説明

光記録媒体駆動装置、高周波重畳方法、プログラム

【課題】不要輻射ノイズについての規制を考慮しつつ、β値や変調度などの、スクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化する評価値の測定がより正確に行われるようにする。
【解決手段】上記評価値の測定時に対応して、通常再生時に設定される重畳量よりも大きな重畳量が高周波重畳部に設定されるようにする。これにより、β値や変調度などの信号品質評価値の測定がより正確に行われるようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光記録媒体についての少なくとも再生を行う光記録媒体駆動装置として、レーザ駆動電流に対する高周波重畳機能を有する光記録媒体駆動装置とその高周波重畳方法に関する。また、上記光記録媒体駆動装置において実行されるべきプログラムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2000−149302号公報
【背景技術】
【0003】
例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-lay Disc:登録商標)などの光ディスク記録媒体(以下、光ディスクとも表記)が広く普及している。
【0004】
これら光ディスクについて記録や再生を行う光記録媒体駆動装置では、レーザ光の発光駆動に際して、リードパワーのような低いパワー発光をさせる場合にレーザ駆動電流に高周波重畳を掛けることで、戻り光ノイズを軽減して安定した発光動作が得られるようにするものがある(例えば上記特許文献1を参照)。
【0005】
ここで、高周波重畳量が過小であると、データ再生能力の悪化を招いたり、スクープ率(記録マーク及びスペース部の反射光量の明暗によってレーザ出射光量が変動する比率)が悪化してβ値や変調度といった記録信号品質等についての評価値を正確に測定できないという問題が生じる。
この意味で、高周波重畳量は大であることが望ましいと言える。
【0006】
但し、高周波重畳量を大とすると、不要輻射ノイズが増大してしまうという問題が生じる。このため従来では、不要輻射ノイズとのトレードオフで、高周波重畳量を設定するものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、不要輻射ノイズを考慮すると、法規制遵守のため、比較的大きなマージンをとった低めの高周波重畳量が設定される傾向となる。
しかしながらその場合には、スクープ率を十分に改善することができず、上述のβ値や変調度といった評価値の測定を正確に行うことができないという事態が生じ得る。
【0008】
本技術はかかる問題点に鑑み為されたものであり、不要輻射ノイズについての規制を考慮しつつ、β値や変調度などの、スクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化する評価値の測定がより正確に行われるようにすることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本技術では光記録媒体駆動装置として以下のように構成することとした。
つまり、本技術の光記録媒体駆動装置は、レーザ光源を発光駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部を備える。
また、上記駆動信号に対し高周波重畳を行う高周波重畳部を備える。
また、上記レーザ光源より発光されたレーザ光の光記録媒体からの戻り光を受光する受光部を備える。
また、上記受光部により得られる受光信号に基づき、信号品質の評価指標となり且つスクープ率の悪化に伴いその値の測定精度が悪化傾向となる評価信号を生成する評価信号生成部を備える。
また、上記高周波重畳部の高周波重畳量を指示するための高周波重畳量情報として、通常再生時に設定されるべき高周波重畳量に対応する第1の高周波重畳量情報と、当該第1の高周波重畳量情報が表す高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量に対応する第2の高周波重畳量情報とが記憶される記憶部を備える。
また、上記評価信号に基づく評価値の測定時に対応して、上記第2の高周波重畳量情報に基づく高周波重畳量が上記高周波重畳部に設定されるように制御する重畳量制御部を備えるものである。
【0010】
上記のように本技術では、スクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化傾向となる評価値の測定時に対応して、通常再生時に設定される重畳量よりも大きな重畳量が高周波重畳部に設定されるようにしている。これにより、例えばβ値や変調度などの信号品質評価値の測定がより正確に行われるようにすることができる。
なお、不要輻射ノイズの規制値は時間平均的なものであるため、上記のように評価値測定時としての一時的な期間だけ重畳量を増大させたとしても、法規制の遵守は可能である。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、不要輻射ノイズについての規制を考慮しつつ、β値や変調度などの、スクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化する評価値の測定がより正確に行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の光記録媒体駆動装置の内部構成を示した図である。
【図2】レーザ発光に係る部分の構成を示した図である。
