説明

光路切替装置および光信号の光路切替方法

【課題】同一の光路切替装置により、信号光を制御光の本数以上の複数の光路に切り替える。
【解決手段】光路切替装置は、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の端面の内、中心に載置された光ファイバー端面から出射する信号光1000および6つの周辺光ファイバー端面の1つから単独または隣接する2つから同時に出射される制御光1011,1012等がコリメートレンズ2および集光レンズ3を介して熱レンズ形成素子4に収束・照射され、熱レンズ形成素子4を通過した信号光がコリメートする受光レンズ6と、くさび型プリズム部分を含む12角錐台プリズム7と、結合レンズ8とを介して、結合レンズ8から出射した直進または光路切替された信号光が、受光素子である13芯バンドル光ファイバー9の光ファイバー端面900〜912のいずれかに、制御光照射の有無と制御光の組合せに応じて選択的に入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信や光情報処理等の光エレクトロニクスやフォトニクスの各分野において活用され、熱レンズ方式光制御式光路切替スイッチを利用して光路の切替を行う光路切替装置、および光信号の光路切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、先に、新しい原理に基づく光路切替装置および方法を発明した(特許文献1参照)。この光路切替装置等では、熱レンズ形成素子内の制御光吸収領域に対して、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光と、制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光とを、各光軸が一致するように収束させて照射し得る構成を有している。この構成によれば、熱レンズ形成素子内の制御光吸収領域への信号光の照射に対して、制御光の照射は選択的に行われる。制御光の照射が信号光の照射と同時に行われないときには信号光が穴付ミラーの穴を通して直進し、他方、制御光の照射が信号光の照射と同時に行われるときには信号光の進行方向に対して傾けて設けた穴付ミラーで反射して光路を変更させる。特許文献1には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替えることができる光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置は以下では「1対2型光制御型光路切替装置」と記す。
【0003】
更に、本発明者等は、熱レンズ形成素子および穴付ミラーを複数組み合わせて用いて構成した光制御式の光路切替装置および光信号光路切替方法を発明した(特許文献2参照)。この光路切替装置等では、制御光吸収領域が吸収する波長帯域と制御光の波長とを1対1に対応させており、更に、例えば吸収波長帯域の異なる色素を用いた3種類の制御光吸収領域の熱レンズ形成素子を合計7個組み合わせて使用し、併せて、3種類の波長の制御光の各々の明滅を制御することにより、例えばサーバのデータを8箇所に光制御方式で切り替えて配信するシステムが開示されている。
【0004】
なお、上記の特許文献1,2に開示された光路切替の方式では、制御光を照射した場合、熱レンズ効果によって信号光のビーム断面形状はリング状に変化する。そこで、これらの光路切替方式を以下では「リングビーム方式」と記すこととする。
【0005】
更に、本発明者等は、その後、特許文献3〜6に開示される通り、光路変更方法および光路切替装置を提案した。これらの光路変更方法および光路切替装置によれば、熱レンズ形成素子中の制御光吸収領域に、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光、および制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光を入射させ、制御光および信号光は、制御光吸収領域にて収束するように照射されかつ各々の光の収束点の位置が異なるように照射される。制御光および信号光は、光の進行方向で制御光吸収領域の入射面またはその近辺で収束し、その後、拡散する。これにより、制御光吸収領域内で制御光を吸収した領域およびその周辺領域に温度上昇が起き、当該温度上昇に起因して可逆的に熱レンズの構造が変化し、屈折率が変化して、信号光の進行方向を変化させることができる。特許文献3〜6に記載される光路変更の方式では、制御光を照射しても信号光のビーム断面形状はほぼ円形に保たれる。そこで、当該光路変更の方式を以下では「丸ビーム方式」と記すこととする。
【0006】
特許文献4,5には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替える1対2型光制御型光路切替装置が開示されている。また特許文献5,6には、例えば、7芯光ファイバーの中心の光ファイバーから出射する信号光の光路を、中心の光ファイバーの周辺に設けられた光ファイバーから出射する制御光によって7方向に切り替える光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置を以下では「1対7型光制御型光路切替装置」と記す。また、従来の丸ビーム方式の光制御型光路切替装置、特に1対7型光制御型光路切替装置において、制御光および信号光は制御光吸収領域にて収束するように照射されかつ各々の光の収束点の位置が異なるように照射されるが、複数の制御光ビームおよび1つの信号光ビームの光軸の位置合わせの煩雑さを避け、また、偏波依存性に悪影響を与えるダイクロマティックミラーの使用を避けるため、特許文献7に記載の端面近接多芯バンドル光ファイバーが好適に用いられる。更に、特許文献8には熱レンズ効果を有効に利用するために適した熱レンズ形成素子の形態、および、熱レンズ形成素子に用いられる色素溶液の溶剤の粘度および粘度の温度特性について詳しく開示されている。また特許文献6には、例えば、7方向に切り替えられた信号光を7芯光ファイバーで検出する光制御型光路切替装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3809908号公報
【特許文献2】特許第3906926号公報
【特許文献3】特開2007−225825号公報
【特許文献4】特開2007−225826号公報
【特許文献5】特開2007−225827号公報
【特許文献6】特開2008−083095号公報
【特許文献7】特開2008−076685号公報
【特許文献8】特開2009−175164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1〜8では、いずれも1つの信号光源からの信号光を制御光照射の有無により、複数の光路に切り替える方法および装置について述べている。しかし、同一の光路切替装置により、1つの信号光を更に13以上の複数の光路に切り替えを行いたいという要望がある。ここで、上述の1対7型光制御型光路切替装置に用いられる照射側端面近接7芯バンドル光ファイバーは、中心に配置されたシングルモード信号光照射ファイバーの周りに6本のシングルモード制御光照射ファイバーを最密に配置したものであり、合計7本のシングルモード光ファイバーのコア中心間距離が25〜40μmに規定されたものであるが、この7芯バンドル光ファイバーの外周へ制御光照射ファイバーを最密に追加しても、前記信号光照射ファイバーと前記外周の制御光照射ファイバーとのコア間距離が40μmを超えてしまうため、熱レンズ効果による光路変更を充分に行えなくなる、という制約がある。
【0009】
また、例えば、上述の1対7型光制御型光路切替装置を複数個用いて、それぞれの光路切替装置の信号光を7方向に光路を切り替えて、複数の信号光を複数の光路に切り替えて1つの受光素子に受光させるためには、受光素子の上流側に、光学ミキサーを配置する必要があり、装置構成が煩雑になる。具体的に、例えば、2対2型光制御型光路切替装置を構成する方法として、2台の1対2型光制御型光路切替装置を並列に並べて、これらの2台の1対2型光制御型光路切替装置の出力端を、2台の2対1の光ミキサー(合波器)を用いて束ねることにより、2対2型光制御型光路切替装置を構成可能であるが、順方向については正常動作が可能であるが、逆方向については、光ミキサー(合波器)部分が分波器として働くために、2対2型光制御型光路切替装置が構成できない。これを回避する方法として、4台の1対2型光制御型光路切替装置を用いる構成法がある。すなわち、2台の1対2型光制御型光路切替装置を並列に並べて、上述の光ミキサーの代わりに2台の1対2型光制御型光路切替装置を逆向きに並列に並べて接続することにより、2対2型光制御型光路切替装置が構成できる。この方法により、6対6型光制御型光路切替装置を構成するためには、12台の1対7型光制御型光路切替装置が必要となり、装置構成が煩雑になる。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバーを用いた同一の光路切替装置により、1つの信号光を13以上の複数の光路に切り替え可能とする、光路切替装置および光信号の光路切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光路切替装置および光信号の光路切替方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0012】
本願請求項1に係る発明の光路切替装置は、
7芯バンドル光ファイバーの中心に配置された光ファイバーであって、1端は1種類以上の波長の信号光の光源に接続され、他端の端面から前記信号光を出射する1本の信号光照射ファイバーと、
前記1本の信号光照射ファイバーの周囲に最密に配置された6本の光ファイバーであって、1端は前記信号光とは異なる特定波長の制御光の光源に各々接続され、他端の6つの端面はいずれも前記信号光の出射端面と同一の平面上に配置され、これらの端面から前記制御光を、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接するいずれか2つの端面から2本並列で出射する6本の制御光照射ファイバーと、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成素子と、
