なくとも一面が前記本体部の通気ハウジング面と対面するように配置されている、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項6】
前記光触媒担持ボードは、該光触媒担持ボードが前記底部の通気ハウジング面に対し略垂直となるように、配置されている、請求項5に記載の浄化器具。
【請求項7】
前記通気ハウジング面は、網状部材を用いて構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項8】
前記網状部材は、網目部分に形成された、凸レンズ及び通気口を有する、請求項7に記載の浄化器具。
【請求項9】
少なくとも前記本体部の前記通気ハウジング面が、格子を用いて構成されている、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項10】
前記格子は、複数の透明な柱状部材から構成されている、請求項9に記載の浄化器具。
【請求項11】
前記柱状部材は、前記ハウジングの外側方向に凸面が形成されている、請求項10に記載の浄化器具。
【請求項12】
前記頂部及び前記底部の少なくともいずれか一方が、前記本体部の開口部を閉じるための脱着可能な蓋部として構成されている、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項13】
前記本体部は、前記光触媒担持ボードを摺動可能に保持するためのボード取り付け手段を備える、請求項12に記載の浄化器具。
【請求項14】
前記蓋部を取り外したとき、前記光触媒担持ボードを、前記ボード取り付け手段に沿って摺動させることにより、前記本体部の前記開口部から取り出すことが可能となる、請求項13に記載の浄化器具。
【請求項15】
前記蓋部は、該蓋部を壁面に取り付けるための取り付け手段を有する、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項16】
前記蓋部は、前記本体部に脱着可能な天板部と、該天板部の中央部から延在する支柱部と、該支柱部の上端部に取り付けられた取り付け用ディスクと、を有し、該取り付け用ディスクが前記取り付け手段を備える、請求項15に記載の浄化器具。
【請求項17】
前記取り付け手段は、前記壁面にねじ込み可能なねじを貫通させるための貫通孔、又は接着手段である、請求項15又は16に記載の浄化器具。
【請求項18】
前記天板部には、通気口が形成されている、請求項16に記載の浄化器具。
【請求項19】
前記空洞部内に発光手段を備える、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項20】
前記発光手段は、前記光触媒担持ボードの前記通気ハウジング面に対面していない面に光を照射するように配置されている、請求項19に記載の浄化器具。
【請求項21】
前記多角柱の内部に発光手段を備える、請求項3又は4に記載の浄化器具。
【請求項22】
前記発光手段の電源として太陽電池パネルを用いる、請求項19乃至21のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項23】
前記光触媒担持ボードは、波状に形成されている、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項24】
前記頂部が前記蓋部として構成されており、前記取り付け手段を用いて室内の天井に取り付けられている、請求項15乃至18のいずれか1項に記載の浄化器具。
【請求項25】
空気を浄化するための浄化器具であって、
複数の通気口が形成された少なくとも1つの通気ハウジング面と、該通気ハウジング面によって画定された空洞部とを有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、複数の光触媒担持ボードを収容することを可能にし、該光触媒担持ボードの各々は、その両面が光触媒機能を有すると共に、前記ハウジング内に収容されたとき、前記通気口から前記空洞部内に入ってきた空気が該光触媒担持ボードの両面に沿って流れることを可能にするように前記空洞部内に配置される、浄化器具。
【請求項26】
前記ハウジングは、頂部と、本体部と、底部と、を有し、少なくとも該本体部及び該底部の表面の少なくとも一部分が前記通気ハウジング面として構成され、少なくとも3枚の前記光触媒担持ボードが多角柱の側面を各々形成するように該光触媒担持ボードを配置可能である、請求項25に記載の浄化器具。
【請求項27】
前記通気ハウジング面は、集光機能を更に有する、請求項25又は26に記載の浄化器具。
【請求項28】
前記頂部及び前記底部の少なくともいずれか一方が、前記本体部の開口部を閉じるための脱着可能な蓋部として構成されている、請求項26に記載の浄化器具。
【請求項29】
前記本体部は、前記光触媒担持ボードを摺動可能に保持するためのボード取り付け手段を備える、請求項28に記載の浄化器具。
【請求項30】
前記蓋部は、該蓋部を壁面に取り付けるための取り付け手段を有する、請求項28又は29に記載の浄化器具。
【請求項31】
前記空洞部内に発光手段を備える、請求項25乃至30のいずれか1項に記載の浄化器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−5163(P2010−5163A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168400(P2008−168400)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(508195475)株式会社 キープテクノロジー (1)
【出願人】(506020492)有限会社ヤマカツラボ (9)
【出願人】(508195486)株式会社 UMA (1)
【Fターム(参考)】