【図3】第1の実施の形態の高周波重畳手法(評価値測定時の増量)を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態の高周波重畳手法(データリードのリトライ時の増量)を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態の光記録媒体駆動装置の内部構成を示した図である。
【図6】重畳量指示値とレーザ駆動電圧との関係を示した図である。
【図7】第2の実施の形態の高周波重畳手法について説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態の高周波重畳手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の高周波重畳手法を実現するための他の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.光記録媒体駆動装置の構成例]
[1-2.第1の実施の形態の高周波重畳手法]
[1-3.処理手順]
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
【0014】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.光記録媒体駆動装置の構成例]

図1は、本技術に係る第1の実施の形態としての光記録媒体駆動装置(以下、光ディスク装置1とする)の内部構成を示している。
先ず、図中の光ディスクDは、円盤状の光記録媒体(光ディスク記録媒体)である。ここで、光記録媒体とは、光の照射により情報の記録又は再生が行われる記録媒体を指す。
【0015】
光ディスクDは、光ディスク装置1に装填されると、そのセンターホールがクランプされた状態で図中のスピンドルモータ(SPM)2により例えばCLV(Constant Linear Velocity:線速度一定)方式等の所定の回転制御方式に従って回転駆動される。
【0016】
光ディスク装置1には、回転駆動される光ディスクDに対して情報の記録/再生を行うためのレーザ光の照射、及び光ディスクDに照射された当該レーザ光の反射光(戻り光)を受光するための光学ピックアップOPが設けられる。
【0017】
光学ピックアップOP内には、上記レーザ光の光源となる半導体レーザ(後述するレーザダイオード20)が設けられる。
また、光学ピックアップOP内には、上記レーザ光を光ディスクDに集光するための対物レンズ3、及び当該対物レンズ3を光ディスクDに接離する方向(フォーカス方向)と半径方向(トラッキング方向)とに変位可能に保持し且つ対物レンズ3を光軸に対し傾ける3軸アクチュエータ4が設けられる。
また、光学ピックアップOP内には、対物レンズ3を介して得られる光ディスクDからの反射光を受光するためのフォトディテクタを具備する受光部が備えられる。
なお、光学ピックアップOP内にはレーザダイオード20を発光駆動するための駆動回路(後述するレーザ駆動回路21)や図中のAPC(Automatic Power Control)回路10によるAPC処理で用いられる受光信号DT-Frを得るためのフロントモニタ(後述するフロントモニタ22)が設けられるが、これらについては図2により改めて説明する。
【0018】
光学ピックアップOPにおける上記受光部により得られた受光信号(受光信号DTとする)は、信号生成回路5に供給される。
信号生成回路5は、受光信号DTに基づき、所定の演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データを得るための高周波信号(再生データ信号:以下RF信号と表記)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、及びトラッキングエラー信号TEを生成する。ここで、フォーカスエラー信号FEは光ディスクDに形成された記録面(反射面)に対するレーザ光の合焦位置の誤差を表す信号である。またトラッキングエラー信号TEは、上記記録面に形成されたトラックに対する上記レーザ光の照射スポットのトラッキング方向における位置誤差を表す信号となる。
また信号生成回路5は、β値及び変調度modとしての評価値(評価信号)を生成する。
ここで、

β=(A+B)/(A−B)
mod=(A'−B')/A'

である。ただし、A、BはそれぞれACカップリング後(DCカット後)のRF信号の最大値、最小値であり、A’、B’はそれぞれACカップリング前のRF信号の最大値、最小値である。
【0019】
信号生成回路5が生成したRF信号は、再生処理部6に供給される。再生処理部6は、RF信号についての2値化処理やエラー訂正処理等の再生処理(データリード処理)を行い、再生データを得る。
またRF信号は、コントローラ11に供給されて、その振幅値が例えばFB調整時等(FB:フォーカスバイアス)の評価値として用いられる。
【0020】
信号生成回路5が生成したフォーカスエラー信号FE、及びトラッキングエラー信号TEは、サーボ回路7へ供給される。
サーボ回路7は、これらフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づき、フォーカス、トラッキングの各サーボ制御を実現する。
具体的にサーボ回路7は、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づきフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号をそれぞれ生成し、これらをアクチュエータドライバ8に与える。
アクチュエータドライバ8は、これらフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号に基づき生成したフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号により、3軸アクチュエータ4のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動する。これにより、3軸アクチュエータ4→信号生成回路5→サーボ回路7→3軸ドライバ8→3軸アクチュエータ4・・・によるフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループがそれぞれ形成される。