前記光吸収層に前記制御光と前記信号光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束させて入射させる第1の集光手段と、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらずに、または、前記制御光が照射され進行方向が変更されて、前記熱レンズ形成素子から広がりながら出射する信号光を受光し、コリメートする受光レンズと、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらずに前記熱レンズ形成素子から前記受光レンズを経て直進してくる直進信号光と、前記制御光が照射され進行方向が変更されて前記熱レンズ形成素子から前記受光レンズを経て進行してくる光路切替信号光との、直進信号光進行方向に対する光路切替信号光の進行方向の角度差を大きくするための[6N]角錐台プリズムであって、前記直進信号光は[6N]角錐台の底面と台面のなす平板部分に垂直に入射して更に直進し、一方、前記光路切替信号光は、[6N]角錐台の底面と[6N]面の斜面のいずれか1つが構成するくさび型プリズム部分を通過することで前記角度差が拡大して出射するよう載置された[6N]角錐台プリズムと、
前記[6N]角錐台プリズムから出射した信号光を集光する第2の集光手段と、
前記第2の集光手段により集光された信号光の内、制御光が照射されず直進する信号光を受光する1つの直進信号光受光ファイバーと、前記直進信号光受光ファイバーと中心軸を共有する円筒上に等間隔かつ並列に束ねられ配置されていて、第2の集光手段により集光された信号光の内、制御光が照射されて光路切替された信号光を各々受光する[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーとから構成される光ファイバー受光素子と、
を有し、
前記Nは、2,3または4であり、
前記熱レンズ形成素子は、前記制御光と前記信号光が、光の進行方向で前記光吸収層内において収束したのち拡散することによって、前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因し過渡的に熱レンズが形成され、該熱レンズにより、前記光吸収層内に屈折率分布が生じ、前記信号光の進行方向を変え、光路切替を行い、
前記[6N]角錐台プリズムにおいては、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光は[6N]角錐台プリズムの台面と底面からなる平板部分を通過し、前記第2の集光手段により集光されて前記ファイバー受光素子の中心に載置された直進信号光受光ファイバーに入射し、前記制御光の1つ以上が照射され光路が変更された信号光は[6N]角錐台プリズムの斜面と底面からなるくさび型プリズム断面部分を通過した後、前記第2の集光手段により集光され前記ファイバー受光素子において円筒状に等間隔に整列した[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれかに入射するように、前記制御光は、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接するいずれか2つの端面から2本並列で出射するよう制御されることによって、前記信号光照射ファイバーから出射する信号光の光路を[6N+1]方向へ光路切替することを特徴とする。
【0013】
本願請求項2に係る発明の光路切替装置は、
前記6本の制御光照射ファイバーは1端において、合計6基の制御光光源と各々1対1に接続され、前記6基の制御光光源のいずれか1基、または、互いに隣接するいずれか2基を発振させることで前記信号光照射ファイバーから出射する信号光の光路を、前記6基の制御光光源のいずれも発振せず前記信号光が直進する場合を含め、[6N+1]方向へ光路切替することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置である。
【0014】
本願請求項3に係る発明の光路切替装置は、
少なくとも、
前記光ファイバー受光素子の中心の信号光受光ファイバーの1端に接続された光電変換素子を有する1基の光信号受信ユニットと、
前記光ファイバー受光素子の周辺の[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれか1本の1端に接続された光電変換素子と、
1または2基の制御光光源と、
前記1または2基の制御光光源に各々接続された1本の制御光伝搬ファイバーと、
を各々有する[6N]基の光信号受信ユニットと、
前記6本の制御光照射ファイバーのいずれか1本を1端とし、[N+1]本の他端が前記制御光伝搬ファイバーのいずれか1本に接続された、6基の1対[N+1]型合波器と、
を有する光路切替装置であって、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、特定の6基からの各1本の制御光伝搬ファイバーのいずれか1本は前記1対[N+1]型合波器の特定の1基と1対1に接続し、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、前記特定の6基を除く光信号受信ユニットからの各2本の制御光伝搬ファイバーは各々、互いに隣接する2本の制御光照射ファイバーに接続した特定の前記合波器に各々2対2に接続することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置である。
【0015】
本願請求項4に係る発明の光路切替装置は、
少なくとも、
前記光ファイバー受光素子の中心の信号光受光ファイバーの1端に接続された光電変換素子を有する1基の光信号受信ユニットと、
前記光ファイバー受光素子の周辺の[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれか1本の1端に接続された光電変換素子と、
2基の制御光光源と、
前記2基の制御光光源に各々接続された1対の制御光伝搬ファイバーと、
を各々有する[6N]基の光信号受信ユニットと、
前記6本の制御光照射ファイバーのいずれか1本を1端とし、[N+1]本の他端が前記制御光伝搬ファイバーのいずれか1本に接続された、6基の1対[N+1]型合波器と、
を有する光路切替装置であって、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、特定の6基からの各1対の内、1本の制御光伝搬ファイバーは前記1対[N+1]型合波器の特定の1基と1対1に接続し、
各々1対の内の残りの1本は何にも接続しないダミーファイバーとし、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、前記特定の6基を除く光信号受信ユニットからの各2本の制御光伝搬ファイバーは各々、互いに隣接する2本の制御光照射ファイバーに接続した特定の前記合波器に各々2対2に接続することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置である。
【0016】
本願請求項5に係る発明の光路切替装置は、
前記光ファイバー受光素子は、
少なくとも、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光を受光する、中心に載置された光ファイバー(以下、「中心光ファイバー」という。)と、
前記中心光ファイバーと中心軸を共通とする円周上に、次の5通りの形態から選択される1つの形態で、等間隔に並列配置された[6N]本の周辺光ファイバーからなることを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置である。
(1)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]とし、その周辺に隙間なく前記[6N]本の周辺光ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(2)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、中心光ファイバーのクラッド径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]とし、その周辺に隙間なく前記[6N]本の周辺光ファイバーが載置されている。
(3)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]よりも大きくし、
前記フェルールの表面に前記周辺光ファイバーを載置するためのV字型断面の溝を[6N]本、等間隔で設け、前記V字型断面の溝毎に前記周辺光ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(4)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))+1〕]よりも大きくし、
前記フェルールの中心軸から半径[r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]よりも大きい半径の円周上に等間隔で設けられた[6N]個の孔に各々周辺ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(5)中心光ファイバーの周辺に[6(N−1)]本の、中心光ファイバーと同じ外径の位置決め用光ファイバーを最密に載置し、更に、前記位置決め用光ファイバーの周囲に[6N]本の中心光ファイバーと同じ外径の周辺光ファイバーが最密に載置されている。
【0017】
本願請求項6に係る発明の光信号の光路切替方法は、
1本の信号光照射光ファイバーの端面から1種類以上の波長の信号光を出射させ、
前記信号光照射光ファイバーの周囲に最密に配置された6本の制御光照射光ファイバーの端面から前記信号光とは異なる特定波長の制御光を、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接する2つの端面から同時に出射させ、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成素子に、前記信号光と前記制御光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束するよう集光して照射し、
前記信号光については前記熱レンズ形成素子を透過させ、
前記制御光については前記熱レンズ形成素子内の前記光吸収層において光吸収、光吸収に伴う温度上昇、温度上昇に伴う密度低下、密度低下に伴う屈折率低下を、前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こさせ、その結果、熱レンズを過渡的に形成させて、前記信号光の進行方向を変えて光路切替させ、
