説明

光通信システム

【課題】製造するために要するコストを低減しながら、光信号の伝送距離に応じて異なる情報を伝達することが可能な光通信システムを提供すること。
【解決手段】光通信システム100は、第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射部101と、上記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信部102と、上記光信号が放射された位置との間の距離が、上記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信部103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を送受信することにより通信を行う光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
比較的低い周波数にて変調された光信号を放射する光信号放射手段と、イメージセンサを用いることにより光信号を受信する光信号受信手段と、を備える第1の光通信システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。これによれば、光信号を放射する位置と、光信号を受信する位置と、の間の距離(光信号の伝送距離)が比較的長い場合であっても、光信号を確実に伝送することができる。
【0003】
しかしながら、イメージセンサは、すべての画素の情報を取得する(すべての画素を走査する)ために要する時間が比較的長い。従って、光信号のうちの、比較的高い周波数を有する成分を確実に受信することができない。このため、単位時間あたりに伝達可能な情報量は、比較的少ない。
【0004】
一方、比較的高い周波数にて変調された光信号を放射する光信号放射手段と、フォトダイオードを用いることにより光信号を受信する光信号受信手段と、を備える第2の光通信システムが知られている(例えば、特許文献2を参照)。これによれば、単位時間あたりに伝達可能な情報量は、比較的多い。しかしながら、光信号の伝送距離が比較的長い場合、光信号を確実に伝送することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−111725号公報
【特許文献2】特開2009−060181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した、第1の光通信システム、及び、第2の光通信システムのいずれにおいても、同時に1つの情報のみが伝達される。従って、例えば、比較的近くに位置するユーザと、比較的遠くに位置するユーザと、に同時に異なる情報を伝達することができない。即ち、上述した、第1の光通信システム、及び、第2の光通信システムのいずれにおいても、光信号の伝送距離に応じて異なる情報を伝達することができない。
【0007】
そこで、上述した第1の光通信システムが備える、光信号放射手段、及び、光信号受信手段と、上述した第2の光通信システムが備える、光信号放射手段、及び、光信号受信手段と、を備える第3の光通信システムを想定する。この第3の光通信システムによれば、光信号の伝送距離に応じて異なる情報を伝達することができる、と考えられる。
【0008】
しかしながら、第3の光通信システムにおいては、2つの光信号放射手段(光源)を設ける必要があるため、光通信システムを製造するために要するコストが過大になる虞があった。
【0009】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「光信号の伝送距離に応じて異なる情報を伝達する場合、光通信システムを製造するために要するコストが過大になること」を解決することが可能な光通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である光通信システムは、
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段と、
上記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
上記光信号が放射された位置との間の距離が、上記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える。
【0011】
また、本発明の他の形態である光通信方法は、
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射し、
第1の光信号受信部が、上記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第1の周波数を有する成分を受信し、
第2の光信号受信部が、上記光信号が放射された位置との間の距離が、上記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第2の周波数を有する成分を受信する方法である。
【0012】
また、本発明の他の形態である光信号送信装置は、
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段を備える。
【0013】
また、本発明の他の形態である光信号受信装置は、
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、当該第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
上記光信号が放射された位置との間の距離が、上記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されることにより、製造するために要するコストを低減しながら、光信号の伝送距離に応じて異なる情報を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光通信システムの構成を表す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光信号送信装置の構成を表すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光信号受信装置の構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光信号送信装置にて伝送される電気信号を概念的に示した説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る光信号受信装置にて伝送される電気信号を概念的に示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る光通信システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る、光通信システム、光通信方法、光信号送信装置、及び、光信号受信装置、の各実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0017】