【0021】
また、アクチュエータドライバ8は、コントローラ11からの指示に基づき、3軸アクチュエータ8による対物レンズ3のチルト量を調整する。
【0022】
また光ディスク装置1には、記録波形生成部9及びAPC回路10が設けられる。
記録波形生成部9には、光ディスクDに記録されるべき記録データが入力される。記録波形生成部9は、ライトストラテジ調整処理やOPC(Optimum Power Control)処理によって求められたパルス幅やパルス高さ等についてのパラメータに基づき、上記記録データに応じた記録波形信号RCPを生成し、これを光学ピックアップOP内のレーザ駆動回路21(後述する駆動電流制御回路23)に対して与える。この結果、光ディスクDに上記記録データに応じた信号記録が為される。
【0023】
APC回路10は、前述のフロントモニタ22からの受光信号DT-Frに基づき、レーザダイオード20による発光パワーがコントローラ11より指示された目標パワーで一定となるようにAPC処理を行う。
【0024】
ここで、図2に、光ディスク装置1が有するレーザ発光に係る部分の構成(主に光学ピックアップOP内のレーザ発光に係る部分の構成)を示す。
図示するように光学ピックアップOP内には、レーザ発光に係る構成として、レーザダイオード20、レーザ駆動回路21、及びフロントモニタ22が設けられる。
またこの図2では、図1にも示されるAPC回路10、コントローラ11、重畳制御部13も併せて示している。
【0025】
レーザ駆動回路21は、駆動電流制御回路23と高周波重畳回路24とを有する。
駆動電流制御回路23は、APC回路10からの駆動信号DP(駆動電圧)、及び記録時には記録波形信号RCPに基づき、レーザダイオード20を発光駆動するためのレーザ駆動電流を生成する。当該レーザ駆動電流は、高周波重畳回路24を介してレーザダイオード20に供給される。
【0026】
高周波重畳回路24は、上記レーザ駆動電流に対し高周波電流を重畳する。高周波電流の重畳は、戻り光ノイズの軽減のため行われるものである。
この場合の高周波重畳回路24は、重畳制御部13からの指示に応じて、上記レーザ駆動電流に対する高周波電流の重畳量を変更可能に構成される。重畳制御部13は、コントローラ11からの指示値に応じたレベルによる重畳量指示信号を高周波重畳回路24に与えることで、高周波電流の重畳量を制御する。
【0027】
説明を図1に戻す。
コントローラ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に格納されたプログラムに従った処理を実行することで、光ディスク装置1の全体制御を行う。
例えば、コントローラ11は、β値や変調度modとしての評価値に基づき、OPC処理を実行して最適記録パワーを求める。当該OPC処理で求めた最適記録パワーの情報は、記録波形生成部9に与えられる。
またコントローラ11は、RF信号の振幅値に基づきFB調整処理を実行して最適とされるFB値を求める。当該FB調整処理で求めた最適FB値は、サーボ回路7に指示される。
またコントローラ11は、RF信号の振幅値に基づきチルト調整処理を実行して最適チルト制御値を求める。求められた最適チルト制御値はアクチュエータドライバ8に指示される。
【0028】
またコントローラ11は、APC回路10に対して目標レーザパワーの指示を行う。
またコントローラ11は、重畳制御部13に対する指示を行うことで高周波重畳回路24による高周波重畳量を制御する。
【0029】
また、コントローラ11に対しては、メモリ12(不揮発性メモリ)が設けられる。
図示するようにメモリ12には、制御プログラム12a、通常指示値12b、増量指示値12cが記憶されている。
制御プログラム12aは、コントローラ11に後の図3や図4に示す処理動作を実行させるためのプログラムとなる。
なお、通常指示値12b、増量指示値12cについては後に改めて説明する。
【0030】
ここで、上記説明から理解されるように、本実施の形態の光ディスク装置1は、コントローラ11によって高周波重畳回路24における高周波重畳量を可変設定できるように構成されている。
従来の光ディスク装置には、高周波重畳量として単に実験的に求めた固定値を設定するものがある。しかし、高周波重畳量を固定値とした場合、光ディスク装置を入れる筐体(例えばパーソナルコンピュータ等)によっては、高周波重畳に伴う不要輻射ノイズが規制値に入らないという事態が生じる虞があった。このため、GND強化や電波吸収シートの追加等といった高コストな対策を採らざるを得なくなるケースがあった。
【0031】
これに対し、上記のように高周波重畳量を調整可能とする構成によれば、個体ごとに高周波重畳量を調整し得るため、上記のような高コストな対策を講じる必要性は無いものとできる。
【0032】
[1-2.第1の実施の形態の高周波重畳手法]

ここで、前述もしたように高周波重畳量が過小であると、データ再生能力が悪化したり、スクープ率(マーク又はピットの形成部分とランド部分の反射光量の比)が悪化してβ値や変調度modといった信号品質評価値を正確に測定できないという問題が生じる。
一方で、高周波重畳量を大とすると、不要輻射ノイズが増大するという問題が生じる。
【0033】
そこで本実施の形態では、前述のように高周波重畳回路24による高周波重畳量を可変設定可能に構成した上で、β値や変調度modといった信号品質評価値の測定時に、通常再生時における重畳量よりも大きな重畳量を設定することで、不要輻射ノイズについての規制を遵守しつつ、評価値の測定が正確に行われるようにする。