前記熱レンズ形成素子から広がりながら出射する直進および光路切替信号光を受光レンズにてコリメートし、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光は[6N]角錐台プリズムの台面と底面がなす平板部分を通過させ、
前記制御光が照射され光路切替された信号光は前記[6N]角錐台プリズムの台面と斜面がなすくさび型プリズム部分を通過させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった前記直進信号光は受光素子の1つの中心素子へ収束入射させ、
前記制御光が照射されて進行方向が切替られた光路切替信号光は、前記中心素子を中心として受光素子の周辺の円周上に等間隔で並列に配置された受光素子の[6N]周辺素子へ収束入射させ、
前記Nは2、3または4であり、
前記信号光の光路を、直進の1方向と周辺への[6N]方向との合計[6N+1]の方向へ光路切替する、
ことを特徴とする光信号の光路切替方法である。
【0018】
本願請求項7に係る発明の光信号の光路切替方法は、
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の制御光光源を、いずれか1基が単独で、または、互いに隣接する2基が同時に発振するよう電気的に制御することを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法である。
【0019】
本願請求項8に係る発明の光信号の光路切替方法は、
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の合波器へ6基以上の制御光光源からの制御光を1つの合波器へ単独で、または、互いに隣接する2つの合波器へ同時に伝搬させることを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法である。
【0020】
本願請求項9に係る発明の光信号の光路切替方法は、
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々直接接続された6基の制御光光源の照射の有無および照射強度を、予め定められた試行錯誤方式プログラミングに従って自動的に調整し、前記信号光が光路切替されて収束入射される前記受光素子の[6N]周辺素子のいずれか1つへの光路切替を最適化する手順を含むことを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法である。
【0021】
本願請求項10に係る発明の光信号の光路切替方法は、
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の合波器を経由して接続された6基以上の制御光光源の照射の有無および照射強度を、予め定められた試行錯誤方式プログラミングに従って自動的に調整し、前記信号光が光路切替されて収束入射される前記受光素子の[6N]周辺素子へのいずれかへの光路切替を最適化する手順を含むことを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光路切替装置および光信号の光路切替方法は、次の効果を奏する。すなわち、1種類以上の波長の信号光を同一の光学装置により13,19または25の方向に光路切り替えが可能となり、複数の1対2〜6型光路切替装置を組み合わせて使用する方法に比較して、省スペース、低消費電力、利便性向上等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】本発明の第1〜第2の実施の形態に共通の光路切替装置の斜視概念図であり、制御光が照射されない場合と、1つの制御光1011が照射された場合の信号光の光路を比較して図示したものである。
【図1b】本発明の第1〜第2の実施の形態に共通の光路切替装置の斜視概念図であり、制御光が照射されない場合と、2つの制御光1012および1013が同時に照射された場合の信号光の光路を比較して図示したものである。
【図2a】図1aの場合における熱レンズ111による信号光・光路切替の様子を理解しやすくするため、レンズ2,3,6,8を省略し、要所を拡大して図示した概念図である。
【図2b】図1bの場合における熱レンズ112および113による信号光・光路切替の様子を理解しやすくするため、レンズ2,3,6,8を省略し、要所を拡大して図示した概念図である。
【図3】本発明の第1〜第2の実施の形態に共通の光路切替装置において共通に用いられる照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の出射端面を表す概念図である。
【図4】本発明の第1〜第2の実施の形態に共通の光路切替装置において共通に用いられる13芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面を表す概念図である。
【図5a】本発明の第1〜第2の実施の形態に共通の光路切替装置において共通に用いられる12角錐台プリズムの1例の平面図(a)および側面図(b)である。
【図5b】本発明で用いられる[6N]角錐台における光線の入射と出射を表す概念図である。
【図6】本発明で用いられる[6N]芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面における受光光ファイバー端面(受光チャンネル)の配置をNが(a)2の場合、(b)3の場合、および、(c)4の場合について表した概念図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置における光ファイバー受光素子から受光側光送受信装置への光ファイバー配線(実線の矢線)、および、受光側光送受信装置から6個の制御光光源への電気信号線(鎖線の矢線)を図示した概念図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の光路切替装置における光ファイバー受光素子から受光側光送受信装置への光ファイバー配線(実線の矢線)、および、受光側光送受信装置が各々2基搭載する制御光光源から6基の光合波器を経由し制御光照射ファイバーへ結合する光ファイバー結線(鎖線の矢線)を図示した概念図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置において用いられる13芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面の1例を表す概念図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置において用いられる13芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面の1例を表す概念図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置において用いられる13芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面の1例を表す概念図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の光路切替装置における受光側の端面19(13)芯バンドル光ファイバー受光素子の受光端面を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
〔第1の実施形態〕
図1a,1b、図2a,2b、図3、図4、図5a,5bおよび図7を参照して本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置を説明し、併せて光信号の光路切替方法を説明する。なお、各図面において共通の構成要素については同一の符号を付して表している。
【0026】
本発明の光路切替装置は共通して、以下に記述するような構成要素からなり、機能を発揮する。図1aおよび図1bに示すように、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の信号光照射ファイバー10の端面から出射した信号光1000はコリメートレンズ2によってコリメートされ、次いで集光レンズ3によって集光され、熱レンズ形成素子4に照射される。ここで、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバー11〜16(図3に示す)のいずれからも制御光が照射されない場合、信号光1000は制御光吸収層5に吸収されず、直進し、受光レンズ6、12角錐台プリズム7の底面770と台面700(図5aに示す)のなす平板部分780(図5bに示す)を通過し、結合レンズ8にて収束されて、13芯バンドル光ファイバー受光素子9の中心に載置された光ファイバーのコア900に入射する。
【0027】
熱レンズ形成素子4は上記信号光1000の波長、例えば1250〜1600nmは透過し、一方、制御光1011〜1013の波長、例えば980nmを選択的に吸収する制御光吸収層5を有する。熱レンズ形成光素子4としては、例えば、厚さ500μmの石英製円板2枚と厚さ500μmの石英製スペーサーからなる直径8〜10mmのコイン型の溶液セルに、吸収極大波長950ないし1050nmであって信号光の波長帯域、例えば1310ないし1600nmの帯域に光吸収のない有機色素を沸点範囲290ないし300℃の有機溶剤に溶解し、液厚500μmの場合で980nmの吸光度を5.0以上に濃度調整した色素溶液を充填し、注入孔をエポキシ接着剤で密閉したものが用いられる。言うまでもなく、色素溶液は制御光吸収層5の色素吸収層として作用する。
【0028】