<第1実施形態>
(構成)
図1に示したように、第1実施形態に係る光通信システム1は、光信号送信装置10と、複数(本例では、2つ)の光信号受信装置20A,20Bと、を備える。
【0018】
本例では、光信号送信装置10は、照明灯である。なお、光信号送信装置10は、店舗等の施設に関する広告を表示するように構成されていてもよい(例えば、後述する光源11を収容し、且つ、光を透過する筐体に広告としての文字及び図形等が描画されていてもよい)。
【0019】
光信号送信装置10は、図2に示したように、光源11と、第1の電気信号生成部12と、第2の電気信号生成部13と、合成電気信号生成部(合成電気信号生成手段)14と、を備える。
【0020】
光源11は、電気信号を受け付け、受け付けられた電気信号を光信号に変換し、光信号を空間に放射する。本例では、光源11は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。本例では、光信号は、搬送波が可視光線である。
【0021】
第1の電気信号生成部12は、第1の情報(例えば、情報量が比較的少ない文字列を表す情報)を予め記憶している。第1の電気信号生成部12は、記憶されている第1の情報を表すように第1の周波数にて変調された第1の電気信号を生成する。なお、第1の電気信号生成部12は、第1の情報を受け付け、受け付けた第1の情報に基づいて第1の電気信号を生成するように構成されていてもよい。
【0022】
第2の電気信号生成部13は、第2の情報(例えば、情報量が比較的多い画像を表す情報)を予め記憶している。第2の電気信号生成部13は、記憶されている第2の情報を表すように第2の周波数にて変調された第2の電気信号を生成する。ここで、第2の周波数は、第1の周波数よりも高い。なお、第2の電気信号生成部13は、第2の情報を受け付け、受け付けた第2の情報に基づいて第2の電気信号を生成するように構成されていてもよい。
【0023】
合成電気信号生成部14は、第1の電気信号生成部12により生成された第1の電気信号と、第2の電気信号生成部13により生成された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成する。
【0024】
光源11は、合成電気信号生成部14により生成された合成電気信号に基づいて光信号を放射する。
このように、光源11、第1の電気信号生成部12、第2の電気信号生成部13、及び、合成電気信号生成部14は、第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段を構成している。
【0025】
本例では、光信号受信装置20Aは、携帯電話機である。なお、光信号受信装置20Aは、パーソナル・コンピュータ、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance、Personal Digital Assistant)、スマートフォン、カーナビゲーション端末、又は、ゲーム端末等であってもよい。
【0026】
光信号受信装置20Aは、図3に示したように、イメージセンサ21と、フォトダイオード22と、第1の情報取得部23と、ハイパスフィルタ処理部24と、第2の情報取得部25と、を備える。
【0027】
イメージセンサ21は、平面内に格子状に配列された複数の受光素子を備える。イメージセンサ21は、予め設定された走査間隔が経過する毎に、各受光素子が受光した光の強度に応じた電荷の量を読み出す。イメージセンサ21は、読み出された電荷の量に応じた電気信号を出力する。
【0028】
このような構成により、イメージセンサ21は、光信号のうちの、走査間隔よりも短い周期にて変化する成分以外の成分を受信する。本例では、第1の周波数は、走査間隔よりも十分に長い(例えば、走査間隔の2倍以上の)周期を有する周波数である。また、第2の周波数は、走査間隔よりも十分に短い(例えば、走査間隔の2分の1以下の)周期を有する周波数である。
【0029】
フォトダイオード22は、受光した光の強度に応じた電気信号を出力する。従って、フォトダイオード22は、光信号のすべての成分を受信する。即ち、フォトダイオード22は、光信号を受信し、受信された光信号を表す電気信号を生成し、生成された電気信号を出力する。
【0030】
本例では、イメージセンサ21は、光源11(光信号が放射された位置)との間の距離が第1の距離以下である場合に光信号を受信可能に構成される。また、フォトダイオード22は、光源11(光信号が放射された位置)との間の距離が第2の距離以下である場合に光信号を受信可能に構成される。ここで、第2の距離は、第1の距離よりも短い。
【0031】
第1の情報取得部23は、イメージセンサ21により出力された電気信号に基づいて当該電気信号が表す第1の情報を取得する。
【0032】
ハイパスフィルタ処理部24は、フォトダイオード22により出力された電気信号のうちの、第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行する。これにより、ハイパスフィルタ処理部24は、フォトダイオード22により出力された電気信号のうちの、第2の周波数を有する成分を出力する。
【0033】
第2の情報取得部25は、ハイパスフィルタ処理部24により出力された電気信号に基づいて当該電気信号が表す第2の情報を取得する。
【0034】
このように、イメージセンサ21、及び、第1の情報取得部23は、光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段を構成している。
【0035】
また、フォトダイオード22、ハイパスフィルタ処理部24、及び、第2の情報取得部25は、光信号が放射された位置との間の距離が、第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段を構成している。