【0034】
本実施の形態では、通常再生時に対応して設定されるべき高周波重畳量を指示するための情報と、上記評価値の測定時に対応して設定されるべき高周波重畳量を指示するための情報とが予め実験的に求められ、これらが個々の光ディスク装置1に対して予め記憶される。具体的には、図1に示した通常指示値12b、増量指示値12cである。
【0035】
ここで、これら通常指示値12b、増量指示値12cを求めるにあたっては、光ディスク装置1(光学ピックアップOP)の個体ごとのばらつきを考慮すべきとなる。仮に当該ばらつきを考慮せずにそれらの値を定めた場合には、個体によっては不要輻射ノイズを十分に低い値に抑えることができない等の問題が生じる虞があるからである。
この点を考慮し、これら通常指示値12b、増量指示値12cについては、例えばセンター品(仕様上、中間的な特性を有する製品)などとしての基準となる光ディスク装置1(基準製品とする)の特性に応じた値を、予め実験やシミュレーション等により求めておくなど、個体ばらつきを最大限吸収できるような値を求めておき、その値を各光ディスク装置1に記憶させておくものとする。
このとき、通常指示値12bについては、これに基づく高周波重畳量が設定された場合における不要輻射ノイズの値が規制値に対して十分に低いものとなることを目安に求めればよい。
また、増量指示値12cについては、少なくとも通常指示値12bに基づき設定される高周波重畳量よりも大となる高周波重畳量が得られるように定めればよい。
【0036】
なお確認のために述べておくと、不要輻射ノイズの規制値は時間平均的な値であるため、評価値測定時としての一時的な期間だけ重畳量を増大させたとしても、法規制の遵守は可能である。
換言すれば、増量指示値12cについては、その不要輻射ノイズの値が規制値に収まるということを条件に定めればよいと言える。
なお、不要輻射ノイズの規制値は、QP測定の規格に基づくQP検波器の充電時定数、放電時定数、QP指示計の時定数に基づく測定値となる。従って、不要輻射ノイズの値を規制値に収めるためには、重畳量の調整はもちろん、重畳期間を短くすることも有効となる。
【0037】
ここで、高周波重畳量の低下、換言すればスクープ率の悪化に応じてその測定精度に悪影響が与えられる信号品質評価値としては、β値や変調度modの他に、RF信号振幅値も挙げることができる。
このため本実施の形態では、例えばFB調整処理時やチルト調整処理時におけるRF信号振幅値の測定時にも対応して、高周波重畳量を一時的に増大させるということも併せて行う。
【0038】
また、不要輻射ノイズを考慮すると、データ再生能力がその分犠牲となる。本実施の形態ではこの点を考慮し、データ再生(データリード)のリトライが発生した場合にも、通常指示値12bから増量指示値12cに切り替えることで、高周波重畳量を一時的に増大させるという手法を採る。
このことで、リトライ時の再生能力を向上させて、リトライ成功率の向上を図ることができる。
【0039】
[1-3.処理手順]

図3及び図4は、上記により説明した第1の実施の形態の高周波重畳手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
図3において、図3Aはβ値又は変調度modの測定時に対応して実行されるべき処理手順を、図3BはRF信号振幅の測定時に対応して実行されるべき処理手順をそれぞれ示している。
また図4は、データリードのリトライ時に対応して実行されるべき処理手順を示すものである。
なお、これら図3,図4に示す処理は、図1に示したコントローラ11が制御プログラム12aに基づき実行するものである。
【0040】
先ず、図3Aにおいて、ステップS101では、β値又は変調度modの測定を開始すべき状態となるまで待機する。すなわち、例えばOPC処理時における評価値測定としての、β値又は変調度modの測定を開始すべき状態となるまで待機するものである。
【0041】
β値又は変調度modの測定を開始すべき状態となった場合には、ステップS102において、増量指示値12cを出力する。すなわち、増量指示値12cを重畳制御部13に出力することで、高周波重畳回路24において増量指示値12cに応じた重畳量による高周波重畳が行われるようにするものである。
これにより、高周波重畳回路24による高周波重畳量が、通常指示値12bに応じた重畳量から増大される。
【0042】
続くステップS103では、β値又は変調度modの測定終了まで待機する。そして、測定が終了したことに応じ、ステップS104において通常指示値12bを出力する。すなわち、高周波重畳回路24による高周波重畳量を通常再生時に対応した重畳量に戻すものである。
当該ステップS104の処理の実行後、この図に示す処理は終了となる。
【0043】
続いて、図3Bにおいて、ステップS201では、RF信号振幅の測定を開始すべき状態となるまで待機する。すなわち、例えばFB調整処理時やチルト調整処理時における評価値測定としての、RF信号振幅の測定を開始すべき状態となるまで待機するものである。
以降のステップS202〜ステップS204の処理については、β値又は変調度modがRF信号振幅値に置き換わる以外はステップS102〜S104と同様となるので、その説明は省略する。
【0044】
また、図4に示す処理としては、先ずステップS301において、データリードのリトライの発生まで待機する。
そして、当該リトライの発生に応じ、ステップS302において、増量指示値12cを出力する。
【0045】
増量指示値12cを出力した後は、ステップS303においてリトライの完了まで待機し、当該リトライの完了に応じて、ステップS304において通常指示値12bを出力する。