このような熱レンズ形成素子4へ、その制御光吸収層5が吸収する波長の制御光を、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア11〜16の1つまたは隣接する2つから照射させ、コリメートレンズ2によってコリメートし、次いで集光レンズ3によって集光し、熱レンズ形成素子4の特定の位置に照射し、制御光吸収層5の内部に熱レンズを形成させる。図1aおよび図2aに例示するように、例えば、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア11から制御光1011のみが出射した場合、熱レンズ形成素子4の制御光吸収層5を通過している信号光ビームの数十μm上方に熱レンズ111が形成され、信号光ビームは熱レンズから遠ざかる方向、この場合、下方に光路切替され、点線の矢線で表示された信号光1101として、受光レンズ6を通過した後、12角錐台プリズム7の底面770と傾斜面707(図5aに示す)からなるくさび型プリズム部分787(図5bに示す)を通過することで光路切替され、この場合、上方に進行する信号光ビーム1102として結合レンズ8を通過した後、収束された信号光ビーム1901として13芯バンドル光ファイバー受光素子9の「時計の12時の位置」に配置された周辺光ファイバーのコア901に入射する。また、図1bおよび図2bに例示するように、例えば、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア12および13から2本の制御光1012および1013が出射した場合、熱レンズ形成素子4の制御光吸収層5を通過している信号光ビームの数十μm右方に熱レンズ112および113が形成され、信号光ビームは熱レンズから遠ざかる方向、この場合、左方に光路切替され、点線の矢線で表示された信号光12131として、受光レンズ6を通過した後、12角錐台プリズム7の底面770と傾斜面710または704(図5aに示す)からなるくさび型プリズム部分を通過することで光路切替され、この場合、右方に進行する信号光ビーム12132として結合レンズ8を通過した後、収束された信号光ビーム1904として13芯バンドル光ファイバー受光素子9の「時計の3時の位置」に配置された周辺光ファイバーのコア904に入射する。
【0029】
同様にして、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア11〜16(図3に示す)の1つまたは隣接する2つから制御光照射させることで、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の信号光照射ファイバー10の端面から出射した信号光1000を光路切替して、13芯バンドル光ファイバー受光素子9の「時計の12,1〜11時の位置」に配置された周辺光ファイバーのコア901〜912(図4に示す)のいずれかへ入射させることができる。すなわち、制御光が照射されない場合の信号光の直進および13芯バンドル光ファイバー受光素子9の中心に載置された光ファイバーのコア900への入射を含め、信号光1000の光路を13方向に切り替えることが可能となり、1対13型光路切替装置が提供される。照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア11〜16からの制御光照射と、光路切替後の受光側13芯バンドル光ファイバー7への信号光入射の詳細については後述する(表1,2参照)。
【0030】
以下、本発明の光路切替装置に共通して用いられる構成要素の各々について、順を追って説明する。
【0031】
照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の出射端面の概略構成を図3に示す。照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1は、熱レンズ方式の光制御光スイッチを構成する重要な素子の1つである。すなわち、熱レンズ形成素子4の内部に過渡的に形成された熱レンズを用いて信号光1000の進行方向を、信号光のビーム断面のエネルギー分布をガウス分布(光路切替された信号光を光ファイバーに戻す上で重要な条件である)のまま、変更するためには、平行して進行する信号光と制御光のビーム中心間の距離を25ないし40μmに制御する必要があることが実験的に確認されており、この条件を繊細な光学系の調整無しに実現するために端面近接7芯バンドル光ファイバーが開発された。
【0032】
照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1は、信号光の波長のレーザー伝搬に好適なシングルモード光ファイバー1本を中心に置き、その周りに、制御光の波長のレーザー伝搬に好適なシングルモード光ファイバー6本を、以下の条件で最密に束ねたものである。
(1)合計7本のファイバーの外径(以下、クラッド径ともいう)を±1μm未満、好ましくは±0.3μmの精度で揃える。
(2)前記クラッド径は40μm以下が好ましい。
【0033】
例えば、信号光の波長1310〜1490nmの伝搬に適合した光ファイバー(コア径約10μm、クラッド径125μm)および制御光の波長980nmの伝搬に適した光ファイバー(コア径約8μm、クラッド径125μm)を、それぞれ、フッ化水素−フッ化アンモニウム水溶液にて室温でエッチングしてクラッド径を39μmとし、クラッド径の公差が上記条件を満足することを確認し、信号光用光ファイバー1本を中心に置き、制御光用光ファイバー6本をその周辺に配置して束ね、エポキシ接着剤31とともに、セラミック製フェルール30の孔に挿入し、接着剤を硬化させた後、束ねた方の端面をフェルールとともに垂直に研磨することによって、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1を製造することができる。
【0034】
照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の非結束末端は、中心の1本の信号光用ファイバーは信号光光源(図示せず)に、周辺の6本の制御光用ファイバーは、制御光光源およびその制御装置211〜216(図7の場合)または制御光合波器811〜816(図8の場合)に接続される。
【0035】
本発明の第1の実施の形態においては、以下、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の非結束末端の内、周辺の6本の制御光用ファイバーを6基の制御光光源およびその制御装置211〜216に接続した場合(図7)について詳細に説明する。なお、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の6本の制御光用ファイバーを6基の制御光光源に1対1に接続する方式は、用途として、例えば、複数の光ファイバーセンサーからの信号を、光信号解析装置の手前で、光−光スイッチで切り替える場合に好適に用いられる。
【0036】
照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1を構成する7本の光ファイバーのクラッド径は、熱レンズ効果のみを効率良く発揮させるためには40μm以下、可能であれば25μm程度が好ましい。しかしながら、クラッド径を40μmよりも小さくすると、コア内を伝搬するレーザーの閉じ込めが充分行えず、伝搬損失が増大する(トンネル効果)、また、外力に対する強度が著しく低下し7本束ねる際の歩留まりが極めて悪化する、などの制約が大きくなる。これらの相反する事象のバランスを考慮すると、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1を構成する7本の光ファイバーのクラッド径は、38ないし40μm程度が最適である。
【0037】
以上の制約を解消し、熱レンズ効果を効率良く発揮させるため、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の端面から各々出射する信号光および制御光を、コリメートレンズ2および集光レンズ3からなる縮小光学系によって、熱レンズ形成素子4の制御光吸収層5において、信号光ビームの中心軸と制御光ビームの中心軸の垂直方向の間隔を30μm程度まで近づけることができる。例えば、コリメートレンズ2および集光レンズ3として、焦点距離2mmの非球面凸レンズを共通に使用することで、約0.8倍の縮小光学系を構成し、上記の要請に応え、信号光ビームの中心軸と制御光ビームの中心軸の垂直方向の間隔を30μm程度まで近づけることができる。なお、コリメートレンズ2および集光レンズ3の焦点距離は2mmに限定されるものではなく、4mmや8mmなど、特に制約はない。
【0038】
熱レンズ形成素子4の後方に載置される受光レンズ6および結合レンズ8として、上記のコリメートレンズ2および集光レンズ3と同一仕様の非球面凸レンズを用いることができる。言うまでもなく、受光レンズ6および結合レンズ8の仕様に特に制約はない。
【0039】
受光レンズ6および結合レンズ8の間に設置する[6N]角錐台プリズム7は、制御光が照射されず進行方向が変わらずに熱レンズ形成素子4から受光レンズ6を経て直進してくる直進信号光と、制御光が照射され進行方向が変更されて熱レンズ形成素子4から受光レンズ6を経て進行してくる光路切替信号光との、直進信号光進行方向に対する光路切替信号光の進行方向の角度差を大きくするために用いられる。Nが2の場合に相当する12角錐台プリズムの平面図および側面図を図5aに示す。
【0040】
図5bに示すように、制御光が照射されない場合、直進信号光1000は[6N]角錐台7の底面770と台面700のなす平板部分780に垂直に入射して更に直進し、一方、前記光路切替光は、[6N]角錐台の底面770と[6N]面の斜面のいずれか1つ、例えば斜面707が構成するくさび型プリズム部分787を通過することで前記角度差が拡大して出射する。理解を容易にするため、図5bにおいては、直進信号光1000と平行な信号光1001がくさび型プリズム部分787を通過する場合の屈折の様子を図示している。
【0041】
[6N]角錐台7を構成するガラス素材の屈折率をn(例えば光の波長1.31μmのときnは1.504)、空気の屈折率をn(空気の屈折率は1.000)とすると、[6N]角錐台7のくさび型プリズムの角度θと、底面770に垂直入射した光1001(前記信号光1000と平行)がくさび型プリズム部分787の斜面707から出射する角度θ’(図5b参照)の関係はスネルの法則から、以下のように記述される:
[数1]
n×sinθ = n×sinθ’ …〔1〕
【0042】
θおよびθ’が小さい場合、式〔1〕は次のように近似される(屈折率の3桁目に誤差が発生):
[数2]
1.504×θ ≒ θ’ …〔2〕
【0043】
信号光1000は、受光レンズ6によってコリメートされているので、結合レンズ8の焦点の位置に像を結び、光ファイバー受光素子9の中心ファイバーの中心と周辺ファイバー中心との間隔をL[mm]とし、結合レンズ8の焦点距離をf(例えば、2mm)とすると、
[数3]
L = f×tan[θ’−θ] …〔3〕
式〔3〕に、近似式〔2〕を適用すると、
[数4]
L = f×tan[0.504×θ] …〔4〕