なお、光信号受信装置20Bも、光信号受信装置20Aと同様の構成を有している。
【0036】
(作動)
次に、上述した光通信システム1の作動について説明する。
いま、光信号送信装置10と光信号受信装置20Aとの間の距離が第2の距離よりも短くなるように、光信号送信装置10、及び、光信号受信装置20Aが配置されている場合を想定する。更に、光信号送信装置10と光信号受信装置20Bとの間の距離が、第2の距離よりも長く且つ第1の距離よりも短くなるように、光信号送信装置10、及び、光信号受信装置20Bが配置されている場合を想定する。
【0037】
先ず、図4に示したように、光信号送信装置10の第1の電気信号生成部12は、第1の情報を表すように第1の周波数にて変調された第1の電気信号を生成する。同様に、光信号送信装置10の第2の電気信号生成部13は、第2の情報を表すように第2の周波数にて変調された第2の電気信号を生成する。
【0038】
次いで、図4に示したように、光信号送信装置10の合成電気信号生成部14は、第1の電気信号生成部12により生成された第1の電気信号と、第2の電気信号生成部13により生成された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成する。そして、光源11は、合成電気信号生成部14により生成された合成電気信号に基づいて光信号を放射する。
【0039】
これにより、図5に示したように、光信号受信装置20Aのイメージセンサ21は、光信号送信装置10により放射された光信号のうちの、第1の周波数を有する成分を受信し、受信された成分を表す電気信号を出力する。そして、光信号受信装置20Aの第1の情報取得部23は、イメージセンサ21により出力された電気信号に基づいて当該電気信号が表す第1の情報を取得する。
【0040】
更に、図5に示したように、光信号受信装置20Aのフォトダイオード22は、光信号送信装置10により放射された光信号を受信し、受信された光信号を表す電気信号を出力する。そして、光信号受信装置20Aのハイパスフィルタ処理部24は、フォトダイオード22により出力された電気信号のうちの、第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行する。
【0041】
これにより、光信号受信装置20Aのハイパスフィルタ処理部24は、フォトダイオード22により出力された電気信号のうちの、第2の周波数を有する成分を出力する。次いで、光信号受信装置20Aの第2の情報取得部25は、ハイパスフィルタ処理部24により出力された電気信号に基づいて当該電気信号が表す第2の情報を取得する。
【0042】
このように、光信号受信装置20Aは、光信号送信装置10により送信された光信号に基づいて、第1の情報、及び、第2の情報を取得する。
【0043】
一方、図5に示したように、光信号受信装置20Bのイメージセンサ21は、光信号送信装置10により放射された光信号のうちの、第1の周波数を有する成分を受信し、受信された成分を表す電気信号を出力する。そして、光信号受信装置20Bの第1の情報取得部23は、イメージセンサ21により出力された電気信号に基づいて当該電気信号が表す第1の情報を取得する。
【0044】
また、光信号送信装置10と光信号受信装置20Bとの間の距離が第2の距離よりも長いため、光信号受信装置20Bのフォトダイオード22は、光信号送信装置10により放射された光信号を受信しない。
【0045】
このように、光信号受信装置20Bは、光信号送信装置10により送信された光信号に基づいて、第1の情報のみを取得する。
【0046】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る光通信システム1によれば、光通信システム1は、光信号が放射された位置と、光信号を受信する位置と、の間の距離に応じて異なる情報を伝達することができる。これにより、光信号受信装置20A,20Bと、光信号が放射された位置(本例では、光信号送信装置10の位置)と、の間の距離(光信号の伝送距離)を変更することにより、異なる情報を光信号受信装置20A,20Bへ伝達することができる。
【0047】
更に、上記構成によれば、光信号送信装置10は、第1の情報、及び、第2の情報からなる2つの情報を表す光信号を放射する。従って、第1の情報を表す光信号を放射する第1の光信号放射手段と、第2の情報を表す光信号を放射する第2の光信号放射手段と、の両方を設ける場合と比較して、光通信システム1を製造するために要するコストを低減することができる。
【0048】
また、上記構成によれば、例えば、光信号受信装置20Bを保持するユーザが、第2の距離よりも長い距離だけ、光信号送信装置10と離れた位置にて、第1の情報を取得した場合において、他の情報を取得することをユーザが希望するときには、当該ユーザが光信号送信装置10に近づくことにより、第2の情報を取得することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る光通信システムについて図6を参照しながら説明する。
第2実施形態に係る光通信システム100は、
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射部(光信号放射手段)101と、
上記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信部(第1の光信号受信手段)102と、
上記光信号が放射された位置との間の距離が、上記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、上記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信部(第2の光信号受信手段)103と、
を備える。
【0050】
これによれば、光通信システム100は、光信号が放射された位置と、光信号を受信する位置と、の間の距離に応じて異なる情報を伝達することができる。即ち、例えば、受信装置が、第1の光信号受信手段、及び、第2の光信号受信手段を備える場合、受信装置と、光信号が放射された位置と、の間の距離を変更することにより、異なる情報を受信装置へ伝達することができる。
【0051】
更に、上記構成によれば、光信号放射手段101は、第1の情報、及び、第2の情報からなる2つの情報を表す光信号を放射する。従って、第1の情報を表す光信号を放射する第1の光信号放射手段と、第2の情報を表す光信号を放射する第2の光信号放射手段と、の両方を設ける場合と比較して、光通信システムを製造するために要するコストを低減することができる。