当該ステップS304の処理の実行後、この図に示す処理は終了となる。
【0046】
上記のように本実施の形態では、β値や変調度mod、或いはRF信号振幅等といった、スクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化傾向となる評価値の測定時に対応して、通常再生時に設定される重畳量よりも大きな重畳量が高周波重畳回路24に設定されるようにしている。
これにより、不要輻射ノイズの規制を考慮しつつ、上記評価値の測定がより正確に行われるようにすることができる。
【0047】
また本実施の形態によれば、データリードのリトライ時にも対応して重畳量を一時的に増大させるものとしている。このことで、リトライの成功率を向上できる。
なお、このことは換言すれば、通常再生時における重畳量を下げる設定が容易に可能となることを意味する。このように通常再生時の重畳量を下げる設定が容易に可能となれば、その分、不要輻射ノイズの値を抑えることができるので、この面でも、前述したような電波吸収シートの追加等の高コストな対策を講じる必要性は無いものとできる。
【0048】
<2.第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
図5は、第2の実施の形態の光記録媒体駆動装置(光ディスク装置30とする)の内部構成を示している。
なお図5において、既にこれまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
先の図1と比較して分かるように、第2の実施の形態の光ディスク装置30は、第1の実施の形態の光ディスク装置1との比較で、APC回路10による駆動信号DP(駆動電圧)がコントローラ11に対しても入力され、またメモリ12内において、制御プログラム12aに代えて制御プログラム12dが記憶され、且つ基準下限値Mn_refが新たに記憶される点が異なる。
制御プログラム12dは、コントローラ11に後の図8に示す処理を実行させるためのプログラムとなる。
なお、基準下限値Mn_refについては以下で述べる。
【0050】
ここで、コントローラ11による高周波重畳量についての指示値と、実際にレーザ駆動電流に与えられる高周波電流の重畳量との関係は、個体ごとにばらつくことがある。
図6は、高周波重畳量指示値とLD駆動電圧(駆動信号DP)との関係を示した図である。なおこの図に示す関係は、APC処理が実行されていることを前提としたものである。
【0051】
この図6に示すように、高周波重畳量指示値を下げていくと、LD駆動電圧は徐々に上昇する傾向を示す。そして、高周波重畳量指示値が或る値まで低下すると、LD駆動電圧の上昇が停止し、一定に転じることになる。
ここで、このように高周波重畳量指示値を下げていった際にLD駆動電圧のレベルが一定に転じる際の高周波重畳量指示値を、重畳量下限値Mnと表記(単に下限値Mnとも表記)する。
【0052】
当該重畳量下限値Mnが、個体ごと(レーザ駆動回路21としてのICごと)にばらつくことに起因して、高周波重畳回路24に対する重畳量指示値と実際の高周波重畳量との関係が個体ごとにばらつくものである。
また、このばらつきは、同一個体であっても、温度変化や経年変化により生じ得ることになる。
【0053】
第2の実施の形態は、このような重畳量下限値Mnのばらつき(重畳量指示値と実際の重畳量との関係のばらつき)を吸収するための手法を提案するものである。
【0054】
図7は、第2の実施の形態の高周波重畳手法について説明するための図である。
先ず図7Aにより、下限値Mnと通常指示値12b・増量指示値12cとの関係について説明する。
先の第1の実施の形態の説明からも理解されるように、通常指示値12b、増量指示値12cについては、センター品等の基準製品の特性を基準として、前述の条件を満たすようにその具体的な値を定めることで、個体ごとのばらつきを最大限吸収できるように図っている。
しかしながら、実際には上記のように個体ごとに下限値Mnがばらつくため、これら通常指示値12b・増量指示値12cとしての固定値を使用すると、或る個体では実際の重畳量が小さく、また別の個体では実際の重畳量が大きくなるといった事態が生じ得る。
【0055】
ここで、図7Aでは、センター品等の基準製品における下限値Mn(基準下限値Mn_refと表記)を例示している。
前述のように通常指示値12b・増量指示値12cは、基準製品の特性を基準として定められるものである。このとき、実際の高周波重畳量は、図中に斜線で示した部分と表すことができる。この重畳量を、図のように重畳量Mrとおく。
この重畳量Mrが各個体において設定されるようにすれば、個体ごとのばらつきは吸収されることになる。
【0056】
図7Bは、基準製品とは別の実際の製品についての下限値Mnと通常指示値12b・増量指示値12cとの関係を例示している。
この製品においては、下限値Mnが、基準製品における基準下限値Mn_refよりも「α」だけ低い値となっている。このような実際の製品についての下限値Mnを、図のように下限値Mn_Aと表記する。
【0057】
この図7Bに示す製品において、予め設定された通常指示値12b・増量指示値12cをそのまま使用した場合には、実際の高周波重畳量(斜線部)は、適正な重畳量Mofsに対して図中の「α」に応じた分だけ大きくなってしまうことになる。
【0058】
そこで、図7Cに示すように、通常指示値12b・増量指示値12cを、上記αに基づき校正することで、適正な重畳量Mrが得られるようにする。
具体的に、上記αは、実際に測定される下限値Mnと、基準製品における基準下限値Mn_refとの差分である。
先の図5に示したように、第2の実施の形態の光ディスク装置30では、基準下限値Mn_refを予めメモリ12に記憶させておくものとしている。