すなわち、
[数5]
θ = [tan−1(L/f)]/0.504 …〔5〕
例えばLを0.2415mm、fを2mmとすると、
[数6]
θ = 13.66° …〔6〕
【0044】
なお、光ファイバー受光素子9の中心ファイバーの中心と周辺ファイバー中心との間隔が0.2415mmになるのは、後に13芯バンドル光ファイバー受光素子9の構造について詳しく述べるように、クラッド径125.0μmの光ファイバー12本(図4の901〜912)を直径358.0μmのフェルールの周囲に隙間なく並列させた場合である。また、クラッド径40.0μmの光ファイバー12本(図4の901〜912)をクラッド径114.5μmの中心光ファイバーの周囲に隙間なく並列させた場合、Lは0.07727mmであり、θは4.39°である。
【0045】
受光レンズ6および結合レンズ8の間に設置する[6N]角錐台プリズム7の斜面の数は、Nが2,3,4の場合、それぞれ12,18,24である。Nの値の上限が4である理由は後で述べる。[6N]角錐台プリズム7の斜面の配置については、制御光が照射されない場合において、直進信号光1901が[6N]角錐台プリズム7の台面700の中心を通過し、制御光が照射された場合においては、例えば、図1aにおいて制御光が照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光出射ファイバーのコア11から制御光1011が照射された場合、光路変更された信号光1101が、[6N]角錐台プリズム7の斜面707(図5b参照)を通過するよう、[6N]角錐台プリズム7の斜面は載置される。なお、直進信号光1000や光路切替信号光1101が入射するのは、[6N]角錐台プリズム7の底面770からであっても、台面700または斜面701〜712からであっても、どちらでも差し支えない。図1a,1bにおいては[6N]角錐台プリズム7の底面770から信号光が入射する配置を想定している。
【0046】
[6N]角錐台プリズム7に用いられる素材としては、上記の式〔1〕以降の計算を行うため、使用する信号光の波長(例えば1310nm)における屈折率が確定している光学ガラスを用いる必要がある。[6N]角錐台プリズム7は公知の切削・研磨法、または、ガラスモールド法によって好適に製造される。なお、[6N]角錐台プリズム7の構造を正確に表現すると、図5bに断面を示すように、[6N]角柱に[6N]角錐台を重ねたものである。これは、[6N]角錐台プリズムの縁が鋭角なままであると製造時に破損しやすくなるためである。直進信号光1000は錐台の台面を通過し、光路切替信号光1101などは台面の近傍の錐台の斜面を通過するため、[6N]角柱に[6N]角錐台を重ねた形状であっても差し支えない。
【0047】
本発明で用いられる受光側の[6N+1]芯バンドル光ファイバーの概念図を図6に示す。図6の(a),(b),(c)は各々、Nが2,3,4の場合に対応し、それぞれ13芯、19芯、25芯である。中心光ファイバーと中心軸を共有する円筒上に[6N]本の外径[2r]光ファイバーを最密に並列に束ねる場合、円筒の半径Rは式〔7〕で求められる。
[数7]
R = r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕 …〔7〕
【0048】
例えば、Nが2(13芯バンドル)の場合、クラッド径[2r]が一般的な125μmの場合、Rは178.98μmである。同様にNが3(19芯バンドル)、4(25芯バンドル)の場合、Rは各々、297.42、416.33μmである。Rが約0.4mm程度まで大きくなると、光路切替信号光が受光光ファイバーへ入射する角度が、理想的な値である90度から乖離するため、信号光の光ファイバーへの結合効率が低下してしまう。そこで、25芯バンドルの場合、クラッド径[2r]を40μmとすると、Rを133.23μmまで小さくすることができ、上記のような結合効率の低下は回避できる。ところが、隣り合った外周光ファイバーのコア間間隔が40μmまで接近するため、チャンネル間のクロストークが大きくなるという別の障害が問題となる。以上勘案し、Nの上限を4とした。
【0049】
本発明で用いられる受光側の13芯バンドル光ファイバー受光素子9,91,92,66の端面の概略構成を表す概念図を各々図4,9〜12に示す。これらの受光素子に用いられる光ファイバー900〜912は信号光の波長、例えば、1310〜1600nmの伝搬に適合したシングルモード光ファイバーが用いられ、そのコア径は概ね10μmである。
【0050】
図4に示す13芯バンドル光ファイバー9は、中心の孔にクラッド直径dの光ファイバー900が挿入された直径dのセラミックまたはガラス製内周フェルール441の周囲に12本の、クラッド径dの光ファイバー901〜912を最密に並べて、孔の内径dのセラミックまたはガラス製外周フェルール431の孔に接着剤421とともに挿入し、接着剤を硬化させた後、結束端の端面を垂直に研磨したものである。接着剤としては硬化時の体積収縮が少ない、エポキシ樹脂系またはシリコーン樹脂系接着を好適に用いることができる。
【0051】
光ファイバー901〜912のクラッド径dと内周フェルール441の外径dとの関係は式〔8〕で表される:
[数8]
= d〔1/sin(360/(6N×2))−1〕 …〔8〕
【0052】
また、光ファイバー901〜912のクラッド径dと光ファイバー901〜912のコアの中心が並ぶ円周の直径dとの関係は式〔9〕で表される:
[数9]
= d〔1/sin(360/(6N×2))〕 …〔9〕
【0053】
また、光ファイバー901〜912のクラッド径dと外周フェルール431の孔の内径dとの関係は、挿入を容易にするための隙間をΔdとして式〔10〕で表される:
[数10]
= Δd + d〔1/sin(360/(6N×2))+1〕 …〔10〕
【0054】
フェルールの孔へ光ファイバーの束を挿入するための隙間Δdは光ファイバー901〜912のクラッド径dの公差が±0.3μm以下の場合、1.0μm程度が好ましい。光ファイバー901〜912のクラッド径dが一般的な光ファイバーの場合の125μmの場合、式〔8〕〜〔10〕においてNを2として、dは358.0μm、dは483.0μm、dは608.0μmである。この場合、外周フェルール431の外径は、例えば1mmであれば強度面で充分である。
【0055】
光ファイバー901〜912として、クラッド径40.0μmのものを用いた場合、内周フェルール441の外径dは114.5μmと計算される。この場合、内周フェルール441の孔に中心光ファイバーを挿入するよりも、中心光ファイバーのクラッド径を125μmから114.5μmまでエッチングし、その周辺に12本のクラッド径40μmファイバーを隙間なく並べ、内径195.5μmの孔を有する外周フェルールに接着剤とともに挿入する方法の方が好ましい。
【0056】
また、内周フェルール441の代わりに、クラッド径125μmの光ファイバーをエッチングすることなく使用する場合は、周辺光ファイバーとしてクラッド径43.65μmにエッチングした光ファイバー901〜912を好適に使用することができる。
【0057】
図4に示すように円筒型の内周フェルール441を用いる場合、光ファイバー901〜912を外周フェルールに挿入する作業が容易でない、また、光ファイバー901〜912が捻れたり蛇行したりする、などの課題がある。そこで、内周フェルールの直径dを大きくしたd(図9)またはd(図10)とし、内周フェルールの表面にV字型断面の溝を設けることで、この課題を解決することができる。
【0058】
図9はV字型断面の溝を設けた内周フェルール442を用いた13芯バンドル光ファイバー受光素子91の端面を表した概念図であって、外周光ファイバー901〜912は隙間なく並列している。すなわち、光ファイバー901〜912のコアの中心が並ぶ円周の直径dは図4の場合と同一である。
【0059】
図10はV字型断面の溝を設けた内周フェルール443を用いた13芯バンドル光ファイバー受光素子92の端面を表した概念図であって、外周光ファイバー901〜912は隙間を開けて並列している。すなわち、光ファイバー901〜912のコアの中心が並ぶ円周の直径dは図4の場合のdよりも大きい。
【0060】
図11は、13基の孔を設けたセラミック製またはガラス製フェルール999の中心孔980に中心光ファイバー900を、周辺の孔981〜992に周辺光ファイバー901〜912を挿入し、接着した後、垂直研磨した端面を図示したものである。光ファイバー901〜912のコアの中心が並ぶ円周の直径d10は図4の場合のdよりも大きい。孔980の内径d12、孔981〜992の内径d11ともに、例えば、挿入する光ファイバーのクラッド径125μmに対して、クラッド径の公差が±0.5μmの場合、1.0μm程度大きくすることで、挿入を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、図4,9〜11におけるフェルール441,442,443,999の長さについては、当該フェルールの直径と同等以上であれば、特に制約はない。
【0062】
以上で説明した13芯バンドル光ファイバー受光素子9,91において、光ファイバー901〜912のコアの中心が並ぶ円周の直径dの1/2(半径)は、光ファイバー901〜912のコアの中心と中心ファイバー900のコアの中心との距離Lである:
[数11]
L = d/2 …〔11〕
【0063】
式〔5〕と式〔11〕に直径dの値と結合レンズ8の焦点距離fの値を代入することで、対応する12角錐台プリズム7の角θ(図5aに示す)を計算することができる。
【0064】
同様にして、13芯バンドル光ファイバー受光素子92,93においては、各々直径d,d10と結合レンズ8の焦点距離fから対応する12角錐台プリズム7の角θを計算することができる。
【0065】
図12の19芯バンドル光ファイバー受光素子66(実質、13芯バンドル光ファイバー受光素子、以下「19(13)芯バンドル光ファイバー受光素子66」という)は、これまで述べてきたものと異なり、12本の外周光ファイバー601〜672は同一円周上には配置されず、全部で19本の光ファイバーを最密充填で束ねたものの、最外周に位置する。この場合、中心光ファイバー600の周りの6本の光ファイバー621〜626は、19本最密充填配置のためのダミーファイバーである。
【0066】
この配置の場合、中心光ファイバーのコア600の中心と、周辺光ファイバーのコアとの中心間距離はd13とd14の2通りとなり、d13とd14は、式〔12〕の関係にある。