【0052】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0053】
例えば、光信号受信装置20A,20Bは、フォトダイオードに代えて、フォトトランジスタを備えていてもよい。また、光通信システム1は、光信号の搬送波として、可視光線に代えて、赤外線を用いるように構成されていてもよい。
【0054】
なお、上記各実施形態において光通信システム1の各機能は、回路等のハードウェアにより実現されていた。ところで、光通信システム1を構成する各装置(光信号送信装置10、及び、光信号受信装置20A,20Bのそれぞれ)は、処理装置と、プログラム(ソフトウェア)を記憶する記憶装置と、を備えるとともに、処理装置がそのプログラムを実行することにより、各機能を実現するように構成されていてもよい。
【0055】
この場合、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0056】
また、上記実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0057】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
【0058】
(付記1)
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える光通信システム。
【0059】
これによれば、光通信システムは、光信号が放射された位置と、光信号を受信する位置と、の間の距離に応じて異なる情報を伝達することができる。即ち、例えば、受信装置が、第1の光信号受信手段、及び、第2の光信号受信手段を備える場合、受信装置と、光信号が放射された位置と、の間の距離を変更することにより、異なる情報を受信装置へ伝達することができる。
【0060】
更に、上記構成によれば、光信号放射手段は、第1の情報、及び、第2の情報からなる2つの情報を表す光信号を放射する。従って、第1の情報を表す光信号を放射する第1の光信号放射手段と、第2の情報を表す光信号を放射する第2の光信号放射手段と、の両方を設ける場合と比較して、光通信システムを製造するために要するコストを低減することができる。
【0061】
(付記2)
付記1に記載の光通信システムであって、
前記光信号放射手段は、
前記第1の情報を表すように前記第1の周波数にて変調された第1の電気信号と、前記第2の情報を表すように前記第2の周波数にて変調された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成する合成電気信号生成手段と、
前記生成された合成電気信号に基づいて前記光信号を放射する光源と、
を備える光通信システム。
【0062】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の光通信システムであって、
前記第2の光信号受信手段は、前記光信号を受信し、当該受信された光信号を表す電気信号を生成し、当該生成された電気信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行することにより、当該電気信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を取得するように構成された光通信システム。
【0063】
(付記4)
付記1乃至付記3のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記第1の光信号受信手段は、イメージセンサを含む光通信システム。
【0064】
イメージセンサは、すべての画素の情報を取得する(すべての画素を走査する)ために要する時間が比較的長い。従って、イメージセンサは、比較的高い周波数を有する成分が除去された光信号を受信する。即ち、上記構成によれば、第1の光信号受信手段は、光信号のうちの、第1の周波数を有する成分を確実に受信することができる。更に、上記構成によれば、第1の光信号受信手段は、比較的長い距離だけ離れた位置にて放射された光信号を確実に受信することできる。
【0065】
(付記5)
付記1乃至付記4のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記第2の光信号受信手段は、フォトダイオード、又は、フォトトランジスタを含む光通信システム。
【0066】
フォトダイオード、又は、フォトトランジスタは、イメージセンサに比較して、より高い周波数を有する成分も含めた光信号を確実に受信することができる。即ち、上記構成によれば、第2の光信号受信手段は、光信号のうちの、第2の周波数を有する成分を確実に受信することができる。
【0067】
(付記6)
付記1乃至付記5のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記光信号は、搬送波が可視光線である光通信システム。
【0068】
(付記7)
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射し、
第1の光信号受信部が、前記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を受信し、
第2の光信号受信部が、前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信する、光通信方法。
【0069】
(付記8)
付記7に記載の光通信方法であって、
前記第1の情報を表すように前記第1の周波数にて変調された第1の電気信号と、前記第2の情報を表すように前記第2の周波数にて変調された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成し、
光源が、前記生成された合成電気信号に基づいて前記光信号を放射する、光通信方法。
【0070】
(付記9)
付記7又は付記8に記載の光通信方法であって、
前記第2の光信号受信部は、前記光信号を受信し、当該受信された光信号を表す電気信号を生成し、当該生成された電気信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行することにより、当該電気信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を取得する、光通信方法。
【0071】
(付記10)