校正にあたっては、先ずは下限値Mnを実測し、当該下限値Mnと、基準下限値Mn_refとの差分αを算出する。そして、この差分αに基づき、通常指示値12b及び増量指示値12cを校正する。具体的には、「通常指示値12b−α」「増量指示値12c−α」をそれぞれ計算する。
【0059】
第2の実施の形態では、このように基準差分値Mn_refと実測した下限値Mnとの差分αに基づき校正した通常指示値12b、増量指示値12cを、それぞれ対応するタイミング(ステップS102、S104、S202、S204、S302、S304)で重畳制御部13に出力(指示)する。
これにより、個体ごとのばらつきや温度変化・経年変化によるばらつきを適切に吸収することができる。
【0060】
ここで、個体ごとのばらつきのみを考慮するのであれば、通常指示値12b・増量指示値12cの校正は、少なくとも光ディスク装置30の初回起動時にのみ実行すればよいと言える。
温度変化・経年変化によるばらつきも吸収するとしたときは、通常指示値12b・増量指示値12cの校正は例えば光ディスクDの装填ごと、所定時間ごと、所定の温度差が生じたごと等に実行することが有効である。
【0061】
図8は、上記により説明した第2の実施の形態の高周波重畳手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
なお、図8に示す処理は図5に示したコントローラ11が制御プログラム12dに基づき実行するものである。
【0062】
図8において、ステップS401では、下限値Mn_Aの測定条件が成立するまで待機する。具体的には、前述した初回起動時、或いは光ディスクDの装填、所定時間の経過、所定以上の温度差が生じた等、予め下限値Mn_Aの測定を実行すべきとして定められた所定の条件が成立するまで待機するものである。
【0063】
下限値Mn_Aの測定条件が成立したことに応じては、ステップS402において、下限値Mn_Aの探索処理を行う。具体的には、APC回路10によるAPCが実行される下で、駆動信号DPのレベルをモニタしつつ、重畳制御部13に出力する指示値を徐々に低下させていくことで、駆動信号DPのレベルが一定に転じたときの指示値を特定する。
【0064】
ステップS402による探索処理の実行後は、ステップS403において、探索により求めた下限値Mn_Aを記憶するための処理を実行する。例えば、メモリ12等の所要の記憶手段に下限値Mn_Aを記憶させる。
【0065】
続くステップS404では、基準下限値Mn_refと下限値Mn_Aとの差分αを計算する。
そして次のステップS405において、差分αに基づき重畳量指示値を校正する。具体的には、「通常指示値12b−α」「増量指示値12c−α」により、通常指示値12b、増量指示値12cをそれぞれ校正する。
このステップS404の処理の実行後、この図に示す処理は終了となる。
【0066】
なお、図中に破線で囲ったステップS404及びS405の校正処理については、上記のように下限値Mn_Aの測定後に続けて実行する必要性はなく、少なくとも重畳量指示値(通常指示値12b又は増量指示値12c)を設定する前までに実行すればよいものである。
【0067】
上記により説明した第2の実施の形態の高周波重畳手法によれば、各光ディスク装置30においてその個体の特性に応じた重畳量指示値の校正ができるので、第1の実施の形態との比較でより高精度でピンポイントな制御が可能となる。
このため、不要輻射ノイズの規制に対して、第1の実施の形態の場合よりもマージンを少なく見積もることができる。つまりその分、再生能力や評価値の測定精度の向上を図るようにできる。
或いはマージンを不要輻射ノイズの抑制側に振るものとすれば、第1の実施の形態の場合よりも不要輻射ノイズのさらなる低減を図ることができることにもなる。
【0068】
また第2の実施の形態によれば、温度変化や経年変化によるばらつきについても吸収することができる。
【0069】
ところで、下限値Mn_Aの実測によってばらつきの吸収を図るための手法としては、上記により説明した手法に限定されるべきものではない。
【0070】
図9は、第2の実施の形態の高周波重畳手法を実現するための他の例について説明するための図である。
図9Aは、図7Aと同様、センター品等の基準製品における基準下限値Mn_refを例示している。また図9Bは図7Bと同様にばらつきが生じた製品の下限値Mn_Aを例示している。
ここで、先の図7を参照して分かるように、実際の重畳量にばらつきが生じる要因は、個体ごとの特性や温度変化・経年変化に起因して、下限値Mnがばらつくことにある。
そこで、図9Bのように、実際の製品で測定した下限値Mn_Aに対し、重畳量Mr(基準下限値Mn_refからのオフセット)を加算するものとすれば、図7にて説明した手法と同様の結果を得ることができる。
【0071】
具体的に、この手法においては、基準製品の特性に基づき実験等により求めた重畳量Mrに相当する重畳量指示値を、オフセット値Mofsとして各光ディスク装置30に記憶させておく。すなわち、通常指示値12bについてのオフセット値Mofs(Mofs-1とする)と、増量指示値12cについてのオフセット値Mofs(Mofs-2とする)とを予め記憶させておく。
この場合の光ディスク装置30は、測定条件の成立に応じて下限値Mn_Aの測定を行い、当該下限値Mn_Aを例えばメモリ12等に記憶させる。
そして、実際に通常指示値12b又は増量指示値12cを設定すべき状態になったことに応じて、上記記憶させておいた下限値Mn_Aに上記オフセット値Mofsを加算して得た重畳量指示値を、DAC13を介して高周波重畳回路24に指示する。具体的に、通常指示値12bを設定すべき状態となった際には、下限値Mn_Aにオフセット値Mofs-1を加算して得た重畳量指示値を指示し、増量指示値12cを設定すべき状態となった際には、下限値Mn_Aにオフセット値Mofs-2を加算して得た重畳量指示値を指示する。