[数12]
14 = (1/2×√3)×d13 …〔12〕
【0067】
例えば、クラッド径が125μmの光ファイバー19本を最密に束ねた場合、d13は250.0μmに対し、d14は216.5μmである。
【0068】
従って、19(13)芯バンドル光ファイバー受光素子66に対応する12角錐台プリズム(図示せず)は、角度θ1とθ2の2種類の傾きの斜面が交互に並んだ形状となり、台面は正12角形ではなくなる。
13が250.0μm、fが2mmの場合、θ1は14.14°である。
14が216.5μm、fが2mmの場合、θ2は12.26°である。
【0069】
以上説明したような13芯バンドル光ファイバー受光素子9,91,92,93および19(13)芯バンドル光ファイバー受光素子66の束ねられていない側の光ファイバー901〜912の端面に到達した信号光は、そのまま、信号光の波長のレーザーとして利用することもできるが、通常は、文字通り、信号光の運んだ信号は光ファイバー921〜932を通じて光信号送受信装置221〜232に接続され、光信号送受信装置221〜232に内蔵された光電変換素子によって電気信号に変換され、利用される。また、信号光光源から光信号送受信装置221〜232のいずれかに光路が切り替えられて接続している場合、光信号送受信装置221〜232に信号光光源が搭載されていて、信号光の光源側にも光電変換素子などが搭載されている場合、光信号送受信装置221〜232から信号光光源側へ光信号を送り返すこともできる。
【0070】
本発明の第1の実施の形態においては、以下、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の非結束末端の内、周辺の6本の制御光用ファイバーを6基の制御光光源およびその制御装置211〜216に接続した場合(図7)について詳細に説明しているが、この場合、制御光照射の制御を6基の制御光光源およびその制御装置211〜216のみで行うことも、光信号送受信装置221〜232から制御光光源の制御装置211〜216へ、電気信号線241〜252,262〜272によって制御光点灯のための電気信号を送ることもできる。電気信号線としては平行コードまたは芯線が1本以上の同軸ケーブルを好適に用いることができる。光信号送受信装置221〜232の内、制御光が1つ単独で照射された場合に信号光が到達する光信号送受信装置221,223,225,227,229,231から制御光光源およびその制御装置211〜216への電気信号線は1本ずつで良い。互いに隣り合う制御光のいずれか2つが同時に照射された場合に信号光が到達する光信号送受信装置222,224,226,228,230,232から制御光光源およびその制御装置211〜216への電気信号線は各々2本ずつが、互いに隣り合う制御光光源およびその制御装置211〜216のいずれか2基へ接続される。図7はこのような制御系の配線と信号光の光ファイバーの接続の様子を図示した概念図である。また、個々の構成要素の符号の組合せを表1に掲げる。
【0071】
【表1】

【0072】
次に、第1の実施形態における光路切替装置における動作ならびに信号光の光路切替方法の1例を、図1a〜1b,図2a〜2b,図3〜4,図5a,図5b,図6〜7を用いて以下に説明する。
【0073】
照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の中央光ファイバーのコア10から信号光1000が出射され、周辺光ファイバー11〜16のいずれからも制御光が出射されなかった場合、直進信号光1000は、12角錐台プリズム7の底面770および台面700を通過して、受光側の13芯バンドル光ファイバー受光素子7の中央光ファイバーのコア900で受光される。一方、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー10の中央光ファイバー10から信号光1000が出射され、周辺光ファイバー11から制御光1011が出射された場合、信号光1000は熱レンズ形成素子4内に形成された熱レンズ111(図1a,2a)で光路が変更され、12角錐台プリズム7の底面770およびの斜面707(図5a)を通過して、受光側13芯バンドル光ファイバー受光素子7の周辺光ファイバーのコア901で受光される。また、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー10の中央光ファイバー10から信号光1000が出射され、周辺光ファイバー12から制御光1012が出射された場合、信号光1000は熱レンズ形成素子4内に形成された熱レンズ112で光路が変更され、12角錐台プリズム7の底面770およびの斜面709(図5a)を通過して、受光素子である受光側の13芯バンドル光ファイバー受光素子7の周辺光ファイバー903で受光される。また、照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー10の中央光ファイバー10から信号光1000が出射され、互いに隣接する周辺光ファイバー12および13から制御光が同時に出射された場合、信号光1000は熱レンズ形成素子4内に形成された熱レンズ112および113(図1b)で光路が変更され、12角錐台プリズム7の底面770およびの斜面710(図5a)を通過して、受光側13芯バンドル光ファイバー受光素子7の周辺光ファイバーのコア904で受光される。
【0074】
同様にして、表1に示すような構成要素の組合せによって、制御光のいずれか1つが単独で、あるいは、互いに隣接する制御光のいずれか2が同時に照射されることによって、制御光が照射されない場合の直進方向を含め、合計13方向への光路切替が可能になる。
【0075】
以上より、第1の実施の形態における光路切替装置および信号光の光路切替方法によれば、1×13スイッチが実現する。
【0076】
図6に示すように、13芯、19芯および25芯いずれの場合も、制御光のいずれか1つが単独で照射された場合に接続されるチャンネルch.01,03,05,07,09,11、ch.21,24,27,30,33,36、および、ch.41,45,49,53,57,61以外のチャンネルについては、互いに隣接するいずれか2つの制御光を同時に照射し、更に、2つの制御光の照射強度の組合せを変えることによって、接続先を選択する。図6(b)19芯の場合、18角錐台プリズム、また、(c)25芯の場合、24角錐台プリズムが用いられる。
【0077】
図6に示す、Nが2,3,4いずれの場合も、前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々直接接続された6基の制御光光源の照射の有無および照射強度を、予め定められた試行錯誤方式プログラミングに従って自動的に調整し、前記信号光が光路切替されて収束入射される前記受光素子の[6N]周辺素子のいずれか1つへの光路切替を最適化する手順を行うことで、本発明の第1の実施の形態の光路切替装置の初期設定を完了し、本発明の第1の実施の形態の信号光の光路切替方法を確実に実施することができる。
【0078】
〔第2の実施形態〕
図8を参照して本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置を説明し、併せて複数光信号の光路切替方法を説明する。なお、図8において、図を見やすくするため、受光側光送受信装置が各々2基搭載する制御光光源からの光ファイバーの内、光合波器へ接続されないもの(これをダミーファイバーと呼ぶ)は図示していない。
【0079】
また、本発明の第1の実施形態との相違は、制御光照射ファイバーのコア11〜16に各々接続された制御光合波器811〜816、受光側の13芯バンドル光ファイバー7からの信号光ファイバー940〜952が各々接続された、光信号受信ユニットとしての光信号送受信装置820〜832、光信号送受信装置821〜832と制御光合波器811〜816を結んだ制御光伝達用光ファイバー841〜852,862〜872を用いる点である。また、光信号送受信装置821,823,825,827,829,831は各々少なくとも1基の制御光光源(レーザーダイオード)を、光信号送受信装置822,824,826,828,830,832は各々必ず2基の制御光光源を搭載している。光信号送受信装置821,823,825,827,829,831からの制御光伝達用光ファイバー841,843,845,847,849,851は各々制御光合波器811〜816と1対1に接続されている。一方、光信号送受信装置822,824,826,828,830,832の2基の制御光光源は各々1本の制御光伝達用光ファイバー842〜852および862〜872によって、互いに隣接する2基の制御光合波器811〜816のいずれか1基と1対1に接続されている。制御光が照射されない場合の直進信号光が接続される光信号送受信装置820には制御光光源や制御光伝送用ファイバーは無用であるが、制御光の波長の光を用いた光LANを構成し、光信号送受信装置820〜832の間で光通信を行う場合(図示せず)には、光信号送受信装置820にも制御光光源を少なくとも1基搭載し、制御光伝送用ファイバーを接続する。
【0080】
図8に示す本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置を運用する上で、光信号送受信装置820〜832に搭載されている制御光光源が1つの場合と2つの場合を区別して制御光伝達用光ファイバー842〜852および862〜872の中の1本または2本を配線する作業は煩雑であり、誤配線のおそれもある。そこで、前記配線作業を確実かつ簡便にするため、光信号送受信装置820〜832のすべてに各々2基の制御光光源を搭載し、各々に1対(2本)の制御光伝搬ファイバーを接続し、これらの制御光伝搬ファイバーを制御光合波器811〜816に接続する際、光信号送受信装置821,823,825,827,829,831からの1対(2本)の制御光伝搬ファイバーの内の各々1本は、制御光合波器811〜816に接続されないダミーファイバーとすることができる。更に、光信号送受信装置820〜832を本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置に組み込む際のシステム初期化手順として、光信号送受信装置820〜832が各々搭載する2基の制御光光源を、前記光信号送受信装置毎に順番に、1つずつ発振、次いで2つ同時に発振し、光路切替信号光が光信号送受信装置820〜832の各々が搭載する光電変換素子へ到達するよう、各々搭載する2基の制御光光源の1つまたは2つの発振有無と発振強度を、予め設定された試行錯誤方式プログラミングに従って、自動的に制御することによって、装置の光路切替機能を最適化することが可能である。このような本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置の初期化手順としての機能最適化手順は、Nが2のときだけでなく、光信号送受信装置820〜832が各々搭載する2基の制御光光源の照射強度の調整が必要な、Nが3および4の場合(図6参照)において特に有効である。