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段を備える光信号送信装置。
【0072】
(付記11)
付記10に記載の光信号送信装置であって、
前記光信号放射手段は、
前記第1の情報を表すように前記第1の周波数にて変調された第1の電気信号と、前記第2の情報を表すように前記第2の周波数にて変調された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成する合成電気信号生成手段と、
前記生成された合成電気信号に基づいて前記光信号を放射する光源と、
を備える光信号送信装置。
【0073】
(付記12)
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、当該第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える光信号受信装置。
【0074】
(付記13)
付記12に記載の光信号受信装置であって、
前記第2の光信号受信手段は、前記光信号を受信し、当該受信された光信号を表す電気信号を生成し、当該生成された電気信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行することにより、当該電気信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を取得するように構成された光信号受信装置。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、光信号を送受信することにより通信を行う光通信システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 光通信システム
10 光信号送信装置
11 光源
12 第1の電気信号生成部
13 第2の電気信号生成部
14 合成電気信号生成部
20A,20B 光信号受信装置
21 イメージセンサ
22 フォトダイオード
23 第1の情報取得部
24 ハイパスフィルタ処理部
25 第2の情報取得部
100 光通信システム
101 光信号放射部
102 第1の光信号受信部
103 第2の光信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える光通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光通信システムであって、
前記光信号放射手段は、
前記第1の情報を表すように前記第1の周波数にて変調された第1の電気信号と、前記第2の情報を表すように前記第2の周波数にて変調された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成する合成電気信号生成手段と、
前記生成された合成電気信号に基づいて前記光信号を放射する光源と、
を備える光通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光通信システムであって、
前記第2の光信号受信手段は、前記光信号を受信し、当該受信された光信号を表す電気信号を生成し、当該生成された電気信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を当該電気信号から除去するハイパスフィルタ処理を実行することにより、当該電気信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を取得するように構成された光通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記第1の光信号受信手段は、イメージセンサを含む光通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記第2の光信号受信手段は、フォトダイオード、又は、フォトトランジスタを含む光通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光通信システムであって、
前記光信号は、搬送波が可視光線である光通信システム。
【請求項7】
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射し、
第1の光信号受信部が、前記光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第1の周波数を有する成分を受信し、
第2の光信号受信部が、前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信する、光通信方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光通信方法であって、
前記第1の情報を表すように前記第1の周波数にて変調された第1の電気信号と、前記第2の情報を表すように前記第2の周波数にて変調された第2の電気信号と、を合成することにより合成電気信号を生成し、
光源が、前記生成された合成電気信号に基づいて前記光信号を放射する、光通信方法。
【請求項9】
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号を空間に放射する光信号放射手段を備える光信号送信装置。
【請求項10】
第1の情報を表すように第1の周波数にて変調され、且つ、第2の情報を表すように当該第1の周波数よりも高い第2の周波数にて変調された光信号が放射された位置との間の距離が第1の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、当該第1の周波数を有する成分を受信可能に構成された第1の光信号受信手段と、
前記光信号が放射された位置との間の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離以下である場合に、当該放射された光信号のうちの、前記第2の周波数を有する成分を受信可能に構成された第2の光信号受信手段と、
を備える光信号受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156663(P2012−156663A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12508(P2011−12508)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】