これにより、図7にて説明した手法と同様に個体ごとのばらつきや温度変化・経年変化によるばらつきを吸収することができる。
【0072】
なお、上記では実際に重畳量指示値を設定すべき状態となったことに応じて「下限値Mn_A+オフセット値Mofs」を計算するものとしたが、下限値Mn_Aの測定に続けて「下限値Mn_A+オフセット値Mofs」を計算し、その値をメモリ12等に保持しておくものとしてもよい。
【0073】
<3.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
ここで、例えば反射率の高い色素系のディスクの場合には、これよりも反射率の低い相変化ディスクの場合と比較して最適とされる高周波重畳量指示値が異なることが考えられる。
そこで、反射率の異なるディスク種別ごとに対応する通常指示値12b、増量指示値12c(或いはオフセット値Mofs)を記憶させておき、装填された光ディスクDのディスク種別に応じた通常指示値12b、増量指示値12c(或いは下限値Mn_A+Mofs)を指示するように構成することもできる。
【0074】
また、これまでの説明では、β値や変調度mod等といった信号評価値の測定時とデータリードのリトライ時とで、同じ増量指示値12cによる高周波重畳量を設定するものとしたが、β値や変調度mod等の信号評価値の測定精度を最適とする高周波重畳量と、データ再生能力を最適とする高周波重畳量とが異なる場合もあり、共通の増量指示値12cによる高周波重畳を行うと、評価値の測定精度又はリトライ時の再生能力の何れか犠牲となってしまう可能性がある。
そこで、評価値測定時に設定すべき増量指示値(第1の増量指示値とする)と、データリードのリトライ時に設定すべき増量指示値(第2の増量指示値)とを個別に求めておき且つそれらをメモリ12等に記憶させておき、評価値測定時に対応して上記第1の増量指示値に応じた高周波重畳量を設定し、データリードのリトライ時に対応しては上記第2の増量指示値に応じた高周波重畳量を設定するように構成することもできる。
なおこの手法は、図9のようなオフセット値Mofsを用いる場合にも好適に適用できる。
【0075】
また、これまでの説明では、本技術が光記録媒体についての記録と再生の双方が可能とされた光記録媒体駆動装置に適用される場合を例示したが、本技術は、光記録媒体についての少なくとも再生を行う光記録媒体駆動装置に好適に適用できる。
【0076】
また、本技術は、以下に示す構成とすることも可能である。
(1)
レーザ光源を発光駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
上記駆動信号に対し高周波重畳を行う高周波重畳部と、
上記レーザ光源より発光されたレーザ光の光記録媒体からの戻り光を受光する受光部と、
上記受光部により得られる受光信号に基づき、信号品質の評価指標となり且つスクープ率の悪化に伴いその値の測定精度が悪化傾向となる評価信号を生成する評価信号生成部と、
上記高周波重畳部の高周波重畳量を指示するための高周波重畳量情報として、通常再生時に設定されるべき高周波重畳量に対応する第1の高周波重畳量情報と、当該第1の高周波重畳量情報が表す高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量に対応する第2の高周波重畳量情報とが記憶される記憶部と、
上記評価信号に基づく評価値の測定時に対応して、上記第2の高周波重畳量情報に基づく高周波重畳量が上記高周波重畳部に設定されるように制御する重畳量制御部と
を備える光記録媒体駆動装置。
(2)
上記受光信号に基づき上記光記録媒体の記録情報を再生する再生部を備えると共に、
上記重畳量制御部は、
上記再生部による情報再生のリトライ時に対応して、上記通常再生時に設定されるべき高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量が上記高周波重畳部に設定されるように制御する
上記(1)に記載の光記録媒体駆動装置。
(3)
上記レーザ光の発光パワーが一定となるように上記駆動信号のレベルを調整するAPC(Automatic Power Control)制御部を備えると共に、
上記重畳量制御部は、
上記高周波重畳部の高周波重畳量指示値を低下させていった際に上記駆動信号のレベルが一定に転じるときの高周波重畳量指示値としての下限重畳指示値を探索し、当該探索により求めた下限重畳量指示値と、上記第1又は第2の高周波重畳量情報とに基づき算出した高周波重畳量指示値を上記高周波重畳部に指示する
上記(1)又は(2)に記載の光記録媒体駆動装置。
(4)
上記第1及び第2の高周波重畳量情報は、所定の上記下限重畳量指示値からのオフセット値として設定された情報であり、
上記重畳量制御部は、
上記探索により求めた下限重畳量指示値に上記第1又は第2の高周波重畳量情報が表すオフセット値を与えた高周波重畳量指示値を上記高周波重畳部に指示する
上記(3)に記載の光記録媒体駆動装置。
(5)
上記評価信号生成部は、上記評価信号としてβ値を表す信号を生成する上記(1)〜(4)に記載の光記録媒体駆動装置。
(6)
上記評価信号生成部は、上記評価信号として変調度を表す信号を生成する上記(1)〜(4)に記載の光記録媒体駆動装置。
(7)
上記評価信号生成部は、上記評価信号としてRF信号を生成する上記(1)〜(4)に記載の光記録媒体駆動装置。
【符号の説明】
【0077】