【0081】
表2は各構成要素の接続の組合せを符号の組合せで表したものである。
【0082】
【表2】

【0083】
例えば、光信号送受信装置821の制御光光源が点灯され、制御光が光ファイバー841、制御光合波器811を経由して照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア11から制御光1011として照射された場合、本発明の第1の実施形態の場合と全く同様にして、信号光1000は光路を切り替えられ、13芯バンドル光ファイバー受光素子9のコア901にて受光され(図1aおよび図2a)、光ファイバー941を通じて、光信号送受信装置821に届けられる。
【0084】
また、光信号送受信装置824の2つの制御光光源が同時に点灯され、制御光が光ファイバー844から制御光合波器813を経由して照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア13から制御光1013として照射され、また、制御光が光ファイバー864から制御光合波器812を経由して照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー1の制御光照射ファイバーのコア12から制御光1012として照射された場合、本発明の第1の実施形態の場合と全く同様にして、信号光1000は光路を切り替えられ、13芯バンドル光ファイバー受光素子9のコア901にて受光され(図1bおよび図2b)、光ファイバー944を通じて、光信号送受信装置824に届けられる。
【0085】
以上より、第2の実施の形態における光路切替装置および信号光の光路切替方法によれば、1×13スイッチが実現する。
【符号の説明】
【0086】
1 照射側端面近接7芯バンドル光ファイバー、
2 コリメートレンズ、
3 集光レンズ、
4 熱レンズ形成素子、
5 制御光吸収層、
6 受光レンズ、
7 12角錐台プリズム、
8 結合レンズ、
9,91,92,93 13芯バンドル光ファイバー受光素子、
10 信号光照射ファイバーのコア、11〜16 制御光照射ファイバーのコア、
30,60 フェルール、
31,61 接着剤、
66 19(13)芯バンドル光ファイバー受光素子、
100 1対13型光路切替装置、
111,112,113 熱レンズ、
211〜216 制御光照射ファイバーのコア11〜16に各々接続された制御光光源およびその制御装置、
221〜232 光路切替信号光受光ファイバーのコア901〜912に接続された光信号送受信装置、
241,243,245,247,249,251 光信号送受信装置221,223,225,227,229,231の制御装置と制御光光源の制御装置211〜216を各々結ぶ電気信号線、
242,244,246,248,250,252 光信号送受信装置222,224,226,228,230,232の制御装置と制御光光源の制御装置211〜216を各々結ぶ電気信号線、
262,264,266,268,270,272 光信号送受信装置222,224,226,228,230,232の制御装置と制御光光源の制御装置211〜216を各々結ぶ電気信号線、
310 信号光照射ファイバーのクラッド、
311〜316 制御光照射ファイバーのクラッド、
400 直進信号光受光ファイバーのクラッド、
401〜412 光路切替信号光受光ファイバーのクラッド、
421,422,423 接着剤、
431,432,433 外周フェルール、
441 内周フェルール、442,443 V字断面溝付内周フェルール、
600 直進信号光受光ファイバーのコア、601〜612 光路切替信号光受光ファイバーのコア、
621〜626 ダミーファイバー、
660 直進信号光受光ファイバーのクラッド、
661〜672 光路切替信号光受光ファイバーのクラッド、
700 12角錐台プリズムの台面、
701〜712 12角錐台プリズムの斜面、
770 12角錐台の底面、
780 12角錐台プリズムの台面700と底面770が構成する平板部分、
787 角錐台プリズムの斜面707と底面770が構成するくさび型プリズム部分、
811〜816 制御光照射ファイバーのコア11〜16に各々接続された制御光合波器、
820 直進信号光受光ファイバーのコア900に接続された光信号送受信装置、
821〜832 光路切替信号光受光ファイバーのコア901〜912に接続された光信号送受信装置、
841,843,845,847,849,851 光信号送受信装置821,823,825,827,829,831に各1基搭載された制御光光源と制御光合波器811〜816を各々結ぶ制御光伝送光ファイバー、
842,844,846,848,850,852 光信号送受信装置822,824,826,828,830,832に各2基搭載された制御光光源の1と制御光合波器811〜816を各々結ぶ制御光伝送光ファイバー、
862,864,866,868,870,872 光信号送受信装置822,824,826,828,830,832に各2基搭載された制御光光源の1と制御光合波器811〜816を各々結ぶ制御光伝送光ファイバー、
900 直進信号光受光ファイバーのコア、901〜912 光路切替信号光受光ファイバーのコア、
921〜932 光路切替信号光受光ファイバーのコア901〜912と光信号送受信装置221〜232の光-電子変換器を各々結ぶ光ファイバー、
940 直進信号光受光ファイバーのコア900と光信号送受信装置820の光-電子変換器を結ぶ光ファイバー、
941〜952 光路切替信号光受光ファイバーのコア901〜912と光信号送受信装置821〜832の光-電子変換器を各々結ぶ光ファイバー、
980 直進信号光受光ファイバーを載置する孔、
981〜992 光路切替信号光受光ファイバーを載置する孔、
999 13孔フェルール、
1000,1001 信号光、
1011,1012,1013 制御光、
1900 直進信号光、
1901,1904,1101,1102,12131,12132 光路切替信号光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7芯バンドル光ファイバーの中心に配置された光ファイバーであって、1端は1種類以上の波長の信号光の光源に接続され、他端の端面から前記信号光を出射する1本の信号光照射ファイバーと、
前記1本の信号光照射ファイバーの周囲に最密に配置された6本の光ファイバーであって、1端は前記信号光とは異なる特定波長の制御光の光源に各々接続され、他端の6つの端面はいずれも前記信号光の出射端面と同一の平面上に配置され、これらの端面から前記制御光を、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接するいずれか2つの端面から2本並列で出射する6本の制御光照射ファイバーと、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成素子と、
前記光吸収層に前記制御光と前記信号光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束させて入射させる第1の集光手段と、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらずに、または、前記制御光が照射され進行方向が変更されて、前記熱レンズ形成素子から広がりながら出射する信号光を受光し、コリメートする受光レンズと、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらずに前記熱レンズ形成素子から前記受光レンズを経て直進してくる直進信号光と、前記制御光が照射され進行方向が変更されて前記熱レンズ形成素子から前記受光レンズを経て進行してくる光路切替信号光との、直進信号光進行方向に対する光路切替信号光の進行方向の角度差を大きくするための[6N]角錐台プリズムであって、前記直進信号光は[6N]角錐台の底面と台面のなす平板部分に垂直に入射して更に直進し、一方、前記光路切替信号光は、[6N]角錐台の底面と[6N]面の斜面のいずれか1つが構成するくさび型プリズム部分を通過することで前記角度差が拡大して出射するよう載置された[6N]角錐台プリズムと、
前記[6N]角錐台プリズムから出射した信号光を集光する第2の集光手段と、
前記第2の集光手段により集光された信号光の内、制御光が照射されず直進する信号光を受光する1つの直進信号光受光ファイバーと、前記直進信号光受光ファイバーと中心軸を共有する円筒上に等間隔かつ並列に束ねられ配置されていて、第2の集光手段により集光された信号光の内、制御光が照射されて光路切替された信号光を各々受光する[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーとから構成される光ファイバー受光素子と、
を有し、
前記Nは、2,3または4であり、
前記熱レンズ形成素子は、前記制御光と前記信号光が、光の進行方向で前記光吸収層内において収束したのち拡散することによって、前記光吸収層内における前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因し過渡的に熱レンズが形成され、該熱レンズにより、前記光吸収層内に屈折率分布が生じ、前記信号光の進行方向を変え、光路切替を行い、
前記[6N]角錐台プリズムにおいては、前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光は[6N]角錐台プリズムの台面と底面からなる平板部分を通過し、前記第2の集光手段により集光されて前記ファイバー受光素子の中心に載置された直進信号光受光ファイバーに入射し、前記制御光の1つ以上が照射され光路が変更された信号光は[6N]角錐台プリズムの斜面と底面からなるくさび型プリズム断面部分を通過した後、前記第2の集光手段により集光され前記ファイバー受光素子において円筒状に等間隔に整列した[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれかに入射するように、前記制御光は、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接するいずれか2つの端面から2本並列で出射するよう制御されることによって、前記信号光照射ファイバーから出射する信号光の光路を[6N+1]方向へ光路切替することを特徴とする1対[6N+1]型光路切替装置。
【請求項2】
前記6本の制御光照射ファイバーは1端において、合計6基の制御光光源と各々1対1に接続され、前記6基の制御光光源のいずれか1基、または、互いに隣接するいずれか2基を発振させることで前記信号光照射ファイバーから出射する信号光の光路を、前記6基の制御光光源のいずれも発振せず前記信号光が直進する場合を含め、[6N+1]方向へ光路切替することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置。
【請求項3】
少なくとも、
前記光ファイバー受光素子の中心の信号光受光ファイバーの1端に接続された光電変換素子を有する1基の光信号受信ユニットと、
前記光ファイバー受光素子の周辺の[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれか1本の1端に接続された光電変換素子と、
1または2基の制御光光源と、
前記1または2基の制御光光源に各々接続された1本の制御光伝搬ファイバーと、
を各々有する[6N]基の光信号受信ユニットと、
前記6本の制御光照射ファイバーのいずれか1本を1端とし、[N+1]本の他端が前記制御光伝搬ファイバーのいずれか1本に接続された、6基の1対[N+1]型合波器と、
を有する光路切替装置であって、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、特定の6基からの各1本の制御光伝搬ファイバーは前記1対[N+1]型合波器の特定の1基と1対1に接続し、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、前記特定の6基を除く光信号受信ユニットからの各2本の制御光伝搬ファイバーは各々、互いに隣接する2本の制御光照射ファイバーに接続した特定の前記合波器に各々2対2に接続することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置。
【請求項4】
少なくとも、
前記光ファイバー受光素子の中心の信号光受光ファイバーの1端に接続された光電変換素子を有する1基の光信号受信ユニットと、
前記光ファイバー受光素子の周辺の[6N]本の光路切替信号光受光ファイバーのいずれか1本の1端に接続された光電変換素子と、
2基の制御光光源と、
前記2基の制御光光源に各々接続された1対の制御光伝搬ファイバーと、
を各々有する[6N]基の光信号受信ユニットと、
前記6本の制御光照射ファイバーのいずれか1本を1端とし、[N+1]本の他端が前記制御光伝搬ファイバーのいずれか1本に接続された、6基の1対[N+1]型合波器と、
を有する光路切替装置であって、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、特定の6基からの各1対の内、1本の制御光伝搬ファイバーは前記1対[N+1]型合波器の特定の1基と1対1に接続し、
各々1対の内の残りの1本は何にも接続しないダミーファイバーとし、
前記[6N]基の光信号受信ユニット中、前記特定の6基を除く光信号受信ユニットからの各2本の制御光伝搬ファイバーは各々、互いに隣接する2本の制御光照射ファイバーに接続した特定の前記合波器に各々2対2に接続することを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置。
【請求項5】
前記光ファイバー受光素子は、
少なくとも、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光を受光する、中心に載置された光ファイバー(以下、「中心光ファイバー」という。)と、
前記中心光ファイバーと中心軸を共通とする円周上に、次の5通りの形態から選択される1つの形態で、等間隔に並列配置された[6N]本の周辺光ファイバーからなることを特徴とする請求項1に記載の光路切替装置。
(1)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]とし、その周辺に隙間なく前記[6N]本の周辺光ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(2)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、中心光ファイバーのクラッド径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]とし、その周辺に隙間なく前記[6N]本の周辺光ファイバーが載置されている。
(3)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]よりも大きくし、
前記フェルールの表面に前記周辺光ファイバーを載置するためのV字型断面の溝を[6N]本、等間隔で設け、前記V字型断面の溝毎に前記周辺光ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(4)[6N]本の周辺光ファイバーに共通な外径[2r]に対して、フェルールの外径を[2r〔1/sin(360/(6N×2))+1〕]よりも大きくし、
前記フェルールの中心軸から半径[r〔1/sin(360/(6N×2))−1〕]よりも大きい半径の円周上に等間隔で設けられた[6N]個の孔に各々周辺ファイバーが載置され、前記フェルールの中央の孔に中心軸を共通として中心光ファイバーが載置されている。
(5)中心光ファイバーの周辺に[6(N−1)]本の、中心光ファイバーと同じ外径の位置決め用光ファイバーを最密に載置し、更に、前記位置決め用光ファイバーの周囲に[6N]本の中心光ファイバーと同じ外径の周辺光ファイバーが最密に載置されている。
【請求項6】
1本の信号光照射光ファイバーの端面から1種類以上の波長の信号光を出射させ、
前記信号光照射光ファイバーの周囲に最密に配置された6本の制御光照射光ファイバーの端面から前記信号光とは異なる特定波長の制御光を、いずれか1つの端面から単独で、または、互いに隣接する2つの端面から同時に出射させ、
前記信号光は透過し、前記制御光を選択的に吸収する光吸収層を含む熱レンズ形成素子に、前記信号光と前記制御光とを各々収束点を光軸に対して垂直方向で異ならせて、前記光吸収層内にて収束するよう集光して照射し、
前記信号光については前記熱レンズ形成素子を透過させ、
前記制御光については前記熱レンズ形成素子内の前記光吸収層において光吸収、光吸収に伴う温度上昇、温度上昇に伴う密度低下、密度低下に伴う屈折率低下を、前記制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こさせ、その結果、熱レンズを過渡的に形成させて、前記信号光の進行方向を変えて光路切替させ、
前記熱レンズ形成素子から広がりながら出射する直進および光路切替信号光を受光レンズにてコリメートし、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった直進信号光は[6N]角錐台プリズムの台面と底面がなす平板部分を通過させ、
前記制御光が照射され光路切替された信号光は前記[6N]角錐台プリズムの台面と斜面がなすくさび型プリズム部分を通過させ、
前記制御光が照射されず進行方向が変わらなかった前記直進信号光は受光素子の1つの中心素子へ収束入射させ、
前記制御光が照射されて進行方向が切替られた光路切替信号光は、前記中心素子を中心として受光素子の周辺の円周上に等間隔で並列に配置された受光素子の[6N]周辺素子へ収束入射させ、
前記Nは2、3または4であり、
前記信号光の光路を、直進の1方向と周辺への[6N]方向との合計[6N+1]の方向へ光路切替する、
ことを特徴とする光信号の光路切替方法。
【請求項7】
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の制御光光源を、いずれか1基が単独で、または、互いに隣接する2基が同時に発振するよう電気的に制御することを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法。
【請求項8】
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の合波器へ6基以上の制御光光源からの制御光を1つの合波器へ単独で、または、互いに隣接する2つの合波器へ同時に伝搬させることを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法。
【請求項9】
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々直接接続された6基の制御光光源の照射の有無および照射強度を、予め定められた試行錯誤方式プログラミングに従って自動的に調整し、前記信号光が光路切替されて収束入射される前記受光素子の[6N]周辺素子のいずれか1つへの光路切替を最適化する手順を含むことを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法。
【請求項10】
前記6本の制御光照射光ファイバーの他方の端面に各々接続された6基の合波器を経由して接続された6基以上の制御光光源の照射の有無および照射強度を、予め定められた試行錯誤方式プログラミングに従って自動的に調整し、前記信号光が光路切替されて収束入射される前記受光素子の[6N]周辺素子へのいずれかへの光路切替を最適化する手順を含むことを特徴とする、請求項6に記載の光信号の光路切替方法。


【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−105167(P2013−105167A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251263(P2011−251263)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503184234)株式会社インターエナジー (20)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】