1,30 光ディスク装置、2 スピンドルモータ(SPM)、3 対物レンズ、4 3軸アクチュエータ、5 信号生成回路、6 再生処理部、7 サーボ回路、8 アクチュエータドライバ、10 APC回路、11 コントローラ、12 メモリ、12a,12d 制御プログラム、12b 通常指示値、12c 増量指示値、13 重畳制御部、20 レーザダイオード、21 レーザ駆動回路、22 フロントモニタ、23 駆動電流制御回路、24 高周波重畳回路、Mn_ref 基準下限値、OP 光学ピックアップ、D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源を発光駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
上記駆動信号に対し高周波重畳を行う高周波重畳部と、
上記レーザ光源より発光されたレーザ光の光記録媒体からの戻り光を受光する受光部と、
上記受光部により得られる受光信号に基づき、信号品質の評価指標となり且つスクープ率の悪化に伴いその値の測定精度が悪化傾向となる評価信号を生成する評価信号生成部と、
上記高周波重畳部の高周波重畳量を指示するための高周波重畳量情報として、通常再生時に設定されるべき高周波重畳量に対応する第1の高周波重畳量情報と、当該第1の高周波重畳量情報が表す高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量に対応する第2の高周波重畳量情報とが記憶される記憶部と、
上記評価信号に基づく評価値の測定時に対応して、上記第2の高周波重畳量情報に基づく高周波重畳量が上記高周波重畳部に設定されるように制御する重畳量制御部と
を備える光記録媒体駆動装置。
【請求項2】
上記受光信号に基づき上記光記録媒体の記録情報を再生する再生部を備えると共に、
上記重畳量制御部は、
上記再生部による情報再生のリトライ時に対応して、上記通常再生時に設定されるべき高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量が上記高周波重畳部に設定されるように制御する
請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項3】
上記レーザ光の発光パワーが一定となるように上記駆動信号のレベルを調整するAPC(Automatic Power Control)制御部を備えると共に、
上記重畳量制御部は、
上記高周波重畳部の高周波重畳量指示値を下げていった際に上記駆動信号のレベルが一定に転じるときの高周波重畳量指示値としての下限重畳指示値を探索し、当該探索により求めた下限重畳量指示値と、上記第1又は第2の高周波重畳量情報とに基づき算出した高周波重畳量指示値を上記高周波重畳部に指示する
請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項4】
上記第1及び第2の高周波重畳量情報は、所定の上記下限重畳量指示値からのオフセット値として設定された情報であり、
上記重畳量制御部は、
上記探索により求めた下限重畳量指示値に上記第1又は第2の高周波重畳量情報が表すオフセット値を与えた高周波重畳量指示値を上記高周波重畳部に指示する
請求項3に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項5】
上記評価信号生成部は、上記評価信号としてβ値を表す信号を生成する請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項6】
上記評価信号生成部は、上記評価信号として変調度を表す信号を生成する請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項7】
上記評価信号生成部は、上記評価信号としてRF信号を生成する請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。
【請求項8】
レーザ光源を発光駆動するための駆動信号に対する高周波重畳方法であって、
上記レーザ光源より発光されたレーザ光の光記録媒体からの戻り光についての受光信号に基づき得られる評価値であって、信号品質の評価指標となり且つスクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化傾向となる評価値の測定時に対応して、上記駆動信号に対する高周波重畳量を指示するための高周波重畳量情報として通常再生時に設定されるべき高周波重畳量に対応する第1の高周波重畳量情報と、当該第1の高周波重畳量情報が表す高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量に対応する第2の高周波重畳量情報とのうちの、上記第2の高周波重畳量情報に基づく高周波重畳量が設定されるように制御する
高周波重畳方法。
【請求項9】
レーザ光源を発光駆動するための駆動信号に対する高周波重畳を行う光記録媒体駆動装置において実行されるべきプログラムであって、
上記レーザ光源より発光されたレーザ光の光記録媒体からの戻り光についての受光信号に基づき得られる評価値であって、信号品質の評価指標となり且つスクープ率の悪化に伴いその測定精度が悪化傾向となる評価値の測定時に対応して、上記駆動信号に対する高周波重畳量を指示するための高周波重畳量情報として通常再生時に設定されるべき高周波重畳量に対応する第1の高周波重畳量情報と、当該第1の高周波重畳量情報が表す高周波重畳量よりも大きな高周波重畳量に対応する第2の高周波重畳量情報とのうちの、上記第2の高周波重畳量情報に基づく高周波重畳量が設定されるように制御する重畳量制御処理
を上記光記録媒体駆動装置に実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4140(P2013−4140A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134014(P2011−134014)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】